JPH08291090A - 芳香族置換塩素化炭化水素化合物の製造方法 - Google Patents
芳香族置換塩素化炭化水素化合物の製造方法Info
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Abstract
い、芳香族置換塩素化炭化水素化合物の製造方法を提供
すること。 【解決手段】芳香族置換アルコール化合物に塩酸を塩素
化の試薬として用いることを特徴とする簡便な芳香族置
換塩素化炭化水素化合物の製造方法。
Description
合物から簡便な方法で効率よく芳香族置換塩素化炭化水
素化合物を得る新規な製造方法である。
C(CH3)2Cl)のような芳香族置換塩素化炭化水素化合物は
末端官能性ポリイソブチレン等を製造する際の開始剤と
して用いられることが知られている(米国特許第427
6394号明細書)。このような開始剤を合成するには
氷冷下、1、4-ビス(イソプロペニル)ベンゼンに塩化
水素を付加する反応(O.ヌイケン、S.D.パスク、
A.ビッシャー及びM.ウォルター、マクロモレキュラ
ー ケミー(O. Nuyken, S. D. Pask,A. Vischer and
M. Walter, Makromol. Chem.), 186, 173 −190(198
5))及び氷冷下、1、4-ビス(2−ヒドロキシ−2−プ
ロピル)ベンゼンの溶液に塩化水素を作用させる反応
(V.S.C.チャン及びJ.P.ケネディ、ポリマー
ブレチン(V. S. C. Chang and J. P. Kennedy, Polyme
r Bulletin ) 4, 513−520(1981))が知られている。
この他にクミルクロライドの合成方法としてはイソプロ
ピルベンゼンに太陽光照射下、塩素ガスを作用する反応
(M.S.カラシュ及びH.C.ブラウン、ジャーナル
オブ アメリカン ケミカル ソサエティ(M.S.Khar
asch and H.C.Brown, J. Am. Chem. Soc.), 61, 2142
(1939))等がある。
化の試薬として塩素あるいは塩化水素等のガスを使用し
ているため、反応が気−液反応となることから撹拌効率
が大きく収率に影響する、化学量論的に大過剰の塩素化
試薬を必要とする、などの問題がある。また塩素ガスを
用いる方法は、塩素ガスの毒性や腐食性が問題であり、
光が必要であるという問題もあって実用的でない。
用いる方法より問題は少ない。しかし、反応時氷冷が必
要であり、工業的に有利な方法とは言い難い。本発明者
等はジクミルクロライド等の芳香族置換塩素化炭化水素
化合物は分解しやすく、塩化水素を用いる方法において
反応速度を大きくするために反応温度を上昇すると室温
程度においてもかえって生成物の収率が低下することを
見出した。
程度以上の取り扱いやすい温度においても高い収率で芳
香族置換水酸基含有炭化水素化合物(以下、芳香族置換
アルコールともいう)から芳香族置換塩素化炭化水素化
合物(以下、芳香族置換塩素化合物ともいう)を得る簡
便な製造方法を提供することにある。
アルコールに塩素化試薬として塩酸水溶液を反応させる
ことにより室温程度以上の取り扱いやすい温度において
も簡便に塩素化を行うことができることを見出し本発明
をなすに至った。すなわち本発明は、一般式(1): Ar(CR1R2OH)n (1) (式中、Arはn価の芳香環基、R1 、R2 は置換また
は非置換の一価の脂肪族炭化水素基を示し、それらは同
じであっても異なっていてもよい、nは1〜5の整数)
で表される化合物を塩酸と反応させることを特徴とす
る、一般式(2): Ar(CR1R2Cl)n (2) (式中、Ar、R1 、R2 、nは前記とおなじ)で表さ
れる芳香族置換塩素化炭化水素化合物の製造方法に関す
るものである。
例としてはC6H5-、p-C6H4-、m-C6H4-、o-C6H
4-、1,3,5-C6H3-基などをあげることができる。
R1 、R2としてはメチル基、エチル基などの炭化水素
基があげられ、これらは塩素原子のような置換基を有し
ていてもよい。本発明に用いる芳香族置換アルコールの
例としては、 (2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼン C6H5C(CH3)2OH 1、4−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼ
ン 1,4-HO(CH3)2CC6H4C(CH3)2OH 1,3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ベンゼ
ン 1,3-HO(CH3)2CC6H4C(CH3)2OH 1、3、5−トリス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)
