JPH10125329A - 正極板および鉛蓄電池 - Google Patents

正極板および鉛蓄電池

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JPH10125329A
JPH10125329A JP8282239A JP28223996A JPH10125329A JP H10125329 A JPH10125329 A JP H10125329A JP 8282239 A JP8282239 A JP 8282239A JP 28223996 A JP28223996 A JP 28223996A JP H10125329 A JPH10125329 A JP H10125329A
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JP
Japan
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oxide
fiber
tin oxide
lead
tin
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JP8282239A
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English (en)
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Hiroya Yamashita
博也 山下
Shinichi Saito
慎一 斎藤
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Publication date
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    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

(57)【要約】 【課題】 充電電位下で長時間保持しても安定な酸化ス
ズ繊維を含む電極活物質を使用して、高い活物質利用率
を長期間に渡って保持する鉛蓄電池を目的とする。 【解決手段】 酸化スズを基本成分とし、酸化ケイ素、
酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウ
ム、酸化チタン、及び酸化ハフニウムよりなる群から選
ばれた少なくとも一種の金属酸化物を含有する酸化スズ
繊維を酸化鉛中に含有する電極活物質を集電体に充填し
てなる正極板、およびそれを用いた鉛蓄電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池、詳しくは酸
化スズ繊維を含有した正極活物質が充填されてなる正極
板、およびそれを用いた鉛蓄電池に関する。
【0002】
【従来の技術】鉛蓄電池は、自動車などに搭載される移
動用2次電池、あるいはコンピュータ等のバックアップ
用2次電池として広く普及している。しかしながら、充
放電サイクルを繰り返すと正極活物質である二酸化鉛や
負極活物質である鉛の表面で硫酸鉛や一酸化鉛が生成す
ることにより導電性が低下する、電極活物質が軟化する
ことにより導電性が低下する、あるいは電極活物質の脱
落等により寿命が短くなるという問題を残している。正
極活物質である二酸化鉛や負極活物質である鉛の表面に
生成する硫酸鉛や一酸化鉛は本来絶縁性であるため、こ
れらが電極活物質の表面に生成すると電極活物質の導電
性を著しく低下させ、反応に寄与できるはずの内部の正
極活物質および負極活物質(以下、単に活物質と呼ぶ場
合もある)の利用を困難にする。これは活物質の利用率
を約40%以下と小さくしており、鉛蓄電池本来の性能
を充分に引き出せていない原因となっている。活物質の
利用率を高めることができれば、鉛蓄電池のエネルギー
密度を増大させることができ、更に鉛蓄電池の応用分野
を拡大させることができる。
【0003】最近、この活物質の導電性低下を抑制して
活物質の利用率を少しでも向上させてエネルギー密度を
高めようと、活物質中に導電性を有する黒鉛、あるいは
酸化錫の粉末を添加することが試みられている。
【0004】しかしながら、黒鉛は酸化されて消耗し易
いという欠点がある。特に正極活物質に添加した場合、
黒鉛は酸化分解され易いので導電性付与の効果を維持す
ることができなかった。また、添加が試みられている酸
化スズ粉末の導電性付与効果は小さいことがわかり、充
分な導電性を付与しようとすれば多量に添加せざるを得
ない。これは、電極反応に直接関与しない物質を増やす
ことになり、電池のエネルギー密度を低下させることに
つながる。また、充電電位で長時間保持すると、従来の
酸化スズ粉末は、溶解して消耗し易いという問題点も残
している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】酸化スズ繊維を活物質
中に添加することも試みられている。しかしながら、酸
化スズ及び/または周期律表第V族元素のみからなる酸
化錫繊維を正極活物質中に添加すると、正極活物質の利
用率を高める効果が得られたが、充放電を繰り返すにつ
れて、酸化スズ繊維が消耗して繊維形状が崩れ易く、長
期間に渡って大きな効果を維持することは難しいことが
明かとなった。これは、従来の酸化スズ繊維では充電時
に消耗するためであることが明かとなった。70℃の硫
酸溶液中に電位を印加しないで保持した場合、酸化スズ
及び/または周期律表第V族元素のみからなる消耗しな
い特定の酸化錫繊維を作製できるが、充電電位のような
貴な電位を長時間印加した場合には、消耗し易いことが
わかった。従って、充電電位下で長時間保持しても安定
な酸化スズ繊維を含む電極活物質を使用して、高い活物
質利用率を長期間に渡って保持する鉛蓄電池の開発を課
題とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定成分から構成
される酸化スズ繊維は、充電電位下で硫酸水溶液中に長
時間保持しても安定であることを見い出し、ここに本発
明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は、酸化ケイ素、酸化ゲルマ
ニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チ
タン、及び酸化ハフニウムよりなる群から選ばれた少な
くとも一種の金属酸化物、並びに酸化スズを主構成成分
とする酸化スズ繊維を、酸化鉛中に含有してなる電極活
物質が集電体に充填されていることを特徴とする正極板
である。
【0008】他の発明は、酸化スズ、周期律表第V族元
素の酸化物、並びに酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム、酸
化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、及び
酸化ハフニウムよりなる群から選ばれた少なくとも一種
の金属酸化物を主構成成分とする酸化スズ繊維を、酸化
鉛中に含有してなる電極活物質が集電体に充填されてい
ることを特徴とする正極板である。
【0009】更に他の発明は、上記いずれかの正極板
と、負極板がセパレータを介して電解液を含む容器中に
対置されていることを特徴とする鉛蓄電池である。
【0010】次に本発明を更に具体的に説明する。
【0011】本発明に用いる酸化スズ繊維中には、充電
電位を印加した状態での安定性を高めるとともに、得ら
れる繊維の引っ張り強度、および伸び(延性)をより高
めるために、酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム、酸化アル
ミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、及び酸化ハ
フニウムよりなる群から選ばれた少なくとも一種の金属
酸化物が含有されていることが必要である。該酸化スズ
繊維は、きわめて緻密で均一性が高くて柔軟性に優れ、
更に鉛蓄電池の電解質として使用される高温の硫酸水溶
液中でも充分な耐食性を示し、更に、充電電位のような
貴な電位を印加して保持しても、安定である。
【0012】これらの金属酸化物が含有されていると、
硫酸水溶液中で充電電位下に保持しても安定に繊維形状
を保持する。この理由については、本発明者らもまだ充
分に説明し得ないが、酸化スズの結晶がより微細になっ
ているため、あるいは酸化スズの粒界にこれらの金属酸
化物が存在して繊維が緻密になっているためと推測され
る。
【0013】また、これらの金属酸化物が含有される
と、引っ張り強度が向上し、更により大きな歪みがかか
るまで破壊せず、繊維1本の破壊にはより大きな仕事量
を必要とする。言い替えれば高靱性になっており、金属
酸化物を添加しない場合に比べて、酸化鉛等と混練した
時に繊維形状が維持され易い。
【0014】酸化スズ繊維の導電性にも依存するが、よ
り過酷な条件下で混練される場合、これらの金属酸化物
を含有した酸化スズ繊維を活物質に添加する方が、活物
質の利用率が向上する。これらの金属酸化物を添加する
と多少導電性が低下する傾向はあるものの、高い導電性
が維持される。金属酸化物のコスト、硫酸水溶液中での
安定性等を考慮すると、酸化ケイ素が最も好ましい。
【0015】金属酸化物の含有量は、あまりに少ないと
前記効果が得られず、またあまりに多いと繊維の導電性
が低下するので、酸化スズと金属酸化物との合計量を基
準にして2〜80モル%が好ましく、より好ましくは2
〜50モル%である。
【0016】本発明に用いる酸化スズ繊維の長さは、特
に制限されないが、鉛や酸化鉛等の電極活物質との混練
のし易さ等を考慮すれば繊維の長さが、1mm〜50m
mの範囲が特に好ましく、より好ましくは1〜30mm
である。
【0017】酸化スズ繊維断面の直径は、繊維1本の強
度及び取り扱い易さ、更に混練にし易さを考慮すれば、
1〜50μmが好ましく、より好ましくは5〜30μm
である。
【0018】本発明において、活物質の利用率を向上さ
せるためには、酸化スズ繊維の比抵抗は通常5x102
Ω・cm以下、好ましくは2x102Ω・cm以下が望
ましい。比抵抗が5x102Ω・cmを超えても酸化鉛
の放電後の生成物である硫酸鉛等の絶縁体の抵抗よりも
充分低いので導電性付与の効果はあるが、導電性を充分
に付与して活物質の利用率を向上させるためには多量に
添加せざるを得なくなるので比抵抗は5x102Ω・c
m以下が好ましく、より好ましくは2x102Ω・cm
以下である。このような比抵抗の繊維を得るために、周
期律表第V族元素の酸化物(以下単に第V族酸化物とも
いう)を含有させることが効果的であり、第V族酸化物
の構成比率は、酸化スズと第V族酸化物との合計量を基
準にして0.05モル%〜25モル%、好ましくは0.
