JPH08329964A - 溶融炭酸塩型燃料電池 - Google Patents

溶融炭酸塩型燃料電池

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JPH08329964A
JPH08329964A JP7136770A JP13677095A JPH08329964A JP H08329964 A JPH08329964 A JP H08329964A JP 7136770 A JP7136770 A JP 7136770A JP 13677095 A JP13677095 A JP 13677095A JP H08329964 A JPH08329964 A JP H08329964A
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JP
Japan
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electrolyte
anode
cathode
plate
fuel cell
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Application number
JP7136770A
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English (en)
Inventor
Hideyuki Ozu
秀行 大図
Kazuaki Nakagawa
和明 中川
Yoshihiro Akasaka
芳浩 赤坂
Kazuhiro Tomimatsu
師浩 富松
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電解質板と電極との界面における電解液の液
絡途絶を防止し、かつ電解質の流出を低減して実質的に
電極との有効反応面積を維持して長時間運転を可能にし
た溶融炭酸塩型燃料電池を提供することを目的とする。 【構成】 多孔質体からなるアノードおよびカソード
と、これらのアノードおよびカソード間に挟まれて配置
され、混合アルカリ炭酸塩からなる電解質を保持材およ
び補強材を含む多孔質体に含浸させた電解質板を備えた
溶融炭酸塩型燃料電池において、前記電解質板は、前記
アノードおよびカソードの少なくとも一方の電極と接す
る界面にその電極の気孔内に一端が喰い込まれた無機物
繊維を含有することを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融炭酸塩型燃料電池
に関し、特にアノード、カソードの間に挟まれて配置さ
れる電解質板を改良した溶融炭酸塩型燃料電池に係わ
る。
【0002】
【従来の技術】溶融炭酸塩型燃料電池の基本構造を図1
に示す。導電性を有する一対の電極であるアノード(燃
料極)1及びカソード(空気極)2間には、アルカリ炭
酸塩からなる電解質を保持した電解質板3が挟まれて配
置されている。前記電解質板3の両面周縁には、2つの
ハウジング4a、4bが当接され、これらハウジング4
a、4b内に前記アノード1及びカソード2をそれぞれ
収納している。前記一方のハウジング4a内面と前記ア
ノード1の間及び前記他方のハウジング4b内面と前記
カソード2の間には、それぞれ波形の集電板5a、5b
が配置されている。前記アノード1が位置する一方の前
記ハウジング4aには、燃料ガス(H2 、CO2 )を前
記アノード1に供給するための供給口6及び排出ガス
(CO2 、H2 O)を排気するための排気口7がそれぞ
れ開口されている。前記カソード2が位置する他方の前
記ハウジング4bには、酸化剤ガス(空気、CO2 )を
前記カソード2に供給するための供給口8及び排出ガス
(N2 )を排気するための排気口9がそれぞれ開口され
ている。
【0003】上述した図1に示す溶融炭酸塩型料電池
は、高温下で電解質板3中の混合アルカリ炭酸塩を溶融
させ、アノード1にハウジング4aの供給口6を通して
燃料ガス(H2 、CO2 )を、カソード2にハウジング
4bの供給口8を通して酸化剤ガス(空気、CO2 )を
それぞれ供給し、アノード1で下記(1) 式の反応を、カ
ソード2で下記(2) 式の反応を起こさせて運転するもの
である。
【0004】 H2 +CO3 2-→H 2O+CO2 +2e- …(1) 1/2 O2 +CO2 +2e- →CO3 2- …(2) ところで、上記溶融炭酸塩型燃料電池に使用される電解
質板は基本的には混合アルカリ炭酸塩からなる電解質
と、高温運転時に液体となる前記電解質の流出を防止す
るための保持材と、昇温時の割れ発生を防止するための
補強材とから構成されている。混合アルカリ炭酸塩は、
Li2 CO3 、K2 CO3 及びNa2 CO3 の3種のう
ちの2種又は3種の混合塩の形で使用される。保持材と
しては、粒径が0.05〜0.5μmのγ−LiAlO
2 やβ−LiAlO2 からなる微粉末が、前記補強材と
しては粒径10〜100μmのLiAlO2 が、それぞ
れ使用される。
【0005】前記電解質板は、炭酸イオン(CO3 2-
の移動を媒介とするだけでなく、アノード及びカソード
