JPH08335516A - 薄膜の積層構造および磁気ヘッドおよび磁気記録装置 - Google Patents

薄膜の積層構造および磁気ヘッドおよび磁気記録装置

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JPH08335516A
JPH08335516A JP14097395A JP14097395A JPH08335516A JP H08335516 A JPH08335516 A JP H08335516A JP 14097395 A JP14097395 A JP 14097395A JP 14097395 A JP14097395 A JP 14097395A JP H08335516 A JPH08335516 A JP H08335516A
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JP
Japan
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thin film
laminated structure
magnetic
magnetic head
crystalline
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Application number
JP14097395A
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English (en)
Inventor
Fumiyoshi Kirino
文良 桐野
Moichi Otomo
茂一 大友
Yoshitsugu Koiso
良嗣 小礒
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基板の結晶構造が結晶性薄膜の結晶構造に与
える悪影響を遮断できる薄膜の積層構造を提供する。 【構成】 Mn−Znフェライト単結晶基板(MnO/
ZnO=1.5,結晶方位(332))10a上に厚さ
10nmのCr23非晶質層10bを形成し、そのCr
23非晶質層10b上に厚さ5μmのFe-Ta-C-Al
合金結晶性薄膜10cを形成した薄膜の積層構造10。 【効果】 Cr23非晶質層10bによりMn−Znフ
ェライト単結晶基板10aの結晶構造がFe-Ta-C-
Al合金結晶性薄膜10cの結晶構造に与える悪影響を
遮断でき、Fe-Ta-C-Al合金結晶性薄膜10cの配
向性を制御でき、良好な軟磁性特性を得ることが出来
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜の積層構造および
磁気ヘッドおよび磁気記録装置に関し、更に詳しくは、
基板の結晶構造に影響されない結晶構造を有する薄膜の
積層構造およびその薄膜の積層構造を用いた磁気ヘッド
およびその磁気ヘッドを用いた磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の高度情報化社会の進展にともな
い、小型でしかも高密度な記憶装置へのニーズが高まっ
ている。記憶装置の中で磁気記録装置は、高密度記録,
ダウンサイジングへの研究が急速に進められている。磁
気記録装置において高密度記録を実現するためには、記
録した微小磁区が安定に存在できるように高保磁力を有
する磁気情報記録媒体と、この高保磁力の磁気情報記録
媒体を十分に磁化して信号を記録するために強い磁界を
発生できるように高飽和磁束密度を有する磁気ヘッドが
必要となる。
【0003】このような高飽和磁束密度を有する磁気ヘ
ッドを作製するための薄膜材料としては、Fe−C系や
Fe−N系の材料が知られている。また、例えば特開平
3−265104号公報では、Fe-Cr-M-C系(M
はTa,Hfなど)やFe-T-Cr-M-C系(TはCo
またはNi)の材料が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】薄膜材料の組成が同じ
でも結晶構造により特性が変化する。例えば、軟磁性特
