JPH08284824A - 圧縮機における動力伝達構造 - Google Patents

圧縮機における動力伝達構造

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JPH08284824A
JPH08284824A JP7085744A JP8574495A JPH08284824A JP H08284824 A JPH08284824 A JP H08284824A JP 7085744 A JP7085744 A JP 7085744A JP 8574495 A JP8574495 A JP 8574495A JP H08284824 A JPH08284824 A JP H08284824A
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compressor
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Masahiko Okada
昌彦 岡田
Masahiro Kawaguchi
真広 川口
Shinichi Ogura
進一 小倉
Tomohiko Yokono
智彦 横野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】圧縮機側の過負荷の伝達を的確に遮断する動力
伝達構造を提供する。 【構成】回転軸4の突出端部4-1には駆動力伝達体8が
相対回転不能かつスライド可能に支持されている。駆動
力伝達体8はプーリ6の結合アーム10,11に破断ね
じ12,13によって締め付け接合されている。車両エ
ンジンの回転はベルト7を介してプーリ6に伝えられ、
プーリ6の回転は破断ねじ12,13及び駆動力伝達体
8を介して回転軸4に伝達される。圧縮機側の負荷トル
クが過大になった場合には破断ねじ12,13が破断す
る。結合アーム10,11に対する破断ねじ12,13
のねじ込みにより破断ねじ12,13には予荷重が付与
されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、外部駆動源の駆動力を
プーリを介して回転軸に伝達する圧縮機における動力伝
達構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】実開昭63−142460号公報に開示
されるクラッチレス圧縮機では、プーリに形成された環
状の突状壁に係合凹部が設けられていると共に、ハブの
周面に係合凹部が設けられている。突状壁側の係合凹部
にはドライブレバーの一端が挿入されており、ハブ側の
係合凹部にはドライブレバーの他端が環状の板ばねを介
して挿入されている。プーリの回転はドライブレバー及
び板ばねを介して回転軸に伝達する。圧縮機側の負荷ト
ルクが過大になったときには、ドライブレバーの他端が
板ばねの凹部から外れ、過大な負荷トルクが車両エンジ
ン側に波及しないようになっている。しかし、複数本の
ドライブレバーを揺動可能に支持し、かつドライブレバ
ーの揺動変位を板ばねで受け止める構成は複雑である。
このような複雑な構成では部品点数、組み付け工数が増
え、圧縮機のコストが高くなる。
【0003】圧縮機側から車両エンジン側への過負荷の
遮断を行なう方式としては、プーリから回転軸に到る間
の動力伝達経路上に破断体を介在する構成がある。遮断
体は過負荷発生に伴って破断する。このような構成では
実開昭63−142460号公報の構成のような問題は
ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、圧縮機側の負
荷は変動しており、破断体には圧縮機側の変動負荷が作
用している。このような変動負荷の作用は破断体の疲労
をもたらす。破断体が疲労すれば過負荷ではない負荷領
域で破断体が破断してしまう。
【0005】本発明は、設定された負荷以上の過負荷の
発生時にのみ過負荷の伝達を遮断し得る圧縮機における
動力伝達構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】そのために請求項1の発
