JPH11147855A - カルボニル化方法 - Google Patents

カルボニル化方法

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JPH11147855A
JPH11147855A JP9315674A JP31567497A JPH11147855A JP H11147855 A JPH11147855 A JP H11147855A JP 9315674 A JP9315674 A JP 9315674A JP 31567497 A JP31567497 A JP 31567497A JP H11147855 A JPH11147855 A JP H11147855A
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acid
group
compound
carbonylation
metal
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JP9315674A
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English (en)
Inventor
Masato Kawabe
正人 河辺
Kenji Kitayama
健司 北山
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 元素周期表第VIII族に属する金属錯体を含む
触媒系の存在下、エチレン系またはアセチレン系炭化水
素化合物をカルボニル化する際に起こる金属錯体のメタ
ル化を低減する。 【解決手段】 前記触媒系に、元素周期表第VIII族に属
する金属の原子またはイオンの供給源1molに対し
て、一般式(I) R12−P−R−P−R34 (I) (式中、R1、R2、R3及びR4は、同じかまたは異なっ
ており、それぞれ独立して置換または非置換アリール基
を表し、Rは、二価の炭化水素系有機基を表す)で示さ
れる二座ジホスフィンを0.1〜5molを添加するこ
とを特徴とするカルボニル化方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カルボニル化触媒
を用いて、少なくとも1つの炭素間不飽和結合を有する
エチレン系またはアセチレン系炭化水素化合物をカルボ
ニル化する方法に関する。さらに詳細には、元素周期表
第VIII族に属する金属に有機モノホスフィンが配位した
金属錯体化合物を含む触媒系の存在下に前記炭化水素化
合物をカルボニル化するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、元素周期表第VIII族に属する
金属の原子またはイオンの供給源及びホスフィンで構成
されたカルボニル化触媒の存在下、前記エチレン系また
はアセチレン系炭化水素化合物を、一酸化炭素及び求核
性化合物と反応させる工程を含む、カルボニル化方法が
提案されている。
【0003】例えば、欧州特許出願公開EP−A1−1
06379、EP−A1−235864、EP−A1−
274795、EP−A1−279477号公報には、
パラジウム化合物、トリアリールホスフィン及びプロト
ン酸で構成されたカルボニル化触媒の存在下、前記エチ
レン系及びアセチレン系炭化水素化合物をカルボニル化
する方法が開示されている。
【0004】また、特公平5−29212号公報、特開
昭61−176549号公報、特開昭62−72649
号公報、特開昭63−154646号公報には、2価の
パラジウム化合物、有機ホスフィン及びプロトン酸で構
成されたカルボニル化触媒の存在下に、エチレン系及び
アセチレン系炭化水素化合物をカルボニル化する方法が
開示されている。
【0005】さらに、特開平4−215851号公報に
は、元素周期表第VIII族金属源、イミノ窒素原子含有芳
香族置換基を有するホスフィン、プロトン源及びアルキ
ルスルホン酸アニオン源で構成されたカルボニル化触媒
系と、この触媒系を用いてエチレン系及びアセチレン系
炭化水素化合物をカルボニル化する方法が開示されてい
る。また、特開平4−21852号公報には、元素周期
表第VIII族金属源、イミノ窒素原子含有芳香族置換基を
有するホスフィン、プロトン源及び第三級アミンを含む
触媒系を用いてエチレン系及びアセチレン系炭化水素化
合物をカルボニル化する方法が開示されている。前記特
開平4−215851号公報及び特開平4−21585
2号公報には、元素周期表第VIII族金属源として、パラ
ジウム化合物が好ましいと記載されている。
【0006】特開平8−84933号公報には、パラジ
ウム以外の元素周期表第VIII族金属源、配位子、電子供
与度ΔνDが2以上である電子供与性化合物で構成され
たカルボニル化触媒系と、この触媒系を用いてエチレン
系及びアセチレン系炭化水素化合物をカルボニル化する
方法が開示されている。
【0007】これらの方法によれば、例えば、メチルア
セチレン、一酸化炭素及びアルコールからメタクリル酸
エステルを合成することができる。そのため、多量の硫
酸を使用しなければならない従来のアセトンシアンヒド
リン法による方法と比較して、廃液による汚染や作業上
