JPH0696785A - 溶融炭酸塩型燃料電池 - Google Patents

溶融炭酸塩型燃料電池

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JPH0696785A
JPH0696785A JP4243621A JP24362192A JPH0696785A JP H0696785 A JPH0696785 A JP H0696785A JP 4243621 A JP4243621 A JP 4243621A JP 24362192 A JP24362192 A JP 24362192A JP H0696785 A JPH0696785 A JP H0696785A
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JP
Japan
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electrolyte
porous body
plate
lithium aluminate
fuel cell
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Application number
JP4243621A
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English (en)
Inventor
Kazuaki Nakagawa
和明 中川
Hideyuki Ozu
秀行 大図
Yoshihiro Akasaka
芳浩 赤坂
Hiroshi Tateishi
浩史 立石
Motoo Yabuki
元央 矢吹
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【目的】電解質板中の電解質の流出を低減して、電解質
の流出に伴う内部抵抗の増大、ガスクロスオ―バの発生
を抑制し得る長寿命の溶融炭酸塩型燃料電池を提供する
ことを目的とする。 【構成】混合アルカリ炭酸塩を含む電解質と、前記電解
質が含浸された保持材および補強材を含む多孔質体とか
らなる電解質板を備えた溶融炭酸塩型燃料電池におい
て、前記多孔質体は、式(1);Li1-x Al1+x/3
2 (ただし、xは0.076≦x≦0.24を示す)に
て表される粒径1.0μm以下のリチウムアルミネート
粒子を含むことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融炭酸塩型燃料電池
に関し、特に導電性を有する一対の電極間に挟まれて配
置される電解質板を改良した溶融炭酸塩型燃料電池に係
わる。
【0002】
【従来の技術】溶融炭酸塩型燃料電池の基本構造を図1
に示す。導電性を有する一対の電極であるアノ―ド(燃
料極)1及びカソ―ド(空気極)2間には、アルカリ炭
酸塩からなる電解質を保持した電解質板3が挟まれて配
置されている。前記電解質板3の両面周縁には、2つの
ハウジング4a、4bが当接され、これらハウジング4
a、4b内に前記アノ―ド1及びカソ―ド2をそれぞれ
収納している。前記一方のハウジング4a内面と前記ア
ノ―ド1の間及び前記他方のハウジング4b内面と前記
カソ―ド2の間には、それぞれ波形の集電板5a、5b
が配置されている。前記アノ―ド1が位置する一方の前
記ハウジング4aには、燃料ガス(H2 、CO2 )を前
記アノ―ド1に供給するための供給口6及び排出ガス
(CO2 、H2 O)を排気するための排気口7がそれぞ
れ開口されている。前記カソ―ド2が位置する他方の前
記ハウジング4bには、酸化剤ガス(空気、CO2 )を
前記カソ―ド2に供給するための供給口8及び排出ガス
(N2 )を排気するための排気口9がそれぞれ開口され
ている。
【0003】上述した図1に示す溶融炭酸塩型料電池
は、高温下で電解質板3中の混合アルカリ炭酸塩を溶融
させ、アノ―ド1にハウジング4aの供給口6を通して
