JPH08290857A - 定着装置におけるカール矯正装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 装置の運転状態によらず、常に記録材のカー
ル矯正を確実に実現する。 【構成】 互いに圧接しながら回転する加熱ロール１と
加圧ロール２とを備え、未定着トナー像が形成された記
録材３をこれらロール１，２間に挿通させて未定着トナ
ー像の定着を行う定着装置において、前記加熱ロール１
及び加圧ロール２に対して前記記録材３の搬送方向下流
側に排出ロール対４を配設し、前記加圧ロール２の温度
に応じて加熱ロール１及び加圧ロール２のニップ位置に
対する排出ロール対４位置が変化せしめられるロール対
位置可変手段５を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、電子写真方式を採用
した複写機等の画像形成装置にて用いられる定着装置に
係り、特に、定着装置を通過する記録材のカール矯正用
のカール矯正装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、電子写真方式を採用した複写機
等の画像形成装置では、記録紙（記録材）に転写された
トナー像を定着させるために通常定着装置が設けられて
いる。従来この種の定着装置としては、互いに圧接しな
がら回転する加熱ロールと加圧ロールとを備え、未定着
トナー像が形成された記録紙をこれらロール間に挿通さ
せて未定着トナー像の定着を行うようにしたものであ
る。

【０００３】ところが、この種の定着装置においては、
加熱ロールと加圧ロールとの間に記録紙を挿通させる
と、記録紙の加熱ロール側表面の温度が加圧ロール側裏
面よりも高くなるため、必然的に記録紙がカールしてし
まい、定着装置通過後に排出トレイや中間トレイでの記
録紙の積載性を損なったり、両面コピーの際に記録紙の
カールの存在によりジャムが発生したり、レジストロー
ルでの先端位置合わせが不確実になり易いという事態を
生ずる。このような事態を回避するために、従来にあっ
ては、前記加熱ロール及び加圧ロールに対して前記記録
材の搬送方向下流側に例えば一対の排出ロールを配設
し、この排出ロールの上下方向位置を可変設定すること
により、加熱ロール及び加圧ロールのニップ位置に対す
る排出ロールの相対位置を変え、前記記録材のカールを
矯正するようにしたものが既に提供されている（例えば
特開平４−６３３８７号公報参照）。そして、このタイ
プにあっては、紙厚、湿度、原稿濃度、カラーモードに
応じて前記排出ロールの位置を可変調整することによ
り、記録紙のカール量に応じたカール矯正を行なうこと
が可能である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このタ
イプにあっては、例えば紙厚等が一定の条件である場合
には、加熱ロール及び加圧ロールのニップ位置に対する
排出ロールの相対位置が一義的に設定されてしまうた
め、定着装置の定常運転状態では記録紙のカール矯正を
確実に達成できるものの、定着装置の他の運転状態、例
えば朝一使用条件（その日の最初に開始される使用条
件）での運転状態では記録紙のカール矯正が不確実なも
のになってしまうという技術的課題が見い出された。

【０００５】特に、このような技術的課題は、朝一使用
条件のような運転状態の比率が高いインスタントオン
（オンデマンド）方式の定着装置においては顕著に見ら
れた。

【０００６】この発明は、以上の技術的課題を解決する
ためになされたものであって、装置の運転状態によら
ず、常に記録材のカール矯正を確実に実現することがで
きる定着装置におけるカール矯正装置を提供するもので
ある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者は、定着装置の
運転状態により記録材のカール量が変化する原因を追求
した結果、加圧ロールの表面温度が寄与していることを
見出し、この発明を案出するに至った。すなわち、この
発明は、図１に示すように、互いに圧接しながら回転す
る加熱ロール１と加圧ロール２とを備え、未定着トナー
像が形成された記録材３をこれらロール１，２間に挿通
させて未定着トナー像の定着を行う定着装置において、
前記加熱ロール１及び加圧ロール２に対して前記記録材
３の搬送方向下流側に排出ロール対４を配設し、前記加
圧ロール２の温度に応じて加熱ロール１及び加圧ロール
２のニップ位置に対する排出ロール対４位置が変化せし
められ且つ排出ロール対４挿通時の記録材３のカールが
矯正されるロール対位置可変手段５を設けたことを特徴
とする。

【０００８】このような技術的手段において、この発明
が適用される定着装置は、加熱定着方式を採用するもの
を全て対象としているが、特に、インスタントオン方式
のものにおいて有効である。

