JPH08299803A - カルボニル化触媒系およびそれを用いたカルボニル化方法 - Google Patents

カルボニル化触媒系およびそれを用いたカルボニル化方法

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JPH08299803A
JPH08299803A JP7227166A JP22716695A JPH08299803A JP H08299803 A JPH08299803 A JP H08299803A JP 7227166 A JP7227166 A JP 7227166A JP 22716695 A JP22716695 A JP 22716695A JP H08299803 A JPH08299803 A JP H08299803A
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JP
Japan
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acid
catalyst system
compound
carbonylation
group
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JP7227166A
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English (en)
Inventor
Ritsuzui Han
立瑞 潘
Kazuyuki Matsuoka
一之 松岡
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定性が高く、高い触媒活性を長期間維持で
きる触媒系を用いてアセチレン系又はオレフィン系不飽
和化合物をカルボニル化する。 【解決手段】 カルボニル化触媒系は、担体に担持さ
れた周期表第VIII族金属源(例えば、パラジウム、塩化
パラジウムなど)、トリフェニルホスフィンなどの配
位子、アルキルスルホン酸などの酸で構成されてい
る。前記触媒系の存在下、アセチレン系又はオレフィン
系不飽和化合物と一酸化炭素とを液相系で反応させ、高
い転化率及び選択率でカルボニル化生成物を長期間安定
に生成させる。さらに水、アルコール、カルボン酸など
の脱離可能な水素原子を有する求核性化合物を反応させ
ると、不飽和又は飽和カルボン酸やそのエステルなどが
生成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カルボニル化反応
に有用な触媒系、およびこの触媒系を用いてアセチレン
系又はオレフィン系不飽和化合物をカルボニル化する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】アセチレン系又はオレフィン系不飽和化
合物をカルボニル化するための触媒系およびカルボニル
化方法が提案されている。代表的なカルボニル化反応に
おいては、アセチレン系又はオレフィン系不飽和化合物
を、一酸化炭素および求核性化合物と反応させる方法を
含んでいる。この方法において、カルボニル化触媒は、
周期表第VIII族金属源、および代表的な配位子であるホ
スフィンとで構成されている。
【0003】欧州特許出願公開公報EP−A1−106
379、EP−A1−235864、EP−A1−27
4795、EP−A1−279477には、パラジウム
化合物、トリアリールホスフィンおよびプロトン酸で構
成されたカルボニル化触媒系と、この触媒系を用いてア
セチレン系不飽和化合物およびオレフィン系化合物をカ
ルボニル化する方法が開示されている。
【0004】特公平5−29212号公報、特開昭61
−176549号公報、特開昭62−72649号公
報、特開昭63−154646号公報には、2価のパラ
ジウム化合物、有機ホスフィン、およびプロトン酸で構
成されたカルボニル化触媒系と、この触媒系を用いてア
セチレン系不飽和化合物およびオレフィン系化合物をカ
ルボニル化する方法が開示されている。なお、前記特開
昭63−154646号公報には、パラジウム化合物と
して、不均質化合物より均質化合物が好ましいことが記
載されている。
【0005】さらに、特開平4−215851号公報に
は、第VIII族金属源、イミノ窒素原子含有芳香族置換基
を有するホスフィン、プロトン源およびアルキルスルホ
ン酸アニオン源で構成されたカルボニル化触媒系と、こ
の触媒系を用いてアセチレン系不飽和化合物およびオレ
フィン系化合物をカルボニル化する方法が開示されてい
る。この公報には、第VIII族金属源は金属状態の元素よ
りも第VIII族金属の化合物、特にパラジウム化合物が好
ましいことが記載されている。
【0006】これらの方法によれば、多量の硫酸を用い
ることなく、例えば、メチルアセチレン、一酸化炭素お
よびアルコールからメタクリル酸エステルが得られ、い
わゆるアセトンシアンヒドリン法によるメタクリル酸エ
ステルの製法と比較して、廃硫酸などの産業廃棄物を排
出することなくメタクリル酸エステル等を製造できる点
で優れている。
【0007】しかし、前記方法で用いられる触媒系は、
初期活性はある程度有するが、触媒寿命が短いという工
業用触媒としては致命的な欠点を有する。すなわち、例
えばアセチレン系不飽和化合物などをカルボニル化する
際、前記触媒系としてパラジウムブラックなどの金属状
の触媒成分を含む不均一触媒系を用いると、触媒活性が
さほど高くなく、しかも短期間のうちに触媒活性が著し
く低下する。また、前記触媒系として、塩化パラジウム
等のパラジウム化合物を含む均一触媒系を用いても、反
応中にパラジウム化合物が還元され、金属単体となって
反応系内に析出すると共に、有機ホスフィンなどの配位
子が酸化され、触媒活性が低下する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、不均一触媒系であっても、触媒活性が高く、しかも
活性を長期間維持できるカルボニル化触媒系、およびこ
の触媒系を用いたカルボニル化方法を提供することにあ
る。
【0009】本発明の他の目的は、パラジウム源を含ん
でいても、触媒活性の低下が小さく、高い転化率及び選
択率で安定にカルボニル化できる触媒系、およびこの触
媒系を用いたカルボニル化方法を提供することにある。
【0010】本発明のさらに他の目的は、アセチレン系
又はオレフィン系不飽和化合物のカルボニル化により、
カルボン酸、カルボン酸エステルなどのカルボニル化生
成物を、安定な液相系で高い転化率および選択率を長期
間維持しつつ生成できる触媒系およびカルボニル化方法
を提供することにある。
【0011】本発明の他の目的は、メタクリル酸メチル
などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸又はその誘
導体を高い転化率及び選択率で長期間安定に製造する上
で有用な触媒系およびカルボニル化方法を提供すること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記目的を
達成するため鋭意検討の結果、パラジウムなどの周期表
第VIII族金属源を担体に担持すると、有機ホスフィンな
どの配位子およびアルキルスルホン酸などの酸と組合せ
た触媒系において、不均一触媒系であるにもかかわらず
高い触媒活性が得られるだけでなく、触媒活性の低下を
著しく抑制できることを見出だし、本発明を完成した。
【0013】すなわち、本発明のカルボニル化触媒系
は、(1)担体に担持された周期表第VIII族金属源、
(2)配位子および(3)酸で構成されている。
【0014】前記周期表第VIII族金属はコバルト、ニッ
ケル、ロジウム、パラジウムまたは白金であってもよ
い。前記担体は活性炭、金属若しくは非金属酸化物、ま
たは粘土・鉱物類であってもよい。前記担体の比表面積
は10〜3000m2 /g程度であってもよい。前記周
期表第VIII族金属源の担持量は、担体に対して、0.0
1〜20重量%である場合が多い。配位子は、リン化合
物、例えば第3有機ホスフィンなど;ヒ素化合物、例え
ば第3有機アルシンなど;又はアンチモン化合物であっ
てもよい。前記酸として、プロトン酸(アリールスルホ
ン酸、アルキルスルホン酸、カルボン酸、ハロゲン化水
素酸、硫酸、硝酸、リン酸、過ハロゲン酸など)などを
使用できる。
【0015】本発明の方法では、前記触媒系の存在下、
アセチレン系不飽和化合物又はオレフィン系不飽和化合
物と一酸化炭素とを反応させ、カルボニル化生成物を生
成させる。さらに脱離可能な水素原子を有する求核性化
合物(例えば、水、アルコールなどのヒドロキシル基を
有する化合物、カルボン酸など)を反応させると、アセ
チレン系不飽和化合物またはオレフィン系不飽和化合物
に対応して不飽和カルボン酸、飽和カルボン酸やそのエ
