JPH08301927A - 電子線改質エチレン・α−オレフィン系共重合体エラストマーおよびポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

電子線改質エチレン・α−オレフィン系共重合体エラストマーおよびポリプロピレン系樹脂組成物

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JPH08301927A
JPH08301927A JP11177595A JP11177595A JPH08301927A JP H08301927 A JPH08301927 A JP H08301927A JP 11177595 A JP11177595 A JP 11177595A JP 11177595 A JP11177595 A JP 11177595A JP H08301927 A JPH08301927 A JP H08301927A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリプロピレン系樹脂の難白化性、成形加工
性を向上させる電子線改質エチレン・α−オレフィン系
共重合体エラストマーを提供する。 【構成】 (a)〜(d)の条件を満たすエチレン・α
−オレフィン共重合体エラストマーに1kGray以上
100kGray以下の電子線を照射した電子線改質エ
チレン・α−オレフィン系共重合体エラストマー。 (a)α−オレフィンの炭素数:4以上20以下 (b)α−オレフィンの含量:65重量%より大きく9
5重量%以下 (c)23℃における密度:0.88g/cm3未満 (d)示差走査型熱量計による結晶融解ピーク:観測さ
れない

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリプロピレン系樹脂
に添加することによりポリプロピレン系樹脂の難白化
性、成形加工性を向上することが可能な電子線改質エチ
レン・α−オレフィン系共重合体エラストマー、また、
これによって改質されたポリプロピレン系樹脂組成物に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン系樹脂は流動性に優れる
高分子材料の1つとしてよく知られているが、成形加工
時のドローダウンが激しく、真空、圧空、フィルム成形
などで問題となることが多い。これらの現象は溶融張力
が小さいことに由来する性質であり、同様の理由でブロ
ー成形性も優れたものではない。
【0003】こうした特性の改良には分子量分布を広げ
たり、分岐型低密度ポリエチレン(LDPE)を添加す
るなどの手法が採用されることが多いが、いずれの場合
もその改質効果は小さく、一層の改良が望まれていた。
【0004】一方、医療分野、文具などを中心に、耐熱
性、柔軟性、耐白化性、成形性に優れた材料が望まれて
いた。これまで知られている材料では、ポリプロピレン
系樹脂をマトリクスに有した熱可塑性ポリオレフィン系
エラストマー(TPO)が、耐熱性、柔軟性の観点から
その需要を伸ばしている。しかしながら、TPOはフ
ィルム、真空、圧空、ブロー成形性に劣り、透明性が
要求される用途には使用が制限され、硬度が高くなる
と難白化性が劣る、など問題が多かった。また、難白化
性に関する要求は自動車内装、家電分野で幅広くあるも
のの、ポリプロピレン系樹脂に対してはこれまで有効な
改質材が存在しなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような現状の中、
本発明者らは(a)α−オレフィンが炭素数4以上20
以下、(b)α−オレフィン含量が65重量%より大き
く95重量%以下、(c)23℃における密度が0.8
8g/cm3未満、および(d)DSC法により結晶融
解ピークが観測されない、以上の条件を満たすエチレン
・α−オレフィン系共重合体エラストマーとポリプロピ
レン系樹脂組成物とからなる樹脂組成物は耐熱性、難白
化性に優れることを見出した。
【0006】しかしながら、この樹脂組成物にはエチレ
ン・α−オレフィン系共重合体エラストマーのブレンド
比率が増加するにつれ表面がベタつくという問題が生じ
ていた。また、この樹脂組成物の溶融張力は小さく、フ
ィルム、真空、圧空、ブロー成形などは依然として改良
されていなかった。