の危険性にかかる問題を生じることなくメタクリル酸エ
ステル等を製造できるという利点がある。
【0008】しかしながら、前記方法のごとき触媒系を
使用して実際にカルボニル化反応を行うと、反応中に元
素周期表第VIII族金属錯体化合物から配位子が脱離し、
メタル化した金属が生じるために触媒活性が低下してし
まう。従って、触媒活性を復元するために、メタル化後
の金属を回収して金属錯体に再生する必要が生じる。と
ころが、特にロジウム、パラジウム、イリジウム、白金
などの貴金属を錯体化合物に再生するためには多くの工
程を経る必要があり、またメタル化の度合いが大きい場
合には再生コストが嵩み、カルボニル化反応生成物の製
造コストの増大につながる。このような理由から、前記
触媒系においてメタル化を防止することが、当該技術分
野において希求されている。
【0009】この金属錯体メタル化の速度は、錯体を形
成している金属の種類によって異なり、パラジウムの錯
体は最も速やかにメタル化する。そこで、前記特開平8
−84933号公報には、より安定な触媒活性の供給が
期待される触媒系として、パラジウム以外の元素周期表
第VIII族金属源、配位子及び電子供与度ΔνDが2以上
である電子供与性化合物で構成されたカルボニル化反応
の触媒系が提案されている。しかし、この触媒系におい
てもやはり、元素周期表第VIII族金属錯体のメタル化を
避け難いという現状にある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、元素周期表第VIII族に属する金属の原子またはイオ
ンの供給源、配位子及び酸を含む触媒系の存在下に、少
なくとも1つの炭素間不飽和結合を有するエチレン系ま
たはアセチレン系炭化水素化合物と、一酸化炭素と、求
核性化合物とを反応させる際に生じる、元素周期表第VI
II族金属錯体化合物のメタル化を低減することができる
カルボニル化方法を提供することにある。
【0011】本発明の他の目的は、上記の方法によって
得られる不飽和もしくは飽和カルボン酸、またはそれら
のエステル、酸無水物などの誘導体であるカルボニル化
反応生成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意検討した結果、元素周期表第VIII
族に属する金属の原子またはイオンの供給源と、配位子
と、酸とを含む触媒系の存在下に、少なくとも1つの炭
素間不飽和結合を有するエチレン系またはアセチレン系
炭化水素化合物と、一酸化炭素と、水、アルコール及び
カルボン酸よりなる群から選択される少なくとも1つの
求核性化合物とを反応させる工程を含むカルボニル化方
法において、適量の二座ジホスフィンを添加することに
よって元素周期表第VIII族金属錯体のメタル化が低減で
きることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】すなわち、本発明は、前記元素周期表第VI
II族に属する金属の原子またはイオンの供給源1mol
に対して、一般式(I) R12−P−R−P−R34 (I) (式中、R1、R2、R3及びR4は、同じかまたは異なっ
ており、それぞれ独立して置換または非置換アリール基
を表し、Rは、二価の炭化水素系有機基を表す)で示さ
れる二座ジホスフィンを0.1〜5molを添加して反
応工程が進行されることによって、反応の際に引き起こ
される元素周期表第VIII族金属錯体のメタル化を低減で
きることを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。なお、本明細書において、少なくとも1つの炭素間
不飽和結合を有するエチレン系またはアセチレン系炭化
水素化合物とは、二重結合または三重結合の数または位
置の如何を問わず、エチレン性またはアセチレン性不飽
和結合を有する炭化水素化合物を意味し(以下、エチレ
ン系またはアセチレン系炭化水素化合物と称する)、二
重結合及び三重結合の双方を含む不飽和炭化水素もこれ
に含まれる。また、メタル化とは、触媒系の第一及び第
二成分によって形成される金属錯体化合物から配位子が
脱離して、金属原子またはイオンが、触媒活性を有しな
い金属状の形態に変換することを意味する。
【0015】先ず、カルボニル化触媒の各成分について
詳説する。
【0016】(1)元素周期表第VIII族に属する金属の
原子またはイオンの供給源 本発明において金属供給源とは、カルボニル化触媒の第
二成分である配位子と比較的安定な錯体を形成して有効
な触媒活性を発揮することができる金属の原子またはイ
オンを供給できる金属及び/または金属化合物である。
【0017】元素周期表第VIII族に属する金属元素に
は、例えば、ルテニウムRu、ロジウムRh、パラジウ
ムPd、オスミウムOs、イリジウムIr、白金Pt、
鉄Fe、コバルトCo及びニッケルNiが含まれる。な
お、1990年以降において、前記元素は、元素周期表第8
族元素(Fe、Ru、Os)、第9族元素(Co、R
h、Ir)、第10族元素(Ni、Pd、Pt)に分類
されている。本発明において好ましい元素周期表第VIII
族金属元素としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウ
ム、オスミウム、イリジウム及び白金より選択された少
なくとも1種、好ましくはパラジウム及び白金より選択
された少なくとも1種、特に好ましくは白金が挙げられ
る。前記元素の酸化数は、特に制限されず金属の種類に
応じて種々選択可能であり、例えば、0、+2、+3、
+4などであってもよい。
【0018】元素周期表第VIII族に属する金属の原子ま
たはイオンの供給源は、好ましくは当該金属元素の化合
物である。
【0019】かかる金属化合物としては、例えば、無機
酸塩(硝酸塩、硫酸塩、過ハロゲン酸塩、及び塩化水
素、臭化水素などのハロゲン化水素酸の塩等)、有機酸
塩(メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンス
ルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸の
塩、ホスホン酸塩、及びギ酸、酢酸、プロピオン酸など
の炭素数12以下のカルボン酸の塩等)、ハロゲン化物
(塩化物、臭化物、ヨウ化物等)、錯体または錯塩など
が挙げられる。
【0020】錯体を構成する配位子は、例えば、OH
(ヒドロキソ)、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数
1〜4のアシル基、炭素数1〜4のアルコキシ−カルボ
ニル基、アセチルアセトナト、シクロペンタジエニル
基、シクロオクタジエニル基、ベンジリデン基、ベンジ
リデンアセトン、ベンジリデンアセチルアセトナト、ベ
ンジリデンアセトフェノン、シクロオクタジエンなどの
シクロアルカジエン、ハロゲン原子、CO、CN、酸素
原子、H2O(アコ)、ホスフィン(例えば、トリフェ
ニルホスフィンなどのトリアリールホスフィン)NH3
(アンミン)、NO、NO2(ニトロ)、NO3(ニトラ
ト)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピリ
ジン、フェナントロリン、ビピリジルなどの窒素含有化
合物などが挙げられる。錯体または錯塩において、同種
または異種の配位子は、一種または二種以上配位してい
てもよい。
【0021】錯体または錯塩としては、例えば、アセチ
ルアセトン白金、ジベンジリデンアセトン白金、ジベン
ジリデンアセチルアセトン白金、ジベンジリデンアセト
フェノン白金などのジベンジリデンケトン白金、ジシク
ロオクタジエン白金、ジクロロビス(トリフェニルホス
フィン)白金、酢酸ビス(トリフェニルホスフィン)白
金、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金、テト
ラキス(ジフェニル−2−ピリジルホスフィン)白金、
ヘキサクロロ白金(IV)酸などの白金錯体または錯塩、
及びこれらに対応する前記元素周期表第VIII族金属の原
子またはイオンの供給源のうち、元素周期表第VIII族金
属化合物、特に錯体または錯塩を用いる場合が多い。
【0022】(2)配位子 次に、触媒系の第二成分である配位子は、前記金属原子
またはイオンの供給源たる金属化合物(錯体または錯
塩)を構成する配位子とは異なる場合が多く、前記金属
原子またはイオンに配位可能なものである。配位子は、
少なくとも1つのリン原子を含む有機リン化合物、少な
くとも1つのヒ素原子を含む有機ヒ素化合物、または少
なくとも1つのアンチモン原子を含む有機アンチモン化
合物であるとよい。このうち、触媒を形成する配位子と
して、好ましくは有機リン化合物、より好ましくは有機
ホスフィン、特に好ましくは有機モノホスフィンを選択
できる。かかる配位子は、一種または二種以上の組合せ
でも使用できる。
【0023】リン原子に結合する3つの置換基は、それ
ぞれ置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル
基、アルキニル基、シクロアルキル基、またはアリール
基であるとよい。特に好ましくは、前記3つの置換基の
うち少なくとも1つの置換基がフェニル基や置換フェニ
ル基などのアリール基である。また、アリール基ととも
に2つの置換基の結合により形成されるアルキレン基も
好ましい。
【0024】配位子として使用される有機モノホスフィ
ンは、第1ホスフィン(例えば、イソブチルホスフィ
ン、シクロヘキシルホスフィンなど)、第2ホスフィン
(例えば、ジイソブチルホスフィン、ジフェニルホスフ
ィン、ジシクロヘキシルホスフィンなど)、及び第3ホ
スフィンより選択できる。好適に使用される有機モノホ
スフィンには、第3有機モノホスフィン、好ましくは置
換基を有してもよい芳香族性の同素環基または複素環基
を有する第3有機モノホスフィン、より好ましくは置換
基を有しもよいアリール基を有する第3有機モノホスフ
ィンが含まれる。
【0025】前記第3有機モノホスフィンとして、例え
ば、トリフェニルホスフィン、トリ(4−トリル)ホス
フィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィンな
どの置換基を有していてもよいトリアリールホスフィ
ン;メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホ
スフィンなどのモノC1〜10アルキルジアリールホスフ