性が変化し、これを用いた磁気ヘッドの記録特性や消去
特性が変化する。従って、所望の特性を得るためには、
薄膜材料の組成ばかりでなく、結晶構造に対する検討が
必要である。しかし、従来、結晶構造に対する検討は十
分なされてはいなかった。例えば、上記の特開平3−2
65104号公報では、結晶粒子サイズについての検討
はなされているが、結晶成長的な観点からの検討はなさ
れていなかった。このため、必ずしも所望の特性を有す
る薄膜が得られるとは限らない問題点があった。例え
ば、熱処理や磁気ヘッド作製時のボンディング温度によ
る結晶成長の悪影響によって本来のFe−C系やFe−
N系の材料が有する高飽和磁束密度が得られず、磁気ヘ
ッドの性能が低下して、高密度記録ができない場合があ
った。そこで、本発明の第1の目的は、結晶成長的な観
点から所望の特性が得られるようにした薄膜の積層構造
を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、
上記薄膜の積層構造を用いることによって優れた記録特
性が得られるようにした磁気ヘッドを提供することにあ
る。また、本発明の第3の目的は、上記磁気ヘッドを用
いることによって高密度記録を可能にした磁気記録装置
を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】第1の観点では、本発明
は、単結晶の基板上に下地層を形成し、その下地層の上
に結晶性薄膜を形成し、前記基板と前記結晶性薄膜の間
の結晶学的なつながりを前記下地層により制御したこと
を特徴とする薄膜の積層構造を提供する。
【0006】第2の観点では、本発明は、上記構成の薄
膜の積層構造において、前記下地層の厚さを調整するこ
とにより、前記結晶性薄膜の結晶構造を制御したことを
特徴とする薄膜の積層構造を提供する。
【0007】第3の観点では、本発明は、上記構成の薄
膜の積層構造において、前記下地層が、非晶質層である
ことを特徴とする薄膜の積層構造を提供する。
【0008】第4の観点では、本発明は、上記構成の薄
膜の積層構造において、前記非晶質層が、酸化シリコ
ン,酸化クロム,酸化アルミニウム,窒化シリコン,窒
化アルミニウム,シリコン,クロム,アルミニウムの内
より選ばれる少なくとも1種類の元素または化合物であ
ることを特徴とする薄膜の積層構造を提供する。
【0009】第5の観点では、本発明は、上記構成の薄
膜の積層構造において、前記下地層が、前記基板の格子
定数および前記結晶性薄膜の格子定数と20%以上異な
る格子定数を有する結晶質層であることを特徴とする薄
膜の積層構造を提供する。
【0010】第6の観点では、本発明は、上記構成の薄
膜の積層構造において、前記結晶質層が、鉄クロム合金
であることを特徴とする薄膜の積層構造を提供する。
【0011】第7の観点では、本発明は、上記構成の薄
膜の積層構造において、前記下地層の厚さが5nm以
上,30nm以下であることを特徴とする薄膜の積層構
造を提供する。
【0012】第8の観点では、本発明は、上記構成の薄
膜の積層構造において、前記基板がフェライト基板であ
り、前記結晶性薄膜がFeまたはCoを主体とし、これ
にCまたはNの内より選ばれる少なくとも1種類の元素
と、Ta,Nb,Zr,Cr,Al,Ru,Rh,T
i,Siの内より選ばれる少なくとも1種類の元素とを
加えた合金であることを特徴とする薄膜の積層構造を提
供する。
【0013】第9の観点では、本発明は、上記構成の薄
膜の積層構造において、前記下地層が非晶質層であり、
前記結晶性薄膜のFeまたはCoの(110)面が優先
的に配向していることを特徴とする薄膜の積層構造を提
供する。
【0014】第10の観点では、本発明は、上記構成の
薄膜の積層構造を磁気ヘッドコアまたは磁気ヘッドコア
の一部に用いて磁気ヘッドを構成したことを特徴とする
磁気ヘッドを提供する。
【0015】第11の観点では、本発明は、上記構成の
磁気ヘッドにおいて、当該磁気ヘッドがメタル・イン・
ギャップ型であることを特徴とする磁気ヘッドを提供す
る。第12の観点では、本発明は、上記構成の磁気ヘッ