燃料ガス(H2 、CO2 )を、カソ―ド2にハウジング
4bの供給口8を通して酸化剤ガス(空気、CO2 )を
それぞれ供給し、アノ―ド1で下記(1) 式の反応を、カ
ソ―ド2で下記(2) 式の反応を起こさせて運転するもの
である。 H2 +CO3 2-→H 2O+CO +2e- …(1) 1/2 O2 +CO2 +2e- →CO3 2- …(2)
【0004】ところで、上記溶融炭酸塩型燃料電池に使
用される電解質板は基本的には混合アルカリ炭酸塩から
なる電解質と、前記電解質を保持する多孔質体とから構
成される。前記混合アルカリ炭酸塩は、Li2 CO3
2 CO3 及びNa2 CO3の3種のうちの2種又は3
種の混合塩の形で使用される。また、前記多孔質体はL
iAlO2 を主成分としたものが用いられる。
【0005】前記電解質板は、炭酸イオン(CO3 2-
の移動を媒介とするだけでなく、アノ―ド及びカソ―ド
間の反応ガスの直接混合(ガスクロスオ―バ)を阻止す
るためのガス透過障壁層としても機能する。こうした機
能を果たすには、電解質板中に電解質が充分に保持され
ていることが必要である。電解質の流出(電解質ロス)
は、内部抵抗の増大を招くばかりか、ガスクロスオ―バ
の発生原因となる。
【0006】このようなことから、前記機能を果たす適
切な微細構造を有する電解質板として、高温運転時に液
体となる前記電解質の流出を防止するための保持材と、
昇温時の割れ発生等を防止するための補強材とからなる
多孔質体に前記混合アルカリ炭酸塩からなる電解液を含
浸したものが広く採用されている。
【0007】前記保持材としては、粒径が0.05〜
0.5μmのγ−LiAlO2 やβ−LiAlO2 から
なる微粉末が、前記補強材としては粒径20〜60μm
のLiAlO2 が、それぞれ使用される。
【0008】しかしながら、前記構成の電解質板にあっ
ても長時間の燃料電池の運転においては微細構造に変化
が生じ、電解質ロスが発生し、十分な寿命特性が得られ
ない等の問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題点を解決するためになされたもので、電解質板の微
細構造の変化を低減し、前記電解質板中の電解質の流出
を低減して、電解質の流出に伴う内部抵抗の増大、ガス
クロスオ―バの発生を抑制し得る長寿命の溶融炭酸塩型
燃料電池を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる溶融炭酸
塩型燃料電池は、混合アルカリ炭酸塩を含む電解質と、
前記電解質が含浸された保持材および補強材を含む多孔
質体とからなる電解質板を備えた溶融炭酸塩型燃料電池
において、
【0011】前記多孔質体は、式(1);Li1-x Al
1+x/3 2 (ただし、xは0.076≦x≦0.24を
示す)にて表される粒径1.0μm以下のリチウムアル
ミネート粒子を含むことを特徴とするものである。
【0012】また、本発明に係わる別の溶融炭酸塩型燃
料電池は混合アルカリ炭酸塩を含む電解質と、前記電解
質が含浸された保持材および補強材を含む多孔質体とか
らなる電解質板を備えた溶融炭酸塩型燃料電池におい
て、
【0013】前記多孔質体は、式(1);Li1-x Al
1+x/3 2 (ただし、xは0.076≦x≦0.24を
示す)にて表される粒径1.0μm以下のリチウムアル
ミネート粒子と、式(2);Li1-x Al1+x/3
2 (ただし、xは−0.109≦x≦−0.038を示
す)にて表される粒径5.0μm以上のリチウムアルミ
ネート粒子とを含むことを特徴とするものである。以
下、本発明に係わる溶融炭酸塩型燃料電池を図2、図3
を参照して詳細に説明する。
【0014】本発明の溶融炭酸塩型燃料電池は、アノ―
ド(燃料極)11、カソ―ド(空気極)12及びこれら
電極11、12間に配置され、電解質を保持した電解質
板13を備えている。これらアノ―ド11、カソ―ド1