間の反応ガスの直接混合(ガスクロスオーバ)を阻止す
るためのガス透過障壁層としても機能する。こうした機
能を果たすには、電解質板中に電解質が充分に保持され
ていることが必要である。電解質の流出(電解質ロス)
は、内部抵抗の増大を招くばかりか、ガスクロスオーバ
の発生原因となる。
【0006】このようなことから、適切な微細構造を有
する電解質板を得る方法として、予め保持材および補強
材から多孔質板を形成し、前記多孔質板に混合アルカリ
炭酸塩からなる電解質を含浸させるマトリックス法が広
く採用されている。
【0007】しかしながら、長時間の燃料電池の運転に
おいては前記マトリックス法によっても電解質板と電極
との界面に電解質を保持できない粗孔が生成し、電気化
学的反応を維持するために必要な電解液の液絡が遮断さ
れ、その結果十分な電池性能が維持できなくなるという
不都合さがあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、電解
質板と電極との界面における電解液の液絡途絶を防止
し、かつ電解質の流出を低減して実質的に電極との有効
反応面積を維持して長時間運転を可能にした溶融炭酸塩
型燃料電池を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる溶融炭酸
塩型燃料電池は、多孔質体からなるアノードおよびカソ
ードと、これらのアノードおよびカソード間に挟まれて
配置され、混合アルカリ炭酸塩からなる電解質を保持材
および補強材を含む多孔質体に含浸させた電解質板を備
えた溶融炭酸塩型燃料電池において、前記電解質板は、
前記アノードおよびカソードの少なくとも一方の電極と
接する界面にその電極の気孔内に一端が喰い込まれた無
機物繊維を含有することを特徴とするものである。
【0010】以下、本発明に係わる溶融炭酸塩型燃料電
池を図2、図3を参照して詳細に説明する。本発明の溶
融炭酸塩型燃料電池は、アノード(燃料極)11、カソ
ード(空気極)12及びこれら電極11、12間に配置
され、電解質を保持した電解質板13を備えている。こ
れらアノード11、カソード12及び電解質板13を単
位セルとし、複数の単位セルがセパレータ4を挟んで積
層されている。前記電解質板13上面に配置された前記
アノード11の対向する一対の縁部は、前記電解質板1
3の縁部から所望距離へだてて内側に位置し、かつ前記
アノード11が存在しない前記電解質板13の両縁部と
前記セパレータ14の間にはエッジシール板15aが配
置されている。前記電解質板13下面に配置された前記
カソード12の前記エッジシール板15aと直交する一
対の縁部は、前記電解質板13の縁部から所望距離へだ
てて内側に位置し、かつ前記カソード12が存在しない
前記電解質板13の両縁部と前記セパレータ14の間に
は、エッジシール板15bが配置されている。前記アノ
ード11、セパレータ14及びエッジシール板15aで
区画された空間(燃料ガス流通空間)には、集電板とし
ての導電性を有する孔開き板16a、波板17aが前記
アノード11側から順次積層されている。前記カソード
12、セパレータ14及びエッジシール板15bで区画
された空間(酸化剤ガス流通空間)には、集電板として
の導電性を有する孔開き板16b、波板17bが前記カ
ソード12側から順次積層されている。このような複数
の単位セルがセパレータ14を挟んで積層されたスタッ
ク発電要素の4つの側面には、枠状のフランジ18を有
するマニホールド19がそれぞれ配置されている。ま
た、前記スタック発電要素の4つの側面と前記マニホー
ルド19のフランジ18との間にはそれぞれ枠状のマニ
ホールドシール板20が介在されている。前記燃料ガス
流通空間が表出する前記発電要素の側面に対応するのマ
ニホールド(図示せず)には、燃料ガス21を供給する
ための供給管22が取り付けられている。この供給管2
2と反対側のマニホールド19には、ガス排出管23が
取着されている。また、前記酸化剤ガス流通空間が表出
する前記発電要素の側面に対応するのマニホールド(図
示せず)には、酸化剤ガス24を供給するための供給管
25が取り付けられている。この供給管25と反対側の
マニホールド19には、ガス排出管26が取着されてい
る。
【0011】前記電極11、12は、例えばニッケルベ
ースアロイの焼結体のような多孔質体から形成される。
前記セパレータ14、エッジシール15a、15b、孔
開き板16a、16b及び波板17a、17bは、例え
ばステンレス鋼から形成される。
【0012】前記燃料ガス21としては、例えば水素
(H2 )と二酸化炭素(CO2 )との混合ガスなどを使
用できる。前記酸化剤ガス24としては、例えば空気又
は酸素(O2 )と二酸化炭素(CO2 )との混合ガスな
どを使用できる。
【0013】次に、前記電解質板13を詳述する。前記
電解質板は、高温運転時に液体となる電解質の流出を防
止するための保持材と昇温時の割れ発生を防止するため
の補強材とを含有する多孔質体(例えば気孔率40〜6
5%)に電解質を溶融状態で含浸した構成を有する。前
記補強材は、一部または全部が無機物繊維からなり、か
つ前記無機物繊維は前記電解質板と前記アノードおよび
