JPH0828683A - 車両用ロックアップクラッチのスリップ制御装置 - Google Patents

車両用ロックアップクラッチのスリップ制御装置

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JPH0828683A
JPH0828683A JP16807794A JP16807794A JPH0828683A JP H0828683 A JPH0828683 A JP H0828683A JP 16807794 A JP16807794 A JP 16807794A JP 16807794 A JP16807794 A JP 16807794A JP H0828683 A JPH0828683 A JP H0828683A
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slip control
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克己 河野
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信也 中村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 実際のスリップ回転速度が目標スリップ回転
速度を下回ってもスリップ制御が可及的に行われるよう
にする車両用ロックアップクラッチのスリップ制御装置
を提供する。 【構成】 実際のスリップ回転速度NSLPが目標スリ
ップ回転速度TNSLPより小さくなったときにロック
アップクラッチ32が解放されてスリップ制御が終了さ
せられるのではなく、制御操作値判定手段200により
駆動デューティ比DSLUがその制御操作範囲(変化範
囲)のうちのスリップ回転速度NSLPを多くする側に
おいて予め設定されたUL%以上という基準範囲内に到
達したと判定された場合にスリップ制御終了手段202
によりスリップ制御が終了させられることから、スリッ
プ制御のための駆動デューティ比DSLUがその変化範
囲に余裕があるうちはスリップ制御が継続されるので、
スリップ制御が可及的に行われ得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両用ロックアップク
ラッチのスリップ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ロックアップクラッチ付トルクコンバー
タやロックアップクラッチ付フルードカップリングなど
のようなロックアップクラッチ付流体式伝動装置を備え
た車両においては、ロックアップクラッチの回転損失を
一層少なくして車両の燃費を改善することを目的とし
て、ロックアップクラッチの解放領域と係合領域との間
にスリップ領域を設け、そのスリップ領域においてロッ
クアップクラッチを半係合状態とするように実際のスリ
ップ量すなわちポンプ翼車の回転速度とタービン翼車の
回転速度との差を、予め定められた目標スリップ回転速
度に追従するように制御することが提案されている。
【0003】一般に、上記のスリップ制御では、ロック
アップクラッチの完全係合を保証できる油圧系を利用し
て、そのロックアップクラッチの前後の油圧の圧力差を
制御することにより、その圧力差に基づく押圧力により
摩擦力を変化させてスリップ量が調節されることから、
僅かな圧力差の変化すなわち僅かな制御操作量によって
ロックアップクラッチのスリップ量が敏感に変化させら
れるので、比較的不安定なフィードバック制御系となっ
ている。このため、フィードバック制御のハンチングや
それによる動力伝達系のショックなどを防止するため
に、実際のスリップ回転速度と目標スリップ回転速度と
の偏差が大きくなると、たとえば実際のスリップ回転速
度が目標スリップ回転速度よりも大幅に小さくなると、
ロックアップクラッチを解放させる制御が行われてい
る。たとえば、特開平3−37475号公報に記載の装
置がそれである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
スリップ制御装置では、実際のスリップ回転速度が目標
スリップ回転速度よりも大幅に小さくなるとロックアッ
プクラッチが一律に解放されるので、実際のスリップ回
転速度を目標スリップ回転速度に追従させることが可能
な期間でもロックアップクラッチが解放させられて、ス
リップ制御による燃費向上効果が損なわれる欠点があっ
た。
【0005】本発明は以上の事情を背景として為された
ものであり、その目的とするところは、実際のスリップ
回転速度が目標スリップ回転速度を下回ってもスリップ
制御が可及的に行われるようにする車両用ロックアップ
クラッチのスリップ制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】斯る目的を達成するため
の、本発明の要旨とするところは、ポンプ翼車とタービ
ン翼車との間にロックアップクラッチを備えた流体伝動
装置を有する車両において、車両の走行状態が予め設定
されたスリップ制御領域内に入るとそのロックアップク
ラッチのスリップ回転速度が所定の目標スリップ回転速
度と一致するように制御するスリップ制御手段を備えた
形式の車両用ロックアップクラッチのスリップ制御装置
であって、(a) 前記ロックアップクラッチのスリップ回
転速度が前記目標スリップ回転速度よりも小さいことを
判定する偏差判定手段と、(b) 前記ロックアップクラッ
チの係合状態を制御するために前記スリップ制御手段か
ら出力される制御操作値が、その変化範囲のうちの前記
スリップ回転速度を多くする側において予め設定された
判断基準範囲内に到達したか否かを判定する制御操作値
判定手段と、(c) 前記偏差判定手段により前記スリップ
回転速度が前記目標スリップ回転速度よりも小さいこと
が判定され、且つ、前記制御操作値判定手段により、前
記スリップ制御手段から出力される制御操作値がその変
化範囲のうちの前記スリップ回転速度を多くする側にお
いて予め設定された判断基準範囲内に到達したと判定さ
れた場合には、そのスリップ制御手段によるスリップ制
