JPH08330192A - イオン伝導性高分子電解質、その製造方法および同電解質を用いたコンデンサ - Google Patents
イオン伝導性高分子電解質、その製造方法および同電解質を用いたコンデンサInfo
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Abstract
学的にも極めて高い安定性を有するイオン伝導性高分子
電解質を提供することを目的とする。 【解決手段】 アクリル酸ヒドロキシアルキル、メタク
リル酸ヒドロキシアルキル及び炭酸ビニレンよりなる群
から選ばれる少なくとも1種のモノマーを重合成分に含
む重合体からなり、少なくとも電解質塩を含有するイオ
ン伝導性高分子電解質。前記重合体には、前記モノマー
の単独重合体または前記モノマーと分子内に重合可能な
二重結合を有する電解質塩との共重合体が用いられる。
このイオン伝導性高分子電解質を用いることにより、信
頼性の高い電解コンデンサおよび電気二重層コンデンサ
が得られる。
Description
子電解質、その製造方法ならびにイオン伝導性高分子電
解質を用いた電解コンデンサおよび電気二重層コンデン
サに関するものである。
は、エチレングリコール等の有機溶媒にアンモニウム塩
を主溶質として溶解したものが用いられてきた。しか
し、このような液体状の電解質を使用したコンデンサ
は、漏液や電解液の蒸発散逸のため、長期信頼性を得る
ことは困難であった。そこで、従来の液体状の電解質に
代わりシロキサン−アルキレンオキサイド・コポリマー
とポリエチレンオキサイドの混合物よりなるポリマーを
母材とし、これにアルカリ金属塩を溶解したイオン伝導
性高分子電解質を用いることにより、素子を固体化し、
漏液や電解液の蒸発散逸のない電解コンデンサとする提
案がされている。
オン伝導性高分子電解質を用いた電解コンデンサは、ア
ルカリ金属イオンが電解コンデンサの構成材料である誘
電体中に拡散し、これにより誘電体の誘電率が低下し、
最終的には電気的に短絡するという問題を有していた。
このような問題を解決するため、電解コンデンサを構成
する電解質の可動イオンとして、アンモニウムイオン等
の非金属イオンを用いることが考えられる。しかし、一
般的に、アンモニウム塩を溶解したイオン伝導性高分子
電解質は、イオン伝導度が極めて低いという欠点を有す
る。また、これまで提案されてきた様々の高分子電解質
は、室温から0℃以下に温度を下げたとき、イオン伝導
度が極端に低下するという問題を有していた。
解質を駆動用として電解コンデンサを構成すると、素子
のインピーダンスが大きくなり、電力損および通電時の
発熱により、使用可能な用途が極端に限定されるので、
未だ実用化には至っていない。イオン伝導性高分子電解
質を電解コンデンサの駆動用として用いる時、ポリマー
母材と電解質塩の組み合わせにより、いかにイオン伝導
度の高いものを実現するかが極めて重要な要件である
が、この具体的事例については、未だ明らかにされてい
ない。また昨今、アルミ電解コンデンサは、使用される
用途が大きく拡大され、これにともない高温保存時の長
期信頼性が重要視されつつある。例えば、105℃にお
いて連続10,000時間にも及ぶ保存性に対する品質
保証が要求される状況にある。高分子電解質をこのよう
な高温雰囲気に置くと、ひび割れ、収縮、溶解などの物
理的または化学的変質を起こし、素子特性を大きく損な
う原因となる。このような過酷な環境試験に対しても性
能劣化を引き起こさない固体電解質の提案は未だなされ
ていない。
て構成した電気二重層コンデンサが、各種電子機器に用
いられている。硫酸電解液を用いた電気二重層コンデン
サは、単セル当たりの耐電圧が水の電気分解の電圧以下
である1.2V程度しか得られないと言う問題を有する
ものの、電解液の導電率が0.7S/cmと極めて高
く、この特性を利用して比較的大きい出力電流を必要と
する用途、例えば電源遮断時の機器駆動用電源として使
用されている(NEC技報,第44巻,第10号,19
91年) 他方、有機電解液、例えばプロピレンカーボネートを溶
媒としテトラエチルアンモニウムパークロレートを溶質
とする電解液を用いた電気二重層コンデンサは、2.4
Vと上述の硫酸電解液を用いるコンデンサに較べ2倍の
耐電圧を有する。ただし、この電解液の導電率は0.0
1S/cmと硫酸に較べ約2桁低い。このような特性を
利用して、例えば小型電子機器のメモリーバックアップ
用として用いられている(炭素,第132号,57ペー
ジ,1988年)
したコンデンサは、漏液のおそれがあるため、本質的に
漏液しないものとして、高分子固体電解質を用いたもの
が提案されている。その構成は、例えばポリビニルアル
コールに過塩素酸リチウム等のリチウム塩を含有したも
のを電解質とし、これを多孔質性カーボンに含浸して電
極を作成した例(J.Power Sources,3
6,P87,1991)、またポリエチレンオキサイド
の架橋体に過塩素酸リチウム等のアルカリ金属塩を含有
したものを電解質とし、これを活性炭と混合することに
より電極を作成した例(特開平2−39513号公報)
である。以上のように現在、比較的高い導電率を有する
高分子固体電解質の構成は、ベースとなるポリマーに過
塩素酸リチウム等のリチウム塩を含有したものが提案さ
れている。しかし、素子構成の際、構成材料に過塩素酸
リチウム等のアルカリ金属塩を用いて電解質を構成する
と、同時に用いる他の構成材料から完全に水分を除去す
る必要がある。特に、電極材料である多孔質性カーボン
から完全に水分を除去し、その状態のままで素子を構成
する工程は非常に困難であり、このため実用化が未だな
されていない。
ピレンなどの電気絶縁シートをアルミニウムなどの金属
箔の内面に被覆したものが一般的に使用される。本発明
者らが確認したところによると、上述のリチウム塩によ
る電解質を用いた素子に、このような形態の封止を行う
と、例えば60℃、湿度90%の雰囲気で放置した場
合、約2カ月で素子の性能劣化が始まる。これは、封止
剤より次第に内部に進入した水分のためと考えられる。
