JPH08296062A - 耐黒変性に優れたAl−Zn系合金めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

耐黒変性に優れたAl−Zn系合金めっき鋼板の製造方法

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JPH08296062A
JPH08296062A JP32534595A JP32534595A JPH08296062A JP H08296062 A JPH08296062 A JP H08296062A JP 32534595 A JP32534595 A JP 32534595A JP 32534595 A JP32534595 A JP 32534595A JP H08296062 A JPH08296062 A JP H08296062A
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隆文 山地
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晃 松崎
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幸太郎 岡本
Masahiko Sakurai
雅彦 桜井
Yoshiharu Sugimoto
芳春 杉本
Masaru Sagiyama
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    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C28/00Coating for obtaining at least two superposed coatings either by methods not provided for in a single one of groups C23C2/00 - C23C26/00 or by combinations of methods provided for in subclasses C23C and C25C or C25D

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Abstract

(57)【要約】 【構成】鋼板上に形成されたAlを25〜75重量%含
むAl−Zn系合金めっき皮膜の表面に、全クロム含有
量に対する6価クロム含有量の比がモル比で0.55以
上であるクロメート処理液を塗布し、乾燥した後、さら
にエマルジョン樹脂を含む処理液を塗布し、乾燥するこ
とにより、全クロメート付着量が金属クロム換算で5〜
40mg/m2 、エマルジョン樹脂付着量が0.8〜
4.0g/m2 の複層皮膜を施す。 【効果】耐黒変性、加工性、耐食性が優れたAl−Zn
鋼板を安価に製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建材等の用途に無
塗装で用いられるAlが25〜75重量%、SiがAl
の0.5重量%以上含まれるAl−Zn系合金めっき鋼
板、代表的には汎用的に製造されているAl55重量
%、Si1.6重量%前後含まれているめっき鋼板(以
下、55%Al−Zn系合金めっき鋼板と称する)に関
し、コイル状態での保管時、あるいはシート状態、ロー
ルフォーミング等による成型を積み重ねた状態で保管さ
れた場合に生じやすい鋼板表面の黒変を解消することが
できる耐黒変性に優れたAl−Zn系合金めっき鋼板の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】55%Al−Zn系合金めっき鋼板は、
めっき外観が美麗でかつ耐食性に優れていることから、
無塗装状態のままロールフォーミングにより成形加工さ
れ、建屋の屋根、あるいは外壁等に用いられている。こ
れらは長期の耐食性が要求されると共に、めっき表面が
直接目に触れる部分に用いられることから、本来の外観
表面が長期に亘って維持されていることが要求される。
【0003】ところが、55%Al−Zn系合金めっき
鋼板は、施工前に屋外でシート状態またはロールフォー
ミング等による成型材を積み重ねた状態で数日間保管さ
れた場合に表面が黒変化し、外観品質を著しく低下させ
ることがある。従って、スタック状態で数日間屋外に保
管されても黒変化しない表面品質を有することが要求さ
れる。
【0004】これらの用途に用いられる55%Al−Z
n系合金めっき鋼板の製造方法としては、従来以下に示
すようなものが提案されている。
【0005】特公平4−2672号公報には、クロム酸
と水溶性あるいは水分散性の樹脂を混合した処理液を用
いて55%Al−Zn系合金めっき鋼板表面に処理する