ベンゼン 1,3,5-((C(CH3)2OH)3C6H3 1、3−ビス(2−ヒドロキシ−2−プロピル)−5−
(tert−ブチル)ベンゼン 1,3-((HOC(CH3)
2)2-5-(C(CH3)3)C6H3 、などが挙げられる。
合物の例としては、 (2−クロル−2−プロピル)ベンゼン C6H5C(CH3)2Cl 1,4−ビス(2−クロル−2−プロピル)ベンゼン 1,4-Cl(CH3)2CC6H4C(CH3)2Cl 1,3−ビス(2−クロル−2−プロピル)ベンゼン 1,3-Cl(CH3)2CC6H4C(CH3)2Cl 1、3、5−トリス(2−クロル−2−プロピル)ベン
ゼン 1,3,5-((ClC(CH3)2)3C6H3 1、3−ビス(2−クロル−2−プロピル)−5−(t
ert−ブチル)ベンゼン 1,3-((C(CH3)2Cl)
2-5-(C(CH3)3)C6H3 、などが挙げられる。
の混合物中に芳香族置換アルコールを加えて撹拌を行う
ことにより、反応を進行させる。生成した芳香族置換塩
素化合物は有機溶媒に溶解することから、この有機層を
塩酸と分離してから冷却を行い、目的化合物を結晶とし
て得ることができる。本発明で用いる有機溶媒としては
ペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン、ヘキサン、
ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ノルボルネン、
メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の飽和
炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベン
ゼン等の芳香族炭化水素、四塩化炭素、クロロホルム、
塩化メチレン、クロロエタン、ジクロロエタン、プロピ
ルクロライド、ブチルクロライド等のハロゲン化炭化水
素、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等
のケトン類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテ
ル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタンなどのエーテ
ル類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブ
タノールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド、
ジメチルスルフォキシド、HMPAなどがある。このうち、
塩酸や水の溶解度が低く、なおかつ反応溶媒をそのまま
再結晶溶剤としても使用できるという理由から、溶剤と
してはぺンタン、シクロペンタン、ネオペンタン、ヘキ
サン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ノルボル
ネン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等
の飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチ
ルベンゼン等の芳香族炭化水素、四塩化炭素、クロロホ
ルム、塩化メチレン、クロロエタン、ジクロロエタン、
プロピルクロライド、ブチルクロライド等のハロゲン化
炭化水素が好ましい。このうち特に飽和炭化水素や芳香
族炭化水素が好ましい。
ルに対する溶解度が小さい溶媒もあるが生成する芳香族
置換塩素化合物の溶解度が一般に高いため芳香族置換ア
ルコールを完全に溶解させない状態で反応を始めること
も可能である。この際に用いる溶媒量としては特に制限
されるものでは無いが、使用する溶媒の量を少なくし、
結晶化させる際の効率を高くする目的で芳香族置換アル
コールが溶媒量に対して50g/L以上になるように設
定することが好ましい。
アルコールの水酸基に対して当量以上であれば特に制限
されるものではないが、効率よく目的物を得るために、
水酸基に対して2当量以上であることが好ましい。本発
明によれば芳香族置換アルコールと塩化水素ガスとを反
応させ芳香族置換塩素化合物を得る反応(Polymer Bull
tin 4, 513-520 (1981))に比較し反応温度を高くするこ
とが可能である。塩化水素を用いる方法では生成する芳
香族置換塩素化合物が分解するため氷冷下等の低温で反
応させることが必要であるが、本発明の方法に従えば理
由は不明であるが、室温付近でも分解反応が抑えられ、
高収率で目的とする芳香族置換塩素化合物を得ることが
できる。すなわち本発明においては10℃以上の温度で
反応を行うことが可能であり、さらに大きい反応速度で
反応を行うには反応温度を、15〜30℃、特には20