御を終了させるスリップ制御終了手段とを、含むことに
ある。
【0007】
【作用】このようにすれば、前記偏差判定手段により前
記スリップ回転速度が前記目標スリップ回転速度よりも
小さいことが判定され、且つ、前記制御操作値判定手段
により、前記スリップ制御手段から出力される制御操作
値がその変化範囲のうちの前記スリップ回転速度を多く
する側において予め設定された判断基準範囲内に到達し
たと判定された場合には、スリップ制御終了手段によっ
て前記スリップ制御手段によるスリップ制御が終了させ
られる。
【0008】
【発明の効果】このため、本発明によれば、実際のスリ
ップ回転速度が目標スリップ回転速度より小さくなった
ときにロックアップクラッチが解放されてスリップ制御
が終了させられるのではなく、スリップ制御手段から出
力される制御操作値がその変化範囲のうちの前記スリッ
プ回転速度を多くする側において予め設定された判断基
準範囲内に到達したと判定された場合にスリップ制御が
終了させられることから、スリップ制御手段から出力さ
れる制御操作値の変化範囲に余裕があるうちはスリップ
制御が継続されるので、スリップ制御が可及的に行われ
得る。したがって、燃費向上効果も可及的に得られるの
である。
【0009】また、本発明によれば、スリップ制御手段
から出力される制御操作値がその変化範囲のうちの前記
スリップ回転速度を多くする側において予め設定された
判断基準範囲内に到達したと判定された場合にスリップ
制御が終了させられるので、実際のスリップ回転速度が
目標スリップ回転速度を継続的に下回っているスリップ
制御状態で加速操作が行われる場合におけるエンジンの
吹き上がりが好適に防止される。
【0010】ここで、好適には、前記スリップ回転速度
が目標スリップ回転速度よりも小さく予め設定された判
断基準値よりも小さいことを判定するスリップ回転速度
判定手段を更に含み、前記スリップ制御終了手段は、そ
のスリップ回転速度判定手段により前記スリップ回転速
度が予め設定された判断基準値よりも小さいことが判定
されたときに前記スリップ制御手段によるスリップ制御
を終了させるものである。このようにすれば、スリップ
制御の終了判定の条件として、スリップ回転速度が目標
スリップ回転速度よりも小さく予め設定された判断基準
値よりも小さいことすなわちスリップ回転速度が目標ス
リップ回転速度よりも小さく予め設定された判断基準値
よりも小さいという特定の走行条件が加えられるので、
前記発明の効果が一層明確に得られる。
【0011】また、好適には、車両のエンジンの負荷が
予め設定された判断基準値よりも小さいことを判定する
エンジン負荷判定手段を更に含み、前記スリップ制御終
了手段は、そのエンジン負荷判定手段によりエンジンの
負荷が予め設定された判断基準値よりも小さいことが判
定されたときに前記スリップ制御手段によるスリップ制
御を終了させるものである。このようにすれば、スリッ
プ制御の終了判定の条件として、エンジンの負荷が予め
設定された判断基準値よりも小さいことすなわち車両の
低負荷走行という特定の走行条件が加えられるので、前
記発明の効果が一層明確に得られる。
【0012】また、好適には、前記スリップ制御終了手
段は、前記スリップ制御終了のための判定条件が予め設
定された持続期間を超えて連続的に成立したことを判定
する持続判定手段を含み、その持続判定手段によりスリ
ップ制御終了のための判定条件が予め設定された持続期
間を超えて連続的に成立したことが判定された場合に、
前記スリップ制御手段によるスリップ制御を終了させる
ものである。このようにすれば、スリップ制御終了の誤
判定が防止され、制御の信頼性が高められる利点があ
る。
【0013】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。
【0014】図1は、本発明の一実施例が適用された車
両用動力伝達装置の骨子図である。図において、エンジ
ン10の動力はロックアップクラッチ付トルクコンバー
タ12、3組の遊星歯車ユニットなどから構成された有
段式自動変速機14を経て、図示しない差動歯車装置お
よび駆動輪へ伝達されるようになっている。
【0015】上記トルクコンバータ12は、エンジン1
0のクランク軸16と連結され、外周部において断面U
字状に曲成されるとともにエンジン10側へ向かう方向
成分を有する作動油の流れを発生させる羽根を有するポ
ンプ翼車18と、上記自動変速機14の入力軸20に固
定され、ポンプ翼車18の羽根に対向する羽根を有し、
そのポンプ翼車18の羽根からのオイルを受けて回転さ
せられるタービン翼車22と、一方向クラッチ24を介
して非回転部材であるハウジング26に固定されたステ
ータ翼車28と、軸方向に移動可能且つ軸まわりに相対
回転不能にタービン翼車22のハブ部に嵌合されたピス
トン30を介して上記入力軸20に連結されたロックア
ップクラッチ32とを備えている。
【0016】トルクコンバータ12内においては、ピス
トン30により分割された係合側油室35および解放側
油室33のうちの解放側油室33内の油圧が高められ、
且つ係合側油室35内の油圧が解放されると、ピストン
30が後退させられてロックアップクラッチ32が非係
合状態とされるので、トルクコンバータ12の入出力回
転速度比に応じた増幅率でトルクが伝達される。しか
し、係合側油室35内の油圧が高められ且つ解放側油室
33内の油圧が最低圧となると、上記ピストン30が前
進させられてロックアップクラッチ32がポンプ翼車1
8に押圧されて係合状態とされるので、トルクコンバー
タ12の入出力部材、すなわちクランク軸16および入
力軸20が直結状態とされる。
【0017】自動変速機14は、同軸上に配設された3
組のシングルピニオン型遊星歯車装置34,36,38
と、前記入力軸20と、遊星歯車装置38のリングギヤ
とともに回転する出力歯車39と図示しない差動歯車装
置との間で動力を伝達するカウンタ軸(出力軸)40と
を備えている。それら遊星歯車装置34,36,38の
構成要素の一部は互いに一体的に連結されるだけでな
く、3つのクラッチC0,C1 ,C2 によって互いに選
択的に連結されている。また、上記遊星歯車装置34,
