JP3561976B2 - クラッチレス圧縮機における動力伝達構造 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、外部駆動源の駆動力をプーリを介して回転軸に伝達するクラッチレス圧縮機における動力伝達構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
外部駆動源と圧縮機の回転軸との間の動力伝達の連結及び遮断を行なう電磁クラッチを使用しないクラッチレス圧縮機では、特に車両搭載形態ではそのON−OFFのショックによる体感フィーリングの悪さの欠点を解消できる。又、圧縮機全体の重量減、コスト減が可能となる。しかし、このようなクラッチレス圧縮機では圧縮機側の負荷トルクの変動が緩和されずに車両エンジンに波及するため、車両エンジンの回転数が変動してしまう。
【0003】
実開昭63−142460号公報に開示されるクラッチレス圧縮機では、プーリに形成された環状の突状壁に係合凹部が設けられていると共に、ハブの周面に係合凹部が設けられている。突状壁側の係合凹部にはドライブレバーの一端が挿入されており、ハブ側の係合凹部にはドライブレバーの他端が環状の板ばねを介して挿入されている。プーリの回転はドライブレバー及び板ばねを介して回転軸に伝達する。圧縮機側の負荷トルクの変動はドライブレバーの揺動及び板ばねの弾性変形によって緩和され、負荷トルクの変動に起因する車両エンジンの回転数変動が抑制される。又、圧縮機側の負荷トルクが過大になったときには、ドライブレバーの他端が板ばねの凹部から外れ、過大な負荷トルクが車両エンジン側に波及しないようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、複数本のドライブレバーを揺動可能に支持し、かつドライブレバーの揺動変位を板ばねで受け止める構成は複雑である。このような複雑な構成では部品点数、組み付け工数が増え、クラッチレス圧縮機のコストが高くなる。
【0005】
本発明は、簡素な構成にも関わらず圧縮機側の負荷トルクの変動の波及を抑制し得ると共に、過負荷の伝達を遮断し得るクラッチレス圧縮機における動力伝達構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのために請求項1の発明では、ハウジングから突出する回転軸の突出端部に駆動力伝達体を止着し、前記プーリと駆動力伝達体とを過負荷によって破断する弾性ゴムで弾性結合し、プーリの全周に結合されると共に、環状の駆動力伝達体の全周に結合される環状の形状に前記弾性ゴムを形成し、回転軸の軸線方向へスライド可能にハウジングで軸受け部材を支持し、前記軸受け部材によりプーリを支持し、前記回転軸にハウジングから突出する方向へ予荷重を付与するための予荷重付与ばねを軸受け部材とハウジングとの間に介在し、前記環状の駆動力伝達体の外径を前記プーリの最小の内径よりも大きくした。
【0007】
請求項2の発明では、弾性ゴムは、一方の端面を駆動力伝達体の端面に結合し、他方の端面をプーリの端面に結合した。
請求項3の発明では、ハウジングから突出する回転軸の突出端部に駆動力伝達体を螺着すると共に、ロックナットで締め付け固定し、連結リングと駆動力伝達体とを過負荷によって破断する弾性ゴムで弾性結合すると共に、連結リングをプーリの内周面に螺合し、回転軸の軸線方向へスライド可能にハウジングで軸受け部材を支持し、前記軸受け部材によりプーリを支持し、前記回転軸に予荷重を付与するための予荷重付与ばねを軸受け部材とハウジングとの間に介在し、前記環状の駆動力伝達体の外径を前記連結リングの最小の内径よりも大きくした。
【0008】
【作用】
請求項1及び請求項2に記載された発明では、圧縮機側の負荷トルクの変動は弾性ゴムの弾性変形作用によって緩和されてプーリ側へ伝達される。圧縮機側の負荷トルクが過負荷になると、弾性ゴムが破断し、プーリと駆動力伝達体との間の負荷伝達が遮断される。この負荷伝達遮断により外部駆動源側への過負荷伝達による悪影響が回避される。回転軸に駆動力伝達体を止着すると共に、駆動力伝達体とプーリとを弾性ゴムで弾性結合する構成は簡素である。
