JPH083241Y2 - コンバインの刈取部における搬送駆動装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （イ）産業上の利用分野 本考案は、コンバインの刈取部における搬送駆動装置
に関するものであって、これをさらに具体的に云うと、 引起しタインを有する後傾姿勢の引起しケースにより
植立穀稈を引起して稈元を刈刃で刈取り、その刈取穀稈
の稈元側を後送する稈元搬送チエンと扱深さの調節を行
なう縦搬送チエンと適正姿勢でフィードチェンに受継が
せる補助搬送チエンとにより挟持搬送するとともに、穂
先側を穂先搬送タインにより係止搬送して、刈取穀稈を
横方向の姿勢に修正し脱穀部に供給する構成のコンバイ
ンの刈取部における刈取脱穀の搬送駆動装置に利用でき
るものである。

（ロ）従来の技術 上記のような、引起しケース・刈刃・稈元搬送チエン
・縦搬送チエン・補助搬送チエンおよび穂先搬送タイン
により、植立穀稈を刈取りその刈取穀稈の稈元側を挟持
し穂先側を係止して脱穀部に供給するコンバインの刈取
部であって、その刈取部の搬送駆動装置において、稈元
搬送チエンと縦搬送チエンを駆動するのに、その搬送駆
動装置中から取出す縦出力ケースを分岐して取出した動
力を２分することによりそれら各搬送チエンを駆動させ
るようにしたものが実開昭61−120355号公報によって既
に公開されているところである。

（ハ）考案が解決しようとする課題 このような構成にして、植立穀稈を刈取り搬送して脱
穀部に供給するコンバイン刈取部の搬送駆動装置なるも
のは既に公開されているが、この同公報に開示の従来の
ものは、穀元搬送チエンと縦搬送チエンを駆動させる縦
出力ケースは、重量物である刈取部全体を支持する主刈
取ケースの中途部に立設して動力を取出しその立設した
縦出力ケースを分岐して取出した動力を２分し、各搬送
チエンを駆動するようにしている。

したがって、主刈取ケースの中途部から動力を取出す
ために、その主刈取ケースは分割構成のものになり刈取
部の重量によってしなり（曲がり）が発生し、これによ
り駆動用のギヤや軸に偏荷重が作用して伝動部の摩耗と
破損を招くおそれがある。また、上記しなりの発生を防
止するためには、相当強固な構成にしなければならず、
重量・コスト高になるとともに搬送穀稈の妨げにもな
る。

そこで、本考案はこのような従来のものが有している
前記の問題点を解決すべく、搬送駆動系統を簡潔にして
他の構成との干渉の発生を回避し搬送穀稈をスムーズに
搬送させ、かつ、搬送駆動装置部分に充分な強度をもた
せながらも軽量化するとともに、刈取部の分解組立性を
よくし整備作業を容易ならしめんとするを目的として改
良考案されたものである。

（ニ）課題を解決するための手段 そこで、本考案は前記の目的を達成させるために、引
起しタインを有する後傾姿勢の引起しケースにより植立
穀稈を引起して穀元を刈刃で刈取り、その刈取穀稈の稈
元側を後送する稈元搬送チエンと扱深さの調節を行なう
縦搬送チエンと適正姿勢でフィードチエンに受継がせる
補助搬送チエンとにより挟持搬送するとともに、穂先側
を穂先搬送タインにより係止搬送して、刈取穀稈を横方
向の姿勢に修正し脱穀部に供給する構成のコンバインの
刈取部において、次に記載するところの搬送駆動系統を
採用せんとするものである。

すなわち、刈取入力ケースから前下方に向け突設する
刈取主ケースを介して該刈取主ケースの先端に連結した
刈取横出力ケースに動力を供給し、この刈取横出力ケー
スの前記刈取主ケースに対してフィードチエンの反対側
に位置する右側部分に縦出力ケースを立設するとともに
該縦出力ケースを分岐して動力を２分し、その一方で前
記稈元搬送チエンの終端部を駆動させ、他方でもって前
記縦搬送チエンの始端部を駆動させる構成にしたのであ
る。

