JPH08259625A - 高水酸基価ラクトン重合体およびその製造方法 - Google Patents

高水酸基価ラクトン重合体およびその製造方法

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JPH08259625A
JPH08259625A JP8765595A JP8765595A JPH08259625A JP H08259625 A JPH08259625 A JP H08259625A JP 8765595 A JP8765595 A JP 8765595A JP 8765595 A JP8765595 A JP 8765595A JP H08259625 A JPH08259625 A JP H08259625A
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polymer
lactone
monomer
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molecule
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JP8765595A
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Ichiji Watanabe
一司 渡辺
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 粘着剤、接着剤、硬化物材料、増粘剤、潤滑
油、ポリマー可塑剤、塗料、各種バインダー、生分解性
用途および医療用途等広範囲に利用可能な高水酸基価ラ
クトン重合体、およびその製造方法を提供する。 【構成】 下記一般式(1)で表され、重合体1g当り
の水酸基モル数が1×10-4〜1×10-2mol、分子
当りの水酸基数が10〜5,000個、かつ、数平均分
子量が20,000〜2,000,000の範囲である
高水酸基価ラクトン重合体、および分子当たり10〜
5,000個の水酸基を有する重合体(A)とラクトン
単量体(B)からなる混合物と重合触媒とを溶融混練す
る前記高水酸基価ラクトン重合体の製造方法。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多分岐型で、水酸基価
の高いラクトン重合体およびその製造方法に関する。更
に詳しくは、粘着剤、接着剤、硬化物材料、増粘剤、潤
滑油、ポリマー可塑剤、塗料、各種バインダー、生分解
性用途および医療用途等広範囲に利用可能な高水酸基価
ラクトン重合体、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、分子内に水酸基を有するエポキシ
樹脂に、ラクトン単量体を付加重合することにより、樹
脂を変性し、樹脂の可撓性を向上させることができるこ
とが知られている。例えば、特公昭62−1607号公
報、特公昭63−20252号公報においては、ビスフ
ェノールAとエピクロロヒドリンから得られるエポキシ
樹脂に対して、ε−カプロラクトン単量体を付加重合す
ることにより、エポキシ樹脂の可撓性が向上し、これら
の樹脂は硬化後にも割れ難くなることが記載されてい
る。
【0003】また、原料樹脂にラクトン単量体を付加重
合し、グラフトポリマーやブロックポリマーを製造する
方法として、本発明者らは、さきに、検討結果を特開平
3−52950号公報、特開平3−134011号公報
においてスチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト系共重合体を主鎖ポリマー、ポリカプロラクトンをグ
ラフト鎖とするグラフトポリマーを提案した。更に、特
願平6−164560号明細書、特願平6−25124
1号明細書では、末端に水酸基を1〜2個または5〜5
0個有するポリスチレンにラクトン単量体を付加重合し
て、直鎖状またはほうき状のブロックポリマーを製造す
る方法を提案した。
【0004】本発明者らは、更にまた、特願平6−31
1305号明細書において、ポリビニルアルコールにラ
クトン単量体を付加重合したラクトン変性ポリビニルア
ルコールの物性、製造方法およびその用途について提案
した。上記のラクトン変性重合体はすべて、変性前の原
料ポリマーとポリラクトンとの中間的な物性を示し、変