【0009】
また、環状の弾性ゴムの外周面又は一方の端面がプーリの内周面又は端面に結合され、環状の弾性ゴムの内周面又は他方の端面が駆動力伝達体の外周面又は端面に結合される。このような結合構成は簡素である。
【0010】
また、弾性ゴムが破断した場合にも、ハウジングから離間する方向へのプーリ及び軸受け部材の移動は駆動力伝達体とプーリとの干渉によって阻止され、軸受け部材がハウジングから脱落することはない。
請求項3に記載された発明では、圧縮機側の負荷トルクの変動は弾性ゴムの弾性変形作用によって緩和されてプーリ側へ伝達される。圧縮機側の負荷トルクが過負荷になると、弾性ゴムが破断し、プーリと駆動力伝達体との間の負荷伝達が遮断される。この負荷伝達遮断により外部駆動源側への過負荷伝達による悪影響が回避される。回転軸に駆動力伝達体を螺着すると共に、駆動力伝達体とプーリの内周面に螺合する連結リングとを弾性ゴムで弾性結合する構成は簡素である。また、弾性ゴムが破断した場合にも、ハウジングから離間する方向へのプーリ及び軸受け部材の移動は駆動力伝達体と連結リングとの干渉によって阻止され、軸受け部材がハウジングから脱落することはない。
【0011】
【実施例】
以下、本発明を具体化した第1実施例を図1〜図5に基づいて説明する。
図1に示すようにシリンダブロック1の前端にはフロントハウジング2が接合されており、シリンダブロック1の後端にはリヤハウジング3が接合されている。クランク室2−1を形成するフロントハウジング2とシリンダブロック1との間には回転軸4が回転可能に架設支持されている。回転軸4の前端はクランク室2−1から外部へ突出している。
【0012】
フロントハウジング2には支持筒2−2が一体形成されており、支持筒2−2にはアンギュラベアリング5が回転軸4の軸線方向へスライド可能に支持されている。アンギュラベアリング5の外輪にはプーリ6が止着されている。プーリ6は、アンギュラベアリング5の外輪に固着された連結基板6−1と、連結基板6−1に固着されたプーリ本体6−2とからなる。プーリ本体6−2はベルト7を介して外部駆動源である車両エンジン(図示略)に連結されている。
【0013】
アンギュラベアリング5はスラスト方向の荷重及びラジアル方向の荷重の両方を受け止める。アンギュラベアリング5の内輪とフロントハウジング2との間には皿ばね型の予荷重付与ばね11が介在されている。予荷重付与ばね11はアンギュラベアリング5を回転軸4のフロントハウジング2からの突出方向へ付勢する。
【0014】
クランク室2−1から外部へ突出する回転軸4の突出端部4−1には環状の駆動力伝達体8及びロックナット9が螺着されている。ロックナット9は駆動力伝達体8を突出端部4−1に締め付け固定するものである。図2に示すようにプーリ6は矢印α方向に回転する。駆動力伝達体8及びロックナット9の螺合方向は右ねじ方向である。
【0015】
図1及び図3に示すように駆動力伝達体8の外周面と連結基板6−1の内周面との間には環状の弾性ゴム10が介在されている。弾性ゴム10の内周面は駆動力伝達体8の外周面に接着材で結合されており、弾性ゴム10の外周面は連結基板6−1の内周面に接着材で結合されている。車両エンジンの回転はベルト7を介してプーリ6に伝えられ、プーリ6の回転は弾性ゴム10及び駆動力伝達体8を介して回転軸4に伝達される。又、予荷重付与ばね11のばね力は、アンギュラベアリング5、プーリ6、弾性ゴム10及び駆動力伝達体8を介して回転軸4に伝えられる。
【0016】
連結基板6−1の内周面には脱落防止用フランジ6−3が形成されている。脱落防止用フランジ6−3の内径はプーリ6の最小径である。駆動力伝達体8の外径は脱落防止用フランジ6−3の内径よりも大きくしてある。
【0017】
回転軸4には回転支持体14が止着されている。回転軸4には斜板15が回転軸4の軸線方向へスライド可能かつ傾動可能に支持されている。図4に示すように斜板15は回転支持体14上の支持アーム14−1と一対のガイドピン16,17との連係により回転軸4の軸線方向へ傾動可能かつ回転軸4と一体的に回転可能である。斜板15の傾動は、支持アーム14−1とガイドピン16,17とのスライドガイド関係、回転軸4のスライド支持作用により案内される。