36,38の構成要素の一部は、4つのブレーキB0
1 ,B2 ,B3によってハウジング26に選択的に連
結されるとともに、さらに、構成要素の一部は3つの一
方向クラッチF0 ,F1 ,F2 によってその回転方向に
より相互に若しくはハウジング26と係合させられるよ
うになっている。
【0018】上記クラッチC0 ,C1 ,C2 、ブレーキ
0 ,B1 ,B2 ,B3 は、例えば多板式のクラッチや
1本または巻付け方向が反対の2本のバンドを備えたバ
ンドブレーキ等にて構成され、それぞれ油圧アクチュエ
ータによって作動させられるようになっており、後述の
変速用電子制御装置184によりそれ等の油圧アクチュ
エータの作動がそれぞれ制御されることにより、図2に
示されているように変速比I(=入力軸20の回転速度
/カウンタ軸40の回転速度)がそれぞれ異なる前進4
段・後進1段の変速段が得られる。図2において、「1
st」,「2nd」,「3rd」,「O/D(オーバドライブ)」
は、それぞれ前進側の第1速ギヤ段,第2速ギヤ段,第
3速ギヤ段,第4速ギヤ段を表しており、上記変速比は
第1速ギヤ段から第4速ギヤ段に向かうに従って順次小
さくなる。なお、上記トルクコンバータ12および自動
変速機14は、軸線に対して対称的に構成されているた
め、図1においては入力軸20の回転軸線の下側および
カウンタ軸40の回転軸線の上側を省略して示してあ
る。
【0019】図3は、車両の制御装置の構成を説明する
図である。図において、油圧制御回路44には、上記自
動変速機14のギヤ段を制御するための変速制御用油圧
制御回路と、ロックアップクラッチ32の係合を制御す
るためのロックアップクラッチ制御用油圧制御回路とが
設けられている。変速制御用油圧制御回路は、よく知ら
れているようにソレノイドNo.1およびソレノイドNo.2に
よってそれぞれオンオフ駆動される第1電磁弁S1およ
び第2電磁弁S2を備えており、それら第1電磁弁S1
および第2電磁弁S2の作動の組み合わせによって図2
に示すようにクラッチおよびブレーキが選択的に作動さ
せられて前記第1速ギヤ段乃至第4速ギヤ段のうちのい
ずれかが成立させられるようになっている。
【0020】また、上記ロックアップクラッチ制御用油
圧制御回路は、たとえば図4に示すように、ソレノイド
48によりオンオフ作動させられて切換用信号圧Psw
発生する第3電磁弁S3と、その切換用信号圧Pswに従
ってロックアップクラッチ32を解放状態とする解放側
位置とロックアップクラッチ32を係合状態とする係合
側位置とに切り換えられるロックアップリレー弁52
と、変速用電子制御装置184から供給される駆動電流
SLU に対応したスリップ制御用信号圧PSLU を発生す
るリニアソレノイド弁SLUと、リニアソレノイド弁S
LUから出力されるスリップ制御用信号圧PSLU に従っ
て係合側油室35および解放側油室33の圧力差ΔPを
調節し、ロックアップクラッチ32のスリップ量を制御
するロックアップコントロール制御弁56とを備えてい
る。
【0021】上記図4において、図示しないタンクに還
流した作動油をストレーナ58を介して吸引して圧送す
るためのポンプ60はエンジン10によって回転駆動さ
れるようになっている。ポンプ60から圧送された作動
油圧は、オーバフロー形式の第1調圧弁62により第1
ライン圧Pl1に調圧されるようになっている。この第1
調圧弁62は、図示しないスロットル弁開度検知弁から
出力されたスロットル圧に対応して大きくなる第1ライ
ン圧Pl1を発生させ、第1ライン油路64を介して出力
する。第2調圧弁66は、オーバフロー形式の調圧弁で
あって、第1調圧弁62から流出させられた作動油を上
記スロットル圧に基づいて調圧することにより、エンジ
ン10の出力トルクに対応した第2ライン圧Pl2を発生
させる。第3調圧弁68は、上記第1ライン圧Pl1を元
圧とする減圧弁であって、一定の第3ライン圧Pl3を発
生させる。また、マニュアル弁70は、シフト操作レバ
ー174がRレンジであるときには、Rレンジ圧PR
発生する。そして、OR弁72は、第2速ギヤ段以上で
あるときに係合する前記ブレーキB2 を作動させる圧P
B2および上記Rレンジ圧PR のうちのいずれか高い側を
選択して出力する。
【0022】上記ロックアップリレー弁52は、解放側
油室33と連通する解放側ポート80、係合側油室35
と連通する係合側ポート82、第2ライン圧Pl2が供給
される入力ポート84、ロックアップクラッチ32の解
放時に係合側油室35内の作動油が排出される第1排出
ポート86、ロックアップクラッチ32の係合時に解放
側油室33内の作動油が排出される第2排出ポート8
8、第2調圧弁66から排出される作動油の一部がロッ
クアップクラッチ32の係合期間に冷却のために供給さ
れる供給ポート90と、それらのポートの接続状態を切
り換えるスプール弁子92と、そのスプール弁子92を
オフ側位置に向かって付勢するスプリング94と、スプ
ール弁子92のスプリング94側端部に当接可能に配置
されたプランジャ96と、それらスプール弁子92とプ
ランジャ96との端面にRレンジ圧PR を作用させるた
めにそれらの間に設けられた油室98と、プランジャ9
6の端面に作用させる第1ライン圧Pl1を受け入れる油
室100と、スプール弁子92の端面に第3電磁弁S3
からの切換用信号圧Pswを作用させてオン側位置へ向か
う推力を発生させるためにその切換用信号圧Pswを受け
入れる油室102とを備えている。
【0023】第3電磁弁S3は、非励磁状態(オフ状
態)では油室102とOR弁72との連通をその球状弁
子が遮断し且つ油室102をドレン圧とするが、励磁状
態(オン状態)では油室102とOR弁72とを連通さ
せて切換用信号圧Pswを油室102に作用させる。この
ため、第3電磁弁S3がオフ状態であるときには、油室
102には第3電磁弁S3からの切換用信号圧Pswが作
用させられず、スプール弁子92はスプリング94の付
勢力と油室100に作用する第1ライン圧Pl1とにした
がってオフ側位置に位置させられることから、入力ポー
ト84と解放側ポート80、係合側ポート82と第1排
