JPH0975744A - カルボニル化触媒系およびそれを用いたカルボニル化方法 - Google Patents

カルボニル化触媒系およびそれを用いたカルボニル化方法

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JPH0975744A
JPH0975744A JP7256912A JP25691295A JPH0975744A JP H0975744 A JPH0975744 A JP H0975744A JP 7256912 A JP7256912 A JP 7256912A JP 25691295 A JP25691295 A JP 25691295A JP H0975744 A JPH0975744 A JP H0975744A
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JP
Japan
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acid
group
compound
catalyst system
carbonylation
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JP7256912A
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Ritsuzui Han
立瑞 潘
Kazuyuki Matsuoka
一之 松岡
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 触媒活性および安定性の高い触媒系を用い、
アセチレン系又はオレフィン系不飽和化合物を長期間に
亘り安定してカルボニル化する。 【解決手段】 触媒系は、周期表第VIII族金属源(例え
ば、Pd,Ptなど)、下記式(I)で表わされる単位
を有するポリマータイプの有機ポリホスフィン、アルキ
ルスルホン酸などの酸、及び必要に応じて電子供与性化
合物で構成されている。前記触媒系の存在下、アセチレ
ン系又はオレフィン系不飽和化合物と、一酸化炭素と、
水、アルコールなどの脱離可能な水素原子を有する求核
性化合物を液相系で反応させ、カルボニル化生成物(不
飽和又は飽和カルボン酸やそのエステルなど)を高い転
化率及び選択率で生成させる。 【化1】 (式中、Aは二価の炭化水素基、R1 およびR2 は、同
一又は異なって、水素原子、アルキル基、シクロアルキ
ル基、アリール基又は複素環基などを示し、互いに結合
してアルキレン基を形成してもよい)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なカルボニル
化触媒系、およびこの触媒系を用いてアセチレン系又は
オレフィン系不飽和化合物をカルボニル化する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】周期表第VIII族金属源および代表的な配
位子であるホスフィンとで構成されたカルボニル化触媒
の存在下、アセチレン系又はオレフィン系不飽和化合物
を、一酸化炭素および求核性化合物と反応させるカルボ
ニル化方法が提案されている。例えば、EP−A1−1
06379、EP−A1−235864、EP−A1−
274795、EP−A1−279477には、パラジ
ウム化合物、トリアリールホスフィンおよびプロトン酸
で構成されたカルボニル化触媒系の存在下、アセチレン
系不飽和化合物およびオレフィン系化合物をカルボニル
化する方法が開示されている。
【0003】特公平5−29212号公報、特開昭61
−176549号公報、特開昭62−72649号公
報、特開昭63−154646号公報には、2価のパラ
ジウム化合物、有機ホスフィン、およびプロトン酸で構
成されたカルボニル化触媒系の存在下、アセチレン系不
飽和化合物およびオレフィン系化合物をカルボニル化す
る方法が開示されている。さらに、特開平4−2158
51号公報には、第VIII族金属源、イミノ窒素原子含有
芳香族置換基を有するホスフィン、プロトン源およびア
ルキルスルホン酸アニオン源で構成されたカルボニル化
触媒系と、この触媒系を用いてアセチレン系不飽和化合
物およびオレフィン系化合物をカルボニル化する方法が
開示されている。また、特開平4−21852号公報に
は、第VIII族金属源、イミノ窒素原子含有芳香族置換基
を有するホスフィン、プロトン源および第三級アミンを
含む触媒系を用いて、アセチレン系不飽和化合物および
オレフィン系化合物をカルボニル化する方法が開示され
ている。前記特開平4−215851号公報および特開
平4−215852号公報には、第VIII族金属源とし
て、パラジウム化合物が好ましいと記載されている。
【0004】これらの方法によれば、例えば、メチルア
セチレン、一酸化炭素およびアルコールからメタクリル
酸エステルが得られる。そのため、多量の硫酸を用いる
アセトンシアンヒドリン法によるメタクリル酸エステル
の製法と比較して、廃硫酸などの産業廃棄物を排出する
ことなく、メタクリル酸エステルなどを製造できるとい
う利点がある。
【0005】しかし、前記方法で用いられる触媒系は、
触媒寿命が短く、カルボニル化反応に伴って触媒活性お
よびカルボニル化反応速度が低下する。例えば、前記触
媒系としてパラジウムブラックなどの金属状の触媒成分
を含む不均一触媒系は触媒活性がさほど高くないだけで
なく、アセチレン系不飽和化合物などをカルボニル化す
ると、短期間のうちに触媒活性が著しく低下する。ま
た、前記触媒系として、塩化パラジウムなどのパラジウ
ム化合物を含む均一触媒系を用いても、反応中にパラジ
ウム化合物が還元され、金属単体となって反応系で析出
し、触媒活性が低下する。さらに、前記成分を組み合わ
せた触媒系は、未だ転化速度および選択率が小さい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、高い安定性および触媒活性を長期間に亘り維持でき
るカルボニル化触媒系およびこの触媒系を用いたカルボ
ニル化方法を提供することにある。本発明の他の目的
は、触媒活性の低下が小さく、高い転化率及び選択率で
カルボニル化できる安定な触媒系、およびこの触媒系を
用いたカルボニル化方法を提供することにある。本発明
のさらに他の目的は、アセチレン系又はオレフィン系不
飽和化合物のカルボニル化により、カルボン酸、カルボ
ン酸エステルなどのカルボニル化生成物を、安定な液相
系で、高い転化率および選択率で長期間に亘り生成でき
る触媒系およびカルボニル化方法を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、メタクリル酸メチルなどの
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸又はその誘導体を
高い転化率及び選択率で長期間安定に製造する上で有用
な触媒系およびカルボニル化方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記目的を
達成するため鋭意検討の結果、オリゴマー又はポリマー
型の有機ホスフィンを周期表第VIII族金属源および酸と
組み合わせると、カルボニル化反応において高い触媒活
性を有すると共に長期間に亘り高い転化率および選択率
を維持でき、触媒活性が殆ど低下しないことを見いだ
し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明のカルボニル化触媒系
は、(1)周期表第VIII族金属源、(2)下記式(I)
で表わされる単位を有する重合体および(3)酸で構成
されている。
【0009】
【化4】 (式中、Aは置換基を有していてもよい二価の炭化水素
基、R1 およびR2 は、同一又は異なって、水素原子、
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアル
キル基、アリール基、アラルキル基又は複素環基を示
し、R1 およびR2は置換基を有していてもよく、互い
に結合してアルキレン基を形成してもよい)前記式
(I)で表わされるオリゴマー又はポリマータイプの有
機ポリホスフィン化合物(2)は、A,R1 およびR2
の少なくとも1つの基は芳香族性の基である化合物、例
えば、下記式(Ia)
【0010】
【化5】 (式中、A環は置換基を有していてもよい芳香族炭化水
素環、R1 およびR2 は置換基を有していてもよいアリ
ール基、又はヘテロ原子として少なくとも窒素原子を有