【0018】
回転軸4の後端部は深溝玉軸受け部材18及び遮断体19を介してシリンダブロック1内の収容孔20の内周面で支持される。リヤハウジング3の中心部には吸入通路21が形成されている。吸入通路21は収容孔20に連通しており、収容孔20側の吸入通路21の開口の周囲には位置決め面22が形成されている。遮断体19の先端は位置決め面22に当接可能である。遮断体19の先端が位置決め面22に当接することにより遮断体19が斜板15から離間する方向への移動を規制されると共に、吸入通路21と収容孔20との連通が遮断される。
【0019】
斜板傾角の減少により斜板15が遮断体19側へ移動するに伴い、斜板15が伝達筒23に当接し、伝達筒23及び深溝玉軸受け部材18を位置決め面22側へ押す。深溝玉軸受け部材18は回転軸4のラジアル方向のみならずスラスト方向の荷重も受け止める。そのため、遮断体19は吸入通路開放ばね24のばね力に抗して位置決め面22側へ付勢され、遮断体19の先端が位置決め面22に当接する。
【0020】
斜板15の最小傾角は0°よりも僅かに大きい。この最小傾角状態は遮断体19が吸入通路21と収容孔20との連通を遮断する閉位置に配置されたときにもたらされる。斜板15の最大傾角は回転支持体14の傾角規制突部14−2と斜板15との当接によって規制される。
【0021】
斜板15の回転運動はシュー25を介してシリンダボア1−1内の片頭ピストン26の前後往復運動に変換される。
図1及び図5に示すようにリヤハウジング3内には吸入室3−1及び吐出室3−2が区画形成されている。吸入室3−1内の冷媒ガスは片頭ピストン26の復動動作により吸入ポート28から吸入弁29を押し退けてシリンダボア1−1内へ流入する。シリンダボア1−1内へ流入した冷媒ガスは片頭ピストン26の往動動作により吐出ポート30から吐出弁31を押し退けて吐出室3−2へ吐出される。
【0022】
回転支持体14とフロントハウジング2との間にはスラストベアリング27が介在されている。シリンダボア1−1からの圧縮反力は、片頭ピストン26、シュー25、斜板15、ガイドピン16,17、回転支持体14及びスラストベアリング27を介してフロントハウジング2で受け止められる。
【0023】
吸入室3−1は通口32を介して収容孔20に連通している。遮断体19が前記閉位置に配置されると、通口32は吸入通路21から遮断される。
回転軸4内には通路33が形成されている。通路33はクランク室2−1と遮断体19の筒内とを連通している。遮断体19の先端には放圧通口19−1が貫設されている。放圧通口19−1は収容孔20と遮断体19の筒内とを連通する。
【0024】
クランク室2−1と吐出室3−2とは圧力供給通路34で接続されている。圧力供給通路34上には電磁開閉弁35が介在されている。電磁開閉弁35のソレノイド35−1の励磁により弁体35−2が弁孔35−3を閉鎖する。ソレノイド35−1が消磁すれば弁体35−2が弁孔35−3を開放する。
【0025】
吸入室3−1へ冷媒ガスを導入する吸入通路21と、吐出室3−2から冷媒ガスを排出する排出口1−2とは外部冷媒回路36で接続されている。外部冷媒回路36上には凝縮器37、膨張弁38及び蒸発器39が介在されている。膨張弁38は蒸発器39の出口側のガス圧の変動に応じて冷媒流量を制御する。蒸発器39の近傍には温度センサ40が設置されている。制御コンピュータCは温度センサ40から得られる検出温度情報に基づいてソレノイド35−1を励消磁制御する。制御コンピュータCは空調装置作動スイッチ41のON状態のもとに検出温度が設定温度以下になるとソレノイド35−1の消磁を指令する。この設定温度以下の温度は蒸発器39においてフロストが発生しそうな状況を反映する。又、制御コンピュータCは空調装置作動スイッチ41のON状態のもとに車両エンジンの回転数検出器42からの特定の回転数変動検出情報によってソレノイド35−1を消磁する。さらに制御コンピュータCは空調装置作動スイッチ41のOFFによってソレノイド35−1を消磁する。ソレノイド35−1が消磁されると圧力供給通路34が開き、吐出室3−2とクランク室2−1とが連通する。従って、吐出室3−2の冷媒ガスがクランク室2−1へ流入し、クランク室2−1内の圧力が高くなる。クランク室2−1内の圧力上昇により斜板15の傾角が最小傾角側へ移行する。遮断体19の先端が位置決め面22に当接すると、斜板傾角は最小となり、外部冷媒回路36から吸入室3−1への冷媒ガス流入が阻止される。