ドと、該磁気ヘッドに対して相対的に移動し磁気的性質
により情報を記録する磁気情報記録媒体とを具備するこ
とを特徴とする磁気記録装置を提供する。
【0016】第13の観点では、本発明は、上記構成の
磁気記録装置において、前記磁気情報記録媒体が、磁気
テープまたは磁気ディスクであることを特徴とする磁気
記録装置を提供する。
【0017】第14の観点では、本発明は、上記構成の
磁気記録装置において、前記情報が、画像情報または音
声情報の少なくとも一方であることを特徴とする磁気記
録装置を提供する。
【0018】
【作用】上記第1の観点による薄膜の積層構造では、単
結晶の基板と結晶性薄膜の間に下地層を介在させ、その
下地層により前記基板と前記結晶性薄膜の間の結晶学的
なつながりを制御する。この結果、前記基板の結晶構造
が前記結晶性薄膜の結晶構造に与える悪影響を遮断で
き、前記結晶性薄膜の配向性を制御でき、所望の特性を
得ることが出来る。なお、配向性の制御の外に、前記下
地層により前記基板と前記結晶性薄膜の接着性の向上を
図ることも可能になる。
【0019】上記第2の観点による薄膜の積層構造で
は、前記下地層の厚さを調整することにより、前記結晶
性薄膜の結晶構造を制御する。これにより、容易に結晶
性薄膜の結晶構造を制御できる。
【0020】上記第3の観点による薄膜の積層構造で
は、前記下地層として非晶質層を用いる。これにより、
基板と結晶性薄膜の間の結晶学的なつながりを切断でき
る。
【0021】上記第4の観点による薄膜の積層構造で
は、前記非晶質層として、酸化シリコン,酸化クロム,
酸化アルミニウム,窒化シリコン,窒化アルミニウム,
シリコン,クロム,アルミニウムの内より選ばれる少な
くとも1種類の元素または化合物を用いる。これらを用
いれば、フリーな酸素の悪影響を抑制できる。
【0022】上記第5の観点による薄膜の積層構造で
は、前記下地層として前記基板の格子定数および前記結
晶性薄膜の格子定数と20%以上異なる格子定数を有す
る結晶質層を用いる。格子定数が20%以上も異なる場
合には、基板と結晶性薄膜の間の結晶学的なつながりを
切断できる。
【0023】上記第6の観点による薄膜の積層構造で
は、前記結晶質層として、鉄クロム合金を用いる。これ
を用いれば、前記基板に対する良好な接着性が得られ
る。
【0024】上記第7の観点による薄膜の積層構造で
は、前記下地層の厚さを5nm以上,30nm以下とす
る。厚さを5nm以上とすることにより、基板と結晶性
薄膜の間の結晶学的なつながりを切断できる。また、厚
さを30nm以下とすることにより、磁気ヘッドに用い
た場合において、薄膜の積層構造が擬似ギャップとなる
のを回避できる。
【0025】上記第8の観点による薄膜の積層構造で
は、前記基板としてフェライト基板を用いる。また、前
記結晶性薄膜としてFeまたはCoを主体とし、これに
CまたはNの内より選ばれる少なくとも1種類の元素
と、Ta,Nb,Zr,Cr,Al,Ru,Rh,T
i,Siの内より選ばれる少なくとも1種類の元素とを
加えた合金を用いる。これにより、良好な軟磁性特性が
得られ、磁気ヘッドを作製した場合、記録,消去,再生
特性の向上を図ることが出来る。
【0026】上記第9の観点による薄膜の積層構造で
は、前記下地層として非晶質層を用いる。また、前記結
晶性薄膜のFeまたはCoの(110)面が優先的に配
向させている。これにより、良好な軟磁性特性が得られ
る。
【0027】上記第10の観点による磁気ヘッドでは、
上記構成の薄膜の積層構造を磁気ヘッドコアまたは磁気
ヘッドコアの一部に用いて磁気ヘッドを構成する。上記
薄膜の積層構造により磁性薄膜を形成するため、高飽和
磁束密度が得られ、高密度記録が可能となる。上記第1
1の観点による磁気ヘッドでは、当該磁気ヘッドをメタ
ル・イン・ギャップ型とする。これにより、高密度記録
可能な磁気ディスクを安価に実現できる。
【0028】上記第12の観点による磁気記録装置で
は、上記構成の磁気ヘッドと、該磁気ヘッドに対して相
対的に移動し磁気的性質により情報を記録する磁気情報
記録媒体とを具備する。上記磁気ヘッドを用いるため、