【0007】本発明は、前記問題点を解決するためにな
されたものであり、表面ベタつきを抑えながらポリプロ
ピレン系樹脂の難白化性、成形加工性を向上することが
可能な電子線改質エチレン・α−オレフィン系共重合体
エラストマー、およびこれによって改質されたポリプロ
ピレン系樹脂組成物を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討を行った結果、本発明を完成
するに至った。すなわち本発明は、(a)〜(d)の条
件を満たすエチレン・α−オレフィン系共重合体エラス
トマーに1kGray以上100kGray以下の電子
線を照射した電子線改質エチレン・α−オレフィン系共
重合体エラストマー、及びこれをポリプロピレン系樹脂
に添加することにより改質されたポリプロピレン系樹脂
組成物に関するものである。
【0009】(a)α−オレフィンの炭素数:4以上2
0以下 (b)α−オレフィンの含量:65重量%より大きく9
5重量%以下 (c)23℃における密度:0.88g/cm3未満 (d)示差走査型熱量計による結晶融解ピーク:観測さ
れない 以下にその詳細について説明する。
【0010】本発明において用いられるエチレン・α−
オレフィン系共重合体エラストマーのα−オレフィン
は、炭素数4以上20以下のものであり、例えば、1−
ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1
−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネ
ン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−
トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1
−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセ
ン、1−ノナデセン、1−エイコセン等が挙げられ、こ
れらの1種もしくは2種以上が用いられる。なかでも入
手の容易さから1−ブテン、1−ヘプテン、1−ヘキセ
ン、1−オクテン等が好ましい。
【0011】本発明において用いられるエチレン・α−
オレフィン系共重合体エラストマーのα−オレフィン含
量は、65重量%より大きく95重量%以下、好ましく
は70重量%以上90重量%以下である。α−オレフィ
ン含量が65重量%以下または95%より大きくなると
電子線によって改質した後、ポリプロピレン系樹脂に添
加しても得られる樹脂組成物の難白化性の改質効果は劣
る。
【0012】本発明において用いられるエチレン・α−
オレフィン系共重合体エラストマーの23℃における密
度は0.88g/cm3未満のものである。0.88g
/cm3以上のエチレン・α−オレフィン系共重合体エ
ラストマーでは、電子線で改質した後にポリプロピレン
系樹脂に添加しても得られる樹脂組成物の難白化性の改
質効果は劣る。
【0013】本発明において用いられるエチレン・α−
オレフィン系共重合体エラストマーは、示差走査型熱量
計(DSC)により結晶融解ピークが観測されないこと
を特徴とする。結晶融解ピークを示すエチレン・α−オ
レフィン系共重合体を用いると、電子線で改質した後に
ポリプロピレン系樹脂に添加しても得られる樹脂組成物
の難白化性は劣る。
【0014】本発明において用いられるエチレン・α−
オレフィン系共重合体エラストマーの分子量は、特に制
限されるものではないが、ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィー(GPC)によって測定した数平均分子量
がポリエチレン換算で5,000〜1,000,000
であることが好ましい。この数平均分子量が5,000
未満または1,000,000以上であると電子線を照
射するまでの取り扱いが困難になる恐れがある。
【0015】本発明において用いられるエチレン・α−
オレフィン系共重合体エラストマーは、分子量分布(M
w/Mn)に特に制限はないが、3以下が好ましく、ま
た、組成分布の指標として、高分子量留分10%中の平
均α−オレフィン含量(モル%)に対する低分子量留分
10%中の平均α−オレフィン含量(モル%)の比が
1.2以下が好ましく、さらに好ましくは1.15以下
である。一般に分子量分布が大きくなると組成分布も大