ことにより耐食性とロールフォーミング時に生じるロー
ルへのめっき凝着を防止する方法が示されている。この
技術は、一定量以上の樹脂皮膜をめっき表面に形成する
ことにより、ロールとめっき表面の直接接触を回避し、
ロールへのめっき凝着を防止すると共にクロム酸との混
合皮膜にすることにより耐食性を得るものである。
【0006】また、黒変化を防止する方法として、特公
平1−53353号公報において、クロム酸と受遺しと
を一定比率以上で混合した処理液で処理することにより
クロム酸が直接めっきと反応することを防止し、耐黒変
性を向上させる方法が開示されている。また、55%A
l−Zn系合金めっき鋼板以外の亜鉛めっき鋼板、すな
わち5%Al−Zn合金めっき鋼板等で行われている黒
変防止方法としては、特開昭59−177381号公
報、特開昭63−65088号公報等に記載されている
めっき後クロメート処理を行う前段階にNiあるいはC
oにて処理する方法が示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】55%Al系合金めっ
き鋼板表面の耐黒変性は、従来技術におけるクロム酸と
水溶性あるいは水分散性の樹脂を適正比率で混合した処
理液を用いて55%Al−Zn系合金めっき鋼板表面に
処理することにより、通常の高湿度環境においては改善
効果が認められる。
【0008】しかし、55%Al−Zn系合金めっき鋼
板は、屋根、外壁等の施工期間においては、屋外にシー
ト状態またはロールフォーミング等による成形材を積み
重ねた状態で保管されるというその特有の用途からくる
用いられ方をした場合、自然環境で容易に結露等により
鋼板表面が濡れた状態になり、1〜2日間の放置でも黒
変化してしまうという問題点がある。また、Ni,Co
等で前処理を行うことにより耐変色性が向上する可能性
があるが、高価な金属を用いることとなるためコスト的
に不利となる。
【0009】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであって、耐黒変性に優れたAl−Zn鋼板を製造す
ることができる製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明発明者らは、例え
ば55%Al−Zn系合金めっき鋼板がシート状態また
はロールフォーミング等による成形材を積み重ねた状態
で結露により鋼板表面が濡れた場合において必要な耐黒
変性は、Cr6+を主体とするクロメート処理を行い、さ
らにエマルジョン樹脂を主体とする処理液を塗布し、乾
燥することにより、著しく向上することを見出した。
【0011】本発明はこのような知見に基づいてなされ
たものであり、鋼板上に形成されたAlを25〜75重
量%含むAl−Zn系合金めっき皮膜の表面に、全クロ
ム含有量に対する6価クロム含有量の比がモル比で0.
55以上であるクロメート処理液を塗布し、乾燥した
後、さらにエマルジョン樹脂を含む処理液を塗布し、乾
燥することにより、全クロメート付着量が金属クロム換
算で5〜40mg/m2、エマルジョン樹脂付着量が
0.8〜4.0g/m2 の複層皮膜を施すことを特徴と
する耐黒変性に優れたAl−Zn系合金めっき鋼板の製
造方法を提供するものである。
【0012】また、前記エマルジョン樹脂を含む処理液
がさらに3価クロムを含有することを特徴とする耐黒変
性に優れたAl−Zn系合金めっき鋼板の製造方法を提
供するものである。
【0013】さらに、上記いずれかの製造方法におい
て、前記クロメート処理液および前記エマルジョン樹脂
を含む処理液のうち少なくとも一方がリン酸を含み、成
膜後の皮膜全体において、リン酸をPO4 に換算し、ク
ロム酸を金属クロムに換算した場合のリン酸とクロムと
の重量比が0.1以上4.0以下であることを特徴とす
る耐黒変性に優れたAl−Zn系合金めっき鋼板の製造
方法を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。
【0015】まず、55%Al−Zn系合金めっき鋼板
に生じる黒変について本発明者らが検討した結果につい
て説明する。
【0016】55%Al−Zn系合金めっき鋼板は、鋼
板同士がスタックされた状態で鋼板間に水分が侵入し、
薄い水膜が形成された状態で黒変しやすく、その場合、
鋼板のエッジ部分ではなく内側の部分、すなわち酸素供
給が不足しやすい部分において黒変が発生する。
【0017】また、黒変部においては、めっきのAlあ
るいはZnの一部が溶解して水酸化物を形成しており、
この水酸化物の形成が鋼板表面の黒変化の原因であるこ
とが明らかとなった。この結果から、55%Al−Zn
系合金めっき鋼板の耐黒変性を向上させるためには、酸
素供給が不十分で水が存在する環境でのめっき溶解反応
