JPH08311002A - 3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェノン塩の製造法 - Google Patents

3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェノン塩の製造法

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JPH08311002A
JPH08311002A JP8055854A JP5585496A JPH08311002A JP H08311002 A JPH08311002 A JP H08311002A JP 8055854 A JP8055854 A JP 8055854A JP 5585496 A JP5585496 A JP 5585496A JP H08311002 A JPH08311002 A JP H08311002A
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敦史 古谷
Hiroaki Hibino
裕明 日比野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】結晶嵩の低い流動性の改善された3−アミノ−
2−ヒドロキシアセトフェノン塩の製造方法を提供する
こと。 【解決手段】 3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェ
ノンまたはそのハロゲン化水素塩に溶媒中で硫酸を作用
させることを特許とする結晶嵩が低く流動性の改善され
た3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェノン塩の結晶
の取得方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬品中間体とし
て有用な3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェノン塩
の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェ
ノンまたはその酸付加塩の製造法としては、これまでに
種々の方法が提案されている。例えば、特開平3−95
144号公報には、下記ルートで示される方法が提案さ
れている。 上記ルートに示される3−アミノ−2−ヒドロキシアセ
トフェノンの製造法は、他のルートによる方法に比べア
セチル基、ニトロ基導入時における位置特性に優れるの
で有利な方法である。この方法によって得られる3−ア
ミノ−2−ヒドロキシアセトフェノンは、上記ルート図
からもわかるとおり接触還元によって発生するハロゲン
化水素によって3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェ
ノンのハロゲン化水素塩となる。しかしながらこのハロ
ゲン化水素塩の結晶は、濾過、乾燥等の単離操作または
そのための移送操作における効率が悪く、工業的にはこ
の点の改良が求められている。また、このハロゲン化水
素塩を中和後フリーの3−アミノ−2−ヒドロキシアセ
トフェノンとして取り出すことについても特開平3−9
5144号公報に提案されているが、フリーの3−アミ
ノ−2−ヒドロキシアセトフェノン自体の安定性に問題
があるのみならず、この方法では溶媒の濃縮という別の
煩雑なまたは非効率的な操作が必要となり工業的には問
題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、工業
的に取り扱いの容易な、特に結晶嵩が低くかつ流動性の
改善された3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェノン
塩の製造法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、2−ヒド
ロキシ−3−ニトロアセトフェノンを経由する接触還元
による3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェノンの製
造法について研究を続けてきた。その結果、3−アミノ
−2−ヒドロキシアセトフェノンまたはそのハロゲン化
水素塩に硫酸を作用させると、得られる3−アミノ−2
−ヒドロキシアセトフェノン塩の結晶の結晶嵩が低く流
動性が極めて良好となり、これにより従来技術の問題が
解決されることを見いだし本発明に至った。すなわち、
本発明は、3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェノン
またはそのハロゲン化水素塩に溶媒中で硫酸を作用させ
ることからなる結晶嵩が低く流動性の改善された3−ア
ミノ−2−ヒドロキシアセトフェノン塩の製造法を提供
するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。3
