JPH10114703A - カルボニル化方法及びカルボニル化生成物の製造方法 - Google Patents

カルボニル化方法及びカルボニル化生成物の製造方法

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JPH10114703A
JPH10114703A JP8272573A JP27257396A JPH10114703A JP H10114703 A JPH10114703 A JP H10114703A JP 8272573 A JP8272573 A JP 8272573A JP 27257396 A JP27257396 A JP 27257396A JP H10114703 A JPH10114703 A JP H10114703A
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JP
Japan
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carbonylation
acid
mol
catalyst
acetylene
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Application number
JP8272573A
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English (en)
Inventor
Masato Kawabe
正人 河辺
Ritsuzui Han
立瑞 潘
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アセチレン系又はアレン系不飽和化合物を長
期間に亘り安定してカルボニル化する。 【解決手段】 カルボニル化触媒の存在下、アセチレン
系又はアレン系不飽和化合物のカルボニル化において、
前記不飽和化合物の転化率を90%以上に維持しつつカ
ルボニル化する。さらに、水、アルコール又はカルボン
酸を反応させると、不飽和カルボン酸やその誘導体(カ
ルボン酸アルキルエステルなど)を長期間に亘り安定し
て生成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カルボニル化触媒
を用いてアセチレン系又はアレン系不飽和化合物をカル
ボニル化し、メタクリル酸メチルなどのα,β−エチレ
ン性不飽和化合物を得るのに有用な方法に関する。
【0002】
【従来の技術】メタクリル酸メチルなどのα,β−エチ
レン性不飽和化合物は、合成樹脂の原料(モノマー)と
して工業的に極めて有用な化合物である。前記α,β−
エチレン性不飽和化合物の製造方法として、工業的に
は、アセトンを原料とするアセトンシアンヒドリン法が
広く用いられている。この方法では、廃硫酸および廃重
硫酸アンモニウムなどが多量に副生する。
【0003】近年、硫酸を使用することなくメタクリル
酸アルキルエステルなどのα,β−エチレン性不飽和化
合物を得る方法として、周期表第VIII族金属源およびホ
スフィンで構成されたカルボニル化触媒の存在下、アセ
チレン系およびオレフィン系不飽和化合物を、一酸化炭
素およびアルコールなどと反応させるカルボニル化方法
が提案されている。例えば、EP−A1−10637
9、EP−A1−235864、EP−A1−2747
95、EP−A1−279477には、パラジウム化合
物、トリアリールホスフィンおよびプロトン酸で構成さ
れたカルボニル化触媒を用いてアセチレン系およびオレ
フィン系化合物をカルボニル化する方法が開示されてい
る。
【0004】特公平5−29212号公報、特開昭61
−176549号公報、特開昭62−72649号公
報、特開昭63−154646号公報には、2価のパラ
ジウム化合物、有機ホスフィン、およびプロトン酸で構
成されたカルボニル化触媒の存在下、アセチレン系不飽
和化合物をカルボニル化する方法が開示されている。さ
らに、特開平4−215851号公報には、第VIII族金
属源、イミノ窒素原子含有芳香族置換基を有するホスフ
ィン、プロトン源およびアルキルスルホン酸アニオン源
で構成されたカルボニル化触媒を用いて、アセチレン系
およびオレフィン系化合物をカルボニル化する方法が開
示されている。特開平4−215852号公報には、第
VIII族金属源、イミノ窒素原子含有芳香族置換基を有す
るホスフィン、プロトン源および第三級アミンを含む触
媒を用いて、アセチレン系およびオレフィン系化合物を
カルボニル化する方法が開示されている。
【0005】特開平8−84933号公報には、パラジ
ウムを除く第VIII族金属源、窒素原子をヘテロ原子とし
て含まない非複素環式配位子、プロトン源および電子供
与性化合物を含む触媒を用いてアセチレン系およびオレ
フィン系化合物をカルボニル化する方法が開示されてい
る。
【0006】しかし、これらのカルボニル化触媒を用
い、工業的にメタクリル酸メチルなどのα,β−エチレ
ン性不飽和化合物を製造すると、カルボニル化反応の進
行とともに、触媒活性及び転化率や選択率が著しく低下
する場合がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、カルボニル化触媒の存在下、長期間に亘り高い転化
率を維持できるカルボニル化方法を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、触媒活性の低下を長期間抑制
できるカルボニル化方法を提供することにある。
【0008】本発明のさらに他の目的は、アセチレン系
又はアレン系不飽和化合物のカルボニル化により、カル
ボン酸やカルボン酸エステルなどのカルボニル化反応生
成物を長期間に亘り高い転化率を維持しながら生成でき
るカルボニル化方法を提供することにある。本発明の別
の目的は、触媒活性を維持しつつ、メタクリル酸メチル
などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸又はその誘
導体を長期間安定した高い転化率で製造する上で有用な
カルボニル化方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記目的を
達成するため鋭意検討の結果、カルボニル化触媒の存在
下、不飽和炭化水素のカルボニル化において、高い転化
率を長期間維持しつつカルボニル化できることを見いだ
し、本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明のカルボニル化方法は、