明では、ハウジングから突出する回転軸の突出端部から
前記プーリに到る動力伝達経路上に破断体を介在し、前
記破断体に対して回転軸側の負荷の作用する方向へ予荷
重を付与した。
【0007】請求項2の発明では、回転軸の突出端部に
駆動力伝達体を相対回転不能に取り付け、プーリから駆
動力伝達体に到る動力伝達経路上の回転体と駆動力伝達
体とをプーリの周方向へ接合するように破断体で結合
し、前記接合を解除する方向へプーリの回転方向を設定
し、前記破断体に引っ張り方向の予荷重を付与して前記
回転体と駆動力伝達体とを前記接合する位置で圧接し
た。
【0008】請求項3の発明では、破断体として前記回
転体と駆動力伝達体とを締め付け結合する破断ねじを用
いた。請求項4の発明では、駆動力伝達体を回転軸の突
出端部にその軸線方向へスライド可能に取り付け、前記
回転体の端面には回転体と駆動力伝達体との接合位置か
らプーリの回転方向とは逆方向へ向かうにつれて前記端
面から離間する方向へ昇る案内斜面を設けた。
【0009】請求項5の発明では、外部駆動源と回転軸
とがプーリを介して常時作動連結されるクラッチレス圧
縮機を対象とした。
【0010】
【作用】圧縮機側の負荷トルクの変動が破断体に作用す
るが、負荷が作用する方向へ予荷重が破断体に付与され
ているため、負荷の変動は抑制されて破断体に作用す
る。従って、負荷変動の作用による破断体の疲労が抑制
される。
【0011】請求項2の発明では、負荷トルクが駆動力
伝達体を介して破断体に作用し、破断体は負荷トルクに
よって引っ張り力を受ける。破断体に付与された予荷重
は前記引っ張り力と同じ方向の引っ張り荷重である。こ
のような予荷重が駆動力伝達体を前記回転体に圧接す
る。負荷トルクは前記回転体と駆動力伝達体との圧接を
解除する方向へ作用し、予荷重は破断体に作用する負荷
変動を抑制する。
【0012】請求項3の発明にて、破断体として破断ね
じを用いた構成では、破断ねじのねじ込みによって予荷
重が簡単に付与される。請求項4の発明では、破断体が
破断すると、駆動力伝達体が案内斜面に沿って回転軸の
軸線方向へ移動し、駆動力伝達体と前記回転体との干渉
が回避される。
【0013】
【実施例】以下、本発明を具体化した第1実施例を図1
〜図8に基づいて説明する。図1に示すようにシリンダ
ブロック1の前端にはフロントハウジング2が接合され
ており、シリンダブロック1の後端にはリヤハウジング
3が接合されている。クランク室2-1を形成するフロン
トハウジング2とシリンダブロック1との間には回転軸
4が回転可能に架設支持されている。回転軸4の前端は
クランク室2-1から外部へ突出している。
【0014】フロントハウジング2には支持筒2-2が一
体形成されており、支持筒2-2にはアンギュラベアリン
グ5が支持されている。アンギュラベアリング5の外輪
には環状のプーリ6が止着されている。プーリ6はベル
ト7を介して外部駆動源である車両エンジン(図示略)
に連結されている。アンギュラベアリング5はスラスト
方向の荷重及びラジアル方向の荷重の両方を受け止め
る。
【0015】クランク室2-1から外部へ突出する回転軸
4の突出端部4-1の先端にはナット9が螺着されてい
る。この螺着部以外の突出端部4-1は四角柱状に形成さ
れている。突出端部の四角柱状の部位にはバー形状の駆
動力伝達体8が相対回転不能かつスライド可能に支持さ
れている。
【0016】図2(b)に示すように矢印P方向へ回転
する環状のプーリ6の内周側には扇形状の一対の結合ア
ーム10,11がプーリ6の半径方向へ突設されてい
る。結合アーム10,11はプーリ6の中心軸線を挟ん
で対向している。結合アーム10,11の一方の側端面
10-1,11-1には駆動力伝達体8が破断ねじ12,1
3によって結合されている。破断ねじ12,13の頭部
12-1,13-1には六角孔12-2,13-2が形成されて
おり、六角孔12-2,13-2の底部にはこれより小径の
孔12-3,13-3が形成されている。
【0017】図3に示すように結合アーム10,11の
前端面には案内斜面10-2,11-2が形成されている。
案内斜面10-2,11-2は側端面10-1,11-1とは反