【０００９】また、前記排出ロール対４については、例
えば記録材３の排出方向を案内する一対の排出ロールで
構成するようにすればよい。

【００１０】更に、前記ロール対位置可変手段５につい
ては、加圧ロール２の温度に応じて排出ロール対４の位
置変化量を記録材３のカール量矯正に適したものに設定
できるものであれば、例えば加圧ロール２の温度情報に
基づいて排出ロール対４の位置変化量が演算される演算
手段を設け、この演算手段からの演算結果に基づいて排
出ロール対４の位置可変手段を駆動制御するようにした
り、あるいは、加圧ロール２の温度情報に応じて形状が
適量変化する形状記憶合金で排出ロール対４の支持部材
を構成する等適宜選定して差し支えない。

【００１１】

【作用】上述したような技術的手段によれば、排出ロー
ル対４は、加熱ロール１及び加圧ロール２に対して記録
材３の搬送方向下流側に配設されており、ロール対位置
可変手段５は、前記加圧ロール２の温度に応じて加熱ロ
ール１及び加圧ロール２のニップ位置に対する排出ロー
ル対４位置を変化せしめる。このとき、ロール対位置可
変手段５を構成するに当たって、加圧ロール２の温度に
応じた記録材３のカール量を予め求めておき、この記録
材３のカール量が矯正されるように、前記排出ロール対
４位置の変化量を定めるようにすれば、排出ロール対４
挿通時の記録材３のカールは確実に矯正される。

【００１２】

【実施例】以下、添付図面に示す実施例に基づいてこの
発明を詳細に説明する。 ◎実施例１ 図２はこの発明が適用された定着装置におけるカール矯
正装置の実施例１を示す。同図において、定着装置は、
互いに圧接しながら回転する加熱ロール１１と弾性体被
覆の加圧ロール１２とを備え、未定着トナー像が形成さ
れた記録紙１３をこれらロール１１，１２間に挿通させ
て未定着トナー像の定着を行うものである。尚、符号１
４は加熱ロール１１の温度制御を行なうために加熱ロー
ル１１の表面温度を検出する温度センサ、１５は加熱ロ
ール１１に付着する記録紙１３を剥離する剥離爪、１６
は定着済みの記録紙１３を収容する収容トレイである。

【００１３】また、この実施例に係るカール矯正装置
は、前記加熱ロール１１及び加圧ロール１２に対して記
録紙１３の搬送方向下流側に配設される上下一対の排出
ロール２１，２２を備えている。この排出ロール２１，
２２は、加圧ロール１２の軸を中心として略上下方向に
円弧状軌跡を描きながら可動するようになっている。

【００１４】より具体的には、下側排出ロール２２は、
図２及び図３に示すように、加圧ロール１２の軸の両端
に基端が揺動自在に支承された一対のレバー２３の先端
に回転支承されており、この一対のレバー２３の上側に
はレバー２３間に掛け渡された補強案内板２４が設けら
れ、レバー２３間を補強すると共に、加熱ロール１１及
び加圧ロール１２を通過した記録紙１３を排出ロール２
１，２２へと案内するようになっている。更に、前記一
対のレバー２３の下側には当接板２５がレバー２３間に
掛け渡されている。一方、上側排出ロール２１は弾性ス
プリング２６により下側排出ロール２２へ圧接付勢され
ている。

【００１５】更に、前記当接板２５の下面には昇降部材
２７が一対のガイド板２８にて倒れ規制された状態で昇
降自在に設けられ、この昇降部材２７は駆動モータ３０
の回転に応じて回転する偏心カム２９に支持され、偏心
カム２９の支持位置に応じて昇降動するようになってい
る。

【００１６】更にまた、前記駆動モータ３０は駆動制御
回路３１からの駆動制御信号に応じて駆動するようにな
っており、前記駆動制御回路３１は、加圧ロール１２の
表面温度（この実施例では加熱ロール１１及び加圧ロー
ル１２のニップ位置の手前の表面温度）検出用の温度セ
ンサ３２からの温度に応じて駆動制御信号を可変設定す
るものである。

【００１７】ここで、使用する記録紙１３（例えば富士
ゼロックス（株）製のＡ紙，Ｂ紙）について、加圧ロー
ル１２の温度と記録紙１３のカール量（図４のｄ参照）
との関係を調べたところ、図５のような結果が得られ
た。尚、図５においては、加熱ロール１１の温度を１９
５゜Ｃに固定した。これによれば、加圧ロール１２の温
度に応じて記録紙１３のカール量が変化していることが
把握される。このため、加圧ロール１２の温度と使用す
る記録紙１３のカール量とが相互に関連付けられること
になり、前記駆動制御回路３０からの駆動制御信号は、
加圧ロール１２の温度に対応した記録紙１３のカール量
を矯正できるように、前記排出ロール２１，２２位置を
設定するという観点から生成されるものである。

