JPH08333294A - ヒドロキシアルカナールの製造方法 - Google Patents

ヒドロキシアルカナールの製造方法

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JPH08333294A
JPH08333294A JP7302733A JP30273395A JPH08333294A JP H08333294 A JPH08333294 A JP H08333294A JP 7302733 A JP7302733 A JP 7302733A JP 30273395 A JP30273395 A JP 30273395A JP H08333294 A JPH08333294 A JP H08333294A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性を備えた触媒を使用することにより、
反応速度を加熱によって上げることができ、かつ、工業
的に有利となる高濃度の不飽和アルデヒド水溶液を用い
た場合においても、ヒドロキシアルカナールを高選択率
かつ高収率で製造することができる製造方法を提供す
る。 【解決手段】 一般式(I) 【化25】 (式中、Rは、水素原子または炭素数1〜5の炭化水素
基を表す)で表される不飽和アルデヒドを触媒の存在
下、水溶液中で水和させてヒドロキシアルカナールを製
造する際に、上記触媒として、例えば、一般式(II) 【化26】 で表される構造を備えた置換基を有するカルボン酸系樹
脂を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不飽和アルデヒド
を触媒の存在下、水溶液中で水和させてヒドロキシアル
カナールを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、不飽和アルデヒドの一種
であるアクロレインを触媒の存在下、水溶液中で水和さ
せて、ヒドロキシアルカナールの一種である3-ヒドロキ
シプロパナール(3-ヒドロキシプロピオンアルデヒド)
を得る方法として、以下に示すような種々の製造方法が
知られている。
【0003】即ち、米国特許第 2,434,110号には、例え
ば硫酸等の鉱酸を上記反応系における酸性均一触媒とし
て用いる方法が開示されている。ところが、この方法
は、3-ヒドロキシプロパナールの選択率が低く、該3-ヒ
ドロキシプロパナールを効率的に製造できないという欠
点を有している。また、均一触媒と3-ヒドロキシプロパ
ナールとの分離、および、該触媒の再使用が困難となっ
ている。
【0004】そこで、上記の欠点を解消し、3-ヒドロキ
シプロパナールの選択率を向上させる方法として、米国
特許第 3,536,763号には、酸性イオン交換樹脂を上記反
応系における酸性不均一触媒として用いる方法が開示さ
れている。特開平3-135932号公報(米国特許第 5,015,7
89号、独特許第 3926136.0号)、特開平4-300844号公報
(米国特許第 5,171,898号、独特許第 4038192.7号)に
は、リン酸基やアミノ基、アミノリン酸基を有するイオ
ン交換樹脂を上記反応系における酸性不均一触媒として
用いる方法が開示されている。特開平5-194291号公報
(米国特許第 5,093,537号)には、アルミナ結合ゼオラ
イトを上記反応系における酸性不均一触媒として用いる
方法が開示されている。特開平5-221912号公報(米国特
許第 5,276,201号、独特許第 4138982.4号)には、リン
酸を担持させたTiO2 を上記反応系における酸性不均
一触媒として用いる方法が開示されている。また、特開
平5-279285号公報(米国特許第 5,284,979号、独特許第
4138981.6号)には、酸性触媒の存在下、カルボン酸と
三級アミンとを含有する緩衝液を用いて上記反応を行う
方法が開示されている。
【0005】これらの方法においては、原料であるアク
ロレインの水溶液中における濃度が低い(凡そ20重量%
未満)場合には、3-ヒドロキシプロパナールへの選択性
が良好であり、従って、3-ヒドロキシプロパナールが高
選択率で得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本願発
明者等の検討によれば、上記従来の方法においては、ア
クロレインの濃度が高い(凡そ20重量%以上)場合、即
ち、工業的に有利となる高濃度のアクロレイン水溶液を
反応させた場合には、反応生成物である3-ヒドロキシプ
ロパナールがアルデヒド基を有しているため、該3-ヒド
ロキシプロパナールの逐次反応(副反応)が活発に起こ
ることがわかった。つまり、アクロレインから3-ヒドロ
キシプロパナールへの選択性の低下が見られ、従って、
該3-ヒドロキシプロパナールの選択率が低下するという
欠点を有している。また、上記従来の方法に用いられる
酸性不均一触媒は、耐熱性に劣っており、従って、水和
反応の反応速度を上げるために反応温度を高く(凡そ65
℃以上)設定すると、該酸性不均一触媒が失活し、3-ヒ
ドロキシプロパナールの選択率が低下するという欠点を
有している。
【0007】このため、上記従来の製造方法は、反応速
度を加熱によって上げることができず、かつ、水溶液中
のアクロレインを高濃度にして3-ヒドロキシプロパナー
ルの生産性を向上させることができないので、工業的な
観点から満足の得られる方法ではないことが判明した。
【0008】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、耐熱性を備えた触媒を使用
することにより、反応速度を加熱によって上げることが
でき、かつ、工業的に有利となる高濃度の不飽和アルデ
ヒド水溶液を用いた場合においても、ヒドロキシアルカ
ナールを高選択率かつ高収率で製造することができる製
造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、不飽和
アルデヒドを触媒の存在下、水溶液中で水和させてヒド
ロキシアルカナールを製造する方法について鋭意検討し
た結果、特定の構造を備えた置換基を有するカルボン酸
系樹脂、および/または、カルボキシル基を含有する不
飽和単量体(A) と、アミノ基および/またはアミド基を
含有する不飽和単量体(B) とを共重合してなるカルボン
酸系樹脂を上記触媒として用いることにより、不飽和ア
ルデヒドからヒドロキシアルカナールへの選択性、およ
び、ヒドロキシアルカナールの収率が向上することを見
い出した。また、触媒である該カルボン酸系樹脂が耐熱
性に優れており、従って、反応温度を従来よりも高く設
定することが可能であり、反応速度を加熱によって上げ
ることができることを確認した。つまり、耐熱性を備え
たカルボン酸系樹脂を用いることにより、反応速度を加
熱によって上げることができると共に、工業的に有利と
なる高濃度の不飽和アルデヒド水溶液を用いて、ヒドロ
キシアルカナールが高選択率かつ高収率で得られること
を見い出して、本発明を完成させるに至った。
【0010】即ち、請求項1記載の発明のヒドロキシア
ルカナールの製造方法は、上記の課題を解決するため
に、一般式(I)
【0011】
【化10】
【0012】(式中、Rは、水素原子または炭素数1〜
5の炭化水素基を表す)で表される不飽和アルデヒドを
触媒の存在下、水溶液中で水和させてヒドロキシアルカ
ナールを製造する方法において、上記触媒として、一般
式(II)
【0013】
【化11】
【0014】、一般式(III)
【0015】
【化12】
【0016】、一般式(IV)
【0017】
【化13】
【0018】、一般式(V)
【0019】
【化14】
【0020】、および、一般式(VI)
【0021】
【化15】
【0022】からなる群より選ばれる少なくとも一種の
構造を備えた置換基を有するカルボン酸系樹脂を用いる
ことを特徴としている。
【0023】請求項2記載の発明のヒドロキシアルカナ
ールの製造方法は、上記の課題を解決するために、前記
一般式(I) で表される不飽和アルデヒドを触媒の存
在下、水溶液中で水和させてヒドロキシアルカナールを
製造する方法において、上記触媒として、カルボキシル
基を含有する不飽和単量体(A) と、アミノ基および/ま
たはアミド基を含有する不飽和単量体(B) とを共重合し
てなるカルボン酸系樹脂を用いることを特徴としてい
る。
【0024】請求項3記載の発明のヒドロキシアルカナ
ールの製造方法は、上記の課題を解決するために、請求
項2記載のヒドロキシアルカナールの製造方法におい
て、一般式(VII)
【0025】
【化16】
【0026】で表される置換基が、上記アミノ基および
/またはアミド基を構成する窒素原子に結合しているこ
とを特徴としている。