出ポート86がそれぞれ連通させられるので、解放側油
室33内の油圧Poff は係合側油室35内の油圧Pon
りも高められてロックアップクラッチ32が解放される
と同時に、係合側油室35内の作動油は上記第1排出ポ
ート86、オイルクーラ104、および逆止弁106を
介してドレンへ排出される。
【0024】反対に、第3電磁弁S3がオン状態である
ときには、第3電磁弁S3からの切換用信号圧Pswが油
室102に作用させられてスプール弁子92はスプリン
グ94の付勢力と油室100に作用する第1ライン圧P
l1とに抗してオン側位置に位置させられることから、入
力ポート84と係合側ポート82、解放側ポート80と
第2排出ポート88、供給ポート90と第1排出ポート
86がそれぞれ連通させられるので、係合側油室35内
の油圧Ponは解放側油室33内の油圧Poff よりも高め
られてロックアップクラッチ32が係合されると同時
に、解放側油室33内の作動油は上記第2排出ポート8
8およびロックアップコントロール弁56を介してドレ
ンへ排出される。
【0025】前記リニアソレノイド弁SLUは、第3調
圧弁68で発生させられる一定の第3ライン圧Pl3を元
圧とする減圧弁であって、図5に示すように変速用電子
制御装置184からの駆動電流ISLU (すなわち駆動デ
ューティ比DSLU)に伴って大きくなるスリップ制御
用信号圧PSLU を発生させ、このスリップ制御用信号圧
SLU をロックアップコントロール弁56へ作用させ
る。リニアソレノイド弁SLUは、第3ライン圧Pl3
供給される供給ポート110およびスリップ制御用信号
圧PSLU を出力する出力ポート112と、それらを開閉
するスプール弁子114と、そのスプール弁子114を
閉弁方向へ付勢するスプリング115と、スプール弁子
114をスプリング115よりも小さい推力で開弁方向
へ付勢するスプリング116と、駆動電流ISLU に従っ
てスプール弁子114を開弁方向へ付勢するスリップ制
御用電磁ソレノイド118と、スプール弁子114に閉
弁方向の推力を発生させるためのフィードバック圧(ス
リップ制御用信号圧PSLU )を受け入れる油室120と
を備えており、スプール弁子114は電磁ソレノイド1
18およびスプリング116による開弁方向の付勢力と
スプリング115およびフィードバック圧による閉弁方
向の付勢力とが平衡するように作動させられる。
【0026】ロックアップコントロール弁56は、前記
第2ライン圧Pl2が供給されるライン圧ポート130、
前記第2排出ポート88から排出される解放側油室33
内の作動油を受け入れる受入ポート132、その受入ポ
ート132に受け入れられた作動油を排出するためのド
レンポート134と、受入ポート132とドレンポート
134との間を連通させて解放側油室33内の作動油を
排出させることにより係合側油室35および解放側油室
33の圧力差ΔP(=Pon−Poff )を増加させる第1
位置(図4の左側位置)へ向かう方向と受入ポート13
2とライン圧ポート130との間を連通させて解放側油
室33内に第2ライン圧Pl2を供給することにより上記
ΔPを減少させる第2位置(図4の右側位置)へ向かう
方向に向かって移動可能に設けられたスプール弁子13
6と、そのスプール弁子136を第1位置に向かって付
勢するためにそのスプール弁子136に当接可能に配置
されたプランジャ138と、そのプランジャ138にス
リップ制御用信号圧PSLUを作用させて第1位置に向か
う推力を発生させるためにスリップ制御用信号圧P SLU
を受け入れる信号圧油室140と、プランジャ138に
解放側油室33内の油圧Poff を作用させてプランジャ
138にスプール弁子136をその第1位置へ向かう方
向の推力を発生させるためにその油圧Poff を受け入れ
る油室142と、スプール弁子136に係合側油室35
内の油圧Ponを作用させてスプール弁子136にその第
2位置へ向かう方向の推力を発生させるために油圧Pon
を受け入れる油室144と、この油室144内に収容さ
れてスプール弁子136をその第2位置へ向かう方向へ
付勢するスプリング146とを、備えている。
【0027】ここで、上記プランジャ138には、油室
142側から順に大きくなる断面積A1 およびA2 を有
する第1ランド148および第2ランド150が形成さ
れており、また、スプール弁子136には、信号圧油室
140側から断面積A3 である第3ランド152、およ
び上記断面積A1 と同じ断面積である第4ランド154
が形成されている。したがって、プランジャ138はス
プール弁子136と当接して相互に一体的に作動し、ピ
ストン30の両側にスリップ制御用信号圧PSL U に対応
した大きさの圧力差ΔP(=Pon−Poff )が形成され
る。このとき、圧力差ΔPはスリップ制御用信号圧P
SLU に対して数式1により傾き〔(A2 −A1 )/A
1 〕に従って図6に示すように変化する。なお、数式1
において、F s はスプリング146の付勢力である。
【0028】
【数1】
【0029】図6は、上記のように構成されているロッ
クアップコントロール弁56の作動により得られる圧力
差ΔPのスリップ制御用信号圧PSLU に対する変化特性
を示している。したがって、ロックアップリレー弁52
がオン状態にあるときは、スリップ制御用信号圧PSLU
が大きくなるに伴って係合側油室35と解放側油室33
との圧力差ΔP(Pon−Poff )が大きくなるので、ロ
ックアップクラッチ32のスリップ回転速度NSLPが
減少させられるが、反対に、スリップ制御用信号圧P
SLU が低くなるとスリップ回転速度NSLPが増加され
る。
【0030】図3に戻って、車両には、エンジン10の
回転速度NE すなわちポンプ翼車18の回転速度NP
検出するエンジン回転速度センサ160、吸気配管を通
してエンジン10へ吸気される吸入空気量Qを検出する
吸入空気量センサ162、吸気配管を通してエンジン1
0へ吸気される吸入空気の温度TAIR を検出する吸入空
気温度センサ164、アクセルペダル165の操作によ
り開閉されるスロットル弁166の全閉状態および開度
TAPを検出するアイドルスイッチ付スロットルセンサ
