JP3194656B2 - (ビニル重合体−ポリラクトン)ブロック共重合体 - Google Patents

(ビニル重合体−ポリラクトン)ブロック共重合体

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JP3194656B2
JP3194656B2 JP27382893A JP27382893A JP3194656B2 JP 3194656 B2 JP3194656 B2 JP 3194656B2 JP 27382893 A JP27382893 A JP 27382893A JP 27382893 A JP27382893 A JP 27382893A JP 3194656 B2 JP3194656 B2 JP 3194656B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は(ビニル重合体−ポリラ
クトン)ブロック共重合体に関する。さらに詳しくは、
耐候性、耐油性、耐衝撃性および種々の汎用樹脂に対す
る相溶性などに優れ、樹脂改質剤、相溶化剤、フィル
ム、チューブ、トレイ等の成形品、接着剤等の幅広い用
途に使用できる新規の(ビニル重合体−ポリラクトン)
ブロック共重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】アニオン重合により製造されるポリスチ
レン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体
およびその部分水添物(以下それぞれSBSおよびSE
BSと記す)は、熱可塑性エラストマーとして、ポリス
チレンやエンジニアリングプラスチックスの樹脂改質
剤、靴底、パッキン、シ−ト、ホ−ス、ガスケット、チ
ュ−ブ等の成形品、アスファルト改質剤、粘・接着剤、
ホットメルト接着フィルム等の幅広い用途に使用されて
いる。しかしながらSBSやSBES等のスチレン−ブ
タジエン系エラストマ−は耐候性、耐油性、高温特性等
においては他のエラストマーと比較して劣り、用途が制
限されることも多かった。
【0003】特公昭46−37737号、特公昭47−
27151号にはアニオン重合によりポリスチレン系エ
ラストマーにポリラクトンセグメントを導入したポリス
チレン−ポリラクトンブロック共重合体およびポリスチ
レン−ポリブタジエン−ポリラクトンブロック重合体
(以下それぞれSLおよびSBLと記す)の製造が記載
されている。
【0004】これらSLおよびSBLはポリラクトン成
分が導入されることにより耐油性が優れかつポリエステ
ル樹脂やポリカーボネートに対する相溶性も向上した。
【0005】特開昭56−136840号、特開平1−
17500号にはポリカーボネートにSBLを混合する
ことで、ポリカーボネートの老化、低温および高温時で
の耐衝撃性を改良したことが記載されている。
【0006】特開昭58−1713号、特開昭62−2
41956号には、不飽和ポリエステルにSLやSBL
が混合することで、不飽和ポリエステルの熱収縮を低減
したことが記載されている。
【0007】特開昭62−225519、特開昭63−
258932号にはアニオン重合により製造したSLや
SBL同士のホスゲン等の結合剤を用いるカップリング
によるポリスチレン−ポリラクトン−ポリスチレンブロ
ック共重合体(以下SLSと記す)やSBLBS構造を
有するブロック共重合体の製造が記載されている。
【0008】これらポリラクトン成分を中間にはさんだ
エラストマーは、耐油性、耐候性および耐衝撃性等にお
いてバランスのとれた物性を有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ポリラクトンブロック
セグメントを含むポリスチレン系エラストマーは、機械
的物性、耐油性、耐候性およびポリエステル樹脂やポリ
カーボネートやポリスチレン系樹脂に対する相溶性等に
優れているものの製造の際には、リビング的なアニオン
重合を行うことが不可欠であり、重合条件および生成ポ
リマーの物性において以下 (1)開始剤のアルキルリチウムは発火性のため、取り扱
い、保管等困難を伴う、 (2)製造に用いる装置、原料、溶媒等に水分を混入させ
ないため設備を必要とし、 そのために比較的多くの労
力と費用を伴う、 (3)時間当りの反応熱が大きいため、多量の溶媒を必要
とする、 (4)開始剤量は通常1000〜3000ppm 必要とし、残存する
アルカリ金属成分は生成ポリマーの熱安定性を著しく阻
