JPH08289759A - 菱の実の香味抽出用粉体、菱の実の香味抽出方法および菱の実のリキュールの製造方法 - Google Patents
菱の実の香味抽出用粉体、菱の実の香味抽出方法および菱の実のリキュールの製造方法Info
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- JPH08289759A JPH08289759A JP12304295A JP12304295A JPH08289759A JP H08289759 A JPH08289759 A JP H08289759A JP 12304295 A JP12304295 A JP 12304295A JP 12304295 A JP12304295 A JP 12304295A JP H08289759 A JPH08289759 A JP H08289759A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 菱の実に適切な処理ないし加工を加えて、香
味を充分に発揮させ、もって菱の実の食品ないし食品原
料としての価値を高めるとともに、菱の実の香味を有効
に利用した新規な食品分野を発展させる。 【構成】 菱の実から外果皮を取り除くとともに内果皮
を破砕して果皮と子葉とを分離し、分離した子葉を蒸煮
し、蒸煮した子葉を焙煎し、焙煎した子葉を粉砕して粉
体状とされた菱の実の香味抽出用粉体を得、この粉体を
水またはアルコール等の液体に浸漬して香味を抽出する
ことによって、菱の実特有の良好な香味を生じさせる。
味を充分に発揮させ、もって菱の実の食品ないし食品原
料としての価値を高めるとともに、菱の実の香味を有効
に利用した新規な食品分野を発展させる。 【構成】 菱の実から外果皮を取り除くとともに内果皮
を破砕して果皮と子葉とを分離し、分離した子葉を蒸煮
し、蒸煮した子葉を焙煎し、焙煎した子葉を粉砕して粉
体状とされた菱の実の香味抽出用粉体を得、この粉体を
水またはアルコール等の液体に浸漬して香味を抽出する
ことによって、菱の実特有の良好な香味を生じさせる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、菱の実の香味抽出用粉
体に関し、これに加えて、菱の実の香味抽出方法と、菱
の実のリキュールの製造方法とに関するものである。
体に関し、これに加えて、菱の実の香味抽出方法と、菱
の実のリキュールの製造方法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】菱の実は、古くから、茹でて食用とされ
ているが、単に茹でただけでは香味が殆どなく、また冷
えると硬くなって、そのままでは食べられなくなる。し
たがって例えば、成分が類似している栗の実と比較し
て、食品ないし食品原料として、これまで魅力に乏しい
ものであった。
ているが、単に茹でただけでは香味が殆どなく、また冷
えると硬くなって、そのままでは食べられなくなる。し
たがって例えば、成分が類似している栗の実と比較し
て、食品ないし食品原料として、これまで魅力に乏しい
ものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の点に鑑
み、菱の実に適切な処理ないし加工を加えて、香味を充
分に発揮させ、もって菱の実の食品ないし食品原料とし
ての価値を高めるとともに、菱の実の香味を有効に利用
した新規な食品分野を発展させることを目的とする。
み、菱の実に適切な処理ないし加工を加えて、香味を充
分に発揮させ、もって菱の実の食品ないし食品原料とし
ての価値を高めるとともに、菱の実の香味を有効に利用
した新規な食品分野を発展させることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本願発明者らは鋭意研究した結果、以下の内容を備
えた菱の実の香味抽出用粉体と、菱の実の香味抽出方法
と、菱の実のリキュールの製造方法とを開発した。
め、本願発明者らは鋭意研究した結果、以下の内容を備
えた菱の実の香味抽出用粉体と、菱の実の香味抽出方法
と、菱の実のリキュールの製造方法とを開発した。
【0005】すなわち、先ず、本願の請求項1に係る発
明においては、菱の実から外果皮を取り除くとともに内
果皮を破砕して果皮と子葉とを分離し、分離した子葉を
蒸煮し、蒸煮した子葉を焙煎し、焙煎した子葉を粉砕し