する芳香族性複素環基を示す。R3 は直鎖状又は分枝鎖
状C1-3 アルキレン基、nは0又は1を示す)で表わさ
れる単位を5〜100モル%含む重合体、又は式(I
b)
【0011】
【化6】 (式中、A環は置換基を有していてもよいベンゼン環を
示し、R1 およびR2 は置換基を有していてもよいフェ
ニル基、又はヘテロ原子として窒素原子を有する6員芳
香族性複素環基を示す)で表わされる単位を30〜10
0モル%含む重合体であってもよい。前記周期表第VIII
族金属(1)には、コバルト、ニッケル、ロジウム、パ
ラジウムまたは白金などが含まれ、酸(3)には、プロ
トン酸、例えば、アリールスルホン酸、アルキルスルホ
ン酸、カルボン酸、ハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸、リ
ン酸、過ハロゲン酸などが含まれる。前記触媒系は、さ
らに電子供与性化合物(4)を含んでいてもよい。この
電子供与性化合物には、メタノールDに対する電子供与
度(electron donability )△νD が2以上の化合物が
含まれる。前記触媒系は、(1)パラジウム又は白金
源、(2)前記式(I)(Ia)や(Ib)で表わされる化
合物、(3)プロトン酸および(4)重水素化したメタ
ノールDに対する電子供与度△νD が30〜250の電
子供与性化合物で構成してもよい。
【0012】本発明のカルボニル化方法では、前記触媒
系の存在下、アセチレン系不飽和化合物またはオレフィ
ン系不飽和化合物と一酸化炭素とを反応させる。前記不
飽和化合物はα−アセチレン系化合物又はα−オレフィ
ン系化合物であってもよい。このカルボニル化反応で
は、さらに、水、ヒドロキシル基を有する化合物(アル
コール)又はカルボン酸などの脱離可能な水素原子を有
する求核性化合物を反応させてもよい。前記カルボニル
化反応において、前記触媒系の存在下、(a)非対称の
アセチレン系不飽和化合物又はオレフィン系不飽和化合
物、(b)一酸化炭素、および(c)水、炭素数1〜2
0の脂肪族アルコール、炭素数1〜20のカルボン酸か
ら選ばれた化合物を反応させてもよい。さらに、カルボ
ニル化方法においては、前記触媒系の存在下、(a)α
−アセチレン系炭化水素、(b)一酸化炭素、および
(c)水、アルコールおよびカルボン酸から選ばれた少
なくとも1つの求核性化合物を反応させ、α,β−エチ
レン性不飽和カルボン酸又はその誘導体を製造すること
もできる。なお、本明細書において、オレフィン系不飽
和化合物とは、二重結合の数の如何を問わず、エチレン
性不飽和二重結合を有する化合物を意味する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本発明の触媒系は周期表第VIII族金属源を含んでい
る。第VIII族金属元素には、例えば、鉄、ルテニウム、
オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケ
ル、パラジウムおよび白金が含まれる。なお、1990
年以降において、前記元素は、周期表第8族元素(F
e、Ru、Os)、第9族元素(Co、Rh、Ir)、
第10族元素(Ni、Pd、Pt)に分類されている。
好ましい元素には、コバルト、ニッケル、ロジウム、パ
ラジウムおよび白金、なかでもコバルト、パラジウムお
よび白金、特にパラジウムおよび白金が含まれる。前記
元素の酸化数は、種類に応じて選択でき、特に制限され
ない。例えば、酸化数は、0、+2、+3、+4などで
ある場合が多い。
【0014】周期表第VIII族金属源は、金属単体、周期
表第VIII族元素の化合物のいずれであってもよいが、前
記化合物を用いる場合が多い。周期表第VIII族元素の化
合物には、例えば、無機酸塩(例えば、硝酸塩、硫酸
塩、過ハロゲン酸塩、塩化水素酸、臭化水素酸などのハ
ロゲン化水素酸塩など)、有機酸塩(例えば、メタンス
ルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p
−トルエンスルホン酸などのスルホン酸塩、ホスホン酸
塩、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などの炭素数12以下の
カルボン酸塩など)、ハロゲン化物(例えば、塩化物、
臭化物、ヨウ化物など)、錯体(又は錯塩)などが含ま
れる。
【0015】錯体を構成する配位子は、例えば、OH
(ヒドロキソ)、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブ
トキシ基などのアルコキシ基、アセチル、プロピオニル
などのアシル基、メトキシカルボニル(アセタト)、エ
トキシカルボニルなどのアルコキシカルボニル基、アセ
チルアセトナト、シクロペンタジエニル基、ベンジリデ
ン基、ベンジリデン アセトン、ベンジリデン アセチ
ルアセトン、ベンジリデン アセトフェノン、シクロオ
クタジエンなどのシクロアルカジエン、塩素、臭素など
ハロゲン原子、CO、CN、酸素原子、H2 O(ア
コ)、ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィンな
どのトリアリールホスフィン)、NH3 (アンミン)、
NO、NO2 (ニトロ)、NO3 (ニトラト)、エチレ
ンジアミン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェナ
ントロリンなどの窒素含有化合物などが挙げられる。錯
体又は錯塩において、同種又は異種の配位子が一種又は
二種以上配位していてもよい。
【0016】錯体としては、例えば、アセチルアセトン
パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パ
ラジウム、ビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジ
ウムアセテート、ビス(ジフェニル−2−ピリジルホス
フィン)パラジウムアセテート、テトラキス(ジフェニ
ル−2−ピリジルホスフィン)パラジウム、ビス(ジ−
o−トリルピリジルホスフィン)パラジウムアセテー
ト、ビス(ジフェニルピリジルホスフィン)パラジウム
サルフェートなどのパラジウム錯体又は錯塩、ジベンジ
リデンアセトン白金、ジベンジリデンアセチルアセトン
白金、ジベンジリデンアセトフェノン白金などのジベン
ジリデンケトン白金、ジシクロオクタジエン白金、ジク
ロロビス(トリフェルホスフィン)白金、テトラキス
(トリフェニルホスフィン)白金、酢酸ビス(トリフェ
ニルホスフィン)白金、硫酸ビス(トリフェニルホスフ
イン)白金、ヘキサクロロ白金(IV)酸などの白金錯
体又は錯塩、およびこれらに対応する前記周期表VIII族
元素の錯体が例示できる。
【0017】本発明の特色は、リン化合物として前記式
(I)で表わされる単位を有するオリゴマー又はポリマ
ータイプの有機ホスフィンを用いる点にある。前記式
(I)で表わされる重合体において、Aで表わされる二
価の炭化水素基には、例えば、アルキレン基(例えば、
メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、2,
2−ジメチルメチレン、テトラメチレンなどのC1-10
ルキレン基など)、シクロアルキレン基(例えば、1,
4−シクロヘキシレン、1,3−シクロヘキシレン、
1,2−シクロヘキシレン基などのC5-10シクロアルキ
レン基など)、アリーレン基(例えば、1,2−フェニ
レン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、1,
5−ナフチレン、1,6−ナフチレン基などのC6-10
リーレン基など)などが含まれる。さらに、二価の炭化
水素基Aが芳香環などの環状炭化水素で構成される場
合、炭化水素環とリン原子とは直接結合してもよく、前
記アルキレン基(好ましくはC1-3 アルキレン基などの
低級アルキレン基)を介して結合していてもよい。
【0018】R1 およびR2 は互いに同一であってもよ
く異なっていてもよい。R1 およびR2 で表わされるア
ルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イ
ソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t
−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、
ノニル、デシル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1-10アル