1モル〜20モル%とするのが望ましい。 第V族酸化
物は、通常酸化スズに固溶して存在しX線回折では第V
族元素酸化物固有のピークは観察されないが、含有量が
過剰になると酸化スズに固溶しないで混合物の形で存在
するようになり導電性付与の効果は飽和する。酸化スズ
に固溶する場合には、周期律表第V族元素は酸化スズ中
のスズ原子に置き代わって存在するが、この場合も単に
酸化物の形態で含有するとここでは表現する。また、固
溶しないで混合物の形態で存在する場合も、周期律表第
V族元素は、酸素が存在する雰囲気下では大部分酸化物
となるが、一部酸化しないで含有される場合もある。
【0019】上記第V族元素酸化物としては、酸化バナ
ジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化アンチモン、
酸化ビスマスが挙げられ、このなかでも、導電性を高め
るためには酸化アンチモンが好ましい。
【0020】上記、電位印加時の安定性、導電性および
機械的特性等の諸物性等を勘案すれば、本発明の酸化ス
ズ繊維は酸化スズ19.9〜98モル%、酸化ケイ素、
酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウ
ム、酸化チタン、及び酸化ハフニウムよりなる群から選
ばれた少なくとも一種の金属酸化物1.99〜80モル
%、第V族酸化物0.01モル%〜24.5モル%を基
本成分とすることが好ましく、特に酸化スズ31〜98
モル%、酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニ
ウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、及び酸化ハフニ
ウムよりなる群から選ばれた少なくとも一種の金属酸化
物1.95〜50モル%、第V族酸化物0.05〜19
モル%とすることが望ましい。該酸化スズ繊維において
も、第V族酸化物は通常酸化スズ中に固溶して存在す
る。一方、金属酸化物は一部は酸化スズ中に固溶して存
在すると推測されるが、大部分は酸化スズ中には固溶し
ないで混合物の状態で分散して存在しているか、あるい
は一部複合酸化物を形成しているものと推定される。
【0021】酸化スズ繊維中の第V族酸化物や金属酸化
物の構成比率は、化学分析や蛍光X線分析によって確認
できるが、通常は原料比から理論的な計算で算出された
ものと大差を生じないので、製造原料比が明かな場合は
該原料比から算出することもできる。
【0022】本発明に用いる酸化スズ繊維には、結晶子
サイズ等を制御して柔軟性を付与したり、緻密化を図る
ために、更に酸化リチウム、酸化カルシウム、酸化バリ
ウム、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウム、酸化亜
鉛、酸化ネオジウム、酸化ランタン、酸化ガリウム、酸
化サマリウム、酸化インジウム等を、通常全成分を基準
にして8モル%以下で含有させることもできるが、硫酸
水溶液中に溶解したり、充放電反応において水素発生や
酸素発生等の副反応を容易にならしめるような悪影響を
鉛蓄電池の電池反応に及ぼさないように予め適宜検討す
る必要がある。
【0023】また、鉛蓄電池の鉛を主成分とするグリッ
ドや活物質とのなじみをよくするために、鉛の酸化物を
酸化スズ繊維に含有させることもできる。
【0024】本発明に用いる酸化スズ繊維の断面は、後
述する紡糸時に用いるノズルの形状を選択することによ
り任意に制御することができるが、断面が矩形のものを
電極活物質に添加した場合、応力がエッジ部に集中し易
く、またエッジ部に接する部分の電極活物質が切断され
た状態になり易い。従って、断面が円形、楕円形等の略
円形のものが好ましい。
【0025】本発明に用いる酸化スズ繊維の製造方法は
特に限定されないが、以下代表的な製造方法を例示す
る。
【0026】アルコールに、アルコール可溶性スズ化合
物等のスズ化合物および第V族元素の化合物を、酸化ケ
イ素、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化ジル
コニウム、酸化チタン、及び酸化ハフニウムよりなる群
から選ばれた少なくとも一種の金属酸化物を含有させる
場合は更に該金属の化合物(以下、金属化合物という)
を混合溶解させた後、濃縮することにより得られる曳糸
性を示す溶液(紡糸液)から酸化スズを含むゲル繊維を
紡糸して、加熱処理することにより容易に、しかも安価
に任意のアスペクト比の酸化スズ繊維が得られる。当該
ゾル溶液から作製した酸化スズを主成分とする酸化スズ
繊維は破壊に必要なエネルギー等の機械的特性に優れ、
また予想に反して耐食性が極めて高いうえに結晶方位に
偏りもなく、更に繊維の径、長さおよび導電性を制御し
易く、この方法によって得られる特定の物性を有する酸
化スズ繊維を電極活物質に添加すれば、少量で充電効率
および放電効率が高く、更に過放電後も充電が可能で、
しかも再現性に優れた電池を工業的に製造できる。ま
た、この方法は、酸化スズ以外の成分量を任意に調整で
きるという利点もある。
【0027】上記紡糸液用アルコ−ルの具体例として、
メチルアルコ−ル、エチルアルコ−ル、プロピルアルコ
−ル、ブチルアルコ−ル、オクチルアルコール、2ーメ
トキシエタノール、2ーエトキシエタノール、エチレン
グリコール、1ーメトキシー2ープロピルアルコール、
メトキシエトキシエタノール、2ーフェニルエチルアル
コール、ベンジルアルコ−ル、アリルアルコール、2ー
メチルー2ープロペンー1ーオール、3ーメチルー3ー
ブテンー1ーオール等を挙げることができる。特に、メ
チルアルコール、エチルアルコールはアルコール可溶性
スズ化合物の溶解度が高く好ましい。上記アルコールは
通常単独で用いられるが、アルコール可溶性スズ化合物
との反応性、あるいはアルコール可溶性スズ化合物の溶
解性等を制御するために2種類以上のアルコールの混合
物を用いることもできる。
【0028】本発明に用いるアルコール可溶性スズ化合
物としてはハロゲン化スズ化合物、有機スズ化合物等が
挙げられる。ハロゲン化スズ化合物のハロゲンは、C
l、Br、I、F原子である。このハロゲン化スズ化合
物のなかでも、塩化スズ、臭化スズが価格、安定性の点
から好ましく、ハロゲンの含有率が小さいものが更に好
ましい。具体的には、SnI2、SnF2、SnBr2
SnCl2、SnCl2・2H20等が挙げられ、特に、
SnBr2、SnCl2・2H2O、SnCl2が好ましく
用いられる。また該ハロゲン化スズ化合物において有機
化合物で修飾したもの、例えば、Sn(CH3)2Cl2
も使用できる。
【0029】上記アルコール可溶性スズ化合物とアルコ
ールの配合割合は、アルコール可溶性スズ化合物がアル