て粉体状とされた菱の実の香味抽出用粉体が提供され、
この粉体を、請求項2に示すように、水またはアルコー
ル等の液体に浸漬して香味を抽出することによって、菱
の実特有の良好な香味を生じさせる。香味を抽出した液
体は所謂「エキス」を含むものであって、菓子等の食品
または各種の飲料に幅広く利用することができ、例えば
請求項3に示すように、リキュールの製造にも利用する
ことができる。
明においては、菱の実から外果皮を取り除くとともに内
果皮を破砕して果皮と子葉とを分離し、分離した子葉を
蒸煮し、蒸煮した子葉を焙煎し、焙煎した子葉を粉砕し
て粉体状とされた菱の実の香味抽出用粉体が提供され、
この粉体を、請求項2に示すように、水またはアルコー
ル等の液体に浸漬して香味を抽出することによって、菱
の実特有の良好な香味を生じさせる。香味を抽出した液
体は所謂「エキス」を含むものであって、菓子等の食品
または各種の飲料に幅広く利用することができ、例えば
請求項3に示すように、リキュールの製造にも利用する
ことができる。
【0006】
【作用】菱はヒシ科のヒシ属の一種であり、浮葉をもっ
た水生の一年草として世界に数種類が分布している。今
回、本発明をなすに当って試料とした菱は、北海道の網
走管内で採取されたものである。アイヌはかつて菱を
「ペカンペ」と呼び、この名の地名等もあり、また食用
としても採取していて、この菱の実の豊産を感謝する祭
りも催している。また酒毒、胎毒、婦人病等に薬効があ
り、外皮はこれを煮出すと熱病に効果があると言われて
いる。以下に、参考になると思われる菱の実の一般的な
性質を列記する。
た水生の一年草として世界に数種類が分布している。今
回、本発明をなすに当って試料とした菱は、北海道の網
走管内で採取されたものである。アイヌはかつて菱を
「ペカンペ」と呼び、この名の地名等もあり、また食用
としても採取していて、この菱の実の豊産を感謝する祭
りも催している。また酒毒、胎毒、婦人病等に薬効があ
り、外皮はこれを煮出すと熱病に効果があると言われて
いる。以下に、参考になると思われる菱の実の一般的な
性質を列記する。
【0007】(1)重量 菱は小粒で果皮の割合が比較的多いことから、果皮と食
用とされる子葉の重量比率を測定した。任意に30個体
のサンプルを抽出し、重量を精密に測定した。乾燥重量
は110℃の乾燥器中で、重量が一定に安定した60時
間後の値である。
用とされる子葉の重量比率を測定した。任意に30個体
のサンプルを抽出し、重量を精密に測定した。乾燥重量
は110℃の乾燥器中で、重量が一定に安定した60時
間後の値である。
【表1】 これにより、生の菱の実1tから、乾燥した子葉約34
0kgが得られることが分かる。
0kgが得られることが分かる。
【0008】(2)成分 子葉を蒸煮した後に、真空凍結乾燥機で乾燥させて、粉
末にした粉体の成分分析を行なったところ、以下のよう
な結果を得た。分析方法は四訂食品分析表に示されてい
る方法に従った。
末にした粉体の成分分析を行なったところ、以下のよう
な結果を得た。分析方法は四訂食品分析表に示されてい
る方法に従った。
【表2】 この成分分析の結果、一般的な標準値として使われてい
る四訂食品分析表の値と比較すると、蛋白質が5.8
%、脂質が0.5%のところ、この分析結果では水分が
同じ含量と仮定して計算した場合は蛋白質1.0%、脂
質0.05%となる。このことから、この試験に使用し
た菱の実は比較的有機成分が少ないことが分かる。
る四訂食品分析表の値と比較すると、蛋白質が5.8
%、脂質が0.5%のところ、この分析結果では水分が
同じ含量と仮定して計算した場合は蛋白質1.0%、脂
質0.05%となる。このことから、この試験に使用し
た菱の実は比較的有機成分が少ないことが分かる。
【0009】菱の実を処理ないし加工して香味抽出用粉
体を製造するには、先ず、食用となる子葉を取り出すこ
とを目的として、生の菱の実から、香味が良好でない緑
色の外果皮を取り除く。上記したように菱の実は小粒
で、鋭い刺を有し、堅いことから、外果皮を手作業で取
り除くのは、なかなか困難であって、かつ非常に手間が
かかる。そこで以下のように機械的にこれを処理する。
すなわち、−20℃以下ないし−20〜−5℃で凍結し
た生の菱の実を、凍結させたまま、ピーラーに入れて水
を流しながら運転し、刺等を含む外果皮を取り除く。菱
の実を凍結させるのは、処理に必要とされる堅さを維持