【００１８】従って、この実施例によれば、定着装置の
運転状態に応じて加圧ロール１２の温度が変化すると、
駆動制御回路３１は温度センサ３２からの温度情報に応
じて加圧ロール１２の温度に応じた駆動制御信号を生成
し、この駆動制御信号に応じて駆動モータ３０を適量駆
動することにより、偏心カム２９、昇降部材２７及びレ
バー２３を介して前記排出ロール２１，２２の昇降位置
を可変設定し、排出ロール２１，２２通過時にて加圧ロ
ール１２の温度に応じた記録紙１３のカール量を矯正す
る。

【００１９】尚、前記実施例では、駆動モータ３０及び
偏心カム２９の駆動系を用いているが、これに限られる
ものではなく、シフトアクチュエータで昇降部材２７を
昇降させるようにしても差し支えない。

【００２０】◎実施例２ 図６はこの発明が適用された定着装置におけるカール矯
正装置の実施例２を示す。尚、実施例１と同様な構成要
素については実施例１と同様な符号を付してここではそ
の詳細な説明を省略する。この実施例においては、排出
ロール２１，２２の駆動系は、実施例１（昇降部材２
７、偏心カム２９，駆動モータ３０、駆動制御回路３
１、温度センサ３２）と異なり、形状記憶合金からなる
形状記憶サポート板４０を当接板２５に当接させただけ
のものである。この形状記憶サポート板４０は、加圧ロ
ール１２の表面温度が変化すると、その輻射熱を受けて
形状変形するものであり、加圧ロール１２の温度に応じ
て適宜形状記憶され、加圧ロール１２の温度に応じた記
録紙１３のカール量が矯正できるように、排出ロール２
１，２２の位置を可変設定するものである。

【００２１】従って、この実施例によれば、定着装置の
運転状態に応じて加圧ロール１２の温度が変化すると、
前記形状記憶サポート板４０が形状変形し、レバー２３
を介して前記排出ロール２１，２２の昇降位置を可変設
定し、排出ロール２１，２２通過時にて加圧ロール１２
の温度に応じた記録紙１３のカール量を矯正する。特
に、この実施例では、実施例１に比べて、排出ロール２
１，２２の駆動系の構成を簡略化することが可能であ
る。

【００２２】

【発明の効果】以上説明してきたように、この発明によ
れば、加熱ロール及び加圧ロールに対して記録材の搬送
方向下流側にカール矯正用の排出ロール対を配設し、記
録材のカール量と相互に関係する加圧ロールの温度に応
じて前記排出ロール対位置を可変設定するようにしたの
で、定着装置のいかなる運転状態においても記録材のカ
ールを確実に矯正することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明に係る定着装置におけるカール矯正
装置の構成を示す説明図である。

【図２】 この発明が適用された定着装置におけるカー
ル矯正装置の実施例１を示す説明図である。

【図３】 図２中矢印ＩＩＩ方向から見た矢視図であ
る。

【図４】 記録紙のカール量を示す説明図である。

【図５】 加圧ロール温度とカール量との関係を示すグ
ラフ図である。

【図６】 この発明が適用された定着装置におけるカー
ル矯正装置の実施例２を示す説明図である。

【符号の説明】

１…加熱ロール，２…加圧ロール，３…記録材，４…排
出ロール対，５…ロール対位置可変手段

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 互いに圧接しながら回転する加熱ロール
   （１）と加圧ロール（２）とを備え、未定着トナー像が
   形成された記録材（３）をこれらロール（１，２）間に
   挿通させて未定着トナー像の定着を行う定着装置におい
   て、 前記加熱ロール（１）及び加圧ロール（２）に対して前
   記記録材（３）の搬送方向下流側に排出ロール対（４）
   を配設し、 前記加圧ロール（２）の温度に応じて加熱ロール（１）
   及び加圧ロール（２）のニップ位置に対する排出ロール
   対（４）位置が変化せしめられ且つ排出ロール対（４）
   挿通時の記録材（３）のカールが矯正されるロール対位
   置可変手段（５）を設けたことを特徴とする定着装置に
   おけるカール矯正装置。