167、自動変速機14の出力軸の回転速度すなわち車
速Vを検出する車速センサ168、エンジン10の冷却
水温TWAを検出する冷却水温センサ170、ブレーキペ
ダルが操作されたことを検出するブレーキセンサ17
2、シフト操作レバー174の操作位置Ps すなわち
L、S、D、N、R、Pレンジのいずれかを検出するた
めの操作位置センサ176、タービン翼車22の回転速
度NTすなわち自動変速機14の入力軸20の回転速度
を検出するタービン回転速度センサ178、油圧制御回
路44の作動油の温度TOIL を検出する油温センサ18
0が設けられている。そして、上記各センサから出力さ
れた信号は、エンジン用の電子制御装置182および変
速用の電子制御装置184にそれぞれ直接または間接的
に供給されるようになっている。エンジン用の電子制御
装置182と変速用の電子制御装置184とは通信イン
ターフェイスを介して相互連結されており、入力信号な
どが必要に応じて相互に供給されるようになっている。
【0031】変速用の電子制御装置184はCPU、R
OM、RAM、インターフェースなどから成る所謂マイ
クロコンピュータであって、そのCPUは、RAMの一
時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログ
ラムに従って入力信号を処理し、自動変速機14の変速
制御およびロックアップクラッチ32の係合制御を図示
しないメインルーチンに従って実行して、第1電磁弁S
1、第2電磁弁S2、第3電磁弁S3、およびリニアソ
レノイド弁SLUをそれぞれ制御する。
【0032】上記変速制御では、予めROMに記憶され
た複数種類の変速線図から実際の変速ギヤ段に対応した
変速線図が選択され、その変速線図から車両の走行状
態、たとえばスロットル弁開度TAPと車速Vとに基づ
いて変速ギヤ段が決定され、その変速ギヤ段が得られる
ように第1電磁弁S1、第2電磁弁S2が駆動されるこ
とにより、自動変速機14のクラッチC0 ,C1 ,C
2 、およびブレーキB0 ,B1 ,B2 ,B3 の作動が制
御されて前進4段のうちのいずれかのギヤ段が成立させ
られる。
【0033】上記ロックアップクラッチ32の係合制御
は、たとえば第3速ギヤ段および第4速ギヤ段での走行
中に実行されるものであり、その係合制御においては、
予めROMに記憶された図7に示す関係から、車両の走
行状態たとえば出力軸回転速度(車速)Nout およびス
ロットル弁開度TAPに基づいてロックアップクラッチ
32の解放領域、スリップ制御領域、係合領域のいずれ
であるかが判断される。このスリップ制御領域は、運転
性を損なうことなく燃費を可及的によくすることを目的
としてエンジン10のトルク変動を吸収しつつ連結させ
るようにロックアップクラッチ32がスリップ状態に維
持される。図7は車両の加速走行中において用いられる
ものである。また、車両の減速惰行走行中でも、フュー
エルカット制御の制御域を拡大することを目的としてロ
ックアップクラッチ32のスリップ制御が実行される。
この場合には、スロットル弁開度TAPが零である惰行
走行状態であるので、専ら車速Vにより特定されるスリ
ップ領域が用いられる。
【0034】上記車両の走行状態が上記係合領域内にあ
ると判断されると、第3電磁弁S3が励磁されてロック
アップリレー弁52がオン状態とされると同時にリニア
ソレノイド弁SLUに対する駆動電流ISLU が最小駆動
電流(定格値)に設定されるので、ロックアップクラッ
チ32が係合させられる。また、車両の走行状態が上記
解放領域内にあると判断されると、第3電磁弁S3が非
励磁とされてロックアップリレー弁52がオフ状態とさ
れるので、リニアソレノイド弁SLUに対する駆動電流
SLU に拘わらず、ロックアップクラッチ32が解放さ
れる。そして、車両の走行状態が上記スリップ制御領域
内にあると判断されると、第3電磁弁S3が励磁されて
ロックアップリレー弁52がオン状態とされると同時
に、リニアソレノイド弁SLUに対する駆動電流ISLU
がたとえば数式2に従って調節される。すなわち、たと
えば目標スリップ回転速度TNSLPと実際のスリップ
回転速度NSLP(=NE −NT )との偏差ΔE(=T
NSLP−NSLP)が解消されるように駆動電流I
SLU が算出されて出力される。なお、数式2の右辺第2
項は応答性を改善するために、エンジン出力トルク値な
どに対応する大きさの操作量を加えるためのフィードフ
ォワード項である。
【0035】
【数2】
【0036】また、エンジン用の電子制御装置182
も、変速用の電子制御装置184と同様のマイクロコン
ピュータであって、そのCPUは予めROMに記憶され
たプログラムに従って入力信号を処理することにより種
々のエンジン制御を実行する。たとえば、燃料噴射量制
御では燃焼状態を最適とするために燃料噴射弁186を
制御し、点火時期制御では、遅角量を適切とするために
イグナイタ188を制御し、トラクション制御では、車
両の駆動力を抑制するためにスロットルアクチュエータ
190により第2スロットル弁192を制御し、フュー
エルカット制御では、燃費を高めるために惰行走行にお
いてエンジン回転速度NE が予め設定されたフューエル
カット回転速度NCUT を上まわる期間だけ燃料噴射弁1
86を閉じる。
【0037】図8は、上記変速用電子制御装置184の
制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図
8において、車両の走行状態が予め設定されたスリップ
制御領域内に入ると、スリップ制御手段196が、数式
2にしたがってロックアップクラッチ32のスリップ回
転速度NSLP(=NE −NT )が所定の目標スリップ
回転速度TNSLPと一致するように制御する。偏差判
定手段198は、ロックアップクラッチ32のスリップ
回転速度NSLPが目標スリップ回転速度TNSLPよ
りも小さいことすなわち制御偏差ΔE(=TNSLP−
NSLP)が正であることを判定する。制御操作値判定
手段200は、ロックアップクラッチ32の係合状態を
制御するためにスリップ制御手段196から出力される
