JPH08333115A - アルミナゾルおよび記録シート - Google Patents
アルミナゾルおよび記録シートInfo
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Abstract
ミナゾルに比べて高濃度のアルミナゾルを得る。 【解決手段】水系溶媒中にアルミナ水和物のコロイド粒
子が分散したゾルであって、分子内にスルホン酸基を有
し1重量%水溶液にしたときのpHが4以下の化合物を
含有するアルミナゾル。
Description
びアルミナゾルとバインダーからなる塗工液から得られ
る記録シートに関する。
加水分解し、得られた沈殿に酸を添加して解膠するアル
ミナゾルの製造方法が知られている(B.E.Yold
as,Amer.Ceram.Soc.Bull.5
4,289(1975)など)。あるいは、アルミン酸
ナトリウムの水溶液に、酸を加えてアルミナ水和物の沈
殿を得て、これを解膠剤とともにオートクレーブ中で加
熱して解膠する方法も知られている。
硫酸などの無機酸、あるいは有機酸としては酢酸などの
カルボン酸が使用されている。通常、アルミナゾルはp
Hが3.5付近でもっとも粘度が低下するので、解膠時
にはこの付近のpHになるように酸が添加される。
ルを基材上に塗布し、乾燥させた場合には吸収性が良好
でかつ透明性に優れた多孔質ゲル層を形成できるが、塗
工層が厚くなった場合には、乾燥時にクラックが発生し
やすく厚塗りが困難になる場合があった。また解膠剤と
して酢酸のような揮発性の酸を使用した場合には、刺激
臭があるなどの作業上、製品使用上の問題点があった。
本発明は、上記の問題点を解決し、厚塗りが容易で、保
存性、塗工性に優れ、さらにゾルを塗工したシートに印
字した際のインクのにじみも抑制できるようなアルミナ
ゾルを得ることを目的とする。
アルミナ水和物のコロイド粒子が分散したゾルであっ
て、分子内にスルホン酸基を有し1重量%水溶液にした
ときのpHが4以下の化合物を含有するアルミナゾルを
提供する。
液にしたときのpHが4以下の化合物は、アルミナゾル
の解膠剤として作用する。分子内にスルホン酸基を有す
る化合物であっても、タウリン(1重量%水溶液にした
ときpH=6.8)のように弱い酸性しか示さないもの
は解膠作用がないか、あっても弱いため安定したアルミ
ナゾルを得ることができない。解膠剤は、単独で水に溶
解して1重量%水溶液にしたときのpHが4以下である
ことが必要である。pHが3以下である場合はより好ま
しい。
に、同一分子内にカルボキシル基およびアミノ基を有す
る化合物、同一分子内にスルホン酸基およびアミノ基を
有する化合物、ホルムアミドおよびアセトアミドから選
ばれる化合物を含有するアルミナゾルを提供する。これ
らの化合物は、アルミナゾルの粘度を低下させるいわゆ
る減粘剤として作用する。
ンダーを混合した塗工液を、塗布乾燥して得られる多孔
質層を有する記録シートを提供する。
て具体的には、ベンゼンスルホン酸(1重量%水溶液に
したときのpH=2.1、以下化合物名の後に括弧書き
で示すpHはいずれも1重量%水溶液のpHである)、
p−トルエンスルホン酸(pH=2.3)、エチルベン
ゼンスルホン酸(pH=2.3)、ドデシルベンゼンス
ルホン酸(pH=2.8)などの芳香族炭化水素のスル
ホン酸、ヘキサンスルホン酸(pH=1.8)などの脂
肪族炭化水素のスルホン酸が例示できる。炭化水素には
スルホン酸基以外の置換基があってもよく、2−アクリ
ルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(pH=1.
