JPH08337642A - 高酸価ラクトン重合体およびその製造方法 - Google Patents

高酸価ラクトン重合体およびその製造方法

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JPH08337642A
JPH08337642A JP16796395A JP16796395A JPH08337642A JP H08337642 A JPH08337642 A JP H08337642A JP 16796395 A JP16796395 A JP 16796395A JP 16796395 A JP16796395 A JP 16796395A JP H08337642 A JPH08337642 A JP H08337642A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 粘着剤、接着剤、硬化物材料、ポリマー可塑
剤、ポリアミド樹脂改質剤、相溶化剤、塗料、アルカリ
水分散性バインダー、インキ、生分解性用途および医療
用途等広範囲に利用できる高酸価ラクトン重合体を提供
する。 【構成】 下記一般式(1)で表され、重合体1g当り
のカルボキシル基モル数が1×10-4〜5×10-2mo
l、分子当りのカルボキシル基数が10〜15,000
個、かつ数平均分子量が20,000〜2,000,0
00の範囲であることを特徴とする高酸価ラクトン重合
体等およびそれらの製造方法。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は多分岐型で、酸価の高い
ラクトン重合体に関する。更に詳しくは、粘着剤、接着
剤、硬化物材料、ポリマー可塑剤、ポリアミド樹脂改質
剤、相溶化剤、塗料、アルカリ水分散性バインダー、イ
ンキ、生分解性用途および医療用途等広範囲に利用でき
る高酸価ラクトン重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明者は、分子内に10〜5,000
個の水酸基を有するポリマー(A)を、開始剤に用い、
ラクトン単量体を付加重合することで、柔軟で加工性に
富み、かつ分子内に多数の水酸基を有する高水酸基価ラ
クトン重合体(B)を開発した。このものは、粘着剤、
接着剤、塗料、硬化成形体材料、ポリマー可塑剤等の様
々な用途に利用できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の用途の中には、ラクトン重合体末端が水酸基である故
に、機能の点において改善の余地が残されているものが
ある。そのような用途の具体例を挙げると、エポキシ樹
脂の可撓性や低収縮性を付与する目的で添加する際に、
末端が水酸基である場合は、エポキシ基との反応が遅
く、十分な可撓性や低収縮性が発現しない場合があっ
た。また、塗料に用いる場合では、末端が水酸基である
場合には、アルカリ水に分散性が悪いため、水系塗料に
は利用できない場合も多かった。更に、ポリマー可塑剤
として、ポリエステルやポリカーボネート等に溶融混練
する際に、エステル交換反応が発生し、成形物の機械的
強度が低下することもあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は高水酸基価ラ
クトン重合体(B)の有する前記課題を解決するために
鋭意検討した結果、高水酸基価ラクトン重合体(B)の
水酸基の全部または一部を酸無水物と反応させることに
より、末端にカルボキシル基を導入することに成功し
た。これにより、前記の問題点は、すべて解決されたば
かりでなく、末端にカルボキシル基を導入したことによ
り、例えば金属同士のホットメルト接着剤として用いる
と、接着強度が格段に向上したり、ポリアミド樹脂の改
質剤として用いると着色防止、熱安定性および成形加工
性が向上するという効果も見いだされた。
【0005】すなわち本発明は、下記一般式(1)で表
され、重合体1g当りのカルボキシル基モル数が1×1
-4〜5×10-2mol、分子当りのカルボキシル基数
が10〜15,000個、かつ数平均分子量が20,0
00〜2,000,000の範囲であることを特徴とす
る高酸価ラクトン重合体を提供するものである。また、
下記一般式(2)で表され、重合体1g当りのカルボキ
シル基モル数が1×10-4〜5×10-2mol、分子当
りのカルボキシル基数が10〜15,000個、かつ数
平均分子量が20,000〜2,000,000の範囲
であることを特徴とする高酸価ラクトン重合体を提供す
るものである。さらに、分子内に10〜5,000個の
水酸基を有する下記一般式(3)で表される高水酸基価
ラクトン重合体の水酸基の全部または一部を酸無水物と
反応させることを特徴とする一般式(1)で表される前
記高酸価ラクトン重合体の製造方法を提供するものであ
る。加えて、分子内に10〜1,000個のカルボキシ
ル基を有する下記一般式(4)で表されるポリマー0.