このような、課題を解決する手段として、高分子固体電
解質を構成する塩として、上述の有機電解液に用いられ
たものと同じアンモニウム塩を用いることが考えられ
る。しかし一般的に、アンモニウム塩は、前述のポリビ
ニルアルコールやポリエチレンオキサイドなどの高分子
化合物に多量に溶解することが難しく、その結果、アン
モニウムとポリエチレンオキサイドにより構成された高
分子電解質のイオン伝導度は極めて低くなる(導電性高
分子 緒方直哉著 講談社サイエンチフィック 199
0年)。
度は、コンデンサとしての電気抵抗として作用し、電解
質のイオン伝導度があまり小さいと微弱な出力電流しか
得ることができず、実用上使用することは困難である。
さらに重要なことは、電気二重層コンデンサの容量は、
電解質中のイオン濃度に比例することから、前述のよう
な少量のアンモニウム塩により構成された電解質による
電気二重層コンデンサの容量は大きくならないという問
題を有していた。また、電気二重層コンデンサに使用す
る電解質塩は、電極材料である活性炭等の多孔性カーボ
ンに存在する数10オングストローム程度の微孔に入り
込む必要があり、できる限り小さいイオン半径を有する
分子でなければならない。しかし、アニオンおよびカチ
オンの小さい塩ほど、ベースポリマーに溶解するのが困
難であることは、周知の通りである(基礎電気化学測定
法,社団法人電気化学協会編,P30,1981年)。
解質を構成材料として用いると、製造工程における水分
除去工程の繁雑さおよび高温高湿雰囲気でも水分を透過
しない封止剤が必要となる。また、このような課題を解
決する施策として、アンモニウム塩を用いた高分子電解
質をコンデンサの電解質として用いる時、ポリマー母材
とアンモニウム塩の組み合わせにより、いかに小さいカ
チオン/アニオンを持つ塩を多量にポリマー中に溶解
し、イオン伝導度の高いものを実現するかが極めて重要
な要件であるが、上述の要望を全て満足する具体的な構
成の提案はなされていない。
分なイオン伝導度を有し、かつ物理的、化学的にも極め
て高い安定性を有するイオン伝導性高分子電解質を提供
することを目的とする。本発明は、また、液体状の電解
液を用いたものと同等の電気特性を有すると共に、従来
の電解液では実現できなかった極めて高い信頼性を有す
るアルミ電解コンデンサを提供することを目的とする。
さらに、本発明は、液体状の電解液を用いたものと同等
の電気特性を有し、信頼性の高い電気二重層コンデンサ
を提供することを目的とする。
ドロキシアルキル、メタクリル酸ヒドロキシアルキル及
び炭酸ビニレンよりなる群から選ばれる少なくとも1種
のモノマーを重合成分に含む重合体からなり、少なくと
も電解質塩を含有するイオン伝導性高分子電解質を提供
する。ここで、アクリル酸ヒドロキシアルキル及びメタ
クリル酸ヒドロキシアルキルのアルキル基は、炭素数1
〜5のものが用いられるが、炭素数2または3のものが
好ましい。なかでも炭素数2のもが好ましい。
体、および、前記モノマーと分子内に重合可能な二重結
合を有する電解質塩との共重合体がある。本発明のイオ
ン伝導性高分子電解質に含有される電解質塩は、カルボ
ン酸アンモニウム塩、ジカルボン酸アンモニウム塩、ジ
カルボン酸モルホリニウム塩、カルボン酸四級アンモニ
ウム塩およびジカルボン酸四級アンモニウム塩よりなる
群から選択されるものが好ましい。この電解質塩は、前
記共重合体を構成する電解質塩と同じものであってもよ
い。
質塩としては、マレイン酸塩またはフマル酸塩が好まし
く用いられる。また、前記共重合体の共重合モル比(電
解質塩/モノマー)は0.1以上であり、かつ前記共重
合体の平均分子量が1000以上100万以下であるこ
とが好ましい。前記前記共重合体を母材とするイオン伝
導性高分子電解質においては、さらに、電解質塩とし
て、マレイン酸水素4級アンモニウム、マレイン酸水素
N,Nージメチルモルホリニウム、フマル酸水素4級ア
ンモニウム及びフマル酸水素N,Nージメチルモルホリ
ニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の塩を含
むことが好ましい。
キル、メタクリル酸ヒドロキシアルキル及び炭酸ビニレ
ンよりなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーに
電解質塩を溶解する工程、および前記で得られた溶液に
活性光線を照射するか熱を与えることにより前記溶液を
硬化させる工程を有するイオン伝導性高分子電解質の製
造方法を提供する。前記の電解質塩が、マレイン酸塩ま
たはフマル酸塩のように、分子内に重合可能な二重結合
を有する化合物であるときは、前記活性光線または熱に
より、前記電解質塩が前記モノマーと共重合体を形成し
て硬化する。また、電解質塩が、分子内に重合可能な二
重結合を有しない化合物であるときは、前記活性光線ま
たは熱により、前記モノマーが単独重合体を形成して硬
化する。
子電解質を備えたコンデンサを提供する。すなわち、ア
ルミニウムからなる負極、酸化アルミニウムからなる誘
電体層を有する陽極、および前記両電極間に介在するイ
オン伝導性高分子電解質からなる電解コンデンサであ
る。
炭を含む一対の分極性電極、および前記両電極間に介在
するイオン伝導性高分子電解質からなる電気二重層コン
デンサである。この電気二重層コンデンサにおいては、
水分を含むイオン伝導性高分子電解質は用いない。ま
た、電気二重層コンデンサに用いるイオン伝導性高分子
電解質は、その重合体が、マレイン酸アンモニウム塩ま
たはマレイン酸四級アンモニウム塩と前記モノマーとの
共重合体であり、マレイン酸アンモニウム塩またはマレ
イン酸四級アンモニウム塩の共重合割合は前記モノマー
1モルに対し、0.5モル以上であることが好ましい。
ル酸ヒドロキシアルキルおよび炭酸ビニレンは、単体で
は液体状の物質であるが、これに重合開始剤を加え、紫
外線等の活性光線を照射するかまたは加熱すると、重合
反応により固体化させることができる。また、アクリル
酸ヒドロキシアルキルおよびメタクリル酸ヒドロキシア