カソードの少なくとも一方の電極と接する界面において
その一端が前記電極の気孔内に喰い込まれている。
【0014】前記電解液としては、例えば炭酸リチウム
(Li2 CO3 )と炭酸カリウム(K2 CO3 )の混合
物、Li2 CO3 と炭酸ナトリウム(Na2 CO3 の混
合物、Li2 CO3 とK2 CO3 とNa2 CO3 の混合
物等の混合アルカリ炭酸塩を挙げることができる。前記
電解液は、前記混合アルカリ炭酸塩にさらにアルカリ土
類炭酸塩を添加した組成を有することを許容する。
【0015】前記多孔質体は、次のよう形態を有するこ
とが好ましい。 (a)粒径が0.05〜0.5μmの微粒子(保持材)
と、粒径が10〜100μmの粒子(補強材)と、前記
無機物繊維とから構成される多孔質体。
【0016】(b)粒径が0.05〜0.5μmの微粒
子(保持材)と、前記無機物繊維とから構成される多孔
質体。 前記多孔質体(a)において、前記無機物繊維は5〜1
8重量%、より好ましくは8〜15重量%含有されるこ
とが望ましい。これは、次のような理由によるものであ
る。前記無機物繊維の含有量を5重量%未満にすると、
電解質板のクラック発生を防止することが困難になる。
一方、前記無機物繊維の含有量が18重量%を越えると
多孔質体の初期気孔率が高くなり過ぎて電解質ロスの抑
制が困難になる。
【0017】前記多孔質体(b)において、前記無機物
繊維は10〜25重量%、より好ましくは12〜20重
量%含有されることが望ましい。これは、次のような理
由によるものである。前記無機物繊維の含有量を10重
量%未満にすると、電解質板のクラック発生を防止する
ことが困難になる。一方、前記無機物繊維の含有量が2
5重量%を越えると多孔質体の初期気孔率が高くなり過
ぎて電解質ロスの抑制が困難になる。
【0018】前記多孔質体(a)、(b)に含有される
粒子としては、例えばリチウムアルミネート(α、β、
γ−LiAlO2 )、リチウムジルコネート(Li2
rO3 )、リチウムタンタレート(LiTaO3 )、カ
リウムタンタレート(KTaO3 )等を挙げることがで
きる。特に、保持材としての微粒子は1g当りの初期比
表面積が7〜40m2 であることが好ましい。
【0019】前記無機物繊維としては、例えばアルミナ
(Al23 )、リチウムアルミネート(α、β、γ−
LiAlO2 )、ジルコニア(ZrO2 )リチウムジル
コネート(Li2 ZrO3 )等を挙げることができる。
【0020】前記無機物繊維は、例えば平均繊維径が
0.5〜20μm、より好ましくは5〜8μm、平均長
さが5〜6000μm、より好ましくは500〜300
0μm、であることが望ましい。前記無機物繊維の平均
繊維径を1μm未満、長さを5μm未満にすると多孔質
体を十分に補強することが困難になる。前記無機物繊維
の平均繊維径が20μmを越えると、前記無機物繊維が
異物として電解質板の割れの起点になる恐れがある。前
記無機物繊維の長さが、6000μmを越えると繊維同
士が絡まりあって多孔質体の形成が困難になると共に異
物としての割れの起点になるおそれがある。また、少な
くともアノードまたはカソードとの界面に存在する無無
機物繊維は平均繊維径がアノードまたはカソードの平均
孔径より小さいことが好ましい。
【0021】前記無機物繊維は、表面に凹凸を有する、
好ましくは繊維径に対して1〜20%の凹凸を有する比
表面積が1〜10m2 /gの形態のものが使用できる。
このような無機物繊維は、電解液に対する濡れ性が良好
であるため、前記繊維を含む電解質板と電極と接する界
面でその一端を電極の気孔内に喰い込ませることによっ
て、前記界面での液絡を良好に保持することが可能にな
る。
【0022】前記無機物繊維は、前記電解質板中に均一
に分散されるが、前記電解質板の内部より前記アノード
およびカソードの少なくとも一方の電極と接する界面に
おいて高濃度で分散されることが好ましい。
【0023】上述した電解質板は、例えば次のような方
法に製造される。まず、保持材、無機物繊維および必要
に応じて配合される粒子状の補強材を有機バインダを有
機溶媒の存在下で混合する。ここに用いる有機バインダ
としては、例えばポリビニルブチラール、フタル酸ジブ
チル、アクリル樹脂等を挙げることができる。前記有機
溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、メチルエチ
ルケトン等を挙げることができる。つづいて、前記混合
物を通常のシート成形法(例えばドクターブレード法、
カレンダロール法、スリップキャスト法、冷間押出し法
等)によりグリーンシートを成形した後、脱脂すること
により所定の気孔率を有する多孔質体を作製する。一
方、混合アルカリ炭酸塩からなる電解質を前記多孔質体
と同様な方法によりシート成形してシート状物を作製す
る。ひきつづき、前記多孔質体上に前記シート状物を重
ね、そのシート状物を溶融して前記多孔質体に電解質を
含浸させて電解質板を作製する。
【0024】次いで、多孔質体からなる電極に前記電解
質板に添加された無機物繊維量の5〜50重量%に相当
する無機物繊維を分散させると共に混合アルカリ炭酸塩
からなる電解質を含浸する。このような電解質板および