6)も好適に使用できる。アミド硫酸(H2 NSO3
H、pH=2.0)も好適に使用できる。以下これらの
化合物を総称して単にスルホン酸という。スルホン酸
は、2種以上を混合して用いてもよい。
のアルミニウム原子1モルに対して1〜50ミリモルで
ある。スルホン酸の使用量が1ミリモルに満たない場合
には、解膠が充分に進行しないので好ましくない。逆に
50ミリモルを超える場合には、ゾルを基材上に塗工し
たとき、特に厚塗りの場合にクラックが発生しやすく、
また塗工工程において腐食性に留意する必要があるなど
作業上好ましくない。好ましいスルホン酸の使用量の範
囲は、アルミナ水和物中のアルミニウム原子1モルに対
して1〜100ミリモルである。特に、p−トルエンス
ルホン酸の場合2〜40ミリモル、2−アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルホン酸の場合1〜30ミリモ
ル、アミド硫酸の場合2〜30ミリモルである。
て作用し、高い固形分濃度のアルミナゾルを得ることが
できる。ゾルの固形分濃度は安定性の点で30重量%以
下が好ましい。それ以下の濃度のゾルは特に問題なく製
造できるが、溶媒を不必要に多量に含まない点で固形分
濃度が10重量%以上であることが好ましい。特に、基
材上にアルミナ水和物層を形成するための塗工液の原料
として用いる場合には、ゾルの固形分濃度は15〜30
重量%が好ましい。固形分濃度が15重量%未満の場合
は、塗工時にクラックが発生しやすいので好ましくな
い。固形分濃度が30重量%を超える場合は、ゾルが不
安定で容易にゲル化し、塗工性が低下するので好ましく
ない。特に好ましい固形分濃度は、p−トルエンスルホ
ン酸の場合15〜25重量%、2−アクリルアミド−2
−メチルプロパンスルホン酸の場合20〜30重量%、
アミド硫酸の場合20〜30重量%である。
しては、スルホン酸単独の場合だけでなく、さらに他の
酸を混合して解膠することもできる。たとえば酢酸と混
合する場合には、酢酸がスルホン酸に比べて弱酸である
ので、ゾルのpHの低下を抑えることができる。酢酸の
添加量は、スルホン酸1モルに対して、0.5〜8モル
が好ましい。
2 Oで表されるもので、具体的には結晶性のベーマイト
(nは1〜1.5)または水酸化アルミニウム(nは
3)または無定形のアルミナ水和物(nは約3)などが
挙げられる。特にアルミナ水和物がベーマイトである場
合には、ゾルから溶媒を乾燥して得られるゲル体が吸収
性が良好であると同時に透明性が良好であるので、記録
シートのインク吸収層などの用途に好適に使用できる。
ことが好ましい。pHがこの範囲の外側ではゾルの安定
性が損なわれるので好ましくない。より好ましいアルミ
ナゾルのpHは3〜5の範囲である。
ニウムアルコキシドの加水分解による方法、アルミニウ
ムを含有する無機塩から合成する方法など種々の方法を
採用できる。
い。解膠温度が80℃未満の場合には、解膠に長時間を
要したり、解膠が不十分になるおそれがあるので好まし
くない。解膠温度が100℃を超える場合は、溶媒の蒸
気圧が高くなり作業が困難になるおそれがあるので好ま
しくない。解膠時間は、酸の使用量が多いほど短くなる
傾向にあるが、通常10〜72時間程度が適当である。
なお、解膠は均質なゾルを得るために撹拌下で行うのが
好ましい。
子内にカルボキシル基およびアミノ基を有する化合物、
同一分子内にスルホン酸基およびアミノ基を有する化合
物、ホルムアミドおよびアセトアミドからなる群より選
ばれる化合物を含有する場合はゾルの粘度が低下するの
で好ましい。
一分子内にカルボキシル基とアミノ基を有する化合物と
しては、グリシン、アラニンなどのα−アミノ酸以外
に、4−アミノブタン酸、6−アミノヘキサン酸なども
含む。同一分子内にカルボキシル基とアミノ基を有する
化合物の使用量は、アルミナゾル中のアルミニウム原子
1モルに対して1〜30ミリモルが好ましい。
有する化合物としては、タウリンが好適である。同一分
子内にスルホン酸基とアミノ基とを有する化合物の使用
量は、アルミナゾル中のアルミニウム原子1モルに対し
て5〜50ミリモルが好ましい。ホルムアミドまたはア
セトアミドの使用量は、アルミナゾル中のアルミニウム
原子1モルに対して20〜200ミリモルが好ましい。