2及び電解質板13を単位セルとし、複数の単位セルが
セパレ―タ14を挟んで積層されている。前記電解質板
13上面に配置された前記アノ―ド11の対向する一対
の縁部は、前記電解質板13の縁部から所望距離へだて
て内側に位置し、かつ前記アノ―ド11が存在しない前
記電解質板13の両縁部と前記セパレ―タ14の間には
エッジシ―ル板15aが配置されている。前記電解質板
13下面に配置された前記カソ―ド12の前記エッジシ
―ル板15aと直交する一対の縁部は、前記電解質板1
3の縁部から所望距離へだてて内側に位置し、かつ前記
カソ―ド12が存在しない前記電解質板13の両縁部と
前記セパレ―タ14の間には、エッジシ―ル板15bが
配置されている。前記アノ―ド11、セパレ―タ14及
びエッジシ―ル板15aで区画された空間(燃料ガス流
通空間)には、集電板としての導電性を有する孔開き板
16a、波板17aが前記アノ―ド11側から順次積層
されている。前記カソ―ド12、セパレ―タ14及びエ
ッジシ―ル板15bで区画された空間(酸化剤ガス流通
空間)には、集電板としての導電性を有する孔開き板1
6b、波板17bが前記カソ―ド12側から順次積層さ
れている。このような複数の単位セルがセパレ―タ14
を挟んで積層されたスタック発電要素の4つの側面に
は、枠状のフランジ18を有するマニホ―ルド19がそ
れぞれ配置されている。また、前記スタック発電要素の
4つの側面と前記マニホ―ルド19のフランジ18との
間にはそれぞれ枠状のマニホ―ルドシ―ル板20が介在
されている。前記燃料ガス流通空間が表出する前記発電
要素の側面に対応するのマニホ―ルド(図示せず)に
は、燃料ガス21を供給するための供給管22が取り付
けられている。この供給管22と反対側のマニホ―ルド
19には、ガス排出管23が取着されている。また、前
記酸化剤ガス流通空間が表出する前記発電要素の側面に
対応するのマニホ―ルド(図示せず)には、酸化剤ガス
24を供給するための供給管25が取り付けられてい
る。この供給管25と反対側のマニホ―ルド19には、
ガス排出管26が取着されている。前記電極11、12
は、例えばニッケルベ―スアロイ又は多孔質のニッケル
ベ―スアロイの焼結体から形成される。前記セパレ―タ
14、エッジシ―ル15a、15b、孔開き板16a、
16b及び波板17a、17bは、例えばステンレス鋼
から形成される。
【0015】前記燃料ガス21としては、例えば水素
(H2 )と二酸化炭素(CO2 )との混合ガスなどを使
用できる。前記酸化剤ガス24としては、例えば空気又
は酸素(O2 )と二酸化炭素(CO2 )との混合ガスな
どを使用できる。前記電解質板13は、以下に詳述する
保持材および補強材を含む多孔質体と、前記多孔質体に
含浸された電解質とから構成されている。 (A)多孔質体
【0016】この多孔質体は、式(1);Li1-x Al
1+x/3 2 (ただし、xは0.076≦x≦0.24を
示す)にて表される粒径1.0μm以下のリチウムアル
ミネート粒子(γ−またはβ−のリチウムアルミネート
粒子)を含む。かかるリチウムアルミネート粒子は、主
に保持材として機能する。前記式(1)で表されるリチ
ウムアルミネート粒子は、粒径が0.05〜0.5μ
m、初期比表面積が7m2 /g〜40m2 /gであるこ
とが望ましい。
【0017】前記式(1)におけるxを規定したのは、
次のような理由によるものである。前記xを0.076
未満にすると、前記電解質板を組み込んだ燃料電池の運
転中において、Liの溶出を抑制することが困難にな
る。一方、前記xが0.24を越えるとLiの取り込み
を起こす。
【0018】前記多孔質体中には、前記式(1)で表さ
れるリチウムアルミネート粒子のほかに、主に補強材と
して機能する式(2);Li1-x Al1+x/3 2 (ただ
し、xは−0.109≦x≦−0.038を示す)にて
表される粒径5.0μm以上、好ましくは粒径20〜6
0μmのγ−またはβ−リチウムアルミネート粒子、ま