電極を、前述した図2に示す単位セルとし、複数の単位
セルをセパレータを挟んで積層してスタック発電要素と
した後、この発電要素の4つの側面にマニホールドを取
付けて燃料電池を組立てる。この後、作動温度まで昇温
させ、昇温過程で前記電極中の電解質と共に前記無機物
繊維が電解質板に移動することにより前記電解質板と前
記電極とが接する界面において前記無機物繊維が前記電
極の気孔内に喰い込んだ状態で固定される。
【0025】前記電極中に添加される無機物繊維の量を
前記電解質板に添加された無機物繊維量の5重量%未満
にすると、前記電極の気孔内に喰い込む無機物繊維の量
が減少して電解質板と電極の界面における液絡の途絶防
止効果を十分に図ることが困難になる。一方、前記電極
中に添加される無機物繊維の量が50重量%を越える
と、電極の気孔率の低下を招き、実質的な反応面積が減
少することによって電池性能が低下する恐れがある。
【0026】前記電解質板の作製において、無機物繊維
の含有量が異なるマトリックスシートを作製し、前記無
機物繊維を喰い込ませる電極と接する側に無機物繊維含
有量の多いマトリックスシートを配置されるように前記
マトリックスシートを重ねることによって、前記無機物
繊維を前記電解質板の内部より前記電極と接する界面に
おいて高濃度で分散するようにしてもよい。
【0027】
【作用】本発明によれば、多孔質体からなるアノードお
よびカソードと、これらのアノードおよびカソード間に
挟まれて配置され、混合アルカリ炭酸塩からなる電解質
を保持材および補強材を含む多孔質体に含浸させた電解
質板を備えた溶融炭酸塩型燃料電池において、前記アノ
ードおよびカソードの少なくとも一方の電極と接する界
面にその電極の気孔内に一端が喰い込まれた無機物繊維
を含有する電解質板を用いることによって、前記電解質
板と電極との界面における電解質の液絡を前記無機物繊
維により保持できる。その結果、アノードとカソード間
の電気化学的な導通経路を長時間安定に維持することが
できる。したがって、長時間の高出力密度での運転が可
能な溶融炭酸塩型燃料電池を提供できる。
【0028】特に、前記無機物繊維として表面に凹凸を
有する電解質に対して濡れ性の優れたものを用いれば、
前記電解質板と電極との界面における電解質の液絡をよ
り一層良好に保持できるため、アノードとカソード間の
電気化学的な導通経路を極めて安定に長時間維持するこ
とができる。
【0029】また、前記無機物繊維を前記電解質板の内
部より前記アノードおよびカソードの少なくとも一方の
電極と接する界面において高濃度で分散させることによ
って、前記電解質板と電極との界面における電解質の液
絡の密度を高めることができるため、アノードとカソー
ド間の電気化学的な導通経路を極めて安定に長時間維持
することができる。
【0030】特に、アノード側の前記無機質繊維が存在
することが好ましい。電極板には、通常Niを主成分と
した多孔質焼結体を用いている。電池内では、水素を含
む還元雰囲気下で用いられるアノードは金属状態を維持
するが、酸化雰囲気にさらされるカソードではNiOに
なり、さらにLiが固溶することにより半導体的な特性
を有する酸化物になる。
【0031】本発明者らは、このような電極、電解質板
の間に生じる経時的な抵抗増加要因を解析した結果、特
にアノード、電極の間の接触性の低下割合が多いことが
判明した。したがって、特にアノード側に前記無機質繊
維が存在する方が抵抗増加がより抑制される。ただし、
アノード側、カソード側の両方でもよい。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。 (実施例1〜6)まず、比表面積が5〜15m2 /gの
α−リチウムアルミネート(LiAlO2 )微粉末(保
持材)および粒径20〜60μmのリチウムジルコネー
ト(Li2 ZrO3 )粉末(補強材)とを所定の割合で
アルミナポットに入れてトルエン、ポリビニルブチラー
ル、フタル酸ジブチルと共に12時間湿式混合し、これ
に篩によって分散した平均繊維径1μm、長さ100μ
mのアルミナ繊維を所定の割合で添加し、72時間湿式
混合した後、キャリアシート上に展開し、厚さ0.5m
m程度の6種のマトリックスグリーンシートを作製し
た。なお、前記各マトリックスグリーンシート中の前記
保持材、補強材およびアルミナ繊維の配合割合を下記表
1に示す。
【0033】次いで、電解質としての混合アルカリ炭酸
塩(Li2 CO3 ;62モル%、K2 CO3 ;38モル
%)を用いて前記マトリックスグリーンシートと同様な
方法によりシート状物とした後、前記各マトリックスグ
リーンシートに前記シート状物をそれぞれ重ね、550
℃まで昇温して前記シート状物を溶融状態とすることに
より前記混合アルカリ炭酸塩を各マトリックスグリーン
シートにそれぞれ含浸して厚さ0.5mmの6種の電解
質板を製造した。
【0034】一方、電極(アノード)としてニッケル粉
末からなる気孔率50%の多孔質体を作製し、その気孔
中に平均繊維径1μm、長さ50μmのアルミナ繊維を
予め分散し、前記電解質板と同様な方法により混合アル
カリ炭酸塩を含浸した。なお、アノード内の添加量はア