し、水が表皮だけを解かして流し出すようにするためで
ある。
体を製造するには、先ず、食用となる子葉を取り出すこ
とを目的として、生の菱の実から、香味が良好でない緑
色の外果皮を取り除く。上記したように菱の実は小粒
で、鋭い刺を有し、堅いことから、外果皮を手作業で取
り除くのは、なかなか困難であって、かつ非常に手間が
かかる。そこで以下のように機械的にこれを処理する。
すなわち、−20℃以下ないし−20〜−5℃で凍結し
た生の菱の実を、凍結させたまま、ピーラーに入れて水
を流しながら運転し、刺等を含む外果皮を取り除く。菱
の実を凍結させるのは、処理に必要とされる堅さを維持
し、水が表皮だけを解かして流し出すようにするためで
ある。
【0010】次いで、外果皮を取り除いた菱の実を、引
き続き堅さを維持するために凍結状態を保ちながら、豆
擂り機に入れて内果皮(殻)を破砕し、果皮と子葉とを
分離する。このとき子葉が細分されることがないよう
に、砥石の幅を子葉の大きさ(中心部分の厚み)以下に
しないように留意する。豆擂り機で処理された菱の実は
これに振動を与えることによって、上部(上層)に集ま
る果皮と、中間(中間層)に集まる破砕されなかった菱
の実と、下部(下層)に集まる子葉とに分別され、よっ
て下部から子葉のみを取り出すことができる。
き続き堅さを維持するために凍結状態を保ちながら、豆
擂り機に入れて内果皮(殻)を破砕し、果皮と子葉とを
分離する。このとき子葉が細分されることがないよう
に、砥石の幅を子葉の大きさ(中心部分の厚み)以下に
しないように留意する。豆擂り機で処理された菱の実は
これに振動を与えることによって、上部(上層)に集ま
る果皮と、中間(中間層)に集まる破砕されなかった菱
の実と、下部(下層)に集まる子葉とに分別され、よっ
て下部から子葉のみを取り出すことができる。
【0011】次いで、以下のようにして、菱の実特有の
良好な香味を生じさせる。すなわち、先ず、上記工程に
よって分離採取した子葉を蒸煮釜または加圧釜に入れ
て、70〜120℃で5〜20分間、蒸煮する。次い
で、この蒸煮した子葉をオーブンに入れて、180〜2
00℃で60〜100分間、時々撹拌しながら焙煎し、
次いで、この焙煎した子葉を常温になるまで放置する。
次いで、この焙煎し冷やされて固化した子葉を粉砕機に
よって数mmの大きさに粉砕して粉体状とし、以上の工
程をもって菱の実の香味抽出用粉体を得る。得られた粉
体は良好な香味を生じる食品原料であって、この粉体を
水またはアルコール等の液体に浸漬して香味を抽出する
と、これにより初めて、菱の実特有の良好な香味を豊富
に生じさせることができる。
良好な香味を生じさせる。すなわち、先ず、上記工程に
よって分離採取した子葉を蒸煮釜または加圧釜に入れ
て、70〜120℃で5〜20分間、蒸煮する。次い
で、この蒸煮した子葉をオーブンに入れて、180〜2
00℃で60〜100分間、時々撹拌しながら焙煎し、
次いで、この焙煎した子葉を常温になるまで放置する。
次いで、この焙煎し冷やされて固化した子葉を粉砕機に
よって数mmの大きさに粉砕して粉体状とし、以上の工
程をもって菱の実の香味抽出用粉体を得る。得られた粉
体は良好な香味を生じる食品原料であって、この粉体を
水またはアルコール等の液体に浸漬して香味を抽出する
と、これにより初めて、菱の実特有の良好な香味を豊富
に生じさせることができる。
【0012】菱の実を原料としてリキュールを製造する
場合、これまでの方法によってこれを製造しようとする
と、以下のような問題があった。すなわち、生の菱の実
をそのままアルコールに浸漬すると、外果皮から青臭い
香りが溶出するために、これが先ず第一の欠点とされ
る。また菱の実を加熱すると、外果皮の青臭い香りは消
えるが、内果皮の渋味が強く溶出するために、これが第
二の欠点とされる。また菱の実から分離した生の子葉を
アルコールに浸漬したり、子葉を茹でて加熱した後にア
ルコールに浸漬したりしても、菱の実特有の特徴的な香
味を得ることはできない。
場合、これまでの方法によってこれを製造しようとする
と、以下のような問題があった。すなわち、生の菱の実
をそのままアルコールに浸漬すると、外果皮から青臭い
香りが溶出するために、これが先ず第一の欠点とされ
る。また菱の実を加熱すると、外果皮の青臭い香りは消
えるが、内果皮の渋味が強く溶出するために、これが第
二の欠点とされる。また菱の実から分離した生の子葉を