1〜30重量%、およびラクトン単量体99.9〜70
重量%(両者の合計は100重量%)からなる混合物1
00重量部に対して酸触媒0.01〜5重量部を溶融混
練することを特徴とする一般式(2)で表される前記高
酸価ラクトン重合体の製造方法を提供するものである。
以下、詳細に本発明を説明する。
【0006】
【化5】
【0007】
【化6】
【0008】
【化7】
【0009】
【化8】
【0010】本発明の一般式(1)で表される高酸価ラ
クトン重合体(以下、高酸価ラクトン重合体(C1)と
略す。)は、基本的に分子内に10〜5,000個の水
酸基を有するポリマー(A)を開始剤とし、ラクトン単
量体を付加重合することにより得られる高水酸基価ラク
トン重合体(B)の末端水酸基と酸無水物との反応によ
り製造することができる。また、本発明の一般式(2)
で表される高酸価ラクトン重合体(以下、高酸価ラクト
ン重合体(C2)と略す。)は、分子内に10〜1,0
00個のカルボキシル基を有するポリマーを開始剤と
し、ラクトン単量体を付加重合する方法により、直接製
造することができる。
【0011】本発明の高酸価ラクトン重合体(C1)お
よび(C2)の構造は一般式(1)たは(2)で表され
る。両式中のLは水酸基およびカルボキシル基を有しな
い任意の単量体の構造単位であり、一種類とは限らな
い。具体的には、スチレン等の芳香族単量体、メチルメ
タクリレート、アクリロニトリル、アクリル酸等のアク
リル系単量体、ブタジエン等のジエン単量体、酢酸ビニ
ル、塩化ビニル等のビニル単量体、エチレン等のオレフ
ィン単量体およびフェニレンオキシド等が例示できる。
【0012】一般式(1)中のMは、分子中に水酸基を
有する単量体残基であり、一種類とは限らない。具体的
には、酢酸ビニルのケン化により生成するビニルアルコ
ール単量体残基、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート単量体残基、2−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート単量体残基、4−ヒドロキシブチルビニルエ
ーテル単量体残基などが例示できる。
【0013】一般式(2)中のTは、分子中にカルボキ
シル基を有する単量体残基であり、一種類とは限らな
い。具体的には、(メタ)アクリル酸単量体残基、無水
マレイン酸単量体残基などが例示できる。
【0014】式中のa、b、c、d、e、f、n1およ
びn2は平均重合度を示し、0≦a≦1,000、10
≦b≦5,000、0≦c≦1,000、0≦d≦1,
000、10≦e≦1,000、0≦f≦200、2≦
1≦30および2≦n2≦30の範囲である。上記の範
囲は、樹脂1g当りのカルボキシル基モル数、分子当た
りのカルボキシル基数および数平均分子量が前記の規定
範囲に含まれることを前提とし設定される。本発明の高
酸価ラクトン重合体(C1)の製造原料である分子内に
10〜5,000の水酸基を有するポリマー(A)が完
全ケン化もしくは部分ケン化ポリビニルアルコールであ
る場合のa、b、cおよびn1の範囲としては、0≦a
≦500、100≦b≦5,000、0≦c≦2,00
0、および2≦n1≦30の範囲が上記規定範囲に含ま
れ得る。
【0015】両式中のR1は炭素数2〜10のアルキレ
ン基であり、具体的にはエチレン基、ブチレン基、ペン
チレン基、メチルカペンチレン基などが例示できるが、
工業的に最も有益なε−カプロラクトンの場合は、ペン
チレン基に対応する。
【0016】一般式(1)中のPは、水素原子(H)ま
たは−OCO−R2−(COOH)sで表される置換基か
ら任意に選択される。上記R2は炭素数2〜20で(s
+1)価の炭化水素残基を示し、sは1〜3の整数であ
る。上記Pの構造は、高水酸基価ラクトン重合体(B)
中の水酸基に対して反応に用いる酸無水物の種類および