ノードに接する電解質板に含有される繊維量を100と
した場合の比率で示した。
【0035】得られた各電解質板およびアノードと、ニ
ッケル粉末からなる気孔率50%の多孔質体からなるカ
ソードと、ステンレス鋼からなるセパレータと、エッジ
シール板と、孔開き板と、波板とを用いて前述した図2
及び図3に示す溶融炭酸塩型燃料電池を組立て、650
℃、5000時間の連続運転後の電池性能を調べた。ま
た、連続運転後に電解質板を取り出し、酢酸により炭酸
塩部分を溶解して連続運転前後での炭酸塩のロス量を調
べた。その結果を下記表1に併記する。
【0036】(比較例1)まず、比表面積が5〜15m
2 /gのα−リチウムアルミネート(LiAlO2 )微
粉末(保持材)および粒径20〜60μmのリチウムジ
ルコネート(Li2 ZrO3 )粉末(補強材)とを重量
比にて70:30の割合でアルミナポットに入れてトル
エン、ポリビニルブチラール、フタル酸ジブチルと共に
12時間湿式混合し、キャリアシート上に展開し、厚さ
0.5mm程度のマトリックスグリーンシートを作製し
た。
【0037】次いで、得られたマトリックスグリーンシ
ートを用いて実施例1と同様な方法により厚さ0.5m
mの電解質板を製造した。得られた電解質板と、アルミ
ナ繊維を含まないニッケル粉末からなる気孔率50%の
多孔質体からなるアノードと、ニッケル粉末からなる気
孔率50%の多孔質体からなるカソードと、ステンレス
鋼からなるセパレータと、エッジシール板と、孔開き板
と、波板とを用いて前述した図2及び図3に示す溶融炭
酸塩型燃料電池を組立て、650℃、5000時間の連
続運転後の電池性能を調べた。また、連続運転後に電解
質板を取り出し、酢酸により炭酸塩部分を溶解して連続
運転前後での炭酸塩のロス量を調べた。その結果を下記
表1に併記する。
【0038】(比較例2)まず、比表面積が5〜15m
2 /gのα−リチウムアルミネート(LiAlO2 )微
粉末(保持材)および粒径20〜60μmのリチウムジ
ルコネート(Li2 ZrO3 )粉末(補強材)とを所定
の割合でアルミナポットに入れてトルエン、ポリビニル
ブチラール、フタル酸ジブチルと共に12時間湿式混合
し、これに篩によって分散した平均繊維径1μm、長さ
50μmのアルミナ繊維を所定の割合で添加し、72時
間湿式混合した後、キャリアシート上に展開し、厚さ
0.5mm程度のマトリックスグリーンシートを作製し
た。なお、前記マトリックスグリーンシート中の前記保
持材、補強材およびアルミナ繊維の配合割合を下記表1
に示す。
【0039】次いで、得られたマトリックスグリーンシ
ートを用いて実施例1と同様な方法により厚さ0.5m
mの電解質板を製造した。得られた電解質板と、アルミ
ナ繊維を含まないニッケル粉末からなる気孔率50%の
多孔質体からなるアノードと、ニッケル粉末からなる気
孔率50%の多孔質体からなるカソードと、ステンレス
鋼からなるセパレータと、エッジシール板と、孔開き板
と、波板とを用いて前述した図2及び図3に示す溶融炭
酸塩型燃料電池を組立て、650℃、5000時間の連
続運転後の電池性能を調べた。また、連続運転後に電解
質板を取り出し、酢酸により炭酸塩部分を溶解して連続
運転前後での炭酸塩のロス量を調べた。その結果を下記
表1に併記する。
【0040】
【表1】
【0041】前記表1から明らかなように電解質板とア
ノードとの界面においてアルミナ繊維の一端がアノード
の気孔内に喰い込まれた構造を有する実施例1〜6の溶
融炭酸塩型燃料電池はアルミナ繊維を含まない電解質板
を有する比較例1の溶融炭酸塩型燃料電池、アルミナ繊
維が単に含有される電解質板を備えた比較例2の溶融炭
酸塩型燃料電池に比べて5000時間連続運転後の作動
電位降下が小さく、長期間安定であることがわかる。
【0042】(実施例7〜12)まず、比表面積が5〜
15m2 /gのα−リチウムアルミネート(LiAlO
2 )微粉末(保持材)および粒径20〜60μmのリチ
ウムジルコネート(Li2 ZrO3 )粉末(補強材)と
を所定の割合でアルミナポットに入れてトルエン、ポリ
ビニルブチラール、フタル酸ジブチルと共に12時間湿
式混合し、これに篩によって分散した平均繊維径1μ
m、長さ500μmのアルミナ繊維を所定の割合で添加
し、72時間湿式混合した後、キャリアシート上に展開
し、厚さ0.5mm程度の6種のマトリックスグリーン
シートを作製した。なお、前記各マトリックスグリーン
シート中の前記保持材、補強材およびアルミナ繊維の配
合割合を下記表2に示す。
【0043】次いで、電解質としての混合アルカリ炭酸
塩(Li2 CO3 ;62モル%、K2 CO3 ;38モル
%)を用いて前記マトリックスグリーンシートと同様な
方法によりシート状物とした後、前記各マトリックスグ
リーンシートに前記シート状物をそれぞれ重ね、550
℃まで昇温して前記シート状物を溶融状態とすることに
より前記混合アルカリ炭酸塩を各マトリックスグリーン
シートにそれぞれ含浸して厚さ0.5mmの6種の電解
質板を製造した。
【0044】一方、電極(アノード)としてニッケル粉
末からなる気孔率50%の多孔質体を作製し、その気孔
中に平均繊維径1μm、長さ100μmのアルミナ繊維