害する、 (5)ビニル重合体ブロックセグメント成分がスチレンも
しくはジエン系モノマーのみに限定されるため多様の用
途に適応できない、ような様々の制限が存在する。
【0010】
【課題を解決するための手段】したがって、本発明者
は、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結
果、ラジカル重合により末端部に水酸基を有する重合体
を製造し、更にラクトン重合触媒を用いてラクトンモノ
マーを開環重合することにより種々のビニル重合体ブロ
ックセグメントとポリラクトンブロックセグメントより
成るブロック共重合体が得られることを見出だし、本発
明を完成するに至った。
【0011】即ち本発明は、「ラジカル重合により得ら
れるビニル重合体を主体とするブロックセグメント
(A)とポリラクトンを主体とするブロックセグメント
(B)から構成され、かつ下記(a)〜(d) (a)一般式(B−A−B)n (X)n-1 およびA−X(B−A−B−X)n A で表わされるブロック共重合体成分を合計して50重量
%以上含有する、 A:ラジカル重合により得られるビニル重合体を主体と
するブロックセグメント B:ポリラクトンを主体とするブロックセグメント X:分子内に水酸基と反応する官能基を2個以上有した
結合剤の残基 n:1から10までの整数 (b)ブロックセグメント(A)部分の数平均分子量が
1,000〜200,000 、 (c)ブロックセグメント(B)部分の数平均分子量が
1,000〜200.000 、 (d)ブロック共重合体全体の数平均分子量が10,000〜
500,000 を有することを特徴とする(ビニル重合体−
ポリラクトン)ブロック共重合体」である。
【0012】本発明の(ビニル重合体−ポリラクトン)
ブロック共重合体はラジカル重合により得られるビニル
重合体を主体とするブロックセグメント(A)とポリラ
クトンを主体とするブロックセグメント(B)から構成
されることを必須とする。
【0013】以下それぞれのブロックセグメントを詳し
く説明する。
【0014】本発明におけるラジカル重合により得られ
るビニル重合体を主体とするブロックセグメント(A)
とは、ラジカル重合性モノマーの一種以上を構成成分と
し、かつ末端部に水酸基を有するものである。
【0015】ここでラジカル重合性モノマーとは、ラジ
カル重合性を有するすべてのモノマーが含まれるが、一
般的には、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチル
スチレン、ハロゲン化スチレン、ビニルナフタレン等の
ビニル芳香族モノマー、ブタジエン、イソブチレン、イ
ソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系モノマ
ー、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル
酸ブチル、フマル酸ジメチル等のビニルエステル系モノ
マー、塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニルモノマー、塩
化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のビニリデン系モノ
マー、メチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノ
マーおよび2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4
−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロ
キシエチルビニルエーテル等の水酸基を有したラジカル
重合性モノマーが挙げられる。またビニル重合体ブロッ
クセグメント(A)は末端部に水酸基を有する。
【0016】ブロックセグメント(A)1分子に含有さ
れる水酸基の数としては、多少の分布が存在するもの
の、平均では片末端部に1〜2個、好ましくは、個数の
分布ができるだけ狭く、かつ個数の平均が片末端部に1
個である。
【0017】通常のラジカル重合において、末端部のみ
に水酸基を有するビニル重合体を選択的に製造すること
は不可能であり、特定の方法を用いなければならない。
【0018】現在、上記条件を満たす方法として、2つ
の方法が挙げられる。1つの方法は、分子内に水酸基ま
たは保護された水酸基を適当数有する開始剤および連鎖