キル基が含まれる。好ましいアルキル基には、例えば、
炭素数1〜6程度、特に炭素数1〜4程度の低級アルキ
ル基が含まれる。
【0019】アルケニル基には、例えば、ビニル、アリ
ル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1
−ブテニル、2−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキ
セニル、1−ヘプテニル、1−オクテニル、1−ノネニ
ル、1−デセニルなどの直鎖状又は分岐鎖状C2-10アル
ケニル基が含まれる。好ましいアルケニル基には、例え
ば炭素数2〜6、特に炭素数2〜4程度のアルケニル基
が含まれる。アルキニル基には、例えば、エチニル、プ
ロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニ
ル、1−ヘキシニル、1−ヘプチニル、1−オクチニ
ル、1−ノニニル、1−デシニルなどのC2-10アルキニ
ル基などが含まれる。
【0020】シクロアルキル基には、例えば、シクロブ
チル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチ
ル基などのC4-10シクロアルキル基などが含まれる。ア
リール基には、フェニル基、ナフチル基などのC6-12
リール基などが含まれ、アラルキル基には、例えば、ベ
ンジル、フェネチル、3−フェニルプロピル、4−フェ
ニルブチル基などのC6-10アリール−C1-4アルキル基
などが含まれる。
【0021】複素環基には、例えば、窒素原子、酸素原
子および硫黄原子から選ばれた少なくとも一種のヘテロ
原子を含む5〜10員複素環基が含まれる。ヘテロ原子
として少なくとも窒素原子を含む複素環基には、例え
ば、1−ピロリルなどのピロリル基、1−イミダゾリル
などのイミダゾリル基、1−ピラゾリルなどのピラゾリ
ル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリ
ル基、フラザニル基などの5員複素環基、ピペリジノな
どのピペリジニル基、モルホリノなどのモルホリニル
基、2−ピリジル,3−ピリジル,4−ピリジルなどの
ピリジル基、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、5
−ピリダジニルなどのピリダジニル基、2−ピリミジ
ル、4−ピリミジル、5−ピリミジルなどのピリミジニ
ル基、2−ピラジニルなどのピラジニル基などの6員複
素環基、2−キノリル、3−キノリルなどのキノリル、
1−イソキノリルなどのイソキノリル、シンノリニル、
トリアジニル、キノキサニル、キナゾリニルなどが挙げ
られる。酸素原子や硫黄原子を含む複素環基に、例え
ば、フリル基、クロメニル基、クロマニル基、チエニル
基などが含まれる。
【0022】好ましいR1 およびR2 は、置換基を有し
ていてもよい芳香族性の基、例えば、アリール基(置換
基を有していてもよいフェニル基など)、置換基を有し
ていてもよい芳香族性複素環基(特にヘテロ原子として
少なくとも窒素原子を含む芳香族性複素環基)である。
芳香族性複素環基には、ヘテロ原子として窒素原子を含
む複素環基(例えば、ピリジル、ピリダジニル、ピリミ
ジニル、ピラジニル、キノリル、イソキノリル基な
ど)、特に6員の複素環基(例えば、ピリジル、ピリミ
ジニル基など)が含まれる。
【0023】Aで表わされる炭化水素基、R1 およびR
2 で表わされる基には、触媒活性を損わない種々の置換
基、例えば、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ
素原子)、アルキル基(メチル、エチル、プロピル、イ
ソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチ
ル、ヘキシルなどのC1-6アルキル基、特にC1-4アルキ
ル基)、ヒドロキシル基、アルコキシ基(メトキシ、エ
トキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソ
ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオ
キシ基などのC1-6アルコキシ基、特に低級C1-4アルコ
キシ基)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基
(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキ
シカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカ
ルボニル、イソブトキシカルボニル、t−ブトキシカル
ボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカ
ルボニル基などのC1-6アルコキシ−カルボニル基、特
に低級C1-4アルコキシ−カルボニル基)、アシル基
(ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソ
ブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル基など
のC1-6アシル基)、アミノ基、モノ−又はジ−アルキ
ルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ジメチルアミノ、
エチルアミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノ、ブチ
ルアミノ、ジブチルアミノ基などのモノ−又はジ−C
1-4アルキルアミノ基など)、ニトロ基、シアノ基など
が置換していてもよい。より具体的には、好ましい置換
基を有する芳香族炭化水素基としては、例えば、4−メ
チルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4,6
−トリメチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−
メトキシフェニル、4−クロロフェニル、3,5−ジク
ロロフェニル基などが例示でき、好ましい置換基を有す
る複素環基としては、例えば、6−メチル−2−ビリジ
ル、6−エチル−2−ピリジル、6−メトキシ−2−ピ
リジル、6−クロロ−2−ピリジル、6−ブロモ−2−
ピリジル基などが例示できる。
【0024】R1 とR2 は互いに結合して、メチレン、
エチレン、プロピレン、イソプロピリデン、テトラメチ
レンなどのC1-10程度のアルキレン基を形成し、隣接す
るリン原子とともに炭素数3〜12程度のホスファシク
ロアルキレン基を形成してもよい。オリゴマー又はポリ
マータイプの有機ホスフィン(2)は前記式(I)で表
される単位を有していればよく、単独重合体、共重合体
あるいは架橋した重合体などであってもよい。前記単位
(I)の割合は触媒活性に応じて選択でき、例えば、重
合体の5〜100モル%、好ましくは10〜100モル
%(例えば、20〜100モル%)、さらに好ましくは
30〜100モル%程度であり、50〜100モル%程
度である場合が多い。重合体(2)が非架僑重合体であ
る場合、重合度nはオリゴマー又はポリマーを形成しう
る範囲で選択でき、例えば、2以上(3〜10,000
程度)、好ましくは5〜5,000(例えば、10〜
2,500)程度の整数であり、5〜1,000程度の
整数である場合が多い。
【0025】前記式(I)で表わされる重合体におい
て、A,R1 およびR2 の少なくとも1つの基、好まし
くは少なくとも2つの基は芳香族性の基であるのが好ま
しい。好ましい重合体(2)には、例えば、下記式(I
a)
【0026】
【化7】 (式中、A環は置換基を有していてもよい芳香族炭化水
素環、R1 およびR2 は置換基を有していてもよいアリ
ール基、又はヘテロ原子として少なくとも窒素原子を有
する芳香族性複素環基を示す。R3 は直鎖状又は分枝鎖
状C1-3 アルキレン基、nは0又は1を示す)で表わさ
れる単位5〜100モル%を含む重合体、特に下記式
(Ib)
【0027】
【化8】 (式中、A環は置換基を有していてもよいベンゼン環、
1 およびR2 は置換基を有していてもよいフェニル
基、又はヘテロ原子として窒素原子を有する6員芳香族
性複素環基を示す)で表わされる単位30〜100モル
%を含む重合体が含まれる。
【0028】A環で表わされる置換基を有していてもよ
い芳香族炭化水素環や置換基を有していてもよいベンゼ