を予め分散し、前記電解質板と同様な方法により混合ア
ルカリ炭酸塩を含浸した。
【0045】得られた各電解質板およびアノードと、ニ
ッケル粉末からなる気孔率50%の多孔質体からなるカ
ソードと、ステンレス鋼からなるセパレータと、エッジ
シール板と、孔開き板と、波板とを用いて前述した図2
及び図3に示す溶融炭酸塩型燃料電池を組立て、650
℃、5000時間の連続運転後の電池性能を調べた。ま
た、連続運転後に電解質板を取り出し、酢酸により炭酸
塩部分を溶解して連続運転前後での炭酸塩のロス量を調
べた。その結果を下記表2に併記する。
【0046】(比較例3)まず、比表面積が5〜15m
2 /gのα−リチウムアルミネート(LiAlO2 )微
粉末(保持材)および粒径20〜60μmのリチウムジ
ルコネート(Li2 ZrO3 )粉末(補強材)とを所定
の割合でアルミナポットに入れてトルエン、ポリビニル
ブチラール、フタル酸ジブチルと共に12時間湿式混合
し、これに篩によって分散した平均繊維径1μm、長さ
100μmのアルミナ繊維を所定の割合で添加し、72
時間湿式混合した後、キャリアシート上に展開し、厚さ
0.5mm程度のマトリックスグリーンシートを作製し
た。なお、前記マトリックスグリーンシート中の前記保
持材、補強材およびアルミナ繊維の配合割合を下記表2
に示す。
【0047】次いで、得られたマトリックスグリーンシ
ートを用いて実施例7と同様な方法により厚さ0.5m
mの電解質板を製造した。得られた電解質板と、アルミ
ナ繊維を含まないニッケル粉末からなる気孔率50%の
多孔質体からなるアノードと、ニッケル粉末からなる気
孔率50%の多孔質体からなるカソードと、ステンレス
鋼からなるセパレータと、エッジシール板と、孔開き板
と、波板とを用いて前述した図2及び図3に示す溶融炭
酸塩型燃料電池を組立て、650℃、5000時間の連
続運転後の電池性能を調べた。また、連続運転後に電解
質板を取り出し、酢酸により炭酸塩部分を溶解して連続
運転前後での炭酸塩のロス量を調べた。その結果を下記
表2に併記する。なお、下記表2には前述した比較例1
の評価結果を併記する。
【0048】
【表2】
【0049】前記表2から明らかなように電解質板とア
ノードとの界面においてアルミナ繊維の一端がアノード
の気孔内に喰い込まれた構造を有する実施例7〜12の
溶融炭酸塩型燃料電池は、アルミナ繊維を含まない電解
質板を有する比較例1の溶融炭酸塩型燃料電池、アルミ
ナ繊維が単に含有される電解質板を備えた比較例3の溶
融炭酸塩型燃料電池に比べて5000時間連続運転後の
作動電位降下が小さく、長期間安定であることがわか
る。
【0050】(実施例13〜18)まず、比表面積が5
〜15m2 /gのα−リチウムアルミネート(LiAl
2 )微粉末(保持材)および粒径20〜60μmのリ
チウムジルコネート(Li2 ZrO3 )粉末(補強材)
とを所定の割合でアルミナポットに入れてトルエン、ポ
リビニルブチラール、フタル酸ジブチルと共に12時間
湿式混合し、これに篩によって分散した平均繊維径1μ
m、長さ100μmのリチウムアルミネート繊維を所定
の割合で添加し、72時間湿式混合した後、キャリアシ
ート上に展開し、厚さ0.5mm程度の6種のマトリッ
クスグリーンシートを作製した。なお、前記各マトリッ
クスグリーンシート中の前記保持材、補強材およびリチ
ウムアルミネート繊維の配合割合を下記表3に示す。
【0051】次いで、電解質としての混合アルカリ炭酸
塩(Li2 CO3 ;62モル%、K2 CO3 ;38モル
%)を用いて前記マトリックスグリーンシートと同様な
方法によりシート状物とした後、前記各マトリックスグ
リーンシートに前記シート状物をそれぞれ重ね、550
℃まで昇温して前記シート状物を溶融状態とすることに
より前記混合アルカリ炭酸塩を各マトリックスグリーン
シートにそれぞれ含浸して厚さ0.5mmの6種の電解
質板を製造した。
【0052】一方、電極(アノード)としてニッケル粉
末からなる気孔率50%の多孔質体を作製し、その気孔
中に平均繊維径1μm、長さ50μmのリチウムアルミ
ネート繊維を予め分散し、前記電解質板と同様な方法に
より混合アルカリ炭酸塩を含浸した。
【0053】得られた各電解質板およびアノードと、ニ
ッケル粉末からなる気孔率50%の多孔質体からなるカ
ソードと、ステンレス鋼からなるセパレータと、エッジ
シール板と、孔開き板と、波板とを用いて前述した図2
及び図3に示す溶融炭酸塩型燃料電池を組立て、650
℃、5000時間の連続運転後の電池性能を調べた。ま
た、連続運転後に電解質板を取り出し、酢酸により炭酸
塩部分を溶解して連続運転前後での炭酸塩のロス量を調
べた。その結果を下記表3に併記する。
【0054】(比較例4)まず、比表面積が5〜15m
2 /gのα−LiAlO2 微粉末(保持材)および粒径
20〜60μmのリチウムジルコネート(Li2 ZrO
3 )粉末(補強材)とを所定の割合でアルミナポットに
入れてトルエン、ポリビニルブチラール、フタル酸ジブ
チルと共に12時間湿式混合し、これに篩によって分散
した平均繊維径1μm、長さ50μmのリチウムアルミ
ネート繊維を所定の割合で添加し、72時間湿式混合し