ルキルは、末端基OHの作用により様々な電解質塩を溶
解し、イオン伝導性となる。一方、炭酸ビニレンは、末
端基C=Oの作用により様々な電解質塩を溶解し、イオ
ン伝導性となる。そこで、アクリル酸ヒドロキシアルキ
ル、メタクリル酸ヒドロキシアルキルまたは炭酸ビニレ
ンに電解質塩を溶解した後、活性光線照射または加熱に
より固体化すると、イオン伝導性を有する固体状の電解
質を形成することができる。通常液体状態では高いイオ
ン伝導性を有するものでも、それを固化すると極端に伝
導性が低下するものが多いが、本発明に従うと実用上充
分な伝導性を有する固体状の電解質を得ることができ
る。
ロキシアルキル、メタクリル酸ヒドロキシアルキルまた
は炭酸ビニレンに溶解するカルボン酸アンモニウム塩、
ジカルボン酸アンモニウム塩、カルボン酸四級アンモニ
ウム塩、ジカルボン酸四級アンモニウム塩等を用いるこ
とが可能である。特に、アルミ電解コンデンサ駆動用と
して用いるときは、アクリル酸ヒドロキシアルキル、メ
タクリル酸ヒドロキシアルキルに対してマレイン酸四級
アンモニウム塩またはマレイン酸モルホリニウム塩など
が特に有用である。これらの塩を用いて構成した高分子
電解質によりアルミ電解コンデンサを作成すると、中・
高圧級コンデンサとして実用上充分なインピーダンス特
性を有し、かつこれまでにない格段の高温信頼性を実現
することができる。
級アンモニウム塩、マレイン酸モルホリニウム塩、シュ
ウ酸四級アンモニウム塩、アジピン酸四級アンモニウム
塩、アゼライン酸四級アンモニウム塩、安息香酸四級ア
ンモニウム塩、蟻酸四級アンモニウム塩,クエン酸四級
アンモニウム塩,コハク酸四級アンモニウム塩、サリチ
ル酸四級アンモニウム塩、酒石酸四級アンモニウム塩、
セバシン酸アンモニウム、ボロジサリチル酸アンモニウ
ム、γーレゾルシル酸アンモニウム、乳酸アンモニウ
ム、グリコール酸アンモニウム、ジフェニル酢酸アンモ
ニウムなどが特に有用である。これらの塩を用い構成し
た高分子電解質によりアルミ電解コンデンサを作成する
と、低圧級コンデンサとして実用上充分なインピーダン
ス特性を有し、かつこれまでにない格段の高温信頼性を
実現することができる。本発明のイオン伝導性高分子電
解質は、前記の重合体または共重合体を母材とし、この
母材中に電解質塩が分散した構成を有する。そして、前
記電解質塩より解離されたイオンが電導に与る。母材が
共重合体の場合、電解質塩は、共重合に用いた電解質塩
ではなく、別途用意したものを共重合体に加えてもよ
い。
たイオンの濃度と移動度との積に比例する。本発明のイ
オン伝導性高分子電解質が、充分なイオン伝導度を有
し、かつ物理的ないし化学的にも高い安定性を有するた
めには、以下の点を満たすことが好ましい。 (1)モノマーの誘電率を高くし、モノマーに電解質塩
を溶解したとき、電解質塩がカチオンとアニオンとに充
分にイオン解離され、それらイオンの濃度を高く維持す
ること。 (2)共重合反応により電解質塩のアニオンがモノマー
に結合され、物理的ないし化学的に高い安定性を有する
こと。
の要件を満足し、共重合体を用いるものは、さらに
(2)の要件を満足する。例えば、上述のモノマーにお
ける重合可能な二重結合にはアクリロイル基CH2=C
HCOO−が、また高誘電率を発現させる官能基にはヒ
ドロキシエチル基−C2H4OHがそれぞれ該当する。ま
た、前記電解質塩において、イオン解離しかつ分子内に
重合可能な二重結合を有する基とは、マレイン酸または
フマル酸塩の分子内にあるC=Cの二重結合が該当す
る。モノマーと電解質塩を混合すると、前記電解質塩は
アクリル酸ヒドロキシエチルのヒドロキシエチル基がも
たらす高い誘電率により、マレイン酸よりなるアニオン
部分とアンモニウム塩よりなるカチオン部分とにイオン
解離された状態になる。この時、紫外線や電子線等の活
性光線を照射すると、モノマーのアクリロイル基と電解
質塩のアニオン部分にあるC=C二重結合とが一部共重
合反応を起こし、以下の式(1)においてq=2で表さ
れる高分子化合物を形成することができる。これを骨格
とし、前記電解質塩マレイン酸水素モノメチルトリエチ
ルアンモニウムより解離したイオンを電導種として、本
発明の高分子電解質を作成することができる。
1ないし5の整数である。また、前述のように、従来提
案されてきた高分子電解質のイオン伝導度の温度特性
は、絶対温度の逆数に対しイオン伝導度の対数(イオン
伝導度のアレニウスプロット)は上に凸の曲線を示し、
低温度領域で特にイオン伝導度の低下率が大きいもので
あった。これに比べ本発明の高分子電解質は、前記アレ
ニウスプロットにおいて良好な直線性を示すことが判明
した。これは、本発明の電解質の骨格部分にある−OH
基がイオンの運搬性を良化する作用を有するためと考え
られる。この作用は、モノマーとして炭酸ビニレンを用
いたときも同様である。この場合、炭酸ビニレン分子の
C=O基が前記アクリル酸ヒドロキシエチルの−OH基
と同様の作用をするためと考えられる。また、本発明の
イオン伝導性高分子電解質をアルミ電解コンデンサの駆
動用として使用する際、水分を10重量%を越えない量
含有させると、耐電圧が向上する。これは、水分添加に
よりアルミ電極の酸化物皮膜の修復性が向上することに
よるものと考えられる。
気二重層コンデンサは、電解質中に多量のイオンを含有
しているため、これまでにない高い容量を得ることがで
きる。さらに、本発明による電解質は、液体成分を全く
有していないため、従来の液体電解質による素子に比
べ、信頼性が格段に向上する。本発明により電気二重層
コンデンサの高容量化と高電圧化を実現することができ
る。
さらに詳しく説明する。 [実施例1]アクリル酸ヒドロキシエチルと、マレイン
酸塩により構成したイオン伝導性高分子電解質のイオン
伝導度および高温保存信頼性について説明する。まず、
アクリル酸ヒドロキシエチル10gに、表1に示したマ
レイン酸塩を溶解した溶液を作成する。次にこの溶液
に、重合反応の開始剤としてベンジルジメチルケタール
を100mg加え、充分攪拌して溶解する。これをステ