制御操作値が、その変化範囲のうちのスリップ回転速度
NSLPを多くする側において予め設定された判断基準
範囲内に到達したか否かを判定する。スリップ回転速度
判定手段204は、スリップ回転速度NSLPが目標ス
リップ回転速度TNSLPよりも小さく予め設定された
判断基準値N1 よりも小さいことを判定するものであ
り、エンジン負荷判定手段206は、車両のエンジンの
負荷が予め設定された判断基準値よりも小さいことたと
えばスロットル弁開度TAPが予め設定された比較的小
さな値θ1 よりも小さいことを判定する。
【0038】スリップ制御終了手段202は、持続判定
手段208を備えている。偏差判定手段198によりス
リップ回転速度NSLPが目標スリップ回転速度TNS
LPよりも小さいことが判定され、制御操作値判定手段
202により、スリップ制御手段196から出力される
制御操作値がその制御操作範囲すなわち変化範囲のうち
のスリップ回転速度NSLPを多くする側において予め
設定された判断基準範囲内に到達したと判定された状態
が予め設定された持続期間を超えて連続的に成立したこ
とが、上記持続判定手段208を備えて判定された場合
に、スリップ制御終了手段202は、スリップ制御手段
196によるスリップ制御を終了させる。
【0039】上記持続判定手段208による判定には、
スリップ回転速度判定手段204による、スリップ回転
速度NSLPが目標スリップ回転速度TNSLPよりも
小さく予め設定された判断基準値N1 よりも小さいとい
う判定と、エンジン負荷判定手段206による、車両の
エンジンの負荷が予め設定された判断基準値よりも小さ
いという判定とが必要に応じて加えられる。
【0040】以下、変速用の電子制御装置184の制御
作動の要部を、図9のフローチャートを用いて説明す
る。
【0041】図9において、ステップSB1(以下、ス
テップを省略する。)では、スリップ制御の実行中であ
るか否かが判断される。このSB1の判断が否定された
場合は、SB2においてタイマーカウンタCSLAの内
容が「0」にクリアされた後、SB3においてスリップ
回転速度NSLPが予め設定された判断基準値N2 以上
となったか否かが判断されるとともに、SB4において
他のスリップ制御開始条件が成立したかが判断される。
上記判断基準値N2 は、スリップ制御の成立および終了
の繰り返しを防止するヒステリシスを形成するために後
述のスリップ制御終了時の判断基準値N1 よりも高い値
たとえば70r.p.m 程度の値に設定される。また、上記
SB4の他のスリップ制御開始条件には、図7のスリッ
プ制御領域に入っていることなどが含まれる。
【0042】上記SB3或いはSB4の判断が否定され
た場合は、前記スリップ制御終了手段202に対応する
SB13のスリップ制御中止が実行されるが、SB3お
よびSB4の判断が肯定された場合は、前記スリップ制
御手段196に対応するSB14のスリップ制御が実行
される。このスリップ制御では、たとえば図13に示す
関係から目標スリップ回転速度TNSLPが決定され、
その目標スリップ回転速度TNSLPと実際のスリップ
回転速度NSLPとの差である制御偏差ΔEが逐次算出
されるとともに、数式2からその制御偏差ΔEが解消さ
れるように制御操作値である駆動電流ISLU が算出され
る。この駆動電流ISLU は駆動デューティ比DSLUに
対応している。
【0043】スリップ制御の開始条件が成立すると、す
なわち上記SB3およびSB4の判断が肯定されると、
上記SB1の判断が肯定されるので、続くSB5では、
SB7乃至SB10以外の他のスリップ制御終了条件が
成立したか否かが判断される。この他のスリップ制御終
了条件には、図7のスリップ制御領域から外れたことな
どが含まれる。
【0044】上記SB5の判断が否定された場合にはS
B13のスリップ制御中止が実行されるが、肯定された
場合には、前記持続判定手段208に対応するSB6に
おいてタイマーカウンタCSLAの計数内容が予め設定
された判断基準値TSLAに到達したか否かが判断され
る。この判断基準値TSLAは、スリップ制御終了条件
成立の誤判定を防止するための持続時間であり、たとえ
ば1秒程度の値が採用される。このタイマーカウンタC
SLAは、SB7乃至SB10の4つのスリップ制御終
了条件がすべて成立した状態の持続時間を計数するもの
である。当初は、上記SB6の判断が否定されるので、
SB7乃至SB10において4つのスリップ制御終了条
件がそれぞれ成立しているか否かが判断される。
【0045】すなわち、先ず、前記スリップ回転速度判
定手段204に対応するSB7では、スリップ回転速度
NSLPが予め設定された判断基準値N1 を下回ったか
否かが判断される。この判断基準値N1 は、スリップ制
御開始条件における判断基準値N2 よりもヒステリシス
分だけ低い値、たとえば40r.p.m 程度の値が用いられ
る。次いで、前記偏差判定手段198に対応するSB8
では、目標スリップ回転速度TNSLPと実際のスリッ
プ回転速度NSLPとの間の偏差ΔE(=TNSLP−
NSLP)が予め設定された判断基準値E1 以上である
か否かが判断される。この判断基準値E1 は、スリップ
回転速度NSLPが目標スリップ回転速度TNSLPよ
りも確実に小さいことを判断するための値であり、たと
えば5r.p.m 程度の値が用いられる。次いで、前記制御
操作値判定手段200に対応するSB9では、駆動デュ
ーティ比DSLUが予め設定された判断基準値UL
(%)以上であるか否かが判断される。この判断基準値
ULは、制御操作値である駆動デューティ比DSLUの
変化範囲(0〜100%)のうちのスリップ回転速度N
SLPを多くする側において予め設定された判断基準範
囲たとえば80%より上の範囲内に到達したことを判定
するための値である。そして、前記エンジン負荷判定手
段206に対応するSB10では、スロットル弁開度T
APが予め設定された判断基準値θ1 より小さいか否か
が判断される。この判断基準値θ1 は、スリップ制御中
においてスリップ回転速度NSLPが目標スリップ回転
速度TNSLPを下回りやすい軽負荷定常走行を判定す
るための値であり、たとえば5%程度の値が用いられ