ステルまたはカルボン酸無水物などの誘導体を生成させ
ることができる。
【0016】なお、本明細書において、オレフィン系不
飽和化合物とは、二重結合の数の如何を問わず、エチレ
ン性不飽和二重結合を有する化合物を意味する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。
【0018】本発明の触媒系は、担体に担持された周期
表第VIII族金属源を含んでいる。第VIII族金属元素に
は、例えば、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、
ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウムおよび白
金が含まれる。なお、1990年以降において、前記元
素は、周期表第8族元素(Fe、Ru、Os)、第9族
元素(Co、Rh、Ir)、第10族元素(Ni、P
d、Pt)に分類されている。好ましい元素には、コバ
ルト、ニッケル、ロジウム、パラジウムおよび白金、な
かでもコバルトおよびパラジウム、特にパラジウムが含
まれる。前記元素の酸化数は、種類に応じて選択でき、
制限されない。酸化数は、0、+2、+3などである場
合が多い。
【0019】周期表第VIII族金属源は、金属単体、周期
表第VIII族元素の化合物の何れであってもよい。本発明
においては、金属単体であっても、高活性を示し、しか
も活性を長期間維持できる。
【0020】周期表第VIII族元素の化合物には、例え
ば、無機酸塩(例えば、硝酸塩、硫酸塩、過ハロゲン酸
塩、塩化水素酸、臭化水素酸などのハロゲン化水素酸塩
など)、有機酸塩(例えば、メタンスルホン酸、エタン
スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホ
ン酸などのスルホン酸塩、ホスホン酸塩、ギ酸、酢酸、
プロピオン酸などの炭素数12以下のカルボン酸塩な
ど)、錯体(又は錯塩)などが含まれる。本発明では、
第VIII族金属源が塩化パラジウムなどの第VIII族金属の
ハロゲン化水素酸塩であっても、腐食性が抑制され、し
かも高活性を長期間維持できる。
【0021】錯体を構成する配位子は、例えば、OH
(ヒドロキソ)、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブ
トキシ基などのアルコキシ基、アセチル、プロピオニル
などのアシル基、メトキシカルボニル(アセタト)、エ
トキシカルボニルなどのアルコキシカルボニル基、アセ
チルアセトナト、シクロペンタジエニル基、ベンジリデ
ン基、ベンジリデン アセトン、ベンジリデン アセチ
ルアセトン、ベンジリデン アセトフェノン、シクロオ
クタジエンなどのシクロアルカジエン、塩素、臭素など
ハロゲン原子、CO、CN、酸素原子、H2 O(ア
コ)、ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィンな
どのトリアリールホスフィン)、NH3 (アンミン)、
NO、NO2 (ニトロ)、NO3 (ニトラト)、エチレ
ンジアミン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェナ
ントロリンなどの窒素含有化合物などが挙げられる。錯
体又は錯塩において、同種又は異種の配位子は一種又は
二種以上配位していてもよい。
【0022】錯体又は錯塩としては、例えば、アセチル
アセトンパラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフ
ィン)パラジウム、ビス(トリ−o−トリルホスフィ
ン)パラジウムアセテート、ビス(ジフェニル−2−ピ
リジルホスフィン)パラジウムアセテート、テトラキス
(ジフェニル−2−ピリジルホスフィン)パラジウム、
ビス(ジ−o−トリルピリジルホスフィン)パラジウム
アセテート、ビス(ジフェニルピリジルホスフィン)パ
ラジウムサルフェートなどのパラジウム錯体又は錯塩;
ジベンジリデンアセトン白金、ジベンジリデンアセチル
アセトン白金、ジベンジリデンアセトフェノン白金など
のジベンジリデンケトン白金、ジシクロオクタジエン白
金、ジクロロビス(トリフェルホスフィン)白金、テト
ラキス(トリフェニルホスフィン)白金、テトラキス
(2−ピリジルジフェニルホスフィン)白金、テトラキ
ス[ジ(2−ピリジル)フェニルホスフィン]白金、酢
酸ビス(トリフェニルホスフィン)白金、酢酸ビス(2
−ピリジルジフェニルホスフィン)白金、硫酸ビス(ト
リフェニルホスフイン)白金、ヘキサクロロ白金(I
V)酸などの白金錯体又は錯塩;およびこれらに対応す
る前記周期表VIII族元素の錯体又は錯塩が例示できる。
【0023】前記担体としては、触媒活性成分の分散性
を向上し、有効表面積を増大させる慣用の担体、例え
ば、活性炭;シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、マ
グネシア、シリカ−マグネシア、チタニアなどの金属酸
化物若しくは非金属酸化物(複合酸化物を含む);ケイ
ソウ土、カオリン、ベントナイト、軽石、石綿、アラン
ダム、コランダムなどの粘土・鉱物類;シリコンカーバ
イドなどが使用できる。
【0024】前記活性炭としては、その起源によらず、
木材、木炭、ヤシ殻およびその炭化物などの植物系原
料;亜炭、石炭、コールタール、石油ピッチなどの鉱物
系原料;フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、
アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、塩化ビニリデン
樹脂などのポリマー系原料の何れから得られた活性炭で
あってもよい。また、活性炭は、薬品賦活、水蒸気賦活
等の何れの賦活処理法で賦活したものであってもよい。
【0025】好ましい担体には、活性炭;シリカ、アル
ミナ(γ−アルミナなど)、シリカ−アルミナ、チタニ
アなどの金属酸化物若しくは非金属酸化物など、特に活
性炭などが含まれる。
【0026】担体の形状は、懸濁床式、固定床式等の反
応形式に応じて選択でき、例えば、粉末状、粒状、繊維
状、ペレット状、ハニカム状等の何れであってもよい。
【0027】担体の比表面積は、触媒活性を損なわない
範囲で選択でき、例えば0.1〜3000m2 /g程度
でもよいが、通常10〜3000m2 /g、好ましくは
10〜2500m2 /g、さらに好ましくは50〜20
00m2 /g程度(例えば50〜1500m2 /g程
度)である。担体の比表面積は100〜2000m2
g程度である場合が多い。担体の比表面積が小さすぎる
と、高い触媒活性が得られない。
【0028】担体の細孔容積、平均細孔径は、触媒活性
および触媒の安定性を損なわない範囲で選択できる。担
体の平均細孔径は、例えば活性炭などの場合、通常5〜
200オングストローム、好ましくは10〜150オン
グストローム程度である。また、担体の細孔容積は、例
えば0.05〜7ml/g、好ましくは0.05〜3m
l/g、さらに好ましくは0.1〜2ml/g程度であ
る。担体の平均細孔径又は細孔容積が小さすぎると、触
媒活性が低下しやすく、大きすぎると触媒寿命が低下す
る場合が多い。
【0029】周期表第VIII族金属源の担持量は、触媒活
性と触媒の安定性を損なわない範囲で定められる。前記
担持量は、担体に対して、例えば0.01〜40重量
%、通常0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜1
5重量%、さらに好ましくは0.2〜10重量%程度で
あり、0.5〜5重量%程度である場合が多い。触媒の
担持量が少ないと高い触媒活性が得られない場合が多
い。また、前記担持量が多すぎると、触媒の活性および
安定性が損なわれる場合があると共に、経済的に不利で
ある。
【0030】周期表第VIII族金属源の担体への担持は、
慣用の担持法、例えば、含浸法、コーティング法、噴霧
法、吸着法、沈殿法等により行うことができる。前記金
属源を担体に担持した後、還元又は酸化することによ
り、前記金属元素の酸化数を所望の値に変換できる。例
えば、塩化パラジウムなどの酸化数+2の周期表第VIII
族の金属化合物を担体に担持した後、ホルマリンなどの
還元剤で処理することにより、担体に担持された金属パ
ラジウムなどの酸化数0の周期表第VIII族金属単体が得
られる。
【0031】本発明の触媒系は配位子を含んでいる。こ
の配位子は、前記周期表第VIII族の金属化合物(錯体)
を構成する配位子とは異なる場合が多い。配位子は、少
なくとも1つのリン原子、ヒ素原子、窒素原子、又はア
ンチモン原子を含んでいる場合が多く、前記周期表第VI
II族元素に対して配位可能である場合が多い。これらの
配位子は、一種または二種以上組合せて使用できる。配