〜30℃とするのが望ましい。反応温度を上げることに
より冷却が不要になり、製造設備を簡略化することが可
能となる。
た溶液の有機層(即ち有機溶媒層)と水層(即ち塩酸
層)を分離し、必要に応じ、溶媒層の洗浄、乾燥等を行
う。水に可溶な溶媒を用いた場合あるいは後述の無溶媒
系の場合、水に不溶な溶媒を用いて芳香族置換塩素化合
物を抽出した後、同様の処理を行うことができる。本発
明の芳香族置換塩素化合物は再結晶により容易に精製す
ることができる。特に水に不溶な有機溶媒を用いて反応
を行った場合、塩酸分離後、芳香族置換塩素化合物溶液
を冷却することにより容易に精製された芳香族置換塩素
化合物をうることが可能である。
が、再結晶効率の点から好ましい温度範囲は−10〜−
50℃である。本発明においては塩化水素ガスを用いる
従来の方法に比較し高い温度で反応を行うことができる
ので、反応溶液中の芳香族置換塩素化合物の濃度を高く
することができ効率よく芳香族置換塩素化合物の精製を
行うことができる。
ことができる。溶媒を用いない場合、塩酸中で芳香族置
換アルコールを懸濁状態のまま反応させるが、高い収率
で芳香族置換塩素化合物を得ることができる。溶媒なし
の反応の場合、理由は不明であるが反応温度60℃程度
の高い温度においても生成する芳香族置換塩素化合物の
分解が生じない。従って溶媒なしの反応でも反応速度を
大きくでき、効率よく反応を進行させることができる。
中には、脱塩酸により分解する化合物もあることから、
化合物の取り扱いは30℃以下で行うことが望ましい。
500mLの混合物中に、1、4−ビス(2−ヒドロキ
シ−2−プロピル)ベンゼン(p−DIOL)97.1
g(0.5mol、三井石油化学工業(株)製)の粉末
を10分間かけて添加した。この際に反応液の温度は全
く変化しなかった。この混合物を20℃でさらに80分
撹拌した。この時、有機層、水層ともに無色透明に変化
した。この後に有機層と水層を分離し、有機層中に無水
硫酸マグネシウム10gを加えて水分の除去を行った。
固形物をろ別した後に−32℃で12時間放置すること
により無色の結晶を得た。母液をデカンテーションによ
って除去した後に30℃以下で減圧乾燥を行い、1、4
−ビス(2−クロル−2−プロピル)ベンゼン(p−D
CC、p−ジクミルクロライド)105.2g(0.4
5mol)を収率91%で得た。NMRによる純度検定
を行ったところ98%純度であった。さらに得られた塩
素化合物は滴定によっても純度を検定した。滴定方法は
以下の通りである。得られたp−DCC0.5gをアセ
トン20mLに溶解し、これに分析用0.5N水酸化ナ
トリウム10mLを加えて室温で30分反応を行う。こ
の後にフェノールフタレインのエタノール溶液を加え、
分析用0.2N塩酸にて滴定し単位重量当たりに含まれ
る塩素量を求めた。この方法による純度検定では得られ
たp−DCCの純度は99.4%であった。尚、本反応
を30℃で行ったところ、収率91%、NMRによる純
度99%でp−DCCを得た。
OL3.88g(20mmol)の粉末を10分間かけ
て添加した。この際に反応液の温度は全く変化しなかっ
た。この混合物を20℃でさらに50分撹拌した。この
後にメチルシクロヘキサン15mLで抽出を行い、有機
層中に無水塩化カルシウム1.5gを加えて水分の除去
を行った。固形物をろ別した後に30℃以下で有機溶媒
留去を行い、p−DCC(粗精製品)4.5g(20m
mol)を得た。NMRによる純度検定を行ったところ
純度98%であった。
ヘキサン1.2L、および35%塩酸4.0Lの混合物
中に、p−DIOL777g(4.0mol)の粉末を
20分間かけて添加した。この際に反応液の温度は変化
しなかった。この混合物を22℃でさらに40分撹拌し
た。反応が進行するにつれて、p−DIOLの粉末は減
少し、反応後は有機層、水層ともに無色透明であった。
この後に有機層と水層を分離し、有機層中に無水硫酸マ
グネシウム40gを加えて水分の除去を行った。固形物
をろ別した後にp−DCC溶液を2mLサンプリング
し、揮発分を留去してからp−DCC(粗精製品)の1
H−NMRスペクトルを測定したところ、純度は97%
であった。残りの溶液を−30℃で16時間放置するこ
とにより、p−DCCの結晶を得た。窒素下でのデカン
テーションにより、母液を除去した後に30℃以下で減
圧乾燥を行い、p−DCC826g(3.58mol)
を得た(収率89%)。NMRによる純度検定を行った
ところ純度は100%であった。中和滴定による純度は
99.1%であった。
したこと以外は、実施例2と同様にしてp−DCCを製
造し、評価した。得られたp−DCC(粗精製品)のN
MRでの純度は98%であった。また収量は4.4gで
あった。
とヘキサン25mLとの混合物を22℃で攪拌しなが
ら、塩化水素ガスを20分間吹き込んだ。反応により生