を抑制することが必要であることが導かれる。
【0018】そこで、このような特殊な環境で生じる5
5%Al−Zn系合金めっき鋼板の溶解反応の抑制方法
について検討した結果、以下のような条件でクロメート
処理を行った場合に耐黒変性が著しく向上することを新
たに見出した。以下に示す条件は、従来Zn系めっき鋼
板、あるいは5%Al−Zn系合金めっき鋼板において
は黒変を促進するといわれている条件であり、55%A
l−Zn系合金めっき鋼板に代表されるAl含有量が高
いAl−Zn系合金めっき鋼板においてのみ効果が現れ
ると考えられ、そのため本発明ではAl−Zn系合金め
っきのAl含有量を規定している。
【0019】まず、クロメート処理液中にはCr6+とC
3+を含むことが可能であるが、Cr6+がトータルCr
に対するモル比で0.55未満のクロメート処理液で
は、耐黒変性向上効果が不十分である。この原因は解明
されてはいないが、Cr6+がめっき表面で反応し形成さ
れる層が黒変が生じる環境下においては不動態化層とな
り耐黒変性が向上すると考えられる。従って、本発明で
はクロメート処理液におけるトータルCrに対するCr
6+のモル比を0.55以上と規定した。
【0020】また、クロメート処理条件は、通常Znめ
っきで行われている処理液をおよそ40〜60℃に加熱
した状態で鋼板表面にスプレーし、ロール等により絞っ
た後、板温60〜100℃で乾燥する方法を採用するこ
とが可能である。
【0021】ただし、55%Al−Zn系合金めっき鋼
板がロールフォーミング等の加工を受けた後、黒変化す
る環境下にさらされた場合、上述したクロメート処理で
はその効果が十分に発揮されない。これは、加工時にロ
ールとの接触により耐黒変性に効果がある不動態化皮膜
が破壊されるためと考えられる。そこで本発明において
は、加工時の不動態化皮膜層保護を目的として、クロメ
ート処理後に樹脂皮膜層を形成する。
【0022】この不働態化皮膜層の保護のため、めっき
鋼板表面をより均一に有機樹脂により一定比率以上被覆
することが必要である。本発明におけるAl−Zn系合
金めっき鋼板の表面は、Alを主体とするα相とZnリ
ッチなβ相からなり、α相とβ相とで凹凸が形成されて
いるので、水分散系の有機樹脂をロールコーター等でめ
っき表面に塗布し皮膜を形成した場合、有機皮膜は付着
量を多くするに従って凹部から埋めていく。
【0023】本発明者らが樹脂によるめっき表面の被覆
率とロールフォーミング性について検討した結果、樹脂
を0.8g/m2 以上付着させることにより表面のおよ
そ70%以上が被覆され、その場合ロールフォーミング
時の凝着が生じないこと、1.2g/m2 以上付着させ
ることにより表面がほぼ完全に被覆され、ロールフォー
ミング時にロールと接触しても表面に傷が入りにくくな
ること、また表面の損傷の程度が軽度になるに従って加
工後の耐黒変性が向上していることが判明した。また、
表面の損傷の程度が軽度になるにしたがって、加工後の
耐黒変性が向上していることが判明した。
【0024】ただし、付着量を過剰に多くすると、経済
的に不利になるのみならず、コイル等の状態で保管され
た場合、鋼板間で有機樹脂による融着が原因と考えられ
る接着が生じ、鋼板表面に均一なむらが発生したり、あ
るいは樹脂皮膜が剥離する等のブロッキング性に関する
問題が生じることがわかった。そこで本発明者らが被覆
樹脂の種類あるいは付着量とブロッキング性との関係に
ついて検討を行った結果、以下のことが明らかとなっ
た。
【0025】すなわち、保管時の板温は容易に50℃以
上に達し、これに耐え得るブロッキング性を得るために
はTgが保管時の板温よりも高い樹脂を用いることが有
効な手段であると考えられる。しかし、Tgを高くする
ことにより逆に樹脂の造膜温度が高くなり、皮膜乾燥温
度を高くすることが必要となるため、乾燥冷却設備が膨
大なものとなり結果的にコスト高となる。Al−Zn系
合金めっき鋼板表面を被覆する樹脂に水溶性の樹脂を用
いた場合、樹脂0.8g/m2 においてもこれらの問題
が生じるため、ロールフォーミング性との両立が困難で
あるが、エマルジョン樹脂を用いた場合、Tgが50℃
以下で乾燥到達板温100℃以下で造膜可能な樹脂を用
いても付着量を4.0g/m2 以下、好ましくは2.0
g/m2以下にすることによりブロッキング性において
問題が生じないことが判明した。これは、鋼板を重ね合
わせた場合の樹脂同士の接触面積が大きく影響し、一定
量の樹脂量にすることにより、鋼板間に空気が入り込み
これが耐ブロッキング性低下を抑止するためと考えられ
る。
【0026】従って、本発明においてはクロメート処理
したAl−Zn系合金めっき鋼板の表面を被覆する樹脂
にエマルジョン樹脂を用い、その付着量を0.8〜4.