位子には、下記式(I)で表される配位子が含まれる。
【0032】
【化1】 [式中、Aは、リン原子、ヒ素原子又はアンチモン原子
を示し、R1 ,R2 およびR3 は、同一又は異なって、
水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換
基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有してい
てもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいシク
ロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、
置換基を有していてもよい複素環基を示す。R2 とR3
は互いに結合して置換基を有していてもよいアルキレン
基を形成してもよい。ただし、R1〜R3 は同時に水素
原子ではない。] 式(I)において、前記アルキル基には、例えば、メチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブ
チル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシ
ル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル基などの炭素
数1〜10程度の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が含ま
れる。好ましいアルキル基には、例えば、炭素数1〜6
程度、特に炭素数1〜4程度の低級アルキル基が含まれ
る。
【0033】アルケニル基には、例えば、ビニル、アリ
ル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1
−ブテニル、2−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキ
セニル、1−ヘプテニル、1−オクテニル、1−ノネニ
ル、1−デセニルなどの炭素数2〜10程度の直鎖状又
は分岐鎖状アルケニル基が含まれる。好ましいアルケニ
ル基には、例えば炭素数2〜6、特に炭素数2〜4程度
のアルケニル基が含まれる。アルキニル基には、例え
ば、エチニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニ
ル、1−ペンチニル、1−ヘキシニル、1−ヘプチニ
ル、1−オクチニル、1−ノニニル、1−デシニルなど
の炭素数2〜10程度のアルキニル基が含まれる。
【0034】シクロアルキル基には、シクロペンチル、
シクロヘキシル、シクロオクチル基などの炭素数4〜1
0程度のシクロアルキル基が含まれ、アリール基には、
フェニル基、ナフチル基などが含まれる。
【0035】複素環基には、ヘテロ原子として窒素原子
を含む複素環基、特に芳香族性複素環基が含まれる。こ
のような複素環基には、例えば、2−ピリジルなどのピ
リジル、2−ピラジニルなどのピラジニル、2−キノリ
ルなどのキノリル、1−イソキノリルなどのイソキノリ
ル、2−ピリミジルなどのピリミジニル、3−ピリダジ
ニルなどのピリダジニル、シンノリニル、トリアジニ
ル、キノキサリニル、キナゾリニルなどが挙げられる。
好ましい複素環基には、ピリジル、ピリミジニルなどが
含まれる。
【0036】これらのアルキル基、シクロアルキル基、
アリール基、複素環基には、触媒活性を損わない種々の
置換基、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキ
シル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカ
ルボニル基、アシル基、ニトロ基、シアノ基などが置換
していてもよい。
【0037】ハロゲン原子には、フッ素、塩素、臭素、
ヨウ素原子が含まれ、アルキル基としては、例えば、メ
チル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ
ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどの炭素数
1〜10程度、好ましくは炭素数1〜6程度、特に炭素
数1〜4程度のアルキル基が例示できる。
【0038】アルコキシ基には、例えば、メトキシ、エ
トキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソ
ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオ
キシ基などの炭素数1〜10程度、好ましくは炭素数1
〜6程度、特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基が
含まれる。
【0039】アルコキシカルボニル基には、例えば、メ
トキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカ
ルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボ
ニル、イソブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニ
ル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボ
ニル基などのアルコキシ部分の炭素数が1〜10程度の
アルコキシカルボニル基が含まれる。好ましいアルコキ
シカルボニル基にはアルコキシ部分の炭素数が1〜6程
度、特に1〜4程度の低級アルコキシカルボニル基が含
まれる。
【0040】アシル基としては、例えば、ホルミル、ア
セチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレ
リル、イソバレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6
程度のアシル基が例示できる。
【0041】R2 とR3 は互いに結合して、メチレン、
エチレン、プロピレン、イソプロピリデン、テトラメチ
レンなどのC1-10程度のアルキレン基を形成し、原子A
を含む環、例えば、リン原子とともに炭素数3〜10程
度のホスファシクロアルキレン基を形成してもよい。
【0042】好ましい配位子には、有機リン化合物、有
機ヒ素化合物、および有機アンチモン化合物、なかでも
有機ホスフィンおよび有機アルシン、特に有機ホスフィ
ンが含まれる。有機ホスフィンは、第1ホスフィン(例
えば、メチルホスフィン、エチルホスフィン、プロピル
ホスフィン、イソプロピルホスフィン、イソブチルホス
フィン、イソアミルホスフィン、フェニルホスフィン、
シクロヘキシルホスフィンなど)、第2ホスフィン(例
えば、ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジイ
ソプロピルホスフィン、ジ−n−ブチルホスフィン、ジ
イソアミルホスフィン、ジフェニルホスフィン、ジシク
ロヘキシルホスフィンなど)や第3ホスフィンのいずれ
であってもよい。また、有機アルシンも、第1アルシ
ン、第2アルシン、第3アルシンの何れであってもよ
い。好ましい有機ホスフィンおよび有機アルシンには、
第3ホスフィンおよび第3アルシンが含まれる。
【0043】好ましい有機ホスフィンは、R1 〜R3
うち少なくとも1つの置換基がフェニル基や置換フェニ
ル基などのアリール基で構成されている。また、アリー
ル基に代えて、又はアリール基とともに複素環基やR2
とR3 の結合により形成されるアルキレン基も好まし
い。
【0044】好ましい有機ホスフィンとしては、例え
ば、トリフェニルホスフィン、トリ(4−メチルフェニ
ル)ホスフィン、トリ(3,5−ジメチルフェニル)ホ
スフィン、トリ(2,4,6−トリメチルフェニル)ホ
スフィン、トリ(4−メトキシフェニル)ホスフィン、
トリ(3,5−ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリ
(4−クロロフェニル)ホスフィン、トリ(3,5−ジ
クロロフェニル)ホスフィンなどの置換基を有していて
もよいトリアリールホスフィン;メチルジフェニルホス
フィン、エチルジフェニルホスフィン、プロピルジフェ
ニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィンなどのモ
ノC1-10アルキルジアリールホスフィン;ジメチルフェ
ニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、ジプロ
ピルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン
などのジC1-10アルキルモノアリールホスフィン;トリ
メチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチル
ホスフィン、トリアミルホスフィン、トリヘキシルホス
フィンなどのトリC1-10アルキルホスフイン;シクロペ
ンチルジフェニルホスフィン、シクロヘキシルジフェニ
ルホスフィンなどのモノC4-10シクロアルキルジアリー
ルホスフィン;ジシクロペンチルフェニルホスフィン、
ジシクロヘキシルフェニルホスフィンなどのジC4-10
クロアルキルモノアリールホスフィン;トリシクロペン
チルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンなどの
トリC4-10シクロアルキルホスフィン;2−ピリジルビ
スフェニルホスフィン、ビス(2−ピリジル)フェニル
ホスフィン、トリス(2−ビリジル)ホスフィン、2−
ピリジルビスメチルホスフィン、ビス(2−ピリジル)
メチルホスフィン、2−ピリジルビスエチルホスフィ
ン、ビス(2−ピリジル)エチルホスフィン、2−ピリ
ジルビスブチルホスフィン、ビス(2−ピリジル)ブチ
ルホスフィン、6−メチル−2−ピリジルビスフェニル
ホスフィン、ビス(6−メチル−2−ピリジル)フェニ
ルホスフィン、トリス(6−メチル−2−ピリジル)ホ
スフィン、6−エチル−2−ピリジルビスフェニルホス
フィン、ビス(6−エチル−2−ピリジル)フェニルホ
スフィン、トリス(6−エチル−2−ビリジル)ホスフ
ィン、6−ブチル−2−ピリジルビスフェニルホスフィ
ン、ビス(6−ブチル−2−ピリジル)フェニルホスフ
ィン、トリス(6−ブチル−2−ビリジル)ホスフィ
ン、4,6−ジメチル−2−ピリジルビスフェニルホス
フィン、6−メトキシ−2−ピリジルビスフェニルホス
フィン、ビス(6−メトキシ−2−ピリジル)フェニル
ホスフィン、トリス(6−メトキシ−2−ビリジル)ホ
スフィン、6−クロロ−2−ピリジルビスフェニルホス
フィン、ビス(6−クロロ−2−ピリジル)フェニルホ
スフィン、トリス(6−クロロ−2−ビリジル)ホスフ
ィン、4,6−ジクロロ−2−ピリジルビスフェニルホ
スフィン、6−ブロモ−2−ピリジルビスフェニルホス
フィン、ビス(6−ブロモ−2−ピリジル)フェニルホ
スフィン、2,6−ビス(ジフェニルホスフィノ)ピリ
ジン、2,6−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)ピリ
ジンなどの複素環基を有するホスフィン;エタン−1,
2−ジイルビスジフェニルホスフィン、エタン−1,2
−ジイルビス[ビス(トリフルオロメチル)ホスフィ
ン]、エテン−1,2−ジイルビスジフェニルホスフィ
ン、エチン−1,2−ジイルビスジフェニルホスフィ
ン、1,2−フェニレンビスジフェニルホスフィン、ヘ
キサフルオロシクロペンテン−1,2−ジイルビスジフ
ェニルホスフィン、テトラフルオロシクロブテン−1,
2−ジイルビスジフェニルホスフィン、オクタフルオロ
シクロヘキセン−1,2−ジイルビスジフェニルホスフ
ィン、1,4−ジフェニル−1,4−ジホスファシクロ
ヘキサン、ビス(1,2−ジフェニル)ホスフィノメチ
ルシクロブタンなどが例示される。
【0045】好ましい有機アルシンとしては、前記例示
の好ましい有機ホスフィンに対応する有機アルシン、例
えば、トリフェニルアルシンなどの置換基を有していて
もよいトリアリールアルシン;エチルジフェニルアルシ
ンなどのモノC1-10アルキルジアリールアルシン;ジエ
チルフェニルアルシンなどのジC1-10アルキルモノアリ
ールアルシンなどが挙げられる。また、配位子として上
記例示のリン化合物に対応するアンチモン化合物(特に
第3有機スチビン)も好適に用いることができる。
【0046】配位子は、前記周期表第VIII族金属源と共
に担体に担持されていてもよい。配位子の担持は、慣用
の方法、例えば前記例示の方法により行うことができ
る。
【0047】触媒系を構成する酸には、種々のプロトン
酸(無機酸および有機酸)およびルイス酸が含まれる。
プロトン酸には、例えば、硫酸、ハロゲン化水素酸、硝
酸、リン酸、スルホン酸(アリールスルホン酸、アルキ
ルスルホン酸など)、ホスホン酸、カルボン酸、過ハロ
ゲン酸、ヘテロポリ酸などが含まれる。これらの酸は一
種又は二種以上使用できる。前記酸はプロトン源として
機能するようである。そのため、ルイス酸を用いる場
合、他のプロトン源と併用する場合が多い。
【0048】前記プロトン酸のうち無機化合物として
は、例えば、硫酸;塩化水素酸、臭化水素酸などのハロ
ゲン化水素酸;リン酸(例えば、オルトリン酸、ピロリ
ン酸など);過塩素酸などの過ハロゲン酸;リンモリブ
デン酸、ケイタングステン酸、バナドモリブデン酸など
のV,W又はMoを含むヘテロポリ酸などが挙げられ
る。
【0049】プロトン酸のうち有機化合物には、例え
ば、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナ
フタレンスルホン酸などの置換基を有していてもよいア
リールスルホン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン
酸、プロパンスルホン酸、t−ブチルスルホン酸、2−
ヒドロキシプロパンスルホン酸、トリフルオロメタンス
ルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸などの置換基を
有していてもよいアルキルスルホン酸;ベンゼンホスホ
ン酸などのホスホン酸;クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、ト
リクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、プロピ
オン酸、n−酪酸、イソ酪酸、ピバリン酸、吉草酸、カ
プロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリ
スチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、シュウ酸など
の置換基を有していてもよい飽和脂肪族カルボン酸、シ
クロヘキサンカルボン酸などの脂環族カルボン酸、安息
香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳
香族カルボン酸、アクリル酸、メタクリル酸、プロピオ
ール酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコ
ン酸、メサコン酸、オレイン酸などの不飽和脂肪族カル
ボン酸などの不飽和カルボン酸などのカルボン酸;アス
パラギン酸、グルタミン酸などのアミノ酸などが挙げら
れる。前記酸は酸性イオン交換樹脂、例えば、スルホン
酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基などを有するイオ
ン交換樹脂などであってもよい。
【0050】ルイス酸には、例えば、BF3 、BF3
O(C2 5 2 、AlCl3 、TiCl4 、Ti[O
CH(CH3 2 4 、SnCl4 、SnCl2 、Nb
5、TaF5 、PF5 、AsF5 、SbF5 などの、
周期表第III B族、第IVA族、第IVB族、第VA族又は
第VB族元素のハロゲン化物若しくはその錯化合物、ま
たはアルコキシド(例えばC1-4 アルコキシド)などが
含まれる。
【0051】なお、酸は配位性アニオンを有する場合が
多い。好ましい酸にはプロトン酸、例えば、p−トルエ
ンスルホン酸などのアリールスルホン酸、炭素数1〜1
0程度、好ましくは炭素数1〜6程度、さらに好ましく
はメタンスルホン酸などの炭素数1〜4程度のアルキル
スルホン酸;脂肪族カルボン酸、好ましくは炭素数2〜
10程度の脂肪族不飽和カルボン酸;無機酸(硫酸、ハ
ロゲン化水素酸、リン酸など)が含まれる。
【0052】前記酸は、前記周期表第VIII族金属源と共
に、担体に担持されていてもよい。酸の担持は、慣用の
方法、例えば前記例示の方法により行うことができる。
【0053】本発明の触媒系は、さらに、電子供与性化
合物を含んでいてもよい。電子供与性化合物としては、
例えば、電子供与度△νD が2以上の化合物が使用され
る。前記電子供与度△νD は、ベンゼンを基準物質とし
て、液状化合物中に加えた重水素化したメタノール
(0.4モル/L)のO−D非会合性伸縮振動の波数
(2400−2700cm-1)のシフト値を意味し、
「メタノールDに対する電子供与度(electron donabil
ity )△νD 」と定義される。電子供与性化合物は、前
記周期表VIII族元素に対して配位性を有するようであ
る。
【0054】このような電子供与性化合物には、例え
ば、アミン類、イミン類、アミド類、スルホキシド類、
アルデヒド類、エーテル類、ケトン類、ラクトン類、エ
ステル類、ニトリル類、ニトロ化合物、芳香族炭化水素