アルコールに浸漬したり、子葉を茹でて加熱した後にア
ルコールに浸漬したりしても、菱の実特有の特徴的な香
味を得ることはできない。
【0013】これに対して、上記方法によって得られた
香味抽出用粉体からは、コーヒーまたはココアに似た甘
美で香味の良好な成分が生まれ、これをアルコールに抽
出することによって、香味の良好なリキュールを製造す
ることができる。すなわち、上記粉体を原料として、こ
れにアルコール度数が20〜60%の原料スピリッツ類
を混和する。数日毎に軽く撹拌してアルコール分への菱
の実の香味成分の抽出を促しながら、常温で貯蔵する。
次いで、遠心機または濾過機で上澄みを分離し、更にエ
キスが2度以上になるように糖分を加える。またタンニ
ン等の増加と着色のために、内果皮だけを別に焙煎し、
水またはアルコールで浸漬した液体を製造して、これら
をテェィスティングによって適宜調合する。混和後、タ
ンクまたは樽で全体が馴染むまで熟成させ、濾過してリ
キュールとすると、これにより菱の実を原料とした香味
の良好なリキュールを製造することができる。
香味抽出用粉体からは、コーヒーまたはココアに似た甘
美で香味の良好な成分が生まれ、これをアルコールに抽
出することによって、香味の良好なリキュールを製造す
ることができる。すなわち、上記粉体を原料として、こ
れにアルコール度数が20〜60%の原料スピリッツ類
を混和する。数日毎に軽く撹拌してアルコール分への菱
の実の香味成分の抽出を促しながら、常温で貯蔵する。
次いで、遠心機または濾過機で上澄みを分離し、更にエ
キスが2度以上になるように糖分を加える。またタンニ
ン等の増加と着色のために、内果皮だけを別に焙煎し、
水またはアルコールで浸漬した液体を製造して、これら
をテェィスティングによって適宜調合する。混和後、タ
ンクまたは樽で全体が馴染むまで熟成させ、濾過してリ
キュールとすると、これにより菱の実を原料とした香味
の良好なリキュールを製造することができる。
【0014】尚、リキュールは「原料果実等と糖類やア
ルコール類を混和してエキスが2%以上のもの」と定義
されているが、その製造方法は様々であり、よって本発
明では特に以下の点について検討を加えながら、その製
造方法を探究した。 (1)種実の採取時期による熟成等原料選別の検討 (2)種実の貯蔵方法による原料の成分変化の検討 (3)種実の果皮と子葉の分離の割合の検討 (4)粉砕等の機械的処理による香味への影響の検討 (5)加熱処理による成分変化の検討 (6)糖分等の浸透圧による抽出物の検討 (7)アルコールの濃度による抽出の検討 (8)抽出時の温度等の環境設定の検討 (9)熟成の検討 (10)その他の調理方法に関する影響の検討
ルコール類を混和してエキスが2%以上のもの」と定義
されているが、その製造方法は様々であり、よって本発
明では特に以下の点について検討を加えながら、その製
造方法を探究した。 (1)種実の採取時期による熟成等原料選別の検討 (2)種実の貯蔵方法による原料の成分変化の検討 (3)種実の果皮と子葉の分離の割合の検討 (4)粉砕等の機械的処理による香味への影響の検討 (5)加熱処理による成分変化の検討 (6)糖分等の浸透圧による抽出物の検討 (7)アルコールの濃度による抽出の検討 (8)抽出時の温度等の環境設定の検討 (9)熟成の検討 (10)その他の調理方法に関する影響の検討
【0015】
【実施例】上記(1)ないし(10)の各項目について
検討を加えながら、以下のようにしてリキュールを製造
した。
検討を加えながら、以下のようにしてリキュールを製造
した。
【0016】(1)採取および貯蔵 a.生の菱の実を採取し、採取した菱の実から未熟果お
よびゴミ等の不要物を除去し、水洗いし、−20℃以下
で冷凍貯蔵する。
よびゴミ等の不要物を除去し、水洗いし、−20℃以下
で冷凍貯蔵する。
【0017】(2)果皮と子葉との分離 b.冷凍貯蔵した菱の実を取り出して、凍結状態のま
ま、ピーラーに入れて水を流しながら運転し、香味が良
好でない刺等を含む外果皮を取り除く。この作業は、次
のc工程を同じく凍結状態で行なうために、子葉が完全
に解凍しない程度の短時間で行なう必要がある。 c.上記b工程と同様に、菱の実の堅さを維持するため
に凍結状態を保ちながら、上記b工程で外果皮を取り除
いた菱の実を豆擂り機に入れて内果皮(殻)を破砕し、
果皮と子葉とを分離する。このとき子葉が細分されるこ