ィン;ジメチルフェニルホスフィン、ジエチルフェニル
ホスフィンなどのジC1〜10アルキルモノアリールホス
フィン;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン
などのトリC1〜10アルキルホスフイン;シクロヘキシ
ルジフェニルホスフィンなどのモノC4〜10シクロアル
キルジアリールホスフィン;ジシクロヘキシルフェニル
ホスフィンなどのジC4〜10シクロアルキルモノアリー
ルホスフィン;トリシクロヘキシルホスフィンなどのト
リC4〜10シクロアルキルホスフィン;2−ピリジルジ
フェニルホスフィン、ビス(2−ピリジル)フェニルホ
スフィン、トリス(2−ピリジル)ホスフィン、トリス
(6−メチル−2−ピリジル)ホスフィン、2−ピリジ
ルビスメチルホスフィン、ビス(2ーピリジル)メチル
ホスフィン、6−メトキシ−2−ピリジルジフェニルホ
スフィン、ビス(6−メトキシ−2−ピリジル)フェニ
ルホスフィン、ジフェニル(4、6−ジメチル−2−ピ
リジル)ホスフィン、ビス(6−クロロ−2−ピリジ
ル)フェニルホスフィン、ビス(6−ブロモ−2−ピリ
ジル)フェニルホスフィンなどの、ピリジル基等のチッ
素含有複素環基を有するホスフィンなどが例示される。
【0026】配位子として好適な有機ホスフィンは、置
換基を有してもよいトリフェニルホスフィンなどの安価
で繁用性の高いトリアリールホスフィンであり、本発明
では、特にトリフェニルホスフィンが好ましい。
【0027】(3)ブレンステッド酸 触媒系にはさらにブレンステッド酸が含まれる。ブレン
ステッド酸として、無機酸(例えば、硫酸、硝酸、ハロ
ゲン化水素酸、リン酸、過ハロゲン酸、ヘテロポリ酸な
ど)、及び有機酸(例えば、スルホン酸、ホスホン酸、
カルボン酸、アミノ酸など)が挙げられる。これらの酸
は、一種または二種以上組み合わせて使用することがで
きる。
【0028】さらに詳細には、前記無機酸としては、硫
酸;硝酸;塩化水素酸、臭化水素酸などのハロゲン化水
素酸;オルトリン酸、ピロリン酸などのリン酸;過塩素
酸などの過ハロゲン酸;リンモリブデン酸、ケイタング
ステン酸、バナドモリブデン酸などのV、W、またはM
o原子等を含むヘテロポリ酸などが挙げられる。
【0029】有機酸には、例えば、ベンゼンスルホン
酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸な
どの、置換基を有していてもよいアリールスルホン酸;
メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホ
ン酸、t−ブチルスルホン酸、2−ヒドロキシプロパン
スルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリクロ
ロメタンスルホン酸などの置換基を有していてもよいア
ルキルスルホン酸;ベンゼンホスホン酸などのホスホン
酸;クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリ
フルオロ酢酸、アセチル酢酸、ギ酸、酢酸、プロピオン
酸、n−酪酸、イソ酪酸、ピバリン酸、吉草酸、カプロ
ン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチ
ン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、シュウ酸などの、
置換基を有していてもよい飽和脂肪族カルボン酸;アク
リル酸、メタクリル酸、プロピオール酸、クロトン酸、
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、オ
レイン酸などの不飽和脂肪族カルボン酸;シクロヘキサ
ンカルボン酸などの脂環族カルボン酸;安息香酸、フタ
ル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族カルボ
ン酸;アスパラギン酸、グルタミン酸などのアミノ酸な
どが挙げられる。
【0030】前記酸は、酸性イオン交換樹脂、例えば、
スルホン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基などを有
するイオン交換樹脂などであってもよい。
【0031】なお、これらの酸のうち好ましいのは、例
えば、カルボン酸(飽和脂肪族カルボン酸、不飽和脂肪
族カルボン酸、脂環族カルボン酸、芳香族カルボン酸
等)であり、特に脂肪族不飽和カルボン酸、なかでもメ
タクリル酸が好ましい。
【0032】(4)二座ジホスフィン 二座ジホスフィンは、一般式(I) R12−P−R−P−R34 (I) (式中、R1、R2、R3及びR4は、同じかまたは異なっ
ており、それぞれ独立して置換または非置換アリール基
を表し、Rは、二価の炭化水素系有機基を表す)で示さ
れる。二価の炭化水素系有機基は、その炭化水素主鎖の
各端部で式中の2つのリン原子とそれぞれ結合すること
ができる、置換されていてもよい、炭化水素を主鎖とす
る二価の有機性基を称する。R1、R2、R3及びR4は、
好ましくは同じかまたは異なるフェニル基または置換さ
れたフェニル基であり、Rは、好ましくは二価の直鎖状
飽和炭化水素基である。特に、安価で繁用性が高いとい