ンレス鋼製のバットに0.5mmの厚さに流延し、空気
中において高圧水銀ランプにより5Jの光照射を行った
後、100℃で1時間加熱することによりイオン伝導性
高分子電解質シートを得た。
伝導度の温度特性を、公知の複素インピーダンス法によ
り測定した。その結果を図1に示した。また、電解質の
高温保存信頼性の評価として、空気中105℃の雰囲気
において無封止状態で保存したときのイオン伝導度の経
時変化を測定した。その結果を図2に示した。ここに用
いた評価用電解質は、厚さ0.5mm、直径13mmの
円盤に整形した高分子電解質シートで、イオン伝導度の
測定は30℃で行った。図1は、縦軸をイオン伝導度の
対数、横軸を絶対温度の逆数で示した伝導度のアレニウ
スプロットである。図1から明らかなように、本発明に
従うと、室温で1×10-4S/cm以上、また−10℃
でも1×10-5S/cm以上と、これまでにない高い伝
導性を有する高分子電解質を構成することができる。ま
た、図2から明らかなように、無封止状態での高温(1
05℃)保存という極めて過酷な条件であるにも拘ら
ず、500時間保存後においても初期値の20%以上の
イオン伝導度を有している。
してベンジルジメチルケタールを加え、紫外線照射によ
り重合反応を行わせたが、加熱により重合反応を行わせ
ることもできる。例えば、重合反応の開始剤としてベン
ジルジメチルケタールの代わりにα,α’ーアゾビスイ
ソブチロニトリルを10mg加え、窒素ガス雰囲気中に
おいて80℃で20時間加熱することにより作成した高
分子電解質もイオン伝導性および高温保存特性において
同様の効果を得ることができた。
下NMRで表す。)及び炭素、水素、窒素の元素分析
(以下CHN元素分析で表す。)により解析した。その
結果、前記電解質は、アクリル酸ヒドロキシエチルとマ
レイン酸水素トリエチルモノメチルアンモニウムが共重
合体を形成し、これを骨格構造としてマレイン酸水素ト
リエチルモノメチルアンモニウムより解離したイオンを
伝導種とすることが判明した。この構造確定の根拠とな
るNMRスペクトル及びCHN元素分析の1例として、
前記試料Aのデータをそれぞれ図3、4、5及び6に示
した。図3及び図4はそれぞれ反応原材料であるアクリ
ル酸ヒドロキシエチル及びマレイン酸水素トリエチルモ
ノメチルアンモニウムのNMRスペクトルである。ま
た、図5及び図6はそれぞれ上述の反応後生成した電解
質をクロロホルムを溶剤とするソクスレー抽出法により
分離した抽出分及び抽出残固形分のNMRスペクトルで
ある。NMRスペクトル図3及び図4では、それぞれア
クリル基及びマレイン酸の二重結合に基ずくピークが1
31ppm及び136ppmに観測されるのに比べ、N
MRスペクトル図6では、これらのピークが消失してい
ることわかる。これにより、アクリル酸ヒドロキシエチ
ルのアクリル基とマレイン酸水素トリエチルモノメチル
アンモニウムのマレイン酸が二重結合の開裂反応を起こ
したことが確認された。次に、前記ソクスレー抽出法に
おける抽出残固形分に対するCHN元素分析の結果を表
2に示す。また、アクリル酸ヒドロキシエチル(HE
A)及びマレイン酸水素トリエチルモノメチルアンモニ
ウム(MaH3E1M)の元素構成(原子数比、重量
比)を表3に示す。
MとHEAのモル比がx:1−xで構成されているとす
ると、窒素Nの分析値2.57%から以下の式が成立す
る。 100×14x/{(60+8+48)(1−x)+
(132+21+64+14)×x}=2.57 これからx=0.27、1−x=0.73となる。つま
り、ここに用いた試料はMaH3E1MとHEAのモル
比が0.27:0.73、すなわち1:3で構成されて
いることになる。また、ソクスレー抽出法により分離し
た抽出分のNMRスペクトル図5は、マレイン酸水素ト
リエチルモノメチルアンモニウムのNMRスペクトル図
4と一致した。以上の解析結果から、本実施例の電解質
は、アクリル酸ヒドロキシエチルとマレイン酸水素トリ
エチルモノメチルアンモニウムとの共重合体を高分子骨
格とし、マレイン酸水素トリエチルモノメチルアンモニ
ウムより解離したイオンを電導種として有するイオン伝
導性高分子電解質であると判断される。
ドロキシエチルとマレイン酸水素トリエチルモノメチル
アンモニウムを用い、これらの混合するモル比を変える
ことにより共重合比の異なる電解質を作成した。まず、
アクリル酸ヒドロキシエチルの1モル(116g)に、
表4に示すように各種の量のマレイン酸水素トリエチル
モノメチルアンモニウムを溶解した溶液を作成する。次
に、この溶液に、重合反応の開始剤としてベンジルジメ
チルケタールを前記溶液の1重量%相当を加え、充分攪
拌して溶解する。この液をステンレス鋼製のバットに
0.5mmの厚さに流延し、空気中において、高圧水銀
ランプにより30mW/cm2の強度で1Jの光照射を
行う。次に、これを空気中において110℃で1時間加
熱した後、同じく110℃の温度で20時間真空乾燥す
る。こうして、重合未反応のアクリル酸ヒドロキシエチ
ルを除去することにより、イオン伝導性高分子電解質の
シートを得た。
実施例1と同様にNMR及びCHN元素分析により解析
した。その結果、前記電解質は表4に記載したモル比率
(MaH3E1M/HEA)でアクリル酸ヒドロキシエ
チルとマレイン酸水素トリエチルモノメチルアンモニウ
ムが共重合体を形成し、これを骨格構造としてマレイン
酸水素イオン及びトリエチルモノメチルアンモニウムイ
オンを伝導種とする構造であることが判明した。これに
より、前記共重合比が0.1よりも大きいところで実用
上必要な伝導性が得られることが判明した。
の複素インピーダンス法により測定した。その結果を図
7に示した。図7は、縦軸をイオン伝導度の対数、横軸
を絶対温度の逆数で示した伝導度のアレニウスプロット
である。図7に示したように、本発明に従うと、電解質
塩の組成比が50モル%以上の試料G、H、I、J、K
は、実用上充分高い伝導性を有し、かつ必要とする温度
領域で特に大きい伝導度低下はないことが判明した。ま