対側の側端縁から周方向に沿って側端面10-1,11-1
側に向かうにつれて昇り勾配となっている。
【0018】車両エンジンの回転はベルト7を介してプ
ーリ6に伝えられ、プーリ6の回転は結合アーム10,
11、破断ねじ12,13及び駆動力伝達体8を介して
回転軸4に伝達される。プーリ6はベルト7から回転軸
4に到る動力伝達経路上の回転体となる。
【0019】回転軸4には回転支持体14が止着されて
いる。回転軸4には斜板15が回転軸4の軸線方向へス
ライド可能かつ傾動可能に支持されている。図7に示す
ように斜板15は回転支持体14上の支持アーム14-1
と一対のガイドピン16,17との連係により回転軸4
の軸線方向へ傾動可能かつ回転軸4と一体的に回転可能
である。斜板15の傾動は、支持アーム14-1とガイド
ピン16,17とのスライドガイド関係、回転軸4のス
ライド支持作用により案内される。
【0020】回転軸4の後端部は軸受け部材18及び遮
断体19を介してシリンダブロック1内の収容孔20の
内周面で支持される。リヤハウジング3の中心部には吸
入通路21が形成されている。吸入通路21は収容孔2
0に連通しており、収容孔20側の吸入通路21の開口
の周囲には位置決め面22が形成されている。遮断体1
9の先端は位置決め面22に当接可能である。遮断体1
9の先端が位置決め面22に当接することにより遮断体
19が斜板15から離間する方向への移動を規制される
と共に、吸入通路21と収容孔20との連通が遮断され
る。
【0021】斜板傾角の減少により斜板15が遮断体1
9側へ移動するに伴い、斜板15が伝達筒23に当接
し、伝達筒23及び深溝玉軸受け部材18を位置決め面
22側へ押す。軸受け部材18は回転軸4のラジアル方
向のみならずスラスト方向の荷重も受け止める。そのた
め、遮断体19は吸入通路開放ばね24のばね力に抗し
て位置決め面22側へ付勢され、遮断体19の先端が位
置決め面22に当接する。
【0022】斜板15の最小傾角は0°よりも僅かに大
きい。この最小傾角状態は遮断体19が吸入通路21と
収容孔20との連通を遮断する閉位置に配置されたとき
にもたらされる。斜板15の最大傾角は回転支持体14
の傾角規制突部14-2と斜板15との当接によって規制
される。
【0023】斜板15の回転運動はシュー25を介して
シリンダボア1-1内の片頭ピストン26の前後往復運動
に変換される。図1及び図8に示すようにリヤハウジン
グ3内には吸入室3-1及び吐出室3-2が区画形成されて
いる。吸入室3-1内の冷媒ガスは片頭ピストン26の復
動動作により吸入ポート28から吸入弁29を押し退け
てシリンダボア1-1内へ流入する。シリンダボア1-1内
へ流入した冷媒ガスは片頭ピストン26の往動動作によ
り吐出ポート30から吐出弁31を押し退けて吐出室3
-2へ吐出される。
【0024】回転支持体14とフロントハウジング2と
の間にはスラストベアリング27が介在されている。シ
リンダボア1-1からの圧縮反力は、片頭ピストン26、
シュー25、斜板15、ガイドピン16,17、回転支
持体14及びスラストベアリング27を介してフロント
ハウジング2で受け止められる。
【0025】吸入室3-1は通口32を介して収容孔20
に連通している。遮断体19が前記閉位置に配置される
と、通口32は吸入通路21から遮断される。回転軸4
内には通路33が形成されている。通路33はクランク
室2-1と遮断体19の筒内とを連通している。遮断体1
9の先端には放圧通口19-1が貫設されている。放圧通
口19-1は収容孔20と遮断体19の筒内とを連通す
る。
【0026】クランク室2-1と吐出室3-2とは圧力供給
通路34で接続されている。圧力供給通路34上には電
磁開閉弁35が介在されている。電磁開閉弁35のソレ
ノイド35-1の励磁により弁体35-2が弁孔35-3を閉
鎖する。ソレノイド35-1が消磁すれば弁体35-2が弁
孔35-3を開放する。
【0027】吸入室3-1へ冷媒ガスを導入する吸入通路
21と、吐出室3-2から冷媒ガスを排出する排出口1-2
とは外部冷媒回路36で接続されている。外部冷媒回路
36上には凝縮器37、膨張弁38及び蒸発器39が介