たはLiAlO2 で表される粒径5.0μm以上、好ま
しくは粒径20〜60μmのγ−またはβ−リチウムア
ルミネート粒子をさらに含むことを許容する。
【0019】前記式(2)におけるxを規定したのは、
次のような理由によるものである。前記xを−0.10
9未満にすると、前記電解質板を組み込んだ燃料電池の
運転中において、Liの溶出が起こる。一方、前記xが
−0.038を越えるとLiの取り込みを抑制すること
が困難になる。
【0020】前記保持材として主に機能するリチウムア
ルミネート粒子と前記補強材として主に機能するリチウ
ムアルミネート粒子との配合割合は前者のリチウムアル
ミネート粒子を50〜90重量%、、より好ましくは6
0〜90重量%、後者のリチウムアルミネート粒子を1
0〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%にす
ることが望ましい。この理由は、後者のリチウムアルミ
ネート粒子の割合を10重量%未満にすると機械的強度
が劣化し、耐サーマルサイクル性が低下する恐れがあ
る。一方、後者のリチウムアルミネート粒子の割合が5
0重量%を越えると前者の保持材として主に機能するリ
チウムアルミネート粒子の比率が相対的に低下して多孔
質体による電解質の保持能力を低下させる恐れがある。
【0021】前記多孔質体は、例えば気孔率が40〜6
5%であることが望ましい。このような気孔率の多孔質
体は、前記電解質を良好に保持すると共に所定の強度を
維持することが可能になる。 (B)電解質 この電解質は、混合アルカリ炭酸塩、または前記混合ア
ルカリ炭酸塩とアルカリ土類炭酸塩もしくはアルカリ土
類酸化物との混合物から形成される。
【0022】前記混合アルカリ炭酸塩としては、例えば
炭酸リチウム(Li2 CO3 )と炭酸カリウム(K2
3 )の混合物、Li2 CO3 と炭酸ナトリウム(Na
2 CO3 の混合物、Li2 CO3 とK2 CO3 とNa2
CO3 の混合物等を挙げることができる。
【0023】前記アルカリ土類炭酸塩としては、例えば
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムから
選ばれる少なくとも1種を上げることができ、これらは
1種または2種以上の混合物で用いられる。前記アルカ
リ土類酸化物としては、例えば酸化カルシウム、酸化マ
グネシウム、酸化バリウムから選ばれる少なくとも1種
を上げることができ、これらは1種または2種以上の混
合物で用いられる。前記アルカリ土類炭酸塩もしくはア
ルカリ土類酸化物は、電解質中に2〜15モル%、より
好ましくは5〜10モル%の範囲で配合されることが望
ましい。上述した電解質板は、例えば次のような方法に
製造される。
【0024】(1)まず、保持材、補強材および有機バ
インダを有機溶媒の存在下で混合する。ここに用いる有
機バインダとしては、例えばポリビニルブチラール、フ
タル酸ジブチルル、アクリル樹脂等を挙げることができ
る。前記有機溶媒としては、例えばトルエン、キシレ
ン、メチルエチルケトン等を挙げることができる。つづ
いて、前記混合物を通常のシート成形法(例えばドクタ
―ブレ―ド法、カレンダロール法、ストリップキャスト
法、冷間押出し法等)によりグリーンシートを成形した
後、脱脂することにより所定の気孔率を有する多孔質体
を作製する。一方、混合アルカリ炭酸塩からなる電解質
を前記多孔質体と同様な方法によりシート成形してシー
ト状物を作製する。次いで、前記多孔質体上に前記シー
ト状物を重ね、前記シート状物を溶融して前記多孔質体
に含浸させることにより電解質板を製造する。
【0025】(2)前記(1)の方法により作製した電
解質板を予め混合アルカリ炭酸塩からなる電解質を含浸
させたアノードと無含浸のカソードの間に配置し、前述
した図2に示す単位セルとし、複数の単位セルをセパレ
ータを挟んで積層してスタック発電要素とした後、この
発電要素の4つの側面にマニホ―ルドを取付けて燃料電