ン環としては、1,2−フェニレン、1,3−フェニレ
ン、、1,4−フェニレン、2,5−ジクロロ−1,4
−フェニレン、1,6−ナフチレン基などが例示され
る。また、R1 およびR2 で表わされる置換基を有して
いてもよいアリール基やフェニル基としては、フェニ
ル、ナフチル、4−クロロフェニル、4−メチルフェニ
ル、3,5−ジメチルフェニル、4−メトキシフェニル
基などが例示される。さらに、R1 およびR2 で表わさ
れる芳香族複素環基や6員芳香族性複素環基には、例え
ば、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、キノリ
ル、イソキノリル基などの無置換の複素環基の他、6−
メチル−2−ビリジル、6−メトキシ−2−ピリジル、
6−クロロ−2−ピリジル基などが例示できる。
【0029】前記式(I)で表わされる単位を有するオ
リゴマー又はポリマータイプの有機ポリホスフィンは、
前記式(I)の単位に対応する種々のビニル化合物(例
えば、ジフェニル(4−ビニルフェニル)ホスフィン、
ジピリジル(4−ビニルフェニル)ホスフィン、ジ(6
−メチルピリジル)(4−ビニルフェニル)ホスフィン
など)を、単独で又は他の重合性化合物と、慣用のラジ
カル重合法により重合することにより得ることができ
る。
【0030】前記式(I)の単位に対応するビニル化合
物と共重合可能な重合性化合物の種類は特に制限され
ず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルト
ルエンなどの芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)クリル酸エチ
ルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メ
タ)アクリロニトリルなどのアクリル系単量体;酢酸ビ
ニル、塩化ビニルなどのビニル系単量体;エチレン、プ
ロピレンなどのオレフィン;ジビニルベンゼン、エチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレートなどの2以上の重
合性基を有する架橋性単量体などが例示できる。これら
の重合性化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用
できる。好ましい重合性化合物には、スチレンなどの芳
香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリロニトリルなどのアクリル系単量体、ジビニ
ルベンゼンなどの架橋性単量体などが含まれる。架橋性
単量体の使用量は、触媒活性を損わない範囲で適当に選
択でき、例えば、単量体全体に対して0.1〜10重量
ぱ、好ましくは0.5〜5重量%(例えば、1〜3重量
%)程度である場合が多い。
【0031】また、前記式(I)で表わされる単位を有
する有機ポリホスフィンのうち、Aが芳香族炭化水素環
である有機ポリホスフィンは、高分子反応、例えば、
ブロム化ポリスチレンと、前記式(I)中のホスフィン
に対応する成分MPR12(式中、Mはナトリウム、リ
チウムなどのアルカリ金属を示す)とを反応させる方
法、ブロム化ポリスチレンとn−ブチルリチウムとの
反応により生成したリチウム中間体と、前記ホスフィン
に対応する成分MPR12との反応により得ることがで
きる。なお、これらの高分子反応において、前記架橋性
単量体により架橋したブロム化ポリスチレンを用いても
よい。さらに、前記式(I)で表わされる単位を有する
有機ポリホスフィンのうち、アルキレン基を介して芳香
族炭化水素環Aとリン原子とが結合した有機ポリホスフ
ィンは、高分子反応、例えば、架橋していてもよいクロ
ロメチル化ポリスチレンと、前記ホスフィンに対応する
成分MPR12との反応により得ることができる。
【0032】前記式(I)で表される単位を含む重合体
において、基−PR12の含有量は、触媒活性を低下さ
せない範囲で選択でき、例えば、0.1〜5ミリモル/
g、好ましくは0.5〜4ミリモル/g、さらに好まし
くは1〜3.5ミリモル/g程度である。有機ポリホス
フィン(2)の分子量は、特に制限されず、例えば、重
量平均分子量500〜100,000、好ましくは1,
000〜75,000、さらに好ましくは5,000〜
50,000程度である。
【0033】触媒系を構成する酸には、種々のプロトン
酸(無機酸および有機酸)およびルイス酸が含まれる。
プロトン酸には、例えば、硫酸、塩化水素酸、臭化水素
酸などのハロゲン化水素酸、硝酸、オルトリン酸、ピロ
リン酸などのリン酸、スルホン酸(アリールスルホン
酸、アルキルスルホン酸など)、ホスホン酸、カルボン
酸、過塩素酸などの過ハロゲン酸、リンモリブデン酸、
ケイタングステン酸、バナドモリブデン酸などのV,W
又はMoを含むヘテロポリ酸などが含まれる。これらの
酸(プロトン酸)は一種又は二種以上使用できる。前記
酸(4)はプロトン源として機能するようである。その
ため、ルイス酸を用いる場合、他の酸と併用する場合が
多い。
【0034】プロトン酸のうち有機化合物には、例え
ば、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナ
フタレンスルホン酸などの置換基を有していてもよいア
リールスルホン酸;メタンスルホン酸、エタンスルホン
酸、プロパンスルホン酸、t−ブチルスルホン酸、2−
ヒドロキシプロパンスルホン酸、トリフルオロメタンス
ルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸などの置換基を
有していてもよいアルキルスルホン酸;ベンゼンホスホ
ン酸などのホスホン酸;クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、ト
リクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、プロピ
オン酸、n−酪酸、イソ酪酸、ピバリン酸、吉草酸、カ
プロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリ
スチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、シュウ酸など
の置換基を有していてもよい飽和脂肪族カルボン酸、シ
クロヘキサンカルボン酸などの脂環族カルボン酸、安息
香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳
香族カルボン酸、アクリル酸、メタクリル酸、プロピオ
ール酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコ
ン酸、メサコン酸、オレイン酸などの不飽和脂肪族カル
ボン酸などの不飽和カルボン酸などのカルボン酸;アス
パラギン酸、グルタミン酸などのアミノ酸などが挙げら
れる。前記酸は酸性イオン交換樹脂、例えば、スルホン
酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基などを有するイオ
ン交換樹脂などであってもよい。
【0035】ルイス酸には、例えば、BF3 、BF3
O(C2 5 2 、AlCl3 、TiCl4 、Ti[O
CH(CH3 2 4 、SnCl4 、SnCl2 、Nb
5、TaF5 、PF5 、AsF5 、SbF5 などの、
周期表第III B族、第IVA族、第IVB族、第VA族又は
第VB族元素のハロゲン化物若しくはその錯化合物、ま
たはアルコキシド(例えばC1-4 アルコキシド)などが
含まれる。
【0036】なお、酸は配位性アニオンを有する場合が
多い。好ましい酸にはプロトン酸、例えば、p−トルエ
ンスルホン酸などのアリールスルホン酸、炭素数1〜1
0程度、好ましくは炭素数1〜6程度、さらに好ましく
はメタンスルホン酸などの炭素数1〜4程度のアルキル
スルホン酸;脂肪族カルボン酸、好ましくは炭素数2〜
10程度の脂肪族不飽和カルボン酸;無機酸(硫酸、ハ
ロゲン化水素酸、リン酸など)が含まれる。
【0037】本発明の触媒系は、さらに、電子供与性化
合物を含んでいてもよい。電子供与性化合物としては、
例えば、電子供与度△νD が2以上の化合物が使用され
る。前記電子供与度△νD は、ベンゼンを基準物質とし
て、液状化合物中に加えた重水素化したメタノール
(0.4モル/L)のO−D非会合性伸縮振動の波数
(2400−2700cm-1)のシフト値を意味し、
「メタノールDに対する電子供与度(electron donabil