ルミナゾルの粘度を低下させることができる。逆にいえ
ば、同程度の粘度を有するゾルであれば、より固形分濃
度の高いゾルを得ることができる。具体的には、ゾルの
固形分濃度を25〜30重量%程度にまで増加させるこ
とができる。
に厚い塗工層を形成する場合に有利である。すなわち、
塗工方法にもよるが、塗工に適した塗工液の粘度範囲が
あり、そのときの塗工量も大体決まっている。したがっ
て、一度に付与できる塗工液の量も限定されるから、固
形分濃度の高いゾルを用いるほど、塗工厚の大きな塗膜
を得ることができる。また、固形分濃度の高いゾルほ
ど、乾燥の際の体積収縮が小さいので、塗工膜のクラッ
クの発生が起こりにくい。
要はなく、2次粒子であってもよい。たとえば、ベーマ
イトゾルの場合、2次粒子径は300nm以下であるこ
とが好ましい。2次粒子径が300nmを超える場合に
は、ゲル化した際の透明性が減少するおそれがあるので
好ましくない。2次粒子径は200nm以下である場合
はさらに好ましい。2次粒子径は、たとえばレーザー光
の散乱などを利用して測定できる。
層などに使用する場合、ベーマイト1次粒子の(01
0)面に垂直な方向の結晶の厚さが6nm以上であるこ
とが好ましい。この厚さが6nm未満である場合、基材
に塗布して得られるゲル層に形成される細孔径が小さく
なり記録シートに必要な吸収性が得られなくなるおそれ
があるので好ましくない。この厚さが7〜10nmであ
る場合はさらに好ましい。この厚さが10nmを超える
場合は、ゲル層の透明性が減少しヘイズが大きくなるお
それがあるので好ましくない。
用でき、特に基材上にアルミナゲル質の塗工層を形成す
る目的に好適に利用できる。たとえば、紙やプラスチッ
クフィルムのような基材上に塗布乾燥して、アルミナゲ
ル質の多孔質層を形成することにより、インクジェット
方式のようなインクを多量に用いる記録方式に好適な記
録シートを得ることができる。基材としては、他に布な
ども使用できる。
用いる場合、芳香族系スルホン酸は塗工後の乾燥時など
に、たとえば分解して着色するおそれがあるので、高品
位の記録を行いたい場合には好ましくない。この目的で
使用するには、アルミナゾルの解膠剤は2−アクリルア
ミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはアミド硫酸
が好適である。
のためのインク受容層を形成する場合には、ゾルにバイ
ンダーを添加するのが好ましい。バインダーとしては、
ポリビニルアルコールおよびその変性物、でんぷんやそ
の変性物、スチレンブタジエンゴム(SBR)ラテック
ス、ニトリルブタジエンゴム(NBR)ラテックス、ヒ
ドロキシセルロース、ポリビニルピロリドン等の有機物
を使用できる。バインダーの使用量は、少なすぎるとイ
ンク受容層の強度が不充分になるおそれがあり、多すぎ
るとインクの吸収量や色素の担持量が低くなるおそれが
あるので、アルミナ水和物の5〜50重量%程度が好ま
しい。
ブル平底フラスコ、撹拌翼、温度計、凝縮器付き)に、
イオン交換水810gとイソプロパノール676gを仕
込み、マントルヒーターにより液温を75℃に加熱し
た。撹拌しながらアルミニウムイソプロポキシド306
gを添加し、撹拌速度600rpm、液温75〜80℃
で20時間加水分解した。次いで、イオン交換水400
gを添加しながら溶媒として用いたイソプロパノールお
よび加水分解で生成したイソプロパノールを留去した。
この結果、固形分濃度が10重量%のベーマイトのスラ
リーが得られた。このとき液温は95℃になった。
%のアミド硫酸水溶液をベーマイト中のアルミニウム原
子1モルに対してアミド硫酸が表1に示す量になるよう
に、それぞれ添加した。次に15時間95℃に保持して
解膠を行った。さらにこの液を濃縮して透明なゾルを得
た。それぞれのゾルの固形分濃度、25℃でのpH、粘
度を表1に示す。またこのゾルの140℃乾燥物は粉末
X線回折によるとベーマイト結晶からなり結晶粒子の
(010)面に垂直な方向の結晶厚さは8.1nmであ
った。
ン酸水溶液13.5g(ベーマイト中のアルミニウム原
子1モルに対して10.5ミリモル)を添加した以外は
例1と同様にしてゾルを得た。このゾルを分散処理後、
さらに濃縮して固形分濃度25重量%の透明なゾルを得