在されている。蒸発器39の近傍には温度センサ40が
設置されている。制御コンピュータCは温度センサ40
から得られる検出温度情報に基づいてソレノイド35-1
を励消磁制御する。制御コンピュータCは空調装置作動
スイッチ41のON状態のもとに検出温度が設定温度以
下になるとソレノイド35-1の消磁を指令する。この設
定温度以下の温度は蒸発器39においてフロストが発生
しそうな状況を反映する。又、制御コンピュータCは空
調装置作動スイッチ41のON状態のもとに車両エンジ
ンの回転数検出器42からの特定の回転数変動検出情報
によってソレノイド35-1を消磁する。さらに制御コン
ピュータCは空調装置作動スイッチ41のOFFによっ
てソレノイド35-1を消磁する。ソレノイド35-1が消
磁されると圧力供給通路34が開き、吐出室3-2とクラ
ンク室2-1とが連通する。従って、吐出室3-2の冷媒ガ
スがクランク室2-1へ流入し、クランク室2-1内の圧力
が高くなる。クランク室2-1内の圧力上昇により斜板1
5の傾角が最小傾角側へ移行する。遮断体19の先端が
位置決め面22に当接すると、斜板傾角は最小となり、
外部冷媒回路36から吸入室3-1への冷媒ガス流入が阻
止される。
【0028】斜板最小傾角は0°ではないため、斜板傾
角が最小の状態においてもシリンダボア1-1から吐出室
3-2への吐出は行われている。吸入室3-1内の冷媒ガス
はシリンダボア1-1内へ吸入されて吐出室3-2へ吐出さ
れる。即ち、斜板傾角が最小状態では、吐出室3-2、圧
力供給通路34、クランク室2-1、通路33、放圧通口
19-1、吸入室3-2、シリンダボア1-1を経由する循環
通路が圧縮機内にできている。冷媒ガスと共に流動する
潤滑油は前記循環通路を経由して圧縮機内を潤滑する。
吐出室3-2、クランク室2-1及び吸入室3-1の間では圧
力差が生じている。この圧力差及び放圧通口19-1にお
ける通過断面積が斜板15を最小傾角に安定的に保持す
る。
【0029】ソレノイド35-1が励磁すると圧力供給通
路34が閉じる。クランク室2-1内と吸入室3-1内との
間では圧力差があるため、クランク室2-1の圧力が通路
33及び放圧通口19-1を介した放圧に基づいて減圧し
てゆく。この減圧により斜板15の傾角が最小傾角から
最大傾角へ移行する。
【0030】このような動作を行なうクラッチレス圧縮
機では、圧縮機側の負荷トルクが回転軸4から駆動力伝
達体8を介して破断ねじ12,13に作用する。この負
荷トルクは破断ねじ12,13に対して引っ張り荷重と
して作用する。負荷トルクが過大になると、図4に示す
ように破断ねじ12,13が孔12-3,13-3の部位で
破断する。破断ねじ12,13は孔12-3,13-3の部
位で引っ張り力に対して最も弱く、孔12-3,13-3は
破断ねじ12,13の破断位置を規定する。孔12-3,
13-3は破断ねじ12,13を回すための六角レンチを
嵌入する六角孔12-2,13-2と一緒に形成でき、破断
ねじ12,13の形成が容易となる。
【0031】圧縮機側の負荷トルクは変動しており、こ
の負荷トルクの変動がそのまま破断ねじ12,13に作
用すれば、破断ねじ12,13が疲労する。破断ねじ1
2,13が疲労すれば、予め想定した破断ねじ12,1
3の破断をもたらす過負荷に達しない負荷範囲でも破断
ねじ12,13が破断してしまう。
【0032】本実施例では、結合アーム10,11の側
端面10-1,11-1に対する破断ねじ12,13のねじ
込みによって駆動力伝達体8が側端面10-1,11-1に
圧接されている。従って、破断ねじ12,13には破断
ねじ12,13のねじ込みによる引っ張り力F0 が付与
されている。この引っ張り力F0 は回転軸4側の負荷ト
ルクの作用する方向へ付与された予荷重となる。このよ
うに破断ねじ12,13に付与された予荷重F0 が破断
ねじ12,13に対する負荷トルクの変動の作用を緩和
する。
【0033】このような緩和作用を図5及び図6に基づ
いて説明する。。破断ねじ12,13は鉄製、駆動力伝
達体8はアルミニウム製であるが、金属といえども僅か
に弾性がある。図5(a)〜図5(e)の波形線B0