【0027】請求項4記載の発明のヒドロキシアルカナ
ールの製造方法は、上記の課題を解決するために、請求
項2記載のヒドロキシアルカナールの製造方法におい
て、上記不飽和単量体(B) が、ビニルピリジン類、
N-ビニルカルバゾール類、N-モノアリルアミン類、N,N-
ジアリルアミン類、N,N,N-トリアリルアミン類、4-(N,
N-ジアルキルアミノ)アルキルスチレン類、6- (N-プロ
ペニルアミノ)-4-チアヘキサン酸、および、6- (N,N-ジ
プロペニルアミノ)-4-チアヘキサン酸からなる群より選
ばれる少なくとも一種の含窒素不飽和化合物であること
を特徴としている。
【0028】請求項5記載の発明のヒドロキシアルカナ
ールの製造方法は、上記の課題を解決するために、請求
項1ないし4の何れか1項に記載のヒドロキシアルカナ
ールの製造方法において、カルボン酸系樹脂における含
窒素基の数とカルボキシル基の数との比(含窒素基の数
/カルボキシル基の数)が、1/1000〜1/1 の範囲内であ
ることを特徴としている。
【0029】請求項6記載の発明のヒドロキシアルカナ
ールの製造方法は、上記の課題を解決するために、請求
項1ないし5の何れか1項に記載のヒドロキシアルカナ
ールの製造方法において、カルボン酸系樹脂に対して金
属が 0.001重量%〜10重量%の範囲内で担持されている
ことを特徴としている。
【0030】請求項7記載の発明のヒドロキシアルカナ
ールの製造方法は、上記の課題を解決するために、請求
項1ないし6の何れか1項に記載のヒドロキシアルカナ
ールの製造方法において、カルボン酸系樹脂が(メタ)
アクリル酸系樹脂であることを特徴としている。
【0031】請求項8記載の発明のヒドロキシアルカナ
ールの製造方法は、上記の課題を解決するために、請求
項7記載のヒドロキシアルカナールの製造方法におい
て、上記(メタ)アクリル酸系樹脂が(メタ)アクリル
酸−(メタ)アクリルアミド類共重合体または(メタ)
アクリル酸−ビニルピロリドン類共重合体であることを
特徴としている。
【0032】請求項9記載の発明のヒドロキシアルカナ
ールの製造方法は、上記の課題を解決するために、請求
項1ないし8の何れか1項に記載のヒドロキシアルカナ
ールの製造方法において、不飽和アルデヒドがアクロレ
インであることを特徴としている。
【0033】請求項10記載の発明のヒドロキシアルカ
ナールの製造方法は、上記の課題を解決するために、請
求項9記載のヒドロキシアルカナールの製造方法におい
て、反応系に、1,3-プロパンジオールをアクロレインに
対して 0.001重量%〜10重量%の範囲内で添加すること
を特徴としている。
【0034】上記の方法によれば、反応速度を加熱によ
って上げることができ、かつ、反応生成物であるヒドロ
キシアルカナールの逐次反応(副反応)が抑制されるた
め、高濃度の不飽和アルデヒド水溶液を用いた場合にお
いても、ヒドロキシアルカナールを高選択率かつ高収率
で製造することができる。即ち、耐熱性を備えたカルボ
ン酸系樹脂を用いることにより、反応速度を加熱によっ
て上げることができると共に、工業的に有利となる高濃
度の不飽和アルデヒド水溶液を反応させることができる
ので、ヒドロキシアルカナールの生産性を向上させるこ
とができる。
【0035】また、請求項11記載の発明の触媒は、前
記一般式(I) で表される不飽和アルデヒドを水溶液中で
水和させてヒドロキシアルカナールを製造する際に用い
られる触媒であって、カルボキシル基を含有する不飽和
単量体(A) と、アミノ基および/またはアミド基を含有
する不飽和単量体(B) とを共重合してなるカルボン酸系
樹脂からなることを特徴としている。
【0036】以下に本発明を詳しく説明する。本発明に
おいて原料として用いられる前記一般式(I) で表される
不飽和アルデヒド(2-アルケナール)は、特に限定され
るものではないが、式中、Rで示される置換基が水素原
子または炭素数1〜5の炭化水素基で構成されているも
のであり、炭化水素基とは、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、アミル基である。上記の不飽和アル
デヒドとしては、具体的には、例えば、アクロレイン、
メタクロレイン、2-ホルミル -1-ブテン、2-ホルミル -
1-ペンテン、2-ホルミル-1-ヘキセン、2-ホルミル -1-
ヘプテン等が挙げられる。そして、これら不飽和アルデ
ヒドのうち、アクロレインが好適である。
【0037】本発明の方法によれば、これら不飽和アル
デヒドから、それぞれ対応する2-ヒドロキシアルカナー
ルまたは3-ヒドロキシアルカナールが選択的に得られ
る。つまり、前記一般式(I) 中、Rで示される置換基が
水素原子であるアクロレインからは、3-ヒドロキシアル
カナールである3-ヒドロキシプロパナール(3-ヒドロキ
シプロピオンアルデヒド)が選択的に得られる一方、R
で示される置換基が炭化水素基である不飽和アルデヒド
からは、2-ヒドロキシアルカナールが選択的に得られ
る。尚、不飽和アルデヒドとしてアクロレインを用いた
場合に得られる3-ヒドロキシプロパナールは、1,3-プロ
パンジオールを製造する工業原料として重要である。
【0038】不飽和アルデヒドの水溶液中における濃度
(以下、単に濃度と称する)は、不飽和アルデヒドの水
に対する溶解度や反応温度等にもよるが、5重量%〜飽
和濃度の範囲内が好ましく、5重量%〜50重量%の範囲
内がより好ましく、20重量%〜50重量%の範囲内がさら
に好ましく、25重量%〜40重量%の範囲内が最も好まし
い。不飽和アルデヒドの濃度が5重量%よりも低い場合
には、ヒドロキシアルカナールの生産効率が低下するた
め、好ましくない。また、不飽和アルデヒドの濃度を飽
和濃度よりも高くすると、溶解しない不飽和アルデヒド
の重合反応等が起こり、ヒドロキシアルカナールへの選
択性が低下するため、好ましくない。
【0039】本発明において使用される触媒は、前記一
般式(II)、一般式(III) 、一般式(IV)、一般式(V) 、お
よび、一般式(VI)からなる群より選ばれる少なくとも一
種の構造を備えた置換基を有するカルボン酸系樹脂、或
いは、カルボキシル基を含有する不飽和単量体(A) と、
アミノ基および/またはアミド基を含有する不飽和単量
体(B) とを共重合してなるカルボン酸系樹脂であれば、
特に限定されるものではない。つまり、本発明において
使用される触媒としては、一般式(II)〜(VI)からなる群
より選ばれる少なくとも一種の構造を備えた置換基を有
するカルボン酸系樹脂、および、不飽和単量体(A) と、
不飽和単量体(B) とを共重合してなるカルボン酸系樹脂
が挙げられる。また、これらカルボン酸系樹脂を併用し
てもよい。尚、式中、Xで示される部分はカルボン酸系
樹脂本体であり、カルボン酸系樹脂とは、遊離のカルボ
キシル基を多数含有する重合体である。また、上記一般
式(II)〜(VI)における炭素数1〜5の炭化水素基とは、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基
である。
【0040】前記一般式(II)・(III) ・(IV)の構造を備
えたアミド基(置換基)を有するカルボン酸系樹脂、並
びに、前記一般式(V) ・(VI)の構造を備えたアミノ基
(置換基)を有するカルボン酸系樹脂は、特に限定され
るものではない。カルボン酸系樹脂本体は、カルボキシ
ル基を含有するモノマーが単独重合したものであっても
よく、或いは、カルボキシル基を含有するモノマーと、
該カルボキシル基を含有するモノマーと共重合可能な他
のモノマー(以下、説明の便宜上、共重合モノマーと称
する)とが共重合したものであってもよい。
【0041】カルボキシル基を含有するモノマーとして
は、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイ
ン酸、フマル酸等のカルボン酸が挙げられるが、特に限
定されるものではない。これらカルボキシル基を含有す
るモノマーは、一種類のみを用いてもよく、また、二種
類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0042】上記の共重合モノマーは、特に限定される
ものではないが、オレフィン基を有するモノマーであ
る。共重合モノマーとしては、具体的には、例えば、上
記カルボキシル基を含有するモノマーのエステル、スチ
レン、ビニルピリジン等が挙げられる。尚、上記共重合
モノマーは、カルボキシル基以外の官能基、具体的に
は、例えば、リン酸基、スルホン酸基、ヒドロキシル基
等の官能基を含有していてもよい。これら共重合モノマ
ーは、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を
併用してもよい。