移動剤を用いて、連鎖移動定数の極めて小さい溶媒中か
特殊なミセル中で重合を行う方法である。
【0019】もう一方の方法は、ペルオキシ基を有した
ポリマーラジカル開始剤を用いる方法である。
【0020】ペルオキシ基を有したポリマーラジカル開
始剤とは鈴木、森屋、山本著「ポリ過酸化物を用いたブ
ロックポリマーの合成」(高分子論文集44巻2号81
−88頁)に詳しく記載されているが、ポリ過酸化物で
ラジカル重合性モノマーを重合して得られる、分子中に
ペルオキシ基(−O−O−)を有したビニル重合体であ
る。このポリマーラジカル開始剤から極めて少量の、2
−ヒドロキシエチルメタクリレート等の水酸基を有した
ラジカル重合性モノマーを付加させるか、水、アルコー
ル、ベンゾキノン等の存在下、ポリマーラジカル開始剤
中のペルオキシ基を開裂させる方法で、末端部のみに水
酸基を有するビニル重合体ブロックセグメント(A)が
得られる。
【0021】ポリ過酸化物としては、例えば日本油脂
(株)製ポリ[ポリ(トリエチレングリコール−alt −
アジピン酸ジクロリド)−alt −(過酸化水素)]が好
ましく用いられ、溶液重合、塊状重合、懸濁重合等の一
般的なラジカル(共)重合により容易にポリマーラジカ
ル開始剤が生成し、更にこれを上記処理することにより
様々のラジカル重合性モノマー成分により構成され、か
つ末端部に水酸基を有するビニル重合体を主体とするブ
ロックセグメント(A)が得られる。
【0022】本発明におけるポリラクトンを主体とする
ブロックセグメント(B)とは、前述の末端に水酸基を
有するビニル重合体を主体とするブロックセグメント
(A)から種々のラクトンモノマーを開環重合させて成
るポリラクトン成分である。ここで、ラクトンモノマー
とは、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、7−
ヒドロキシ−ペプタン酸ラクトン、8−ヒドロキシオク
タン酸ラクトン、12−ヒドロキシドデカン酸ラクト
ン、13−ヒドロキシトリデカン酸ラクトン、14−ヒ
ドロキシテトラデカン酸ラクトン、15−ヒドロキシペ
ンタデカン酸ラクトンおよびこれらラクトンのアルキル
誘導体ならびにアルコキシ誘導体である。
【0023】さらに3−エチル−2−ケト−1,4−ジ
オキサン、1,4−ジオキサン−2−オン等のジオキサ
ン類も適用される。
【0024】これらのラクトンモノマーは、単独または
2種以上の混合物として用いられる。 これらのラクト
ンモノマーの中で実用的価値の最も大きいε−カプロラ
クトンやメチル化カプロラクトン、δ−バレロラクト
ン、3−エチル−2−ケト−1,4−ジオキサン等が好
ましく用いられる。
【0025】本発明の(ビニル重合体−ポリラクトン)
ブロック共重合体は、ビニル重合体ブロックセグメント
(A)およびポリラクトンブロックセグメント(B)か
ら構成されること以外にも、次に挙げる(a)〜(d)
の4つの性質を有していることを特徴とする。
【0026】 (a)一般式(B−A−B)n (X)n-1 およびA−X(B−A−B−X)n A で表わされるブロック共重合体成分を合計して50重量
%以上含有する。
【0027】A:ラジカル重合により得られるビニル重
合体を主体とするブロックセグメント B:ポリラクトンを主体とするブロックセグメント X:分子内に水酸基と反応する官能基を2個以上有した
結合剤の残基 n:1から10までの整数 ここで、分子内に水酸基と反応する官能基を2個以上有
した結合剤としては、特に限定されないが、ホスゲン、
二塩基酸二塩化物、ジイソシアネート化合物、ジエポキ
シ化合物、ジオキサゾリン化合物から選択されることが
最も好ましい。二塩基酸二塩化物としてはシュウ酸ジク
ロリド、アジピン酸ジクロリド、テレフタル酸ジクロリ
ドおよびブタン酸ジクロリド等が一般的である。ジイソ
シアネートとしては、公知のアルキレンジイソシアネー
トおよびアリ−レンジイソシアネートが用いられ、特に
4,4´−ジフェニルメチレンジイソシアネート(MD
I)や80重量%の2,4−ジイソシアナトトルエンと
20重量%の2,6−ジイソシナトトルエンの混合物
(TDI)等が好ましく用いられる。
【0028】ジエポキシ化合物としては、1,9−ジオ
キシランデカン等の脂肪族ジエポキシド、ダイセル化学
工業(株)製セロキサイド2021、2080等の脂環
式ジエポキシド、ビスフェノールAとエピクロロヒドリ
ンから製造される芳香族系ジエポキシド等が好ましく用
いられる。
【0029】ジオキサゾリン化合物としては、1,3−