高密度記録が可能となる。
【0029】上記第13の観点による磁気記録装置で
は、磁気情報記録媒体として、磁気テープまたは磁気デ
ィスクを用いる。磁気テープを用いることにより、安価
に大容量の情報記録が可能となる。また、磁気ディスク
を用いることにより、大容量の記録情報に高速にアクセ
スできる。
【0030】上記第14の観点による磁気記録装置で
は、画像情報または音声情報の少なくとも一方を磁気記
録する。画像情報または音声情報の記録には大容量が必
要であるが、これに好適に対応できるようになる。
【0031】
【実施例】以下、本発明を詳細に説明する。なお、これ
により本発明が限定されるものではない。
【0032】−実施例1− 図1に示すように、実施例1の薄膜の積層構造10は、
Mn-Zn フェライト単結晶基板(MnO/ZnO=
1.5,結晶方位(332))10a上に厚さ10nm
のCr23非晶質層10bを形成し、そのCr23非晶
質層10b上に厚さ5μmのFe-Ta-C-Al合金結晶
性薄膜10cを形成したものである。
【0033】Cr23非晶質層10bの成膜にはスパッ
タ法を用いた。スパッタのターゲットには、Cr23
粉体をHIP法(熱間静圧プレス法)により成型したも
のを用いた。放電ガスにはArを用いた。スパッタの条
件は、放電ガス圧力:5mTorr、投入RF電力:400
W/150mmφである。Fe-Ta-C-Al合金結晶性
薄膜10cの成膜にはスパッタ法を用いた。スパッタの
ターゲットには、Fe,Ta,C,Alの各元素の粉体
をHIP法により成型したものを用いた。ターゲットの
組成は〔Fe79Ta81390Al10である。放電ガスに
はArを用いた。スパッタの条件は、放電ガス圧力:5
mTorr、投入RF電力:400W/150mmφであ
る。Fe-Ta-C-Al合金結晶性薄膜10cを成膜した
後、590℃で30分の熱処理を行なった。なお、HI
P法により成型したターゲットを用いると、得られた膜
の組成がターゲット組成とほぼ同じであり、また、膜中
の酸素濃度を低減できる利点がある。
【0034】図2は、上記薄膜の積層構造10の上記C
23非晶質層10b近傍のTEM(透過型電子顕微
鏡)図である。Cr23非晶質層10bにより、Mn−
Znフェライト単結晶基板10aとFe-Ta-C-Al合
金結晶性薄膜10cの結晶学的なつながりが切れてお
り、Mn-Znフェライト単結晶基板10aがFe-Ta
-C-Al合金結晶性薄膜10cの結晶成長に及ぼす影響
を除去できている。この結果、後で説明するように、F
e-Ta-C-Al合金結晶性薄膜10cは(110)面が
優先的に配向し、良好な軟磁気特性を示す。
【0035】図3は、X線回折法により調べた上記Fe
-Ta-C-Al合金結晶性薄膜10cの結晶構造特性図で
ある。結晶構造は、Feの(110)面がメインピーク
であった。この他、Feの(211)面および(20
0)面、TaCの(111)面および(220)面のピ
ークが観測された。Fe-Ta-C-Al合金結晶性薄膜1
0cの飽和磁束密度は1.4Tであった。保磁力は、
0.1(Oe)であった。透磁率は、1MHzにおける
値で5600であった。
【0036】[比較例1]比較例1として、Cr23
晶質層を介在させないでMn−Znフェライト単結晶基
板上にFe-Ta-C-Al合金結晶性薄膜を直接形成した
積層構造を作製した。図4は、X線回折法により調べた
比較例1のFe-Ta-C-Al合金結晶性薄膜の結晶構造
特性図である。結晶構造は、Feの(200)面がメイ
ンピークであった。この他、Feの(110)面および
(220)面、TaCについては非常にブロードではあ
るが(111)面および(200)面および(220)
面および(400)面のピークが観測された。Fe-T
a-C-Al合金結晶性薄膜の飽和磁束密度は1.4Tで
あった。保磁力は、3.0(Oe)であった。透磁率
は、1MHzにおける値で1250であった。
【0037】[比較例2]比較例2として、Mn−Zn
フェライト単結晶基板上に、Cr23非晶質層を4nm
の厚さで形成し、そのCr23非晶質層上にFe-Ta-