【0043】前記一般式(II)の構造を備えたアミド基を
有するカルボン酸系樹脂のうち、Y1 で示される二価の
置換基が窒素原子または硫黄原子を含むカルボン酸系樹
脂が、触媒としての反応性が良好であるのでより好まし
く、硫黄原子を含むカルボン酸系樹脂が特に好ましい。
また、前記一般式(III) の構造を備えたアミド基を有す
るカルボン酸系樹脂のうち、q1 で示される繰り返し単
位が3であるアミド基を有するカルボン酸系樹脂が、触
媒としての反応性が良好であるのでより好ましい。
【0044】前記一般式(V) の構造を備えたアミノ基を
有するカルボン酸系樹脂のうち、Y2 で示される二価の
置換基が窒素原子または硫黄原子を含むカルボン酸系樹
脂が、触媒としての反応性が良好であるのでより好まし
く、硫黄原子を含むカルボン酸系樹脂が特に好ましい。
また、一般式(V) におけるブレーンステズ酸残基とは、
カルボキシル基、リン酸基、亜リン酸基、スルホン酸
基、ヒドロキシル基等の、プロトンを遊離する基を示
す。そして、本発明において、ブレーンステズ酸残基に
は、水素原子の少なくとも一つが上記プロトンを遊離す
る基で置換されてなる、炭素数1〜5の炭化水素基も含
まれることとする。
【0045】上記のカルボン酸系樹脂(本体)として
は、(メタ)アクリル酸系樹脂が好適である。そして、
(メタ)アクリル酸系樹脂がアミド基を有する場合に
は、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリルアミド類共
重合体、並びに、(メタ)アクリル酸−ビニルピロリド
ン類重合体がさらに好適である。(メタ)アクリル酸−
(メタ)アクリルアミド類共重合体としては、具体的に
は、例えば、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリルア
ミド共重合体、(メタ)アクリル酸−N,N-ジメチル(メ
タ)アクリルアミド共重合体、(メタ)アクリル酸−N-
イソプロピル(メタ)アクリルアミド共重合体、(メ
タ)アクリル酸−N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)
アクリルアミド共重合体等が挙げられるが、特に限定さ
れるものではない。(メタ)アクリル酸−ビニルピロリ
ドン類重合体としては、具体的には、例えば、アクリル
酸−N-ビニルピロリドン類共重合体が挙げられるが、特
に限定されるものではない。
【0046】また、アミノ基を有する(メタ)アクリル
酸系樹脂としては、具体的には、例えば、(メタ)アク
リル酸−2-ビニルピリジン類共重合体、(メタ)アクリ
ル酸−4-ビニルピリジン類共重合体、(メタ)アクリル
酸−N-ビニルカルバゾール類共重合体、(メタ)アクリ
ル酸−N-モノアリルアミン類共重合体、(メタ)アクリ
ル酸−N,N-ジアリルアミン類共重合体、(メタ)アクリ
ル酸−N,N,N-トリアリルアミン類共重合体、(メタ)ア
クリル酸−4-(N,N-ジアルキルアミノ)アルキルスチレ
ン類共重合体等が挙げられるが、特に限定されるもので
はない。
【0047】また、不飽和単量体(A) と、不飽和単量体
(B) とを共重合してなるカルボン酸系樹脂は、特に限定
されるものではない。不飽和単量体(A) としては、例え
ば、前記カルボキシル基を含有するモノマーが挙げられ
るが、特に限定されるものではない。
【0048】不飽和単量体(B) のうち、アミノ基を含有
する不飽和単量体(B) としては、具体的には、例えば、
ビニルピリジン類、N-ビニルカルバゾール類、N-モノア
リルアミン類、N,N-ジアリルアミン類、N,N,N-トリアリ
ルアミン類、4-(N,N-ジアルキルアミノ)アルキルスチ
レン類、6- (N-プロペニルアミノ)-4-チアヘキサン酸、
および、6- (N,N-ジプロペニルアミノ)-4-チアヘキサン
酸等の含窒素不飽和化合物が挙げられるが、特に限定さ
れるものではない。また、不飽和単量体(B) は、前記一
般式(VII) で表される置換基が、アミノ基および/また
はアミド基を構成する窒素原子に結合していてもよい。
さらに、不飽和単量体(A) と、不飽和単量体(B) と、前
記共重合モノマーとを共重合させて、カルボン酸系樹脂
を得てもよい。尚、一般式(VII) におけるブレーンステ
ズ酸残基とは、カルボキシル基、リン酸基、亜リン酸
基、スルホン酸基、ヒドロキシル基等の、プロトンを遊
離する基を示す。そして、本発明において、ブレーンス
テズ酸残基には、水素原子の少なくとも一つが上記プロ
トンを遊離する基で置換されてなる、炭素数1〜5の炭
化水素基も含まれることとする。
【0049】上記ビニルピリジン類としては、具体的に
は、例えば、2-ビニルピリジン類、4-ビニルピリジン類
等が挙げられるが、特に限定されるものではない。ま
た、4-(N,N-ジアルキルアミノ)アルキルスチレン類と
しては、具体的には、例えば、一般式(VIII)
【0050】
【化17】
【0051】(式中、R15、R16は、それぞれ独立し
て、水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基を表し、
jは、1〜5の整数を表す)で表される化合物が挙げら
れる。尚、上記炭素数1〜5の炭化水素基とは、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基であ
る。上記一般式(VIII)で表される4-(N,N-ジアルキル
アミノ)アルキルスチレン類のなかでも、jで示される
繰り返し単位が1〜3である4-(N,N-ジアルキルアミ
ノ)アルキルスチレン類が、上記不飽和単量体(A) との
反応性や、カルボン酸系樹脂とした後の触媒としての反
応性が良好であることから、好ましい。上記一般式(VI
II) で表される4-(N,N-ジアルキルアミノ)アルキルス
チレン類としては、具体的には、例えば、4-(N,N-ジメ
チルアミノ)エチルスチレン等が挙げられる。
【0052】これらカルボン酸系樹脂は、単独で用いて
もよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよ
い。尚、カルボン酸系樹脂の製造方法は、特に限定され
るものではない。
【0053】カルボン酸系樹脂における含窒素基の数と
カルボキシル基の数との比(含窒素基の数/カルボキシ
ル基の数)は、不飽和アルデヒドの種類や反応条件等に
もよるが、好ましくは1/1000〜1/1 の範囲内、より好ま
しくは 1/100〜 1/1.5(つまり、2/3 )の範囲内、さら
に好ましくは1/20〜1/2 の範囲内となるように設定すれ
ばよい。本発明において、含窒素基とは、前記一般式(I
I)・(III) ・(IV)の構造を備えたアミド基、前記一般式
(V) ・(VI)の構造を備えたアミノ基、および、前記不飽
和単量体(B) に由来するアミノ基残基およびアミド基残
基を示す。上記の比が1/1000よりも小さい場合、また
は、1/1 よりも大きい場合には、反応生成物であるヒド
ロキシアルカナールの逐次反応(副反応)を抑制するこ
とができなくなるため、好ましくない。
【0054】つまり、カルボン酸系樹脂として、例えば
(メタ)アクリル酸−ビニルピリジン類共重合体を用い
る場合には、該共重合体におけるビニルピリジン単位の
含有量は、例えば不飽和アルデヒドの種類や反応条件等
に応じて、 0.1モル%〜50モル%の範囲内で、適宜設定
すればよい。また、カルボン酸系樹脂として、例えば
(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリルアミド類共重合
体を用いる場合には、該共重合体における(メタ)アク
リルアミド単位の含有量は、例えば不飽和アルデヒドの
種類や反応条件等に応じて、 0.1モル%〜50モル%の範
囲内で、適宜設定すればよい。さらに、カルボン酸系樹
脂として、例えば(メタ)アクリル酸−ビニルピロリド
ン類共重合体を用いる場合には、該共重合体におけるビ
ニルピロリドン単位の含有量は、例えば不飽和アルデヒ
ドの種類や反応条件等に応じて、 0.1モル%〜50モル%
の範囲内で、適宜設定すればよい。
【0055】また、ヒドロキシアルカナールをより高選
択率かつ高収率で得るために、カルボン酸系樹脂に金属
を担持させることが好ましい。上記の金属としては、具
体的には、例えば、銅、鉛、ニッケル、亜鉛、鉄、コバ
ルト、ビスマス、錫、アンチモン、およびアルカリ土類
金属等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
上記金属の中でも、銅並びに鉛が、ヒドロキシアルカナ
ールをより高選択率かつ高収率で得ることができるので
より好ましく、鉛が特に好ましい。
【0056】カルボン酸系樹脂に金属を担持させる場合
に、該カルボン酸系樹脂における金属の担持量は、カル