性前の原料ポリマーが有する物性や機能を、ポリラクト
ンに対し付与することができることが分かった。
【0005】一方、本発明者らは、上記提案の外に、ポ
リラクトンの製造する際に、開始剤として、分子鎖中に
水酸基を有するポリマーを用いる提案を行った。例え
ば、特開平6−192410号公報では、開始剤とし
て、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを使用し、共
重合またはグラフト化したポリマーを製造する例を提案
した。また、特願平6−47384号明細書では、3官
能以上の多官能開始剤から、ラクトン単量体を付加重合
する分岐ポリラクトンを製造する例、および開始剤とし
て、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の分
子内にラジカル重合性二重結合と水酸基の両方を有した
化合物のオリゴマーを使用し、他のラジカル重合性モノ
マーとの共重合体および各種ポリマーへのグラフト変性
体、例えば、糖、澱粉およびセルロース等のグラフト変
性体を製造する例を提案した。
【0006】しかしこれら提案にかかる方法において
は、溶融粘度が高いポリラクトンを得ることが重要であ
り、実際には、開始剤としては、トリメチロールプロパ
ンやペンタエリスリトール等の分子内に3〜4個の官能
基を有する開始剤を用いており、分子内に10個以上の
官能基を有するポリマーを、ポリラクトン製造用の開始
剤に用いることについては、ほとんど未検討であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、その
後、ラクトン単量体を重合し、新たな機能および用途を
有するポリラクトンを提供することを目的として、さら
に検討を継続した結果、開始剤として、分子内に10個
以上の水酸基を有する特定の原料重合体を少量用いるこ
とによって、重合体1g当りの水酸基モル数と、分子当
りの水酸基数が特定の範囲にあり、かつ、数平均分子量
が特定の範囲にある高水酸基価ラクトン重合体を得るこ
とができるとの知見を得た。このように分子内に多くの
水酸基を有する重合体は柔軟であることから、粘着剤、
接着剤、硬化物材料、硬化物シート、硬化物フィルム等
の成形体、重合体可塑剤、塗料用、生分解用、および医
療用等などの広い用途に使用される。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、下
記一般式(1)で表される重合体1g当りの水酸基モル
数が1×10-4〜1×10-2mol、分子当りの水酸基
数が10〜5,000個、かつ、数平均分子量が20,
000〜2,000,000の範囲である高水酸基価ラ
クトン重合体を提供するものである。また、高水酸基価
ラクトン重合体を製造するにあたり、分子内に10〜
5,000個の水酸基を有する下記一般式(2)で表さ
れる重合体(A)0.1〜30重量%、および下記一般
式(3)で表されるラクトン単量体(B)99.9〜7
0重量%からなる混合物(A+B)100重量部に対し
て、重合触媒0.001〜0.1重量部を溶融混練する
ことを特徴とする前記高水酸基価ラクトン重合体の製造
方法を提供するものである。また、重合体(A)が、完
全もしくは部分ケン化されたポリビニルアルコール、2
−ヒドロキシエチルメタクリレートとメチルメタクリレ
ートまたはスチレンとの共重合体より選ばれたものであ
る前記高水酸基価ラクトン重合体の製造方法を提供する
ものである。また、ラクトン単量体(B)がε−カプロ
ラクトンである前記高水酸基価ラクトン重合体の製造方
法を提供するものである。さらに下記一般式(4)で表
され、重合体1g当りの水酸基モル数が1×10-4〜1
×10-2mol、分子当りの水酸基数が200〜5,0
00個、かつ、数平均分子量が20,000〜2,00
0,000の範囲であることを特徴とする高水酸基価ラ
クトン重合体を提供するものである。なお、一般式
(4)におけるX、YおよびZに対応するa、bおよび
cはおよそ0≦a≦1,000、200≦b≦5,00
0および0≦c≦500の各範囲となる。本発明を詳細
に説明する。
【0009】
【化5】
【0010】
【化6】
【0011】
【化7】
【0012】
【化8】
【0013】本発明に係る高水酸基価ラクトン重合体
は、例えば前記一般式(2)で表される重合体(A)