フェニレンジオキサゾリンや1,4−フェニレンジオキ
サゾリン等が好ましく用いられる。
【0030】そのほかの、分子内に水酸基と反応する官
能基を2個以上有した結合剤としては、無水ピロメリッ
ト酸等の多官能カルボン酸化合物、水酸基との反応性の
異なる官能基を2個以上有する化合物、3官能以上の化
合物等が挙げられるが、例えば架橋ポリマーが生成して
ゲル物が発生する等の問題点を制御する必要がある。一
般式(B−A−B)n (X)n-1 およびA−X(B−A
−B−X)n Aで表わされるブロック共重合体成分の合
計が、本発明のブロック共重合体全体に占める割合は5
0重量%以上であり、この占める割合が多くなればなる
ほど、本発明のブロック共重合体の優れた性能を発揮で
き好ましい。更に、必要に応じて、それぞれの構造のブ
ロック共重合体が単独で本発明のブロック共重合体全体
に占める割合が多くなればなるほど、それぞれの構造の
ブロック共重合体が有する優れた性能が本発明のブロッ
ク共重合体に発現するため好ましい場合が多い。
【0031】例えば一般式(B−A−B)n (X)n-1
特にn=1の時B−A−Bで表わされるブロック共重合
体は(B)セグメントに帰因する結晶相を有する場合が
多く対油性、耐候性に優れ、室温で硬く強靭であり、一
端融解すると極めて成形加工性に優れている特徴があ
る。
【0032】また、一般式A−X(B−A−B−X)n
Aで表わされるブロック共重合体はそのビニル重合体セ
グメント(A)の有する優れた性能、例えば耐熱性、耐
候性、特異な相溶性等をブロック共重合体に付与し易く
また粘り強く、耐衝撃性や耐屈曲性等にも優れている特
徴がある。
【0033】式中のnは1〜10の整数であるが、nが
10を超えるとブロック共重合体が軟らかくなりすぎた
り、結合剤を多く必要とし、このことが一部、架橋ポリ
マーを生成する原因にもなるため好ましくない。一般的
に式中のnは1〜3の範囲が最も好ましく、用途によっ
てはn=1の時が、本発明のブロック共重合体の物性が
一番優れている場合も多い。
【0034】(b)ブロックセグメント(A)部分の数
平均分子量が 1,000〜200,000 である。ビニル重合体ブ
ロックセグメント(A)の数平均分子量は、ラジカル重
合の仕込み組成、重合方法および重合条件などにより調
整できる。
【0035】数平均分子量が1,000 を下回る場合は、本
発明のブロック共重合体の機械的物性等が劣り、逆に20
0,000 を超える場合には、ビニル重合体セグメント
(A)の粘度が高すぎて本発明のブロック共重合体の製
造が困難となり好ましくない。
【0036】本発明のブロックポリマーの種々の物性に
おいて最も好ましいブロックセグメント(A)部分の数
平均分子量は20,000〜150,000 の範囲である。
【0037】(c)ブロックセグメント(B)部分の数
平均分子量が1,000 〜200,000 である。ポリラクトンブ
ロックセグメント(B)の数平均分子量は原則的には、
ビニル重合体ブロックセグメント(A)中に含まれる水
酸基の数とラクトンモノマーの仕込み量によって調整で
きる。
【0038】数平均分子量が1,000 を下回る場合は、本
発明のブロック共重合体の機械的物性等が劣り、逆に20
0,000 を超えるポリラクトンブロックセグメントを導入
したブロック共重合体の製造は困難である。
【0039】本発明のブロックポリマーの種々の物性に
おいて、最も好ましいブロックセグメント(B)部分の
数平均分子量は10,000〜150,000 の範囲である。(d)
ブロック共重合体全体の数平均分子量が10,000〜500,00
0 である。
【0040】本発明のブロック共重合体の数平均分子量
は、原則的には上記ビニル重合体ブロックセグメント
(A)、ポリラクトンブロックセグメント(B)および
結合剤の量比の関係で調整できる。
【0041】本発明のブロック共重合体の用途により、
数平均分子量を調整することが望ましいが、10,000以下
であると強靭性に乏しく用途が限定され、500,000 を超
えると一部架橋ポリマーが生成するため好ましくない。
本発明のブロック共重合体において、ビニル重合体セグ
メント(A)とポリラクトンセグメント(B)との構成
割合は特に限定されないが、どちらか一方の構成割合が
10重量%を下回ると、ブロック共重合体としての優れ
た性能が大幅に低下するため好ましくない。
【0042】本発明のブロック共重合体は、ポリラクト
ンブロックセグメント(B)に帰因される結晶相を含有