0g/m2 の範囲に規定した。
【0027】また、本発明においてはエマルジョン樹脂
の種類は特に限定されるものではないが、造膜温度、液
安定性とともに、用途からくる耐候性、断熱材等の鋼板
との接着性、外観品質等を考慮して選択することが好ま
しい。エマルジョン樹脂の場合、水分散性を良くするた
めに、界面活性剤、乳化剤が添加されるが、その選択あ
るいは添加量によって樹脂の安定性が向上する一方で、
樹脂皮膜の密着性、塗装性、接着性等が低下する原因と
なり得る。従って、エマルジョン樹脂の選択においては
界面活性剤、乳化剤についても配慮することが必要であ
る。特にラインで製造する場合においては、塗布、乾燥
後、直ちにロール等に接触するため、乾燥後における皮
膜の密着性が低い場合、ロール等への皮膜の付着が生
じ、操業性に多大な支障を来すことになる。クロメート
処理を行い適正な量のクロメートを付着させた後に樹脂
を塗布することにより樹脂皮膜の密着性は向上するが、
エマルジョン樹脂によっては十分な密着性が得られない
こともある。
【0028】本発明者らは、さらに乾燥直後の樹脂の密
着性を一層向上させるべく検討した結果、樹脂皮膜中に
Cr3+を混入させることにより、乾燥温度が低くとも乾
燥直後からめっきと樹脂皮膜との良好な密着性が得られ
ることを見出した。これは、Cr3+が水酸基化した状態
で水分散樹脂に吸着し、吸着したCr3+間で容易に縮合
反応が生じ、さらにその水酸基がめっき表面との密着性
を高めることにより樹脂皮膜とめっきとの密着性が向上
すると推定される。従って、本発明の好ましい態様にお
いては、エマルジョン樹脂を含む溶液にCr3+を添加す
る。樹脂皮膜中にCr3+を混入させる方法としては、C
6+の一部を還元し、Cr3+をCr6+とともに樹脂液中
に混合する方法、あるいは酢酸クロム等を用いてCr3+
のみを樹脂液に混合する方法等がある。Cr3+の添加量
については選択するエマルジョン樹脂に応じた必要量添
加すればよい。
【0029】また、エマルジョン樹脂中にCr6+を混入
させることも可能であり、この場合には不動態化皮膜形
成が不十分な状態に一部なっていても樹脂中に含まれる
Cr6+により、樹脂皮膜形成後に不動態化皮膜を形成す
ることを期待できるが、過剰に混合されて鋼板が濡れた
状態になった場合、Cr6+が皮膜から容易に溶解溶出す
る量が増加し、環境上好ましくない。本発明では、基本
的に、皮膜中のCr6+に依存せずに耐黒変性および耐食
性を高めることができるため、環境上も有利な皮膜を形
成することができる。
【0030】また、本発明の効果を十分に発揮させるた
めには、全クロメート付着量(Cr付着量)を金属クロ
ム換算で5〜40mg/m2 の範囲内とすることが必要
である。Cr付着量が5mg/m2 未満であるとクロメ
ート処理の効果が不十分であり、40mg/m2 を超え
ると着色が目立つようになり、また、付着するCrの溶
解性も高くなる傾向にあるため、屋根、外壁等を主な用
途とする場合には不適切である。
【0031】樹脂層を形成する場合における処理は、例
えば、ロールコーターにより塗布した後、水分が蒸発す
るに必要と考えられる60℃以上の温度で乾燥し、必要
に応じて空冷装置等で冷却するなどの条件で実施するこ
とができる。また、乾燥温度については、製造コストの
観点から乾燥温度の低いほうが望ましいが、樹脂層中に
Cr6+を混入させる場合には、Crが溶解しにくい皮膜
を形成する観点から高温乾燥が好ましい。
【0032】この場合、樹脂塗布前にクロメート処理を
行っていれば耐黒変性に優れる皮膜が形成されるが、ク
ロメート処理を行っていない場合には、耐黒変性に劣る
膜となる。従って、耐黒変性が優れるとともに、Crの
耐溶解性を両立する皮膜を形成させるためには樹脂塗布
前のクロメート処理を行うことが必須である。
【0033】また、用いる樹脂によって、先に形成され
たクロメート処理皮膜が樹脂塗布時に一部溶解し、樹脂
液の安定性を低下させる場合があるが、樹脂を適切に選
択するとともに、樹脂液のpHをたとえばアンモニア等
を添加することにより安定域に保つことにより、その安
定性を確保することができる。
【0034】また、本発明ではクロメート処理液および
エマルジョン樹脂を含む処理液のうち少なくとも一方に
リン酸を含むことが好ましい。リン酸の添加は、いわゆ
る亜鉛系めっき鋼板、5%Al−Zn系合金めっき鋼板
においては、耐黒変性を低下させることが知られている
が、本発明が対象とする55%Al−Zn系合金めっき