類、脂肪族炭化水素類などが含まれる。これらの化合物
は一種又は二種以上組合せて使用できる。
【0055】なお、前記電子供与度△νD の値は、例え
ば、「有機化学反応におけ溶媒効果」妹尾・新井共著、
産業図書(株)、昭和51年4月25日発行などを参照
できる。また、以下に例示する電子供与性化合物におい
て、参考までに電子供与度△νD の値を括弧内に示す。
【0056】アミン類としては、例えば、メチルアミ
ン、エチルアミン(233)、n−プロピルアミン(2
30)、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−
プロピルアミン(242)、ジブチルアミン、トリエチ
ルアミン(238)などの脂肪族アミン;シクロヘキシ
ルアミンなど脂環族アミン;アニリン(158)、N−
メチルアニリン(151)、N,N−ジメチルアニリン
(148)などの芳香族アミン;ジメタノールアミン、
トリメタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミン、ジプロパノールアミ
ン、トリプロパノールアミン、ブタノールアミン、ジブ
タノールアミン、トリブタノールアミン、ジメチルアミ
ノエタノール、ジエチルアミノエタノールなどのアルカ
ノールアミン;モルホリン、N−メチルピロリドン、ピ
ロール、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、ピリ
ジン(168)、α−ピコリン(183)、β−ピコリ
ン、γ−ピコリン(160)、2,3−ルチジン、2,
4−ルチジン、2,5−ルチジン、2,6−ルチジン、
3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、2−エチルピリ
ジン、3−エチルピリジン、4−エチルピリジン(17
9)、2,3,4−トリメチルピリジン、2,4,6−
トリメチルピリジン、ビピリジン、o−トルイジン(1
45)、ピペリジン(240)、4−ビニルピリジン
(193)、ピラジン、ピリミジン、キノリン、イソキ
ノリンなどの複素環式アミンなどが挙げられる。アミン
類には、アミノ基、置換アミノ基(例えば、モノアルキ
ルアミノ基、ジアルキルアミノ基など)、第4アンモニ
ウム基などの塩基性基を有する樹脂やイオン交換樹脂
(例えば、ピリジンとホルムアルデヒドの反応により生
成するピリジン樹脂などのアミン樹脂など)も含まれ
る。
【0057】好ましいアミン類には、第2級アミン及び
第3級アミン、特に、窒素原子をヘテロ原子として含む
複素環式アミン(例えば、ピリジンやイミダゾールな
ど)又はその誘導体、アルカノールアミン類などが含ま
れる。複素環式化合物の誘導体としては、例えば、炭素
数1〜4程度のアルキル基を有する化合物(例えば、ピ
コリン、ルチジン、1−メチルイミダゾールなど)など
が含まれる。複素環式アミンはピリジン又はその誘導体
のように、芳香族性を有する場合が多い。
【0058】イミン類には、例えば、エチレンイミン
(237)、N−フェニルエチレンイミン(186)な
どが挙げられる。アミド類には、例えば、ホルムアミ
ド、アセトアミド、N、N−ジメチルホルムアミド(1
07)、N、N−ジメチルアセトアミド(113)、テ
トラメチル尿素、ヘキサメチルホスホアミドなどが含ま
れる。スルホキシド類には、例えば、ジメチルスルホキ
シド(141)、ジイソプロピルスルホキシド、スルホ
ラン、2−メチルスルホラン、3−メチルスルホランな
どが含まれる。
【0059】アルデヒド類としては、例えば、アセトア
ルデヒド(79)、プロピオンアルデヒド(85)、n
−ブチルアルデヒド(83)、アクロレイン(12
2)、メタクロレイン、クロトンアルデヒド(75)な
どの脂肪族アルデヒド、ベンズアルデヒド(53)など
の芳香族アルデヒドなどが例示される。
【0060】エーテル類には、例えば、ジエチルエーテ
ル(78)、ジ−n−プロピルエーテル(73)、ジイ
ソプロピルエーテル(75)、エチル n−ブチルエー
テル(77)、エチルビニルエーテル(31)、n−ブ
チルビニルエーテル(33)、イソブチルビニルエーテ
ル(33)、ジアリルエーテル(66)、1,2−ジメ
トキシエタン(71)、セロソルブ、カルビトール、ジ
グライム、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジ
エチレングリコールジエチルエーテルなどの鎖状エーテ
ル;アニソール(26)、フェネトール(25)、1,
2−ジメトキシベンゼン、ジフェニルエーテルなどの芳
香族エーテル;プロピレンオキサイド(59)、スチレ
ンオキサイド(51)、3,3−ビスクロロメチルオキ
セタン(78)、フラン(4)、テトラヒドロフラン
(90)、1,3−ジオキソラン(58)、2−メチル
−1,3−ジオキソラン(61)、4−メチル−1,3
−ジオキソラン(56)、2−フェニル−1,3−ジオ
キソラン(56)、4−クロロメチル−1,3−ジオキ
ソラン(43)、テトラヒドロピラン(93)、1,4
−ジオキサン(77)などの環状エーテルなどが挙げら
れる。
【0061】これらのエーテル類のうち、置換基を有し
ていてもよいアリール基を有する芳香族エーテル(例え
ば、アニソールなど)又は鎖状エーテル(例えば、ジエ
チレングリコールジメチルエーテルなど)を用いる場合
が多い。
【0062】ケトン類としては、例えば、アセトン(6
4)、メチルエチルケトン(57)、ジエチルケトン
(56)、ジイソプロピルケトン、メチルビニルケトン
(89)、メチルイソブチルケトンなどの脂肪族ケト
ン、シクロヘキサノン(66)などの脂環族ケトン、ア
セトフェノン(56)などの芳香族ケトンなどが挙げら
れる。ラクトン類には、β−プロピオラクトン(3
4)、γ−ブチロラクトン(66)、ε−カプロラクト
ン(82)などが含まれる。
【0063】エステル類には、例えば、酢酸メチル(3
6)、酢酸エチル(39)、クロロ酢酸メチル(2
7)、酢酸ブチル、ジクロロ酢酸メチル(23)、プロ
ピオン酸メチル(33)、プロピオン酸エチル(3
2)、イソ酪酸メチル(32)などの有機カルボン酸ア
ルキルエステル;酢酸ビニル(21)などのビニルエス
テル;アクリル酸メチル(30)、アクリル酸エチル
(33)、メタクリル酸メチル(37)、クロトン酸メ
チル、クロトン酸エチルなどの不飽和カルボン酸アルキ
ルエステルなどが挙げられる。これらのエステル類のう
ち、不飽和カルボン酸アルキルエステル(例えば、メタ
クリル酸メチル、クロトン酸メチル)などを用いても、
反応は円滑に進行する。
【0064】ニトリル類には、例えば、アセトニトリル
(49)、プロピオニトリル(52)ブチロニトリル、
アクリロニトリル(37)、ベンゾニトリル(38)な
どが含まれる。ニトロ化合物としては、例えば、ニトロ
メタン(6)、ニトロエタン(8)などの脂肪族ニトロ
化合物、ニトロベンゼン(21)などの芳香族ニトロ化
合物などが挙げられ、芳香族炭化水素類には、例えば、
トルエン(2)、キシレン(4)、エチルベンゼン
(4)、スチレン(2)、α−メチルスチレン(4)、
p−メチルスチレン(2)などが挙げられ、脂肪族炭化
水素類には、塩化エチレン(2)などが含まれる。
【0065】これらの化合物のうち電子供与度△νD が
4〜250、好ましくは10〜230程度(例えば、2
0〜200程度)の化合物を用いる場合が多い。また、
好ましい電子供与性化合物には、電子供与度△νD が3
0〜250,好ましくは50〜250程度(例えば、1
00〜250程度)の化合物も含まれる。また、触媒系
の調製工程を簡略化するため、前記電子供与性化合物を
反応溶媒として使用する場合も多い。
【0066】これらの化合物のうち、反応操作性などの
点からビニル化合物以外の化合物(非重合性化合物)で
あって、カルボニル化反応に悪影響を及ぼさない化合
物、例えば、第三級アミンなどのアミン類、アミド類、
スルホキシド類、エーテル類、ケトン類、エステル類、
ニトリル類、ニトロ化合物、芳香族炭化水素など(特に
アミン類、エーテル類、エステル類、芳香族炭化水素な
ど)を使用する場合が多い。
【0067】これらの電子供与性化合物のうち、塩基性
化合物、例えば、アミン類、イミド類、アミド類などが
好ましい。第VIII族金属源(例えば、パラジウム)と組
み合わせて塩基性化合物(特に第二級アミンおよび第三
級アミン)を用いると、触媒活性を顕著に向上できる場
合が多い。そのため、触媒系は、アミン類、イミド類、
アミド類からなる群から選択された塩基性化合物を含む
のが好ましい。さらに、これらの塩基性化合物と、エー
テル類及び/又はエステル類を組み合わせて使用する
と、転化率や選択率が高まる場合がある。
【0068】本発明の触媒系においては、金属源の種類
に応じて、配位子と、電子供与性化合物とを適宜組み合
わせることができる。例えば、金属源として、第VIII族