た後、キャリアシート上に展開し、厚さ0.5mm程度
のマトリックスグリーンシートを作製した。なお、前記
マトリックスグリーンシート中の前記保持材、補強材お
よびアルミナ繊維の配合割合を下記表3に示す。
【0055】次いで、得られたマトリックスグリーンシ
ートを用いて実施例13と同様な方法により厚さ0.5
mmの電解質板を製造した。得られた電解質板と、アル
ミナ繊維を含まないニッケル粉末からなる気孔率50%
の多孔質体からなるアノードと、ニッケル粉末からなる
気孔率50%の多孔質体からなるカソードと、ステンレ
ス鋼からなるセパレータと、エッジシール板と、孔開き
板と、波板とを用いて前述した図2及び図3に示す溶融
炭酸塩型燃料電池を組立て、650℃、5000時間の
連続運転後の電池性能を調べた。また、連続運転後に電
解質板を取り出し、酢酸により炭酸塩部分を溶解して連
続運転前後での炭酸塩のロス量を調べた。その結果を下
記表3に併記する。なお、下記表3には前述した比較例
1の評価結果を併記する。
【0056】
【表3】
【0057】前記表3から明らかなように電解質板とア
ノードとの界面においてリチウムアルミネート繊維の一
端がアノードの気孔内に喰い込まれた構造を有する実施
例13〜18の溶融炭酸塩型燃料電池は、リチウムアル
ミネート繊維を含まない電解質板を有する比較例1の溶
融炭酸塩型燃料電池、リチウムアルミネート繊維が単に
含有される電解質板を備えた比較例4の溶融炭酸塩型燃
料電池に比べて5000時間連続運転後の作動電位降下
が小さく、長期間安定であることがわかる。特に、電解
質板とアノードとの界面においてリチウムアルミネート
繊維の一端がアノードの気孔内に喰い込まれた構造を有
する実施例13〜18の溶融炭酸塩型燃料電池は前述し
た電解質板とアノードとの界面においてアルミナ繊維の
一端がアノードの気孔内に喰い込まれた構造を有する実
施例1〜12の溶融炭酸塩型燃料電池に比べて電解質ロ
スおよび作動電位降下が著しく小さいことがわかる。
【0058】(実施例19)まず、比表面積が10m2
/gのα−リチウムアルミネート(LiAlO2 )微粉
末(保持材)40重量%と平均繊維径2μm、長さ50
μmのリチウムアルミネート繊維60重量%とアルミナ
ポットに入れてトルエン、ポリビニルブチラール、フタ
ル酸ジブチルと共に12時間湿式混合してスラリーを調
製した。つづいて、前記スラリーを脱泡した後、キャリ
アシート上に展開し、厚さ100μmのマトリックスグ
リーンシートを作製した。
【0059】一方、比表面積が10m2 /gのα−リチ
ウムアルミネート(LiAlO2 )微粉末(保持材)9
0重量%と平均繊維径2μm、長さ50μmのリチウム
アルミネート繊維10重量%とアルミナポットに入れて
トルエン、ポリビニルブチラール、フタル酸ジブチルと
共に12時間湿式混合してスラリーを調製した。つづい
て、前記スラリーを脱泡した後、キャリアシート上に展
開し、厚さ300μmのシートを作製した。
【0060】次いで、3枚の前記マトリックスシートと
前記シートとを重ねて高濃度繊維層を有する複合シート
を作製した。つづいて、前記複合シートを4cm角に切
断し、これに電解質としての混合アルカリ炭酸塩(Li
2 CO3 ;62モル%、K2CO3 ;38モル%)を溶
融、含浸して電解質板を製造した。
【0061】得られた電解質板と、ニッケル粉末からな
る気孔率50%の多孔質体からなるアノードおよびカソ
ードと、ステンレス鋼からなるセパレータと、エッジシ
ール板と、孔開き板と、波板とを用いて前述した図2及
び図3に示す溶融炭酸塩型燃料電池を組立て、650
℃、5000時間の連続運転後の電池性能を調べた。ま
た、連続運転後に電解質板を取り出し、酢酸により炭酸
塩部分を溶解して連続運転前後での炭酸塩のロス量を調
べた。その結果を下記表4に示す。
【0062】(実施例20)まず、比表面積が10m2
/gのα−リチウムアルミネート(LiAlO2 )微粉
末(保持材)40重量%と平均繊維径5μm、長さ10
0μmのリチウムアルミネート繊維60重量%とアルミ
ナポットに入れてトルエン、ポリビニルブチラール、フ
タル酸ジブチルと共に12時間湿式混合してスラリーを
調製した。つづいて、前記スラリーを脱泡した後、キャ
リアシート上に展開し、厚さ100μmのマトリックス
グリーンシートを作製した。
【0063】一方、比表面積が10m2 /gのα−リチ
ウムアルミネート(LiAlO2 )微粉末(保持材)9
0重量%と平均繊維径5μm、長さ100μmのリチウ
ムアルミネート繊維10重量%とアルミナポットに入れ
てトルエン、ポリビニルブチラール、フタル酸ジブチル
と共に12時間湿式混合してスラリーを調製した。つづ
いて、前記スラリーを脱泡した後、キャリアシート上に
展開し、厚さ300μmのシートを作製した。
【0064】次いで、3枚の前記マトリックスシートと
前記シートとを重ねて高濃度繊維層を有する複合シート
を作製した。つづいて、前記複合シートを4cm角に切
断し、これに電解質としての混合アルカリ炭酸塩(Li
2 CO3 ;62モル%、K2CO3 ;38モル%)を溶
融、含浸して電解質板を製造した。
【0065】得られた電解質板と、ニッケル粉末からな