C-Al合金結晶性薄膜を形成した。図5は、X線回折法
により調べた比較例2のFe-Ta-C-Al合金結晶性薄
膜の結晶構造特性図である。結晶構造は、Feの(11
0)面がメインピークであった。この他、Feの(20
0)面および(211)面および(220)面、TaC
については(111)面および(220)面および(4
00)面のピークが観測された。Fe-Ta-C-Al合金
結晶性薄膜の飽和磁束密度は1.4Tであった。保磁力
は、1.05(Oe)であった。透磁率は、1MHzに
おける値で2500であった。
【0038】以上のことから、Mn-Znフェライト単
結晶基板10aとFe-Ta-C-Al合金結晶性薄膜1
0cの間にCr23非晶質層10bを介在させることに
より、Fe−Ta-C-Al合金結晶性薄膜10cの配向
性を制御できることが判った。そして、Cr23非晶質
層10bの厚さを変えて行った他の実験の結果から、C
23非晶質層10bの厚さを5nm以上とすることに
より優れた軟磁気特性(保磁力が小さく,透磁率が大き
い)が得られることが判った。なお、この薄膜の積層構
造10を磁気ヘッドに用いる場合において、Cr23
晶質層10bが擬似ギャップとならないために、Cr2
3非晶質層10bの厚さを30nm以下にすることが
好ましい。
【0039】−実施例2− 図6に、実施例2にかかるメタル・イン・ギャップ型の
磁気ヘッド100の構造を示す。この磁気ヘッド100
の作製は次のように行った。まず、表面を凹凸に溝加工
したMn−Znフェライト単結晶基板(2)上にCr2
3非晶質層を9nmの厚さで形成し、そのCr23
晶質層上にFe-Ta-C-Al合金結晶性薄膜を形成し、
軟磁性薄膜(1)の積層構造を作製した。次に、上記軟
磁性薄膜(1)上にSiO2層を200nmの厚さで形成
し、そのSiO2層上にCr層を100nmの厚さで形成
して、ギャップ部(3)を作製した。次に、窒素気流中
にて600℃で1時間熱処理し、ヘッド基板とした。次
に、同一形状の前記ヘッド基板を低融点ガラス(4)に
よりボンディングし、磁気ヘッド100を作製した。
【0040】上記磁気ヘッド100を用いてVTR装置
を作製し、相対速度36m/s,データ転送レート4
6.1Mbps,トラック幅40μmで磁気テープにハ
イビジョンのディジタル画像情報を記録した。その結
果、S/Nは40dB以上が得られた。
【0041】−実施例3− 図7に、実施例3にかかる磁気記録装置300の平面模
式図を示す。この磁気記録装置300は、外径2.5イ
ンチのディスク状の磁気情報記録媒体31と、この磁気
情報記録媒体31を回転駆動する磁気情報記録媒体駆動
部32と、本発明にかかる薄膜の積層構造を用いた磁気
ヘッド200と、この磁気ヘッド200を位置決め旋回
させるヘッド駆動部33と、上記磁気ヘッド200に関
する記録信号および再生信号を処理する記録再生信号処
理部34と、ハウジング35とを具備して構成される。
以上の磁気記録装置300によれば、良好なS/Nが得
られる。
【0042】−実施例4− 図8に示すように、実施例4の薄膜の積層構造11は、
Mn−Znフェライト単結晶基板(MnO/ZnO=
1.5,結晶方位(332))11a上に厚さ9nmの
SiO2非晶質層11bを形成し、そのSiO2非晶質層1
1b上に厚さ5μmの Fe-Hf-N-Cr合金結晶性薄
膜11cを形成したものである。
【0043】SiO2非晶質層11bの成膜にはスパッタ
法を用いた。スパッタのターゲットには、SiO2の粉体
をHIP法により成型したものを用いた。放電ガスには
Arを用いた。スパッタの条件は、放電ガス圧力:5m
Torr、投入RF電力:400W/150mmφである。
Fe-Hf-N-Cr合金結晶性薄膜11cの成膜にはス
パッタ法を用いた。スパッタのターゲットには、Fe,
Hf,Crの各元素の粉体をHIP法により成型したも
のを用いた。ターゲットの組成は〔Fe93Hf790
10 である。放電ガスにはAr/N2(混合比 95/
5)を用いた。スパッタの条件は、放電ガス圧力:5m
Torr、投入RF電力:400W/150mmφである。