金属源(例えば、パラジウム)と、配位子としての有機
ホスフィンとを組み合わせても、有機ホスフィンの種類
により触媒の安定性や活性が低下することがない。その
ため、有機ホスフィンは前記電子供与度△νDが2以上
の化合物と適当に組合せて使用できる。例えば、有機ホ
スフィンとしてトリアリールホスフィンを用いる場合、
前記電子供与度△νDを有する化合物として、窒素含有
化合物又は塩基性化合物、例えば、前記ピリジン又はピ
リジン誘導体などのアミン化合物と組合せると、安定性
のみならず触媒活性を顕著に向上できる場合が多い。
【0069】触媒系を構成する各成分の割合は、各触媒
成分の種類などに応じて、担体に担持された周期表第VI
II族金属源と配位子および酸との相互作用による触媒活
性が損なわれず、しかも安定性を維持できる範囲で選択
できる。
【0070】有機ホスフィンなどの配位子の割合は、例
えば、周期表第VIII族金属源1モルに対して、0.1〜
1000モル、通常5〜500モル、好ましくは10〜
200モル、さらに好ましくは15〜100モル程度で
あり、10〜100モル程度、特に20〜60モル程度
である場合が多い。前記配位子の割合が小さいと、触媒
活性が低く、逆に多いと経済的に不利である。酸(プロ
トン源としてのプロトン酸など)の割合は、例えば、周
期表第VIII族金属源1モルに対して、0.1〜1000
モル、通常5〜500モル、好ましくは10〜200モ
ル、さらに好ましくは15〜100モル程度であり、1
0〜100モル程度、特に20〜60モル程度である場
合が多い。酸1モルに対する有機ホスフィンなどの配位
子の割合は、例えば、0.01〜50モル、通常0.1
〜50モル、好ましくは0.2〜20モル、さらに好ま
しくは0.5〜5モル程度である。
【0071】電子供与性化合物の量は、第VIII族金属源
1モルに対して、1〜100000モル、好ましくは5
〜50000モル、さらに好ましくは10〜10000
モル程度である。電子供与性化合物の量は、第VIII族金
属源1モルに対して、10〜10000モル(例えば、
50〜7000モル)、特に100〜5000モル程度
である場合が多い。なお、電子供与性化合物は反応溶媒
として用いることができ、この場合に、電子供与性化合
物の使用量は、第VIII族金属源1モルに対して過剰量で
あればよい。また、電子供与性化合物を反応溶媒として
用いない場合には、電子供与性化合物の量は、第VIII族
金属源1モルに対して、2〜200モル、好ましくは5
〜100モル、さらに好ましくは10〜50モル程度で
ある場合が多い。電子供与性化合物は、反応溶媒として
使用する場合が多い。
【0072】触媒活性成分としての第VIII族金属源が担
体に担持されていない従来の触媒系では、金属状の触媒
活性成分を含む不均一触媒系を用いると、十分な触媒活
性が得られないだけでなく、短期間に触媒活性が大きく
低下する。また、第VIII族金属化合物を含む均一触媒系
を用いても、ある程度の期間または回数使用すると触媒
活性が次第に低下する。特に、パラジウム源を含む触媒
系では、初期活性は高いものの、上記のような触媒の失
活が著しい。
【0073】これに対し、本発明の触媒系は、不均一触
媒系であるにもかかわらず、不飽和炭化水素類のカルボ
ニル化において、高い触媒活性を有する。また、第VIII
族金属源が金属状(単体)であっても、高い触媒活性が
得られると共に、触媒寿命が長い。さらに、第VIII族金
属源としてパラジウム源を含んでいても、安定性に優
れ、高い触媒活性を長期に亘って維持できる。そのた
め、触媒を賦活処理することなく、長期間または繰返し
使用できる。したがって、本発明の触媒系は、アセチレ
ン系不飽和化合物またはオレフィン系(又はエチレン
系)不飽和化合物をカルボニル化する上で極めて有用で
ある。
【0074】本発明の方法では、前記触媒系の存在下、
アセチレン系不飽和化合物またはオレフィン系不飽和化
合物と一酸化炭素とを反応させ、カルボニル化反応生成
物を製造する。
【0075】アセチレン系またはオレフィン系不飽和化
合物は、好ましくは非対称のアセチレン系化合物または
オレフィン系化合物、さらに好ましくはα−アセチレン
系化合物、α−オレフィン系化合物またはアレン系化合
物である。アセチレン系不飽和化合物の炭素数は、通
常、2〜30程度、好ましくは2〜20、特に2〜10
程度であり、オレフィン系不飽和化合物の炭素数は、例
えば、2〜30、好ましくは2〜20、特に2〜10程
度である。これらの不飽和炭化水素には、置換基を有し
ていてもよいアルキン、アルケン(オレフィン)又はシ
クロアルケン、シクロアルカジエンや橋かけ式不飽和炭
化水素が含まれる。不飽和炭化水素は、1分子中に二重
結合と三重結合とを有していてもよく、二重結合を2個
以上有していてもよい。
【0076】前記不飽和化合物は、種々の置換基、例え
ば、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子;シクロヘ
プチル、シクロヘキシル、シクロオクチルなどのC1-10
シクロアルキル基;フェニル、ナフチルなどのアリール
基;ベンジル、フェネチルなどのアラルキル基;シアノ
基;ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イ
ソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル基な
どの炭素数1〜7程度のアシル基;アセトキシ基などの
アルキル部分の炭素数1〜6程度のアシルオキシ基;ヒ
ドロキシル基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブト
キシ、t−ブトキシなどの炭素数1〜6程度のアルコキ
シ基;トリフルオロメチル、トリクロロメチル基などの
ハロアルキル基;トリフルオロメトキシ、トリクロロメ
トキシ基などのハロアルコキシ基;カルボキシル基;ア
ルキル部分の炭素数が1〜6程度のアルコキシカルボニ
ル基;アミノ基、モノアルキルアミノ基やジアルキルア
ミノ基などのN−置換アミノ基;アミド基、アセトアミ
ド基などのN−置換アミド基などを有していてもよい。
【0077】アルキンとしては、例えば、アセチレン、
プロピン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、1
−ヘキシン、1−ヘプチン、1−オクチン、2−オクチ
ン、4−オクチン、1,7−オクタジイン、5−メチル
−3−ヘプチン、4−プロピル−2−ペンチン、1−ノ
ニン、フェニルアセチレン、ベンジルエチンおよびシク
ロヘキシルエチンなどが例示できる。
【0078】アルケンには、例えば、エチレン、プロピ
レン、フェニルエチレン、1−ブテン、2−ブテン、1
−ペンテン、3−メチルペンテン−1、4−メチルペン
テン−1、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテ
ン、2−オクテン、4−オクテン、アレン、シクロヘキ
センおよびノルボナジエンなどが含まれる。
【0079】一酸化炭素としては、純粋な一酸化炭素を
用いてもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素
などの不活性ガスで希釈した一酸化炭素を使用してもよ
い。
【0080】前記不飽和化合物は単独でカルボニル化し
てもよく、他の反応剤(例えば、水素または脱離可能な
水素原子を有する求核性化合物)の存在下でカルボニル
化してもよい。脱離可能な水素原子を有する求核性化合
物には、アルコール類などのヒドロキシル基を有する化
合物、水、カルボン酸が含まれる。また、アルコール類
にはシラノールも含まれる。
【0081】アルコール類は、脂肪族、脂環式、芳香族
アルコールやフェノール類であってもよく、一価又は多
価アルコールであってもよい。アルコール類は、前記不
飽和化合物の項で述べた置換基のうち、ヒドロキシル基
を除く1又は2以上の置換基を有していてもよい。
【0082】一価アルコール類には、例えば、メタノー
ル、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノー
ル、1−ブタノール、2−ブタノール、1−メチルプロ
パン−1−オール、2−メチルプロパン−1−オール、
2−メチルプロパン−2−オール、1−ヘキサノール、
1−オクタノール、2−エチルヘキサノール、ステアリ
ルアルコール、アリルアルコール、クロチルアルコー
ル、プロパルギルアルコールなどの脂肪族アルコール;
シクロペンタノール、シクロヘキサノール、4−メチル
シクロヘキサノール、シクロヘキセン−1−オール、シ
クロヘプタノール、シクロオクタノール、ボルネオール
などの脂環族アルコール;ベンジルアルコール、サリチ
ルアルコール、ベンズヒドロール、フェネチルアルコー