う点で、R1、R2、R3及びR4がすべてフェニル基であ
り、Rが炭素原子2〜5を含む二価の直鎖状飽和炭化水
素基であることが好ましい。好適に使用される二座ホス
フィンとして、例えば、1,2-ビス(ジフェニルホスフィ
ノ)エタン(DPPE)、1,3-ビス(ジフェニルホスフ
ィノ)プロパン(DPPP)、1,4-ビス(ジフェニルホ
スフィノ)ブタンなどが挙げられ、特に本発明において
元素周期表第VIII族金属錯体のメタル化を低減する効果
に優れることに鑑み、1,4-ビス(ジフェニルホスフィ
ノ)ブタン(DPPB)が好ましい。
【0033】本発明に使用される触媒系は、均一触媒、
不均一触媒のいずれであってもよい。液相反応に利用す
る場合、触媒系は均一系とすることが好ましい。また、
必要に応じて触媒系は、活性炭、アルミナ、シリカなど
の担体に前記触媒成分が担持された固相系を構成しても
よい。
【0034】触媒系を構成する各成分の割合は、各触媒
成分の種類などに応じて、触媒活性が損なわれず、安定
性を維持できる範囲で選択できる。
【0035】触媒系に含まれる配位子の割合は、例え
ば、前記周期表第VIII族金属原子またはイオン供給源に
含まれる金属原子またはイオン1モルに対して、0.1
〜1000モル、好ましくは0.5〜500モル、さら
に好ましくは1〜100モル程度であり、1〜50モル
程度である場合が多い。
【0036】また、触媒中のブレンステッド酸の割合
は、例えば、前記周期表第VIII族原子またはイオン供給
源に含まれる金属原子またはイオン1モルに対して、
0.1〜1000モル、好ましくは1〜500モル、さ
らに好ましくは5〜250モル程度であり、5〜150
モル程度である場合が多い。このブレンステッド酸1モ
ルに対する配位子の割合は特に限定されず、例えば、
0.01〜50モル、好ましくは0.02〜10モル、
さらに好ましくは0.05〜5モル程度であり、0.0
5〜3モル程度である場合が多い。
【0037】また、適用可能な二座ジホスフィンの添加
量の範囲は、前記元素周期表第VIII族に属する金属の原
子またはイオン1molに対して、0.1〜5mol、
好ましくは0.5〜2molであり、この範囲よりも添
加量が少ないと金属錯体のメタル化がより生じやすく、
また多すぎるとおそらくは前記有機モノホスフィン等の
配位子が金属に配位できる量が低減されるために高活性
を有する触媒が少量しか得られず、カルボニル化反応が
ほとんど進行しないことがある。すなわち、二座ジホス
フィンは、単に触媒安定化剤としての役割を果たしてい
るにすぎず、それ自体が金属に配位して錯体を形成して
も触媒活性を発揮することはほとんどないと考えられ
る。
【0038】本発明のカルボニル化方法では、以上詳説
した触媒系の存在下、エチレン系またはアセチレン系炭
化水素化合物と、一酸化炭素と、水、アルコール及びカ
ルボン酸より選択される求核性化合物とを反応させ、カ
ルボニル化反応生成物を製造する。
【0039】エチレン系またはアセチレン系炭化水素化
合物は、前記したように二重結合または三重結合の数ま
たは位置の如何を問わず、少なくとも1つの炭素間不飽
和結合を有するエチレン系またはアセチレン系炭化水素
化合物であり、好ましくは非対称のエチレン系またはア
セチレン系炭化水素化合物、さらに好ましくは炭化水素
主鎖の少なくとも一端部に炭素間不飽和結合を有する、
アレンを含むエチレン系、またはアセチレン系炭化水素
化合物である。これら炭化水素化合物の有する炭素数
は、例えば、2〜30、好ましくは2〜20、特に好ま
しくは2〜10程度である。これらの不飽和炭化水素に
は、置換基を有していてもよいアルキン、アルケン、シ
クロアルキン、シクロアルケンや架橋構造を有する不飽
和炭化水素が含まれる。また、エチレン系またはアセチ
レン系炭化水素化合物1分子中に三重結合と二重結合と
を有していてもよい。
【0040】前記不飽和炭化水素化合物は、種々の置換
基、例えば、ハロゲン原子、シクロアルキル基、アリー
ル基、アラルキル基、シアノ基、アシル基、アシルオキ
シ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ハロアルキル
基、ハロアルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカ
ルボニル基、アミノ基、モノアルキルアミノ基やジアル
キルアミノ基などのN−置換アミノ基、アミド基、アセ
トアミド基などのN−置換アミド基などを有していても
よい。
【0041】エチレン系炭化水素化合物には、例えば、
エチレン、プロピレン、フェニルエチレン、1−ブテ
ン、2−ブテン、1−ペンテン、3−メチルペンテン−
1、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、2−
オクテン、4−オクテン、アレン、シクロヘキセン、ノ
ルボルナジエンなどが含まれる。
【0042】アセチレン系炭化水素化合物としては、例
えば、アセチレン、プロピン、1−ブチン、2−ブチ
ン、1−ペンチン、1−ヘキシン、1−ヘプチン、1−
オクチン、2−オクチン、4−オクチン、1,7−オク
タジイン、5−メチル−3−ヘプチン、4−プロピル−
2−ペンチン、1−ノニン、フェニルアセチレン、ベン