添加割合により制御できる。すなわち、酸無水物の種類
により、R2およびsが異なる。例えば無水コハク酸で
はR2はCH2CH2、s=1、無水マレイン酸ではR2
CH=CH、s=1、無水フタル酸ではR2はC64
s=1、ベンゼントリカルボン酸モノ無水物ではR2
63、s=2およびベンゼンテトラカルボン酸無水物
(ベンゼンテトラカルボン酸ジ無水物の水和)ではR2
はC62、s=3となる。また酸無水物の添加割合を調
整することにより、水素原子(H)と−OCO−R2
(COOH)Sの割合を制御できる。
【0017】本発明の高酸価ラクトン重合体(樹脂)1
g当りのカルボキシル基モル数は1×10-4〜5×10
-2molであり、好ましくは5×10-4〜2×10-2
更に好ましくは、8×10-4〜1×10-2molの範囲
である。上記カルボキシル基モル数が1×10-4mol
未満では、カルボキシル基量が少なく、接着剤、硬化物
材料、塗料等の用途でカルボキシル基があるためのメリ
ットが失われ、逆に5×10-2molを上回と、ラクト
ン重合体としての性質、特に柔軟性や加工性がなくな
り、上記用途に使用困難となるため好ましくない。上記
カルボキシル基モル数は、理論値を計算によって求める
か、試料をアセトン等の溶媒に溶解し、標準水酸化ナト
リウム水溶液(あるいはアルコール溶液)を用い、滴定
する方法により容易に測定できる。
【0018】本発明の高酸価ラクトン重合体(C1)の
分子当りのカルボキシル基数は、基本的に使用する高水
酸基価ラクトン重合体(B)中の水酸基数の1〜3倍で
あり、分子内にカルボキシル基を有する原料ポリマーを
用いる高酸価ラクトン重合体(C2)の場合は、上記原
料ポリマー中のカルボキシル基数と等しく10〜15,
000であり、好ましくは50〜10,000更に好ま
しくは100〜5,000の範囲である。高酸価ラクト
ン重合体(C1)または(C2)において、上記カルボキ
シル基数が10未満では、カルボキシル基量が少なく、
接着剤、硬化物材料、塗料等の用途で、カルボキシル基
があるためのメリットが失われ、逆に15,000を上
回るポリマーは現状製造が困難であることから意味が無
く好ましくない。また、本発明の高酸価ラクトン重合体
(C1)または(C2)の数平均分子量は20,000〜
2,000,000であり、好ましくは50,000〜
1,000,000更に好ましくは100,000〜5
00,000の範囲である。上記分子量が20,000
未満の場合は、カルボキシル基量とラクトン単量体の付
加量のバランスがくずれ、カルボキシル基量が少なくな
るか、もしくはラクトン重合体としての性質、特に柔軟
性や成形加工性が失われるため好ましくなく、逆に2,
000,000を上回る場合には、粘度が高くなり過ぎ
るため成形加工性が低下する等の問題が生じ好ましくな
い。なお、上記数平均分子量は、公知の数平均分子量の
測定方法を用いることにより測定でき、特に、ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いる方
法が最も簡便で好ましく用いられる。
【0019】本発明の高酸価ラクトン重合体は、ラクト
ン成分鎖の数や重合度およびカルボキシル基の数等によ
り、無色透明の液体から透明粘土状、ワックス状、白色
結晶固体等様々の形態を有し、反応性、成形加工性等の
製品の物性が異なる。従って、用途に合わせて、カルボ
キシル基の数、組成、構造を原料や仕込組成および反応
条件の制御により調整することが望ましい。
【0020】また本発明の高酸価ラクトン重合体
(C1)または(C2)は、用途によって有機溶媒、重合
性モノマー、硬化剤、触媒、安定剤等の任意の物質と混
合して使用することも問題なくできる。更に用途によっ
て、グリシジル(メタ)アクリレート等の不飽和エポキ