【0044】図9は、X線回折法により調べた上記Fe
-Hf-N-Cr 合金結晶性薄膜11cの結晶構造特性図
である。結晶構造は、Feの(110)面がメインピー
クであった。この他、Feの(211)面および(20
0)面、窒化ハフニウムの非常にブロードなピークが観
測された。Fe-Hf-N-Cr合金結晶性薄膜11cの
保磁力は、0.2(Oe)以下であった。透磁率は、1
MHzにおける値で2500以上であった。
【0045】[比較例3]比較例3として、SiO2非晶
質層を介在させないでMn−Znフェライト単結晶基板
上に Fe-Hf-N-Cr合金結晶性薄膜を直接形成した
積層構造を作製した。図10は、X線回折法により調べ
た比較例3の Fe-Hf-N-Cr合金結晶性薄膜の結晶
構造特性図である。結晶構造は、Feの(200)面が
メインピークであった。この他、Feの(110)面お
よび(220)面、窒化ハフニウムの非常にブロードな
ピークが観測された。保磁力は、1.0(Oe)以上で
あった。透磁率は、1MHzにおける値で800以下で
あった。
【0046】以上のことから、Mn-Znフェライト単
結晶基板11aとFe-Hf-N-Cr合金結晶性薄膜1
1cの間にSiO2非晶質層11bを介在させることによ
り、Fe−Hf-N-Cr合金結晶性薄膜11cの配向性
を制御できることが判った。そして、SiO2非晶質層1
1bの厚さを変えて行った他の実験の結果から、SiO2
非晶質層11bの厚さを5nm以上とすることにより優
れた軟磁気特性(保磁力が小さく,透磁率が大きい)が
得られることが判った。なお、この薄膜の積層構造11
を磁気ヘッドに用いる場合において、SiO2非晶質層1
1bが擬似ギャップとならないために、SiO2非晶質層
11bの厚さを30nm以下にすることが好ましい。
【0047】−実施例5− 実施例2と同様の工程で実施例4の薄膜の積層構造11
を用いたメタル・イン・ギャップ型の磁気ヘッドを作製
した。そして、その磁気ヘッドを用いてVTR装置を作
製し、相対速度36m/s,データ転送レート46.1
Mbps,トラック幅40μmで磁気テープにハイビジ
ョンのディジタル画像情報を記録した。その結果、S/
Nは40dB以上が得られた。
【0048】−実施例6− 図11に示すように、実施例6の薄膜の積層構造12
は、Mn−Znフェライト単結晶基板(MnO/ZnO
=1.5,結晶方位(332))11a上に厚さ10n
mのFe-Cr結晶質層12bを形成し、そのFe-Cr
結晶質層12b上に厚さ5μmの Fe-Hf-N-Cr合
金結晶性薄膜11cを形成したものである。
【0049】Fe−Cr結晶質層12bの成膜にはスパ
ッタ法を用いた。スパッタのターゲットには、Fe,C
rの各元素の粉体の80%,20%の混合物をHIP法
により成型したものを用いた。放電ガスにはArを用い
た。スパッタの条件は、放電ガス圧力:5mTorr、投入
RF電力:400W/150mmφである。Fe-Hf-
N-Cr合金結晶性薄膜12cの成膜にはスパッタ法を
用いた。スパッタのターゲットには、Fe,Hf,Cr
の各元素の粉体をHIP法により成型したものを用い
た。ターゲットの組成は〔Fe93Hf790Cr10 であ
る。放電ガスにはAr/N2(混合比 95/5)を用い
た。スパッタの条件は、放電ガス圧力:5mTorr、投入
RF電力:400W/150mmφである。
【0050】X線回折法により上記Fe-Hf-N-Cr
合金結晶性薄膜12cの結晶構造特性を調べたところ、
Feの(110)面がメインピークであった。また、F
e−Hf-N-Cr合金結晶性薄膜12cの保磁力は、
0.2(Oe)以下であった。透磁率は、1MHzにお
ける値で2500以上であった。
【0051】[比較例4]比較例4として、実施例6の
Fe−Cr結晶質層12bの代りに、Al結晶質層を形
成した積層構造を作製した。X線回折法によりFe-H
f-N-Cr 合金結晶性薄膜の結晶構造特性を調べたと
ころ、Feの(200)面がメインピークであった。ま
た、Fe-Hf-N-Cr合金結晶性薄膜の保磁力は、1.