た、上述の電解質G、H、I、J、Kの高温保存信頼性
の評価として、110℃の窒素雰囲気中に無封止状態で
保存したときのイオン伝導度の経時変化を測定した。そ
の結果を図8に示した。この測定には、厚さ0.5m
m、直径13mmに整形した高分子電解質シートを用
い、イオン伝導度は30℃で測定した。図8からわかる
ように、高温に無封止状態で保存するという極めて過酷
な条件であるにも関わらず、110℃保存で500時間
を経た後でも初期値の50%以上のイオン伝導度を有し
ていることが判明した。
ドロキシエチル及びマレイン酸水素トリエチルモノメチ
ルアンモニウムを用い、重合反応の開始剤としてベンジ
ルジメチルケタールを添加し、30mW/cm2の強度
で1Jの紫外線光照射を行うことにより反応を行った。
本実施例では、反応条件を変え、得られる骨格構造の分
子量を変えたときのイオン伝導度と高温保存特性につい
て記載する。なお、本実施例では重合反応の開始剤であ
るベンジルジメチルケタールの添加量及び紫外線の照射
強度を変えた以外の作成工程は実施例1と同一とした。
また、高温保存特性についても、実施例1と同様に11
0℃無封止状態で500時間を経た後の伝導度を評価し
た。その結果を表5に記載した。
び重合反応の開始剤濃度が低く、得られる共重合体の平
均分子量が小さいものは、保存信頼性は低いものの初期
伝導度は高い。また、逆に共重合体の平均分子量の大き
いものは、初期伝導度は小さいものの保存信頼性は高い
ことことが判明した。これにより、実用上優れた特性を
有するものは、平均分子量が1000以上100万以下
のものであることが判明した。
塩により構成したイオン伝導性高分子電解質のイオン伝
導度および高温保存信頼性について説明する。まず、炭
酸ビニレン10gに、表6に示したマレイン酸塩を溶解
した溶液を作成する。次にこの溶液に、重合反応の開始
剤としてベンジルジメチルケタールを10mg加え、充
分攪拌溶解する。これをステンレス鋼製のバットに0.
5mmの厚さに流延し、空気中において高圧水銀ランプ
により5Jの光照射を行った後、100℃で1時間加熱
することによりイオン伝導性高分子電解質シートを得
た。
伝導度の温度特性を、公知の複素インピーダンス法によ
り測定した。その結果を図9に示した。また、この電解
質の高温保存信頼性の評価として、空気中110℃の雰
囲気において無封止状態で保存したときのイオン伝導度
の経時変化を測定した。その結果を図10に示した。こ
こに用いた評価用電解質は、厚さ0.5mm、直径13
mmの円盤に整形した高分子電解質シートで、イオン伝
導度の測定は30℃で行った。図9は、縦軸をイオン伝
導度の対数、横軸を絶対温度の逆数で示した伝導度のア
レニウスプロットである。図9から明らかなように、本
発明に従うと、室温で1×10-4S/cm以上、また−
10℃でも1×10-5S/cm以上のこれまでにない高
い伝導性を有する高分子電解質を構成することができ
る。また、図10から明らかなように、無封止状態にお
ける高温保存という極めて過酷な条件であるにも拘ら
ず、500時間を経た後でも初期値の20%以上のイオ
ン伝導度を有していることが判明した。
してベンジルジメチルケタールを加え、紫外線照射によ
り重合反応を行わせたが、加熱により重合反応を行わせ
ることもできる。例えば、重合反応の開始剤としてベン
ジルジメチルケタールの代わりにα,α’ーアゾビスイ
ソブチロニトリルを10mgを加え、窒素ガス雰囲気中
において50℃で20時間加熱することにより作成した
高分子電解質もイオン伝導性および高温保存特性におい
て同様の効果を得ることができた。
電解質として作成したアルミ電解コンデンサの具体例に
ついて説明する。図11は、本発明の電解質を用いて構
成したアルミ電解コンデンサの一部を断面にした正面図
である。厚さ0.05mm、エッチング孔の直径約1か
ら5ミクロン、大きさ3cm×100cmのアルミニウ
ム箔で作られた電極に陽極用コネクタ1をスポット溶接
する。つぎに、これを90℃の温度に保たれたホウ酸/
ホウ砂水溶液(ホウ酸80g+ホウ砂8g/水1000
ml)に浸し、30Aの電流を15分間通電した後、6
00Vで電圧を5時間印加することにより化成し、陽極
箔2とした。さらに、厚さ0.05mm、エッチング孔
の直径約1から5ミクロン、大きさ3cm×100cm
のアルミニウム箔で作られた電極3に陰極用コネクタ4
をスポット溶接することにより、陰極を作成した。
クリル酸ヒドロキシエチル10gに、マレイン酸N,N
−ジメチルモルホリニウム5gおよび水0.5gを溶解
した溶液を作成する。次にこの溶液に、重合反応の開始
剤としてベンジルジメチルケタールを100mg加え、
充分攪拌して溶解する。ひき続き、高分子電解質原液を
陽極箔2の両面にそれぞれ0.1mmの厚みに塗布した
後、空気中において高圧水銀ランプにより300mW/
cm2の照射強度で20秒間光照射を行うことにより、
イオン伝導性高分子電解質層5を形成した。次に、負極
用アルミ電極3を前記陽極の一方の面の電解質5の表面
に圧着した。最後に、これをロール状に巻き取ることに
より、イオン伝導性高分子電解質を用いたアルミ電解コ
ンデンサaを作成した。次に、比較例として、1,6ー
デカンジカルボン酸アンモニウム20gをエチレングリ
コール80gに溶かした公知の電解質を用い、コンデン
サaと同じく無封止のアルミ電解コンデンサbを作成し
た。作成方法は、アルミ電解コンデンサaで使用したも
のと同一の陽極箔および陰極箔を用い、これとクラフト
紙よりなる密度0.7g/cm3、厚さ50μm、大き
さ3cm×4cmのセパレータ とともにロール状に巻
いた後、室温において5Torrの圧力で1分間、電解
液を減圧含侵することにより行った。エージング工程
は、素子aは80℃で400Vを2時間、素子bは室温
で400Vを24時間それぞれ印加することにより行っ
た。
コンデンサaおよび比較例のコンデンサbについて、高
温保存時の電解質の安定性を評価する加速試験として、
無封止状態の105℃保存における静電容量およびta