鋼板においては、逆に、耐黒変性をさらに向上させるこ
とが見出された。また、リン酸の添加によりCrの着色
を抑制することができるため、外観の色調の観点からも
望ましい。
【0035】しかしながら、耐黒変性に対するリン酸の
添加量は、以下のような理由から適正範囲が存在する。
すなわち、皮膜形成後の皮膜全体において、リン酸をP
4に換算し、クロム酸を金属クロムに換算した場合の
リン酸とクロムとの重量比が0.1未満の場合、リン酸
の添加効果が十分に発揮されず、より優れた耐黒変性は
得られない。また、その重量比が4.0を超えた場合に
は青みがかった皮膜となり、外観上好ましくない。これ
らの理由によりリン酸を添加する場合には、リン酸とク
ロムとの重量比を0.1以上4.0以下の範囲に規定し
た。
【0036】なお、耐黒変性に対するリン酸の処理液へ
の添加効果は、Cr6+を主体とするクロメート処理液ま
たはエマルジョン樹脂を主体とした処理液のどちらか一
方のみへの添加、両方への添加のいずれの場合について
も確認された。
【0037】また、リン酸と同様に、Cr6+とめっきと
の反応を促進すると考えられる化合物の添加、例えば硫
酸化合物やフッ素系化合物などの添加も可能であり、本
発明において、これら添加物の種類または添加量は特に
制限されないが、過剰の添加により耐黒変性のみならず
耐食性までも低下させる場合があるため、そのような状
況が発生しないような添加量で用いる必要がある。
【0038】本発明の方法においては、Alを25〜7
5重量%、より好ましくは50〜60重量%を含むめっ
き層、またはさらにSiをAlの0.5%以上含むめっ
き層を有するAl−Zn系合金めっき鋼板に、上述のよ
うにしてクロメート処理層およびエマルジョン樹脂層を
形成する。めっき層が上記組成であればその上にこれら
2つの層を形成することにより、耐黒変性が優れたもの
とすることができる。めっき外観を特に重要視する場合
には、スキンパスを行わず、テンションレベラーにより
形状矯正を行ったAl−Zn系合金めっき鋼板に対して
上記処理を施すことが好ましい。
【0039】
【実施例】Al:53%、Si:1.3%、Fe:1.
4%、残部Znの組成を有するめっき皮膜が形成された
Al−Zn系合金めっき鋼板に、表1に示した条件でク
ロメート処理を行い、さらに表2に示した条件で樹脂皮
膜形成を行った。
【0040】また、比較としてその他の溶融亜鉛めっき
鋼板GI(Al:0.3%、残部Zn)、およびGF
(Al:4.5%、残部Zn)を用いた。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】これら皮膜の付着量を求め、以下に示す方
法で耐黒変性、加工性、耐食性、樹脂皮膜乾燥直後の密
着性を評価した。なお、皮膜の付着量は、クロメート処
理皮膜に関しては蛍光X線を用いて測定したCr量から
算出し、樹脂皮膜に関してはEPMAを用いて測定した
Cの強度から算出した。
【0044】(1)耐黒変性 皮膜形成を行った150mm×150mmの鋼板をスタ
ック状態にし、湿潤試験器(HCT)に6日間放置した
後、サンプルの黒変程度、および黒変面積により耐黒変
性を目視評価した。また、一部のサンプルについては2
週間放置の試験も行い同様に評価した。
【0045】この際の評価基準は以下の通りである。
【0046】 ◎:試験前後で外観変化なし ○:試験によりわずかな点状の外観変化部有り(面積1
0%未満) △:試験により面状の外観変化部有り(面積10%〜5
0%未満) ×:試験により明らかな黒変部、あるいは面状の外観変
化部が50%以上有り (2)加工性 皮膜形成を行った幅30mmの鋼板をビード径5R、変
形高さ1mm、押し付け荷重100kgfの条件でビー
ド引き抜き試験を行った後、加工材の状態(耐傷付性)
を評価し、さらにその後耐黒変性試験を実施した。
【0047】耐傷付性の評価基準は以下の通りである。
なお、加工後の耐黒変性は上と同じ基準で評価した。
【0048】 評価基準点数 耐傷付性 5 傷付なし 4 引き抜き方向に軽度の傷が3本以内 3 引き抜き方向に軽度の傷が4〜10本 2 引き抜き方向に明らかな傷が4〜10本 1 皮膜の一部が剥離、鋼板のかじり、ビードへの凝着が認められる 。
【0049】(3)耐食性 サンプルの切断端面をテープシールしたものについて塩
水噴霧試験(JIS−Z−2371)を実施し、240
時間後の錆発生面積を調べ、これにより以下の基準で耐
食性を評価した。
【0050】この際の評価基準は以下の通りである。