カルボニル化触媒の存在下、アセチレン系又はアレン系
不飽和化合物と、一酸化炭素とを反応させるカルボニル
化方法であって、前記不飽和化合物の転化率を90%以
上に維持しつつカルボニル化することを特徴とするカル
ボニル化方法である。
【0011】前記カルボニル化触媒には、例えば、
(1)周期表第VIII族金属源と、(2)配位子と、
(3)酸とで構成された触媒などが含まれる。周期表第
VIII族金属元素には、例えば、コバルト、ニッケル、ロ
ジウム、パラジウムおよび白金から選択された少なくと
も一種などが含まれる。配位子には、リン化合物などが
含まれる。
【0012】本発明のカルボニル化方法において、アセ
チレン系不飽和化合物としては、α−アセチレン系不飽
和化合物などが含まれる。この方法では、さらに、水、
アルコール又は有機カルボン酸などを反応させると、ア
セチレン系又はアレン系不飽和化合物に対応してカルボ
ン酸やそれらの誘導体(例えば、α,β−不飽和カルボ
ン酸エステルなどのエステル若しくは酸無水物など)を
生成させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。 [カルボニル化触媒](1)周期表第VIII族金属源 本発明で用いられているカルボニル化触媒は、周期表第
VIII族金属源を含んでいる。第VIII族金属元素には、例
えば、鉄Fe、ルテニウムRu、オスミウムOs、コバ
ルトCo、ロジウムRh、イリジウムIr、ニッケルN
i、パラジウムPdおよび白金Ptが含まれる。なお、
1990年以降において、前記元素は、周期表第8族元
素(Fe、Ru、Os)、第9族元素(Co、Rh、I
r)、第10族元素(Ni、Pd、Pt)に分類されて
いる。
【0014】好ましい第VIII族金属元素には、コバル
ト、ロジウム、ニッケル、パラジウムおよび白金から選
択された少なくとも一種が含まれる。さらに好ましくは
コバルト、パラジウムおよび白金、特にパラジウムおよ
び白金が含まれる。前記元素の酸化数は、特に制限され
ず、種類に応じて、例えば、0、+2、+3、+4など
であってもよい。前記周期表第VIII族金属源は、金属単
体であってもよいが、好ましくは周期表第VIII族金属元
素の化合物である。
【0015】周期表第VIII族金属元素の化合物は、例え
ば、無機酸塩(例えば、硝酸塩、硫酸塩、過ハロゲン酸
塩、塩化水素酸、臭化水素酸などのハロゲン化水素酸塩
など)、有機酸塩(例えば、メタンスルホン酸、エタン
スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホ
ン酸などのスルホン酸塩、ホスホン酸塩、ギ酸、酢酸、
プロピオン酸などの炭素数12以下のカルボン酸塩な
ど)、ハロゲン化物(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化
物など)、錯体(又は錯塩)などが含まれる。
【0016】錯体を構成する配位子は、例えば、OH
(ヒドロキソ)、C1-4アルコキシ基、C1-4アシル基、
1-4アルコキシ−カルボニル基、アセチルアセトナ
ト、シクロペンタジエニル基、シクロオクタジエニル
基、ベンジリデン基、ベンジリデンアセトン、ベンジリ
デン アセチルアセトン、ベンジリデン アセトフェノ
ン、シクロオクタジエンなどのシクロアルカジエン、ハ
ロゲン原子、CO、CN、酸素原子、H2 O(アコ)、
ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィンなどのト
リアリールホスフィン)、NH3 (アンミン)、NO、
NO2 (ニトロ)、NO3 (ニトラト)、エチレンジア
ミン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェナントロ
リンなどの窒素含有化合物などが挙げられる。錯体又は
錯塩において、同種又は異種の配位子は一種又は二種以
上配位していてもよい。
【0017】錯体又は錯塩としては、例えば、アセチル
アセトンパラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフ
ィン)パラジウム、ビス(トリ−o−トリルホスフィ
ン)パラジウムアセテート、ビス(ジフェニル−2−ピ
リジルホスフィン)パラジウムアセテート、テトラキス
(ジフェニル−2−ピリジルホスフィン)パラジウム、
ビス(ジ−o−トリルピリジルホスフィン)パラジウム
アセテート、ビス(ジフェニルピリジルホスフィン)パ
ラジウムサルフェートなどのパラジウム錯体又は錯塩、
ジベンジリデンアセトン白金、ジベンジリデンアセチル
アセトン白金、ジベンジリデンアセトフェノン白金など
のジベンジリデンケトン白金、ジシクロオクタジエン白
金、ジクロロビス(トリフェルホスフィン)白金、テト
ラキス(トリフェニルホスフィン)白金、酢酸ビス(ト
リフェニルホスフィン)白金、硫酸ビス(トリフェニル
ホスフイン)白金、ヘキサクロロ白金(IV)酸などの
白金錯体又は錯塩、およびこれらに対応する前記周期表
第VIII族元素の錯体又は錯塩が例示できる。これらの第
VIII族金属源のうち、第VIII族金属元素の化合物、特に
錯体又は錯塩を用いる場合が多い。
【0018】(2)配位子 前記触媒は必要に応じて配位子を含んでいてもよい。こ
の配位子は、前記周期表第VIII族金属化合物(錯体や錯
塩)を構成する配位子とは異なる場合が多い。配位子に
は、少なくとも1つのリン原子を含む有機リン化合物、
ヒ素原子を含む有機ヒ素化合物、またはアンチモン原子
を含む有機アンチモン化合物などが含まれ、なかでも有
機リン化合物(特に有機ホスフィン)が好ましい。また
これらの配位子は、周期表第VIII族元素に対して配位可
能である場合が多い。配位子は、一種又は二種以上組合
せて使用できる。配位子としての有機ホスフィンは、第
1ホスフィン(例えば、イソブチルホスフィン、フェニ
ルホスフィン、シクロヘキシルホスフィンなど)、第2
ホスフィン(例えば、ジイソブチルホスフィン、ジフェ
ニルホスフィン、ジシクロヘキシルホスフィンなど)や
第3ホスフィンのいずれであってもよい。好ましい有機
ホスフィンには第3有機ホスフィン(特に、置換基を有
していてもよい芳香族性の同素環基又は複素環基を有す
る第3有機ホスフィン、置換基を有していてもよいアリ
ール基を有する第3有機ホスフィン)が含まれる。
【0019】第3有機ホスフィンとしては、例えば、ト
リフェニルホスフィン、トリ(4−メチルフェニル)ホ