コ−ルに均一に溶解する範囲であれば、特に制限されな
い。ただし、あまりにアルコール可溶性スズ化合物の割
合が低い場合は曳糸性を示さないのでかなり濃縮する必
要があり、アルコ−ルが無駄になる。また、アルコール
可溶性スズ化合物の濃度があまりにも高いと沈澱が生じ
均一な紡糸液が得られない。従って、使用するアルコー
ル可溶性スズ化合物とアルコ−ルの種類によってその配
合割合は異なるが、一般的にはアルコ−ルに対するアル
コール可溶性スズ化合物の使用割合はモル比で0.01
〜0.5が好ましい。この割合で配合して透明で均一な
溶液とした後、更にアルコールを蒸発させて濃縮し所望
の粘度で曳糸性を有する紡糸液とする。
【0030】更に、酸化スズ繊維の電位印加時の安定
性、機械的特性等の諸物性等を高めるために、酸化ケイ
素、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコ
ニウム、酸化チタン、及び酸化ハフニウムよりなる群か
ら選ばれた少なくとも一種の金属酸化物になる得る金属
化合物を紡糸液中に添加する。
【0031】なお、酸化ジルコニウムの場合には、酸化
カルシウム、酸化マグネシム等のアルカリ土類酸化物、
酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化ネオジウム、酸
化サマリウム、酸化ガドリニウム、酸化ユーロピウム、
酸化スカンジウム等の希土類酸化物が含有されているこ
とにより正方晶、あるいは立方晶が安定化、あるいは準
安定化されて強度が高くなったり、酸素イオン導電性が
高くなることも可能であるので、これらの安定化元素の
化合物を添加してもよい。該成分の含有量は成分の種類
によっても異なり目的によって適宜決定すればよいが、
一般には30モル%以下である。また、酸化ジルコニウ
ムには、原料の由来の酸化ハフニウムが含有されていて
もよい。
【0032】酸化ケイ素になりうるケイ素化合物として
は、シリコンアルコキシド、ハロゲン化ケイ素等が用い
られる。シリコンアルコキシドとしては、一般式Si
(ORA4、RBSi(ORA3、RBCSi(ORA
2で表されるシリコンアルコキシドが用いられる。ここ
で、RA、RB、RCは、各々、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ペンチル基等の直鎖状または分岐
状アルキル基;エテニル基、プロペニル基、ブテニル
基、ペンテニル基等の直鎖状または分岐状アルケニル
基;フェニル基等のアリール基を示す。
【0033】シリコンアルコキシドを具体的に例示する
と、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチル
トリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェ
ニルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラ
ン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメ
トキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−
オクタデシルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシ
シラン、エチルトリエトキシシラン、アミルトリエトキ
シシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−オクチル
トリエトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシ
ラン、n−ドデシルトリエトキシシラン、メチルトリブ
トキシシラン、エチルトリブトキシシラン、エチルトリ
プロポキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリル
トリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジ
メチルジエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラ
ン、ジエチルジメトキシシラン、エチルメチルジエトキ
シシラン等が挙げられる。
【0034】ハロゲン化ケイ素としては、テトラクロロ
シラン、トリクロロシラン等が挙げられる。
【0035】酸化ゲルマニウムになりうるゲルマニウム
化合物としては、GeCl4、GeBr2、GeBr4
テトラエトキシゲルマニウム等のゲルマニウムアルコキ
シド等が挙げられる。
【0036】酸化アルミニウムになりうるアルミニウム
化合物の一例を例示すると、AlCl3、AlCl3・6
2O、AlBr3、AlBr3・6H2O、AlI3、A
lI3・6H2O、Al(NO33・9H2O、Al(N
33・6H2O、アルミニウムイソプロポキシド等の
アルミニウムのアルコキシド等が挙げられる。
【0037】酸化ジルコニウムになりうるジルコニム化
合物としては、ZrCl4、Zr(NO34・5H2O、
ZrOCl2・8H2O、ZrOI2・8H2O、テトラブ
トキシジルコニウム等のジルコニウムアルコキシドが挙
げられる。
【0038】酸化チタニウムになりうるチタン化合物と
しては、TiCl4、TiCl3、TiCl2、TiB
4、TiBr4・6H2O、TiF4、テトライソプロポ
キシチタン等のチタンアルコキシド等が挙げられる。
【0039】酸化ハフニウムになりうるハフニウム化合
物としては、HfCl4、ハフニウムアルコキシド等が
挙げられる。
【0040】また、上記化合物は最初から、当該化合物
である必要はなく、ハロゲン化スズのアルコール溶液中
で初期に当該化合物となるようにしてもよい。例えば、
塩化アルミニウムの場合には、金属アルミニウムをハロ
ゲン化スズのアルコール溶液に添加して一部ハロゲン化
してもよい。
【0041】正方晶、あるいは立方晶を安定化、あるい
は準安定化させて酸化ジルコニウムの強度を高くした
り、酸素イオン導電性を高めるために含有させる酸化カ
ルシウム、酸化マグネシム等のアルカリ土類酸化物、酸
化イットリウム、酸化セリウム、酸化ネオジウム、酸化
サマリウム、酸化ガドリニウム、酸化ユーロピウム、酸
化スカンジウム等の希土類酸化物の原料としては、これ
ら各元素のアルコキシド、塩化物、オキシ塩化物、硝酸
塩、硫酸塩、あるいは酢酸塩等のアルコールに可溶性の
原料を用いることができる。
【0042】上記金属酸化物の原料である金属化合物の
添加量は、紡糸、加熱処理によって生じる最終形態の金
属酸化物が前記範囲内の構成比率になるように予め算定
して決定すればよい。通常、使用原料モル比からの計算