−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェノン(1)または
そのハロゲン化水素塩は一般式(1) (式中、Xはハロゲン原子または水素原子を示す。)で
示されるニトロ化合物を接触還元することにより得るこ
とができる。
【0006】この接触還元反応は、通常、溶媒の存在下
に行われる。反応に用いられる溶媒として代表的なもの
を例示すれば、メタノール、エタノール、イソプロパノ
ール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレ
ン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素
類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテ
ル等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、酢
酸、無水酢酸、水、またはそれら2種類以上の混合溶媒
などが挙げられるが、好ましくは、アルコール類、芳香
族炭化水素類、水、またはそれら2種類以上の混合溶媒
である。溶媒の使用量は通常、ニトロ化合物(1)に対
し2〜10重量倍、好ましくは3〜6重量倍である。
【0007】用いられる接触還元触媒としては、例え
ば、パラジウム炭素、パラジウム黒、パラジウムアルミ
ナ、パラジウムシリカ、パラジウム、二酸化白金、白金
炭素、ニッケル、ラネーニッケル等が挙げられる。接触
還元触媒の使用量は通常、ニトロ化合物(1)に対し
0.001〜1重量%、好ましくは、0.01〜0.2
5重量%である。水素圧は通常、常圧以上で行われ、特
には限定されないが、0〜20Kg/cm 2 Gが好まし
い。反応温度は、通常、−20℃〜100℃であり、好
ましくは10℃〜60℃である。
【0008】上記反応により3−アミノ−2−ヒドロキ
シアセトフェノンまたはそのハロゲン化水素塩が生成す
る。 反応終了後、通常は反応において用いた上記接触
還元触媒が濾過により除去される。この触媒除去は通
常、反応に用いた溶媒が水を主成分とするものの場合に
は混合物をそのまま濾過することによりなされる。ニト
ロ化合物(1)のXがハロゲン原子であり、かつ溶媒が
アルコール類、芳香族炭化水素類等の非水性溶媒等のよ
うに3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェノンのハロ
ゲン化水素塩が析出するものである場合には、通常は予
め反応液に塩基を作用させて3−アミノ−2−ヒドロキ
シアセトフェノンをフリー体として溶媒に溶解させた後
濾過することによりなされる。この場合3−アミノ−2
−ヒドロキシアセトフェノンに代わって塩化ナトリウ
ム、塩化アンモニウム、臭化カリウム等の無機ハロゲン
化物が反応液中に析出するので触媒と無機ハロゲン化物
の除去が同時に行われる。
【0009】塩基を作用させる場合に用いられる塩基と
しては、例えば、アルキル金属の炭酸塩、炭酸水素塩、
水酸化物;アルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素塩、水
酸化物;有機脂肪酸塩、有機塩基類が挙げられる。具体
的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウ
ム、カルシウム等の金属の炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化
物等、また有機塩基類としては、トリエチルアミン、ピ
リジン、ピコリン、アンモニア等が挙げられる。添加す
る塩基の量は、3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェ
ノンが溶解するのに必要な量以上であればよいが、通常
0.1〜3当量であり、好ましくは0.5〜1.2当量
である。塩基を作用させる場合の温度は、通常−20℃
〜100℃または溶媒の沸点までであり、好ましくは1
0℃〜60℃である。触媒濾過における温度は、通常−
20℃〜100℃または溶媒の沸点までであり、好まし
くは10℃〜60℃である。かくして得られる3−アミ
ノ−2−ヒドロキシアセトフェノンまたはそのハロゲン
化水素塩は溶媒留去、再結晶等の処理を施すことにより
単離することもできるが、通常は触媒を除去した溶液を
本発明の製造法の原料として使用することができる。ニ
トロ化合物(1)は例えば、前記特開平3−95144
号公報に記載の方法に準じて製造することができる。
【0010】本発明の3−アミノ−2−ヒドロキシアセ
トフェノンまたはそのハロゲン化水素塩に溶媒中で硫酸
を作用させることにより結晶嵩の低い流動性の改善され
た3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェノン塩の製造
法に於いて、使用される硫酸としては、通常30%から
98%までの硫酸水溶液あるいは発煙硫酸が挙げられ、
好ましくは70%から98%の硫酸水溶液が好適であ