0(Oe)以上であった。透磁率は、1MHzにおける
値で680であった。
【0052】以上のことから、Mn-Znフェライト単
結晶基板12aとFe-Hf-N-Cr合金結晶性薄膜1
2cの間にFe−Cr結晶質層12bを介在させること
により、Fe-Hf-N-Cr 合金結晶性薄膜12cの配
向性を制御できることが判った。そして、Fe−Cr結
晶質層12bの厚さを変えて行った他の実験の結果か
ら、Fe−Cr結晶質層12bの厚さを5nm以上とす
ることにより優れた軟磁気特性(保磁力が小さく,透磁
率が大きい)が得られることが判った。なお、この薄膜
の積層構造12を磁気ヘッドに用いる場合において、F
e−Cr結晶質層12bが擬似ギャップとならないため
に、Fe−Cr結晶質層12bの厚さを30nm以下に
することが好ましい。
【0053】−実施例7− 図12に示すように、実施例7の薄膜の積層構造13
は、Mn−Znフェライト単結晶基板(MnO/ZnO
=1.5,結晶方位(332))13a上に厚さ5nm
のSiO2非晶質層131bを形成し、そのSiO2非晶質
層131b上に厚さ5nmのCr23非晶質層132b
を形成し、そのCr23非晶質層132b上に厚さ5μ
mのFe-Ta-C-Al合金結晶性薄膜13cを形成した
ものである。SiO2非晶質層131b,Cr23非晶質
層132bおよびFe-Ta-C-Al合金結晶性薄膜13
cの成膜にはスパッタ法を用いた。X線回折法により上
記Fe-Ta-C-Al合金結晶性薄膜13cの結晶構造特
性を調べたところ、Feの(110)面がメインピーク
であった。また、Fe-Ta-C-Al合金結晶性薄膜13
cの保磁力は、0.2(Oe)以下であった。透磁率
は、1MHzにおける値で2500以上であった。
【0054】以上の薄膜の積層構造13では、下地層1
31b,132bの合計の厚さが10nmであるため、
Mn−Znフェライト単結晶基板13aとFe-Ta-C
-Al合金結晶性薄膜13cの結晶学的なつながりが切れ
ており、Mn−Znフェライト単結晶基板13aがFe
-Ta-C-Al合金結晶性薄膜13cの結晶成長に及ぼす
影響を除去できている。この結果、Fe-Ta-C-Al合
金結晶性薄膜13cは(110)面が優先的に配向し、
良好な軟磁気特性を示す。さらに、Mn−Znフェライ
ト単結晶基板13aとSiO2非晶質層131bの良好な
接着性を利用できると共に、SiO2非晶質層131bの
フリーな酸素の悪影響をCr23非晶質層132bによ
り抑制できる。
【0055】−他の実施例− 本発明は、微結晶析出型の磁性薄膜材料の全般に適用で
き、それにより良好な特性を持つ磁気ヘッドおよび磁気
記録装置が得られる。また、本発明は、ヘリカルスキャ
ンを用いた磁気テープ装置や磁気ディスク装置などに対
しても適用できる。
【0056】
【発明の効果】本発明の薄膜の積層構造によれば、下地
層により基板の結晶構造が結晶性薄膜の結晶構造に与え
る悪影響を遮断でき、結晶性薄膜の配向性を制御でき、
所望の特性を得ることが出来る。また、配向性の制御の
外に、下地層により基板と結晶性薄膜の接着性の向上を
図ることも可能となる。本発明の磁気ヘッドによれば、
良好な軟磁性特性が得られ、記録,消去,再生特性の向
上を図ることが出来る。本発明の磁気記録装置によれ
ば、高密度記録が可能となり、画像情報や音声情報など
の大容量の情報を安価に磁気記録できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の薄膜の積層構造の模式的断面図であ
る。
【図2】実施例1の薄膜の積層構造の透過電子顕微鏡図
である。
【図3】実施例1の薄膜の積層構造のX線回折プロファ
イル図である。
【図4】比較例1の薄膜の積層構造のX線回折プロファ
イル図である。
【図5】比較例2の薄膜の積層構造のX線回折プロファ
イル図である。
【図6】実施例2の磁気ヘッドの断面構造の模式図であ
る。
【図7】実施例3の磁気記録装置の構造を示す模式図で
ある。
【図8】実施例4の薄膜の積層構造の模式的断面図であ
る。
【図9】実施例4の薄膜の積層構造のX線回折プロファ
イル図である。
【図10】比較例3の薄膜の積層構造のX線回折プロフ
ァイル図である。
【図11】実施例6の薄膜の積層構造の模式的断面図で
ある。
【図12】実施例7の薄膜の積層構造の模式的断面図で
ある。
【符号の説明】
10,11,12,13…薄膜の積層構造 10a,11a,12a,13a…基板 10b,11b,131b,132b……非晶質層(下