シ化合物、アリルアルコールや2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート等の不飽和アルコール、三級アミ
ン類や金属イオン等の酸変性剤を適量添加することによ
り全部あるいは一部のカルボキシル基を変性することも
できる。
【0021】以下、本発明の高酸価ラクトン重合体(C
1)または(C2)の製造方法を更に詳細に説明する。高
酸価ラクトン重合体(C1)は、分子内に10〜5,0
00個の水酸基を有するポリマー(A)を開始剤とし、
ラクトン単量体を付加重合することにより得られる高水
酸基価ラクトン重合体(B)の末端水酸基と酸無水物と
の反応により製造する。
【0022】前記の分子内に10〜5,000個の水酸
基を有するポリマー(A)としては、完全もしくは部分
ケン化されたポリビニルアルコール、または、2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート等の分子内にラジカル重合
性二重結合と水酸基の両方を有した化合物のオリゴマ
ー、これらの化合物と他のラジカル重合性モノマーとの
共重合体、およびこれらの化合物の各種ポリマーへのグ
ラフト変性体、ポリジエン化合物の水和物、ポリアミド
のエチレンオキシド変性物、ポリフェノールのエチレン
オキシド変性物、多糖、デンプンおよびセルロース等が
例示できる。中でも一般的には、完全もしくは部分ケン
化されたポリビニルアルコールまたは2−ヒドロキシエ
メチルメタクレートとメチルメタクリレートまたはスチ
レンとの共重合体が好ましく用いられる。また前記ポリ
マー(A)を開始剤として付加重合させるラクトン単量
体としては、ε−カプロラクトン、4−メチルカプロラ
クトン等のメチル化カプロラクトン、δ−バレロラクト
ン、β−プロピオラクトンおよびこれら2種以上の混合
物が挙げられるが、中でも工業的に最も有益なε−カプ
ロカクトンが好ましく用いられる。
【0023】更に上記の高水酸基価ラクトン重合体
(B)の製造においては、一般的にラクトン単量体の開
環付加重合触媒が使用される。具体的には無機塩基、無
機酸、有機アルカリ金属触媒、スズ化合物、チタン化合
物、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、モリブデン化合
物およびジルコニウム化合物等が例示できる。中でも、
取扱い易さ、低毒性、反応性、無着色性、耐安定性等の
バランスからスズ化合物、チタン化合物が好ましく用い
られる。スズ化合物としては、具体的には塩化第一ス
ズ、オクチル酸第一スズ、モノブチルスズオキシド、モ
ノブチルスズトリス(2−エチルヘキサネート)等のモ
ノブチルスズ化合物、ジブチルスズオキシド等のジブチ
ルスズ化合物、またはチタン化合物としては、テトラブ
チルチタネート、テトラ−イソプロピルチタネート等が
挙げられる。これらは各単独であるいは混合して使用す
ることができる。
【0024】上記の製造方法の一段階であるラクトン単
量体の付加重合について更に詳しく説明する。水酸基を
有するポリマー(A)とラクトン単量体との混合割合と
しては、両者の合計100重量部のうち前者(A)の占
める割合が0.1〜30重量%であり、好ましくは1〜
15重量%、更に好ましくは2〜10重量%の範囲であ
る。上記割合が0.1重量部未満では、水酸基量が少な
く、結局、酸無水物との反応により生成するカルボキシ
ル基の量が少なくなり、本発明の高酸価ラクトン重合体
(C)の市場用途に使用できなくなり、逆に30重量%
を上回ると、ラクトン重合体としての性質、特に柔軟性
がなくなり、粘着剤、接着剤、塗料、ポリマー可塑剤等
に使用するメリットが失われ好ましくない。
【0025】重合触媒の添加量は、両原料の合計100
重量部に対して0.001〜0.1重量部であるが、好
ましくは0.002〜0.05重量部、更に好ましくは
0.005〜0.01重量部である。上記触媒量が0.