スフィン、トリ(4−メトキシフェニル)ホスフィン、
トリ(4−クロロフェニル)ホスフィンなどの置換基を
有していてもよいトリアリールホスフィン;メチルジフ
ェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、プロ
ピルジフェニルホスフィンなどのモノC1-10アルキルジ
アリールホスフィン;ジメチルフェニルホスフィン、ジ
エチルフェニルホスフィンなどのジC1-10アルキルモノ
アリールホスフィン;トリメチルホスフィン、トリエチ
ルホスフィンなどのトリC1-10アルキルホスフイン;シ
クロヘキシルジフェニルホスフィンなどのモノC4-10
クロアルキルジアリールホスフィン;ジシクロヘキシル
フェニルホスフィンなどのジC4-10シクロアルキルモノ
アリールホスフィン;トリシクロヘキシルホスフィンな
どのトリC4-10シクロアルキルホスフィン;エタン−
1,2−ジイルビスジフェニルホスフィン、エテン−
1,2−ジイルビスジフェニルホスフィン、エチン−
1,2−ジイルビスジフェニルホスフィン、1,2−フ
ェニレンビスジフェニルホスフィン、ヘキサフルオロシ
クロペンテン−1,2−ジイルビスジフェニルホスフィ
ン;2−ピリジルビスフェニルホスフィン、ビス(2−
ピリジル)フェニルホスフィン、トリス(2−ピリジ
ル)ホスフィン、トリス(6−メチル−2−ピリジル)
ホスフィン、2−ピリジルビスメチルホスフィン、ビス
(2−ピリジル)メチルホスフィン、6−メトキシ−2
−ピリジルビスフェニルホスフィン、ビス(6−メトキ
シ−2−ピリジル)フェニルホスフィン、ビスフェニル
(4,6−ジメチル−2−ピリジル)ホスフィン、ビス
(6−クロロ−2−ピリジル)フェニルホスフィン、ビ
ス(6−ブロモ−2−ピリジル)フェニルホスフィン、
2,6−ビス(ジフェニルホスフィノ)ピリジン、2,
6−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)ピリジンなどの
ピリジル基などの窒素含有複素環基を有するホスフィン
などが例示される。有機ホスフィンとしては、置換基を
有していてもよいトリフェニルホスフィンなどの安価で
汎用性の高いトリアリールホスフィンを用いる場合が多
い。
【0020】配位子として、上記例示の有機リン化合物
に対応する有機ヒ素化合物(特に第3有機アルシン)や
有機アンチモン化合物(特に第3有機スチビン)も使用
できる。
【0021】(3)酸 さらに、触媒は酸を含んでいてもよい。前記酸には、例
えば、種々のプロトン酸(無機酸および有機酸)および
ルイス酸が含まれる。プロトン酸には、例えば、無機酸
(例えば、硫酸、硝酸、ハロゲン化水素酸、リン酸、過
ハロゲン酸、ヘテロポリ酸など)、有機酸(例えば、ス
ルホン酸、ホスホン酸、カルボン酸、アミノ酸など)な
どが含まれる。これらの酸は一種又は二種以上組合せて
使用できる。前記酸はプロトン源として機能するため
か、ルイス酸を用いる場合、他のプロトン源と併用する
場合が多い。
【0022】前記無機酸には、例えば、硫酸;硝酸;塩
化水素酸、臭化水素酸などのハロゲン化水素酸;オルト
リン酸、ピロリン酸などのリン酸;過塩素酸などの過ハ
ロゲン酸;リンモリブデン酸、ケイタングステン酸、バ
ナドモリブデン酸などのV、W又はMoを含むヘテロポ
リ酸などが挙げられる。
【0023】有機酸には、例えば、ベンゼンスルホン
酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸な
どの置換基を有していてもよいアリールスルホン酸;メ
タンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン
酸、t−ブチルスルホン酸、2−ヒドロキシプロパンス
ルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、トリフルオロ
メタンスルホン酸などの置換基を有していてもよいアル
キルスルホン酸;ベンゼンホスホン酸などのホスホン
酸;クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリ
フルオロ酢酸、アセチル酢酸、ギ酸、酢酸、プロピオン
酸、n−酪酸、イソ酪酸、ピバリン酸、吉草酸、カプロ
ン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチ
ン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、シュウ酸などの置
換基を有していてもよい飽和脂肪族カルボン酸、アクリ
ル酸、メタクリル酸、プロピオール酸、クロトン酸、マ
レイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、オレ
イン酸などの不飽和脂肪族カルボン酸、シクロヘキサン
カルボン酸などの脂環族カルボン酸、安息香酸、フタル
酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族カルボン
酸などのカルボン酸;アスパラギン酸、グルタミン酸な
どのアミノ酸などが挙げられる。前記酸は酸性イオン交
換樹脂、例えば、スルホン酸基、ホスホン酸基、ホスフ
ィン酸基などを有するイオン交換樹脂などであってもよ
い。
【0024】ルイス酸には、例えば、(C25)O・B
3、BF3、AlCl3、SnCl4、SnCl2、Ti
Cl4、Ti[OCH(CH324、NbF5、Ta
5、PF5、AsF5、SbF5などの周期表第IIIB
族、第IVA族、第IVB族、第VA族および第VB族元素の
ハロゲン化物若しくはその錯化合物、又はアルコキシド
(例えば、C1-5アルコキシド)などが含まれる。
【0025】好ましい酸にはプロトン酸、例えば、硫
酸、ハロゲン化水素酸、リン酸などの無機酸、スルホン
酸(アリールスルホン酸およびアルキルスルホン酸)、
カルボン酸(飽和および不飽和脂肪族カルボン酸)など
の有機酸が含まれる。
【0026】触媒を構成する各成分の割合は、各触媒成
分の種類などに応じて、触媒活性が損なわれず、しかも
安定性を維持できる範囲で選択できる。前記配位子の割
合は、例えば、前記周期表第VIII族金属源1モルに対し
て0.01〜500モル、好ましくは0.5〜300モ
ル(例えば、1〜200モル)、さらに好ましくは1〜
150モル(例えば、2〜100モル程度)である。
【0027】酸(プロトン源としてのプロトン酸など)
の割合は、例えば、第VIII族金属源1モルに対して0.