値が酸化スズ系繊維中の金属酸化物のモル比と一致す
る。
【0043】最終的に得られる酸化スズ繊維に導電性を
付与するために紡糸液中にアルコール可溶性の第V族元
素の化合物(以下単に第V族元素化合物という)を添加
することが好ましい。該第V族元素化合物は、後述する
加熱処理によって最終的には第V族元素酸化物となって
酸化スズ中に固溶する。
【0044】上記第V族元素化合物としては、バナジウ
ム化合物、ニオブ化合物、タンタル化合物、アンチモン
化合物、あるいはビスマス化合物等の第V族元素の化合
物が挙げられる。
【0045】具体的には、バナジウム化合物として、V
Br3、VCl2、VCl3、VCl4、VOBr2、VO
Br3、VOCl3、VF3、VF4、VF5、VI36H2
O、バナジウムのアルコキシドが挙げられ、ニオブ化合
物として、NbCl5、NbBr5、NbF5、NbOC
3、ニオブのアルコキシドが挙げられ、タンタル化合
物として、TaBr5、TaCl5、タンタルのアルコキ
シドが、アンチモン化合物として、SbCl3、SbC
5、SbBr3、オキシ塩化アンチモン、あるいはアン
チモンのアルコキシドが、また、ビスマス化合物として
は、BiCl3、BiI3、ビスマスのアルコキシド等が
挙げられる。
【0046】上記第V族元素化合物の配合割合は、目的
とする導電性を勘案して酸化スズ繊維中の第V族元素酸
化物量を算出し、それに基づいて決定される。
【0047】アルコール可溶性スズ化合物、第V族元素
化合物、並びに酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム、酸化ア
ルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、及び酸化
ハフニウムよりなる群から選ばれた少なくとも一種の金
属酸化物になる金属化合物とアルコールの溶解方法は、
特に限定されない。攪拌下、アルコール可溶性スズ化合
物、第V族元素化合物、金属化合物の混合物にアルコ−
ルを滴下する方法、あるいは攪拌下、アルコールにアル
コール可溶性スズ化合物、第V族元素化合物、金属化合
物を同時にまたは順次溶解させる方法等を用いることが
できる。
【0048】また、鉛を主成分とするグリッドや活物質
とのなじみをよくするために、酸化スズ繊維を構成する
酸化スズ中に酸化鉛を均一に分散させておくことも好ま
しい。該酸化鉛としては導電性の高い二酸化鉛の形で分
散させておくことが好ましい。この酸化鉛が分散した酸
化スズ繊維は、前記アルコール可溶性スズ化合物、アル
コール可溶性第V族元素化合物や金属化合物とアルコー
ルの溶液中に、塩基性酢酸鉛、塩素酸鉛等に代表される
アルコール可溶性の鉛化合物を添加溶解させた溶液を紡
糸して後述する加熱処理を行うことによって得られる。
【0049】紡糸方法は特に制限はなく、従来の紡糸方
法を用いることができる。例えば、紡糸ノズルから紡糸
液を押し出す方法等が挙げられる。得られる繊維の長
径、及び直径等は前記紡糸液の粘度、ノズル径あるいは
紡糸ノズルから紡糸液を押し出す速度等を調整すること
によって任意に制御することができる。
【0050】紡糸して得られるゲル繊維の加熱処理は、
ゲル繊維からアルコールなどの有機溶媒、あるいは水な
どを除去して繊維の骨格を強くし、場合によっては、更
に結晶化させる温度で行われる。紡糸液から紡糸したま
まのゲル繊維はそのままでは十分な機械的強度を示さな
い。機械的強度はゲル繊維を加熱処理することで発現す
る。該加熱処理温度は得られる繊維に機械的強度を付与
できる温度範囲内であれば特に限定されない。加熱処理
温度が低い場合には繊維中にアルコール、水などが残存
するために十分な機械的強度が生じない。また、加熱処
理温度が高すぎると酸化スズの分解が進行したり、ある
いは繊維中の結晶粒が成長し過ぎ強度が低下するなどの
問題が生じる。第V族元素化合物を添加して酸化スズ繊
維の導電性を向上させるためにも加熱処理が必要であ
る。紡糸液から紡糸したままのゲル繊維はそのままでは
絶縁体であり、導電性はゲル繊維を加熱処理することで
発現する。該加熱処理温度は得られる繊維に導電性およ
び機械的強度を付与できる温度範囲内であれば特に限定
されない。一般に、加熱処理温度が低い場合には繊維中
にアルコールなどの有機物、水等が残存するため、また
第V族元素化合物が酸化物の形態にならず酸化スズと充
分に固溶しないため導電性が生じない。また加熱処理温
度が高すぎると、繊維中の第V族元素化合物が揮散し導
電性が低下する、酸化スズの分解が進行する、繊維中の
結晶粒が成長し過ぎ強度が低下するなどの問題を生じ
る。上記理由により、加熱処理温度として250℃〜1
550℃の温度範囲が好ましい。さらに好適には、50
0℃〜900℃の温度で加熱処理することが好ましい。
【0051】また、加熱処理は通常空気中で行われる
が、導電性の高い繊維、特に第V族元素酸化物を添加し
ないで導電性の高い繊維を得たいときには、窒素、アル
ゴン、水素、アルゴンと水素の混合ガスなどの還元性雰
囲気下や真空中で加熱処理を行うことができる。
【0052】酸化スズ繊維の比抵抗の下限は焼成雰囲気
にも依存し、空気中で焼成した場合は約1x10-2Ω・
cmであるが、還元雰囲気や不活性雰囲気中で焼成する
と、約1x10-4Ω・cmの比抵抗のものを得ることも
可能である。
【0053】また、第V族酸化物を含有させずに還元雰
囲気あるいは不活性雰囲気中で焼成することによって、
約1x10ー4Ω・cmの比抵抗を有する繊維を得ること
もできる。
【0054】更に、該加熱処理に際し、ゲル繊維中に存
在する水、アルコール等の揮発成分を、乾燥によって除
去することが良好な酸化スズ繊維を得るために望まし
い。かかる乾燥は、加熱処理と同時に行っても良いが、
加熱処理前に予め行う方が良好な繊維を得るためには好
ましい。これらの場合、乾燥温度は得られる繊維にクラ
ックが発生することを防止するために、出来るだけ低い
温度で行うことが好ましいが、溶媒に沸点の高いアルコ
ールを用いた場合には、余り低すぎると乾燥に長時間を
要し、効果的でない。一般的な乾燥温度は室温〜300
℃の範囲とすることが好ましい。
【0055】上記酸化スズ繊維を含有してなる鉛蓄電池
用正極活物質は、従来の公知な方法により作製すること
ができる。例えば、鉛粉に該酸化スズ繊維を添加して混
合する。その後水を加えて練った後、更に硫酸を徐々に
滴下して混練して正極活物質とする。その後、該正極活
物質を、鉛−カルシウム合金、あるいは鉛ーアンチモン
合金、鉛ーカルシウムースズ合金等の鉛合金製の集電体
を兼ねた格子に充填し、熟成、乾燥、化成工程を経て、
鉛蓄電池用正極板とする。この場合の酸化スズ繊維の含
有割合は、鉛粉に対して0.0006重量%から30重