001重量部を下回る場合には、ラクトン単量体の重合
速度が遅く、逆に0.1重量部を上回る場合には、得ら
れたラクトン重合体に着色が生じたり、熱安定性が低下
することがあるため好ましくない。
【0026】重合温度としては、50〜250℃である
が、好ましくは100〜220℃、更に好ましくは16
0〜200℃の範囲である。50℃を下回る場合には、
ラクトン単量体の重合速度が遅く、逆に250℃を上回
る場合には、ラクトン重合体の熱分解反応が発生し、着
色したり、分解物が生成するため好ましくない。
【0027】こうして得られる高水酸基ラクトン重合体
(B)の典型的なものとしては、下記一般式(3)で示
されるものである。
【化9】
【0028】上記の過程で製造された高水酸基ラクトン
重合体(B)の末端水酸基と酸無水物との反応につい
て、更に詳しく説明する。本発明の製造方法における酸
無水物としては、特に限定を受けなくどのような酸無水
物も使用可能であるが、特に無水コハク酸、無水フタル
酸、無水マレイン酸、ベンゼントリカルボン酸無水物、
ベンゼンテトラカルボン酸モノ無水物、ベンゼンテトラ
カルボン酸ジ無水物、テトラヒドロフタル酸無水物およ
びヘキサヒドロフタル酸無水物が好ましい。
【0029】高水酸基価ラクトン重合体(B)の末端水
酸基と酸無水物との反応温度は40〜240℃の範囲
で、両者を混合することにより容易に実施できる。40
℃未満では反応速度が遅く、240℃を上回る場合に
は、架橋反応などによりゲル化することがあるため好ま
しくない。好ましい反応温度は60〜160℃、更に好
ましくは80〜120℃の範囲が着色や高分子量化が発
生せず、安定的に高酸価ラクトン重合体(C1)を製造
できる。
【0030】また高水酸基価ラクトン重合体(B)の末
端水酸基モル数と酸無水物のモル数の比率としては、1
0:1〜1:2の範囲の任意の比率に仕込み量を調整す
ることで容易に設定できる。しかしながら、高分子量化
を完全に防止する目的においては、酸無水物のモル数が
末端水酸基モル数よりも若干多い1:1〜1:1.2の
比率範囲が最も製造が容易で好ましい。
【0031】高酸価ラクトン重合体(C2)は、分子内
に10〜1,000個のカルボキシル基を有するポリマ
ーを開始剤とし、ラクトン単量体を付加重合する方法に
より製造することができる。本発明の高酸価ラクトン重
合体(C2)の製造方法において使用される分子内に1
0〜1,000個のカルボキシル基を有するポリマーと
しては、(メタ)アクリル酸等の分子内にラジカル重合
性二重結合と、カルボキシル基の両方を有する化合物
の、オリゴマー、ポリマー、他のラジカル重合性モノマ
ーとの共重合体および各種ポリマーへのグラフト変性体
が例示できるが、一般的には、(メタ)アクリル酸のオ
リゴマー、ポリマー、(メタ)アクリル酸とスチレンお
よび/または(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体
が好ましく用いられる。
【0032】前記カルボキシル基を有するポリマーの典
型的なものとしては、下記一般式(4)で示されるもの
である。
【0033】
【化10】
【0034】またラクトン単量体としては、ε−カプロ
ラクトン、4−メチルカプロラクトン等のメチル化カプ
ロラクトン、δ−バレロラクトン、β−プロピオラクト
ンおよびこれら2種以上の混合物が挙げられるが、中で
も工業的に最も有益なε−カプロラクトンが好ましく用
いられる。
【0035】本製造方法において使用される酸触媒とし
ては、無機酸および有機酸のどちらも使用でき、具体例
としては、硫酸、塩酸、リン酸、パラトルエンスルホン
酸(以下PTSと記す)、メタンスルホン酸、トリフル
オロ酢酸などが例示できる。
【0036】本製造方法において、カルボキシル基を有
するポリマーとラクトン単量体との混合割合としては、
両者の合計100重量%のうち、前者の占める割合が
0.1〜30重量%であり、好ましくは1〜15重量