ity )△νD 」と定義される。電子供与性化合物は、前
記周期表VIII族元素に対して配位性を有するようであ
る。
【0038】このような電子供与性化合物には、例え
ば、アミン類、イミン類、アミド類、スルホキシド類、
アルデヒド類、エーテル類、ケトン類、ラクトン類、エ
ステル類、ニトリル類、ニトロ化合物、芳香族炭化水素
類、脂肪族炭化水素類などが含まれる。これらの化合物
は一種又は二種以上組合せて使用できる。なお、前記電
子供与度△νD の値は、例えば、「有機化学反応におけ
溶媒効果」妹尾・新井共著、産業図書(株)、昭和51
年4月25日発行などを参照できる。また、以下に例示
する溶媒において、参考までに電子供与度△νD の値を
括弧内に示す。
【0039】アミン類としては、例えば、メチルアミ
ン、エチルアミン(233)、n−プロピルアミン(2
30)、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−
プロピルアミン(242)、ジブチルアミン、トリエチ
ルアミン(238)などの脂肪族アミン;シクロヘキシ
ルアミンなど脂環族アミン;アニリン(158)、N−
メチルアニリン(151)、N,N−ジメチルアニリン
(148)などの芳香族アミン;ジメタノールアミン、
トリメタノールアミン、エタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミン、ジプロパノールアミ
ン、トリプロパノールアミン、ブタノールアミン、ジブ
タノールアミン、トリブタノールアミン、ジメチルアミ
ノエタノール、ジエチルアミノエタノールなどのアルカ
ノールアミン;モルホリン、N−メチルピロリドン、ピ
ロール、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、ピリ
ジン(168)、α−ピコリン(183)、β−ピコリ
ン、γ−ピコリン(160)、2,3−ルチジン、2,
4−ルチジン、2,5−ルチジン、2,6−ルチジン、
3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、2−エチルピリ
ジン、3−エチルピリジン、4−エチルピリジン(17
9)、2,3,4−トリメチルヒリジン、2,4,6−
トリメチルピリジン、ビピリジン、o−トルイジン(1
45)、ピペリジン(240)、4−ビニルピリジン
(193)、ピラジン、ピリミジン、キノリン、イソキ
ノリンなどの複素環式アミンなどが挙げられる。アミン
類には、アミノ基、置換アミノ基(例えば、モノアルキ
ルアミノ基、ジアルキルアミノ基など)、第4アンモニ
ウム基などの塩基性基を有する樹脂やイオン交換樹脂
(例えば、ピリジンとホルムアルデヒドの反応により生
成するピリジン樹脂などのアミン樹脂など)も含まれ
る。
【0040】好ましいアミン類には、第2級アミン及び
第3級アミン、特に、窒素原子をヘテロ原子として含む
複素環式アミン(例えば、ピリジンやイミダゾールな
ど)又はその誘導体、アルカノールアミン類などが含ま
れる。複素環式化合物の誘導体としては、例えば、炭素
数1〜4程度のアルキル基を有する化合物(例えば、ピ
コリン、ルチジン、1−メチルイミダゾールなど)など
が含まれる。複素環式アミンはピリジン又はその誘導体
のように、芳香族性を有する場合が多い。
【0041】イミン類には、例えば、エチレンイミン
(237)、N−フェニルエチレンイミン(186)な
どが挙げられる。アミド類には、例えば、ホルムアミ
ド、アセトアミド、N、N−ジメチルホルムアミド(1
07)、N、N−ジメチルアセトアミド(113)、テ
トラメチル尿素、ヘキサメチルホスホアミドなどが含ま
れる。スルホキシド類には、例えば、ジメチルスルホキ
シド(141)、ジイソプロピルスルホキシド、スルホ
ラン、2−メチルスルホラン、3−メチルスルホランな
どが含まれる。
【0042】アルデヒド類としては、例えば、アセトア
ルデヒド(79)、プロピオンアルデヒド(85)、n
−ブチルアルデヒド(83)、アクロレイン(12
2)、メタクロレイン、クロトンアルデヒド(75)な
どの脂肪族アルデヒド、ベンズアルデヒド(53)など
の芳香族アルデヒドなどが例示される。
【0043】エーテル類には、例えば、ジエチルエーテ
ル(78)、ジ−n−プロピルエーテル(73)、ジイ
ソプロピルエーテル(75)、エチル n−ブチルエー
テル(77)、エチルビニルエーテル(31)、n−ブ
チルビニルエーテル(33)、イソブチルビニルエーテ
ル(33)、ジアリルエーテル(66)、1,2−ジメ
トキシエタン(71)、セロソルブ、カルビトール、ジ
グライム、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジ
エチレングリコールジエチルエーテルなどの鎖状エーテ
ル;アニソール(26)、フェネトール(25)、1,
2−ジメトキシベンゼン、ジフェニルエーテルなどの芳
香族エーテル;プロピレンオキサイド(59)、スチレ
ンオキサイド(51)、3,3−ビスクロロメチルオキ
セタン(78)、フラン(4)、テトラヒドロフラン
(90)、1,3−ジオキソラン(58)、2−メチル
−1,3−ジオキソラン(61)、4−メチル−1,3
−ジオキソラン(56)、2−フェニル−1,3−ジオ
キソラン(56)、4−クロロメチル−1,3−ジオキ
ソラン(43)、テトラヒドロピラン(93)、1,4
−ジオキサン(77)などの環状エーテルなどが挙げら
れる。これらのエーテル類のうち、置換基を有していて
もよいアリール基を有する芳香族エーテル(例えば、ア
ニソールなど)又は鎖状エーテル(例えば、ジエチレン
グリコールジメチルエーテルなど)を用いる場合が多
い。
【0044】ケトン類としては、例えば、アセトン(6
4)、メチルエチルケトン(57)、ジエチルケトン
(56)、ジイソプロピルケトン、メチルビニルケトン
(89)、メチルイソブチルケトンなどの脂肪族ケト
ン、シクロヘキサノン(66)などの脂環族ケトン、ア
セトフェノン(56)などの芳香族ケトンなどが挙げら
れる。ラクトン類には、β−プロピオラクトン(3
4)、γ−ブチロラクトン(66)、ε−カプロラクト
ン(82)などが含まれる。
【0045】エステル類には、例えば、酢酸メチル(3
6)、酢酸エチル(39)、クロロ酢酸メチル(2
7)、酢酸ブチル、ジクロロ酢酸メチル(23)、プロ
ピオン酸メチル(33)、プロピオン酸エチル(3
2)、イソ酪酸メチル(32)などの有機カルボン酸ア
ルキルエステル;酢酸ビニル(21)などのビニルエス
テル;アクリル酸メチル(30)、アクリル酸エチル
(33)、メタクリル酸メチル(37)、クロトン酸メ
チル、クロトン酸エチルなどの不飽和カルボン酸アルキ
ルエステルなどが挙げられる。これらのエステル類のう
ち、不飽和カルボン酸アルキルエステル(例えば、メタ
クリル酸メチル、クロトン酸メチル)などを用いても、
反応は円滑に進行する。
【0046】ニトリル類には、例えば、アセトニトリル
(49)、プロピオニトリル(52)ブチロニトリル、
アクリロニトリル(37)、ベンゾニトリル(38)な
どが含まれる。ニトロ化合物としては、例えば、ニトロ
メタン(6)、ニトロエタン(8)などの脂肪族ニトロ
化合物、ニトロベンゼン(21)などの芳香族ニトロ化
合物などが挙げられ、芳香族炭化水素類には、例えば、
トルエン(2)、キシレン(4)、エチルベンゼン
(4)、スチレン(2)、α−メチルスチレン(4)、
p−メチルスチレン(2)などが挙げられ、脂肪族炭化
水素類には、塩化エチレン(2)などが含まれる。
【0047】これらの化合物のうち電子供与度△νD が
4〜250、好ましくは10〜230程度(例えば、2
0〜200程度)の化合物を用いる場合が多い。また、
好ましい電子供与性化合物には、電子供与度△νD が3
0〜250,好ましくは50〜250程度(例えば、1
00〜250程度)の化合物も含まれる。また、触媒系
の調製工程を簡略化するため、前記電子供与性化合物を
反応溶媒として使用してもよい。
【0048】これらの化合物のうち、反応操作性などの
点からビニル化合物以外の化合物(非重合性化合物)で
あって、カルボニル化反応に悪影響を及ぼさない化合
物、例えば、第三級アミンなどのアミン類、アミド類、
スルホキシド類、エーテル類、ケトン類、エステル類、
ニトリル類、ニトロ化合物、芳香族炭化水素など(特に
アミン類、エーテル類、エステル類、芳香族炭化水素な
ど)を使用する場合が多い。これらの電子供与性化合物
のうち、塩基性化合物、例えば、アミン類、イミド類、
アミド類などが好ましい。特に、第VIII族金属源と組み