と、前記一般式(3)表されるラクトン単量体(B)と
を原料として製造することができる。重合体(A)は、
分子内に10〜5,000個の水酸基を有する重合体で
あり、ラクトン単量体(B)を重合する際の開始剤とし
ての機能を果たす。
【0014】前記重合体(A)の具体例としては、完全
もしくは部分ケン化されたポリビニルアルコール、また
は、2−ヒドロキシエチル(メタ)クリレート等の分子
内にラジカル重合性二重結合と水酸基の両方を有する化
合物のオリゴマー、前記化合物と他のラジカル重合性モ
ノマーとの共重合体および前記化合物の各種重合体への
グラフト変性体、ポリジエン化合物の水和物、ポリアミ
ドのエチレンオキシド変性物、ポリフェノールのエチレ
ンオキシド変性物、ポリビニルアルコールのエチレンオ
キシド変性物、ポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ
樹脂と称される高分子量のビスフェノールAとエピクロ
ロヒドリンとの縮合物、多糖、澱粉およびセルロース等
が挙げられる。中でも、完全もしくは部分ケン化された
ポリビニルアルコール、または、2−ヒドロキシエチル
メタクリレートとメチルメタクリレートまたはスチレン
との共重合体が好ましい。
【0015】重合体(A)は、分子当たり10〜5,0
00個の水酸基数を有する必要がある。水酸基数が10
個未満では、水酸基量が少なく、接着剤、硬化物材料、
塗料等に使用する際の反応性が低く、逆に5,000個
を上回る重合体は、製造が困難であるので実用的でな
く、いずれも好ましくない。分子内の水酸基数は、上記
範囲で好ましいのは50〜3,000個、特に好ましい
のは100〜2,000個の範囲である。
【0016】上記分子内の水酸基数は、理論値を計算に
よって算出するか、または、定量分析法による測定値に
基づき算出することができる。定量分析法は、無水フタ
ル酸のピリジン溶液に試量を溶解し、加熱することによ
り、試量中の水酸基から無水フタル酸を開環させ、生成
するカルボン酸成分を、標準水酸化ナトリウム水溶液を
用い滴定する方法である。
【0017】一般式(3)で表されるラクトン単量体
(B)は、高水酸基価ラクトン重合体製造用のラクトン
単量体である。ラクトン単量体(B)の具体例として
は、ε−カプロラクトン、4−メチルカプロラクトン等
のメチル化カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−
メチル−δ−バレロラクトン、β−プロピオラクトン、
およびこれら2種以上の混合物が挙げられる。中でも好
ましいのは、工業的に多量製造されているε−カプロラ
クトンである。
【0018】本発明の高水酸基価ラクトン重合体は、上
記の重合体(A)と、ラクトン単量体(B)とを、重合
触媒の存在下、付加重合することにより得られる。ここ
で使用できる重合触媒とは、ラクトン単量体の開環付加
重合触媒をいう。具体的には、無機塩基、無機酸、有機
アルカリ金属触媒、スズ化合物、チタン化合物、アルミ
ニウム化合物、亜鉛化合物、モリブデン化合物およびジ
ルコニウム化合物等が挙げられる。中でも、取り扱い易
さ、低毒性、反応性、無着色性、熱安定性等のバランス
からスズ化合物、チタン化合物が好ましく用いられる。
スズ化合物としては、具体的には塩化第一スズ、オクチ
ル酸第一スズ、モノブチルスズオキシド、モノブチルス
ズトリス(2−エチルヘキサネート)等のモノブチルス
ズ化合物、ジブチルスズオキシド等のジブチルスズ化合
物、またチタン化合物としては、テトラブチルチタネー
ト、テトラ−イソプロピルチタネート等が挙げられる。
これらは単独でも、混合物であってもよい。
【0019】重合体(A)とラクトン単量体(B)との
混合割合は、両者の合計100重量部のうち重合体
(A)の占める割合が0.1〜30重量%とする。重合
体(A)の占める割合が0.1重量%未満では、水酸基
量が少なく、接着剤、硬化物材料、塗料等に使用するメ
リットが失われ、逆に30重量%を上回とラクトン重合
体としての性質、特に柔軟性がなくなり、粘着剤、接着
剤、塗料、重合体可塑剤等に使用するメリットが失われ
好ましくない。重合体(A)の占める割合は、上記範囲
では1〜15重量%が好ましく、中でも特に好ましいの
は2〜10重量%の範囲である。
【0020】重合触媒の添加量は、両原料の合計100