【0026】
斜板最小傾角は0°ではないため、斜板傾角が最小の状態においてもシリンダボア1−1から吐出室3−2への吐出は行われている。吸入室3−1内の冷媒ガスはシリンダボア1−1内へ吸入されて吐出室3−2へ吐出される。即ち、斜板傾角が最小状態では、吐出室3−2、圧力供給通路34、クランク室2−1、通路33、放圧通口19−1、吸入室3−2、シリンダボア1−1を経由する循環通路が圧縮機内にできている。冷媒ガスと共に流動する潤滑油は前記循環通路を経由して圧縮機内を潤滑する。吐出室3−2、クランク室2−1及び吸入室3−1の間では圧力差が生じている。この圧力差及び放圧通口19−1における通過断面積が斜板15を最小傾角に安定的に保持する。
【0027】
ソレノイド35−1が励磁すると圧力供給通路34が閉じる。クランク室2−1内と吸入室3−1内との間では圧力差があるため、クランク室2−1の圧力が通路33及び放圧通口19−1を介した放圧に基づいて減圧してゆく。この減圧により斜板15の傾角が最小傾角から最大傾角へ移行する。
【0028】
このような動作を行なうクラッチレス圧縮機では、圧縮機側の負荷トルクの変動が回転軸4から駆動力伝達体8及び弾性ゴム10を介してプーリ6に伝達される。環状の弾性ゴム10は圧縮機側の負荷トルクによって周方向へ弾性変形する。従って、弾性ゴム10は負荷トルクの変動を緩和してプーリ6に伝達する。このような緩衝効果をもたらす弾性ゴム10は連結基板6−1と駆動力伝達体8とを弾性結合しており、この連結構成は簡素である。
【0029】
圧縮機側の負荷トルクが過大になった場合、この過大な負荷トルクが車両エンジン側に波及すれば車両エンジンがエンジンストールやベルト7が破断するおそれがある。本実施例では過大な負荷トルクが生じた場合には、弾性ゴム10が破断する。即ち、圧縮機側の負荷トルクが所定値以上になった場合に破断するように弾性ゴム10の幅、内径、外径、ゴム種類が選択されている。従って、過大な負荷トルクが車両エンジン側に波及することはなく、エンジンストールは起きない。弾性ゴム10のゴム種類としては例えばブチルゴムが好適である。
【0030】
回転軸4は軸線方向へ変位してがたつく可能性があるため、回転軸4に対して軸線方向への予荷重を付与してがたつきを防止する必要がある。本実施例の圧縮機では回転軸4をフロントハウジング2から突出させる方向へ予荷重を付与すれば、この予荷重が軸線ベアリング27を介してフロントハウジング2によって受け止められる。予荷重付与ばね11はアンギュラベアリング5、プーリ6、弾性ゴム10及び駆動力伝達体8を介して回転軸4に予荷重を付与している。即ち、弾性ゴム10は負荷トルク変動の緩和のみならず予荷重伝達機能も兼ねている。予荷重付与ばね11の予荷重の大きさはロックナット9の螺合位置によって調整される。ロックナット9がフロントハウジング2側に近づくほど予荷重が大きくなる。即ち、予荷重の調整が容易である。
【0031】
弾性ゴム10が破断していない状態では、アンギュラベアリング5は支持筒2−2上に支持される。弾性ゴム10が破断した場合、プーリ6がフロントハウジング2から離間する方向へ移動できるようになる。しかし、脱落防止用フランジ6−3の内径が駆動力伝達体8の外径よりも小さくしてある。そのため、フロントハウジング2から離間する方向へのプーリ6の移動は脱落防止用フランジ6−3と駆動力伝達体8との干渉により規制され、プーリ6が支持筒2−2から脱落することはない。
【0032】
次に、図6の実施例を説明する。この実施例では突出端部4−1に螺着された円板形状の駆動力伝達体12と連結基板6−1の内周面に形成された連結フランジ6−4とが対向している。駆動力伝達体12と連結フランジ6−4との対向面間には環状の弾性ゴム13が介在されている。弾性ゴム13の一方の端面は駆動力伝達体12の端面に接着材で結合されており、弾性ゴム13の他方の端面は連結フランジ6−4の端面に接着材で結合されている。その他の構成は第1実施例と同じである。
