JPH08291529A - 地下階の施工方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 長大スパンのケーソンに生じる圧入時の
応力を低減することができ、大規模な地下構造物の高速
施工を可能とする、地下階の施工方法を提供すること。 【構成】 基礎梁を地中に圧入して地下階を構築す
る方法において、地下階構築予定地の地盤中に複数のア
ンカー２を設置し、前記複数のアンカー２を貫通させて
複数の分割基礎梁６を構築し、前記分割基礎梁６に装備
したジャッキ２１にアンカー２のケーブルをセットし、
地下階構築予定地の地盤に各分割基礎梁６の荷重を預け
ながら構築予定地の掘削を行い、前記ジャッキ２１によ
りアンカー２のケーブルを引張した際の反力により各分
割基礎梁６を圧入し、前記基礎梁６の圧入と並行して基
礎梁６上部に地下階を構築することを特徴とする、地下
階の施工方法である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ケーソンを地中に圧入
して行う地下階の施工方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】地下階の施工方法のひとつとして、ケー
ソン圧入工法がある。この工法は、両側をビル等に挟ま
れているような狭い場所において、できるだけ地下部分
を広く取りたい場合に有効である。

【０００３】

【発明が解決しようとする問題点】大規模な地下階を圧
入工法により構築する場合は、ケーソンの水平方向の長
さ（スパン）が長大となるため、圧入時にケーソンに過
大な応力が生じる。従って、そのような応力に対抗する
ためにはケーソンの断面を大きくする必要があるが、実
際にはそのような大断面のケーソンの設計は不可能であ
る。よって、従来のケーソンの一体圧入工法は大規模な
地下階の構築には採用できないのが現実である。

【０００４】

【本発明の目的】本発明は以上の問題点を解決するため
になされたもので、その目的とするところは、長大スパ
ンのケーソンに生じる圧入時の応力を低減することがで
き、大規模な地下階の高速施工を可能とする、地下階の
施工方法を提供することにある。

【０００５】

【問題点を解決するための手段】本発明は、基礎梁を地
中に圧入して地下階を構築する方法において、地下階構
築予定地の地盤中に複数のアンカーを設置し、前記複数
のアンカーを貫通させて複数の分割基礎梁を構築し、前
記分割基礎梁に装備したジャッキにアンカーのケーブル
をセットし、地下階構築予定地の地盤に各分割基礎梁の
荷重を預けながら構築予定地の掘削を行い、前記ジャッ
キによりアンカーのケーブルを引張した際の反力により
各分割基礎梁を圧入し、前記基礎梁の圧入と並行して基
礎梁上部に地下階を構築することを特徴とする、地下階
の施工方法である。また前述した地下階の施工方法にお
いて、地下階構築予定地の地盤中に複数の構真柱を設置
し、前記基礎梁の圧入の際に、これらの構真柱を前記基
礎梁に貫通させることを特徴とする、地下階の施工方法
である。また上記した地下階の施工方法において、基礎
梁上に地下階の床用梁を搭載し、前記基礎梁の圧入と並
行して前記床用梁を掘削溝内の所定レベルの構真柱に架
設し、この架設した床用梁を基に地下階を構築すること
を特徴とする、地下階の施工方法である。また上記した
地下階の施工方法において、基礎梁上に下から順に地下
階の床用梁とデッキを搭載し、前記基礎梁の圧入と並行
して前記床用梁を掘削溝内の所定レベルの構真柱に架設
し、この架設した床用梁上のデッキ上に配筋を行い、コ
ンクリートを打設して地下階を構築することを特徴とす
る、地下階の施工方法である。また上記した地下階の施
工方法において、基礎梁上に下から順に地下階の床用梁
とプレキャスト版を設置し、前記基礎梁の圧入と並行し
て前記床用梁を掘削溝内の所定レベルの構真柱に架設し
て地下階を構築することを特徴とする、地下階の施工方
法である。さらに上記いずれかに記載した地下階の施工
方法において、前記基礎梁を所定深度まで圧入し、最下
階のフロアとして用いることを特徴とする、地下階の施
工方法である。

【０００６】

【実施例１】以下図面を参照しながら本発明の一実施例
について説明する。 ＜イ＞構真柱の立設 図１に示すように、地下階の構築予定場所の周囲に土留
壁１を施工し、その内部にアースアンカー２、アースド
リル杭等の基礎杭３を施工する。なおアースアンカー２
は、基礎杭３に固定することも可能である。基礎杭３に
下端を固定して構真柱４を立設する。なお、構真柱４は
施工規模に応じて所要数立設する。

【０００７】＜ロ＞タワークレーンの設置 立設した構真柱４の上部にマストコラムを組立てて配置
し、地下階躯体、外壁等の構築に使用するタワークレー
ン５を設置する。タワークレーン５により、本発明の地
下階の施工方法による地下階の構築と並行して、地上階
の構築を行うことが可能となる。なおケーソン上にもタ
ワークレーン（図示せず）が設置してある。