量%が好ましく、更に好ましくは0.003重量から2
0重量%が好ましく、更には0.5重量から20重量%
が好ましい。酸化スズ繊維の含有割合が0.0006重
量%よりも小さいと、導電性付与の効果が見られないこ
とがある。また、30重量%を越えると導電性付与の効
果が飽和するだけでなく、電池反応に寄与しない充填材
料が増えることになり電池のエネルギー密度が低下する
ことになるので好ましくない。尚、原料として用いた鉛
粉は化成処理により最終的には二酸化鉛となるが、この
二酸化鉛には酸素欠陥等が存在するのは言うまでもな
く、また化成処理後の活物質中には一部硫酸鉛が存在す
ることもある。集電体となる格子は、公知のものが何等
制限なく用いられ、例えば鋳造格子、エキスパンド格
子、打ち抜き格子等が用いられる。
【0056】本発明の正極板において、前記活物質を充
填してなる集電体を兼ねた格子体から該活物質が脱落す
るのを抑制するためにガラス繊維等の不織布等の保護層
で格子体を押さえてもよい。開口率の大きな格子を用い
ると活物質の保持力が弱くなる場合が多く、前記保護層
は特に有効となる。
【0057】本発明の鉛蓄電池は、上記正極板と負極板
がセパレータを介して硫酸水溶液等の電解質を含む容器
中に対置させてなり、上記正極板以外は何等制限される
ことなく、公知の方法を採用することができる。正極と
負極の対数は目的に応じて適宜決定すればよい。また、
負極板としても、公知のものが何等制限なく用いられ、
負極活物質にカーボンや黒鉛等の粉末あるいは繊維、あ
るいは本発明の酸化スズ繊維を添加したものを集電体を
兼ねた格子に充填したものを採用してもよい。また、セ
パレータも公知のものが何等制限なく用いられ、例えば
ガラス繊維からなるマット状のもの、微多孔性のポリエ
チレン製等の高分子からなるもの等が用いられる。
【0058】電解質としては硫酸水溶液が用いられる
が、これを非流動化させるために電解質にシリカ等の無
機酸化物を添加する方法、あるいはセパレータの保液性
を高めてセパレータに電解質を含浸させる方法等を目的
に応じて採用することができる。
【0059】容器も、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレ
ン樹脂、ABS樹脂、アクリロニトリル・スチレン系樹
脂製等の公知のものが何等制限なく用いることができ
る。
【0060】
【発明の効果】本発明に用いる酸化スズ繊維は、硫酸水
溶液中で充電時のような貴な電位を長時間印加しても安
定である。したがって、該酸化スズ繊維を酸化鉛に含有
させた活物質を充填してなる本発明の正極板及びこれを
用いた鉛蓄電池は、添加量が少量でも活物質の利用効率
が高く、過放電後も充電が可能となり、更にその性能を
長期に渡って維持することができる。更に該繊維は工業
的規模での製造が可能で、しかも物性の再現性に優れる
ので、性能の安定した蓄電池を供給することが可能とな
り、その工業的価値はきわめて高い。
【0061】
【実施例】本発明を以下実施例によって具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって限定されるもの
ではない。また、本発明の酸化スズ繊維の比抵抗は、そ
の抵抗を繊維状のまま直接測ったものであるが、他の酸
化スズ粉末やチタン酸カリウムウイスカーに酸化スズを
被覆したものは長径が短すぎるために抵抗を直接測定す
ることができないので、加圧成形して作製したペレット
の形で測定した。
【0062】実施例1 塩化第一スズ(SnCl2)7.69g(0.041モ
ル)、三塩化アンチモン (SbCl3)1g(0.004モル)をメタノール1
00ml(2.47モル)に溶解させ均一で透明な溶液
にした。その後、金属スズ1.45g(0.012モ
ル)を添加し、溶液をリフラックスさせて溶解させた
後、テトラメトキシシラン1.14g(0.0075モ
ル)を添加溶解させ均一な溶液を得た。この溶液を濃縮
し、高粘性のゾルからなる紡糸液とした。この紡糸液を
圧力を加えてノズルから押し出し相対湿度55%の雰囲
気下でドラムに連続的に巻き取った。得られたファイバ
−を室温で1日放置後、2℃/minの速度で120℃
まで昇温しその温度で30分間保持した。その後10℃
/minの速度で500℃まで昇温しその温度で30分
間保持して加熱処理をおこなった。得られたファイバー
は平均30μmの直径を有し、ケイ光X線分析により、
アンチモン、シリカが仕込組成通りファイバー中に存在
していることが確認された。また、X線回折の結果、酸
化スズのピークを有すること、アンチモンはその酸化物
などのピークはみられず酸化スズ中に固溶していること
が確認された。得られたファイバ−の比抵抗は平均1Ω
・cmであった。また、ファイバーの引っ張り強度は平
均40MPaであった。
【0063】次に、この酸化スズ繊維30mgを鉛板を
用いて挟み込み、これを正極としてガラスマットセパレ
ーターを用いて容器中に保持した。対極に鉛板を使用
し、正極の両側に設置した。電解液には比重1.28の
硫酸水溶液を使用し、これを正負極に対して大過剰にな
るように容器中に入れた。この様にして得た組電池を1
0mAの充電電流で24時間充電を行い、酸化スズ繊維
を強制的に充電電位下においた。その結果、酸化スズ繊
維は硫酸水溶液中にほとんど溶解せず、更に形状を保持
しており、充電電位下において安定であることが確認さ
れた。
【0064】次に、この酸化スズ繊維0.077gを鉛
粉2.5g、5.0Mの硫酸0.2ml、蒸留水0.4
mlとを混練してペーストを作製した。酸化スズ繊維を
添加しないこと以外は上記と同様に、ペーストを作製し
た。グリッド上に上記ペースト0.36gをそれぞれ塗
布した後、蒸留水で洗浄し60℃で15時間乾燥した。
次に、酸化スズ繊維を添加したペーストを用いた極板を
正極、酸化スズ繊維を添加していないペーストを用いた
極板を負極とし、ガラスマットセパレーターを介して正
極の両側に負極が対するように容器中に設置した。正負
極板はセパレーターで支持した。上記正負極板を、1.
0M硫酸水溶液中、1/5CAで50時間化成処理した
(正極の理論容量の1000%)。次に、この正負極板
を2.5Mの硫酸水溶液の入った容器に組み込み、正負
極間電圧が1.75Vになるまで1/5CAの定電流で
放電を行った。充電は、正負極間電圧が2.4Vに達す
るまでは1/5CAの電流による定電流充電を行い、そ
れ以降は2.4Vの定電圧充電を行った。充電時間は定
電流、定電圧充電双方を加えて10時間行った。そのと
きの、活物質の初回利用率は60.9%であった。10
0サイクル後の利用率は56.2%であった。
【0065】実施例2 塩化第一スズ(SnCl2)4.33g(0.023モ
ル)、三塩化アンチモン(SbCl3)0.3g(0.