池を組立てる。この後、作動温度まで昇温させ、昇温過
程で前記電解質素材中の有機バインダの揮散により生じ
た気孔部分に前記電極中の溶融した電解質を拡散、充填
して電解質板を製造する。
【0026】
【作用】本発明によれば、混合アルカリ炭酸塩を含む電
解質と、前記電解質が含浸された保持材および補強材を
含む多孔質体とからなる電解質板において、前記多孔質
体として式(1);Li1-x Al1+x/3 2 (ただし、
xは0.076≦x≦0.24を示す)にて表される粒
径1.0μm以下のリチウムアルミネート粒子を含むも
のを用いることによって、発電特性を損うことなく、運
転時での電解質板中の電解質の流出(電解質ロス)を低
減でき、電解質ロスに伴う電解質板の抵抗増大、クロス
オ―バの発生を抑制できる。従って、長時間の運転が可
能な長寿命の溶融炭酸塩型燃料電池を得ることができ
る。
【0027】すなわち、前記式(1)で表されるリチウ
ムアルミネートにおいてx=0で粒径1.0μm以下
(例えば0.5μm)の主に保持材として機能するリチ
ウムアルミネートを含む多孔質体を形成し、前記多孔質
体に前記電解質を含浸させて形成した電解質板を用いて
構成した燃料電池について、1000時間程度の運転を
実施すると、x=0.070付近までLiの優先的な溶
出が生じ、電解質板の電解質中のLi量が増加する。そ
の結果、1.0μm以下のリチウムアルミネート粒子が
溶解して減少し、多孔質体の孔の径が増加するため電解
質の保持性能が低下し、電解質板からの電解質の流出
(電解質ロス)を招く。
【0028】このようなことから、多孔質体の主に保持
材として機能するリチウムアルミネート粒子として前記
式(1)で表されるxをx≧0.076にすることによ
って、Liの優先的な溶出を回避でき、前記運転中の電
解質板の電解質中へのリチウムアルミネート粒子の溶解
を抑制できる。一方、前記式(1)で表されるxがx>
0.240であると、リチウムアルミネート粒子がLi
を補うために電解質中のLiを取り込み、リチウムアル
ミネート粒子径が増加する。これに伴って、多孔質体の
孔の径が増加し電解質の保持性能が低下する。したがっ
て、前記式(1)で表されるxをx≦0.240にする
ことによって電解質中のLiの取り込みを抑制して、前
記保持材として機能するリチウムアルミネート粒子自体
の粒成長を抑制できる。その結果、前記電解質の保持性
能を維持し、電解質板からの電解質の流出(電解質ロ
ス)を防止することができる。
【0029】また、本発明によれば混合アルカリ炭酸塩
を含む電解質と、前記電解質が含浸された保持材および
補強材を含む多孔質体とからなる電解質板において、前
記多孔質体として式(1);Li1-x Al1+x/3
2 (ただし、xは0.076≦x≦0.24を示す)に
て表される粒径1.0μm以下のリチウムアルミネート
粒子と式(2);Li1-x Al1+x/3 2 (ただし、x
は−0.109≦≦−0.038を示す)にて表される
粒径5.0μm以上のリチウムアルミネート粒子とを含
むものを用いることによって、発電特性を損うことな
く、運転時での電解質板中の電解質の流出(電解質ロ
ス)をより効果的に低減でき、電解質ロスに伴う電解質
板の抵抗増大、クロスオ―バの発生を抑制できる。従っ
て、さらに長時間の運転が可能な長寿命の溶融炭酸塩型
燃料電池を得ることができる。
【0030】すなわち、前記式(2)で表されるリチウ
ムアルミネートにおいてx=0で粒径5.0μm以上
(例えば10μm)の主に補強材として機能するリチウ
ムアルミネートを含む多孔質体を形成し、前記多孔質体
に前記電解質を含浸させて形成した電解質板を用いて構
成した燃料電池について、1000時間程度の運転を実
施すると、x=−0.030付近までLiが優先的に多
孔質体に取込まれ、電解質中のLi量が減少する。その
結果、前述した保持材としてのリチウムアルミネート粒
子の溶解と、前記補強材として機能するリチウムアルミ