1 ,B 2 ,B3 ,B4 は駆動力伝達体8を圧縮ばねと
見なしたときの長さを表す。図5(a)〜図5(e)の
波形線S0 ,S1 ,S2 ,S3 ,S4 は破断ねじ12,
13を引っ張りばねと見なしたときの長さを表す。図5
(a)の波形線B0 は駆動力伝達体8の自然長であり、
波形線S0 は破断ねじ12,13の自然長である。
【0034】図5(b)の波形線B1 及び波形線S
1 は、破断ねじ12,13を結合アーム10,11の側
端面10-1,11-1にねじ込んで駆動力伝達体8を側端
面10-1,11-1に圧接したときの駆動力伝達体8及び
破断ねじ12,13の長さである。このときの破断ねじ
12,13のねじ込みによって破断ねじ12,13に付
与される引っ張り力が予荷重F0 である。このときの駆
動力伝達体8の自然長からの縮み量をx0 、駆動力伝達
体8のフック係数をkB とすると、駆動力伝達体8の弾
性復帰力fB は次式(1)で表される。
【0035】fB =kB ・x0 ・・・(1) 破断ねじ12,13の自然長からの伸び量をy0 、破断
ねじ12,13のフック係数をkS とすると、破断ねじ
12,13の弾性復帰力fS は次式(2)で表される。
【0036】fS =kS ・y0 ・・・(2) 弾性復帰力fB ,fS は釣り合っているため、fB =f
S である。このときのfB ,fS はF0 である。
【0037】図5(c)の波形線B2 ,S2 は、圧縮機
側の負荷トルクが破断ねじ12,13に作用して駆動力
伝達体8及び破断ねじ12,13が図5(b)の状態か
ら伸びた状態を表す。破断ねじ12,13が図5(b)
の状態から長さz2 だけ伸びたとすると、駆動力伝達体
8の弾性復帰力fB 及び破断ねじ12,13の弾性復帰
力fS は次式(3),(4)で表される。
【0038】 fB =kB (x0 −z2 )=F0 −kB ・z2 ・・・(3) fS =kS (y0 +z2 )=F0 +kS ・z2 )・・・(4) 図5(c)の状態において圧縮機側の負荷トルクによる
荷重F2 は次式(5)で表される。
【0039】 F2 =fS −fB =kS (y0 +z2 )−kB (x0 −z2 ) =(kS +kB )z2 ・・・(5) 式(5)のz2 を式(3),(4)に代入すれば、次式
(6),(7)が得られる。
【0040】 fB =F0 −kB ・F2 /(kS +kB ) ・・・(6) fS =F0 +kS ・F2 /(kS +kB ) ・・・(7) 図5(d)の波形線B3 ,S3 は、圧縮機側の負荷トル
クが破断ねじ12,13に作用して駆動力伝達体8が自
然長になった状態を表す。このときの駆動力伝達体8の
弾性復帰力fB は零であり、破断ねじ12,13の弾性
復帰力fS は次式(8)で表される。
【0041】 fS =kS (y0 +x0 ) =kS ・y0 (1+x0 /y0 ) =F0 (1+kS /kB ) ・・・(8) 図5(d)の状態において圧縮機側の負荷トルクによる
荷重F3 は次式(9)で表される。
【0042】 F3 =F0 (1+kS /kB ) ・・・(9) 図5(e)の波形線B4 ,S4 は、圧縮機側の負荷トル
クが破断ねじ12,13に作用して駆動力伝達体8が結
合アーム10,11から離間した状態を表す。破断ねじ
12,13が図5(d)の状態から長さz4 だけ伸びた
とすると、駆動力伝達体8の弾性復帰力fB は零であ
り、破断ねじ12,13の弾性復帰力fSは次式(1
0)で表される。
【0043】 fS =F0 (1+kS /kB )+kS ・z4 ・・・(10) 図5(e)の状態において圧縮機側の負荷トルクによる
荷重F4 は次式(11)で表される。
【0044】 F4 =fS −fB =F0 (1+kS /kB )+kS ・z4 ・・・(11) 図6(a)の直線L1 及び波形D1 は圧縮機側の負荷ト
ルクによる荷重の例を表す。破断ねじ12,13に予荷
重F0 が付与されていない場合には、直線L1及び波形
1 で表す荷重が図6(d)に直線L4 及び波形D4
示すようにそのまま破断ねじ12,13に作用する。波
形D1 で示すような荷重変動が破断ピン12,13に作