するものも存在し、本発明のブロック共重合体の特徴の
1つである。
【0043】このポリラクトンブロックセグメント
(B)の結晶相は、ビニル重合体ブロックセグメント
(A)により結晶化を阻害されるため、同じモノマー組
成、同じ分子量のホモポリラクトンと比較すると融点が
若干低く、結晶化速度、融解熱ともに小さい傾向があ
る。
【0044】本発明の(ビニル重合体−ポリラクトン)
ブロック共重合体の製造方法は特に限定されることな
く、例えば本発明に記載された末端部に水酸基を有する
ビニル重合体ブロックセグメント(A)を開始剤とし
て、ラクトン重合触媒存在下ラクトンモノマーの開環重
合を行い、必要に応じて結合剤等を反応させることで容
易にブロック共重合体を製造することができる。
【0045】得られるブロック共重合体の構造は、末端
部に水酸基を有するビニル重合体ブロックセグメント
(A)1分子1分子により、水酸基数および分布に多少
の差があるため、同一にはならないが、ブロック共重合
体の物性に変化がないレベルでの製造は容易である。こ
のために、ビニル重合体ブロックセグメント(A)の製
造を制御して行い、数平均分子量と総水酸基数を測定・
確認した上で適当量のラクトンモノマーを重合する。
【0046】さらに必要に応じて、一般式(B−A−
B)等で表わされる本発明のブロック共重合体を結合
剤、または末端部に水酸基を有するビニル重合体および
結合剤、と反応させ、一般式(B−A−B)n (X)
n-1 またはA−X(B−A−B−X)n A等で表わされ
るブロック共重合体を得ることができる。
【0047】本発明の(ビニル重合体−ポリラクトン)
ブロック共重合体の製造において末端部に水酸基を有す
るビニル重合体ブロックセグメント(A)を開始剤とし
て、ラクトンモノマーを開環重合する際の具体的な手段
としては、一般的に80〜230℃好ましくは100−
200℃の温度で、ラクトン重合触媒を0.1〜100
0ppm 、好ましくは1〜200ppm 添加し、重合反応さ
せることが例示できる。 重合温度が80℃を下回る場
合には重合速度が遅く、230℃を上回る場合は、酸化
反応による着色やブロック共重合体の分解反応等が発生
し好ましくない。ラクトン重合触媒としては、特に限定
されなく、スズ触媒、チタン触媒の他アルミニウム、ア
エン、モリブデン、ジルコニウム更にはアルカリ金属、
アルカリ土類金属、ランタノイド等の化合物を用いるこ
とができる。
【0048】しかしながら、例えばビニル重合体ブロッ
クセグメント(A)を構成する主成分がメタクリル酸メ
チル等のビニルエステル系モノマー等の場合、ブロック
セグメント(A)とポリラクトンとのエステル交換反応
を避けるため、また取り扱い易さ、重合活性の点でもモ
ノブチルスズ化合物や塩化第1スズ等が最も好ましい。
ラクトン重合触媒量が0.1ppm を下回る場合は重合
速度が遅く、1000ppm を超えると、生成したブロッ
ク共重合体の色相、熱安定性等が悪化するため好ましく
ない。
【0049】また、本発明のブロック共重合体を製造す
る方法では、塊重合、溶液重合、沈殿重合および懸濁重
合等のいかなる重合方法も問題なく用いられる。更に製
造装置の形式も、制限を受けなく一般的に用いられてい
る装置例えば、バッチ式、半連続的および連続的の通常
の撹拌羽根型反応器、ニーダー型反応器、スクリュー押
出機型反応器およびスルザーミキサー型反応器等が問題
なく使用できる。
【0050】
【発明の効果】以下実施例によって本発明を詳細に説明
するが、本発明は実施例のみに限定されるものではな
い。なお本実施例において、数平均分子量(以下Mnと
記す)とは、テトラヒドロフランを用いたゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー測定により得られた標準ポ
リスチレン換算数平均分子量、および水酸基価とは種々
のビニル重合体中の水酸基を過剰のコハク酸と反応さ
せ、生じた酸を水酸化カリウム標準溶液で滴定すること
で算出できる1g のビニル重合体中に含有される水酸基
の数と等しい数の水酸化カリウムの重量を表わす。
【0051】実施例1 (ポリスチレン−ポリ(ε−カプロラクトン)ブロック
共重合体の製造) 撹拌装置およびコンデンサーを備えつけた10リットル
重合装置にビニル重合体ブロックセグメント(A)とし
て、末端部に水酸基を有するポリスチレン(Mn=9
6,000、水酸基価=1.26mgKOH/g)1k
g、ε−カプロラクトンモノマー(含水分率0.005