（ホ）作用 この構成によって、植立穀稈は引起しケースの引起し
タインによって引起され刈刃でその稈元が刈取られ、刈
取穀稈の稈元側は稈元搬送チエンと縦搬送チエンと補助
搬送チエンを介してフィードチエンに受継がれ、穂先側
は穂先搬送タインによって後送されるようになって、脱
穀部に横方向の姿勢に修正されて供給されるようにな
り、その場合に刈取穀稈の稈身の長短に応じて縦搬送チ
エンはその傾斜状態が変動し脱穀部への供給の際の扱深
さを調節するのである。

そして、この刈取部への動力は、刈取入力ケースに入
力され刈取主ケースから刈取横出力ケースを介してそれ
ぞれに伝達されるのであるが、稈元搬送チエンと縦搬送
チエンとには刈取横出力ケースから縦出力ケースに供給
され、この縦出力ケースで動力が２分されて一方で稈元
搬送チエンの終端部を駆動し、他方でもって縦搬送チエ
ンの始端部を駆動するようになって稈元搬送チエンで刈
取穀稈を後送し縦搬送チエンから補助搬送チエンに受継
がせるようになる。

（ヘ）実施例 以下、本考案における刈取部の搬送駆動装置に関して
実施例図に基き具体的に説明する。

そこで、先ずはじめに、このコンバイン全体の概要を
記載しておくと、 図中、（12）は走行クローラ（13）を装設するトラッ
クフレーム、（14）はトラックフレーム（12）上に架設
する機台、（Ｂ）はフィードチエン（６）を左側に張設
し扱胴（15）等を内蔵する脱穀部、（Ａ）は引起しケー
ス（１）・刈刃（２）・稈元搬送チエン（３）・穂先搬
送タイン（７）などを具備する刈取部、（16）は排藁チ
エン（17）（17）の終端部をのぞませる排藁処理部、
（18）は運転席（19）および運転操作部（20）を備える
運転台、（21）はエンジン（Ｅ）を内設するエンジン
部、（22）は前記エンジン部（21）の前方に配設して脱
穀部（Ｂ）からの穀粒を揚穀筒（23）を介して貯溜する
穀粒タンク、（24）は前記穀粒タンク（22）内の穀粒を
機外に取出す排出オーガであって、連続的に植立穀稈を
刈取りその刈取った穀稈を脱穀処理するように構成され
ている。

また、前記の刈取部（Ａ）は、第１図と第２図に示す
如く、分草板（25）を介して受入れる植立穀稈を引起す
横回し形の引起しタイン（1a）を有し後傾姿勢にして横
方向に数本のものを列設する４条刈用の引起しケース
（１）と、この引起された穀稈の稈元側と穂先側を掻込
むスターホイル（26）と掻込ベルト（27）およびこの掻
込時稈元側を刈取る刈刃（２）と、刈取穀稈の右側２条
分の穀稈の稈元側を左斜め後方に挟持搬送する右稈元搬
送チエン（3a）と、右側２条分の穀稈の穂先側を左斜め
後方のフィードチエン（６）の送り始端近傍部まで係止
搬送する右穂先搬送タイン（7a）と、左側２条分の穀稈
の稈元側および穂先側を右斜め後方に搬送し右稈元搬送
チエン（3a）の送り終端部位置近傍に合流させる左稈元
搬送チエン（3b）および左穂先搬送タイン（7b）と、前
記右稈元搬送チエン（3a）の送り終端部に合流する４条
分の稈元側を前記フィードチエン（６）の送り始端部に
搬送受継ぎするため始端部を右稈元搬送チエン（3a）終
端部の下側に位置させた縦搬送チエン（４）と、前記右
穂先搬送タイン（7a）と縦搬送チエン（４）の送り終端
部上下略々中間高さ位置に設けてフィードチエン（６）
に適正姿勢で穀稈を受継がせる補助搬送チエン（５）と
を備え、刈取られた４条分の穀稈をこれらＹ字形搬送経
路（28）を介してフィードチエン（６）に受継がせて脱
穀処理するように構成している。

そして、この刈取脱穀作業にあたっては、刈取部
（Ａ）は刈取入力ケース（８）の軸芯を支点にしてシリ
ンダー機構（29）により上下動調節可能になっていて、
刈り高さの調節や回行時における上昇を行なわせながら
作業を続行するのである。