0013モル)をメタノール100ml(2.47モ
ル)に溶解させ均一で透明な溶液にした。その後、金属
スズ3.55g(0.030モル)を添加し、溶液をリ
フラックスさせて溶解させた後、塩化アルミニウム六水
和物(AlCl3・6H2O)0.68g(0.0028
モル)を添加溶解させ均一な溶液を得た後濃縮し、高粘
性のゾルからなる紡糸液とした。この紡糸液に圧力を加
えてノズルから押しだし相対湿度55%の雰囲気下でド
ラムに連続的に巻取った。得られたファイバーを室温で
1日放置後、2℃/minの速度で120℃まで昇温し
その温度で30分間保持した。その後10℃/minの
速度で800℃まで昇温しその温度で2時間保持して加
熱処理をおこなった。得られたファイバーは平均30μ
mの直径を有し、ケイ光X線分析により、アンチモン、
アルミニウムが仕込組成通りファイバー中に存在してい
ることが確認された。また、X線回折の結果、酸化スズ
のピークと酸化アルミニウムの弱いピークが見られた
が、酸化アンチモンなどのピークは見られず酸化アンチ
モンは酸化スズ中に固溶していることが確認された。得
られたファイバ−の比抵抗は平均10Ω・cmであり、
引張強度は平均35MPaであった。
【0066】次に、この酸化スズ繊維30mgを鉛板を
用いて挟み込み、これを正極としてガラスマットセパレ
ーターを用いて容器中に保持した。対極に鉛板を使用
し、正極の両側に設置した。電解液には比重1.28の
硫酸水溶液を使用し、これを正負極に対して大過剰にな
るように容器中に入れた。この様にして得た組電池を1
0mAの充電電流で24時間充電を行い、酸化スズ繊維
を強制的に充電電位下においた。その結果、酸化スズ繊
維は硫酸水溶液中にほとんど溶解せず、更に形状を保持
しており、充電電位下において安定であることが確認さ
れた。
【0067】次に、この酸化スズ繊維0.077gを鉛
粉2.5g、5.0Mの硫酸0.2ml、蒸留水0.4
mlとを混練してペーストを作製した。酸化スズ繊維を
添加しないこと以外は上記と同様に、ペーストを作製し
た。グリッド上に上記ペースト0.36gをそれぞれ塗
布した後、蒸留水で洗浄し60℃で15時間乾燥した。
次に、酸化スズ繊維を添加したペーストを用いた極板を
正極、酸化スズ繊維を添加していないペーストを用いた
極板を負極とし、ガラスマットセパレーターを介して正
極の両側に負極が対するように容器中に設置した。正負
極板はセパレーターで支持した。上記正負極板を、1.
0M硫酸水溶液中、1/5CAで50時間化成処理した
(正極の理論容量の1000%)。次に、この正負極板
を2.5Mの硫酸水溶液の入った容器に組み込み、正負
極間電圧が1.75Vになるまで1/5CAの定電流で
放電を行った。充電は、正負極間電圧が2.4Vに達す
るまでは1/5CAの電流による定電流充電を行い、そ
れ以降は2.4Vの定電圧充電を行った。充電時間は定
電流、定電圧充電双方を加えて10時間行った。そのと
きの、活物質の初回利用率は57.5%であった。10
0サイクル後の利用率は52.0%であった。
【0068】実施例3 塩化第一スズ(SnCl2)8.08g(0.043モ
ル)、金属スズ1.20g(0.010モル)を用いる
こと、塩化アルミニウムの代わりに、テトラエトキシゲ
ルマニウム[Ge(OC254]3.29g(0.0
13モル)を添加すること以外は実施例2と同様に行っ
た。得られたファイバ−を室温で1日放置後、2℃/m
inの速度で120℃まで昇温しその温度で30分間保
持した。その後10℃/minの速度で800℃まで昇
温しその温度で2時間保持して加熱処理をおこなった。
得られたファイバーは平均30μmの直径を有し、ケイ
光X線分析により、アンチモン、ゲルマニウムが仕込組
成通りファイバー中に存在していることが確認された。
また、X線回折の結果、酸化スズのピークを有し、わず
かに酸化ゲルマニウムのピークが観察された。また、ア
ンチモンの酸化物などのピークはみられなかった。これ
は、酸化ゲルマニウムは大部分酸化スズに固溶し、一部
が酸化ゲルマニウムとしても存在しており、酸化アンチ
モンは酸化スズ中に固溶していることが確認された。得
られたファイバ−の比抵抗は平均2Ω・cmであり、引
張強度は平均150MPaであった。
【0069】次に、この酸化スズ繊維30mgを鉛板を
用いて挟み込み、これを正極としてガラスマットセパレ
ーターを用いて容器中に保持した。対極に鉛板を使用
し、正極の両側に設置した。電解液には比重1.28の
硫酸水溶液を使用し、これを正負極に対して大過剰にな
るように容器中に入れた。この様にして得た組電池を1
0mAの充電電流で24時間充電を行い、酸化スズ繊維
を強制的に充電電位下においた。その結果、酸化スズ繊
維は硫酸水溶液中にほとんど溶解せず、更に形状を保持
しており、充電電位下において安定であることが確認さ
れた。
【0070】次に、この酸化スズ繊維0.077gを鉛
粉2.5g、5.0Mの硫酸0.2ml、蒸留水0.4
mlとを混練してペーストを作製した。酸化スズ繊維を
添加しないこと以外は上記と同様に、ペーストを作製し
た。グリッド上に上記ペースト0.36gをそれぞれ塗
布した後、蒸留水で洗浄し60℃で15時間乾燥した。
次に、酸化スズ繊維を添加したペーストを用いた極板を
正極、酸化スズ繊維を添加していないペーストを用いた
極板を負極とし、ガラスマットセパレーターを介して正
極の両側に負極が対するように容器中に設置した。正負
極板はセパレーターで支持した。上記正負極板を、1.
0M硫酸水溶液中、1/5CAで50時間化成処理した
(正極の理論容量の1000%)。次に、この正負極板
を2.5Mの硫酸水溶液の入った容器に組み込み、正負
極間電圧が1.75Vになるまで1/5CAの定電流で
放電を行った。充電は、正負極間電圧が2.4Vに達す
るまでは1/5CAの電流による定電流充電を行い、そ
れ以降は2.4Vの定電圧充電を行った。充電時間は定
電流、定電圧充電双方を加えて10時間行った。そのと
きの、活物質の初回利用率は60.8%であった。10
0サイクル後の利用率は56.0%であった。
【0071】実施例4 塩化第一スズ(SnCl2)5.61g(0.030モ
ル)、金属スズ2.75g(0.023モル)を用いる
こと、塩化アルミニウムの代わりに、オキシ塩化ジルコ
ニウム八水和物(ZrOCl2・8H2O)0.90g
(0.0028モル)を添加すること以外は実施例2と
同様に行った。得られたファイバ−を室温で1日放置
後、2℃/minの速度で120℃まで昇温しその温度
で30分間保持した。その後10℃/minの速度で8
00℃まで昇温しその温度で2時間保持して加熱処理を
おこなった。得られたファイバーは平均30μmの直径
を有し、ケイ光X線分析により、アンチモン、ジルコニ
ウムが仕込組成通りファイバー中に存在していることが
確認された。また、X線回折の結果、酸化スズのピーク
と、単斜晶系と斜方晶系の酸化ジルコニウムのピークが
みられたが、アンチモンはその酸化物などのピークはみ
られず酸化アンチモンは酸化スズ中に固溶していること
が確認された。得られたファイバ−の比抵抗は平均7Ω
・cmであり、引張強度は平均35MPaであった。
【0072】次に、この酸化スズ繊維30mgを鉛板を
用いて挟み込み、これを正極としてガラスマットセパレ
ーターを用いて容器中に保持した。対極に鉛板を使用
し、正極の両側に設置した。電解液には比重1.28の
硫酸水溶液を使用し、これを正負極に対して大過剰にな
るように容器中に入れた。この様にして得た組電池を1
0mAの充電電流で24時間充電を行い、酸化スズ繊維
を強制的に充電電位下においた。その結果、酸化スズ繊
維は硫酸水溶液中にほとんど溶解せず、更に形状を保持
しており、充電電位下において安定であることが確認さ
れた。
【0073】次に、この酸化スズ繊維0.077gを鉛
粉2.5g、5.0Mの硫酸0.2ml、蒸留水0.4
mlとを混練してペーストを作製した。酸化スズ繊維を
添加しないこと以外は上記と同様に、ペーストを作製し
た。グリッド上に上記ペースト0.36gをそれぞれ塗
布した後、蒸留水で洗浄し60℃で15時間乾燥した。
次に、酸化スズ繊維を添加したペーストを用いた極板を
正極、酸化スズ繊維を添加していないペーストを用いた
極板を負極とし、ガラスマットセパレーターを介して正
極の両側に負極が対するように容器中に設置した。正負
極板はセパレーターで支持した。上記正負極板を、1.