きくなることが知られているが、組成分布が広いと電子
線によって改質した後にポリプロピレン系樹脂に添加し
ても得られる樹脂組成物の難白化性は劣る恐れがある。
【0016】本発明は、エチレン・α−オレフィン系共
重合体エラストマーに1kGray以上100kGra
y以下の電子線を照射することを特徴とする。これによ
ってエチレン・α−オレフィン系共重合体エラストマー
の自着速度が低下し取り扱いが容易になると共に、ポリ
プロピレン系樹脂に添加して得られた樹脂組成物はベタ
つきが低減し、かつ溶融張力の増加による成形加工性の
改良効果が顕著になる。電子線の照射量が1kGray
未満であるとポリプロピレン系樹脂に添加しても成形加
工性の改良効果が発現しない恐れがある。また、100
kGrayを超えるとポリプロピレン系樹脂に添加して
得られた樹脂組成物の表面が著しくベタつく恐れがあ
る。
【0017】電子線改質エチレン・α−オレフィン系共
重合体エラストマーとポリプロピレン系樹脂とのブレン
ド比率は、特に限定されないが、ポリプロピレン系樹脂
100重量部に対して1重量部以上300重量部以下で
あり、目的とする用途、要求特性に応じて任意に変える
ことができる。しかしながら、1重量部未満では得られ
る樹脂組成物の難白化性能が劣る場合があり、300重
量部を超えると耐熱性が損なわれる恐れがある。また、
本樹脂組成物に高い剛性を求める場合には、電子線改質
エチレン・α−オレフィン系共重合体エラストマーの添
加量を45重量部以下とすることが望ましい。
【0018】本発明に用いるポリプロピレン系樹脂は一
般に使用されている結晶性ポリプロピレン系樹脂を用い
ることができる。例えば、ポリプロピレンホモポリマ
ー、エチレン含量が0.5〜12重量%のプロピレン・
エチレンランダム共重合体、エチレン含量が0.5〜1
2重量%、1−ブテンのようなα−オレフィン含量が
0.5〜20重量%のプロピレン・エチレン・α−オレ
フィン系三元共重合体、エチレン含量が1〜60重量%
のインパクトポリプロピレン、シンジオタクチック構造
である結晶性ポリプロピレン系樹脂などが挙げられ、こ
れらのうち1種または2種以上が用いられる。
【0019】ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレー
トは、特に限定をされず、230℃、2.16kg荷重
のもと、0.01〜100g/10分のものが用いられ
る。
【0020】本発明で用いるエチレン・α−オレフィン
系共重合体エラストマーの製造方法は、特に限定され
ず、チタン系触媒、バナジウム系触媒またはメタロセン
系の触媒など種々の触媒を用いて製造することができ
る。なかでも、上述の分子量、分子量分布および組成分
布を満たしたエチレン・α−オレフィン系共重合体エラ
ストマーを得ることが容易なメタロセン系の触媒を用い
ることが好ましい。
【0021】すなわち、(a)周期表4族の遷移金属を
含む遷移金属化合物と、(b)これと反応してイオン性
の錯体を形成する化合物、さらに必要に応じて(c)有
機金属化合物からなる触媒の存在下でエチレンとα−オ
レフィンとを共重合することにより、エチレン・α−オ
レフィン系共重合体エラストマーを製造することができ
る。
【0022】重合は、バッチ式、半連続式、連続式のい
ずれの方法でも行うことが可能であり、重合条件を変え
て2段以上に分けて行うことも可能である。また、重合
終了後に得られる共重合体は、従来公知の方法により重
合溶液から分離回収され乾燥して固体状の共重合体を得
る。
【0023】本発明の電子線改質エチレン・α−オレフ
ィン系共重合体エラストマーは、ポリプロピレン系樹脂
との相溶性に優れることを特徴としている。相溶性の指
標は様々であるがガラス転移温度などを調べることによ
って判断できる。例えば固体粘弾性の温度依存性を測定
して−80℃〜40℃の範囲に生じる損失正接(tan
δ)の極大はガラス転移温度を反映しているが、ポリプ
ロピレン系樹脂に、本発明の電子線改質エチレン・α−
オレフィン系共重合体エラストマーを添加してもtan
δのピーク数に変化はなく両者が非晶領域で相溶してい
る様子がわかる。相溶していない場合には、電子線改質
エチレン・α−オレフィン系共重合体エラストマーのガ
ラス転移温度に由来するtanδのピークが新たに観察
できるが、このようなポリプロピレン系樹脂組成物は難