用すれば、破断ねじ12,13が疲労する。破断ねじ1
2,13が疲労すれば、破断ねじ12,13を破断させ
るために予め設定した過負荷に達しない負荷領域でも破
断ねじ12,13が破断する。
【0045】破断ねじ12,13に予荷重F0 を付与し
た本実施例では、直線L1 で表す荷重に対する駆動力伝
達体8の弾性復帰力は図6(b)の直線L2 で示すよう
になる。波形D1 で表す荷重に対する駆動力伝達体8の
弾性復帰力は図6(b)の波形D2 で示すようになる。
式(6)が直線L2 又は波形D2 に対応する。又、波形
1 で表す荷重に対する破断ねじ12,13の弾性復帰
力は図6(c)の波形L3 で示すようになる。波形D1
で表す荷重に対する破断ねじ12,13の弾性復帰力は
図6(c)の波形D3 で示すようになる。式(7),
(8)が波形L3又は波形D3 に対応する。鉄製の破断
ねじ12,13のフック係数kS はアルミニウム製の駆
動力伝達体8のフック係数kB よりも小さいため、kS
・F0 /k B はF0 よりも小さい。
【0046】波形L3 ,D3 から明らかなように圧縮機
側の負荷トルクによる荷重F2 が(1+kS /kB )F
0 以下の場合には圧縮機側の負荷トルクによる荷重F2
は緩和されて破断ねじ12,13に作用する。圧縮機側
の負荷トルクによる荷重F4が(1+kS /kB )F0
を越える場合には圧縮機側の負荷トルクによる荷重F 4
はそのまま破断ねじ12,13に作用する。そこで、荷
重(1+kS /kB )F0 が破断ねじ12,13の破断
をもたらす過負荷に達しないように予荷重F0を設定す
れば、破断ねじ12,13の破断をもたらす過負荷に達
しない領域の大部分の負荷の変動が緩和されて破断ねじ
12,13に作用する。従って、予荷重F0 が破断ねじ
12,13に対する負荷トルクの変動の作用を緩和し、
破断ねじ12,13の疲労が抑制される。
【0047】破断ねじ12,13に付与される予荷重は
破断ねじ12,13の結合アーム10,11に対するね
じ込み量によって決まり、このねじ込みによる予荷重付
与は容易である。
【0048】破断ねじ12,13が破断すると、プーリ
6が回転軸4に対して空転し、図4に示すように駆動力
伝達体8が案内斜面10-2,11-2に乗り上げる。駆動
力伝達体8は回転軸4の突出端部4-1に対してスライド
できるため、図2(a)に鎖線で示すように駆動力伝達
体8は案内斜面10-2,11-2の案内作用によってナッ
ト9側へ移動する。この移動により駆動力伝達体8がプ
ーリ6の前端面より前側に位置し、駆動力伝達体8とプ
ーリ6との干渉が回避される。
【0049】次に、図9及び図10の実施例を説明す
る。第1実施例と同じ構成の部材には同一の符号が付し
てある。図9(b)及び図10に示すようにプーリ6の
前端面には結合アーム6-1,6-2及び案内斜面6-3,6
-4が突設して形成されている。駆動力伝達体8と結合ア
ーム6-1,6-2とはリベット式の破断ピン43,44に
よって結合されている。破断ピン43,44の一方の頭
部は図10のピン先端部を叩き変形して形成される。駆
動力伝達体8と結合アーム6-1,6-2との接合位置には
楔45,46が打ち込まれており、この打ち込みによっ
て破断ピン43,44には予荷重が付与されている。圧
縮機側の負荷トルクによって破断ピン43,44が破断
すると、駆動力伝達体8が案内斜面6-3,6-4に乗り上
げ、図9(a)に鎖線で示すように駆動力伝達体8がナ
ット9側へ移動する。
【0050】この実施例においても第1実施例と同様の
効果が得られる。次に、図11〜図14の実施例を説明
する。第1実施例と同じ構成の部材には同一の符号が付
してある。図12及び図13に示すようにプーリ6の前
端面には伝達斜面6-5,6-6が凹設されており、伝達斜
面6-5,6-6上には駆動力伝達体47が接合されてい
る。伝達斜面6-5,6-6はプーリ6と駆動力伝達体47
との接合位置からプーリ6の回転方向Pとは逆方向へ向
かうにつれてプーリ6の前端面から離間する方向へ昇る
勾配となっている。駆動力伝達体47の裏面は伝達斜面
6-5,6-6にぴったりと接合するように傾斜している。