重量部に対して0.001〜0.1重量部である。上記
触媒量が0.001重量部を下回る場合には、ラクトン
単量体の重合速度が遅く、逆に0.1重量部を上回る場
合には、得られたラクトン重合体に着色が生じたり、熱
安定性が低下することがあるため好ましくない。触媒の
添加量は、上記範囲では0.002〜0.05重量部が
好ましく、中でも特に好ましいのは0.005〜0.0
1重量部である。
【0021】重合温度は、通常50〜250℃の範囲で
ある。50℃を下回る場合には、ラクトン単量体の重合
速度が遅く、逆に250℃を上回る場合には、ラクトン
重合体の熱分解反応が発生し、着色したり、分解物が生
成するため好ましくない。重合温度は、上記範囲では1
00〜220℃が好ましく、中でも特に好ましいのは1
60〜200℃の範囲である。
【0022】本発明に係る高水酸基価ラクトン重合体を
製造するには、上記2種類の原料、および重合触媒の各
成分を所定量秤量し、溶融混練する。溶融混練は、各成
分を加熱溶融して混合することであり、このために使用
できる混練機は、従来から知られている溶融混練機が制
限なく使用できる。具体的には、攪拌羽根式バッチ型混
練機、ニーダー型混練機、押出機等のスクリュー型混練
機、スタティックミキサー型混練機、およびこれらの装
置を直列に連結して使用した構造のものなどを挙げるこ
とができる。
【0023】各成分を溶融混練機によって混練する際に
は、原料および重合触媒の各成分の添加順序、添加方法
には全く制限はない。ただ、原料および重合触媒に含有
される水分量は0.5重量%以下とするのが好ましい。
原料および重合触媒に含有される水分量が0.5重量%
を上回ると、水分からのラクトン単量体の付加重合が起
こり、ラクトンオリゴマーが生成するため、用途によっ
ては機能に障害が生じることがあり好ましくない。原料
および重合触媒に含有される水分量の特に好ましい量
は、0.05重量%以下である。
【0024】上記の方法によって製造される本発明の高
水酸基価ラクトン重合体の構造は、上記一般式(1)で
表される。式中のLとMは前記原料である重合体(A)
に由来する各種残基を表す。すなわち、式中のLは水酸
基を有しない任意の単量体構造単位または任意の水酸基
を有しない構造単位であり、一種類には限られない。こ
れらの具体例としては、スチレンなどの芳香族単量体構
造単位、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、ア
クリル酸等のアクリル系単量体構造単位、ブタジエンな
どのジエン単量体構造単位、酢酸ビニル、塩化ビニル等
のビニル単量体構造単位、エチレンなどのオレフィン単
量体構造単位、アセタール化されたビニルアルコール単
量体構造単位およびフェニレンオキシド構造単位等が例
示できる。また、式中のMは分子中に水酸基を有する単
量体残基または水酸基を有する構造単位であり、一種類
には限られない。具体的には、酢酸ビニルのケン化によ
り生成するビニルアルコール単量体残基、2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート単量体残基、2−ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート単量体残基、4−ヒ
ドロキシブチル(メタ)アクリレート単量体残基、6−
ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート単量体残基、
4−ヒドロキシブチルビニルエーテル単量体残基、エピ
クロロヒドリンとビスフェノールAとの反応体残基、エ
チレンオキシドの反応体残基などが例示できる。あるい
はまた、LとMは一緒になって前記原料となる重合体
(A)に由来するその他の各種残基を表す。なお、式中
のa、b、cおよびnは平均重合度を示し、0≦a≦
1,000、10≦b≦5,000、0≦c≦1,00
0および2≦n≦100の範囲である。
【0025】上記の範囲は、樹脂1g当たりの水酸基モ
ル数、分子当たりの水酸基数および数平均分子量が本発
明で規定する範囲に含まれることを前提とし、設定され
る。本発明の高水酸基価ラクトン重合体の開始剤である
分子内に10〜5,000の水酸基を有する重合体
(A)が完全ケン化もしくは部分ケン化ポリビニルアル
コールである場合のa、b、cおよびnの範囲としては