白化性に劣る。
【0024】また、本発明の電子線改質エチレン・α−
オレフィン系共重合体エラストマーをポリプロピレン系
樹脂に添加すると、結晶の重心の平均距離である長周期
は、ポリプロピレン系樹脂単独の場合よりも3%以上増
加する。この増加量が3%未満もしくは全く増加してい
ない場合には樹脂組成物の難白化性が劣る。
【0025】本発明の電子線改質エチレン・α−オレフ
ィン系共重合体エラストマーおよびこれをポリプロピレ
ン系樹脂に添加することにより改質されたポリプロピレ
ン系樹脂組成物には、必要に応じて炭酸カルシウム、マ
イカ、タルク、シリカ、硫酸バリウム、硫酸カルシウ
ム、カオリン、クレー、パイロフェライト、ベントナイ
ト、セリサナイト、ゼオライト、ネフェリンシナイト、
アタパルジャイト、ウォラストナイト、フェライト、ケ
イ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、三酸
化アンチモン、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウ
ム、酸化鉄、二硫化モリブデン、黒鉛、石こう、ガラス
ビーズ、ガラスパウダー、ガラスバルーン、ガラスファ
イバー、石英、石英ガラスなどの無機充填剤や有機、無
機顔料を配合することもできる。また、結晶核剤、透明
化剤、アンチブロッキング剤、離型剤、帯電防止剤、ス
リップ剤、防曇剤、滑剤、耐熱安定剤、紫外線安定剤、
耐光安定剤、耐候性安定剤、発泡剤、防黴剤、防錆剤、
イオントラップ剤、難燃剤、難燃助剤等を必要に応じて
添加してもよい。
【0026】さらに、本発明の電子線改質エチレン・α
−オレフィン系共重合体エラストマーおよびこれをポリ
プロピレン系樹脂に添加することにより改質されたポリ
プロピレン系樹脂組成物に他の樹脂をブレンドすること
も可能である。この場合、さらなる成分として相溶化剤
を必要に応じて添加してもよい。このような他の樹脂と
しては、線状高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチ
レン、分岐型低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニ
ル共重合体(EVA)、エチレン・エチルアクリレート
共重合体、1−ポリブテン、ポリアミド、ポリエステ
ル、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー、スチ
レン−ブタジエン−スチレントリブロックコポリマーお
よびその水素添加物、スチレンーイソプレンースチレン
トリブロックコポリマーおよびその水素添加物、ポリオ
レフィン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。ま
た、相溶化剤としては、酸変性ポリオレフィンおよびケ
ン化EVAなどの接着性ポリマーやポリオレフィンーポ
リアミドグラフトまたはブロック共重合体などに代表さ
れるブロックおよびグラフト共重合体が挙げられる。本
発明の電子線改質エチレン・α−オレフィン系共重合体
エラストマーは、任意の方法でポリプロピレン系樹脂に
添加することが可能であるが、取り扱いの容易さ、およ
び分散性の向上のためニーダー、ロール、バンバリミキ
サー、一軸および二軸押出機等を用い溶融ブレンドを行
うことが好ましい。
【0027】本発明の電子線改質エチレン・α−オレフ
ィン系共重合体エラストマーをポリプロピレン系樹脂に
添加することによって改質されたポリプロピレン系樹脂
組成物は、フィルム、真空、圧空、ブロー、カレンダ
ー、トランスファー、射出、圧縮、異形押出し、紡糸な
ど任意の成形法によって成形されるが、特にフィルム、
真空、圧空、ブロー、カレンダー成形性に優れ、ドロー
ダウン性が改良されると共に溶融張力が増加する。
【0028】
【実施例】以下に、実施例をあげて本発明を説明する
が、これらは例示的なものであって、限定的なものでは
ない。実施例中の各種測定およびエチレン・α−オレフ
ィン系共重合体エラストマーの合成は、下記の方法によ
り行った。
【0029】(エチレン・α−オレフィン系共重合体の
α−オレフィン含量の測定)o−ジクロロベンゼンを溶
媒に100MHz、13C−NMRスペクトル(日本電子
(株)製JNM GX400)測定により算出した。