合わせて塩基性化合物(特に第二級アミンおよび第三級
アミン)を用いると、触媒活性を顕著に向上できる場合
が多い。そのため、触媒系は、アミン類、イミド類、ア
ミド類からなる群から選択された塩基性化合物を含むの
が好ましい。さらに、これらの塩基性化合物と、エーテ
ル類及び/又はエステル類を組み合わせて使用すると、
転化率や選択率が高まる場合がある。
【0049】触媒系を構成する各成分の割合は、各触媒
成分の種類などに応じて、触媒活性が損なわれず、しか
も安定性を維持できる範囲で選択できる。前記式(I)
で表わされる単位を有するオリゴマー又はポリマータイ
プの化合物(2)の割合は、例えば、周期表第VIII族金
属源1モルに対して、前記式(I)で表わされる単位
0.1〜5000モル、通常、5〜2500モル、好ま
しくは10〜1000モル、さらに好ましくは15〜1
500モル程度である。酸(プロトン源としてのプロト
ン酸など)の割合は、例えば、周期表第VIII族金属源1
モルに対して、0.1〜1000モル、通常5〜500
モル、好ましくは10〜200モル、さらに好ましくは
15〜100モル程度であり、10〜100モル程度で
ある場合が多い。酸1モルに対する化合物(2)の割合
は、式(I)の単位として、例えば、0.01〜50モ
ル、通常、0.1〜50モル、好ましくは0.2〜20
モル、さらに好ましくは0.5〜5モル程度である。
【0050】電子供与性化合物の量は、第VIII族金属源
1モルに対して、1〜100000モル、好ましくは5
〜50000モル、さらに好ましくは10〜10000
モル程度であり、10〜10000モル(例えば、50
〜7000モル)、特に100〜5000モル程度であ
る場合が多い。なお、電子供与性化合物は反応溶媒とし
て用いることができ、この場合に、電子供与性化合物の
使用量は、第VIII族金属源1モルに対して過剰量であれ
ばよい。また、電子供与性化合物を反応溶媒として用い
ない場合には、電子供与性化合物の量は、第VIII族金属
源1モルに対して、2〜200モル、好ましくは5〜1
00モル、さらに好ましくは10〜50モル程度である
場合が多い。電子供与性化合物は、反応溶媒として使用
する場合が多い。
【0051】本発明のカルボニル化触媒系は、前記成分
に加えて、必要に応じてさらに配位子を含んでいてもよ
い。この配位子は、前記周期表第VIII族の金属化合物
(錯体)を構成する配位子とは異なる場合が多い。配位
子は、少なくとも1つのリン原子を含む有機リン化合
物、ヒ素原子を含む有機ヒ素化合物、又はアンチモン原
子を含む有機アンチモン化合物である場合が多く、なか
でも有機ホスフィンおよび有機アルシンが好ましい。こ
れらの配位子は、一種または二種以上組合せて使用でき
る。
【0052】配位子としての有機ホスフィンは、第1ホ
スフィン、第2ホスフィンや第3ホスフィンのいずれで
あってもよく、有機アルシンも、第1アルシン、第2ア
ルシン、第3アルシンのいずれであってもよい。好まし
い有機ホスフィンおよび有機アルシンには、第3ホスフ
ィンおよび第3アルシンが含まれる。有機ホスフィンと
しては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(4−
メチルフェニル)ホスフィン、ホスフィン、トリ(4−
メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(4−クロロフェ
ニル)ホスフィンなどの置換基を有していてもよいトリ
アリールホスフィン;メチルジフェニルホスフィン、エ
チルジフェニルホスフィンなどのモノC1-10アルキルジ
アリールホスフィン;ジメチルフェニルホスフィン、ジ
エチルフェニルホスフィンなどのジC1-10アルキルモノ
アリールホスフィン;トリメチルホスフィン、トリエチ
ルホスフィン、トリブチルホスフィンなどのトリC1-10
アルキルホスフイン;シクロヘキシルジフェニルホスフ
ィンなどのモノC4-10シクロアルキルジアリールホスフ
ィン;ジシクロヘキシルフェニルホスフィンなどのジC
4-10シクロアルキルモノアリールホスフィン;トリシク
ロヘキシルホスフィンなどのトリC4-10シクロアルキル
ホスフィン;2−ピリジルビスフェニルホスフィン、ビ
ス(2−ピリジル)フェニルホスフィン、トリス(2−
ピリジル)ホスフィン、2−ピリジルビスメチルホスフ
ィン、ビス(2−ピリジル)メチルホスフィンピリジン
などの複素環基を有するホスフィンなどが例示される。
【0053】有機アルシンには、前記例示の有機ホスフ
ィンに対応する有機アルシン、例えば、トリフェニルア
ルシンなどの置換基を有していてもよいトリアリールホ
スフィン;エチルジフェニルアルシンなどのモノC1-10
アルキルジアリールアルシン;ジエチルフェニルアルシ
ンなどのジC1-10アルキルモノアリールアルシンなどが
含まれる。また、配位子として上記例示のリン化合物に
対応するアンチモン化合物(特に第3有機スチビン)も
用いることができる。
【0054】本発明の触媒系を構成する少なくとも1つ
の成分(例えば、前記周期表第VIII族金属源又は前記式
(I)の単位を有する重合体)は、必要に応じて、担体
に担持してもよい。担体としては、慣用の担体、例え
ば、活性炭;シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、マ
グネシア、シリカ−マグネシア、チタニアなどの金属酸
化物や非金属酸化物(複合酸化物を含む);ケイソウ
土、カオリン、ベントナイト、軽石、石綿、アランダ
ム、コランダムなどの粘土鉱物類;シリコンカーバイド
などが例示できる。好ましい担体には、活性炭;シリ
カ、アルミナ(γ−アルミナなど)、シリカ−アルミ
ナ、チタニアなどの金属酸化物又は非金属酸化物など、
特に活性炭などが含まれる。担体には、本発明の触媒系
を構成する全ての成分が担持されていてもよい。担体の
形状は、懸濁床式、固定床式などの反応形式に応じて、
例えば、粉末状、粒状、繊維状、ペレット状、ハニカム
状などのいずれであってもよい。担体の比表面積は、触
媒活性を損なわない範囲、例えば、5〜3500m2
g、好ましくは10〜3000m2 /g、さらに好まし
くは50〜2500m2/g程度である。
【0055】本発明の触媒系又はこの触媒系を構成する
成分の担持量は、触媒活性を損なわない範囲で選択で
き、例えば、担体に対して、0.01〜20重量%、好
ましくは0.1〜15重量%、さらに好ましくは0.2
〜10重量%程度である。
【0056】本発明の触媒系は、不飽和炭化水素類のカ
ルボニル化において、高い触媒活性を有するだけでな
く、繰返し使用しても殆ど失活せず安定性が高い。その
ため、高い触媒活性を長期間に亘って維持でき、触媒寿
命が長い。従って、本発明の触媒系は、アセチレン系不
飽和化合物またはオレフィン系(又はエチレン系)不飽
和化合物をカルボニル化する上で極めて有用である。
【0057】本発明の方法では、前記触媒系の存在下、
アセチレン系不飽和化合物またはオレフィン系不飽和化
合物と一酸化炭素とを反応させ、カルボニル化反応生成
物を製造する。アセチレン系またはオレフィン系不飽和
化合物は、好ましくは非対称のアセチレン系化合物また
はオレフィン系化合物、さらに好ましくはα−アセチレ
ン系化合物、α−オレフィン系化合物またはアレン系化
合物である。アセチレン系不飽和化合物の炭素数は、通
常、2〜30程度、好ましくは2〜20、特に2〜10
程度であり、オレフィン系不飽和化合物の炭素数は、例
えば、2〜30、好ましくは2〜20、特に2〜10程
度である。これらの不飽和炭化水素には、置換基を有し
ていてもよいアルキン、アルケン(オレフィン)又はシ
クロアルケン、シクロアルカジエンや橋かけ式不飽和炭
化水素が含まれる。不飽和炭化水素は、1分子中に二重
結合と三重結合とを有していてもよく、二重結合を2個
以上有していてもよい。
【0058】アルキンとしては、例えば、アセチレン、
プロピン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、1
−ヘキシン、1−ヘプチン、1−オクチン、2−オクチ
ン、4−オクチン、1,7−オクタジイン、5−メチル
−3−ヘプチン、4−プロピル−2−ペンチン、1−ノ
ニン、フェニルアセチレン、ベンジルエチンおよびシク
ロヘキシルエチンなどが例示できる。アルケンには、例
えば、エチレン、プロピレン、フェニルエチレン、1−
ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、3−メチルペンテ