とがないように、砥石の幅を約20mm以下にしないよ
うに留意する。小さ過ぎて破砕されなかった小粒の菱の
実は、砥石の幅を少しずつ狭めて、同様に処理する。 d.混在する果皮および子葉等に振動を与えることによ
って、上部(上層)に集まる果皮と、中間(中間層)に
集まる粉砕されなかった菱の実と、下部(下層)に集ま
る子葉とに大まかに分別し、子葉を取り出す。 e.上記c工程において細分してしまった菱の実がある
場合には、これを人手で果皮と子葉とに分別するが、多
少の果皮が子葉に混入しても、リキュールを製造する場
合には、結果的に大きな問題とはならない。
ま、ピーラーに入れて水を流しながら運転し、香味が良
好でない刺等を含む外果皮を取り除く。この作業は、次
のc工程を同じく凍結状態で行なうために、子葉が完全
に解凍しない程度の短時間で行なう必要がある。 c.上記b工程と同様に、菱の実の堅さを維持するため
に凍結状態を保ちながら、上記b工程で外果皮を取り除
いた菱の実を豆擂り機に入れて内果皮(殻)を破砕し、
果皮と子葉とを分離する。このとき子葉が細分されるこ
とがないように、砥石の幅を約20mm以下にしないよ
うに留意する。小さ過ぎて破砕されなかった小粒の菱の
実は、砥石の幅を少しずつ狭めて、同様に処理する。 d.混在する果皮および子葉等に振動を与えることによ
って、上部(上層)に集まる果皮と、中間(中間層)に
集まる粉砕されなかった菱の実と、下部(下層)に集ま
る子葉とに大まかに分別し、子葉を取り出す。 e.上記c工程において細分してしまった菱の実がある
場合には、これを人手で果皮と子葉とに分別するが、多
少の果皮が子葉に混入しても、リキュールを製造する場
合には、結果的に大きな問題とはならない。
【0018】(3)香味の抽出 f.上記dおよびe工程で分離採取した子葉を加圧釜に
入れて、100℃で20分間、蒸煮する。 g.暫く放置して、常温になるまで、これを放冷する。 h.常温に戻した子葉をオーブンに入れて、200℃で
100分間、時々撹拌しながら焙煎する。 i.焙煎した子葉を、密閉した容器の中に入れ、暫く放
置して、常温になるまで、これを放冷する。 j.常温に戻した子葉を粉砕機によって数mmの大きさ
の粉体に粉砕して粉体を得、この粉体を原料として以下
のようにリキュールを製造する。
入れて、100℃で20分間、蒸煮する。 g.暫く放置して、常温になるまで、これを放冷する。 h.常温に戻した子葉をオーブンに入れて、200℃で
100分間、時々撹拌しながら焙煎する。 i.焙煎した子葉を、密閉した容器の中に入れ、暫く放
置して、常温になるまで、これを放冷する。 j.常温に戻した子葉を粉砕機によって数mmの大きさ
の粉体に粉砕して粉体を得、この粉体を原料として以下
のようにリキュールを製造する。
【0019】(4)リキュールの製造 k.上記j工程で得た原料(粉体)1に対して、アルコ
ール度数45%の原料スピリッツが重量比で4になるよ
うに混和する。 l.フラクトース等の糖分が重量比で全体の3%になる
ように加える。 m.数日毎に軽く撹拌して、アルコール分への菱の実の
香味成分の抽出を促しながら、常温で貯蔵する。 n.約10日後に遠心機または濾過機で上澄みを分離
し、これを「リキュール原液1」とする。 o.更に上記n工程の残渣物1に対して、アルコール度
数30%のスピリッツが重量比で4になるように再度、
混和する(2回目の抽出)。 p.2回目の抽出液から上記l、mおよびnと同様の工
程を経て得たものを「リキュール原液2」とする。
ール度数45%の原料スピリッツが重量比で4になるよ
うに混和する。 l.フラクトース等の糖分が重量比で全体の3%になる
ように加える。 m.数日毎に軽く撹拌して、アルコール分への菱の実の
香味成分の抽出を促しながら、常温で貯蔵する。 n.約10日後に遠心機または濾過機で上澄みを分離
し、これを「リキュール原液1」とする。 o.更に上記n工程の残渣物1に対して、アルコール度
数30%のスピリッツが重量比で4になるように再度、
混和する(2回目の抽出)。 p.2回目の抽出液から上記l、mおよびnと同様の工
程を経て得たものを「リキュール原液2」とする。
【0020】q.「リキュール原液1」と「リキュール
原液2」とを適度に混和したものに水を加えてアルコー
ル度数を20%にする。 r.上記q工程で得たもの1に対して、アルコール度数
20%のスピリッツが体積比で4になるように混和す