【0030】(分子量、分子量分布の測定)溶媒にo−
ジクロロベンゼンを用いて140℃におけるゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(ミリポア(株)社製
150C型GPC)にてポリエチレン換算で求めた。
【0031】参考例1 共重合体エラストマーの合成 5lのオートクレーブにトルエン 600mlおよび1
−ヘキセン 900mlを加え40℃に昇温した。さら
に、全圧が4kg/cm2になるようにエチレンを導入
した。次に、別の反応容器にトルエン 10ml、メチ
ルアルミノキサン 3mmol、ジフェニルメタン(シ
クロペンタジエニル−1−フルオレニル)ジルコニウム
ジクロライド 3μmolを加え、この混合溶液を20
分間撹拌した後、オートクレーブに導入し、重合を開始
した。この重合は全圧を4kg/cm2に保つようにエ
チレンを連続的に導入し、40℃で90分間行った。
【0032】重合終了後、多量のエタノールによりポリ
マーを洗浄し、60℃で12時間減圧乾燥を行った。そ
の結果、1−ヘキセン含量が78重量%のエチレン・1
−ヘキセン共重合体エラストマーを85g得た。この得
られた物質は、数平均分子量98,000、Mw/Mn
=1.9、23℃における密度は0.860g/cm3
であり、DSC測定によって結晶融解ピークは観測され
なかった。
【0033】実施例1 参考例1で得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体エ
ラストマーに25kGrayの電子線を照射し、電子線
改質エチレン・1−ヘキセン共重合体エラストマー(M
FR:2.0g/10分、190℃、2.16kg荷
重)を得た。これを3.75gとポリプロピレンホモポ
リマー(東ソーポリプロJ5100A(MFR:10g
/10分、230℃、2.16kg荷重))21.25
g、熱安定剤としてヒンダードフェノール系安定剤(イ
ルガノックス1010(チバ・ガイギー社製))、リン
系安定剤(イルガフォス168(チバ・ガイギー社
製))をそれぞれ2,000ppm、滑剤としてステア
リン酸カルシウム:5,000ppmを内容積30cc
のラボプラストミル(東洋精機製作所製)を用いて60
rpmで200℃、5分間溶融ブレンドした。その後、
得られた樹脂組成物をプレス成形機を用いて230℃に
て10分間加圧後30℃で冷却し、1mmの厚みの成形
品を得た。このプレス成形品を細かく切断し、溶融張力
測定用の試料とした。
【0034】実施例2 実施例1で用いたポリプロピレンホモポリマーの代わり
に、エチレン含有量が3.2重量%であるエチレン・プ
ロピレンランダム共重合体(東ソーポリプロJ6080
A(MFR:8.0g/10分、230℃、2.16k
g荷重))を用いた以外は実施例1と同様の手法で成形
品と試料を得た。
【0035】実施例3 実施例1で用いた電子線改質エチレン・1−ヘキセン共
重合体エラストマーを1.6g、ポリプロピレンホモポ
リマーを19.0gにした以外は実施例1と同様の手法
で成形品と試料を得た。
【0036】比較例1 実施例1で用いたポリプロピレンホモポリマーを25g
とし、電子線改質エチレン・1−ヘキセン共重合体エラ
ストマーを添加しない他は実施例1と同様の手法で成形
品と試料を得た。
【0037】比較例2 電子線によって改質していないエチレン・1−ヘキセン
共重合体エラストマーを用いた以外は実施例1と同様の
手法で成形品と試料を得た。
【0038】比較例3 実施例1で用いた電子線改質エチレン・1−ヘキセン共
重合体エラストマーのかわりに分岐型低密度ポリエチレ
ン(東ソーペトロセン286(MFR:1.5g/10
分、190℃、2.16kg荷重))を添加した以外は
実施例1と同様の手法で成形品と試料を得た。
【0039】比較例4 実施例1で用いたエチレン・1−ヘキセン共重合体エラ
ストマーに150kGrayの電子線を照射した以外は
実施例1と同様の手法で成形品と試料を得た。
【0040】比較例5 実施例1で用いたエチレン・1−ヘキセン共重合体エラ
ストマーの代わりに参考例1と同様の手法で合成された
プロピレン含量75重量%のエチレン・プロピレン共重
合体エラストマーを用いた以外は実施例1と同様の手法
で成形品と試料を得た。ここで用いたエチレン・プロピ
レン共重合体エラストマーの23℃における密度は0.
