JPH08290994A - シリコン単結晶の種結晶 - Google Patents
シリコン単結晶の種結晶Info
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Abstract
力を緩和させ、転位の発生を防止し、種絞り工程の時間
を短縮し、かつ大重量単結晶を確実に支持する。 【構成】 チョクラルスキー法によるシリコン融液から
単結晶を育成する際に使用するシリコン単結晶の種結晶
31であって、シリコン融液に接する先端部の熱の放射
率が0.6〜0.9となるように先端部表面が形成され
る。種結晶の先端部表面には幅0.3〜1.0mmの細
溝31aが少なくとも1cm2当り16本形成されるこ
とが好ましい。また、種結晶の先端部表面をサンドブラ
スト処理してその先端部表面に微小な凹凸を形成しても
よい。更に、種結晶の先端部表面を酸化処理してその先
端部表面にSiO2膜を形成することもできる。
Description
(CZ法)によるシリコン融液から単結晶を育成する際
に使用するシリコン単結晶の種結晶に関する。更に詳し
くは、種結晶のシリコン融液に接する先端部の表面に関
するものである。
ルツボ内のシリコン融液から半導体用の高純度シリコン
単結晶を成長させるチョクラルスキー法(以下CZ法と
記す)が知られている。この方法は、ミラーエッチング
された種結晶をシリコン融液に接触させ、種結晶を引上
げてシリコン融液から種絞り部分を作製し、その後目的
とするシリコン棒の直径まで結晶を徐々に太らせて成長
させることにより、必要な面方向を有する無転位の単結
晶棒を得ることができるものである。この単結晶を得る
に際しては種結晶がシリコン融液に接触する際の熱応力
のために種結晶にスリップ転位が導入され、無転位の単
結晶を得ることが困難であるために通常Dash法が広
く利用されている(W. C. Dash, J. Appl. Phys. 29 736
-737(1958))。このDash法は種結晶をシリコン融液
に接触させた後に直径を3mm程度に一旦細くして種絞
り部分を形成することにより、種結晶に導入されたスリ
ップ転位から伝播した転位を消滅させ、無転位の単結晶
を得るものである。即ちDash法では、種結晶から引
き続き成長させる単結晶部に直径の小さい種絞り部分が
必要となる。
て単結晶も大重量化し、従来の直径の極めて小さい種絞
り部分では大重量化した単結晶を支持するには強度が十
分でなく、種絞り部分の破損により単結晶棒が落下する
等の重大な事故を生じる恐れがあった。また、Dash
法では、種絞りを行うことに比較的長い時間を必要と
し、一度種絞りを失敗すると再び長時間かけてやり直す
必要があり、成長プロセスにおける効率低下という不具
合を招いていた。この点を解消するために、結晶保持機
構を用いる方法(特開昭63−25299)や種結晶を
ヒータで加熱する方法(特開平4−104988)が提
案されている。特に、後者における方法では予め種結晶
をヒータで加熱することにより種結晶をシリコン融液に
接触させた際の熱応力を緩和することにより時間の短縮
を図ることができる。
は結晶育成時に結晶形状を特定な形状にする必要があり
また、結晶保持のために新たに複雑な機構を設置する必
要がある。また後者の方法ではヒータ設備が必要とな
り、特にそのヒータは種結晶を保持して移動するホルダ
に設けるためにその機構が複雑になる未だ解決しなけれ
ばならない問題点が残存していた。本発明の目的は、種
結晶をシリコン融液に接触させた際の熱応力を緩和さ
せ、転位の発生を防止し、かつ種絞り工程の時間を短縮
することのできるシリコン単結晶の種結晶を提供するこ
とにある。本発明の別の目的は、転位の発生を防止し、
かつ種絞り部の直径を太くすることにより大重量結晶を
確実に支持し得るシリコン単結晶の種結晶を提供するこ
とにある。
示すようにチョクラルスキー法によるシリコン融液から
単結晶を育成する際に使用するシリコン単結晶の種結晶
31,41,61の改良である。その特徴ある構成は、