ジルエチン及びシクロヘキシルエチンなどが例示でき
る。
【0043】これらのエチレン系またはアセチレン系炭
化水素化合物をカルボニル化する反応において使用され
る求核性化合物は、アルコール類などのヒドロキシル基
を有する化合物、水、カルボン酸よりなる群から選択さ
れる。また、アルコール類にはシラノールも含まれる。
【0044】アルコール類は、脂肪族、脂環式、芳香族
アルコールやフェノール類であってよく、一価または多
価アルコールであってもよい。アルコール類は、前記不
飽和化合物の項で述べた置換基のうち、ヒドロキシル基
を除く1または2以上の置換基を有していてもよい。好
ましいアルコール類には、炭素数1〜20程度、特に1
〜10程度の一価アルコールが含まれる。
【0045】具体的には、一価アルコール類として、例
えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2
−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1
−メチルプロパン−1−オール、2−メチルプロパン−
2−オール、1−ヘキサノール、1−オクタノール、2
−エチルヘキサノール、ステアリルアルコール、アリル
アルコール、クロチルアルコール、プロパルギルアルコ
ールなどの脂肪族アルコール;シクロペンタノール、シ
クロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、シ
クロヘキセン−1−オール、シクロヘプタノール、シク
ロオクタノール、ボルネオールなどの脂環族アルコー
ル;ベンジルアルコール、サリチルアルコール、ベンズ
ヒドロール、フェネチルアルコールなどの芳香族アルコ
ールなどが含まれる。フェノール類には、フェノール、
アルキルフェノール、レゾルシノール、カテコール、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなど
が挙げられる。
【0046】多価アルコールには、例えば、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、トリメチレングリコー
ル、テトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオ
ール、グリセロール、トリメチロールプロパン(2,2
−ビスヒドロキシメチル−1−ブタノール)、ペンタエ
リスリトール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,
4−シクロヘキサンジオール、多糖類(例えば、グルコ
ース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、サッ
カロース、アルドキノース、アルドペントース、アルト
ロース、アロース、タロース、グロース、イドース、リ
ボース、アラボノース、キシロース、リキソース、エリ
トロース、トレオース及びセルロースなど)などが含ま
れる。
【0047】本発明の反応において使用される求核性化
合物として好ましいアルコール類は、上記脂肪族飽和ア
ルコールであり、特にメタノールが好ましい。
【0048】求核性化合物として使用できるカルボン酸
としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ
酪酸、ピバリン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、
カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸などの脂肪族カルボン酸、シクロヘキ
サンカルボン酸などの脂環族カルボン酸、安息鉱酸、フ
タル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族カル
ボン酸、アクリル酸、メタクリル酸、プロピオール酸、
クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メ
サコン酸、オレイン酸などの不飽和カルボン酸などが例
示される。カルボン酸は、脂肪族カルボン酸、好ましく
は炭素数2〜20程度、さらに好ましくは炭素数2〜1
8程度のカルボン酸、特に炭素数2〜10程度のカルボ
ン酸である場合が多い。
【0049】前記カルボニル化反応により、使用される
求核性化合物の種類に応じて、エチレン系不飽和化合物
またはアセチレン系不飽和化合物の各々に対応する化合
物が得られる。例えば、求核性化合物として水を用いる
場合には、カルボニル化反応により、エチレン系不飽和
化合物及びアセチレン系不飽和化合物に対応して、カル
ボン酸及びα,β−不飽和カルボン酸などの不飽和カル
ボン酸が生成する。また、求核性化合物にアルコールを
使用する場合には、前記カルボン酸及び不飽和カルボン
酸に対応するエステルが生成する。さらに、カルボン酸
を用いる場合には、前記カルボン酸及び不飽和カルボン
酸に対応する酸無水物が生成する。
【0050】例えば、エチレン系不飽和化合物としてア
レンを用い、求核性化合物としてメタノールまたは水を
用いると、一酸化炭素との反応により、メタクリル酸メ
チルまたはメタクリル酸を生成させることができる。ま