0≦a≦500、100≦b≦5,000、0≦c≦
2,000および2≦n≦100の範囲が上記規定範囲
となる。式中のR1は炭素数2〜10のアルキレン基で
あり、具体的にはエチレン基、ブチレン基、メチル化ブ
チレン基、ペンチレン基、メチル化ペンチレン基等が例
示できるが、工業的に最も有益なε−カプロラクトンの
場合は、ペンチレン基に対応する。
【0026】また、上記の方法によって製造される高水
酸基価ラクトン重合体は、樹脂1g当りの水酸基モル数
が1×10-4〜1×10-2mol、分子当りの水酸基数
が10〜5,000個、かつ、数平均分子量が20,0
00〜2,000,000の範囲であることが必要であ
る。
【0027】高水酸基価ラクトン重合体(樹脂)1g当
りの水酸基モル数が1×10-4mol未満では、水酸基
量が少なく接着剤、硬化物材料、塗料等に使用するメリ
ットが失われ、逆に1×10-2molを上回ると、ラク
トン重合体としての性質、特に柔軟性がなくなり、粘着
剤、接着剤、塗料、重合体可塑剤等に使用するメリット
が失われるため好ましくない。樹脂1g当りの水酸基モ
ル数は、上記範囲では好ましいのは5×10-4〜5×1
-3molであり、中でも特に好ましいのは8×10-4
〜3×10-3molの範囲である。
【0028】樹脂1g当りの水酸基モル数は、理論値を
計算によって算出するか、または、定量分析法による測
定値に基づき算出することができる。定量分析法は、無
水フタル酸のピリジン溶液に試量を溶解し、加熱するこ
とにより、試量中の水酸基から無水フタル酸を開環さ
せ、生成するカルボン酸成分を、標準水酸化ナトリウム
水溶液を用いて滴定する方法である。本発明に係る高水
酸基価ラクトン重合体の分子当りの水酸基数は、基本的
には、使用する開始剤{分子内に水酸基を有する重合体
(A)}中の水酸基数と等しく、10〜5,000個で
ある。
【0029】本発明に係る高水酸基価ラクトン重合体
は、その数平均分子量は20,000〜2,000,0
00である。数平均分子量が20,000未満の場合
は、水酸基量とラクトン単量体の付加量のバランスがく
ずれ、水酸基量が少なくなる、もしくはラクトン重合体
としての性質、特に柔軟性が失われるため、好ましくな
い。逆に、2,000,000を上回る場合には、粘度
が高くなりすぎるため成形加工性が低下する等の問題が
生じ、好ましくない。数平均分子量は上記範囲では、5
0,000〜1,000,000が好ましく、中でも特
に好ましいのは100,000〜500,000の範囲
である。ここで、数平均分子量は、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)法による測定値を、標
準ポリスチレンに換算した数平均分子量が最も簡便で好
ましく用いられる。
【0030】本発明に係る高水酸基価ラクトン重合体
は、ラクトン成分鎖の数や重合度によって、無色透明の
液体から透明粘土状、ワックス状、白色結晶固体状等様
々の形態を呈する。用途によって、分子内に水酸基を有
する重合体(A)の水酸基の数等の組成、構造分子量
と、前記重合体(A)とラクトン単量体(B)との組成
割合を制御することにより調整することが望ましい。
【0031】また、本発明に係る高水酸基価ラクトン重
合体は、用途によって有機溶媒、重合性モノマー、硬化
剤、触媒、安定剤等の任意の物質と混合して使用するこ
とも問題なくできる。さらに、用途によっては、無水酢
酸、無水琥珀酸等の酸無水物、エピクロロヒドリン、
(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、グ
リシジル(メタ)アクリレート、ジケテン、ヘキサメチ
ルジシラザン等の水酸基変性剤を適量添加することによ
り、全部または一部の水酸基を変性することもできる。
【0032】本発明に係る高水酸基価ラクトン重合体
は、粘着剤、接着剤、硬化物材料、増粘剤、潤滑油、重
合体可塑剤、塗料、各種バインダー、生分解性用途およ
び医療用途等広範囲に利用可能である。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳細に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これら実
施例の記載に限定されるものではない。以下の実施例に
おいて、生成物の分析は、以下に記載の方法によって行