%)1.5kg、溶媒としてキシレン3kgおよび触媒
としてモノブチルスズトリス(2−エチルヘキサネー
ト)0.50gを仕込み、撹拌し溶解後還流を行いなが
ら10時間撹拌し、重合を進行させた。
【0052】ポリマードープを10リットルのメタノー
ル中に投入し、ポリマー粉体を析出させ、水洗および乾
燥を行い、ポリスチレン−ε−カプロラクトン共重合体
2.45kgを得た。このものの数平均分子量および分
子量分布値(重量平均分子量/数平均分子量)および走
査型示差熱量計測定で得られた結晶相の融点を表1に併
せて記載した。なお、末端部に水酸基を有するポリスチ
レンは以下の方法により製造した。すなわち、n-ブチ
ルリチウムを触媒としてシクロヘキサン中、70℃でス
チレンモノマーを重合し、次いで、冷却して温度が30
℃に低下した時点でエチレンオキサイドを添加して反応
させることにより得られた重合体溶液をメタノール中で
沈殿させ、乾燥することにより得た。
【0053】実施例2 (ポリメチルメタクリレート−ポリ(ε−カプロラクト
ン)ブロック共重合体(I)の製造) 連続式スルザーミキサー型製造装置の供給タンク中にビ
ニル重合体ブロックセグメント(A)として、末端部に
水酸基を有するポリメチルメタクリレート(Mn=5
5,000、水酸基価=2.34mgKOH/g)30
重量部、ε−カプロラクトンモノマー(含水分率0.0
05%)70重量部および触媒として全量に対して30
ppmのモノブチルスズオキサイドを仕込み、混合物を反
応装置へ供給した。重合温度は180℃に制御し、滞流
動時間5時間を要して、2kg/時間の吐出量でポリメ
チルメタクリレート−ポリ(ε−カプロラクトン)ブロ
ック共重合体(I)を得た。カッティングと乾燥の後、
実施例1と同様の測定を行い、結果を表1に記載した。
なお、末端部に水酸基を有するポリメチルメタクリレー
トは以下の方法により製造した。すなわち、n-ブチル
リチウムを触媒としてシクロヘキサン中、70℃でメタ
クリル酸メチルモノマーを重合し、次いで、冷却して温
度が30℃に低下した時点でエチレンオキサイドを添加
して反応させることにより得られた重合体溶液をメタノ
ール中で沈殿させ、乾燥することにより得た。
【0054】実施例3 (ポリメチルメタクリレート−ポリ(ε−カプロラクト
ン)ブロック共重合体(II)の製造) 実施例2で得られたポリメチルメタクリレート−ポリ
(ε−カプロラクトン)ブロック共重合体40重量部、
および実施例2で用いられた末端部に水酸基を有するポ
リメチルメタクリレート60重量部の混合樹脂をベント
付2軸押出機に1.5kg/分の速度供給し、押出機
スクリューの中間部に溶融した。4,4´−ジフェニル
メチレンジイソシアネートを、ポンプを用いて4.5k
g/分の速度で仕込み、ベントを引きながら220℃で
押出混練した。カッティングと乾燥の後、実施例1と同
様の測定を行い結果を表1に記載した。
【0055】実施例4 (SAN−ポリラクトンブロック共重合体(I)の製
造) 実施例1と同様の装置に、ビニル重合体ブロックセグメ
ント(A)として、末端部に水酸基を有するスチレン7
5重量%とアクリロニトリル25重量%との共重合体
(以下SANと記す)(Mn=17,000、水酸基価
=8.74mgKOH/g)1kg、ε−カプロラクト
ン500g、δ−バレロラクトン200g、溶媒としてキ
シレン5kgおよび触媒として塩化第1スズ0.50g
を仕込み、140℃にて10時間撹拌した。重合装置か
ら約5gのサンプリングを行い、このものをメタノール
中に投入して析出したポリマーを乾燥後、分子量、融点
等を測定した。なお、末端部に水酸基を有するスチレン
−アクリロニトリル共重合体は以下の方法により製造し
た。すなわち、n-ブチルリチウムを触媒としてシクロ
ヘキサン中、70℃でスチレンモノマーおよびアクリロ
ニトリルモノマーを共重合し、次いで、冷却して温度が
30℃に低下した時点でエチレンオキサイドを添加して
反応させることにより得られた重合体溶液をメタノール
中で沈殿させ、乾燥することにより得た。
【0056】実施例5 (SAN−ポリラクトンブロック共重合体(II)の製
造) 実施例4で得られたSAN−ポリ(ε−カプロラクト
ン)ブロック共重合体(I)のキシレンドープを80℃
まで冷却し、ピリジン4.00g を添加し続いて、アジ
ピン酸ジクロリド8.58g を添加し撹拌した。生成し
たピリジン塩酸塩を水洗し、その後ドープを15リット
ルのメタノール中に投入し、ポリマー粉体を析出させ、