次に、刈取部（Ａ）への動力供給手段について記載す
る。

（９）は前記の刈取入力ケース（８）から前下方に向
け突設された刈取主ケースであり、（10）はこの刈取主
ケース（９）の先端に連結した刈取横出力ケースで、各
ケース（８）（９）（10）内には動力伝達軸が内装され
て刈取入力ケース（８）内に入力された回転動力は刈取
主ケース（９）を介して刈取横出力ケース（10）内に伝
達されるようになっている。

そして、この刈取横出力ケース（10）の左部から立設
する引起し駆動ケース（30）を介して引起しタイン（1
a）を回行させ、また、刈取横出力ケース（10）の左側
部から駆動ロッド（図示省略）により刈刃（２）に往復
運動を与え、左稈元搬送チエン（3b）と左穂先搬送タイ
ン（7b）には前記の引起し駆動ケース（30）の中途部に
連結して動力を導出する上部横出力ケース（31）から上
下に突設する搬送駆動ケース（32）により各終端部が支
持および吊持されて伝達されるようになっている。

また、前記の刈取横出力ケース（10）の刈取主ケース
（９）に対してフィードチエン（６）の反対側に位置し
ている右側部分、例図では右側の端部から縦出力ケース
（11）が立設され、その縦出力ケース（11）は後方に突
出したのち前側に傾倒させた右縦出力ケース（11a）
と、この右縦出力ケース（11a）の傾倒部分から左前側
に向けるとともにさらに上方に向けて分岐した左縦出力
ケース（11b）とから成り、各縦出力ケース（11a）（11
b）の上端部によって右稈元搬送チエン（3a）の終端部
と縦搬送チエン（４）の始端部がそれぞれ支持されてい
て、第３図に示すように右縦出力ケース（11a）内には
動力伝達軸（33）（34）が内装され各ベベルギヤ（35）
…を介して伝達され、左縦出力ケース（11b）内には動
力伝達軸（36）（37）とベベルギヤ（38）…が内装され
て刈取横出力ケース（10）内の回転動力は２分され、一
方の動力伝達軸（34）の上端部に右稈元搬送チエン（3
a）の駆動スプロケット（39）が軸着され、他方の動力
伝達軸（37）の上端部に縦搬送チエン（４）の駆動スプ
ロケット（40）が軸着されている。

そして、前記の左縦出力ケース（11b）は分岐部近く
で分割されて嵌合部（41）を構成し動力伝達軸（36）を
軸にして回動可能になり、モータ（Ｍ）によるリンク
（42）の運動によって縦搬送チエン（４）の終端部は仮
想線（イ）で示すように変動し補助搬送チエン（５）へ
の稈身の挟持位置を変え扱深さを調節するようになって
いる。

なお、前記のスターホイル（26）には第４図（イ）
（ロ）のように、裏面に円形の保護板（43）が一体的に
添設されて歯部（26a）の曲げに対する強度のアップを
はかっている。

これによって、刈取入力ケース（８）に入力された回
転動力は刈取主ケース（９）内から刈取横出力ケース
（10）を介して刈取部（Ａ）の各部にそれぞれ伝達され
るのである。そして、右稈元搬送チエン（3a）と縦搬送
チエン（４）とには刈取横出力ケース（10）内から右縦
出力ケース（11a）に供給され、この右縦出力ケース（1
1a）で動力が２分されて左縦出力ケース（11b）内に分
岐され、一方の右縦出力ケース（11a）に内装された動
力伝達軸（34）上端部に軸着された駆動スプロケット
（39）で右稈元搬送チエン（3a）の終端部を駆動し、他
方の左縦出力ケース（11b）に内装された動力伝達軸（3
7）の上端部に軸着の駆動スプロケット（40）でもって
縦搬送チエン（４）の始端部を駆動するようになる。