【0033】
この実施例においても、弾性ゴム13は負荷トルク変動の緩和及び予荷重伝達機能の両方を兼ねる。予荷重付与ばね11の予荷重は弾性ゴム13をその厚み方向に圧縮する方向に伝達するため、弾性ゴム13に亀裂を生じるような方向へ予荷重が作用することはない。又、連結フランジ6−4の内径が駆動力伝達体12の外径よりも小さいため、弾性ゴム13が破断した場合にも、プーリ6が支持筒2−2から脱落することはない。駆動力伝達体12と連結フランジ6−4とを弾性ゴム13で弾性結合する構成は簡素である。
【0034】
次に、図7の実施例を説明する。この実施例では突出端部4−1に螺着された円板形状の駆動力伝達体12と連結リング43とが対向している。駆動力伝達体12と連結リング43との対向面間には環状の弾性ゴム13が介在されている。弾性ゴム13の一方の端面は駆動力伝達体12の端面に接着材で結合されており、弾性ゴム13の他方の端面は連結リング43の端面に接着材で結合されている。プーリ6の連結基板6−1の内周面には雌ねじ部が形成されており、連結リング43が雌ねじ部に螺合されている。その他の構成は第1実施例と同じである。
【0035】
この実施例においても、図6の実施例と同様の作用効果が得られる。しかも、弾性ゴム13が破断した場合には、駆動力伝達体12、弾性ゴム13及び連結リング43を交換することができる。
【0036】
次に、図8の実施例を説明する。この実施例では突出端部4−1に螺着された駆動力伝達体44のテーパ周面44−1と連結基板6−1の内周面のテーパ周面6 −5 との間に円錐筒形状の弾性ゴム45が介在されている。弾性ゴム45の内周面が駆動力伝達体44のテーパ周面44−1に接着材で結合されており、弾性ゴム45の外周面が連結基板6−1の内周面のテーパ周面6 −5 に接着材で結合されている。テーパ周面44−1の最大径はテーパ周面6 −5 の最小径よりも大きくしてある。その他の構成は第1実施例と同じである。
【0037】
この実施例においても、第1実施例と同様の作用効果が得られる。又、予荷重付与ばね11の予荷重は弾性ゴム45を専らその厚み方向に圧縮する方向に伝達するため、弾性ゴム45に亀裂を生じるような方向へ予荷重が作用することはない。又、連結基板6−1の最小内径が駆動力伝達体44の最大外径よりも小さいため、弾性ゴム45が破断した場合にも、プーリ6が支持筒2−2から脱落することはない。
【0041】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1の発明では、ハウジングから突出する回転軸の突出端部に駆動力伝達体を止着し、プーリと駆動力伝達体とを過負荷によって破断する弾性ゴムで弾性結合したので、簡素な弾性結合構成によって負荷トルクの変動の緩和及び過負荷伝達の悪影響回避を達成し得る。
【0042】
また、プーリの全周に結合されると共に、環状の駆動力伝達体の全周に結合される環状の形状に弾性ゴムを形成したので、簡素な弾性結合構成が得られる。
【0043】
また、軸線方向へスライド可能にハウジングに取り付けられた軸受け部材によりプーリを支持し、予荷重付与ばねを軸受け部材とハウジングとの間に介在し、前記環状の駆動力伝達体の外径を前記プーリの最小の内径よりも大きくしたので、軸受け部材がハウジングから脱落することが防止される。
請求項2の発明では、弾性ゴムに亀裂を生じるような方向へ予荷重が作用することはない。
請求項3の発明では、ハウジングから突出する回転軸の突出端部に駆動力伝達体を螺着し、プーリの内周面に螺合する連結リングと駆動力伝達体とを過負荷によって破断する弾性ゴムで弾性結合したので、簡素な弾性結合構成によって負荷トルクの変動の緩和及び過負荷伝達の悪影響回避を達成し得る。また、軸線方向へスライド可能にハウジングに取り付けられた軸受け部材によりプーリを支持し、予荷重付与ばねを軸受け部材とハウジングとの間に介在し、前記環状の駆動力伝達体の外径を前記連結リングの最小の内径よりも大きくしたので、軸受け部材がハウジングから脱落することが防止される。また、弾性ゴムが破断した場合、駆動力伝達体、弾性ゴム及び連結リングを交換できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第1実施例の圧縮機全体の側断面図である。