ボン酸系樹脂の組成等にもよるが、 0.001重量%〜10重
量%の範囲内が好ましく、0.01重量%〜5重量%の範囲
内がより好ましく、0.01重量%〜1重量%の範囲内がさ
らに好ましい。金属の担持量が 0.001重量%よりも少な
い場合には、該カルボン酸系樹脂に金属を担持させる効
果が充分に発揮されないため、好ましくない。また、金
属の担持量が10重量%よりも多い場合には、ヒドロキシ
アルカナールの収率が低下するため、好ましくない。こ
こでいう担持とは、塩、キレート、吸着、包接等、形態
を問わない。また、担持される金属は、イオン、金属の
何れであってもよい。イオンの形態としては、酸化物、
ハロゲン化物、硫化物等が挙げられる。
【0057】カルボン酸系樹脂に金属を担持させる方法
は、特に限定されるものではなく、一般に実施されてい
る方法を採用することができる。金属、例えば鉛のカル
ボン酸系樹脂への担持は、具体的には、例えば、硝酸
鉛、酢酸鉛等の鉛化合物を所定量溶解させた水溶液に該
カルボン酸系樹脂を浸漬し、所定条件下で攪拌して陽イ
オン交換を行わせた後、濾過等により該カルボン酸系樹
脂を取り出し、水洗することによって達成される。
【0058】このようにして得られるカルボン酸系樹脂
の、不飽和アルデヒドの水溶液中における形態は、上記
水溶液に溶解して均一な形態となっていてもよく、ま
た、水溶液に溶解せず、固体であってもよい。不飽和ア
ルデヒドの水溶液中におけるカルボン酸系樹脂の形態
は、特に限定されるものではないが、固体である方が好
ましい。上記のカルボン酸系樹脂を得る際には、架橋剤
を用いてもよい。上記架橋剤の種類およびその添加量
は、特に限定されるものではない。
【0059】尚、本発明において金属が担持されたカル
ボン酸系樹脂が、不飽和アルデヒドからヒドロキシアル
カナールを合成する反応に、より優れた触媒作用を示す
詳細な理由は明らかではないが、上記の反応において
は、反応生成物であるヒドロキシアルカナールの逐次反
応が抑制されるためではないかと推察される。
【0060】また、不飽和アルデヒドとしてアクロレイ
ンを用いる場合には、3-ヒドロキシプロパナールをより
高選択率かつ高収率で得るために、目的物である3-ヒド
ロキシプロパナールから誘導される1,3-プロパンジオー
ルを反応系に添加することが好ましい。アクロレインに
対する1,3-プロパンジオールの添加量は、 0.001重量%
〜10重量%の範囲内が好ましく、0.01重量%〜5重量%
の範囲内がより好ましく、 0.1重量%〜2重量%の範囲
内がさらに好ましく、1重量%程度が最も好ましい。1,
3-プロパンジオールの添加量が 0.001重量%よりも少な
い場合には、該1,3-プロパンジオールを添加する効果が
充分に発揮されないため、好ましくない。また、1,3-プ
ロパンジオールの添加量が10重量%よりも多い場合に
は、3-ヒドロキシプロパナールの収率が低下するため、
好ましくない。
【0061】尚、本発明において反応系に添加される1,
3-プロパンジオールが、アクロレインから3-ヒドロキシ
プロパナールを合成する反応に、より優れた作用・効果
を示す詳細な理由は明らかではないが、上記の反応にお
いては、カルボン酸系樹脂における上記反応点に1,3-プ
ロパンジオールが結合し、該反応点を或る程度マスクす
ることにより、反応生成物である3-ヒドロキシプロパナ
ールの逐次反応が抑制されるためではないかと推察され
る。
【0062】反応温度は、特に限定されるものではない
が、50℃〜 250℃が好適であり、例えば、不飽和アルデ
ヒドとしてアクロレインを用いる場合には、50℃〜 140
℃が好ましい。反応温度が50℃未満の場合には、反応速
度が遅くなり、水和反応に時間が掛かるため経済的でな
く、また、反応温度が 250℃を越える場合には、不飽和
アルデヒドの重合等の副反応が起こり、ヒドロキシアル
カナールの収率低下を招くため、好ましくない。
【0063】本発明は、回分方式、半回分方式、連続方
式の何れの方式を採用して行ってもよいが、反応系を密
閉系とすることが好ましい。反応系を密閉系とする場合
における反応圧力は、特に限定されるものではないが、
1kg/cm2〜20kg/cm2が好適である。また、不飽和アルデ
ヒドの沸点未満の温度で反応を行う場合においても、不
飽和アルデヒドの蒸気圧等を考慮に入れて、反応系に1
kg/cm2〜5kg/cm2程度の反応圧力を掛けることが好まし
い。上記の反応圧力は、例えば、反応容器に、反応系に
対して不活性なガス(例えば、N2 ガスやHeガス等)
を充填することにより掛けてもよい。反応圧力は、高圧
の方が不飽和アルデヒドの水への溶解量が多くなり、ヒ
ドロキシアルカナールの収率が高くなる反面、反応装置
の耐圧構造をより強固なものとしなければならず、装置
の大型化を招く等の不利を生じる。従って、反応圧力
は、上記両者のバランスを考慮に入れて設定すればよ
い。
【0064】反応終了後、濾過、蒸留等の簡単な分離操
作で、目的物であるヒドロキシアルカナールの水溶液を
容易に得ることができる。また、所望すれば、ヒドロキ
シアルカナールを容易に単離することができる。そし
て、例えば、ヒドロキシアルカナールとしての3-ヒドロ
キシアルカナールを例に挙げると、実際に、3-ヒドロキ
シアルカナールは水溶液中では、ヘミアセタール体およ
びアセタール体として存在している可能性がある。しか
しながら、これらは、3-ヒドロキシアルカナールに容易
に変換することができる。また、ヒドロキシアルカナー
ルは、アルコール類の共存下でも、相当するアルコール
のヘミアセタール体およびアセタール体として存在して
いる可能性があるが、これらは、ヒドロキシアルカナー
ルに容易に変換することができる。
【0065】尚、回収された水や、触媒であるカルボン
酸系樹脂、未反応の不飽和アルデヒドは、水和反応に繰
り返し使用可能である。
【0066】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら
限定されるものではない。尚、前記一般式(I) で表され
る不飽和アルデヒドの転化率、および、ヒドロキシアル
カナールの選択率は、次の定義に従うものとする。
【0067】不飽和アルデヒドの転化率(%) =(消費された不飽和アルデヒドのモル数/供給した不
飽和アルデヒドのモル数)× 100 ヒドロキシアルカナールの選択率(%) =(ヒドロキシアルカナールに転化した不飽和アルデヒ
ドのモル数/消費された不飽和アルデヒドのモル数)×
100 ヒドロキシアルカナール2量体の選択率(%) =(ヒドロキシアルカナール2量体に転化した不飽和ア
ルデヒドのモル数/消費された不飽和アルデヒドのモル
数)× 100 不飽和アルデヒド、ヒドロキシアルカナール、およびヒ
ドロキシアルカナール2量体は、ガスクロマトグラフィ
ー(GC)等の公知の方法で定量できる。本発明におい
てはガスクロマトグラフィーにより測定した。
【0068】〔実施例1〕温度計および攪拌装置等を備
えた反応容器に所定量の水を入れた後、水溶液中におけ
る濃度が17重量%となるように不飽和アルデヒドとして
のアクロレインを所定量仕込んだ。次に、上記の水溶液
に触媒として、アクリル酸−アクリルアミド共重合体
(カルボン酸系樹脂)を所定量加えた。上記のアクリル
酸−アクリルアミド共重合体におけるアクリルアミド単
位の含有量は、5モル%とした。上記の反応溶液を、攪
拌しながら80℃で3時間反応させることにより、アクロ
レインを水和した。上記の反応条件を表1にまとめた。
【0069】反応終了後、この反応溶液を濾過し、濾液
を所定の方法により分析した結果、アクロレインの転化
率は44%であり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選
択率は57%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率
は9%であり、両者の選択率を合計したヒドロキシアル
カナールとしての選択率は66%であった。また、触媒は
耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用すること
ができた。上記の結果を表2にまとめた。
【0070】尚、水和反応で得られた3-ヒドロキシプロ
パナール 8.1重量%、および、3-ヒドロキシプロパナー
ル2量体 1.3重量%を含む水溶液を調製した。そして、
この水溶液に公知のラネーニッケル触媒を添加し、3-ヒ
ドロキシプロパナールおよび3-ヒドロキシプロパナール
2量体の水素化を行った。反応条件は、水素圧を 100kg
/cm2、反応温度を60℃、反応時間を6時間とした。反応
終了後、この水溶液を分析した結果、3-ヒドロキシプロ
パナールおよび3-ヒドロキシプロパナール2量体の合計