る。 s.更にエキスが2度以上になるようにフラクトース等
の糖分を加える。 t.タンニン等の増加と着色のために、上記d工程で分
離した内果皮を別に焙煎し、上記kと同様の工程で、ア
ルコール度数45%のスピリッツに浸漬した液体を製造
し(内果皮全体の50分の1程度の少量)、これを「果
皮液」とする。 u.色または香味を調整するために「リキュール原液
1」「リキュール原液2」「スピリッツ」「糖類」「酸
類」「果皮液」等をテェィスティングによって検討しな
がら適宜調合する。 v.調合後、タンクまたは樽で貯蔵し、全体が馴染むま
で熟成させる。 w.熟成後、精密濾過し、瓶詰等の包装を施して出荷す
る。
原液2」とを適度に混和したものに水を加えてアルコー
ル度数を20%にする。 r.上記q工程で得たもの1に対して、アルコール度数
20%のスピリッツが体積比で4になるように混和す
る。 s.更にエキスが2度以上になるようにフラクトース等
の糖分を加える。 t.タンニン等の増加と着色のために、上記d工程で分
離した内果皮を別に焙煎し、上記kと同様の工程で、ア
ルコール度数45%のスピリッツに浸漬した液体を製造
し(内果皮全体の50分の1程度の少量)、これを「果
皮液」とする。 u.色または香味を調整するために「リキュール原液
1」「リキュール原液2」「スピリッツ」「糖類」「酸
類」「果皮液」等をテェィスティングによって検討しな
がら適宜調合する。 v.調合後、タンクまたは樽で貯蔵し、全体が馴染むま
で熟成させる。 w.熟成後、精密濾過し、瓶詰等の包装を施して出荷す
る。
【0021】尚、菱の実を原料として酒類を製造する場
合、酒税法で定められている酒類の種類としては、リキ
ュールの他に、菱の実を発酵させての「雑酒」、または
菱の実を蒸留しての「焼酎」ないし「スピリッツ」等が
考えられる。
合、酒税法で定められている酒類の種類としては、リキ
ュールの他に、菱の実を発酵させての「雑酒」、または
菱の実を蒸留しての「焼酎」ないし「スピリッツ」等が
考えられる。
【0022】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、菱
の実に適切な処理を加えて香味を充分に発揮させ、もっ
て、これまで余り利用されることがなかった菱の実の食
品ないし食品原料としての価値を高めるとともに、菱の
実の香味を有効に利用した新規な食品分野を発展させる
ことができ、その例として、上記したように香味の良好
なリキュールを挙げることができる。
の実に適切な処理を加えて香味を充分に発揮させ、もっ
て、これまで余り利用されることがなかった菱の実の食
品ないし食品原料としての価値を高めるとともに、菱の
実の香味を有効に利用した新規な食品分野を発展させる
ことができ、その例として、上記したように香味の良好
なリキュールを挙げることができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 菱の実から外果皮を取り除くとともに内
果皮を破砕して果皮と子葉とを分離し、分離した子葉を
蒸煮し、蒸煮した子葉を焙煎し、焙煎した子葉を粉砕し
て粉体状とされたことを特徴とする菱の実の香味抽出用
粉体。 - 【請求項2】 請求項1の菱の実の香味抽出用粉体を水
またはアルコール等の液体に浸漬して香味を抽出する工
程を備えたことを特徴とする菱の実の香味抽出方法。 - 【請求項3】 請求項1の菱の実の香味抽出用粉体を原
料スピリッツ類に浸漬して香味を抽出する工程を備えた
ことを特徴する菱の実のリキュールの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12304295A JP2663253B2 (ja) | 1995-04-25 | 1995-04-25 | 菱の実の香味抽出用粉体、菱の実の香味抽出方法および菱の実のリキュールの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12304295A JP2663253B2 (ja) | 1995-04-25 | 1995-04-25 | 菱の実の香味抽出用粉体、菱の実の香味抽出方法および菱の実のリキュールの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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