ルなどの芳香族アルコールなどが含まれる。フェノール
類には、フェノール、アルキルフェノール、レゾルシノ
ール、カテコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパンなどが含まれる。
【0083】多価アルコールには、例えば、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、トリメチレングリコー
ル、テトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオ
ール、グリセロール、トリメチロールプロパン(2,2
−ビスヒドロキシメチル−1−ブタノール)、ペンタエ
リスリトール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,
4−シクロヘキサンジオール、糖類(単糖類、オリゴ糖
類、多糖類)(例えば、グルコース、フルクトース、マ
ンノース、ガラクトース、サッカロース、アルドキノー
ス、アルドペントース、アルトロース、アロース、タロ
ース、グロース、イドース、リボース、アラボノース、
キシロース、リキソース、エリトロース、トレオースお
よびセルロースなど)などが含まれる。
【0084】好ましいアルコール類には、炭素数1〜2
0程度、特に1〜10程度、なかでも1〜5程度の一価
アルコールが含まれる。アルコール類としては、脂肪族
飽和アルコールを使用する場合が多い。
【0085】前記カルボン酸としては、例えば、ギ酸、
酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、ピバリン
酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラ
ウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸
などの脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸な
どの脂環族カルボン酸、安息鉱酸、フタル酸、イソフタ
ル酸、テレフタル酸などの芳香族カルボン酸、アクリル
酸、メタクリル酸、プロピオール酸、クロトン酸、マレ
イン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、オレイ
ン酸などの不飽和カルボン酸などが例示される。カルボ
ン酸は、脂肪族カルボン酸、好ましくは炭素数2〜20
程度、さらに好ましくは炭素数2〜18程度のカルボン
酸、特に炭素数2〜10程度のカルボン酸である場合が
多い。
【0086】前記脱離可能な水素原子を有する求核性化
合物として、アルコールおよび/または水を用いる場合
が多い。
【0087】前記カルボニル化反応においては、反応剤
の種類に応じて、オレフィン系不飽和化合物およびアセ
チレン系不飽和化合物に対応する化合物が生成する。例
えば、反応剤として水を用いる場合には、カルボニル化
反応により、オレフィン系不飽和化合物およびアセチレ
ン系不飽和化合物に対応して、カルボン酸およびα,β
−不飽和カルボン酸などの不飽和カルボン酸が生成す
る。また、アルコールを使用する場合には、前記カルボ
ン酸および不飽和カルボン酸に対応するエステルが生成
する。さらに、カルボン酸を用いる場合には、前記カル
ボン酸および不飽和カルボン酸に対応する酸無水物が生
成する。
【0088】例えば、オレフィン系不飽和化合物として
エチレンを用い、反応剤(求核性化合物)としてメタノ
ール又は水を用いると、一酸化炭素との反応により、プ
ロピオン酸メチル又はプロピオン酸を生成させることが
できる。オレフィン系不飽和化合物としてアレンを用
い、反応剤(求核性化合物)としてメタノール又は水を
用いると、一酸化炭素との反応により、メタクリル酸メ
チル又はメタクリル酸を生成させることができる。ま
た、アセチレン系不飽和化合物としてプロピン、反応剤
(求核性化合物)としてメタノール又は水を用いると、
一酸化炭素との反応により、メタクリル酸メチル又はメ
タクリル酸を生成させることができる。
【0089】従って、本発明の方法において、反応剤の
種類は目的化合物に応じて選択できるが、水、アルコー
ルまたは有機カルボン酸である場合が多い。
【0090】カルボニル化反応における各成分の割合は
広い範囲で選択でき、例えば、前記触媒系の割合は、ア
セチレン系又はオレフィン系不飽和化合物1モルに対し
て、第VIII族金属源の金属原子として、1×10-6〜2
×10-1モル、好ましくは1×10-5〜1×10-1モル
程度であり、1×10-4〜1×10-2モル程度である場
合が多い。
【0091】一酸化炭素の割合は、例えば、アセチレン
系又はオレフィン系不飽和化合物1モルに対して、例え
ば、0.1〜100モル、好ましくは1〜80モル、さ
らに好ましくは1.5〜50モル(例えば1.5〜5モ
ル)程度である。反応剤(前記求核性化合物)の使用量
は、例えば、アセチレン系又はオレフィン系不飽和化合
物1モルに対して、0.1〜100モル、好ましくは
0.1〜80モル、さらに好ましくは1〜50モル(例
えば1.5〜5モル)程度であり、水を反応剤として用
いる場合には、前記不飽和化合物1モルに対して、0.
5〜10モル程度であってもよい。なお、反応剤は反応
溶媒として使用することもできる。
【0092】反応は、不活性な有機溶媒中で行なっても
よい。有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、オクタン
などの脂肪族炭化水素、ベンゼンなどの芳香族炭化水
素、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、クロ
ロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、これらの混合溶
媒など挙げられる。なお、溶媒として前記電子供与性化
合物や反応剤を用いる場合には、上記有機溶媒を使用す
る必要はない。
【0093】カルボニル化反応は、例えば、10〜25
0℃(例えば、10〜200℃)、好ましくは25〜2
00℃(例えば、25〜130℃)、さらに好ましくは
25〜80℃程度の温度で、常圧〜150気圧程度(好
ましくは常圧〜100気圧程度、通常10〜70気圧程
度)で行なう場合が多い。反応は、バッチ式、セミバッ
チ式や連続式などの慣用の方法で行なうことができ、液
相又は気相で行なうことができる。前記触媒系は、安定
性が高いので液相系で使用する場合が多い。
【0094】反応終了後、反応生成物は、慣用の方法、
例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラ
ムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組合
せた分離手段により、容易に分離精製できる。
【0095】
【発明の効果】本発明の触媒系は、担体に担持された周
期表第VIII族金属源を触媒成分として含んでいるので、
不均一触媒系であっても活性が高く、しかも安定性に優
れ、カルボニル化反応において、高い触媒活性を長期間
維持できる。そのため、前記カルボニル化触媒系を利用
すると、触媒を賦活処理することなく、アセチレン系又
はオレフィン系不飽和化合物のカルボニル化により、カ
ルボン酸、カルボン酸エステルなどのカルボニル化生成
物を、安定な液相系で高い転化率および選択率で長期間
安定に生成できる。また、メタクリル酸メチルなどの
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸又はその誘導体を
高い転化率及び選択率で安定に製造することもできる。
【0096】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定さ
れるものではない。なお、実施例中、「部」は「重量
部」を示す。
【0097】実施例1 濃塩酸0.03部を添加したアセトン100部に、塩化
パラジウム1.77部を加えて溶解させた。得られた溶
液に粒状活性炭[商品名:白鷺C、武田薬品工業(株)
製;比表面積1200m2 /g、細孔容積0.53ml
/g、平均細孔径17オングストローム]100部を浸
漬し、活性炭に塩化パラジウムを吸着させた。
【0098】窒素置換したステンレス製オートクレーブ
(内容積30ml)に、前記で調製した活性炭に担持し
た塩化パラジウムを、塩化パラジウムとして5×10-6
モルとなるように仕込み、ついで、トリフェニルホスフ
ィン2×10-4モル、メタンスルホン酸2×10-4
ル、メタノール4mlおよびメチルアセチレン0.1g
を順次仕込んだ。そして、オートクレーブに一酸化炭素
を60Kg/cm2 の圧力まで導入した後、密封して加
熱し、撹拌下、60℃で2時間反応させた。
【0099】反応生成物をガスクロマトグラフィーによ