地層) 12b…結晶質層(下地層) 10c,11c,12c,13c…結晶性薄膜 1…軟磁性薄膜 2…Mn−Znフェライト単結晶基板 3…ギャップ部 4…低融点ガラス 100…磁気ヘッド 300…磁気記録装置

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単結晶の基板上に下地層を形成し、その
    下地層の上に結晶性薄膜を形成し、前記基板と前記結晶
    性薄膜の間の結晶学的なつながりを前記下地層により制
    御したことを特徴とする薄膜の積層構造。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の薄膜の積層構造におい
    て、前記下地層の厚さを調整することにより、前記結晶
    性薄膜の結晶構造を制御したことを特徴とする薄膜の積
    層構造。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の薄膜の
    積層構造において、前記下地層が、非晶質層であること
    を特徴とする薄膜の積層構造。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の薄膜の積層構造におい
    て、前記非晶質層が、酸化シリコン,酸化クロム,酸化
    アルミニウム,窒化シリコン,窒化アルミニウム,シリ
    コン,クロム,アルミニウムの内より選ばれる少なくと
    も1種類の元素または化合物であることを特徴とする薄
    膜の積層構造。
  5. 【請求項5】 請求項1または請求項2に記載の薄膜の
    積層構造において、前記下地層が、前記基板の格子定数
    および前記結晶性薄膜の格子定数と20%以上異なる格
    子定数を有する結晶質層であることを特徴とする薄膜の
    積層構造。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の薄膜の積層構造におい
    て、前記結晶質層が、鉄クロム合金であることを特徴と
    する薄膜の積層構造。
  7. 【請求項7】 請求項1から請求項6のいずれかに記載
    の薄膜の積層構造において、前記下地層の厚さが5nm
    以上,30nm以下であることを特徴とする薄膜の積層
    構造。
  8. 【請求項8】 請求項1から請求項7のいずれかに記載
    の薄膜の積層構造において、前記基板がフェライト基板
    であり、前記結晶性薄膜がFeまたはCoを主体とし、
    これにCまたはNの内より選ばれる少なくとも1種類の
    元素と、Ta,Nb,Zr,Cr,Al,Ru,Rh,
    Ti,Siの内より選ばれる少なくとも1種類の元素と
    を加えた合金であることを特徴とする薄膜の積層構造。
  9. 【請求項9】 請求項6に記載の薄膜の積層構造におい
    て、前記下地層が非晶質層であり、前記結晶性薄膜のF
    eまたはCoの(110)面が優先的に配向しているこ
    とを特徴とする薄膜の積層構造。
  10. 【請求項10】 請求項1から請求項9のいずれかに記
    載の薄膜の積層構造を磁気ヘッドコアまたは磁気ヘッド
    コアの一部に用いて磁気ヘッドを構成したことを特徴と
    する磁気ヘッド。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の磁気ヘッドにおい
    て、当該磁気ヘッドがメタル・イン・ギャップ型である
    ことを特徴とする磁気ヘッド。
  12. 【請求項12】 請求項10または請求項11に記載の
    磁気ヘッドと、該磁気ヘッドに対して相対的に移動し磁
    気的性質により情報を記録する磁気情報記録媒体とを具
    備することを特徴とする磁気記録装置。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の磁気記録装置にお
    いて、前記磁気情報記録媒体が、磁気テープまたは磁気
    ディスクであることを特徴とする磁気記録装置。
  14. 【請求項14】 請求項12または請求項13に記載の
    磁気記録装置において、前記情報が、画像情報または音
    声情報の少なくとも一方であることを特徴とする磁気記
    録装置。
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