量に相当する1,3-プロパンジオールの生成が認められ
た。即ち、1,3-プロパンジオールが定量的に生成した。
このことから、3-ヒドロキシプロパナール2量体は、従
来公知の水素化によって、1,3-プロパンジオールに変換
されることがわかった。
【0071】〔実施例2〕実施例1における触媒として
のアクリル酸−アクリルアミド共重合体に対して鉛を担
持させ、反応系に1,3-プロパンジオールをアクロレイン
に対して 2.5重量%添加し、反応温度を90℃とした以外
は、実施例1と同様の反応、分析を行った。上記のアク
リル酸−アクリルアミド共重合体における鉛の担持量
は、5重量%以下の所定の値に調製した。上記の反応条
件を表1にまとめた。
【0072】その結果、アクロレインの転化率は51%で
あり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選択率は77
%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率は15%で
あり、両者を合計した選択率は92%であった。また、触
媒は耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用する
ことができた。上記の結果を表2にまとめた。
【0073】〔実施例3〕実施例2におけるアクロレイ
ンの濃度を17重量%から28重量%に変更した以外は、実
施例2と同様の反応、分析を行った。上記の反応条件を
表1にまとめた。
【0074】その結果、アクロレインの転化率は38%で
あり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選択率は64
%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率は23%で
あり、両者を合計した選択率は87%であった。また、触
媒は耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用する
ことができた。上記の結果を表2にまとめた。
【0075】〔実施例4〕実施例3における触媒として
のアクリル酸−アクリルアミド共重合体におけるアクリ
ルアミド単位の含有量を5モル%から20モル%に変更し
た以外は、実施例3と同様の反応、分析を行った。上記
の反応条件を表1にまとめた。
【0076】その結果、アクロレインの転化率は56%で
あり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選択率は67
%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率は12%で
あり、両者を合計した選択率は79%であった。また、触
媒は耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用する
ことができた。上記の結果を表2にまとめた。
【0077】〔実施例5〕実施例3における触媒として
のアクリル酸−アクリルアミド共重合体の代わりに、ア
クリル酸−N,N-ジメチルアクリルアミド共重合体を用い
た以外は、実施例3と同様の反応、分析を行った。上記
のアクリル酸−N,N-ジメチルアクリルアミド共重合体に
おけるN,N-ジメチルアクリルアミド単位の含有量は、5
モル%とした。上記の反応条件を表1にまとめた。
【0078】その結果、アクロレインの転化率は41%で
あり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選択率は60
%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率は20%で
あり、両者を合計した選択率は80%であった。また、触
媒は耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用する
ことができた。上記の結果を表2にまとめた。
【0079】〔実施例6〕実施例3における触媒として
のアクリル酸−アクリルアミド共重合体の代わりに、ア
クリル酸−N-イソプロピルアクリルアミド共重合体を用
いた以外は、実施例3と同様の反応、分析を行った。上
記のアクリル酸−N-イソプロピルアクリルアミド共重合
体におけるN-イソプロピルアクリルアミド単位の含有量
は、5モル%とした。上記の反応条件を表1にまとめ
た。
【0080】その結果、アクロレインの転化率は42%で
あり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選択率は57
%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率は19%で
あり、両者を合計した選択率は76%であった。また、触
媒は耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用する
ことができた。上記の結果を表2にまとめた。
【0081】〔実施例7〕実施例3における触媒として
のアクリル酸−アクリルアミド共重合体の代わりに、ア
クリル酸−N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
共重合体を用いた以外は、実施例3と同様の反応、分析
を行った。上記のアクリル酸−N,N-ジメチルアミノプロ
ピルアクリルアミド共重合体におけるN,N-ジメチルアミ
ノプロピルアクリルアミド単位の含有量は、5モル%と
した。上記の反応条件を表1にまとめた。
【0082】その結果、アクロレインの転化率は46%で
あり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選択率は57
%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率は18%で
あり、両者を合計した選択率は75%であった。また、触
媒は耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用する
ことができた。上記の結果を表2にまとめた。
【0083】〔実施例8〕実施例3における触媒として
のアクリル酸−アクリルアミド共重合体の代わりに、ア
クリル酸−N,N-ジエチルアクリルアミド共重合体を用い
た以外は、実施例3と同様の反応、分析を行った。上記
のアクリル酸−N,N-ジエチルアクリルアミド共重合体に
おけるN,N-ジエチルアクリルアミド単位の含有量は、5
モル%とした。上記の反応条件を表1にまとめた。
【0084】その結果、アクロレインの転化率は58%で
あり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選択率は65
%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率は12%で
あり、両者を合計した選択率は77%であった。また、触
媒は耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用する
ことができた。上記の結果を表2にまとめた。
【0085】〔実施例9〕実施例1における触媒として
のアクリル酸−アクリルアミド共重合体の代わりに、ア
クリル酸−N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
共重合体を用い、反応系に1,3-プロパンジオールをアク
ロレインに対して 1.3重量%添加し、反応温度を90℃と
した以外は、実施例1と同様の反応、分析を行った。上
記のアクリル酸−N,N-ジメチルアミノプロピルアクリル
アミド共重合体におけるN,N-ジメチルアミノプロピルア
クリルアミド単位の含有量は、5モル%とした。上記の
反応条件を表1にまとめた。
【0086】その結果、アクロレインの転化率は30%で
あり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選択率は64
%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率は16%で
あり、両者を合計した選択率は80%であった。また、触
媒は耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用する
ことができた。上記の結果を表2にまとめた。
【0087】〔実施例10〕実施例1における触媒とし
てのアクリル酸−アクリルアミド共重合体の代わりに、
アクリル酸−N-ビニルピロリドン共重合体を用い、反応
系に1,3-プロパンジオールをアクロレインに対して 2.5
重量%添加した以外は、実施例1と同様の反応、分析を
行った。上記のアクリル酸−N-ビニルピロリドン共重合
体におけるN-ビニルピロリドン単位の含有量は、5モル