水洗および乾燥を行い、SAN−ポリラクトンブロック
共重合体(II)1.41kgを得た。このものの数平均
分子量および分子量分布値を表1に記載する。走査型示
差熱量計測定で、実施例と同一の測定条件では融解ピー
クが観察されなかった。
【0057】 表 1 測定結果 実施例番号 物 性 1 2 3 4 5 数平均分子量 240,000 203,000 387,000 31,000 146,000 分子量分布 1.86 1.97 2.26 2.45 2.80 結晶相の融点(℃) 58 60 54 63 − (以下余白)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラジカル重合により得られるビニル重合
    体を主体とするブロックセグメント(A)とポリラクト
    ンを主体とするブロックセグメント(B)から構成さ
    れ、かつ下記(a)〜(d) (a)一般式(B−A−B)n (X)n-1 およびA−X(B−A−B−X)n A で表わされるブロック共重合体成分を合計して50重量
    %以上含有する、 A:ラジカル重合により得られるビニル重合体を主体と
    するブロックセグメント B:ポリラクトンを主体とするブロックセグメント X:分子内に水酸基と反応する官能基を2個以上有した
    結合剤の残基 n:1から10までの整数 (b)ブロックセグメント(A)部分の数平均分子量が
    1,000〜200,000 、 (c)ブロックセグメント(B)部分の数平均分子量が
    1,000〜200.000 、 (d)ブロック共重合体全体の数平均分子量が10,000〜
    500,000 を有することを特徴とする(ビニル重合体−
    ポリラクトン)ブロック共重合体。
  2. 【請求項2】 ポリラクトンを主体とするブロックセグ
    メント(B)に起因される結晶相を含有し、その融点が
    40〜150℃の範囲である請求項1記載の(ビニル重
    合体−ポリラクトン)ブロック共重合体。
  3. 【請求項3】 ポリラクトンを主体とするブロックセグ
    メント(B)の全構成成分の80重量%以上がε−カプ
    ロラクトンであり、結晶相の融点が50〜65℃の範囲
    である請求項1記載の(ビニル重合体−ポリラクトン)
    ブロック共重合体。
  4. 【請求項4】 ラジカル重合により得られるビニル重合
    体を主体とするブロックセグメント(A)の全構成成分
    の50重量%以上がスチレンである請求項1記載の(ビ
    ニル重合体−ポリラクトン)ブロック共重合体。
  5. 【請求項5】 ラジカル重合により得られるビニル重合
    体を主体とするブロックセグメント(A)の全構成成分
    の80重量%以上がメタクリル酸メチルである請求項1
    記載の(ビニル重合体−ポリラクトン)ブロック共重合
    体。
  6. 【請求項6】 ラジカル重合により得られるビニル重合
    体を主体とするブロックセグメント(A)の全構成成分
    に対して、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの占め
    る割合が0.1〜5重量%の範囲である請求項1記載の
    (ビニル重合体−ポリラクトン)ブロック共重合体。
  7. 【請求項7】 分子内に水酸基と反応する官能基を2個
    以上有した結合剤がホスゲン、二塩基酸二塩化物、ジイ
    ソシアネート化合物、ジエポキシ化合物、ジオキサゾリ
    ン化合物から選択される請求項1記載の(ビニル重合体
    −ポリラクトン)ブロック共重合体。
  8. 【請求項8】 ラジカル重合により得られるビニル重合
    体を主体とするブロックセグメント(A)が、2−ヒド
    ロキシメタクリレート0.1〜2重量%とメタクリル酸
    メチル80重量%以上とから構成され、ポリラクトンを
    主体とするブロックセグメント(B)の全構成成分の8
    0重量%以上がε−カプロラクトンであり、一般式B−
    A−Bで表わされるブロック共重合体成分を50重量%
    以上含有する数平均分子量が50,000〜500,000 、結晶相
    の融点が50〜65℃の範囲である請求項1記載の(ビ
    ニル重合体−ポリラクトン)ブロック共重合体。
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