ったものである。
【0034】(分析方法) (1)数平均分子量 使用機器:島津製作所(株)製 クロマトパックC−R
4A 使用カラム:昭和電工(株)製 shodex GPC
KF−800P,KF−804,KF8025,KF
−801 測定条件:使用溶媒=THF,温度=50℃ 分子量は、まず分子量の明確なポリスチレンで検量線を
作成し、次いで同様に生成物について測定し、この測定
値を普遍較正法により換算する方法によった。 (2)分子当りの理論水酸基数(個) (3)樹脂1g当りの理論水酸基モル数(mol/g) (4)樹脂1g当りの測定水酸基モル数(mol/g)
【0035】(樹脂1g当りの水酸基モル数の算出)
【0036】
【数1】
【0037】以下の例で得られた高水酸基価ラクトン重
合体のおよそ0.5gを精秤し、容量200mlの共栓
付三角フラスコに秤り取り、無水フタル酸のピリジン溶
液(無水フタル酸42g/ピリジン300ml)25m
lを、ホールピペットで正確に加える。これにエアコン
デンサーを付け98±2℃の定温浴中で、時々穏やかに
振とうしながら1時間加熱した。定温浴から取り出し室
温になるまで放置し、10mlのピリジンでエアコンデ
ンサーおよびフラスコ壁の付着物を、共栓付三角フラス
コに洗い落とした。あらかじめ力価を測定した0.5N
水酸化ナトリウム標準溶液50mlをホールピペットで
正確に加え、フェノールフタレインを指示薬として、上
記0.5N水酸化ナトリウム標準溶液で滴定し、紅色が
30秒間保つ点を終点とした。同一条件によって、空実
験を行った。また、各実施例で得られた高水酸基価ラク
トン重合体のアセトン溶液を、上記0.5N水酸化ナト
リウム標準溶液で滴定し、樹脂1g当りの酸のモル数
(AV)、樹脂1g当りの水酸基モル数(HV)を算出
した。
【0038】[実施例1]攪拌機、温度調節装置、温度
計、還流冷却器を備えた容量1リットルのガラスフラス
コに、ポリビニルアルコール{クラレ(株)製「PVA
−403」、ケン化度81.5±1.5、重合度30
0}100g、ε−カプロラクトン900g、および重
合触媒のモノブチルスズトリス(2−エチルヘキサネー
ト)0.05を仕込んだ。フラスコ内温を160℃に昇
温し、この温度で3時間溶融混練を行った。 溶融混練
後に得られた生成物は、白色のワックス状を呈してい
た。このものの数平均分子量、1分子当りの理論水酸基
数、樹脂1g当りの理論水酸基モル数、および実験例に
記載する測定水酸基モル数を、表−1に記載する。なお
計算値であるが、酢酸ビニル構造単位(Lに相当)の平
均重合度aは60、ε−カプロラクトンが付加重合した
(平均重合度は6.1)ビニルアルコール構造単位に相
当する平均重合度bは170、ビニルアルコール構造単
位に相当する重合度cは70である。
【0039】[実施例2]実施例1に記載の例におい
て、ポリビニルアルコールを{クラレ(株)製「PVA
−117」、ケン化度98.5±0.5、重合度1,7
00}に変更した以外は、同例と同様な手順で仕込み、
同温度、同時間溶融混練した。溶融混練後に得られた生
成物は、透明高粘液体であった。生成物につき、実施例
1におけると同様に分析した結果を、表−1に記載す
る。なお計算値であるが、酢酸ビニル構造単位(Lに相
当)の平均重合度aは20、ε−カプロラクトンが付加
重合した(平均重合度は5.0)ビニルアルコール構造
単位に相当する平均重合度bは1180、ビニルアルコ
ール構造単位に相当する重合度cは500である。
【0040】[実施例3]攪拌機、温度調節装置、温度
計、還流冷却器を備えた容量1リットルのガラスフラス
コに、スチレン−2−ヒドロキシエチルメタクリレート
共重合体(モル比1:1、数平均分子量7400)50
g、ε−カプロラクトン950gおよび重合触媒の塩化
第2スズ0.02gを仕込んだ。フラスコ内温を160
℃に昇温し、この温度で4時間溶融混練を行った。溶融
混練後に得られた高水酸基価ラクトン重合体は、白色結
晶状固体であった。生成物につき、実施例1におけると
同様に分析した結果を、表−1に記載する。なお計算値
であるが、スチレン構造単位(Lに相当)の平均重合度
aは32、ε−カプロラクトンが付加重合した(平均重
合度は38.5)2−ヒドロキシエチルメタクリレート
構造単位に相当する平均重合度bは32、2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート構造単位に相当する重合度cは