nδの経時変化の測定を行い、その結果をそれぞれ図1
2および図13に示した。測定は、30℃、120Hz
で行った。図12および図13から明らかなように、従
来より使用されているエチレングリコールを溶媒に使用
した電解質を用いた比較例のコンデンサbは、高温保存
により早期に特性が劣化するのに較べ、本発明の電解質
により構成したコンデンサaは、充分な信頼性を有する
ことがわかる。
は、3.2重量%の水分を含有している。本実施例で
は、電解質の含有水分量を様々に変えた際のコンデンサ
耐電圧およびtanδの高温保存後の劣化の評価を行
い、実用上効果的な水分量を検討した。本実施例の素子
の構成および材料は、実施例5で用いたものと同一であ
る。耐電圧の評価は、30mAの定電流通電を行ったと
きの火花発生電圧を測定することにより行った。エージ
ング処理は、それぞれの素子の火花発生電圧を80℃で
2時間印加することにより行った。高温保存試験は、実
施例4と同じく、無封止状態で105℃の空気中に10
0時間保存することにより行った。その結果を表7に示
した。表7から明らかなように、水分を添加しない電解
質(実測値で0.3重量%含有)に比べ、水分添加を施
した電解質は耐電圧、tanδともに大幅な良化を得る
ことができた。しかし、水分添加量が10重量%を越え
ると、耐電圧は低下する傾向にあった。この結果から、
本発明の電解質をアルミ電解コンデンサに適用すると
き、電解質に10重量%を越えない範囲の水分を添加す
ることにより、耐電圧並びにtanδが良化される。本
実施例においては、電解質塩としてマレイン酸N,N−
ジメチルモルホリニウムを用いたが、これ以外に実施例
1で示したマレイン酸塩を用いても添加する水分の量は
上述の重量範囲が適することが確認された。
ドロキシエチルとマレイン酸塩により構成した高分子電
解質をコンデンサ駆動用として用いたが、本実施例では
炭酸ビニレンと様々のカルボン酸塩またはジカルボン酸
塩により構成した高分子電解質を駆動用として用いたコ
ンデンサの例を示す。本実施例の高分子電解質の構成
は、炭酸ビニレンを10g用い、表8および表9に記載
した塩を所定量用いた。これ以外の構成および材料は、
実施例5で用いたものと同じである。耐電圧の評価は、
30mAの定電流通電を行ったときの火花発生電圧を測
定することにより行った。エージング処理は、それぞれ
の素子の火花発生電圧を80℃で2時間印加することに
より行った。高温保存試験は、実施例4と同じく、無封
止状態で105℃の空気中に100時間保存することに
より行い、保存前後のtanδの増加率を表8および表
9に示した。表8および表9から明らかなように、本実
施例で示した高分子電解質により構成したアルミ電解コ
ンデンサは、いずれも優れた信頼性を有することが確認
された。なお、本実施例では高分子電解質中に残存する
水分量はいずれも1重量%以下とした。
導性高分子電解質を電気二重層コンデンサに適用した例
を説明する。図14は、本実施例の電気二重層コンデン
サの代表的な構成を示す。図中11は、活性炭およびイ
オン伝導性高分子電解質よりなる電極、12は前記イオ
ン伝導性高分子電解質と同一の材料により構成される電
解質層、13は金属箔よりなる集電電極である。集電電
極の金属材料には、アルミニウム、ステンレス鋼などを
用いることができる。しかし、特にこれらの材料に限定
するものではない。14はシール材で、一般にアルミニ
ウムなどの金属箔の内面にポリプロピレンなどの電気絶
縁性フィルムを熱圧着したものを用いる。電解質層12
は、ポリプロピレン等の電気絶縁性材料により作られた
多孔性フィルムを担持体として形成することにより、機
械的強度および耐ショート性を向上することができる。
質、およびこれと活性炭からなる分極性電極の作製方法
について説明する。アクリル酸ヒドロキシエチル10g
(0.086モル)とマレイン酸水素トリエチルモノメ
チルアンモニウム20g(0.087モル)を攪拌混合
し、これをステンレス鋼製のバットに0.5mmの厚さ
に流延する。また、平均粒径2μm、比表面積2500
m2/g、マイクロポアーの平均直径20オングストロ
ームの活性炭10g、アクリル酸ヒドロキシエチル10
g、マレイン酸水素トリエチルモノメチルアンモニウム
20g、およびメチルエチルケトン35gをアルミナ製
ボールミルに入れ、24時間攪拌して粉砕する。次に、
これをステンレス鋼製のバットに20cm×80cmの
大きさに流延する。以上2種類の原液を窒素雰囲気中
で、電子線を照射することによりそれぞれ電解質シート
および電極シートを得た。なお、電極シートについて
は、電子線照射後、10mmHgの減圧下において11
0℃で1時間保存することによりシート中に存在するメ
チルエチルケトンを除去した。電子線の照射条件は、加
速電圧は共に750keV、照射線量はそれぞれ3Mr
adおよび8Mradとした。
0cm×10cmの大きさの2枚の電極を切取り、また
電解質シートから21cm×11cmの大きさの電解質
層を切取る。この電解質層の両面にそれぞれ前記の電極
を圧着する。さらに、厚さ50μmのアルミニウム箔を
前記電極の裏面側に圧着した後、厚さ0.1mmのポリ
プロピレンをアルミニウム箔の内面にシールした封止用
シール材で全体を封止することにより、本実施例の電気
二重層コンデンサを作成した。封止方法は、シール材の
端面を170℃の温度で5秒間加圧することにより行っ
た。以上のようにして作製したコンデンサについて、2
0℃において10mAの定電流で0から2.5Vの充放
電試験を行った。試験開始後100サイクル目の充放電
曲線を図15に示した。この試験から活性炭1g当たり
の放電容量は38Fと算出された。計算式を数1に示
す。
行い、放電容量のサイクル変化を測定した。充放電電流
は10mAとした。その結果を図16に示した。図16
において、横軸はサイクル数、縦軸は放電容量を示し
た。図16から明らかなように、実施例の素子は、50
00サイクルに渡る試験で大きい劣化を起こさないこと
が判明した。本実施例においては、電子線の照射により