る。3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェノンまたは
そのハロゲン化水素塩に硫酸を作用させる方法として
は、3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェノンまたは
そのハロゲン化水素塩の懸濁液または溶液に硫酸を添加
する方法が挙げられる。 用いられる溶媒としては、メ
タノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコー
ル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン
等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、
四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、テトラヒドロフ
ラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類、
N,N −ジメチルホルムアミド、酢酸、無水酢酸、水、ま
たはそれら2種類以上の混合溶媒などが挙げられ、前記
した接触還元反応後、触媒除去処理を行った3−アミノ
−2−ヒドロキシアセトフェノンまたはそのハロゲン化
水素塩の溶液をそのまま用いることもできる。
【0011】硫酸の使用量は、3−アミノ−2−ヒドロ
キシアセトフェノンまたはそのハロゲン化水素塩に対し
通常、1モル比〜10モル比の範囲であり、好ましくは
2モル比〜4モル比である。 溶媒の量は使用される溶
媒によって異なり、通常は3−アミノ−2−ヒドロキシ
アセトフェノンまたはそのハロゲン化水素塩に対し2〜
10重量倍の範囲で適宜選択される。硫酸を作用させる
温度は通常、−20℃〜100℃または溶媒の沸点迄で
あり、好ましくは10℃〜60℃である。硫酸を添加し
た後、必要により1〜3時間程度熟成することもでき
る。
【0012】溶媒として水または水を主成分とするもの
を用いて硫酸を作用させたときにそのままでは結晶の析
出が不十分な場合には、硫酸を作用させるまえ、その途
中または作用させた後に例えばアルコール類、THF等
の3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェノン塩に対す
る溶解性の低い溶媒を添加して結晶化を促進させること
もできる。結晶化の収率の点からは実質的にアルコール
類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等からなる溶媒
またはこれらを主成分とする(通常は70重量%以上含
む)溶媒を用いるのが好ましい。
【0013】硫酸処理された結晶は濾過により溶媒から
分離されるが、この溶媒分離は低い温度の方が結晶の収
量を高めるためには有利であり、工業的には通常、−2
0℃〜20℃程度で行われる。結晶の濾過方法として
は、減圧濾過法、加圧濾過法、遠心濾過、自然濾過法等
が挙げられるが、工業的には加圧濾過法、遠心濾過(セ
ントル)法等が好ましい。 濾過により溶媒から分離さ
れた結晶は、減圧乾燥、通風乾燥等による通常の乾燥処
理により乾燥品とすることができる。得られる3−アミ
ノ−2−ヒドロキシアセトフェノンの結晶は結晶嵩が低
く、一定容量の結晶の重量を測定することによって測定
したときの値が通常は0.5〜10ml/g、好ましくは
0.5〜6ml/g、さらに好ましくは、0.5〜4ml/gで
ある。またその塩酸塩等における流動性の悪さも改善さ
れ、公知の安息角測定装置によって測定したときの安息
角が通常は55°以下、好ましくは50°以下である。
本発明で用いた安息角測定方法は、注入法であり、測定
装置としては、細川ミクロ(株)PT−Nや筒井理化学
機械(株)の装置が一般的である。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば、極めて簡便な処理によ
って医薬品中間体として有用な3−アミノ−2−ヒドロ
キシアセトフェノンの結晶嵩が小さく流動性が良好な
塩、即ち生産性および操作性が格段に向上する工業的に
有利な3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェノンの塩
を得ることができる。
【0015】
〔3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェノン塩の製造〕
(1) 表1に示した反応溶媒200g中に、5−クロロ−
2−ヒドロキシ−3−ニトロアセトフェノン40g、5
%パラジウム炭素(含水率55%)1.75gを加え、
常圧の水素雰囲気下25℃〜50℃で接触還元を行っ
た。還元反応の終了を確認した。このとき反応液は3−
アミノ−2−ヒドロキシアセトフェノン塩酸塩のスラリ
ー溶液となる。この反応溶液に表1に示した塩基を5−
クロロ−2−ヒドロキシ−3−ニトロアセトフェノンに
対し0.9当量加え、50℃で30分撹拌し、析出する
触媒及び無機ハロゲン化物を濾過により除去した。 (2) 上記濾液に98%硫酸56.1gを50℃、1時間