シリコン融液に接する種結晶31,41,61の先端部
の熱の放射率が0.6〜0.9となるようにその先端部
表面が形成されたことにある。図1及び図2に示すよう
に、種結晶31の先端部表面には幅0.3〜1.0mm
の細溝が少なくとも1cm2当り16本形成されること
が好ましい。また図3及び図4に示すように、種結晶4
1の先端部表面をサンドブラスト処理してその先端部表
面に微小な凹凸を形成してもよい。この微小な凹凸を形
成するサンドブラスト(sandblasting)処理は表面処理法
の1つであって、アルミナ、炭化けい素、ガラス粉末、
くるみの殻等の幅広い種類の粉体を圧縮された空気、窒
素等の気体の中に混合して高圧で吹き付ける乾式サンド
ブラスト法、或いはこの粉体を水等の液体に分散して高
圧で吹き付ける湿式サンドブラスト法もしくは液体フォ
ーニング法を含む。
61の先端部表面を酸化処理してその先端部表面にSi
O2膜61aを形成することもできる。シリコン単結晶
表面は酸素に対する親和力が高いので、シリコン単結晶
表面は酸化雰囲気にさらされると直ちに酸化膜を形成す
る。シリコン単結晶の熱酸化は通常O2、O2−H2O、
H2O、H2O−O2燃焼などの雰囲気で行われる。また
HClあるいはCl2などのハロゲンを添加した雰囲気
での酸化処理でもよい。シリコン単結晶が形成したSi
O2膜61aは拡散し、その界面は新たな反応を起こし
て酸化は進行する。つまり酸化の過程でその界面は順次
シリコン単結晶内部に進行する。シリコン単結晶とSi
O2膜61aの分子量と密度の相違からSiO2膜61a
の体積は約2倍に膨張し、酸化膜の表面は酸化前の種結
晶表面とは異なるために放射率を高めることができる。
と、それと同じ温度における完全輻射黒体からの放射と
の比であり、放射とは空気等の媒体を通じて伝播される
エネルギである。この放射率は物質表面の化学組成、そ
の物質の厚さ、表面の幾何学的形状及び表面あらさ等に
より変化する。一方、放射率は通常物質の吸収率と等し
いという関係が存在する(Kirchhoffの法
則)。即ち放射率の大きい物質では最大の放射と吸収を
するといえる。ここで吸収率とは赤外線等が物体内に吸
収される割合を示し、赤外線等が透過する割合を示す透
過率及び反射する割合を示す反射率との総和が即ち1に
なる関係を有するものである。赤外線等が物体内に吸収
されるとそれは熱エネルギーに変換されるために吸収率
が大きいほど赤外線等による発熱量が大きいことを示
す。
説明する。 <実施例1>図8に示すように、CZ法によるシリコン
融液から単結晶を育成する際に使用する育成装置では、
炉体11の内部に炉体11と同心円状に断熱材12と加
熱ヒータ13が配置され、炉体11中央の回転軸14の
上端に固定された黒鉛サセプタ16に有底円筒状の石英
ルツボ17が嵌合される。炉体11の上部には回転・引
上げ機構18が設けられ、ルツボ17の上方にはこの回
転・引上げ機構18からワイヤ19を介して吊り下げら
れたホルダ19aに種結晶31が配置される。回転・引
上げ機構18は、図7に示すように、種結晶31から成
長した高純度のシリコン単結晶棒22を回転しつつ引上
げて種結晶31の下端に高純度のシリコン単結晶棒22
を成長させるようになっている。
リコン単結晶の種結晶31の先端部表面に細溝31aが
形成される。この種結晶31は10mm角の角柱状で長
さは150mmである。その先端部表面には幅0.3〜
1.0mmの細溝31aが少なくとも1cm2当り16
(4×4)本形成される。細溝31aはダイヤモンドプ
レートを用いた機械加工により形成され、形成される長
さは先端から約50mmであり、かつ細溝の深さは約
0.3〜1mm程度である。 <実施例2>図3及び図4に示すように、この例ではシ
リコン単結晶の種結晶41の先端部表面がサンドブラス
ト処理されて、その先端部表面に微小な凹凸が形成され
る。この種結晶41は実施例1の種結晶31と同形同大
であり、サンドブラスト処理は炭化けい素を吹付ける乾
式サンドブラスト法により行われ、かつ微小な凹凸が形
成される長さは先端から約50mmである。