1〜1000モル、好ましくは0.5〜700モル(例
えば、1〜600モル)、さらに好ましくは2〜400
モル(例えば、2〜100モル程度)である。プロトン
酸などの酸1モルに対する配位子の割合は、特に制限さ
れず、例えば、0.01〜50モル、好ましくは0.0
2〜10モル、さらに好ましくは0.03〜3モル程度
である。
【0028】触媒は均一触媒、不均一触媒のいずれであ
ってもよい。液相反応に利用する場合、通常、触媒は均
一系である。また、必要に応じて、触媒は、活性炭、ア
ルミナ、シリカなどの担体に触媒成分が担持された固体
触媒を構成してもよい。なお、カルボニル化触媒は、触
媒活性の改善又はその低下の抑制など必要に応じて、単
独又は共重合体に有機ホスフィンを結合させたオリゴマ
ー又はポリマータイプの有機ホスフィンを含んでいても
よい。
【0029】[アセチレン系又はアレン系不飽和化合物
のカルボニル化反応]本発明では、アセチレン系又はア
レン系不飽和化合物と、一酸化炭素と、必要に応じて
水、アルコール又はカルボン酸とを反応させることによ
り、カルボン酸又はその誘導体を生成させる。
【0030】アセチレン系又はアレン系不飽和化合物 アセチレン系またはアレン系不飽和化合物は、好ましく
は非対称のアセチレン系化合物またはアレン系化合物、
さらに好ましくはα−アセチレン系化合物またはアレン
系化合物である。アセチレン系不飽和化合物の炭素数
は、通常、2〜30程度、好ましくは2〜20、特に2
〜10程度であり、アレン系化合物の炭素数は、例え
ば、3〜30、好ましくは3〜20、特に3〜10程度
である。これらの不飽和炭化水素には、置換基を有して
いてもよいアルキンやアレン系化合物が含まれる。不飽
和炭化水素は、1分子中に三重結合と二重結合とを有し
ていてもよく、二重結合を2個以上有していてもよい。
【0031】アルキンとしては、例えば、アセチレン、
プロピン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、1
−ヘキシン、1−ヘプチン、1−オクチン、2−オクチ
ン、4−オクチン、1,7−オクタジイン、5−メチル
−3−ヘプチン、4−プロピル−2−ペンチン、1−ノ
ニン、フェニルアセチレン、ベンジルエチンおよびシク
ロヘキシルエチンなどが例示できる。低級不飽和カルボ
ン酸エステルを製造する場合、アルキンとしては、α−
アセチレン系炭化水素、例えば、アセチレン、プロピン
(メチルアセチレン)などのC2-6 アルキンを用いる場
合が多い。アレン系化合物には、例えば、アレン、1,
2−ブタジエン(メチルアレン)、2,3−ペンタジエ
ン(sym−ジメチルアレン)、unsym−ジメチルアレン、
1,2−ヘキサジエン、1,2−ヘプタジエンなどが含
まれる。低級不飽和カルボン酸を製造する場合、アレン
系化合物としては、例えば、アレンなどのC3-6 アレン
系化合物を用いる場合が多い。
【0032】前記不飽和化合物は、種々の置換基、例え
ば、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子;C4-10
クロアルキル基;フェニル基などのアリール基;ベンジ
ル基などのアラルキル基;シアノ基;ホルミル、アセチ
ル基などのC1-7 アシル基;アセチルオキシ基などのC
2-7 アシルオキシ基;ヒドロキシル基;メトキシ、エト
キシ基などのC1-6 アルコキシ基;トリフルオロメチ
ル、トリクロロメチル基などのハロアルキル基;トリフ
ルオロメトキシ、トリクロロメトキシ基などのハロアル
コキシ基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基など
のC1-6 アルコキシ−カルボニル基;アミノ基、モノア
ルキルアミノ基やジアルキルアミノ基などのN−置換ア
ミノ基;アミド基、アセトアミド基などのN−置換アミ
ド基などの置換基を有していてもよい。
【0033】一酸化炭素 本発明では、純粋な一酸化炭素を用いてもよく、また、
窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガ
スで希釈した一酸化炭素を用いてもよい。
【0034】他の反応剤 前記不飽和化合物は単独でカルボニル化してもよく、他
の反応剤(例えば、水素または脱離可能な水素原子を有
する求核性化合物)の存在下でカルボニル化してもよ
い。脱離可能な水素原子を有する求核性化合物には、例
えば、水、ヒドロキシル基を有する化合物(例えば、ア
ルコール類など)又はカルボン酸などが含まれる。
【0035】アルコール類は、脂肪族、脂環式、芳香族
アルコールやフェノール類であってもよく、一価又は多
価アルコールであってもよい。また、アルコール類には
シラノールも含まれる。アルコール類は、前記不飽和化
合物の項で述べた置換基のうち、ヒドロキシル基以外の
1又は2以上の置換基を有していてもよい。一価アルコ
ール類には、例えば、メタノール、エタノール、1−プ
ロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−
ブタノール、1−メチルプロパン−1−オール、2−メ
チルプロパン−2−オール、1−ペンタノール、1−ヘ
キサノール、1−オクタノール、2−エチルヘキサノー
ル、ステアリルアルコールなどの飽和脂肪族アルコー
ル;アリルアルコール、プロパルギルアルコールなどの
不飽和脂肪族アルコール;シクロペンタノール、シクロ
ヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、シクロ
ヘプタノール、シクロオクタノール、ボルネオールなど
の脂環族アルコール;ベンジルアルコールなどの芳香族
アルコールなどが含まれる。フェノール類には、フェノ
ール、アルキルフェノール、レゾルシノール、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどが含まれ
る。