で滴下したあと、50℃で1時間保温し、その後徐々に
0℃まで冷却し、析出した結晶を0℃で濾取した。得ら
れた結晶を減圧下乾燥し、定量容器により結晶の嵩を流
動性の指標としての安息角を筒井理化学機械(株)製の
安息角測定器を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】(実施例9)エタノール200g中に、2
−ヒドロキシ−3−ニトロアセトフェノン34g、5%
パラジウム炭素(含水率55%)1.75gを加え、常
圧の水素雰囲気下25℃で接触還元を行った。還元反応
の終了後、40℃で触媒を濾別した。濾液に98%硫酸
56.1gを40℃、1時間で滴下したあと、50℃で
1時間保温し、その後徐々に0℃まで冷却し、析出した
結晶を0℃で濾取した。得られた結晶を減圧下乾燥し
た。得量:38.4g、結晶の嵩:2.1ml/g、安息
角:40°であった。
【0018】(比較例1〜3) 〔3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェノン塩酸塩の
製造〕表2に示す塩基を3−アミノ−2−ヒドロキシア
セトフェノンに対し、0.9当量加える以外は実施例1
(1) と同様の処理を行い得られた濾液に35%塩酸2
8.9gを50℃、1時間で滴下したあと、50℃で1
時間保温し、その後徐々に0℃まで冷却し、析出した結
晶を0℃で濾取した。得られた結晶を減圧下乾燥し、結
晶の嵩および、流動性の指標として安息角を実施例1と
同様にして測定した。結果を表2に示す。
【0019】
【表2】
【0020】(実施例10) (1) 3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェノン塩酸塩
20g及びエタノール100gからなるスラリー溶液を
反応器に仕込み50℃に昇温後98%硫酸を同温度で1
時間をかけて滴下した。滴下後同温度で1時間保温し、
その後2℃まで冷却し、結晶を同温度で濾取した。得ら
れた結晶を減圧下乾燥し、結晶の嵩および、流動性の指
標として安息角を実施例1と同様にして測定した。結晶
の嵩:3.1 ml/g 、安息角:51°、収率:85%で
あった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日比野 裕明 大阪府高槻市塚原2丁目10番1号 住友化 学工業株式会社内 (72)発明者 福田 悦子 大阪府高槻市塚原2丁目10番1号 住友化 学工業株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェノ
    ンまたはそのハロゲン化水素塩に溶媒中で硫酸を作用さ
    せることを特許とする3−アミノ−2−ヒドロキシアセ
    トフェノン塩の製造法。
  2. 【請求項2】3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェノ
    ンまたはそのハロゲン化水素塩が、3−アミノ−2−ヒ
    ドロキシアセトフェノンまたはその塩酸塩である請求項
    1記載の製造法。
  3. 【請求項3】硫酸の量が、3−アミノ−2−ヒドロキシ
    アセトフェノンまたはそのハロゲン化水素塩に対し1〜
    10モルである請求項1記載の製造法。
  4. 【請求項4】溶媒が、実質的にアルコール類または芳香
    族炭化水素類からなるものまたはこれを主成分とするも
    のである請求項1記載の製造法。
  5. 【請求項5】得られる3−アミノ−2−ヒドロキシアセ
    トフェノン塩の結晶の結晶嵩が、0.5〜6ml/gである
    請求項1記載の製造法。
  6. 【請求項6】3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェノ
    ン及び/またはそのハロゲン化水素塩が、一般式(1) (式中、Xはハロゲン原子または水素原子を示す。)で
    示されるニトロ化合物を接触還元することにより得られ
    たものである請求項1記載の製造法。
  7. 【請求項7】3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェノ
    ン及び/またはそのハロゲン化水素塩が、前記一般式
    (1)で示されるニトロ化合物を接触還元後、使用した
    触媒を除去した後に得られたものである請求項6記載の
    製造法。
  8. 【請求項8】触媒の除去が、接触還元後塩基を作用させ
    た後に行われる請求項7記載の製造法。
  9. 【請求項9】塩基が、アルキル金属の炭酸塩、炭酸水素
    塩、水酸化物;アルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素
    塩、水酸化物;有機脂肪酸塩、有機塩基類である請求項
    8記載の製造法。
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