重合反応を行わせたが、加熱により重合反応を行わせる
こともできる。例えば、重合開始剤としてα,α’−ア
ゾビスイソブチロニトリルを30mg加え、窒素ガス雰
囲気中において80℃で20時間加熱することにより硬
化させた高分子電解質シートおよび電極シートを用いて
構成したコンデンサも、静電容量およびサイクル試験に
おいて同様の特性を示した。
性高分子電解質、およびこれと活性炭からなる分極性電
極の作製方法について説明する。炭酸ビニレン10g
(0.12モル)とマレイン酸水素トリメチルモノエチ
ルアンモニウム20g(0.098モル)を攪拌混合
し、これをステンレス鋼製のバットに0.5mmの厚さ
に流延する。また、平均粒径2μm、比表面積2500
m2/g、マイクロポアーの平均直径20オングストロ
ームの活性炭10g、炭酸ビニレン10g、マレイン酸
トリメチルモノエチルアンモニウム20g、およびメチ
ルエチルケトン35gをアルミナ製ボールミルに入れ、
24時間攪拌粉砕し、これをステンレス鋼製のバットに
20cm×80cmの大きさに流延する。以上2種類の
原液を窒素雰囲気中で、電子線を照射することによりそ
れぞれ電解質シートおよび電極シートを得た。なお、電
極シートについては、電子線照射後、10mmHgの減
圧下において110℃で1時間保存することによりシー
ト中に存在するメチルエチルケトンを除去した。電子線
の照射条件は、加速電圧は共に750keV、照射線量
はそれぞれ3Mradおよび8Mradとした。
0cm×10cmの大きさの2枚の電極を切取り、また
電解質シートから21cm×11cmの大きさの電解質
層を切取る。この電解質層の両面にそれぞれ前記の電極
を圧着する。さらに、厚さ50μmのアルミニウム箔を
前記電極の裏面側に圧着した後、厚さ0.1mmのポリ
プロピレンをアルミニウム箔の内面にシールした封止用
シール材で全体を封止することにより、本実施例の電気
二重層コンデンサを作成した。封止方法は、シール材の
端面を170℃の温度で5秒間加圧することにより行っ
た。以上のようにして作製したコンデンサについて、2
0℃において10mAの定電流で0から2.5Vの充放
電試験を行った。試験開始後100サイクル目の充放電
曲線を図17に示した。この試験から活性炭1g当たり
の放電容量は40Fと算出された。次に、上記充放電試
験を85℃の空気中で行い、放電容量のサイクル変化を
測定した。充放電電流は10mAとした。その結果を図
18に示した。図18より実施例の素子は、5000サ
イクルに渡る試験で大きい劣化を起こさないことが判明
した。本実施例においては、電子線の照射により重合反
応を行わせたが、加熱により重合反応を行わせることも
できる。例えば、重合開始剤としてα,α’−アゾビス
イソブチロニトリルを30mg加え、窒素ガス雰囲気中
において80℃で20時間加熱することにより硬化させ
た高分子電解質シートおよび電極シートを用いて構成し
たコンデンサも、静電容量およびサイクル試験において
同様の特性を示した。
解質においてはポリマー原料であるアクリル酸ヒドロキ
シエチル1モルに対しマレイン酸塩を1モル、また実施
例9では炭酸ビニレン1モルに対し0.82モルのマレ
イン酸塩を用いた。本実施例では、使用するポリマー原
料およびマレイン酸塩の種類と混合比を変えて電解質を
作製してコンデンサを構成し、前記実施例と同様に10
0サイクル目の放電容量を評価した。高分子電解質の組
成以外は全て実施例1および2と同一の構成とした。そ
の結果を表10に示した。
表す。 AHE:アクリル酸ヒドロキシエチル、 TV:炭酸ビニレン、 Ma3E1M:マレイン酸水素トリエチルモノメチルア
ンモニウム、 Ma3M1E:マレイン酸水素トリメチルモノエチルア
ンモニウム、 Ma4E:マレイン酸水素テトラエチルアンモニウム、 MaA:マレイン酸水素アンモニウム。 表1から、高分子電解質の構成ではポリマー原料1モル
に対し、マレイン酸塩が0.5モル以上のものを用いた
場合に、充分な容量を得ることができることがわかる。
充分なイオン伝導度を有し、かつ物理的、化学的にも極
めて高い安定性を有し、これを駆動用として構成したア
ルミ電解コンデンサは、液体状の電解液を用いたものと
同等の電気特性を有すると共に、従来の電解液では実現
できなかった極めて高い信頼性を有する。本発明に従う
と、液成分を全く含まず、特に長期信頼性を有する電気
二重層コンデンサを得ることができる。
電解質のイオン伝導度の温度特性を示す図である。
イオン伝導度の高温保存特性を示す図である。
ヒドロキシエチルのNMRスペクトルを示す図である。
水素トリエチルモノメチルアンモニウムのNMRスペク
トルを示す図である。
電解質をクロロホルムを溶剤とするソクスレー抽出法に
より分離した抽出分のNMRスペクルを示す図である。
電解質をクロロホルムを溶剤とするソクスレー抽出法に
より分離した抽出残固形分のNMRスペクルを示す図で
ある。
である。
示す図である。
イオン伝導度の温度特性を示す図である。
のイオン伝導度の高温保存特性を示す図である。
部を断面にした正面図である。
電容量の高温保存特性を示す図である。
anδの高温保存特性を示す図である。
サの縦断面図である。
線を示す図である。
のサイクル特性を示す図である。
線を示す図である。
のサイクル特性を示す図である。
Claims (16)
- 【請求項1】 アクリル酸ヒドロキシアルキル、メタク
リル酸ヒドロキシアルキル及び炭酸ビニレンよりなる群
から選ばれる少なくとも1種のモノマーを重合成分に含
む重合体からなり、少なくとも電解質塩を含有すること
を特徴とするイオン伝導性高分子電解質。 - 【請求項2】 前記重合体が、前記モノマーの単独重合
体である請求項1記載のイオン伝導性高分子電解質。 - 【請求項3】 前記重合体が、前記モノマーと分子内に
重合可能な二重結合を有する電解質塩との共重合体であ
る請求項1記載のイオン伝導性高分子電解質。 - 【請求項4】 電解質塩が、カルボン酸アンモニウム
塩、ジカルボン酸アンモニウム塩、ジカルボン酸モルホ
リニウム塩、カルボン酸四級アンモニウム塩およびジカ