図11に示すように回転軸4の突出端部4-2はねじにな
っており、駆動力伝達体47は突出端部4-2に螺合され
ている。ナット9は突出端部4-2に駆動力伝達体47を
固定する。駆動力伝達体47は突出端部4-2にねじ込む
ことによって伝達斜面6-5,6-6に圧接しており、この
ねじ込みによって駆動力伝達体47には撓み力が付与さ
れる。この撓み力が駆動力伝達体47における予荷重と
なる。即ち、破断体となる駆動力伝達体47には回転軸
4の軸線方向へ予荷重が付与されており、この予荷重に
よってプーリ6が伝達斜面6-5,6-6を介して駆動力伝
達体47に圧接する。駆動力伝達体47の基端部付近に
は切り欠き47-1,47-2が形成されている。
【0051】プーリ6側の回転駆動力は伝達斜面6-5,
6-6を介して駆動力伝達体47に伝達する。圧縮機側の
負荷トルクが過大になると、図14に示すように駆動力
伝達体47が切り込み47-1,47-2の所で破断する。
伝達斜面6-5,6-6はカバー48によって覆われている
ため、破断片が飛び散ることはない。駆動力伝達体47
には撓み変形による予荷重が付与されているため、駆動
力伝達体47の破断をもたらす過負荷に達しない領域の
大部分の負荷の変動が緩和されて駆動力伝達体47に作
用する。従って、撓み変形による予荷重が駆動力伝達体
47に対する負荷トルクの変動の作用を緩和し、破断体
となる駆動力伝達体47の疲労が抑制される。又、この
実施例における予荷重付与の構成は前記各実施例よりも
簡素である。
【0052】次に、図15及び図16の実施例を説明す
る。第1実施例と同じ構成の部材には同一の符号が付し
てある。この実施例ではクラッチ付の圧縮機が対象とな
る。回転軸4の突出端部4-1と支持筒部2-2との間には
電磁クラッチ49が介在されている。電磁クラッチ49
の駆動側のクラッチ板となるプーリ49-1はベルト7を
介して車両エンジン(図示略)に作動連結されている。
プーリ49-1はアンギュラベアリング5を介して支持筒
2-2に回転可能に支持されている。回転軸4の突出端部
4-1には駆動力伝達体8が止着されている。
【0053】駆動力伝達体8と電磁クラッチ49の被動
側のクラッチ板49-2とは破断ねじ12,13で結合さ
れている。クラッチ板49-2はばね50によってプーリ
49-1から離間する方向へ付勢されている。ばね50は
クラッチ板49-2と突出端部4-1とに結合されている。
破断ねじ12,13には予荷重が付与されている。
【0054】電磁クラッチ49のソレノイド49-3を励
磁すると、クラッチ板49-2がばね50の弾性力に抗し
てプーリ49-1の側面に圧接される。電磁クラッチ49
のソレノイド49-3を消磁すると、クラッチ板49-2が
ばね50のばね力によってプーリ49-1の側面から離間
する。クラッチ板49-2がプーリ49-1に圧接している
ときには、破断ねじ12,13に付与されている予荷重
が圧縮機側の負荷トルクの変動による破断ねじ12,1
3の疲労を抑制する。過負荷発生時には負荷伝達遮断が
第1実施例と同様に行われる。
【0055】前記した実施例から把握できる請求項記載
以外の発明について以下にその効果と共に記載する。 (1)請求項3の破断ねじの頭部には六角孔が形成され
ており、六角孔の底部には破断位置規定用の孔が形成さ
れている圧縮機における動力伝達構造。
【0056】破断ねじの破断位置を規定する破断位置規
定用の孔を備えた破断ねじの形成が容易である。 (2)請求項1乃至請求項5において、回転軸の突出端
部に破断体を止着すると共に、プーリから回転軸に到る
動力伝達経路上の回転体の端面に破断体を接合し、前記
破断体に対して回転軸の軸線方向へ予荷重を付与して前
記回転体と破断体とを前記接合する位置で圧接し、前記
端面には回転体と駆動力伝達体との接合位置からプーリ
の回転方向とは逆方向へ向かうにつれて前記端面から離
間する方向へ昇る伝達斜面を設けた圧縮機における動力
伝達構造。
【0057】この場合の破断体は駆動力伝達体であり、
この破断体の疲労が抑制されると共に、予荷重付与のた
めの構成が簡素となる。
【0058】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1及び請求項