%、更に好ましくは2〜10重量%の範囲である。上記
割合が0.1重量%未満ではカルボキシル基量が少な
く、本発明の高酸価ラクトン重合体(C)の市場用途に
は使用できなくなり、逆に30重量%を上回ると、ラク
トン重合体としての性質、特に柔軟性がなくなり、粘着
剤、接着剤、塗料、ポリマー可塑剤等に使用するメリッ
トが失われ好ましくない。
【0037】酸触媒の添加量は両原料の合計100重量
部に対して0.01〜5重量部であるが、好ましくは
0.05〜2重量部、更に好ましくは0.1〜1重量部
である。上記触媒量が0.01重量部を下回る場合に
は、ラクトン単量体の重合速度が遅く、逆に5重量部を
上回る場合には、得られたラクトン重合体に着色が生じ
たり、熱安定性が低下することがあるため好ましくな
い。
【0038】重合温度としては、50〜250℃である
が、好ましくは100〜220℃、更に好ましくは16
0〜200℃の範囲である。50℃を下回る場合には、
ラクトン単量体の重合速度が遅く、逆に250℃を上回
る場合には、ラクトン重合体の熱分解反応が発生し、着
色したり、分解物が生成するため好ましくない。
【0039】先述した本発明の高酸価ラクトン重合体
(C1)または(C2)の各製造方法における反応装置と
しては、公知の反応装置を問題なく使用できる。具体的
には攪拌羽根式バッチ型反応装置、半連続および連続式
反応装置、ニーダー型混練機、押出機等のスクリュー型
混練機、スタティクミキサー型反応装置およびこれらを
連続的に連結した反応装置などが挙げられる。
【0040】また本発明の各製造方法において、原料や
触媒の添加順序、添加方法は全く制限を受けないが、原
料に含有される水分量は0.5重量%以下、好ましくは
0.1重量%以下、更に好ましくは0.05重量%以下
とすることが望ましい。原料に含有される水分量が0.
5重量%を上回ると、水分からのラクトン単量体の付加
重合が起こり、ポリラクトンオリゴマーが生成するため
用途によっては機能に障害が生じることがあり好ましく
ない。更に本発明の各製造方法において、任意の希釈溶
媒や安定剤等の添加剤を混合することも支障なく実施で
きる。
【0041】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】(製造例:高水酸基価ラクトン重合体
(B)の製造)1リットルのガラスフラスコに、ポリビ
ニルアルコール(クラレ(株)製「PVA−403」、
ケン化度81.5±1.5、重合度300)100g、
ε−カプロラクトン900g、および重合触媒のモノブ
チルスズトリス(2−エチルヘキサネート)0.05g
を添加し、温度を160℃に昇温し、3時間溶融混練を
行った。得られた高水酸基価ラクトン重合体は白色ワッ
クスであった。このもののGPC測定による標準ポリス
チレン換算数平均分子量、1分子当りの理論水酸基数、
樹脂1g当りの理論水酸基モル数および後記するJIS
K−1577に準拠した滴定方法による測定水酸基モ
ル数を表−1に併せて記載した。
【0043】(実施例1〜3)500mlのガラスフラ
スコに、製造例で得られた高水酸基価ラクトン重合体
(B)300gおよび表−1に記載する酸無水物を表−
1に記載する量ほど加え、120℃で1時間混合攪拌し
た。得られた高酸価ラクトン重合体のGPC測定による
標準ポリスチレン換算数平均分子量、1分子当りの理論
水酸基モル数、カルボキシル基数、樹脂1g当りの理論
水酸基モル数、カルボキシル基数および後記するJIS
K−1577に準拠した滴定方法による樹脂1g当た
りの測定水酸基モル数、カルボキシル基モル数を表−1
に併せて記載した。
【0044】(実施例4)1リットルのガラスフラスコ
に、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製「PVA1
17」、ケン化度98.0±0.5、重合度1700)
80g、ε−カプロラクトン720gおよび重合触媒の
モノブチルスズトリス(2−エチルヘキサネート)0.