た、アセチレン系不飽和化合物としてメチルアセチレ
ン、求核性化合物としてメタノールまたは水を用いて
も、一酸化炭素との反応により、メタクリル酸メチルま
たはメタクリル酸を生成させることができる。
【0051】従って、本発明の方法において、水素イオ
ン供給源である求核性化合物の種類は、目的とする反応
生成物に応じて選択でき、好ましくは、水、アルコール
及びカルボン酸よりなる群から選択される。
【0052】本発明のカルボニル化反応における各成分
の割合は広い範囲で選択でき、例えば、前記3成分を含
む触媒系は、アセチレン系またはエチレン系不飽和化合
物1重量部に対して0.1〜100重量部、好ましくは
0.5〜10重量部程度であり、特に好ましくは0.5
〜5重量部程度である。
【0053】求核性化合物の使用量は、例えば、エチレ
ン系またはアセチレン系不飽和化合物1モルに対して、
0.1〜100モル(例えば1.0〜20モル)、好ま
しくは0.8〜10モル(例えば1.2〜10モル)、
さらに好ましくは1.0〜5モル(例えば1.5〜5モ
ル)程度であり、水を求核性化合物として用いる場合に
は、前記不飽和化合物1モルに対して0.5〜10モル
程度であってもよい。なお、求核性化合物は反応溶媒と
して使用することもできる。
【0054】本発明において、一酸化炭素としては、純
粋な一酸化炭素を用いてもよく、また、窒素、ヘリウ
ム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガスで希釈した
一酸化炭素を使用してもよい。反応の際に、例えば、反
応器気相部の一酸化炭素分圧は、2〜100atm、好
ましくは10〜70atmにするとよい。また、一酸化
炭素は、例えば、エチレン系またはアセチレン系不飽和
化合物1モルに対して、0.5〜1.5モル、好ましく
は1〜1.3モルが供給されるようにするとよい。カル
ボニル化反応の進行に際して、反応液中の一酸化炭素濃
度が上記の通りに保たれる限りにおいて反応槽内の全圧
は特に限定されないが、1〜150atm程度(好まし
くは1〜100atm、通常、10〜70atm程度)
で行なうとよい。
【0055】本発明のカルボニル化反応は、例えば、1
0〜250℃、好ましくは25〜200℃程度の温度で
行うことができる。
【0056】また、この反応は、触媒活性及びその安定
性を損なうことがなく、各成分を実質的に均一に溶解ま
たは分散することができる不活性な有機溶媒中で行なう
ことが好ましい。有機溶媒としては、例えば、ヘキサ
ン、オクタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、アニソ
ールなどの芳香族炭化水素誘導体、クロロホルム、ジク
ロロメタン、四塩化炭素、クロロベンゼンなどのハロゲ
ン化炭化水素及びこれらの混合溶媒などが挙げられる。
なお、溶媒として前記求核性化合物を用いる場合には、
必ずしもこれらの有機溶媒を使用する必要はない。
【0057】反応は、バッチ式、セミバッチ式や連続式
などの慣用の方法で行なうことができる。バッチ式で反
応を行う場合、反応時間は、0.05〜5時間、好まし
くは0.05〜3時間とすればよく、また反応をセミバ
ッチ式または連続式で行う場合、反応混合物の槽内滞留
時間は、0.15〜15時間、好ましくは0.15〜9
時間に調節するとよい。
【0058】カルボニル化反応終了後、慣用の方法、例
えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラム
クロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組合せ
た分離手段によって反応産物を分離精製し、目的の反応
生成物を単離することができる。
【0059】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をさらに詳
細に説明するが、本発明は、もとよりこれらの実施例に
よって限定されるものではない。
【0060】(実施例1)反応器(ステンレス製電磁攪
拌式ジャケット付きオートクレーブ)に、テトラキス
(トリフェニルホスフィン)白金1.63重量%、トリ
フェニルホスフィン3.1重量%、メタクリル酸19重
量%及び前記白金1molに対して1molの二座ジホ
スフィン(DPPB、1,4-ビス(ジフェニルホスフィ
ノ)ブタン)を含む触媒液(溶媒:アニソール)100
重量部に対して、メタノール17.1重量部、メチルア
セチレン5.4重量部を連続的に仕込み、また、反応器
気相部の一酸化炭素分圧が50atmになるように一酸
化炭素を連続的に供給した。反応器ジャケットには熱媒
を流し、反応温度が130℃になるように調節した。さ
らに、反応器内の滞留時間が60分となるように、反応
器内の液面を一定に維持し、反応液を連続的に抜き取っ
た。抜き取った反応液は常圧にパージして溶存ガスを除
いた後、ガラス製オールダショウ蒸留塔(30段、還流
比1、圧力220mmHg)において蒸留分離した。蒸
留分離によって、未反応メタノール及び反応生成物であ
るメタクリル酸メチルと触媒液を分離し、触媒液を反応
器にリサイクルした。
【0061】以上の方法で計300時間反応を連続的に
進行させてメタクリル酸メチル(MMA)を製造したと