【0051】 (4)樹脂皮膜乾燥直後の皮膜密着性 乾燥炉から出た直後のサンプル表面に粘着テープを貼付
し、引き剥がし、皮膜の剥離程度により評価した。同様
の試験をその2時間後に実施し同様に評価した。評価基
準を以下に示す。
【0052】 ◎:剥離なし ○:1〜10%未満の剥離有り(2時間後剥離テストで
剥離なし) △:10〜25%未満の剥離有り(2時間後剥離テスト
で剥離なし) ×:25%以上の剥離有り、あるいは2時間後剥離テス
トで剥離有り 皮膜形成条件、皮膜付着量、および各特性の評価結果を
表3〜6に示す。
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】これらの表に示すように、本発明の範囲内
の条件で処理を行ったNo.2〜5,7,9,13,1
4,18,22〜26,28〜51は、耐黒変性、耐食
性、加工性、耐ブロッキング性、耐クロム溶解性のいず
れも優れていた。また、特に、本発明の範囲ないで皮膜
中にリン酸を添加したNo.7,9,10,14,23
〜26,28〜30,33〜51は、リン酸無添加また
は添加量が範囲外の皮膜よりもさらに優れた性能を示し
た。また、この中で、No.14,15,31〜51
は、樹脂皮膜の密着性にも優れていた。
【0058】これに対して本発明から外れる条件のもの
は、上記特性のうちいずれかが劣っていた。No.6は
クロメート処理液のCr6+比率が低いために耐黒変性に
劣っていた。また、No.8,11は樹脂付着量が本発
明の範囲から外れるために、加工後の耐黒変性、耐傷付
性、あるいは耐ブロッキング性に劣っていた。No.
1,12,15は、Cr付着量が本発明の範囲外である
ために、耐黒変性、耐食性、あるいはCr溶解性の点で
劣っていた。さらに、No.16,17はクロメート処
理を省略した場合であり、耐黒変性に劣っていた。さら
に、No.19は、樹脂として水溶性の樹脂を用いた場
合であり、付着量を少なくしてもエマルジョン樹脂と比
べてべとつき感のある皮膜となり、耐ブロッキング性に
劣っていた。また、No.20,21はめっきの組成が
本発明から外れており、耐黒変性に劣っていた。さらに
また、No.27はリン酸の添加範囲が本発明に示す範
囲を超えており、外観が青がかった皮膜となった。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
耐黒変性、加工性、耐食性が優れたAl−Zn鋼板を安
価に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桜井 雅彦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 杉本 芳春 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 鷺山 勝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板上に形成されたAlを25〜75重
    量%含むAl−Zn系合金めっき皮膜の表面に、全クロ
    ム含有量に対する6価クロム含有量の比がモル比で0.
    55以上であるクロメート処理液を塗布し、乾燥した
    後、さらにエマルジョン樹脂を含む処理液を塗布し、乾
    燥することにより、全クロメート付着量が金属クロム換
    算で5〜40mg/m2 、エマルジョン樹脂付着量が
    0.8〜4.0g/m2 の複層皮膜を施すことを特徴と
    する耐黒変性に優れたAl−Zn系合金めっき鋼板の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記エマルジョン樹脂を含む処理液がさ
    らに3価クロムを含有することを特徴とする請求項1に
    記載の耐黒変性に優れたAl−Zn系合金めっき鋼板の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記クロメート処理液および前記エマル
    ジョン樹脂を含む処理液のうち少なくとも一方がリン酸
    を含み、成膜後の皮膜全体において、リン酸をPO4
    換算し、クロム酸を金属クロムに換算した場合のリン酸
    とクロムとの重量比が0.1以上4.0以下であること
    を特徴とする請求項1または2に記載の耐黒変性に優れ
    たAl−Zn系合金めっき鋼板の製造方法。
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