た。このゾルのpHは25℃で4.7で、粘度は0.1
20Pa・sであった。
−2−メチルプロパンスルホン酸水溶液18g(ベーマ
イト中のアルミニウム原子1モルに対して11.6ミリ
モル)を添加した以外は例1と同様にしてゾルを得た。
このゾルを分散処理後、さらに濃縮して固形分濃度25
重量%の透明なゾルを得た。このゾルのpHは25℃で
4.8で、粘度は0.070Pa・sであった。
ルミニウム原子1モルに対して10ミリモル添加した以
外は、例1と同様にしてゾルを得た。このゾルを分散処
理後、さらに濃縮して表2に示す固形分濃度の透明なゾ
ルを得た。このゾルの25℃におけるpHと粘度をあわ
せて表2に示す。
gを添加して、15時間95℃に保持して解膠を行っ
た。さらに6−アミノヘキサン酸の10%水溶液を、ベ
ーマイト中のアルミニウム原子1モルに対して表3に示
す量になるよう添加した。次に、この液を濃縮して透明
なゾルを得た。これらのゾルの固形分濃度、25℃での
pH、粘度を表3に示す。
イト中のアルミニウム原子1モルに対して表2に示す量
用いた以外は、例7と同様にして透明なアルミナゾルを
得た。これらのゾルの固形分濃度、25℃でのpH、粘
度を表4に示す。
にして固形分濃度18重量%のゾルを得た。このゾルの
pHは25℃で4.7で、粘度は0.070Pa・sで
あった。このゾルをさらに固形分を20重量%にまで濃
縮すると不安定となり、ゲル化した。
ナゾル100gに、ポリビニルアルコール(クラレ社
製、124H)の10重量%水溶液をそれぞれ固形分基
準でベーマイトに対し12重量%添加して塗工液を調製
した。この塗工液を厚さ100μmの透明なポリエチレ
ンテレフタレートフィルム上に、乾燥後の膜厚が25μ
mになるようにバーコーターで塗布し乾燥した。乾燥後
に塗膜の様子を観察したところ、例1〜19のアルミナ
ゾルを用いた場合には透明でクラックのない均質な塗膜
が得られていた。例20のアルミナゾルを用いたものに
は、部分的に乾燥時に発生したと思われる微少なクラッ
クが見られた。また、例1〜19のアルミナゾルを用い
た記録シートは無臭であるのに対し、例20のアルミナ
ゾルを用いた記録シートは若干の酢酸臭があった。
を用いて、インクジェットプリンターによりカラー(シ
アン、イエロー、マゼンタ、ブラック)のテストパター
ンを印字した。印字後、室内に1週間放置してもインク
のにじみは観察されなかった。
高い場合でも安定で、公知のアルミナゾルに比べて高濃
度のアルミナゾルが得られる。本発明のアルミナゾルを
基材上に塗布し乾燥させた場合には、吸収性が良好でか
つ透明性に優れる多孔質ゲル層を形成できる。本発明の
アルミナゾルは、保存性、塗工安定性に優れ、乾燥時に
クラックが発生することがなく容易に厚塗りができる。
また、刺激臭など作業上の問題もなく、このゾルを塗工
したシートに印字した場合、シート上でのインクのにじ
みも観察されないという優れた特徴を有する。
Claims (7)
- 【請求項1】水系溶媒中にアルミナ水和物のコロイド粒
子が分散したゾルであって、分子内にスルホン酸基を有
し1重量%水溶液にしたときのpHが4以下の化合物を
含有するアルミナゾル。 - 【請求項2】pHが2〜6の範囲にある請求項1のアル
ミナゾル。 - 【請求項3】固形分濃度が15〜30重量%である請求
項1または2のアルミナゾル。 - 【請求項4】アルミナ水和物がベーマイトである請求項
1、2または3のアルミナゾル。 - 【請求項5】同一分子内にカルボキシル基およびアミノ
基を有する化合物、同一分子内にスルホン酸基およびア
ミノ基を有する化合物、ホルムアミド、およびアセトア
ミドからなる群より選ばれる1以上をさらに含有する請
求項1、2、3または4のアルミナゾル。 - 【請求項6】水系溶媒中にアルミナ水和物のコロイド粒
子が分散したゾルであって、分子内にスルホン酸基を有
し1重量%水溶液にしたときのpHが4以下の化合物を
含有するアルミナゾルにバインダーを混合した塗工液
を、塗布乾燥して得られる多孔質層を有する記録シー
ト。 - 【請求項7】アルミナ水和物がベーマイトである請求項
6の記録シート。
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