（ト）考案の効果 本考案は、以上詳述したように、引起しタインを有す
る後傾姿勢の引起しケースにより植立穀稈を引起して稈
元を刈刃で刈取り、その刈取穀稈の稈元側を後送する稈
元搬送チエンと扱深さの調節を行なう縦搬送チエンと適
正姿勢でフィードチエンに受継がせる補助搬送チエンと
により挟持搬送するとともに、穂先側を穂先搬送タイン
により係止搬送して、刈取穀稈を横方向の姿勢に修正し
脱穀部に供給する構成のコンバインの刈取部において、
刈取入力ケースから前下方に向け突設する刈取主ケース
を介して該刈取主ケースの先端に連結した刈取横出力ケ
ースに動力を供給し、この刈取横出力ケースの前記刈取
主ケースに対してフィードチエンの反対側に位置する右
側部分に縦出力ケースを立設するとともに該縦出力ケー
スを分岐して動力を２分し、その一方で前記稈元搬送チ
エンの終端部を駆動させ、他方でもって前記縦搬送チエ
ンの始端部を駆動させる構成にしたのであるから、刈取
部への回動動力は、刈取入力ケースに入力され刈取主ケ
ースから刈取横出力ケースを介してそれぞれに伝達され
るのであるが、稈元搬送チエンと縦搬送チエンとには刈
取横出力ケースの右側部分から縦出力ケースに供給さ
れ、この縦出力ケースで動力が２分されて一方で稈元搬
送チエンの終端部を駆動し、他方でもって縦搬送チエン
の始端部を駆動するようになるので、 稈元搬送チエンの縦搬送チエンの駆動系統を簡潔
にして他の構成との干渉の発生を回避するものとなっ
て、搬送穀稈をスムーズに搬送させることができる。

重量物である刈取部全体を支持する刈取主ケース
を分割することなく一体物で構成したので、分岐して動
力を２分する縦出力ケースを有しながらも従来のものに
比して充分な強度を確保しつつ軽量構造にすることがで
きる。

稈元搬送チエンと縦搬送チエンを駆動する縦出力
ケースを、刈取横出力ケースの刈取主ケースに対してフ
ィードチエンの反対側に位置する右側部分に立設してあ
るため、縦出力ケースが搬送穀稈の搬送経路から外れた
箇所に在るから、搬送を妨げず穀稈の搬送姿勢に乱れな
くスムーズに搬送させることができるのみならず、分解
組立性をよくし整備作業を容易にしてメンテナンス性を
良好にする。

という上記に記載する効果を奏し得るのである。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案の実施態様を例示せるものにして、そ
の、第１図は刈取部の側面図、第２図は同刈取部の各部
の配置を示す平面図、第３図は要部の構成を断面して示
した側面図、第４図の（イ）はスターホイルの平面図、
同図の（ロ）はこれを断面して示す側面図、第５図はコ
ンバイン全体の概要を側面図で示し、第６図は同じく全
体を平面図で表わしたものである。 1a……引起しタイン、１……引起しケース、２……刈刃 ３……稈元搬送チエン、４……縦搬送チエン、６……フ
ィードチエン ５……補助搬送チエン、７……穂先搬送タイン、Ｂ……
脱穀部 Ａ……刈取部、８……刈取入力ケース、９……刈取主ケ
ース 10……刈取横出力ケース、11……縦出力ケース

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】引起しタイン（1a）を有する後傾姿勢の引
   起しケース（１）により植立穀稈を引起して稈元を刈刃
   （２）で刈取り、その刈取穀稈の稈元側を後送する稈元
   搬送チエン（３）と扱深さの調節を行なう縦搬送チエン
   （４）と適正姿勢でフィードチエン（６）に受継がせる
   補助搬送チエン（５）とにより挟持搬送するとともに、
   穂先側を穂先搬送タイン（７）により係止搬送して、刈
   取穀稈を横方向の姿勢に修正し脱穀部（Ｂ）に供給する
   構成のコンバインの刈取部（Ａ）において、刈取入力ケ
   ース（８）から前下方に向け突設する刈取主ケース
   （９）を介して該刈取主ケース（９）の先端に連結した
   刈取横出力ケース（10）に動力を供給し、この刈取横出
   力ケース（10）の前記刈取主ケース（９）に対してフィ
   ードチエン（６）の反対側に位置する右側部分に縦出力
   ケース（11）を立設するとともに該縦出力ケース（11）
   を分岐して動力を２分し、その一方で前記稈元搬送チエ
   ン（３）の終端部を駆動させ、他方でもって前記縦搬送
   チエン（４）の始端部を駆動させる構成にしたことを特
   徴とするコンバインの刈取部における搬送駆動装置。