【0036】多価アルコールには、分子中に2〜6のヒ
ドロキシル基を有する化合物、例えば、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオー
ル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールな
どが含まれる。好ましいアルコール類には、炭素数1〜
20程度、特に炭素数1〜10程度、なかでも炭素数1
〜5程度の一価アルコールが含まれる。アルコール類と
しては、飽和脂肪族アルコール(特にメタノール)を使
用する場合が多い。
【0037】前記カルボン酸には、例えば、ギ酸、酢
酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、ピバリン酸、
吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリ
ン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸など
の脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸などの
脂環族カルボン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル
酸、テレフタル酸などの芳香族カルボン酸、アクリル
酸、メタクリル酸、プロピオール酸、クロトン酸、マレ
イン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、オレイ
ン酸などの不飽和カルボン酸などが含まれる。前記脱離
可能な水素原子を有する求核性化合物として、水及び/
又はアルコールを用いる場合が多い。
【0038】カルボニル化反応において、例えば、反応
剤として水を用いると、アセチレン系およびアレン系不
飽和化合物に対応して、α,β−不飽和カルボン酸など
の不飽和カルボン酸が生成する。また、アルコール類を
用いると、前記不飽和カルボン酸に対応するエステルが
生成する。さらに、カルボン酸を用いると、前記不飽和
カルボン酸に対応する酸無水物が生成する。より具体的
には、例えば、アレン系不飽和化合物としてアレンを用
い、反応剤としてメタノールを用いると、一酸化炭素と
の反応により、メタクリル酸メチルが生成する。また、
アセチレン系不飽和化合物としてプロピン又はアセチレ
ンを用い、反応剤としてメタノールを用いると、一酸化
炭素との反応により、メタクリル酸メチル又はアクリル
酸メチルが生成する。
【0039】好ましい方法には、アセチレン系又はアレ
ン系不飽和化合物として、アセチレン、プロピン、アレ
ンなどを用いる方法が含まれる。特に、α−アセチレン
系又はアレン系化合物(特に、アセチレン、プロピンな
どのC2-4 アルキン、アレンなどのC3-4 アレン系化合
物など)と、一酸化炭素と、C1-20アルコールとを反応
させ、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル
(特に(メタ)アクリル酸アルキルエステル)を製造す
る方法が好ましい。
【0040】カルボニル化反応における各成分の割合
は、カルボニル化触媒などに応じて、広い範囲から選択
でき、例えば、前記触媒の割合は、アセチレン系又はア
レン系不飽和化合物1モルに対して、第VIII族金属源の
金属原子として1×10-5〜1×10モル程度、好まし
くは1×10-4〜1×10モル、さらに好ましくは1×
10-3〜1×10モルである。
【0041】一酸化炭素の割合は、例えば、アセチレン
系又はアレン系不飽和化合物1モルに対して、例えば、
0.9〜100モル(例えば、0.9〜50モル)、好
ましくは0.9〜10モル、さらに好ましくは1〜5モ
ル(例えば、1〜3モル程度)である。一酸化炭素は、
アセチレン系又はアレン系不飽和化合物1モルに対し
て、過剰モル(例えば1〜20モル程度)用いる場合が
多く、反応系において大過剰の一酸化炭素雰囲気として
使用してもよい。反応剤としてのアルコールの使用量
は、例えば、アセチレン系又はアレン系不飽和化合物1
モルに対して、0.9〜100モル(例えば1〜50モ
ル)、好ましくは1〜25モル(例えば1〜10モ
ル)、さらに好ましくは3〜8モル(例えば、3〜5モ
ル程度)である。アルコールを反応剤として用いる場
合、前記不飽和化合物1モルに対して過剰モル(例え
ば、1〜10モル程度)である場合が多い。なお、反応
剤は反応溶媒として使用することもできる。
【0042】カルボニル化反応は、液相系および気相系
のいずれで行ってもよい。反応を液相系で行う場合、反
応に不活性な溶媒中で行うことができる。このような溶
媒として、幅広い有機溶媒を用いることができるが、前
記第VIII族金属元素に対して配位性を有する電子供与性
化合物(例えば、メタノールDに対する電子供与度△ν
Dが2以上の化合物)を用いる場合が多い。
【0043】有機溶媒としては、例えば、炭化水素類
(例えば、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;
シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トル
エン、キシレンなどの芳香族炭化水素;クロロホルム、
ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロ
ベンゼンなどのハロゲン化炭化水素など)、アミン類
(例えば、エチルアミン、トリエチルアミンなどの脂肪
族アミン;シクロヘキシルアミンなどの脂環族アミン;
アニリン、N−メチルアニリンなどの芳香族アミン;ト
リエタノールアミンなどのアルカノールアミン;イミダ
ゾール、ピリジン、α−ピコリン、ルチジン、ビピリジ
ン、o−トルイジン、ピペリジンなどの複素環式アミン
など)、イミン類(例えば、エチレンイミン、N−フェ
ニルエチレンイミンなど)、アミド類(例えば、N,N
−ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド類(例え
ば、ジメチルスルホキシド、ジイソプロピルスルホキシ
ドなど)、アルデヒド類(例えば、アセトアルデヒドな
どの脂肪族アルデヒド;ベンズアルデヒドなどの芳香族
アルデヒドなど)、エーテル類(例えば、ジエチルエー
テル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどの鎖
状エーテル;アニソール、ジフェニルエーテルなどの芳
香族エーテル;テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソ
ラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサンなどの
環状エーテルなど)、ケトン類(例えば、アセトン、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの脂肪
族ケトン;シクロヘキサノンなどの脂環族ケトン;アセ
トフェノンなどの芳香族ケトンなど)、ラクトン類(例
えば、ε−カプロラクトンなど)、エステル類(例え
ば、酢酸メチル、プロピオン酸エチルなどの有機カルボ
ン酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸メチルなど
の不飽和カルボン酸アルキルエステルなど)、ニトリル
類(例えば、アセトニトリル、アクリロニトリル、ベン
ゾニトリルなど)、ニトロ化合物(例えば、ニトロメタ
ンなどの脂肪族ニトロ化合物;ニトロベンゼンなどの芳
香族ニトロ化合物など)、又はこれらの混合溶媒などが
含まれる。
【0044】なお、溶媒として前記(3)酸や反応剤
(アルコールなど)を用いる場合には、上記有機溶媒を
使用する必要はない。
【0045】なお、反応系に、触媒活性の向上など必要
に応じて、アミノ基、置換アミノ基(例えば、モノ又は
ジアルキルアミノ基など)または第4アンモニウム基な
どの塩基性基を有する樹脂やイオン交換樹脂(例えば、
ピリジンとホルムアルデヒドとの反応により生成するピ
リジン樹脂などのアミン樹脂など)などを添加してもよ
い。
【0046】カルボニル化反応は、例えば、10〜25
0℃、好ましくは25〜200℃、さらに好ましくは3
0〜170℃程度の温度で、常圧〜150気圧程度(好
ましくは常圧〜100気圧程度、通常10〜70気圧程
度)で行う場合が多い。
【0047】本発明の特色は、前記カルボニル化触媒の
存在下、アセチレン系又はアレン系不飽和化合物のカル
ボニル化において、前記不飽和化合物の転化率を90%
以上[好ましくは93%以上(例えば、93〜100
%)、さらに好ましくは95%以上(例えば、95〜9
9.8%)]に維持しつつカルボニル化することであ
る。この方法では、長期間に亘り安定した高い転化率で
カルボニル化生成物を連続的に製造できるため、本発明
は工業的にカルボニル化生成物を製造する上で極めて有
用である。本発明において、連続反応は気相系で行って
もよく、液相系で行ってもよい。液相反応におけるカル
ボニル化反応を例にとって、その製造方法を説明する。
【0048】反応は、例えば、反応器内に予め所定量の
触媒および溶媒を仕込み、所定量のアセチレン系又はア
レン系不飽和化合物および一酸化炭素で構成された反応
成分を供給しながら行うことができる。反応剤として
水、アルコール又はカルボン酸を用いる場合、反応器内
に反応剤を予め所定量仕込んでもよく、または所定量供
給しながら反応させてもよい。なお、反応器内に所定量
の反応剤を予め仕込んで反応させる場合、所定量の反応
剤を供給あるいは補充してもよい。
【0049】反応生成物を効率よく得るには、例えば、
反応器内の反応混合液の液面がほぼ一定となるように反
応混合液を抜きとり、抜きとった反応混合液を気液分離
手段を用いて、ガス成分(例えば、非凝縮成分及び溶存
ガス成分)と液体成分とに分離し、さらに分離した液体
成分を蒸留塔などの分離精製手段を用いて、反応生成物
と触媒含有成分とに分離して反応生成物を得るととも
に、触媒含有成分を反応器に循環させるのが好ましい。
なお、気液分離器で分離したガス成分(原料の不飽和化
合物や一酸化炭素など)は、分離精製して又は分離精製
することなく反応器へ循環し再利用してもよい。また、
触媒含有成分を効率よく循環させて利用するため、仕込
み混合液と同一組成の混合液を予め気液分離器および蒸
留塔などの分離器に供給していてもよい。
【0050】本発明において、例えば、カルボニル化触
媒、反応成分、反応温度及び反応圧力などの種々のファ
クターをコントロールすることにより、90%以上とい
う高い転化率を維持しながらカルボニル化生成物を連続
的に製造できる。
【0051】具体的には、カルボニル化触媒に関連した
ファクターとしては、例えば、触媒の組成、組成比(構
成割合)および使用量などが含まれる。カルボニル化触
媒が、(1)周期表第VIII族金属源(例えば、テトラキ
ストリフェニルホスフィン白金などの白金源)、(2)
配位子(例えば、トリフェニルホスフィンなどの第3有
機ホスフィン)、(3)酸(例えば、(メタ)アクリル
酸などのプロトン酸)で構成されている場合、各成分の
組合せ割合は、例えば、以下の範囲から選択できる。 カルボニル化触媒の組合せ割合: (2)配位子:第VIII族金属源1モルに対して2〜10
0モル[例えば、5〜50モル、好ましくは5〜30モ
ル(例えば、10〜30モル)、さらに好ましくは10
〜25モル程度(例えば、15〜25モル程度)] (3)酸:第VIII族金属源1モルに対して2〜400モ
ル[例えば、10〜400モル、好ましくは5〜350
モル(例えば、100〜350モル)、さらに好ましく
は10〜350モル程度(例えば、200〜350モル
程度)]) カルボニル化触媒の使用量は、例えば、反応器の内容積
1L当たり触媒を構成する(1)第VIII族金属源が0.