05gを添加し、温度を160℃に昇温し、3時間溶融
混練を行った。温度を100℃まで冷却した後、無水マ
レイン酸115gをトルエン100mlに溶解し滴下し
た。更に温度を120℃までトルエンを脱気しながら昇
温し、昇温後30分間攪拌した。得られた高酸価ラクト
ン重合体について、は実施例1と同様の性状を測定し、
結果を表−1に記載した。
【0045】(実施例5)1リットルのガラスフラスコ
に、スチレン−メタクリル酸共重合体(大日本インキ
(株)製「リューレックス A−14」)200g、ε
−カプロラクトン800gおよび酸触媒のPTS4gを
添加し、温度を160℃に昇温し、6時間溶融混練を行
った。得られた高酸価ラクトン重合体の100gを酢酸
エチル1リットルに溶解し、抽出器を用い、中性の水で
3回洗浄し、酸触媒のPTSを除いた。得られた酢酸エ
チルのドープからエバポレーターと真空ポンプを用い、
酢酸エチルを除去したポリマー93.7gを得た。この
ものは実施例1と同様の性状を測定し、結果を表−1に
記載した。
【0046】
【表1】
【0047】(滴定方法)測定しようとする試料およそ
0.5gを(0.5±0.05gを0.1mgまで精
秤)共栓付三角フラスコ200mlに秤り取り、無水フ
タル酸のピリジン溶液(無水フタル酸42g/ピリジン
300ml)25mlをホールピペットで正確に加え
る。これにエアコンデンサーを取り付け、98±2℃の
定温浴中でときどき穏やかに振り動かしながら1時間加
熱する。次いで定温浴から取り出し、室温になるまで放
置し、10mlのピリジンでエアコンデンサーおよびフ
ラスコ壁の付着物を、共栓付き三角フラスコに洗い落と
す。力価を予め測定した0.5N水酸化ナトリウム標準
溶液50mlをホールピペットで正確に加え、フェノー
ルフタレインを指示薬として、上記0.5N水酸化ナト
リウム標準溶液で滴定し、紅色が30秒間保つ点を終点
とする。同一条件による空実験を行う。また測定試料の
およそ1.0g(1.0±0.05gを精秤)のアセト
ン溶液を上記0.5N水酸化ナトリウム標準溶液で滴定
し、樹脂1g当たりのカルボキシル基のモル数(AV)
もあらかじめ求めておく。次式により、樹脂1g当りの
水酸基モル数を算出する。
【0048】
【数1】
【0049】
【発明の効果】以上詳しく説明したように、本発明によ
り多分岐型で、粘着剤、接着剤、硬化物材料、ポリマー
可塑剤、ポリアミド樹脂改質剤、相溶化剤、塗料、アル
カリ水分散性、バインダー、インキ、生分解性用途およ
び医療用途等広範囲に利用できる高酸価ラクトン重合体
が提供できることとなった。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表され、重合体1g
    当りのカルボキシル基モル数が1×10-4〜5×10-2
    mol、分子当りのカルボキシル基数が10〜15,0
    00個、かつ数平均分子量が20,000〜2,00
    0,000の範囲であることを特徴とする高酸価ラクト
    ン重合体。 【化1】
  2. 【請求項2】 下記一般式(2)で表され、重合体1g
    当りのカルボキシル基モル数が1×10-4〜5×10-2
    mol、分子当りのカルボキシル基数が10〜15,0
    00個、かつ数平均分子量が20,000〜2,00
    0,000の範囲であることを特徴とする高酸価ラクト
    ン重合体。 【化2】
  3. 【請求項3】 分子内に10〜5,000個の水酸基を
    有する下記一般式(3)で表される高水酸基価ラクトン
    重合体の水酸基の全部または一部を酸無水物と反応させ
    ることを特徴とする請求項1記載の高酸価ラクトン重合
    体の製造方法。 【化3】
  4. 【請求項4】 分子内に10〜1,000個のカルボキ
    シル基を有する下記一般式(4)で表されるポリマー
    0.1〜30重量%、およびラクトン単量体99.9〜
    70重量%(両者の合計は100重量%)からなる混合
    物100重量部に対して酸触媒0.01〜5重量部を溶
    融混練することを特徴とする請求項2記載の高酸価ラク
    トン重合体の製造方法。 【化4】
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106814538A (zh) * 2015-09-30 2017-06-09 太阳油墨制造株式会社 固化性树脂组合物、干膜、固化物和印刷电路板

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