この例ではシリコン単結晶の種結晶61の先端部表面が
酸化処理されて、その先端部表面にSiO2膜61aが
形成される。この種結晶61は実施例1の種結晶31と
同形同大であり、酸化処理はO2−H2Oにより行われ、
かつSiO2膜61aが形成される長さは先端から約5
0mmである。 <比較例1>実施例1の種結晶31と同形同大のミラー
エッチングされたままの先端部を表面処理しないシリコ
ン単結晶の種結晶(図示せず)を用意した。
41,61を使用したCZ法によるシリコン融液23か
らの単結晶育成では、種結晶31,41,61をシリコ
ン融液23に接触させる際に、加熱ヒータ13からの赤
外線等によりシリコン単結晶の種結晶31,41,61
の表面がミラーエッチングされた比較例1の図示しない
種結晶に比較して温度が上昇し、図8の実線矢印で示す
ように、回転・引上げ機構18によりワイヤ19を伸ば
して種結晶31,41,61をシリコン融液23に接触
させた際の熱応力を緩和することができる。種結晶3
1,41,61をシリコン融液23に接触させた後は、
図7に示すように、特定直径の種絞りを行って種絞り部
22aを引上げ、いわゆるDash法である種絞り部2
2aの単結晶を無転位化し、その後目的とするシリコン
の単結晶棒22の直径まで結晶を徐々に太らせて成長さ
せることにより、必要な面方向を有する無転位の単結晶
棒22を得る。
シリコン単結晶の種結晶について、先ず赤外線放射計に
よりその放射率を測定した。この結果を表1に示す。次
いでこれらを図8に示される単結晶育成装置にそれぞれ
組込み、次の同一条件で全長500mmのシリコン単結
晶の育成を行った。 シリコン単結晶棒の直径(A):160mm ルツボ本体内のシリコン融液量:32kg 結晶成長速度:1.0mm/分 このようにして引上げた高純度のシリコン単結晶棒の転
位状態を調査するとともに、種結晶がシリコン融液に接
触するまでの予熱時間、種絞り直径D、及び種絞り長さ
Lを計測した。この測定結果を表1に示す。
種結晶の放射率は比較例1の種結晶の放射率の3倍以上
であった。特にサンドブラスト処理した実施例2は完全
輻射黒体に近い値を示した、また比較例1の種結晶を用
いて作られたシリコン単結晶棒、及び実施例1〜3の種
結晶を用いて作られたシリコン単結晶棒には全て転位が
見られなかった。しかし、実施例1〜3の種結晶を用い
て作られたシリコン単結晶棒には比較例1に比較して種
絞り直径Dを大きくすることができ、更に種絞り長さL
を短くすることができた。これは種結晶がシリコン融液
に接触する以前に暖められることに起因する熱応力の低
下によるものと考えられる。
絞り部の長さを短くすることができる結果、本発明のシ
リコン単結晶の種結晶を使用することにより、転位の発
生を防止し、かつ種絞り工程の時間を短縮することがで
きる。また、種絞り直径を大きくすることができる結
果、本発明のシリコン単結晶の種結晶を使用することに
より、大重量結晶を確実に支持することができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 チョクラルスキー法によるシリコン融液
から単結晶を育成する際に使用するシリコン単結晶の種
結晶(31,41,61)において、 前記シリコン融液に接する先端部の熱の放射率が0.6
〜0.9となるように前記先端部表面が形成されたこと
を特徴とするシリコン単結晶の種結晶。 - 【請求項2】 先端部表面に幅0.3〜1.0mmの細
溝(31a)が少なくとも1cm2当り16本形成された請求
項1記載のシリコン単結晶の種結晶。 - 【請求項3】 先端部表面がサンドブラスト処理されて
前記先端部表面に微小な凹凸が形成された請求項1又は
2記載のシリコン単結晶の種結晶。 - 【請求項4】 先端部表面が酸化処理されて前記先端部
表面にSiO2膜(61a)が形成された請求項1ないし3い
ずれか記載のシリコン単結晶の種結晶。
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