0025〜0.01モル(好ましくは0.003〜0.
008モル、さらに好ましくは0.003〜0.005
モル程度)である範囲から選択できる。
【0052】触媒を構成する酸(3)として(メタ)ア
クリル酸などのカルボン酸を用いる場合、反応系内にア
ルコール(反応剤)が存在すると、カルボン酸とアルコ
ールとの反応によりカルボン酸エステルが生成し、反応
系内のカルボン酸濃度が低下する場合がある。そのた
め、酸(3)としてカルボン酸を用いる場合、反応混合
物中のカルボン酸濃度をほぼ一定に維持できるように、
カルボン酸を補充してもよい。カルボン酸の補充量は、
例えば、第VIII族金属源1モルに対して0.1〜14モ
ル/hr(好ましくは0.1〜12モル/hr程度)で
ある。なお、カルボン酸は、目的化合物に対応するカル
ボン酸を用いる場合が多い。
【0053】なお、溶媒として、例えば、メタノールD
に対する電子供与度△νDが2以上の化合物(例えば、
アニソールなどのエーテル類、アミン類など)を用いる
ことができる。
【0054】反応成分に関連したファクターとしては、
例えば、反応成分の組成、組成比(構成割合)および供
給量などが含まれる。反応成分[不飽和化合物(例え
ば、アセチレン、プロピンなどのC2-6アルキン又はア
レンなどのC3-6アレン系化合物)および一酸化炭素]
の構成割合は、例えば、以下の範囲から選択できる。 反応成分(不飽和化合物および一酸化炭素)の構成割
合: 一酸化炭素:不飽和化合物1モルに対して0.9〜10
モル(好ましくは1〜5モル、さらに好ましくは1〜3
モル程度) 反応成分の供給量は、例えば、反応器の内容積1L当た
り反応成分を構成する不飽和化合物が0.01〜5モル
/hr[例えば、0.01〜1モル/hr、好ましくは
0.1〜3モル/hr(例えば、0.1〜0.9モル/
hr)、さらに好ましくは0.1〜1モル/hr(例え
ば、0.3〜0.8モル/hr程度)]である範囲から
選択できる。
【0055】なお、反応剤としてアルコール(例えば、
メタノールなどのC1-10アルコールなど)を用いる場
合、アルコールの供給量は、例えば、前記反応成分を構
成している不飽和化合物1モルに対して1〜10モル
(好ましくは3〜8モル、さらに好ましくは3〜5モル
程度)の範囲から選択できる。また、アルコールは、予
め反応器に所定量[例えば、反応器の内容積1L当たり
0.5〜5モル(好ましくは1〜5モル程度)]を仕込
み、前記不飽和化合物1モルに対して1〜10モル(好
ましくは3〜8モル、さらに好ましくは3〜5モル程
度)を供給しながら反応させてもよい。
【0056】なお、反応温度は100〜200℃(好ま
しくは130〜170℃)、反応圧力は1〜100気圧
(好ましくは1〜70気圧)の範囲から選択できる。
【0057】本発明では、安定した高い転化率および選
択率でカルボニル化できるため、反応生成物は、慣用の
分離方法、例えば、瀘過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再
結晶、カラムクロマトグラフィーなどや、これらを組み
合わせた分離方法により、容易に分離精製できる。
【0058】
【発明の効果】本発明のカルボニル化方法では、長期間
に亘り高い転化率を維持しながらカルボニル化できる。
また触媒活性を長期間に亘り維持できるとともに、安定
してカルボニル化できる。そのため、アセチレン系又は
アレン系不飽和化合物を長期間に亘り高い転化率でカル
ボニル化して、カルボン酸やカルボン酸エステルなどの
カルボニル化生成物を工業的に有利に生成できる。ま
た、触媒活性の低下を抑制しながら、メタクリル酸メチ
ルなどのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸又はその
誘導体を、高い転化率で長期間安定して製造できる。
【0059】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0060】実施例1 メタクリル酸メチルを、4フッ化エチレン−パーフロア
ルキルビニルエーテル共重合樹脂でコーテングしている
内容積1000mLの撹拌付き圧力容器に気液分離器及
び蒸留塔を接続した装置を用いて連続製造した。前記圧
力容器(反応容器)には、プロピン、一酸化炭素、メタ
ノール、メタクリル酸および循環触媒液をそれぞれ供給
するための各供給口と、反応容器内の反応混合液の液面
を一定に維持するために反応混合液の出口を設けた。反
応容器の出口から抜きとった反応混合液は、気液分離器
により、ガス成分(非凝縮成分及び溶存ガス成分)と液
体成分とに常圧で分離し、さらに分離した液体成分を蒸
留塔に供給して、蒸留塔塔頂より目的化合物(メタクリ
ル酸メチル)を得るとともに、触媒成分を含有している
蒸留塔塔低液(循環触媒液)を反応容器に循環させた。
【0061】この反応容器にテトラキストリフェニルホ
スフィン白金4.00g、トリフェニルホスフィン1
8.4g、メタクリル酸75.0g、アニソール411
g、メタノール91.5gを仕込み、さらにこの仕込み
混合液と同一組成の混合液を気液分離器及び蒸留塔にも
供給した。反応容器内には常に反応混合液が600gと
なるように、液面計を用いて反応混合液を前記出口から
抜きとり液面を調整しながら、プロピンを毎時25.7
g、一酸化炭素を毎時17.3L、メタノールを毎時8
0.2g、および反応液中のメタクリル酸濃度を一定に
維持するためにメタクリル酸を毎時2.5gの割合で前
記各供給口から供給して、反応温度150℃、反応圧力
50気圧で連続的に反応させた。反応開始20時間後、
蒸留塔塔頂より得られたメタクリル酸メチルは毎時6
6.1gであった。反応開始100時間後、蒸留塔塔頂
より得られたメタクリル酸メチルは毎時66.3gであ