ン−1、4−メチルペンテンホヌ、1−ヘキセン、1−
ヘプテン、1−オクテン、2−オクテン、4−オクテ
ン、アレン、シクロヘキセンおよびノルボナジエンなど
が含まれる。
【0059】前記不飽和化合物は、種々の置換基、例え
ば、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子;シクロヘ
プチル、シクロヘキシル、シクロオクチルなどのC1-10
シクロアルキル基;フェニル、ナフチルなどのアリール
基;ベンジル、フェネチルなどのアラルキル基;シアノ
基;ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イ
ソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル基な
どの炭素数1〜7程度のアシル基;アセトキシ基などの
アルキル部分の炭素数1〜6程度のアシルオキシ基;ヒ
ドロキシル基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブト
キシ、t−ブトキシなどの炭素数1〜6程度のアルコキ
シ基;トリフルオロメチル、トリクロロメチル基などの
ハロアルキル基;トリフルオロメトキシ、トリクロロメ
トキシ基などのハロアルコキシ基;カルボキシル基;ア
ルキル部分の炭素数が1〜6程度のアルコキシカルボニ
ル基;アミノ基、モノアルキルアミノ基やジアルキルア
ミノ基などのN−置換アミノ基;アミド基、アセトアミ
ド基などのN−置換アミド基などを有していてもよい。
【0060】一酸化炭素は、純粋な一酸化炭素であって
もよく、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの
不活性ガスで希釈した一酸化炭素であってもよい。前記
不飽和化合物は単独でカルボニル化してもよく、他の反
応剤(例えば、水素または脱離可能な水素原子を有する
求核性化合物)の存在下でカルボニル化してもよい。脱
離可能な水素原子を有する求核性化合物には、アルコー
ル類などのヒドロキシル基を有する化合物、水、カルボ
ン酸が含まれる。また、アルコール類にはシラノールも
含まれる。
【0061】アルコール類は、脂肪族、脂環式、芳香族
アルコールやフェノール類であってもよく、一価又は多
価アルコールであってもよい。アルコール類は、前記不
飽和化合物の項で述べた置換基のうち、ヒドロキシル基
を除く1又は2以上の置換基を有していてもよい。一価
アルコールには、例えば、メタノール、エタノール、1
−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、
2−ブタノール、1−メチルプロパン−1−オール、2
−メチルプロパン−1−オール、2−メチルプロパン−
2−オール、1−ヘキサノール、1−オクタノール、2
−エチルヘキサノール、ステアリルアルコール、アリル
アルコール、クロチルアルコール、プロパルギルアルコ
ールなどの脂肪族アルコール;シクロペンタノール、シ
クロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、シ
クロヘキセン−1−オール、シクロヘプタノール、シク
ロオクタノール、ボルネオールなどの脂環族アルコー
ル;ベンジルアルコール、サリチルアルコール、ベンズ
ヒドロール、フェネチルアルコールなどの芳香族アルコ
ールなどが含まれる。フェノール類には、フェノール、
アルキルフェノール、レゾルシノール、カテコール、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなど
が含まれる。
【0062】多価アルコールには、例えば、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、トリメチレングリコー
ル、テトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオ
ール、グリセロール、トリメチロールプロパン(2,2
−ビスヒドロキシメチル−1−ブタノール)、ペンタエ
リスリトール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,
4−シクロヘキサンジオール、多糖類(例えば、グルコ
ース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、サッ
カロース、アルドキノース、アルドペントース、アルト
ロース、アロース、タロース、グロース、イドース、リ
ボース、アラボノース、キシロース、リキソース、エリ
トロース、トレオースおよびセルロースなど)などが含
まれる。
【0063】好ましいアルコール類には、炭素数1〜2
0程度、特に1〜10程度、なかでも1〜5程度の一価
アルコールが含まれる。アルコール類としては、脂肪族
飽和アルコールを使用する場合が多い。
【0064】前記カルボン酸としては、例えば、ギ酸、
酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、ピバリン
酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラ
ウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸
などの脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸な
どの脂環族カルボン酸、安息鉱酸、フタル酸、イソフタ
ル酸、テレフタル酸などの芳香族カルボン酸、アクリル
酸、メタクリル酸、プロピオール酸、クロトン酸、マレ
イン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、オレイ
ン酸などの不飽和カルボン酸などが例示される。カルボ
ン酸は、脂肪族カルボン酸、好ましくは炭素数2〜20
程度、さらに好ましくは炭素数2〜18程度のカルボン
酸、特に炭素数2〜10程度のカルボン酸である場合が
多い。
【0065】前記脱離可能な水素原子を有する求核性化
合物として、アルコール及び/又は水を用いる場合が多
い。
【0066】前記カルボニル化反応においては、反応剤
の種類に応じて、オレフィン系不飽和化合物およびアセ
チレン系不飽和化合物に対応する化合物が生成する。例
えば、反応剤として水を用いる場合には、カルボニル化
反応により、オレフィン系不飽和化合物およびアセチレ
ン系不飽和化合物に対応して、カルボン酸およびα,β
−不飽和カルボン酸などの不飽和カルボン酸が生成す
る。また、アルコールを使用する場合には、前記カルボ
ン酸および不飽和カルボン酸に対応するエステルが生成
する。さらに、カルボン酸を用いる場合には、前記カル
ボン酸および不飽和カルボン酸に対応する酸無水物が生
成する。従って、本発明の方法において、反応剤の種類
は目的化合物に応じて選択できるが、水、アルコールま
たは有機カルボン酸である場合が多い。例えば、オレフ
ィン系不飽和化合物としてエチレンを用い、反応剤(求
核性化合物)としてメタノール又は水を用いると、一酸
化炭素との反応により、プロピオン酸メチル又はプロピ
オン酸を生成させることができる。オレフィン系不飽和
化合物としてアレンを用い、反応剤(求核性化合物)と
してメタノール又は水を用いると、一酸化炭素との反応
により、メタクリル酸メチル又はメタクリル酸を生成さ
せることができる。また、アセチレン系不飽和化合物と
してプロピン、反応剤(求核性化合物)としてメタノー
ル又は水を用いると、一酸化炭素との反応により、メタ
クリル酸メチル又はメタクリル酸を生成させることがで
きる。
【0067】カルボニル化反応における各成分の割合は
広い範囲で選択でき、例えば、前記触媒系の割合は、ア
セチレン系又はオレフィン系不飽和化合物1モルに対し
て、第VIII族金属源の金属原子として、1×10-6〜2
×10-1モル、好ましくは1×10-5〜1×10-1モル
程度であり、1×10-4〜1×10-2モル程度である場
合が多い。
【0068】一酸化炭素の割合は、例えば、アセチレン
系又はオレフィン系不飽和化合物1モルに対して、例え
ば、0.1〜100モル、好ましくは1〜80モル、さ
らに好ましくは1.5〜50モル(例えば1.5〜5モ
ル)程度である。反応剤(前記求核性化合物)の使用量
は、例えば、アセチレン系又はオレフィン系不飽和化合
物1モルに対して、0.1〜100モル、好ましくは
0.1〜80モル、さらに好ましくは1〜50モル(例
えば1.5〜5モル)程度であり、水を反応剤として用
いる場合には、前記不飽和化合物1モルに対して、0.