%とした。上記の反応条件を表1にまとめた。
【0088】その結果、アクロレインの転化率は28%で
あり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選択率は71
%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率は8%で
あり、両者を合計した選択率は79%であった。また、触
媒は耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用する
ことができた。上記の結果を表2にまとめた。
【0089】〔実施例11〕実施例10におけるアクロ
レインの濃度を17重量%から28重量%に変更した以外
は、実施例10と同様の反応、分析を行った。上記の反
応条件を表1にまとめた。
【0090】その結果、アクロレインの転化率は17%で
あり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選択率は65
%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率は9%で
あり、両者を合計した選択率は74%であった。また、触
媒は耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用する
ことができた。上記の結果を表2にまとめた。
【0091】〔比較例1〕実施例2における触媒として
の鉛を担持させたアクリル酸−アクリルアミド共重合体
の代わりに、アルミニウムを担持させたイオン交換樹脂
を用い、反応温度を70℃とし、反応系に1,3-プロパンジ
オールを添加しない以外は、実施例2と同様の反応、分
析を行った。上記のイオン交換樹脂としては、デュオラ
イトC467(商品名 (Duolite)、レム・アンド・ハー
ス社(Rohm & Haas Co.)製)を用いた。また、イオン交
換樹脂におけるアルミニウムの担持量は、5重量%以下
の所定の値に調製した。上記の反応条件を表1にまとめ
た。
【0092】その結果、アクロレインの転化率は44%で
あり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選択率は46
%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率は5%で
あり、両者を合計した選択率は51%であり、3-ヒドロキ
シプロパナールの逐次反応による生成物が多量に生成し
た。上記の結果を表2にまとめた。尚、触媒は耐熱性に
劣っており、水和反応に繰り返し使用することができな
かった。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】〔実施例12〕温度計および攪拌装置等を
備えた反応容器に所定量の水を入れた後、水溶液中にお
ける濃度が17重量%となるようにアクロレインを所定量
仕込んだ。また、該水溶液に1,3-プロパンジオールをア
クロレインに対して 2.5重量%添加した。次に、上記の
水溶液に触媒として、アクリル酸−N,N-ジアリルアミン
共重合体(カルボン酸系樹脂)を所定量加えた。上記の
アクリル酸−N,N-ジアリルアミン共重合体におけるN,N-
ジアリルアミン単位の含有量は、5モル%とした。上記
の反応溶液を、攪拌しながら80℃で3時間反応させるこ
とにより、アクロレインを水和した。上記の反応条件を
表3にまとめた。
【0096】反応終了後、この反応溶液を濾過し、濾液
を所定の方法により分析した結果、アクロレインの転化
率は64%であり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選
択率は91%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率
は8%であり、両者の選択率を合計したヒドロキシアル
カナールとしての選択率は99%であった。また、触媒は
耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用すること
ができた。上記の結果を表4にまとめた。
【0097】〔実施例13〕実施例12におけるアクロ
レインの濃度を17重量%から28重量%に変更した以外
は、実施例12と同様の反応、分析を行った。上記の反
応条件を表3にまとめた。
【0098】その結果、アクロレインの転化率は56%で
あり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選択率は68
%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率は9%で
あり、両者を合計した選択率は77%であった。また、触
媒は耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用する
ことができた。上記の結果を表4にまとめた。
【0099】〔実施例14〕実施例12における触媒と
してのアクリル酸−N,N-ジアリルアミン共重合体の代わ
りに、アクリル酸−N-ビニルカルバゾール共重合体を用
いた以外は、実施例12と同様の反応、分析を行った。
上記のアクリル酸−N-ビニルカルバゾール共重合体にお
けるN-ビニルカルバゾール単位の含有量は、5モル%と
した。上記の反応条件を表3にまとめた。
【0100】その結果、アクロレインの転化率は63%で
あり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選択率は91
%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率は8%で
あり、両者を合計した選択率は99%であった。また、触
媒は耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用する
ことができた。上記の結果を表4にまとめた。
【0101】〔実施例15〕実施例12における触媒と
してのアクリル酸−N,N-ジアリルアミン共重合体の代わ
りに、アクリル酸−4-(N,N-ジメチルアミノ)エチルス
チレン共重合体を用いた以外は、実施例12と同様の反
応、分析を行った。上記のアクリル酸−4-(N,N-ジメチ
ルアミノ)エチルスチレン共重合体における4-(N,N-ジ
メチルアミノ)エチルスチレン単位の含有量は、5モル
%とした。上記の反応条件を表3にまとめた。
【0102】その結果、アクロレインの転化率は55%で
あり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選択率は69
%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率は10%で
あり、両者を合計した選択率は79%であった。また、触
媒は耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用する
ことができた。上記の結果を表4にまとめた。
【0103】〔実施例16〕実施例13における触媒と
してのアクリル酸−N,N-ジアリルアミン共重合体の代わ
りに、アクリル酸−N-ビニルカルバゾール共重合体を用
いた以外は、実施例13と同様の反応、分析を行った。
上記のアクリル酸−N-ビニルカルバゾール共重合体にお
けるN-ビニルカルバゾール単位の含有量は、5モル%と
した。上記の反応条件を表3にまとめた。
【0104】その結果、アクロレインの転化率は56%で
あり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選択率は66
%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率は8%で
あり、両者を合計した選択率は74%であった。また、触
媒は耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用する
ことができた。上記の結果を表4にまとめた。
【0105】〔実施例17〕実施例13における触媒と
してのアクリル酸−N,N-ジアリルアミン共重合体の代わ
りに、アクリル酸−4-(N,N-ジメチルアミノ)エチルス
チレン共重合体を用いた以外は、実施例13と同様の反
応、分析を行った。上記のアクリル酸−4-(N,N-ジメチ
ルアミノ)エチルスチレン共重合体における4-(N,N-ジ
メチルアミノ)エチルスチレン単位の含有量は、5モル
%とした。上記の反応条件を表3にまとめた。
【0106】その結果、アクロレインの転化率は49%で
あり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選択率は51
%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率は10%で