ネート粒子のLiの取込みによって、1.0μm以下の
リチウムアルミネート粒子の溶解による消滅と、5.0
μm以上のリチウムアルミネート粒子の成長とが起こ
る。また、前記式(2)で表されるxが−0.109<
xであると、x=0.109付近までLiの優先的な溶
出が生じ、補強材として機能する粒子の粒子径が減少す
る。その結果、耐サーマルサイクル性が低下する。
【0031】このようなことから、多孔質体の主に保持
材として機能するリチウムアルミネート粒子として前記
式(1)で表されるものを、主に補強材として機能する
リチウムアルミネート粒子として前記式(2)で表され
る組成(−0.109≦x≦−0.038)にすること
によって、保持材として機能するリチウムアルミネート
粒子の電解質への溶解および前記補強材として機能する
リチウムアルミネート粒子への取込みによる消滅を防止
できると共に、前記保持材として機能するリチウムアル
ミネート粒子自体の粒成長を抑制できる。その結果、前
記電解質の保持性能を長時間に亘って維持して電解質板
からの電解質の流出(電解質ロス)を効果的に防止する
ことができる。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。 実施例1〜9、比較例1
【0033】まず、原料である水酸化リチウム(LiO
H)と酸化アルミニウム(γ−Al2 3 )の仕込比を
変えて比表面積が10〜20m2 /gで、かつγ−Li
1-xAl1+x/3 2 で表され、xが下記表1に示す値の
リチウムアルミネート(保持材)を調整した。
【0034】また、原料である水酸化リチウム(LiO
H)と酸化アルミニウム(γ−Al2 3 )の仕込比を
変えて粒径が20〜60μmで、かつLi1-x Al
1+x/3 2 で表され、xが下記表1に示す値のリチウム
アルミネート粉末(補強材)を調整した。
【0035】次いで、前記リチウムアルミネート(保持
材)およびリチウムアルミネート粉末(補強材)をアル
ミナポットに入れ、トルエン、ポリビニルブチラール、
フタル酸ジブチルと共に20時間湿式混合し、5種のス
ラリーを調製した。つづいて、前記各スラリーをキャリ
アシートに展開し、厚さ0.5mmのマトリックスグリ
ーンシートとした。この後、前記各マトリックスグリー
ンシートを大気中で脱脂して多孔質体を作製した。
【0036】次いで、電解質としての混合アルカリ炭酸
塩(Li2 CO3 ;62モル%、K2 CO3 ;38モル
%)を用いて前記多孔質体と同様な方法によりシート状
物とした後、前記各多孔質体に前記シート状物をそれぞ
れ重ね、550℃まで昇温して前記シート状物を溶融状
態とすることにより前記混合アルカリ炭酸塩を多孔質体
に含浸して厚さ0.5mmの10種の電解質板を製造し
た。 比較例2
【0037】まず、比表面積が10〜20m2 /gのγ
−LiAlO2 粉末(保持材)および粒径20〜60μ
mのLiAlO2 粒子(補強材)を50:50の重量比
でアルミナポットに入れ、トルエン、ポリビニルブチラ
ール、フタル酸ジブチルと共に20時間湿式混合し、ス
ラリーを調製した。つづいて、前記スラリーをキャリア
シートに展開し、厚さ0.5mmのマトリックスグリー
ンシートとした。この後、前記マトリックスグリーンシ
ートを大気中で脱脂して多孔質体を作製した。
【0038】次いで、電解質としての混合アルカリ炭酸
塩(Li2 CO3 ;62モル%、K2 CO3 ;38モル
%)を用いて前記多孔質体と同様な方法によりシート状
物とした後、前記多孔質体に前記シート状物を重ね、5
50℃まで昇温して前記シート状物を溶融状態とするこ
とにより前記混合アルカリ炭酸塩を多孔質体に含浸して
厚さ0.5mmの電解質板を製造した。
【0039】実施例1〜9および比較例1、2の各電解
質板と、ニッケルベ―スアロイからなるアノ―ド、カソ
―ドと、ステンレス鋼からなるセパレ―タ、エッジシ―
ル板、孔開き板、波板を用いて前述した図2及び図3に