ルボン酸四級アンモニウム塩よりなる群から選択される
請求項1記載のイオン伝導性高分子電解質。 - 【請求項5】 分子内に重合可能な二重結合を有する電
解質塩がマレイン酸塩またはフマル酸塩であり、前記共
重合体の共重合モル比(電解質塩/モノマー)が0.1
以上であり、かつ前記共重合体の平均分子量が1000
以上100万以下である請求項3記載のイオン伝導性高
分子電解質。 - 【請求項6】 さらに、電解質塩として、マレイン酸水
素4級アンモニウム、マレイン酸水素N,Nージメチル
モルホリニウム、フマル酸水素4級アンモニウム及びフ
マル酸水素N,Nージメチルモルホリニウムよりなる群
から選ばれる少なくとも1種の塩を含む請求項5記載の
イオン伝導性高分子電解質。 - 【請求項7】 水分を10重量%を越えない量含有する
請求項1記載のイオン伝導性高分子電解質。 - 【請求項8】 アクリル酸ヒドロキシアルキル、メタク
リル酸ヒドロキシアルキル及び炭酸ビニレンよりなる群
から選ばれる少なくとも1種のモノマーに電解質塩を溶
解する工程、前記で得られた溶液に活性光線を照射する
か熱を与えることにより前記溶液を硬化させる工程を有
することを特徴とするイオン伝導性高分子電解質の製造
方法。 - 【請求項9】 電解質塩が、カルボン酸アンモニウム
塩、ジカルボン酸アンモニウム塩、ジカルボン酸モルホ
リニウム塩、カルボン酸四級アンモニウム塩およびジカ
ルボン酸四級アンモニウム塩よりなる群から選択される
請求項8記載のイオン伝導性高分子電解質の製造方法。 - 【請求項10】 電解質塩がマレイン酸塩またはフマル
酸塩であり、前記活性光線または熱により、前記電解質
塩が前記モノマーと共重合体を形成して硬化する請求項
8記載のイオン伝導性高分子電解質の製造方法。 - 【請求項11】 電解質塩が分子内に重合可能な二重結
合を有しない化合物であり、前記活性光線または熱によ
り、前記モノマーが単独重合体を形成して硬化する請求
項8記載のイオン伝導性高分子電解質の製造方法。 - 【請求項12】 前記共重合体の共重合モル比(電解質
塩/モノマー)が0.1以上であり、かつ前記共重合体
の平均分子量が1000以上100万以下である請求項
10記載のイオン伝導性高分子電解質の製造方法。 - 【請求項13】 さらに、電解質塩として、マレイン酸
水素4級アンモニウム、マレイン酸水素N,Nージメチ
ルモルホリニウム、フマル酸水素4級アンモニウム及び
フマル酸水素N,Nージメチルモルホリニウムよりなる
群から選ばれる少なくとも1種の塩を含む請求項10記
載のイオン伝導性高分子電解質の製造方法。 - 【請求項14】 アルミニウムからなる負極、酸化アル
ミニウムからなる誘電体層を有する陽極、および前記両
電極間に介在する電解質を具備し、前記電解質が、請求
項1〜7のいずれかに記載のイオン伝導性高分子電解質
である電解コンデンサ。 - 【請求項15】 少なくとも活性炭を含む一対の分極性
電極、および前記両電極間に介在する電解質を具備し、
前記電解質が、請求項1〜6のいずれかに記載のイオン
伝導性高分子電解質である電気二重層コンデンサ。 - 【請求項16】 前記イオン伝導性高分子電解質におけ
る重合体が、マレイン酸アンモニウム塩またはマレイン
酸四級アンモニウム塩と前記モノマーとの共重合体であ
り、マレイン酸アンモニウム塩またはマレイン酸四級ア
ンモニウム塩の共重合割合は前記モノマー1モルに対
し、0.5モル以上である請求項15記載の電気二重層
コンデンサ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25609295A JP3348810B2 (ja) | 1994-10-17 | 1995-10-03 | イオン伝導性高分子電解質、その製造方法および同電解質を用いたコンデンサ |
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JP25106094 | 1994-10-17 | ||
JP25214094 | 1994-10-18 | ||
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JP6-252140 | 1995-03-24 | ||
JP6-251060 | 1995-03-24 | ||
JP6583695 | 1995-03-24 | ||
JP25609295A JP3348810B2 (ja) | 1994-10-17 | 1995-10-03 | イオン伝導性高分子電解質、その製造方法および同電解質を用いたコンデンサ |
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JPH08330192A true JPH08330192A (ja) | 1996-12-13 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008244432A (ja) * | 2007-02-26 | 2008-10-09 | Kaneka Corp | 導電性高分子コンデンサ |
JPWO2018003876A1 (ja) * | 2016-06-29 | 2019-05-30 | 三洋化成工業株式会社 | 電解コンデンサ用電解液及び電解コンデンサ |
-
1995
- 1995-10-03 JP JP25609295A patent/JP3348810B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008244432A (ja) * | 2007-02-26 | 2008-10-09 | Kaneka Corp | 導電性高分子コンデンサ |
JPWO2018003876A1 (ja) * | 2016-06-29 | 2019-05-30 | 三洋化成工業株式会社 | 電解コンデンサ用電解液及び電解コンデンサ |
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