あり、両者を合計した選択率は61%であった。また、触
媒は耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用する
ことができた。上記の結果を表4にまとめた。
【0107】〔実施例18〕実施例12におけるアクロ
レインの水和反応における反応温度を80℃から90℃に変
更した以外は、実施例12と同様の反応、分析を行っ
た。上記の反応条件を表3にまとめた。
【0108】その結果、アクロレインの転化率は72%で
あり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選択率は78
%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率は8%で
あり、両者を合計した選択率は86%であった。また、触
媒は耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用する
ことができた。上記の結果を表4にまとめた。
【0109】
【表3】
【0110】
【表4】
【0111】〔実施例19〕温度計および攪拌装置等を
備えた反応容器に所定量の水を入れた後、水溶液中にお
ける濃度が28重量%となるようにアクロレインを所定量
仕込んだ。また、該水溶液に1,3-プロパンジオールをア
クロレインに対して 2.5重量%添加した。次に、上記の
水溶液に触媒として、アクリル酸−N,N-ジアリルアミン
共重合体を所定量加えた。上記のアクリル酸−N,N-ジア
リルアミン共重合体におけるN,N-ジアリルアミン単位の
含有量は、10モル%とした。上記の反応溶液を、攪拌し
ながら80℃で3時間反応させることにより、アクロレイ
ンを水和した。上記の反応条件を表5にまとめた。
【0112】反応終了後、この反応溶液を濾過し、濾液
を所定の方法により分析した結果、アクロレインの転化
率は60%であり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選
択率は69%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率
は9%であり、両者の選択率を合計したヒドロキシアル
カナールとしての選択率は78%であった。また、触媒は
耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用すること
ができた。上記の結果を表6にまとめた。
【0113】〔実施例20〕実施例19における触媒と
してのアクリル酸−N,N-ジアリルアミン共重合体の代わ
りに、アクリル酸−N,N,N-トリアリルアミン共重合体
(カルボン酸系樹脂)を用いた以外は、実施例19と同
様の反応、分析を行った。上記のアクリル酸−N,N,N-ト
リアリルアミン共重合体におけるN,N,N-トリアリルアミ
ン単位の含有量は、10モル%とした。上記の反応条件を
表5にまとめた。
【0114】その結果、アクロレインの転化率は58%で
あり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選択率は61
%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率は4%で
あり、両者を合計した選択率は65%であった。また、触
媒は耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用する
ことができた。上記の結果を表6にまとめた。
【0115】〔実施例21〕実施例19における触媒と
してのアクリル酸−N,N-ジアリルアミン共重合体の代わ
りに、アクリル酸−N-モノアリルアミン共重合体(カル
ボン酸系樹脂)を用いた以外は、実施例19と同様の反
応、分析を行った。上記のアクリル酸−N-モノアリルア
ミン共重合体におけるN-モノアリルアミン単位の含有量
は、5モル%とした。上記の反応条件を表5にまとめ
た。
【0116】その結果、アクロレインの転化率は57%で
あり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選択率は62
%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率は12%で
あり、両者を合計した選択率は74%であった。また、触
媒は耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用する
ことができた。上記の結果を表6にまとめた。
【0117】〔実施例22〕実施例19における触媒と
してのアクリル酸−N,N-ジアリルアミン共重合体の代わ
りに、アクリル酸−N,N-ジアリルアミンエタンチオール
共重合体(カルボン酸系樹脂)を用いた以外は、実施例
19と同様の反応、分析を行った。上記のアクリル酸−
N,N-ジアリルアミンエタンチオール共重合体におけるN,
N-ジアリルアミンエタンチオール単位の含有量は、5モ
ル%とした。上記の反応条件を表5にまとめた。
【0118】その結果、アクロレインの転化率は61%で
あり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選択率は74
%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率は11%で
あり、両者を合計した選択率は85%であった。また、触
媒は耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用する
ことができた。上記の結果を表6にまとめた。
【0119】〔実施例23〕実施例22における触媒と
してのアクリル酸−N,N-ジアリルアミンエタンチオール
共重合体におけるN,N-ジアリルアミンエタンチオール単
位の含有量を5モル%から10モル%に変更した以外は、
実施例22と同様の反応、分析を行った。上記の反応条
件を表5にまとめた。
【0120】その結果、アクロレインの転化率は65%で
あり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選択率は69
%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率は7%で
あり、両者を合計した選択率は76%であった。また、触
媒は耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用する
ことができた。上記の結果を表6にまとめた。
【0121】〔実施例24〕温度計および攪拌装置等を
備えた反応容器に所定量の水を入れた後、水溶液中にお
ける濃度が28重量%となるようにアクロレインを所定量
仕込んだ。また、該水溶液に1,3-プロパンジオールをア
クロレインに対して 2.5重量%添加した。次に、上記の
水溶液に触媒として、アクリル酸−6- (N,N-ジプロペニ
ルアミノ)-4-チアヘキサン酸共重合体を所定量加えた。
上記のアクリル酸−6- (N,N-ジプロペニルアミノ)-4-チ
アヘキサン酸共重合体における6- (N,N-ジプロペニルア
ミノ)-4-チアヘキサン酸単位の含有量は、30モル%とし
た。上記の反応溶液を、攪拌しながら90℃で 2.5時間反
応させることにより、アクロレインを水和した。上記の
反応条件を表5にまとめた。
【0122】反応終了後、この反応溶液を濾過し、濾液
を所定の方法により分析した結果、アクロレインの転化
率は64%であり、また、3-ヒドロキシプロパナールの選
択率は80%、3-ヒドロキシプロパナール2量体の選択率
は8%であり、両者の選択率を合計したヒドロキシアル
カナールとしての選択率は88%であった。また、触媒は
耐熱性に優れており、水和反応に繰り返し使用すること
ができた。上記の結果を表6にまとめた。
【0123】
【表5】
【0124】
【表6】
【0125】表2・4・6にまとめた結果から明らかな
ように、本実施例の方法によれば、含窒素基を有するカ
ルボン酸系樹脂を触媒として用いることにより、反応速
度を加熱によって上げることができ、かつ、反応生成物
である3-ヒドロキシプロパナールの逐次反応が抑制され
るため、高濃度のアクロレイン水溶液を用いた場合にお
いても、3-ヒドロキシプロパナールを高選択率かつ高収
率で得ることができた。また、触媒が耐熱性に優れてお
り、繰り返し使用することが可能であることがわかっ
た。
【0126】
【発明の効果】本発明の請求項1記載のヒドロキシアル
カナールの製造方法は、以上のように、一般式(I)
【0127】
【化18】
【0128】(式中、Rは、水素原子または炭素数1〜
5の炭化水素基を表す)で表される不飽和アルデヒドを
触媒の存在下、水溶液中で水和させてヒドロキシアルカ