5〜10モル程度であってもよい。なお、反応剤は反応
溶媒として使用してもよい。
【0069】反応は、不活性な有機溶媒中で行なっても
よい。有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、オクタン
などの脂肪族炭化水素、シクロヘキサンなどの脂環族炭
化水素、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、クロロホル
ム、ジクロロメタン、四塩化炭素、クロロベンゼンなど
のハロゲン化炭化水素、これらの混合溶媒など挙げられ
る。なお、溶媒として前記電子供与性化合物や反応剤を
用いる場合には、上記有機溶媒を使用する必要はない。
【0070】カルボニル化反応は、例えば、10〜25
0℃、好ましくは25〜200℃、さらに好ましくは3
0〜150℃程度の温度で、常圧〜150気圧程度(好
ましくは常圧〜100気圧程度、通常10〜70気圧程
度)で行なう場合が多い。反応は、バッチ式、セミバッ
チ式や連続式などの慣用の方法で行なうことができ、液
相又は気相で行なうことができる。前記触媒系は、安定
性が高いので液相系で使用する場合が多い。
【0071】反応終了後、反応生成物は、慣用の方法、
例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラ
ムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組合
せた分離手段により、容易に分離精製できる。
【0072】
【発明の効果】本発明の触媒系は、前記式(I)で表わ
される単位を有するオリゴマー又はポリマータイプの有
機ホスフィンを周期表第VIII族金属源および酸と組み合
わせているので、安定性および触媒活性が高く、カルボ
ニル化反応において高い触媒活性を長期間維持できる。
また、触媒活性の低下が小さく、高い転化率及び選択率
でカルボニル化できる。そのため、前記カルボニル化触
媒系を利用すると、アセチレン系又はオレフィン系不飽
和化合物のカルボニル化により、カルボン酸、カルボン
酸エステルなどのカルボニル化生成物を、安定な液相系
で高い転化率および選択率で長期間に亘り生成できる。
また、メタクリル酸メチルなどのα,β−エチレン性不
飽和カルボン酸又はその誘導体を高い転化率及び選択率
で安定に製造することもできる。
【0073】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。 実施例 ステンレス製オートクレーブ(内容積30ml)に、ジ
ベンジリデンアセトン白金5×10-5モル、ジフェニル
(4−ビニルフェニル)ホスフィンを重合性単量体とし
て用いた架橋重合体(30〜200メッシュ,ジフェニ
ルホスフィン含有量2.5ミリモル/g)1g、メタン
スルホン酸0.098g(1×10-3モル)、メタノー
ル4ml、ピリジン4ml及びメチルアセチレン0.1
gを順次仕込んだ。そして、オートクレーブ内を窒素ガ
スで3回置換した後、一酸化炭素を60Kg/cm2
圧力まで導入して密封し、撹拌下、120℃で2時間反
応させた。反応生成物をガスクロマトグラフィーにより
分析したところ、メチルアセチレンの平均転化速度は、
白金1グラム原子当たり130モル/時であり、メチル
アセチレンを基準とする生成メタクリル酸メチルの選択
率は93%であった。
【0074】減圧濃縮により、得られた反応混合液から
反応生成物(メタクリル酸メチル)、未反応原料(メタ
ノールおよびメチルアセチレン)およびピリジンを除去
する濃縮操作、濃縮残渣に、上記と同量のメタノール、
ピリジンおよびメチルアセチレンを添加する仕込み操
作、および一酸化炭素を導入して反応させる反応操作度
構成された一連の操作を4回繰り返した。そして、前記
と同様にして、白金1グラム原子当たりのメチルアセチ
レンの平均転化速度(モル/時)と、メチルアセチレン
基準のメタクリル酸メチルの選択率(%)を算出したと
ころ、表に示す結果を得た。
【0075】
【表1】 表から明らかなように、実施例の触媒系はカルボニル化
反応において高い触媒活性を有するとともに、触媒を繰
返し使用しても、高い転化速度および選択率を維持して
いる。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)周期表第VIII族金属源、(2)下
    記式 【化1】 (式中、Aは置換基を有していてもよい二価の炭化水素
    基、R1 およびR2 は、同一又は異なって、水素原子、
    アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアル
    キル基、アリール基、アラルキル基又は複素環基を示
    し、R1 およびR2は置換基を有していてもよく、互い
    に結合してアルキレン基を形成してもよい)で表わされ
    る単位を有する重合体および(3)酸で構成されている
    カルボニル化触媒系。
  2. 【請求項2】 A,R1 およびR2 の少なくとも1つの
    基が芳香族性の基である請求項1記載のカルボニル化触
    媒系。
  3. 【請求項3】 重合体(2)が下記式 【化2】 (式中、A環は置換基を有していてもよい芳香族炭化水
    素環、R1 およびR2 は置換基を有していてもよいアリ
    ール基、又はヘテロ原子として少なくとも窒素原子を有
    する芳香族性複素環基を示す。R3 は直鎖状又は分枝鎖
    状C1-3 アルキレン基、nは0又は1を示す)で表わさ
    れる単位5〜100モル%を含む請求項1記載のカルボ
    ニル化触媒系。
  4. 【請求項4】 周期表第VIII族金属が、コバルト、ニッ
    ケル、ロジウム、パラジウムまたは白金である請求項1
    記載のカルボニル化触媒系。
  5. 【請求項5】 酸がプロトン酸である請求項1記載のカ
    ルボニル化触媒系。
  6. 【請求項6】 プロトン酸が、アリールスルホン酸、ア
    ルキルスルホン酸、カルボン酸、ハロゲン化水素酸、硫
    酸、硝酸、リン酸、過ハロゲン酸からなる群より選ばれ
    た少なくとも一種である請求項5記載のカルボニル化触
    媒系。
  7. 【請求項7】 さらに電子供与性化合物を含んでいる請
    求項1記載のカルボニル化触媒系。
  8. 【請求項8】 電子供与性化合物が、重水素化したメタ
    ノールDに対する電子供与度(electron donability )
    △νD が2以上の化合物である請求項7記載のカルボニ
    ル化触媒系。
  9. 【請求項9】 (1)パラジウム又は白金源、(2)下
    記式 【化3】 (式中、A環は置換基を有していてもよいベンゼン環、
    1 およびR2 は置換基を有していてもよいフェニル
    基、又はヘテロ原子として窒素原子を有する6員芳香族
    性複素環基を示す)で表わされる単位30〜100モル
    %を含む重合体、(3)プロトン酸および(4)重水素
    化したメタノールDに対する電子供与度△νD が30〜
    250の電子供与性化合物で構成されている請求項1記
    載のカルボニル化触媒系。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載の触媒系の存在下、ア
    セチレン系不飽和化合物またはオレフィン系不飽和化合
    物と一酸化炭素とを反応させるカルボニル化方法。
  11. 【請求項11】 不飽和化合物がα−アセチレン系化合
    物又はα−オレフィン系化合物である請求項10記載の
    カルボニル化方法。
  12. 【請求項12】 さらに、脱離可能な水素原子を有する
    求核性化合物を反応させる請求項10記載のカルボニル
    化方法。
  13. 【請求項13】 求核性化合物が、水、ヒドロキシル基
    を有する化合物又はカルボン酸である請求項12記載の
    カルボニル化方法。
  14. 【請求項14】 ヒドロキシル基を有する化合物が、ア
    ルコールである請求項13記載のカルボニル化方法。
  15. 【請求項15】 請求項1記載の触媒系の存在下、
    (a)非対称のアセチレン系不飽和化合物又はオレフィ
    ン系不飽和化合物、(b)一酸化炭素、および(c)
    水、炭素数1〜20の脂肪族アルコール、炭素数1〜2
    0のカルボン酸から選ばれた化合物を反応させるカルボ
    ニル化方法。
  16. 【請求項16】 請求項1記載の触媒系の存在下、
    (a)α−アセチレン系炭化水素、(b)一酸化炭素、
    および(c)水、アルコールおよびカルボン酸から選ば
    れた少なくとも1つの求核性化合物を反応させ、α,β
    −エチレン性不飽和カルボン酸又はその誘導体を製造す
    るカルボニル化方法。
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