ころ、触媒液中の白金錯体化合物濃度は徐々に低下し
て、100時間当たり50ppmの白金メタルが沈降
し、生成したMMAに対する白金メタル沈降量の割合
は、19mg/kg・MMAであった。
【0062】(比較例1)二座ジホスフィン(DPP
B)を添加しなかったことを除いては、実施例1と同様
の条件で連続的にメタクリル酸メチルを製造した。触媒
液中の白金濃度は徐々に低下し、反応終了後に反応器内
部を確認したところ、白金錯体化合物がメタルとなって
沈降しており、白金メタル沈降量は、100時間当たり
200ppmであった。生成したMMAに対する白金メ
タル沈降量の割合は、75mg/kg・MMAであっ
た。
【0063】(比較例2)白金1molに対して5mo
lという多量の二座ジホスフィン(DPPB)を添加し
たことを除いては実施例1と同様の条件で連続的に反応
を行った。 100時間後にもMMAは生成せず、二座
ジホスフィンの配合量が多すぎるとカルボニル化反応が
進行しないことが明らかになった。
【0064】(比較例3)トリフェニルホスフィンを添
加しなかったことを除いては実施例1と同様の条件で連
続的に反応を行った。 100時間後にもMMAは生成
せず、二座ジホスフィンのみ添加した場合にはカルボニ
ル化反応が進行しないことが明らかになった。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のカルボニ
ル化方法は、適量の二座ジホスフィンを添加することに
よって、元素周期表第VIII族金属の錯体を含む触媒系を
利用しても金属錯体のメタル化が抑制され、効率よく金
属触媒系を利用することができるものである。従って、
本発明により、メチルアセチレンなどのエチレン系また
はアセチレン系炭化水素化合物をカルボニル化して、産
業上有用なメタクリル酸メチル等の反応生成物を得る上
で、特に貴金属のメタル化物の回収及び再生に伴う労力
や費用が低減でき、所望の生成物を高収率にて得ること
ができるという効果が奏される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)元素周期表第VIII族に属する金属
    の原子またはイオンの供給源、(2)有機リン化合物、
    有機ヒ素化合物及び有機アンチモン化合物より選択され
    る配位子ならびに(3)ブレンステッド酸を含む触媒系
    の存在下に、(a)少なくとも1つの炭素間不飽和結合
    を有するエチレン系またはアセチレン系炭化水素化合物
    と、(b)一酸化炭素と、(c)水、アルコール及びカ
    ルボン酸よりなる群から選択される少なくとも1つの求
    核性化合物とを反応させる工程を含む、前記エチレン系
    またはアセチレン系炭化水素化合物のカルボニル化方法
    において、前記元素周期表第VIII族に属する金属の原子
    またはイオンの供給源(1)1molに対して、一般式
    (I) R12−P−R−P−R34 (I) (式中、R1、R2、R3及びR4は、同じかまたは異なっ
    ており、それぞれ独立して置換または非置換アリール基
    を表し、Rは、二価の炭化水素系有機基を表す)で示さ
    れる二座ジホスフィン0.1〜5molが添加されるこ
    とを特徴とするカルボニル化方法。
  2. 【請求項2】 前記元素周期表第VIII族に属する金属
    が、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、
    イリジウム及び白金よりなる群から選択される少なくと
    も1つの金属である請求項1記載のカルボニル化方法。
  3. 【請求項3】 前記配位子が第三有機モノホスフィンで
    ある請求項1または2記載のカルボニル化方法。
  4. 【請求項4】 前記ブレンステッド酸が脂肪族カルボン
    酸である請求項1乃至3のいずれかに記載のカルボニル
    化方法。
  5. 【請求項5】 前記求核性化合物がアルコールである、
    請求項1乃至4のいずれかに記載のカルボニル化方法。
  6. 【請求項6】 前記二座ジホスフィンが、1,2-ビス(ジ
    フェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホ
    スフィノ)プロパン及び1,4-ビス(ジフェニルホスフィ
    ノ)ブタンよりなる群から選択される請求項1乃至5の
    いずれかに記載のカルボニル化方法。
  7. 【請求項7】 請求項1から6のいずれかに記載の方法
    によって製造されたカルボニル化反応生成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002275128A (ja) * 2001-03-14 2002-09-25 Daicel Chem Ind Ltd カルボン酸又はそのエステルの製造方法
WO2008120660A1 (ja) * 2007-03-29 2008-10-09 Sumitomo Chemical Company, Limited 新規ホスフィンおよびその製造方法と用途

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