857g/cm3、Mn=64,000、Mw/Mn=
1.6であり、DSCによる結晶融解ピークは観察され
なかった。
【0041】参考例2 共重合体エラストマーの合成 5lのオートクレーブにトルエン 500mlおよび1
−ブテン 1,000mlを加え40℃に昇温した。さ
らに、全圧が4kg/cm2になるようにエチレンを導
入した。次に、別の反応容器にトルエン 10ml、メ
チルアルミノキサン 3mmol、公知の方法により合
成したジメチルシランジイルビス(2−メチルインデニ
ル)ジルコニウムジクロライド 3μmolを加え、こ
の混合溶液を20分間撹拌した後、オートクレーブに導
入し、重合を開始した。この重合は全圧を4kg/cm
2に保つようにエチレンを連続的に導入し、40℃で3
0分間行った。
【0042】重合終了後、多量のエタノールによりポリ
マーを洗浄し、60℃で12時間減圧乾燥を行った。そ
の結果、1−ブテン含量が96重量%のエチレン・1−
ブテン共重合体エラストマーを54g得た。この得られ
た物質は、数平均分子量76,000、Mw/Mn=
2.4、23℃における密度は0.882g/cm3
あり、DSC測定により、主ピークとして測定される結
晶融点は45℃であった。
【0043】比較例6 実施例1で用いたエチレン・1−ヘキセン共重合体エラ
ストマーの代わりに参考例2で得られたエチレン・1−
ブテン共重合体エラストマーを用いた以外は実施例1と
同様の手法で成形品と試料を得た。
【0044】比較例7 参考例1と同様の手法で合成された1−ブテン含量53
重量%のエチレン・1−ブテン共重合体エラストマーを
用いた以外は実施例1と同様の手法で成形品と試料を得
た。ここで用いたエチレン・1−ブテン共重合体エラス
トマーの23℃における密度は0.859g/cm3
Mn=60,000、Mw/Mn=1.8であり、DS
Cによる結晶融解ピークは確認されなかった。
【0045】比較例8 実施例2で用いたエチレン・プロピレンランダム共重合
体を25gとし、電子線改質エチレン・1−ヘキセン共
重合体エラストマーを添加しない他は実施例1と同様の
手法でプレス成形し、成形品と試料を得た。
【0046】以上得られた成形品を以下の方法で評価し
た。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】(折曲げ白化試験)1mm厚みの板を50
mm×20mmに切り出し、これを180゜折曲げた際
の白化の程度を目視によって観察した。
【0049】(表面粘着性)1mm厚みの板を20mm
×20mmに切り出し、これを2枚重ねて50℃のの恒
温室で1kg荷重の下、3日間放置した。その後、これ
を再び剥離して接着面の表面状態を目視によって観察し
た。
【0050】(溶融張力)フィルム、真空、圧空、ブロ
ー成形性の目安となる溶融張力をキャピログラフ(東洋
精機製作所製)にて評価した。バレル温度は190℃、
バレル内径は9.55mm、ダイスのL/Dは2.95
/8とし、シリンダーの降下速度10mm/分、引き取
り速度10m/分で行った。
【0051】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の電子線改質
エチレン・α−オレフィン系共重合体エラストマーをポ
リプロピレン系樹脂に添加することによって得られた樹
脂組成物は、難白化性、成形加工性に優れ、かつ表面ベ
タつきが改善されると共に、溶融張力が大きくなること
によってドローダウンが大幅に抑えられ、ブロー、フィ
ルム、真空および圧空成形性に優れた材料となる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)〜(d)の条件を満たすエチレン・
    α−オレフィン系共重合体エラストマーに1kGray
    以上100kGray以下の電子線を照射した電子線改
    質エチレン・α−オレフィン系共重合体エラストマー。 (a)α−オレフィンの炭素数:4以上20以下 (b)α−オレフィンの含量:65重量%より大きく9
    5重量%以下 (c)23℃における密度:0.88g/cm3未満 (d)示差走査型熱量計による結晶融解ピーク:観測さ
    れない
  2. 【請求項2】ポリプロピレン系樹脂に、請求項1に記載
    の電子線改質エチレン・α−オレフィン系共重合体エラ
    ストマーを添加してなる改質されたポリプロピレン系樹
    脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6339123B1 (en) 1998-07-13 2002-01-15 Borealis Gmbh Heterophasic polyolefin alloy
KR100721749B1 (ko) * 1999-07-21 2007-05-25 스미또모 가가꾸 가부시끼가이샤 올레핀계 공중합체

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