る。
【0046】上記SB7乃至SB10のいずれかの判断
が否定された場合には、SB11においてタイマーカウ
ンタCSLAの内容が「0」にクリアされる。しかし、
SB7乃至SB10の判断が共に肯定された場合には、
SB12においてそれまでのタイマーカウンタCSLA
の内容に「1」が加算された後、SB1以下が繰り返し
実行される。図10のt1 はこの時点を示している。
【0047】そして、以上のステップが繰り返し実行さ
れるうち、上記SB7乃至SB10のスリップ制御終了
条件の成立がTSLA時間持続すると、前記SB6の判
断が肯定されるので、SB13のスリップ制御停止が実
行され、前記SB3およびSB4のスリップ制御開始条
件が成立するまでそのスリップ制御の停止が継続され
る。図10のt2 はこの時点を示している。
【0048】上述のように、本実施例によれば、偏差判
定手段198に対応するSB8によりスリップ回転速度
NSLPが目標スリップ回転速度TNSLPよりも小さ
いことが判定され、制御操作値判定手段200に対応す
るSB9により、スリップ制御のために出力される制御
操作値である駆動デューティ比DSLUがその変化範囲
0〜100%のうちのスリップ回転速度NSLPを多く
する側において予め設定されたUL%以上という基準範
囲内に到達したと判定され、スリップ回転速度判定手段
204に対応するSB7によりスリップ回転速度NSL
Pが予め設定された判断基準値N1 よりも小さいことが
判定され、エンジン負荷判定手段206に対応するSB
10においてエンジン10の負荷すなわちスロットル弁
開度TAPが予め設定された判断基準値θ1 よりも小さ
いことが判定されたときには、スリップ制御終了手段2
02に対応するSB13によってスリップ制御手段19
6(SB14)によるスリップ制御が終了させられる。
【0049】このため、本実施例によれば、実際のスリ
ップ回転速度NSLPが目標スリップ回転速度TNSL
Pより小さくなったときにロックアップクラッチ32が
解放されてスリップ制御が終了させられるのではなく、
駆動デューティ比DSLUがその制御操作範囲(変化範
囲)のうちのスリップ回転速度NSLPを多くする側に
おいて予め設定されたUL%以上という基準範囲内に到
達したと判定された場合にスリップ制御が終了させられ
ることから、スリップ制御のための駆動デューティ比D
SLUがその変化範囲に余裕があるうちはスリップ制御
が継続されるので、スリップ制御が可及的に行われ得
る。したがって、燃費向上効果も可及的に得られるので
ある。
【0050】また、本実施例によれば、スリップ制御の
ための制御操作値である駆動デューティ比DSLUがそ
の変化範囲のうちのスリップ回転速度を多くする側にお
いて予め設定された80%以上という範囲に到達したと
判定された場合にスリップ制御が終了させられるので、
実際のスリップ回転速度NSLPが目標スリップ回転速
度TNSLPを継続的に下回っているスリップ制御状態
で加速操作が行われる場合に発生するエンジンの吹き上
がりが好適に防止される。因に、スリップ制御中におい
て実際のスリップ回転速度NSLPが目標スリップ回転
速度TNSLPを継続的に下回っている状態では、図1
1の1点鎖線に示すように、駆動デューティ比DSLU
がその制御操作範囲のうちのスリップ回転速度を多くす
る100%側に張り付いて、ロックアップクラッチ32
のピストン30が最も後退した位置にあるので、この状
態で加速操作が行われると、ピストン30が前進してロ
ックアップクラッチが係合開始するまでの間にエンジン
回転速度NE が急速に上昇して、スリップ回転速度NS
LPが目標スリップ回転速度TNSLPを大幅に上まわ
る現象が発生していたのである。なお、上記スリップ制
御中において実際のスリップ回転速度NSLPが目標ス
リップ回転速度TNSLPを継続的に下回っている状態
は、車両の低負荷高速走行において容易に発生する現象
である。図12に示すように、同じスロットル弁開度T
APでは車速Vが高められるほど実際のスリップ回転速
度NSLPが目標スリップ回転速度TNSLPを下まわ
る特性があるのである。
【0051】また、本実施例では、スリップ回転速度判
定手段204(SB7)が設けられ、そのスリップ回転
速度判定手段204によりスリップ回転速度NSLPが
予め設定された判断基準値N1 よりも小さいことが判定
されたときにスリップ制御終了手段202(SB13)
によりスリップ制御が終了させられるので、より確実な
作動が期待できる。
【0052】また、本実施例では、エンジン負荷判定手
段206(SB10)が設けられ、、そのエンジン負荷
判定手段206によりスロットル弁開度TAPが予め設
定された判断基準値θ1 よりも小さいことが判定された
ときにスリップ制御終了手段202(SB13)により
スリップ制御が終了させられるので、より確実な作動が
期待できる。
【0053】また、本実施例では、持続判定手段208
(SB6)が設けられ、その持続判定手段208によ
り、スリップ制御終了のための判定条件が所定の持続期
間TSLAを超えて連続的に成立したことが判定された
ときにスリップ制御終了手段202(SB13)により
スリップ制御が終了させられるので、スリップ制御終了
の誤判定が防止され、制御の信頼性が高められる利点が
ある。
【0054】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
説明したが、本発明はその他の態様においても適用され
る。
【0055】たとえば、前述の実施例のSB9では、駆
動デューティ比DSLUが判断基準値UL以上であるか
否かが判断されているが、リニアソレノイド弁SLUか
ら出力されるスリップ制御用信号圧PSLU が予め設定さ
れた判断基準値以下であるか否かが判断されてもよい。
【0056】また、前述の実施例のSB10では、スロ
ットル弁開度TAPが判断基準値θ 1 以下であるか否か
が判断されているが、たとえばアクセルペダル操作量、
燃料噴射量、吸入空気量などのエンジン負荷を表す量が
予め設定された判断基準値を下回っているか否かが判断
されてもよい。
【0057】また、前述の実施例において、スリップ回