る気孔率50%の多孔質体からなるアノードおよびカソ
ードと、ステンレス鋼からなるセパレータと、エッジシ
ール板と、孔開き板と、波板とを用いて前述した図2及
び図3に示す溶融炭酸塩型燃料電池を組立て、650
℃、5000時間の連続運転後の電池性能を調べた。ま
た、連続運転後に電解質板を取り出し、酢酸により炭酸
塩部分を溶解して連続運転前後での炭酸塩のロス量を調
べた。その結果を下記表4に示す。なお、下記表4には
前述した比較例1の評価結果を併記する。
【0066】 表4 5000時間後の 5000時間後の 電解質ロス量(%) 作動電位降下(mV) 実施例19 10 58 実施例20 12 65 比較例1 22 157 前記表4から明らかなように高濃度繊維層を有する複合
シートを備える電解質板とアノードとの界面においてリ
チウムアルミネート繊維の一端がアノードの気孔内に喰
い込まれた構造を有する実施例19、20の溶融炭酸塩
型燃料電池は、リチウムアルミネートを含まない電解質
板を有する比較例1の溶融炭酸塩型燃料電池に比べて5
000時間連続運転後の作動電位降下が小さく、長期間
安定であることがわかる。
【0067】(実施例21)まず、比表面積が8m2
gのα−リチウムアルミネート(LiAlO2 )微粉末
(保持材)85gをアルミナポットに入れてトルエン、
ポリビニルブチラール、フタル酸ジブチルと共に12時
間湿式混合してスラリーを調整した。つづいて、このス
ラリーに篩によって分散された平均繊維径8μm、長さ
500μmで表面に凹凸を有する比表面積が6m2 /g
のγ−リチウムアルミネート繊維15g添加し、撹拌混
合した後、キャリアシート上に展開し、厚さ0.5mm
程度のマトリックスグリーンシートを作製した。
【0068】次いで、電解質としての混合アルカリ炭酸
塩(Li2 CO3 ;62モル%、K2 CO3 ;38モル
%)を用いて前記マトリックスグリーンシートと同様な
方法によりシート状物とした後、前記各マトリックスグ
リーンシートに前記シート状物をそれぞれ重ね、550
℃まで昇温して前記シート状物を溶融状態とすることに
より前記混合アルカリ炭酸塩を各マトリックスグリーン
シートにそれぞれ含浸して厚さ0.5mmの電解質板を
製造した。
【0069】得られた各電解質板と、ニッケル粉末から
なる気孔率50%の多孔質体からなるアノードおよびカ
ソードと、ステンレス鋼からなるセパレータと、エッジ
シール板と、孔開き板と、波板とを用いて前述した図2
及び図3に示す溶融炭酸塩型燃料電池を組立て、650
℃、5000時間の連続運転後の電池性能を調べた。ま
た、連続運転後に電解質板を取り出し、酢酸により炭酸
塩部分を溶解して連続運転前後での炭酸塩のロス量を調
べた。その結果、5000時間後の電解質ロス量は9重
量%、5000時間後の作動電位降下は36mVと著し
く小さいことがわかった。
【0070】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば電
解質板と電極との界面における電解液の液絡途絶を防止
し、かつ電解質の流出を低減して実質的に電極との有効
反応面積を維持して抵抗増加に伴う作動電位の低下を抑
制して長時間運転を可能にした溶融炭酸塩型燃料を提供
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶融炭酸塩型燃料電池の基本構造を示す概略
図。
【図2】本発明に係わる溶融炭酸塩型燃料電池の一般的
に構成を示す斜視図。
【図3】図2の燃料電池の要部拡大斜視図。
【符号の説明】
11…アノード、12…カソード、13…電解質板、1
4…セパレータ、19…マニホールド、21…燃料ガ
ス、24…酸化剤ガス。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 富松 師浩 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質体からなるアノードおよびカソー
    ドと、これらのアノードおよびカソード間に挟まれて配
    置され、混合アルカリ炭酸塩からなる電解質を保持材お
    よび補強材を含む多孔質体に含浸させた電解質板を備え
    た溶融炭酸塩型燃料電池において、 前記電解質板は、前記アノードおよびカソードの少なく
    とも一方の電極と接する界面に電極の気孔内に一端が喰
    い込まれた無機物繊維を含有することを特徴とする溶融
    炭酸塩型燃料電池。
  2. 【請求項2】 前記無機物繊維は、表面に凹凸を有する
    ことを特徴とする請求項1記載の溶融炭酸塩型燃料電
    池。
  3. 【請求項3】 前記電解質板は、前記無機物繊維がその
    内部より前記アノードおよびカソードの少なくとも一方
    の電極と接する界面において高濃度で分散されているこ
    とを特徴とする請求項1記載の溶融炭酸塩型燃料電池。
JP7136770A 1995-06-02 1995-06-02 溶融炭酸塩型燃料電池 Pending JPH08329964A (ja)

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