示す溶融炭酸塩型燃料電池を組立てた。各燃料電池のア
ノ―ドに燃料ガスとしてのH2 80vol%とCO2
0vol%の混合ガスを供給し、カソ―ドに酸化剤ガス
としての空気70vol%とCO2 30vol%の混合
ガスをそれぞれ供給し、650℃で150mA/cm2
の負荷条件で発電試験を行なった。発電試験は、500
0時間の連続運転を行ない、作動電位降下を測定した
後、冷却した電池から電解質板を取り出した。また、取
り出した電解質板を酢酸溶液(氷酢酸10vol%、無
水酢酸10vol%、エタノール80vol%)に浸漬
して混合アルカリ炭酸塩に溶解し、その溶解前後の重量
変化から電解質ロス量を測定した。これらの結果を下記
表1に併記した。
【0040】
【表1】
【0041】前記表1から明らかなように、γ−Li
1-x Al1+x/3 2 (ただし、xは0.076≦x≦
0.24を示す)にて表される粒径1.0μm以下のリ
チウムアルミネート粒子を保持材として含む多孔質体を
有する電解質板を組み込んだ溶融炭酸塩型燃料電池で
は、比較例1、2の燃料電池に比べて作動電位降下が小
さく、また電解質ロスも少ないことがわかる。特に、前
記保持材とLi1-x Al1+x/3 2 (ただし、xは−
0.109≦x≦−0.038を示す)にて表される粒
径5.0μm以上のリチウムアルミネート粒子を補強材
として含む多孔質体を有する電解質板(実施例7〜9)
を組み込んだ溶融炭酸塩型燃料電池では、作動電位降下
がより小さく、また電解質ロスも一層少ないことがわか
る。
【0042】
【発明の効果】以上詳述した如く、本発明によれば電解
質板中の電解質の流出を低減して、電解質の流出に伴う
内部抵抗の増大、ガスクロスオ―バの発生を抑制でき、
長時間運転が可能な溶融炭酸塩型燃料電池を提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶融炭酸塩型燃料電池の基本構造を示す概略
図。
【図2】本発明に係わる溶融炭酸塩型燃料電池の一般的
に構成を示す斜視図。
【図3】図2の燃料電池の要部拡大斜視図。
【符号の説明】
11…アノード、12…カソード、13…電解質板、1
4…セパレータ、19…マニホ―ルド、21…燃料ガ
ス、24…酸化剤ガス。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 立石 浩史 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝総合研究所内 (72)発明者 矢吹 元央 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 混合アルカリ炭酸塩を含む電解質と、前
    記電解質が含浸された保持材および補強材を含む多孔質
    体とからなる電解質板を備えた溶融炭酸塩型燃料電池に
    おいて、 前記多孔質体は、式(1);Li1-x Al1+x/3
    2 (ただし、xは0.076≦x≦0.24を示す)に
    て表される粒径1.0μm以下のリチウムアルミネート
    粒子を含むことを特徴とする溶融炭酸塩型燃料電池。
  2. 【請求項2】 混合アルカリ炭酸塩を含む電解質と、前
    記電解質が含浸された保持材および補強材を含む多孔質
    体とからなる電解質板を備えた溶融炭酸塩型燃料電池に
    おいて、 前記多孔質体は、式(1);Li1-x Al1+x/3
    2 (ただし、xは0.076≦x≦0.24を示す)に
    て表される粒径1.0μm以下のリチウムアルミネート
    粒子と、式(2);Li1-x Al1+x/3 2 (ただし、
    xは−0.109≦x≦−0.038を示す)にて表さ
    れる粒径5.0μm以上のリチウムアルミネート粒子と
    を含むことを特徴とする溶融炭酸塩型燃料電池。
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