成した水を、p−DCC溶液から除いた後、揮発分を留
去した。得られたp−DCC(粗精製品)1H−NMR
スペクトルを測定したところ、純度は87%であった。
較例1と同様にして、p−DCCを合成し評価した。得
られたp−DCC(粗精製品)の純度は84%であっ
た。以上の実施例1〜4および比較例1、2の結果よ
り、本発明の方法に従えば、従来の方法に比べて高い温
度で反応を行った場合でも、高純度のp−DCCが得ら
れることが明らかになった。
Claims (6)
- 【請求項1】一般式(1): Ar(CR1R2OH)n (1) (式中、Arはn価の芳香環基、R1 、R2 は置換また
は非置換の一価の脂肪族炭化水素基を示し、それらは同
じであっても異なっていてもよい、nは1〜5の整数)
で表される化合物を塩酸と反応させることを特徴とす
る、一般式(2): Ar(CR1R2Cl)n (2) (式中、Ar、R1 、R2 、nは前記とおなじ)で表さ
れる芳香族置換塩素化炭化水素化合物の製造方法。 - 【請求項2】反応を10℃以上の温度でおこなうことを
特徴とする請求項1記載の芳香族置換塩素化炭化水素化
合物の製造方法。 - 【請求項3】反応を15℃以上30℃以下の温度でおこ
なうことを特徴とする請求項1記載の芳香族置換塩素化
炭化水素化合物の製造方法。 - 【請求項4】ペンタン、シクロペンタン、ネオペンタ
ン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシク
ロヘキサン、オクタン、ノルボルネン、エチルシクロヘ
キサン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びエチルベン
ゼンからなる群から選ばれる1種又は2種以上の有機溶
媒存在下で反応を行わせてから、水槽を除いて後、有機
層を冷却して一般式(2)で表される化合物を結晶化さ
せることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記
載の芳香族置換塩素化炭化水素化合物の製造方法。 - 【請求項5】該反応を無溶媒系で行わせることを特徴と
する請求項1〜3のいずれか1項に記載の芳香族置換塩
素化炭化水素化合物の製造方法。 - 【請求項6】一般式(2)で表される化合物が、1、4
−ビス(2−クロル−2−プロピル)ベンゼン、1、3
−ビス(2−クロル−2−プロピル)ベンゼン、1、
3、5−トリス(2−クロル−2−プロピル)ベンゼン
からなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物であ
ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載
の芳香族置換塩素化炭化水素化合物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03069396A JP3810846B2 (ja) | 1995-02-20 | 1996-02-19 | 芳香族置換塩素化炭化水素化合物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3033595 | 1995-02-20 | ||
JP7-30335 | 1995-02-20 | ||
JP03069396A JP3810846B2 (ja) | 1995-02-20 | 1996-02-19 | 芳香族置換塩素化炭化水素化合物の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08291090A true JPH08291090A (ja) | 1996-11-05 |
JP3810846B2 JP3810846B2 (ja) | 2006-08-16 |
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JP (1) | JP3810846B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004009520A1 (ja) * | 2002-07-18 | 2004-01-29 | Kaneka Corporation | 3級炭素塩素化炭化水素の製造方法 |
-
1996
- 1996-02-19 JP JP03069396A patent/JP3810846B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2004009520A1 (ja) * | 2002-07-18 | 2004-01-29 | Kaneka Corporation | 3級炭素塩素化炭化水素の製造方法 |
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