ナールを製造する方法において、上記触媒として、一般
式(II)
【0129】
【化19】
【0130】、一般式(III)
【0131】
【化20】
【0132】、一般式(IV)
【0133】
【化21】
【0134】、一般式(V)
【0135】
【化22】
【0136】、および、一般式(VI)
【0137】
【化23】
【0138】からなる群より選ばれる少なくとも一種の
構造を備えた置換基を有するカルボン酸系樹脂を用いる
方法である。
【0139】本発明の請求項2記載のヒドロキシアルカ
ナールの製造方法は、以上のように、前記一般式(I)
で表される不飽和アルデヒドを触媒の存在下、水溶液
中で水和させてヒドロキシアルカナールを製造する方法
において、上記触媒として、カルボキシル基を含有する
不飽和単量体(A) と、アミノ基および/またはアミド基
を含有する不飽和単量体(B) とを共重合してなるカルボ
ン酸系樹脂を用いる方法である。
【0140】本発明の請求項3記載のヒドロキシアルカ
ナールの製造方法は、以上のように、一般式(VII)
【0141】
【化24】
【0142】で表される置換基が、上記アミノ基および
/またはアミド基を構成する窒素原子に結合している方
法である。
【0143】本発明の請求項4記載のヒドロキシアルカ
ナールの製造方法は、以上のように、上記不飽和単量体
(B) が、ビニルピリジン類、N-ビニルカルバゾール類、
N-モノアリルアミン類、N,N-ジアリルアミン類、N,N,N-
トリアリルアミン類、4-(N,N-ジアルキルアミノ)アル
キルスチレン類、6- (N-プロペニルアミノ)-4-チアヘキ
サン酸、および、6- (N,N-ジプロペニルアミノ)-4-チア
ヘキサン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の含
窒素不飽和化合物である方法である。本発明の請求項5
記載のヒドロキシアルカナールの製造方法は、以上のよ
うに、カルボン酸系樹脂における含窒素基の数とカルボ
キシル基の数との比(含窒素基の数/カルボキシル基の
数)が、1/1000〜1/1 の範囲内である方法である。本発
明の請求項6記載のヒドロキシアルカナールの製造方法
は、以上のように、カルボン酸系樹脂に対して金属が
0.001重量%〜10重量%の範囲内で担持されている方法
である。
【0144】また、本発明の請求項7記載のヒドロキシ
アルカナールの製造方法は、以上のように、カルボン酸
系樹脂が(メタ)アクリル酸系樹脂である方法である。
本発明の請求項8記載のヒドロキシアルカナールの製造
方法は、以上のように、上記(メタ)アクリル酸系樹脂
が(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリルアミド類共重
合体または(メタ)アクリル酸−ビニルピロリドン類共
重合体である方法である。本発明の請求項9記載のヒド
ロキシアルカナールの製造方法は、以上のように、不飽
和アルデヒドがアクロレインである方法である。本発明
の請求項10記載のヒドロキシアルカナールの製造方法
は、以上のように、反応系に、1,3-プロパンジオールを
アクロレインに対して 0.001重量%〜10重量%の範囲内
で添加する方法である。
【0145】上記の方法によれば、反応速度を加熱によ
って上げることができ、かつ、反応生成物であるヒドロ
キシアルカナールの逐次反応(副反応)が抑制されるた
め、高濃度の不飽和アルデヒド水溶液を用いた場合にお
いても、ヒドロキシアルカナールを高選択率かつ高収率
で製造することができる。即ち、耐熱性を備えたカルボ
ン酸系樹脂を用いることにより、反応速度を加熱によっ
て上げることができると共に、工業的に有利となる高濃
度の不飽和アルデヒド水溶液を反応させることができる
ので、ヒドロキシアルカナールの生産性を向上させるこ
とができる。従って、上記の方法は、ヒドロキシアルカ
ナールの製造方法として好適に使用されるという効果を
奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 米田 忠弘 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 (72)発明者 吉田 雅年 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) 【化1】 (式中、Rは、水素原子または炭素数1〜5の炭化水素
    基を表す)で表される不飽和アルデヒドを触媒の存在
    下、水溶液中で水和させてヒドロキシアルカナールを製
    造する方法において、上記触媒として、一般式(II) 【化2】 、一般式(III) 【化3】 、一般式(IV) 【化4】 、一般式(V) 【化5】 、および、一般式(VI) 【化6】 からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造を備えた
    置換基を有するカルボン酸系樹脂を用いることを特徴と
    するヒドロキシアルカナールの製造方法。
  2. 【請求項2】一般式(I) 【化7】 (式中、Rは、水素原子または炭素数1〜5の炭化水素
    基を表す)で表される不飽和アルデヒドを触媒の存在
    下、水溶液中で水和させてヒドロキシアルカナールを製
    造する方法において、 上記触媒として、カルボキシル基を含有する不飽和単量
    体(A) と、アミノ基および/またはアミド基を含有する
    不飽和単量体(B) とを共重合してなるカルボン酸系樹脂
    を用いることを特徴とするヒドロキシアルカナールの製
    造方法。
  3. 【請求項3】一般式(VII) 【化8】 で表される置換基が、上記アミノ基および/またはアミ
    ド基を構成する窒素原子に結合していることを特徴とす
    る請求項2記載のヒドロキシアルカナールの製造方法。
  4. 【請求項4】上記不飽和単量体(B) が、ビニルピリ
    ジン類、N-ビニルカルバゾール類、N-モノアリルアミン
    類、N,N-ジアリルアミン類、N,N,N-トリアリルアミン
    類、4-(N,N-ジアルキルアミノ)アルキルスチレン類、
    6- (N-プロペニルアミノ)-4-チアヘキサン酸、および、
    6- (N,N-ジプロペニルアミノ)-4-チアヘキサン酸からな
    る群より選ばれる少なくとも一種の含窒素不飽和化合物
    であることを特徴とする請求項2記載のヒドロキシアル
    カナールの製造方法。
  5. 【請求項5】カルボン酸系樹脂における含窒素基の数と
    カルボキシル基の数との比(含窒素基の数/カルボキシ
    ル基の数)が、1/1000〜1/1 の範囲内であることを特徴
    とする請求項1ないし4の何れか1項に記載のヒドロキ
    シアルカナールの製造方法。
  6. 【請求項6】カルボン酸系樹脂に対して金属が 0.001重
    量%〜10重量%の範囲内で担持されていることを特徴と
    する請求項1ないし5の何れか1項に記載のヒドロキシ
    アルカナールの製造方法。
  7. 【請求項7】カルボン酸系樹脂が(メタ)アクリル酸系
    樹脂であることを特徴とする請求項1ないし6の何れか
    1項に記載のヒドロキシアルカナールの製造方法。
  8. 【請求項8】上記(メタ)アクリル酸系樹脂が(メタ)
    アクリル酸−(メタ)アクリルアミド類共重合体または
    (メタ)アクリル酸−ビニルピロリドン類共重合体であ
    ることを特徴とする請求項7記載のヒドロキシアルカナ
    ールの製造方法。
  9. 【請求項9】不飽和アルデヒドがアクロレインであるこ
    とを特徴とする請求項1ないし8の何れか1項に記載の
    ヒドロキシアルカナールの製造方法。
  10. 【請求項10】反応系に、1,3-プロパンジオールをアク
    ロレインに対して 0.001重量%〜10重量%の範囲内で添
    加することを特徴とする請求項9記載のヒドロキシアル
    カナールの製造方法。
  11. 【請求項11】一般式(I) 【化9】 (式中、Rは、水素原子または炭素数1〜5の炭化水素
    基を表す)で表される不飽和アルデヒドを水溶液中で水
    和させてヒドロキシアルカナールを製造する際に用いら
    れる触媒であって、 カルボキシル基を含有する不飽和単量体(A) と、アミノ
    基および/またはアミド基を含有する不飽和単量体(B)
    とを共重合してなるカルボン酸系樹脂からなることを特
    徴とする触媒。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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