【０００８】＜ハ＞ケーソンの構築 図２に示すように地上で基礎梁となるケーソンを複数ブ
ロックに分割して構築する。分割ケーソン６の分割寸法
は、現場の状況によりケーソンに応力変形を生じさせな
いように適宜設定する 分割ケーソン６には、その内部に構真柱４を貫通させる
ための貫通孔６１を必要数開設する。また、アースアン
カー２も分割ケーソン６を貫通させ、分割ケーソン６の
上端に予め設置したＶＳＬジャッキ等のジャッキ２１に
ケーブルの上端部を把持させて固定する。なお、一般的
には地下躯体はＲＣ造やＳＲＣ造であるが、本発明はＳ
造にすることにより、工期短縮及び工費削減が図れる。

【０００９】＜ニ＞構築材の積み込み 図３に示すように分割ケーソン６の圧入時に、分割ケー
ソン６の上面に予め地下階の各フロア分のデッキ及び梁
を載置しておく。例えば図６に示す地下２階建の構造物
を構築する場合、分割ケーソン６の上面に、地下１階フ
ロア８を構成する地下１階梁８１と地下１階デッキ８
２、１階フロア９を構成する１階梁９１と１階デッキ９
２の順に各構築材を積層して載置する。この際、地下２
階フロア１０は分割ケーソン６をそのまま使用して構築
するため、前述したような梁等の構築材を積み込む必要
はない。

【００１０】＜ホ＞ケーソンの圧入 図２〜５に示すように分割ケーソン６の下部作業室６２
には、天井走行式或いは自走式等の掘削機７を配置し、
これにより地下階躯体の掘削を行う。掘削終了後、地盤
に各分割ケーソン６の荷重を預けながら、各ジャッキ２
１により各アースアンカー２に引上力を付与し、この反
力により各分割ケーソン６を掘削溝内に進入させる。こ
の際構真柱４は、各分割ケーソン６の貫通孔６１内に貫
入することになる。所定深度の圧入が終了したら、再び
下部作業室６２内で掘削を開始し、次の分割ケーソン６
の圧入に備える。

【００１１】＜ヘ＞地下階の構築 図６に示すような地下２階建の構造物を構築する場合を
一例に、地下階の構築について説明する。分割ケーソン
６を地表面より所定深度圧入したら、分割ケーソン６上
面を作業足場として溝内の１階フロア９構築レベルに１
階梁９１を構真柱４に架設する。架設した１階梁９１上
の１階デッキ９２上に必要な型枠を配置し、配筋を行
い、コンクリート等を打設して一階フロア９を完成させ
る。この際、分割ケーソン６の上面を作業足場として型
枠を配置し、前記型枠を足場として配筋、コンクリート
打設等の各作業を行うことができる。１階フロア９以下
の各フロアについても、分割ケーソン６を所定深度圧入
させ、分割ケーソン６の上面を作業足場として構築す
る。また、各フロアの地下外周壁も追って施工を行う。
上記作業を繰返して行い、所定の深度（本実施例では地
下２階）まで各分割ケーソン６を進入させた後に、各分
割ケーソン６と基礎杭３とを接合する。各分割ケーソン
６の下部作業室６２に配置していた掘削機７を撤去し、
下部作業室６２を埋め戻し、各分割ケーソン６のジョイ
ント部（図示せず）を連結し、各分割ケーソン６間の間
隙をコンクリート等で埋め、地下階の構築を完了する。

【００１２】

【実施例２】前述した実施例１は、地下階を構築するた
め分割ケーソン上面に床用梁とデッキを載置し、前記部
材を地下階フロアの構築レベルで架設し、型枠配置や配
筋を行い、コンクリートを打設して各フロアを完成させ
る一例について説明してある。 これに対し、デッキに
代えてプレキャスト版であるＰＣａ版、ハーフＰＣ版等
を採用する場合もある。例えばデッキに代えてＰＣａ版
を用いた場合、床用梁上に構築するフロアと同厚のＰＣ
ａ版を複数載置し、分割ケーソンの圧入と並行して床用
梁を地下階フロアの構築レベルで架設した後、ＰＣａ版
同士を連結し、必要箇所にモルタル等の打設処理を施す
ことによりフロアを完成させる。また、フロアと同厚の
プレキャスト版は重量であるため床用梁上に載置できな
い場合がある。この場合、通常のプレキャスト版に代え
て軽量であるハーフＰＣ版を用いることが考えられる。
ハーフＰＣ版を用いた場合、床用梁を地下階フロアの構
築レベルで架設し、床用梁上に載置した複数のハーフＰ
Ｃ版を連結し、必要厚のコンクリート打設に必要な型枠
の配置および配筋をハーフＰＣ版上面を足場にして行
い、コンクリートを打設することによりフロアを完成さ
せる。