2の発明では、回転軸の突出端部から前記プーリに到る
動力伝達経路上に破断体を介在し、前記破断体に対して
回転軸側の負荷の作用する方向へ予荷重を付与したの
で、圧縮機側の負荷トルクの変動による破断体の疲労を
抑制し得る。
【0059】請求項3の発明では、破断体としてプーリ
から駆動力伝達体に到る動力伝達経路上の回転体と駆動
力伝達体とを締め付け結合する破断ねじを用いたので、
破断ねじのねじ込みによって予荷重を簡単に付与し得
る。
【0060】請求項4の発明では、駆動力伝達体を回転
軸の突出端部にその軸線方向へスライド可能に取り付
け、前記回転体の端面には回転体と駆動力伝達体との接
合位置からプーリの回転方向とは逆方向へ向かうにつれ
て前記端面から離間する方向へ昇る案内斜面を設けたの
で、破断体の破断後に駆動力伝達体と前記回転体との干
渉を回避し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第1実施例の圧縮機全体の
側断面図。
【図2】(a)は要部拡大側断面図。(b)は(a)の
A−A線断面図。
【図3】要部分解斜視図。
【図4】破断ねじが破断した状態を示す正断面図。
【図5】(a)〜(e)は予荷重の作用を説明する線
図。
【図6】(a)〜(d)は予荷重の作用を説明するグラ
フ。
【図7】図1のB−B線断面図。
【図8】図1のC−C線断面図。
【図9】(a)は別例を示す要部拡大側断面図。(b)
は(a)のD−D線断面図。
【図10】要部分解斜視図。
【図11】別例を示す要部拡大側断面図。
【図12】正面図。
【図13】図12のE−E線断面図。
【図14】駆動力伝達体が破断した状態を示す正面図。
【図15】別例を示す要部側断面図。
【図16】図15のF−F線断面図。
【符号の説明】
6…プーリ、6-3,6-4,10-2,11-2…案内斜面、
6-5,6-6…伝達斜面、12,13…破断ねじ、12-
3,13-3…破断位置規定用の孔、43,44…破断ピ
ン、47…破断体となる駆動力伝達体、49-2…回転体
となるクラッチ板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横野 智彦 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外部駆動源の駆動力をプーリを介して回転
    軸に伝達する圧縮機において、 ハウジングから突出する回転軸の突出端部から前記プー
    リに到る動力伝達経路上に破断体を介在し、前記破断体
    に対して回転軸側の負荷の作用する方向へ予荷重を付与
    した圧縮機における動力伝達構造。
  2. 【請求項2】回転軸の突出端部に駆動力伝達体を相対回
    転不能に取り付け、プーリから駆動力伝達体に到る動力
    伝達経路上の回転体と駆動力伝達体とをプーリの周方向
    へ接合するように破断体で結合し、前記接合を解除する
    方向へプーリの回転方向を設定し、前記破断体に引っ張
    り方向の予荷重を付与して前記回転体と駆動力伝達体と
    を前記接合する位置で圧接した請求項1に記載の圧縮機
    における動力伝達構造。
  3. 【請求項3】破断体は前記回転体と駆動力伝達体とを締
    め付け結合する破断ねじである請求項2に記載の圧縮機
    における動力伝達構造。
  4. 【請求項4】駆動力伝達体は回転軸の突出端部にその軸
    線方向へスライド可能に取り付けられており、前記回転
    体の端面には回転体と駆動力伝達体との接合位置からプ
    ーリの回転方向とは逆方向へ向かうにつれて前記端面か
    ら離間する方向へ昇る案内斜面を設けた請求項2及び請
    求項3のいずれか1項に記載の圧縮機における動力伝達
    構造。
  5. 【請求項5】圧縮機は、外部駆動源と回転軸とがプーリ
    を介して常時作動連結されるクラッチレス圧縮機である
    請求項1乃至請求項4に記載の圧縮機における動力伝達
    構造。
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