って分析したところ、メチルアセチレンの平均転化速度
は、パラジウム1グラム原子当たり142モル/時であ
り、生成したメタクリル酸メチルのメチルアセチレン基
準の選択率は80%であった。
【0100】実施例2 実施例1で得られた反応生成液を減圧濃縮して、生成し
たメタクリル酸メチルと未反応のメタノールおよびメチ
ルアセチレンを除去した。濃縮残渣に、実施例1と同量
のメタノールおよびメチルアセチレンを添加し、実施例
1と同様にして、一酸化炭素を導入して反応させた。
【0101】このような反応生成液の濃縮、原料の仕込
み、および反応の一連の操作を、5回繰返した。その結
果を表1に示す。なお、表中の「転化速度」は、パラジ
ウム1グラム原子当たりのメチルアセチレンの平均転化
速度(モル/時)を示し、「選択率」は、生成したメタ
クリル酸メチルのメチルアセチレン基準の選択率(%)
を示す(以下、同じ)。表1から明らかなように、触媒
を繰返し使用しても、メチルアセチレンの転化速度およ
びメタクリル酸メチルの選択率はほとんど変化しなかっ
た。
【0102】
【表1】 比較例1 活性炭に担持した塩化パラジウムに代えて、担体に担持
していない塩化パラジウムを使用する以外、実施例1と
同様にして反応させたところ、メチルアセチレンの平均
転化速度は、パラジウム1グラム原子当たり145モル
/時であり、メタクリル酸メチルのメチルアセチレン基
準の選択率は81%であった。反応後の混合液を調べた
ところ、塩化パラジウムの一部が還元され、パラジウム
金属の沈澱物が生成していた。
【0103】比較例2 実施例1で得られた反応生成液に代えて、比較例1で得
られた反応生成液を使用する以外、実施例2と同様にし
て、実施例2に記載の一連の操作を、5回繰返した。そ
の結果を表2に示す。表2から明らかなように、触媒を
繰返し使用すると、メチルアセチレンの転化速度が著し
く減少した。
【0104】
【表2】 実施例3 塩化パラジウム1.77部を含む希塩酸水溶液に、γ−
アルミナ[商品名:ネオビード、水沢化学(株)製;比
表面積200m2 /g、細孔容積0.40ml/g、平
均細孔径80オングストローム]100部を加え、撹拌
しながら、γ−アルミナに塩化パラジウムを含浸させ
た。ついで、ホルマリン水溶液5部と1N水酸化ナトリ
ウム100部を添加して塩化パラジウムを還元した後、
濾過し、濾滓を水洗、乾燥し、パラジウム金属担持触媒
を得た。
【0105】そして、活性炭に担持した塩化パラジウム
に代えて、前記で調製したγ−アルミナに担持したパラ
ジウム金属を、パラジウム金属として5×10-6モル使
用すると共に、トリフェニルホスフィンに代えて、2,
6−ビス(ジフェニルホスフィノ)ピリジン2×10-4
モルを使用する以外は、実施例1と同様にして反応させ
たところ、メチルアセチレンの平均転化速度は、パラジ
ウム1グラム原子当たり245モル/時であり、メタク
リル酸メチルのメチルアセチレン基準の選択率は87%
であった。
【0106】次に、実施例2と同様にして、反応生成液
の濃縮、原料の仕込み、および反応の一連の操作を、1
0回繰返したところ、10回繰返した後も、メチルアセ
チレンの平均転化速度は、パラジウム1グラム原子当た
り239モル/時であり、触媒活性はほとんど低下しな
かった。
【0107】比較例3 γ−アルミナに担持したパラジウム金属に代えて、担体
に担持していないパラジウムブラックを使用する以外、
実施例3と同様にして反応させたところ、メチルアセチ
レンの平均転化速度は、パラジウム1グラム原子当たり
112モル/時であり、メタクリル酸メチルのメチルア
セチレン基準の選択率は83%であった。
【0108】ついで、実施例2と同様にして、反応生成
液の濃縮、原料の仕込み、および反応の一連の操作を、
10回繰返したところ、10回繰返した後のメチルアセ
チレンの平均転化速度は、パラジウム1グラム原子当た
り18モル/時と著しく低下し、メタクリル酸メチルの
選択率も43%まで減少した。
【0109】実施例4 トリフェニルホスフィンに代えて、トリフェニルアルシ
ンを使用する以外は、実施例1と同様にして反応させた
ところ、メチルアセチレンの平均転化速度は、パラジウ
ム1グラム原子当たり23モル/時であり、メタクリル
酸メチルのメチルアセチレン基準の選択率は53%であ
った。
【0110】実施例2と同様にして、反応生成液の濃
縮、原料の仕込み、および反応の一連の操作を、5回繰
返したところ、5回繰返した後も、メチルアセチレンの
平均転化速度およびメタクリル酸メチルのメチルアセチ
レン基準の選択率はほとんど変化しなかった。

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)担体に担持された周期表第VIII族
    金属源、(2)配位子および(3)酸で構成されている
    カルボニル化触媒系。
  2. 【請求項2】 周期表第VIII族金属が、コバルト、ニッ
    ケル、ロジウム、パラジウムまたは白金である請求項1
    記載のカルボニル化触媒系。
  3. 【請求項3】 担体が、活性炭、金属酸化物、非金属酸
    化物、または粘土・鉱物類である請求項1記載のカルボ
    ニル化触媒系。
  4. 【請求項4】 担体の比表面積が10〜3000m2
    gである請求項1記載のカルボニル化触媒系。
  5. 【請求項5】 周期表第VIII族金属源の担持量が、担体
    に対して、0.01〜20重量%である請求項1記載の
    カルボニル化触媒系。
  6. 【請求項6】 配位子がリン化合物、ヒ素化合物または
    アンチモン化合物である請求項1記載のカルボニル化触
    媒系。
  7. 【請求項7】 配位子が第3有機ホスフィンまたは第3
    有機アルシンである請求項1記載のカルボニル化触媒
    系。
  8. 【請求項8】 第3有機ホスフィンまたは第3有機アル
    シンが、置換基を有していてもよいアリール基、または
    ヘテロ原子として窒素原子を含む芳香族性複素環基を有
    する第3有機ホスフィンまたは第3有機アルシンである
    請求項7記載のカルボニル化触媒系。
  9. 【請求項9】 酸がプロトン酸である請求項1記載のカ
    ルボニル化触媒系。
  10. 【請求項10】 プロトン酸が、アリールスルホン酸、
    アルキルスルホン酸、カルボン酸、ハロゲン化水素酸、
    硫酸、硝酸、リン酸、過ハロゲン酸からなる群より選ば
    れた少なくとも1種である請求項9記載のカルボニル化
    触媒系。
  11. 【請求項11】 (1)比表面積100〜2000m2
    /gの担体に担持されたパラジウム源、(2)第3有機
    ホスフィンまたは第3有機アルシンおよび(3)プロト
    ン酸で構成されているカルボニル化触媒系。
  12. 【請求項12】 請求項1または請求項11に記載の触
    媒系の存在下、アセチレン系不飽和化合物またはオレフ
    ィン系不飽和化合物と一酸化炭素とを反応させるカルボ
    ニル化方法。
  13. 【請求項13】 不飽和化合物がα−アセチレン系化合
    物またはα−オレフィン系化合物である請求項12記載
    のカルボニル化方法。
  14. 【請求項14】 さらに、脱離可能な水素原子を有する
    求核性化合物を反応させる請求項12記載のカルボニル
    化方法。
  15. 【請求項15】 求核性化合物が、水、ヒドロキシル基
    を有する化合物又はカルボン酸である請求項14記載の
    カルボニル化方法。
  16. 【請求項16】 ヒドロキシル基を有する化合物が、ア
    ルコールである請求項15記載のカルボニル化方法。
  17. 【請求項17】 触媒系の存在下、(a)非対称のアセ
    チレン系不飽和化合物又はオレフィン系不飽和化合物、
    (b)一酸化炭素、および(c)水、炭素数1〜20の
    脂肪族アルコール、炭素数1〜20のカルボン酸から選
    ばれた化合物を反応させる方法であって、前記触媒系と
    して、(1)担体に担持された周期表第VIII族金属源、
    (2)配位子および(3)酸で構成されたカルボニル化
    触媒系を用いるカルボニル化方法。
  18. 【請求項18】 (1)担体に担持された周期表第VIII
    族金属源、(2)第3有機ホスフィンまたは第3有機ア
    ルシンおよび(3)プロトン酸で構成された触媒系の存
    在下、(a)α−アセチレン系炭化水素、(b)一酸化
    炭素、および(c)水、アルコールおよびカルボン酸か
    ら選ばれた少なくとも1つの求核性化合物を反応させ、
    α,β−エチレン性不飽和カルボン酸又はその誘導体を
    製造する方法。
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