転速度判定手段204(SB7)やエンジン負荷判定手
段206(SB10)は除去されても一応の効果が得ら
れる。
【0058】また、前述の実施例の油圧制御回路44
は、図4に示すように構成されていたが、他の構成であ
っても差し支えない。たとえば、ロックアップリレー弁
52とロックアップコントロール弁56とが一体的に構
成されてもよいのである。
【0059】また、前述の実施例において、直結クラッ
チ付トルクコンバータ12について説明されていたが、
直結クラッチ付フルードカップリングであってもよい。
要するに、直結クラッチを有する流体式伝動装置であれ
ばよいのである。
【0060】なお、上述したのはあくまでも本発明の一
実施例であり、本発明はその主旨を逸脱しない範囲にお
いて種々変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のスリップ制御装置が適用さ
れた車両用動力伝達装置を示す図である。
【図2】図1のロックアップクラッチ付トルクコンバー
タを備えた自動変速機において、第1電磁弁および第2
電磁弁の作動の組み合わせとそれにより得られる変速段
との関係を説明する図表である。
【図3】図1の車両に備えられている制御装置の構成を
説明するブロック線図である。
【図4】図3の油圧制御回路の要部構成を説明する図で
ある。
【図5】図4のリニアソレノイド弁の出力特性を示す図
である。
【図6】図4の油圧制御回路に設けられたスリップ制御
弁の特性であって、係合用油室および解放用油室との圧
力差ΔPとスリップ制御用信号圧PSLU との関係を説明
する図である。
【図7】図3の変速用電子制御装置に記憶されている、
車両の走行状態とロックアップクラッチの係合状態との
関係を示す図である。
【図8】図3の変速用電子制御装置の制御機能の要部を
説明する機能ブロック線図である。
【図9】図3の変速用電子制御装置の制御作動の要部を
説明するフローチャートである。
【図10】図3の変速用電子制御装置の制御作動の要部
を説明するタイムチャートである。
【図11】図3の変速用電子制御装置の制御作動のう
ち、加速操作されたときのスリップ回転速度NSLPを
説明するタイムチャートである。
【図12】車両において、スロットル弁開度TAPをパ
ラメータとする車速Vとスリップ回転速度NSLPとの
関係を示す図である。
【図13】目標スリップ回転速度TNSLPを決定する
ために用いられる関係を示す図である。
【符号の説明】
10:エンジン 32:ロックアップクラッチ 196:スリップ制御手段 198:偏差判定手段 200:制御操作値判定手段 202:スリップ制御終了手段 204:スリップ回転速度判定手段 206:エンジン負荷判定手段 208:持続判定手段

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポンプ翼車とタービン翼車との間にロッ
    クアップクラッチを備えた流体伝動装置を有する車両に
    おいて、車両の走行状態が予め設定されたスリップ制御
    領域内に入ると該ロックアップクラッチのスリップ回転
    速度が所定の目標スリップ回転速度と一致するように制
    御するスリップ制御手段を備えた形式の車両用ロックア
    ップクラッチのスリップ制御装置であって、 前記ロックアップクラッチのスリップ回転速度が前記目
    標スリップ回転速度よりも小さいことを判定する偏差判
    定手段と、 前記ロックアップクラッチの係合状態を制御するために
    前記スリップ制御手段から出力される制御操作値が、そ
    の変化範囲のうちの前記スリップ回転速度を多くする側
    において予め設定された判断基準範囲内に到達したか否
    かを判定する制御操作値判定手段と、 前記偏差判定手段により前記スリップ回転速度が前記目
    標スリップ回転速度よりも小さいことが判定され、且
    つ、前記制御操作値判定手段により、前記スリップ制御
    手段から出力される制御操作値がその変化範囲のうちの
    前記スリップ回転速度を多くする側において予め設定さ
    れた判断基準範囲内に到達したと判定された場合には、
    該スリップ制御手段によるスリップ制御を終了させるス
    リップ制御終了手段とを含むことを特徴とする車両用ロ
    ックアップクラッチのスリップ制御装置。
  2. 【請求項2】 前記スリップ回転速度が前記目標スリッ
    プ回転速度よりも小さく予め設定された判断基準値より
    も小さいことを判定するスリップ回転速度判定手段を更
    に含み、 前記スリップ制御終了手段は、該スリップ回転速度判定
    手段により前記スリップ回転速度が予め設定された判断
    基準値よりも小さいことが判定されたときに前記スリッ
    プ制御手段によるスリップ制御を終了させるものである
    請求項1の車両用ロックアップクラッチのスリップ制御
    装置。
  3. 【請求項3】 車両のエンジンの負荷が予め設定された
    判断基準値よりも小さいことを判定するエンジン負荷判
    定手段を更に含み、 前記スリップ制御終了手段は、該エンジン負荷判定手段
    によりエンジンの負荷が予め設定された判断基準値より
    も小さいことが判定されたときに前記スリップ制御手段
    によるスリップ制御を終了させるものである請求項1ま
    たは2の車両用ロックアップクラッチのスリップ制御装
    置。
  4. 【請求項4】 前記スリップ制御終了手段は、前記スリ
    ップ制御終了のための判定条件が予め設定された持続期
    間を超えて連続的に成立したことを判定する持続判定手
    段を含み、該持続判定手段により該スリップ制御終了の
    ための判定条件が予め設定された持続期間を超えて連続
    的に成立したことが判定された場合に、前記スリップ制
    御手段によるスリップ制御を終了させるものである請求
    項1乃至3のいずれかの車両用ロックアップクラッチの
    スリップ制御装置。
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