【００１３】

【発明の効果】本発明は以上説明したようになるから次
のような効果を得ることができる。 ＜イ＞ ケーソンを分割したことにより、一体型ケーソ
ンと比較して沈下時のケーソンにかかる応力変形が生じ
なくなり、ケーソン本体を補強することなく、またケー
ソンの撓み計測も不要であり非常に経済的である。 ＜ロ＞ ケーソンを分割したことにより、一体型ケーソ
ンと比較して高層ビルのような大規模な構造物の施工に
おいてもケーソン圧入工法が可能である。 ＜ハ＞ 構真柱に関係なくケーソンを土で支持させなが
らジャッキで単純圧入制御するため、構真柱とケーソン
との間に圧入をミリ単位で制御する降下装置を設置する
必要がなく工費を低減できる。 ＜ニ＞ 地上階と地下階の同時施工が可能となるため、
構造物の高速施工が可能となり、大幅な工期短縮が可能
となる。 ＜ホ＞ ケーソンの圧入工程が簡素であるため、工費の
低減が図れる。 ＜ヘ＞ 地上で構築したケーソン上で１階床、地下階床
材料を搭載して沈下させ、各階に各階の床を構築しなが
らケーソンを沈下させることができる。 ＜ト＞ 各階の床を構築する際、床材料及び設備機器、
耐火被覆、吹付用機器等の装置をケーソン上に搭載して
沈下させ、ケーソン上を作業床として各工程を実施でき
るため、仮設足場等が不要であり、安全性及び作業効率
が大幅に向上する。＜チ＞ 床材料及び設備機器等を垂
直搬送する必要がないため、安全性及び作業効率が大幅
に向上し工期も短縮できる。 ＜リ＞ ケーソンを沈下させながら１階床、地下階床を
構築するため、山留切梁が不要となり、経済的であると
ともに周辺地盤に影響を与えることなく安全に施工する
ことが可能である。 ＜ヌ＞ １階床を先行構築できるので、地下階を構築す
る際は雨水を完全に止水できるため、全天候作業が可能
で、工程を遅延させることなく予定の工期を確保でき
る。 ＜ル＞ 切梁が不要であるため、作業に支障を来さず工
期の短縮及び工費の低減を図ることができる。 ＜ヲ＞ 本発明は、ケーソンにかかる応力を低減できる
ため、ケーソンをＳ造とすることができ、工期の短縮及
び工費の低減が図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 基礎杭、構真柱、アースアンカー等設置の説
明図

【図２】 分割ケーソン及び地下作業の説明図

【図３】 構築材の積み込みを行った分割ケーソンの説
明図

【図４】 分割ケーソンを圧入工程の説明図

【図５】 １階フロア構築状態を示す説明図

【図６】 地下階の構築後の状態を示す説明図

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基礎梁を地中に圧入して地下階を構築
   する方法において、 地下階構築予定地の地盤中に複数のアンカーを設置し、 前記複数のアンカーを貫通させて複数の分割基礎梁を構
   築し、 前記分割基礎梁に装備したジャッキにアンカーのケーブ
   ルをセットし、 地下階構築予定地の地盤に各分割基礎梁の荷重を預けな
   がら構築予定地の掘削を行い、 前記ジャッキによりアンカーのケーブルを引張した際の
   反力により各分割基礎梁を圧入し、 前記基礎梁の圧入と並行して基礎梁上部に地下階を構築
   することを特徴とする、 地下階の施工方法。
2. 【請求項２】 請求項１において、地下階構築予定地
   の地盤中に複数の構真柱を設置し、前記基礎梁の圧入の
   際に、これらの構真柱を前記基礎梁に貫通させることを
   特徴とする、地下階の施工方法。
3. 【請求項３】 請求項２において、基礎梁上に地下階
   の床用梁を搭載し、前記基礎梁の圧入と並行して前記床
   用梁を掘削溝内の所定レベルの構真柱に架設し、この架
   設した床用梁を基に地下階を構築することを特徴とす
   る、地下階の施工方法。
4. 【請求項４】 請求項２又は３において、基礎梁上に
   下から順に地下階の床用梁とデッキを搭載し、前記基礎
   梁の圧入と並行して前記床用梁を掘削溝内の所定レベル
   の構真柱に架設し、この架設した床用梁上のデッキ上に
   配筋を行い、コンクリートを打設して地下階を構築する
   ことを特徴とする、地下階の施工方法。
5. 【請求項５】 請求項２又は３において、基礎梁上に
   下から順に地下階の床用梁とプレキャスト版を設置し、
   前記基礎梁の圧入と並行して前記床用梁を掘削溝内の所
   定レベルの構真柱に架設して地下階を構築することを特
   徴とする、地下階の施工方法。
6. 【請求項６】 請求項１乃至５のいずれかに記載した
   地下階の施工方法において、前記基礎梁を所定深度まで
   圧入し、最下階のフロアとして用いることを特徴とす
   る、地下階の施工方法。