0M硫酸水溶液中、1/5CAで50時間化成処理した
(正極の理論容量の1000%)。次に、この正負極板
を2.5Mの硫酸水溶液の入った容器に組み込み、正負
極間電圧が1.75Vになるまで1/5CAの定電流で
放電を行った。充電は、正負極間電圧が2.4Vに達す
るまでは1/5CAの電流による定電流充電を行い、そ
れ以降は2.4Vの定電圧充電を行った。充電時間は定
電流、定電圧充電双方を加えて10時間行った。そのと
きの、活物質の初回利用率は58.5%であった。10
0サイクル後の利用率は53.4%であった。
【0074】実施例5 塩化第一スズ(SnCl2)8.08g(0.043モ
ル)、金属スズ1.20g(0.010モル)を用いる
こと、塩化アルミニウムの代わりに、テトライソプロポ
キシチタン[Ti(O−i−C374]0.79g
(0.0028モル)を添加すること以外は実施例2と
同様に行った。得られたファイバ−を室温で1日放置
後、2℃/minの速度で120℃まで昇温しその温度
で30分間保持した。その後10℃/minの速度で8
00℃まで昇温しその温度で2時間間保持して加熱処理
をおこなった。得られたファイバーは平均30μmの直
径を有し、ケイ光X線分析により、アンチモン、チタン
が仕込組成通りファイバー中に存在していることが確認
された。また、X線回折の結果、酸化スズのピークはみ
られたが、アンチモンおよび酸化チタンの酸化物などの
ピークはみられず、酸化アンチモンおよび酸化チタンが
酸化スズ中に固溶していることが示唆された。得られた
ファイバ−の比抵抗は平均32Ω・cmであり、引張強
度は平均50MPaであった。
【0075】次に、この酸化スズ繊維30mgを鉛板を
用いて挟み込み、これを正極としてガラスマットセパレ
ーターを用いて容器中に保持した。対極に鉛板を使用
し、正極の両側に設置した。電解液には比重1.28の
硫酸水溶液を使用し、これを正負極に対して大過剰にな
るように容器中に入れた。この様にして得た組電池を1
0mAの充電電流で24時間充電を行い、酸化スズ繊維
を強制的に充電電位下においた。その結果、酸化スズ繊
維は硫酸水溶液中にほとんど溶解せず、更に形状を保持
しており、充電電位下において安定であることが確認さ
れた。
【0076】次に、この酸化スズ繊維0.077gを鉛
粉2.5g、5.0Mの硫酸0.2ml、蒸留水0.4
mlとを混練してペーストを作製した。酸化スズ繊維を
添加しないこと以外は上記と同様に、ペーストを作製し
た。グリッド上に上記ペースト0.36gをそれぞれ塗
布した後、蒸留水で洗浄し60℃で15時間乾燥した。
次に、酸化スズ繊維を添加したペーストを用いた極板を
正極、酸化スズ繊維を添加していないペーストを用いた
極板を負極とし、ガラスマットセパレーターを介して正
極の両側に負極が対するように容器中に設置した。正負
極板はセパレーターで支持した。上記正負極板を、1.
0M硫酸水溶液中、1/5CAで50時間化成処理した
(正極の理論容量の1000%)。次に、この正負極板
を2.5Mの硫酸水溶液の入った容器に組み込み、正負
極間電圧が1.75Vになるまで1/5CAの定電流で
放電を行った。充電は、正負極間電圧が2.4Vに達す
るまでは1/5CAの電流による定電流充電を行い、そ
れ以降は2.4Vの定電圧充電を行った。充電時間は定
電流、定電圧充電双方を加えて10時間行った。そのと
きの、活物質の初回利用率は57.0%であった。10
0サイクル後の利用率は53.0%であった。
【0077】比較例1 酸化スズ被覆チタン酸カリウムウィスカー(大塚化学
製、商品名 WK−204、比抵抗10〜100Ω・c
m)0.2gを、3mol/dm3の硫酸水溶液3ml
が満たされたサンプル瓶に入れた。このサンプル瓶を、
水温が70℃に保たれ且つ1.3Hzで並進運動するイ
ンキュベータ(大洋科学工業製M−100N)に入れて
振蕩し、成分の溶出量をICPにより分析した。その結
果チタンが多量に溶解しており、10日後、20日後、
30日後の溶出量はそれぞれ3、000ppm、3、5
00ppm、3、700ppmであった。また、スズの
溶出量もそれぞれ25ppm、28ppm、30ppm
であり、30日後の比抵抗は平均400Ω・cmと導電
性が低下していた。即ち、鉛蓄電池の電解液である高温
の硫酸水溶液中では、長期にわたって安定性を維持する
ことができず、鉛蓄電池用充填材料として適していなか
った。尚、本ウィスカーは、目視では粉末状であり、
次に、この酸化スズ被覆チタン酸カリウムウィスカー3
0mgを鉛板を用いて挟み込み、これを正極としてガラ
スマットセパレーターを用いて容器中に保持した。対極
に鉛板を使用し、正極の両側に設置した。電解液には比
重1.28の硫酸水溶液を使用し、これを正負極に対し
て大過剰になるように容器中に入れた。この様にして得
た組電池を10mAの充電電流で24時間充電を行い、
酸化スズ繊維を強制的に充電電位下においた。その結
果、酸化スズ被覆チタン酸カリウムウィスカーは硫酸水
溶液中にほとんど溶解しており、一部繊維の断片が試験
容器の底に沈澱していた。
【0078】比較例2 酸化スズ被覆酸化チタン粉末(三菱マテリアル製、商品
名W−1、比抵抗5〜20Ω・cm)0.2gを、3m
ol/dm3の硫酸水溶液3mlが満たされたサンプル
瓶に入れた。このサンプル瓶を、水温が70℃に保たれ
且つ1.3Hzで並進運動するインキュベータ(大洋科
学工業製M−100N)に入れて振蕩し、成分の溶出量
をICPにより分析した。その結果、スズの10日後、
20日後、30日後の溶出量はそれぞれ5ppm、6p
pm、6ppmであり、30日後の比抵抗は平均50Ω
・cmと高くなっていた。即ち、鉛蓄電池の電解液であ
る高温の硫酸水溶液中では、長期にわたって安定性を維
持することができず、鉛蓄電池用充填材料として適して
いなかった。
【0079】次に、この酸化スズ被覆チタン粉末0.0
77gを鉛粉2.5g、5.0Mの硫酸0.2ml、蒸
留水0.4mlとを混練してペーストを作製した。酸化
スズ被覆酸化チタン粉末を添加しないこと以外は上記と
同様に、ペーストを作製した。グリッド上に上記ペース
ト0.36gをそれぞれ塗布した後、蒸留水で洗浄し6
0℃で15時間乾燥した。次に、酸化スズ被覆酸化チタ
ン粉末を添加したペーストを用いた極板を正極、酸化ス