0である。
【0041】
【表1】
【0042】表−1より、実施例1〜実施例3で得られ
た生成物は、樹脂1g当たりの水酸基モル数、分子当り
の水酸基数(個)、および数平均分子量の各々とも、本
発明で規定する範囲内にあることが分かる。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば多分岐型で水酸基価の高
いラクトン重合体を得ることができる。この高水酸基価
ラクトン重合体は、単位重量当たりの水酸基モル数、単
位分子当たりの水酸基数、数平均分子量のバランスに優
れるため、粘着剤、接着剤、硬化物材料、増粘剤、潤滑
油、ポリマー可塑剤、塗料、各種バインダー、生分解性
用途および医療用途等広範囲に利用することができる。
また、本発明によれば、高水酸基価ラクトン重合体を容
易かつ確実に製造することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表され、重合体1g
    当りの水酸基モル数が1×10-4〜1×10-2mol、
    分子当りの水酸基数が10〜5,000個、かつ、数平
    均分子量が20,000〜2,000,000の範囲で
    あることを特徴とする高水酸基価ラクトン重合体。 【化1】
  2. 【請求項2】 分子当たり10〜5,000個の水酸基
    を有する下記一般式(2)で表される重合体(A)0.
    1〜30重量%、および下記一般式(3)で表されるラ
    クトン単量体(B)99.9〜70重量%からなる混合
    物(A+B)100重量部に対して、重合触媒0.00
    1〜0.1重量部を溶融混練することを特徴とする請求
    項1記載の高水酸基価ラクトン重合体の製造方法。 【化2】 【化3】
  3. 【請求項3】 重合体(A)が、完全もしくは部分ケン
    化されたポリビニルアルコール、または2−ヒドロキシ
    エチルメタクリレートとメチルメタクリレートまたはス
    チレンとの共重合体より選ばれたものである請求項2に
    記載の高水酸基価ラクトン重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 ラクトン単量体(B)がε−カプロラク
    トンである請求項2または請求項3に記載の高水酸基価
    ラクトン重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 下記一般式(4)で表され、重合体1g
    当りの水酸基モル数が1×10-4〜1×10-2mol、
    分子当りの水酸基数が200〜5,000個、かつ、数
    平均分子量が20,000〜2,000,000の範囲
    であることを特徴とする高水酸基価ラクトン重合体。 【化4】
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EP95402196A EP0704470A3 (en) 1994-09-30 1995-09-29 Lactone-modified polyvinyl alcohol, process for its preparation; Resin composition; Permanent anti-electrostatic resin composition, lactone-modified hydroxyl resin and process for its production
US08/774,675 US5712334A (en) 1994-09-30 1996-12-26 Lacton-modified polyvinyl alcohol and permanently anti-static resin composition

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005132871A (ja) * 2003-10-28 2005-05-26 Three M Innovative Properties Co ポリカプロラクトンジオールを含有するインク塗料及び装飾用フィルム

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