り、反応開始500時間後、蒸留塔塔頂より得られたメ
タクリル酸メチルは毎時65.9gであった。なお、前
記各時間ににおけるプロピンの転化率は98.9%、9
9.4%、98.8%であった。
【0062】実施例2 反応温度を140℃に変更した以外は実施例1と同一の
方法でメタクリル酸メチルを製造した。反応開始20、
100、200時間後、蒸留塔塔頂より得られたメタク
リル酸メチルは毎時64.7g、64.4g、64.4
gであり、各時間におけるプロピンの転化率は97.1
%、96.5%、96.6%であった。
【0063】比較例1 プロピンの供給量を毎時51.4g、メタノールの供給
量を毎時100.3gに変更した以外は実施例1と同一
の方法でメタクリル酸メチルを製造した。反応開始10
時間後、および20時間後の蒸留塔塔頂より得られたメ
タクリル酸メチルは、それぞれ、毎時89.6g、3
4.2gであり、各時間におけるプロピンの転化率は、
それぞれ、73.8%、31.0%であった。
【0064】比較例2 テトラキストリフェニルホスフィン白金の量を2.5g
に変更した以外は実施例1と同一の方法でメタクリル酸
メチルを製造した。反応開始10、20時間後、蒸留塔
塔頂より得られたメタクリル酸メチルは毎時56.4
g、38.6gであり、各時間におけるプロピンの転化
率は85.4%、63.1%であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 69/54 C07C 69/54 Z // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボニル化触媒の存在下、アセチレン
    系又はアレン系不飽和化合物と、一酸化炭素とを反応さ
    せるカルボニル化方法であって、前記不飽和化合物の転
    化率を90%以上に維持しつつカルボニル化することを
    特徴とするカルボニル化方法。
  2. 【請求項2】 カルボニル化触媒が少なくとも周期表第
    VIII族金属源を含んでいる請求項1記載のカルボニル化
    方法。
  3. 【請求項3】 カルボニル化触媒が(1)周期表第VIII
    族金属源と、(2)配位子と、(3)酸とで構成されて
    いる請求項1記載のカルボニル化方法。
  4. 【請求項4】 周期表第VIII族金属元素がコバルト、ニ
    ッケル、ロジウム、パラジウムおよび白金から選択され
    た少なくとも一種である請求項2又は3記載のカルボニ
    ル化方法。
  5. 【請求項5】 配位子がリン化合物である請求項3記載
    のカルボニル化方法。
  6. 【請求項6】 不飽和化合物がα−アセチレン系化合物
    またはアレン系化合物である請求項1記載のカルボニル
    化方法。
  7. 【請求項7】 さらに水、アルコールまたはカルボン酸
    を反応させる請求項1記載のカルボニル化方法。
  8. 【請求項8】 (1)周期表第VIII族金属源1モルに対
    して、(2)配位子2〜100モルと、(3)酸2〜4
    00モルとで構成されているカルボニル化触媒を反応器
    に仕込み、アセチレン系又はアレン系不飽和化合物1モ
    ルに対して一酸化炭素0.9〜10モルとで構成されて
    いる反応成分を反応器に供給しながら連続的に反応させ
    てカルボニル化生成物を製造する方法であって、反応器
    の内容積1L当たり第VIII金属源0.0025〜0.0
    1モルを含むカルボニル化触媒を反応器に仕込み、反応
    器の内容積1L当たり反応成分を構成するアセチレン系
    又はアレン系不飽和化合物を0.01〜5モル/hrで
    反応器に供給しながら前記不飽和化合物の転化率を90
    %以上に維持しつつ反応させる製造方法。
  9. 【請求項9】 反応器内の反応混合液の液面がほぼ一定
    となるように反応混合液を抜きとりつつ反応させて、抜
    きとった反応混合液をガス成分と液体成分とに分離し、
    さらに分離した液体成分を分離精製手段により反応生成
    物と触媒含有成分とに分離し、分離した触媒含有成分を
    反応器に循環させる請求項8記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項3記載のカルボニル化触媒の存
    在下、α−アセチレン系又はアレン系炭化水素と、一酸
    化炭素と、水、アルコール又は有機カルボン酸とを、前
    記炭化水素の転化率を93〜100%に維持しつつ反応
    させるカルボニル化方法。
  11. 【請求項11】 請求項3記載のカルボニル化触媒の存
    在下、アセチレン、プロピン又はアレンから選択された
    少なくとも一種の炭化水素と、一酸化炭素と、水、アル
    コール又は有機カルボン酸とを、前記炭化水素の転化率
    を90%以上に維持しつつ反応させて(メタ)アクリル
    酸又はその誘導体を製造する方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011111806A1 (en) * 2010-03-09 2011-09-15 Sumitomo Chemical Company, Limited METHOD FOR PRODUCING α, β-UNSATURATED CARBOXYLATE, AND CATALYST FOR PRODUCING THEREOF
KR102072475B1 (ko) * 2018-08-22 2020-02-03 한국화학연구원 아크릴산 제조용 촉매 및 이를 이용한 아크릴산의 제조방법

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