ズ被覆酸化チタン粉末を添加していないペーストを用い
た極板を負極とし、ガラスマットセパレーターを介して
正極の両側に負極が対するように容器中に設置した。正
負極板はセパレーターで支持した。上記正負極板を、
1.0M硫酸水溶液中、1/5CAで50時間化成処理
した(正極の理論容量の1000%)。次に、この正負
極板を2.5Mの硫酸水溶液の入った容器に組み込み、
正負極間電圧が1.75Vになるまで1/5CAの定電
流で放電を行った。充電は、正負極間電圧が2.4Vに
達するまでは1/5CAの電流による定電流充電を行
い、それ以降は2.4Vの定電圧充電を行った。充電時
間は定電流、定電圧充電双方を加えて10時間行った。
そのときの、活物質の初回利用率は46.0%であっ
た。100サイクル後の利用率は30.8%であった。
【0080】次に、この酸化スズ被覆酸化チタン粉末3
0mgを鉛板を用いて挟み込み、これを正極としてガラ
スマットセパレーターを用いて容器中に保持した。対極
に鉛板を使用し、正極の両側に設置した。電解液には比
重1.28の硫酸水溶液を使用し、これを正負極に対し
て大過剰になるように容器中に入れた。この様にして得
た組電池を10mAの充電電流で24時間充電を行い、
酸化スズ繊維を強制的に充電電位下においた。その結
果、酸化スズ被覆酸化チタン粉末は硫酸水溶液中にほと
んど溶解してしまい、試験後にその存在を確認すること
ができなかった。
【0081】比較例3 テトラエトキシシランを加えないこと以外は、実施例1
と同様に行なった。得られたファイバーは平均30μm
の直径を有し、ケイ光X線分析により、アンチモンが仕
込組成通りファイバー中に存在していることが確認され
た。また、X線回折の結果、酸化スズのピークを有する
こと、アンチモンはその酸化物などのピークはみられず
酸化スズ中に固溶していることが確認された。得られた
ファイバ−の比抵抗は平均0.8Ω・cmであった。ま
た、ファイバーの引っ張り強度は平均6MPaであっ
た。
【0082】次に、この酸化スズ繊維30mgを鉛板を
用いて挟み込み、これを正極としてガラスマットセパレ
ーターを用いて容器中に保持した。対極に鉛板を使用
し、正極の両側に設置した。電解液には比重1.28の
硫酸水溶液を使用し、これを正負極に対して大過剰にな
るように容器中に入れた。この様にして得た組電池を1
0mAの充電電流で24時間充電を行い、酸化スズ繊維
を強制的に充電電位下においた。その結果、酸化スズ繊
維は繊維形状を保持しておらず、その存在を認めること
ができなかった。
【0083】次に、この酸化スズ繊維0.077gを鉛
粉2.5g、5.0Mの硫酸0.2ml、蒸留水0.4
mlとを混練してペーストを作製した。酸化スズ繊維を
添加しないこと以外は上記と同様に、ペーストを作製し
た。グリッド上に上記ペースト0.36gをそれぞれ塗
布した後、蒸留水で洗浄し60℃で15時間乾燥した。
次に、酸化スズ繊維を添加したペーストを用いた極板を
正極、酸化スズ繊維を添加していないペーストを用いた
極板を負極とし、ガラスマットセパレーターを介して正
極の両側に負極が対するように容器中に設置した。正負
極板はセパレーターで支持した。上記正負極板を、1.
0M硫酸水溶液中、1/5CAで50時間化成処理した
(正極の理論容量の1000%)。次に、この正負極板
を2.5Mの硫酸水溶液の入った容器に組み込み、正負
極間電圧が1.75Vになるまで1/5CAの定電流で
放電を行った。充電は、正負極間電圧が2.4Vに達す
るまでは1/5CAの電流による定電流充電を行い、そ
れ以降は2.4Vの定電圧充電を行った。充電時間は定
電流、定電圧充電双方を加えて10時間行った。そのと
きの、活物質の初回利用率は55.2%であった。10
0サイクル後の利用率は41.5%であった。
【0084】比較例4 酸化スズ繊維を添加しないで鉛粉2.5g、5.0Mの
硫酸0.2ml、蒸留水0.4mlとを混練してペース
トを作製した。グリッド上に上記ペースト0.36gを
それぞれ塗布した後、蒸留水で洗浄し60℃で15時間
乾燥した。次に、同極板を容器中にガラスマットセパレ
ーターを介して3枚対持させ、中央の極板を正極、両側
の極板を負極とした。正負極板はセパレーターで支持し
た。上記正負極板を、1.0M硫酸水溶液中、1/5C
Aで50時間化成処理した(正極の理論容量の1000
%)。次に、この正負極板を2.5Mの硫酸水溶液の入
った容器に組み込み、正負極間電圧が1.75Vになる
まで1/5CAの定電流で放電を行った。充電は、正負
極間電圧が2.4Vに達するまでは1/5CAの電流に
よる定電流充電を行い、それ以降は2.4Vの定電圧充
電を行った。充電時間は定電流、定電圧充電双方を加え
て10時間行った。そのときの、活物質の初回利用率は
45.0%であった。100サイクル後の利用率は2
5.0%であった。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム、酸化ア
    ルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、及び酸化
    ハフニウムよりなる群から選ばれた少なくとも一種の金
    属酸化物、並びに酸化スズを主構成成分とする酸化スズ
    繊維を、酸化鉛中に含有してなる電極活物質が集電体に
    充填されていることを特徴とする正極板。
  2. 【請求項2】 酸化スズ繊維が酸化スズ、周期律表第V
    族元素の酸化物、並びに酸化ケイ素、酸化ゲルマニウ
    ム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタ
    ン、及び酸化ハフニウムよりなる群から選ばれた少なく
    とも一種の金属酸化物を主構成成分とする酸化スズ繊維
    である請求項1記載の正極板。
  3. 【請求項3】 金属酸化物が酸化ケイ素である請求項1
    又は2記載の正極板。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか記載の正極板と
    負極板がセパレータを介して電解液を含む容器中に対置
    されていることを特徴とする鉛蓄電池。
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