【図2】図1のA−A線拡大断面図である。
【図3】要部拡大側断面図である。
【図4】図1のB−B線断面図である。
【図5】図1のC−C線断面図である。
【図6】別例を示す要部拡大側断面図である。
【図7】別例を示す要部拡大側断面図である。
【図8】別例を示す要部拡大側断面図である。
【符号の説明】
2…フロントハウジング、2−2…ハウジングの一部である支持筒、4…回転軸、4−1…突出端部、5…軸受け部材であるアンギュラベアリング、6…プーリ、8,12,44…駆動力伝達体、10,13,45…弾性ゴム。
【産業上の利用分野】
本発明は、外部駆動源の駆動力をプーリを介して回転軸に伝達するクラッチレス圧縮機における動力伝達構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
外部駆動源と圧縮機の回転軸との間の動力伝達の連結及び遮断を行なう電磁クラッチを使用しないクラッチレス圧縮機では、特に車両搭載形態ではそのON−OFFのショックによる体感フィーリングの悪さの欠点を解消できる。又、圧縮機全体の重量減、コスト減が可能となる。しかし、このようなクラッチレス圧縮機では圧縮機側の負荷トルクの変動が緩和されずに車両エンジンに波及するため、車両エンジンの回転数が変動してしまう。
【0003】
実開昭63−142460号公報に開示されるクラッチレス圧縮機では、プーリに形成された環状の突状壁に係合凹部が設けられていると共に、ハブの周面に係合凹部が設けられている。突状壁側の係合凹部にはドライブレバーの一端が挿入されており、ハブ側の係合凹部にはドライブレバーの他端が環状の板ばねを介して挿入されている。プーリの回転はドライブレバー及び板ばねを介して回転軸に伝達する。圧縮機側の負荷トルクの変動はドライブレバーの揺動及び板ばねの弾性変形によって緩和され、負荷トルクの変動に起因する車両エンジンの回転数変動が抑制される。又、圧縮機側の負荷トルクが過大になったときには、ドライブレバーの他端が板ばねの凹部から外れ、過大な負荷トルクが車両エンジン側に波及しないようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、複数本のドライブレバーを揺動可能に支持し、かつドライブレバーの揺動変位を板ばねで受け止める構成は複雑である。このような複雑な構成では部品点数、組み付け工数が増え、クラッチレス圧縮機のコストが高くなる。
【0005】
本発明は、簡素な構成にも関わらず圧縮機側の負荷トルクの変動の波及を抑制し得ると共に、過負荷の伝達を遮断し得るクラッチレス圧縮機における動力伝達構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのために請求項1の発明では、ハウジングから突出する回転軸の突出端部に駆動力伝達体を止着し、前記プーリと駆動力伝達体とを過負荷によって破断する弾性ゴムで弾性結合し、プーリの全周に結合されると共に、環状の駆動力伝達体の全周に結合される環状の形状に前記弾性ゴムを形成し、回転軸の軸線方向へスライド可能にハウジングで軸受け部材を支持し、前記軸受け部材によりプーリを支持し、前記回転軸にハウジングから突出する方向へ予荷重を付与するための予荷重付与ばねを軸受け部材とハウジングとの間に介在し、前記環状の駆動力伝達体の外径を前記プーリの最小の内径よりも大きくした。
【0007】
請求項2の発明では、弾性ゴムは、一方の端面を駆動力伝達体の端面に結合し、他方の端面をプーリの端面に結合した。
請求項3の発明では、ハウジングから突出する回転軸の突出端部に駆動力伝達体を螺着すると共に、ロックナットで締め付け固定し、連結リングと駆動力伝達体とを過負荷によって破断する弾性ゴムで弾性結合すると共に、連結リングをプーリの内周面に螺合し、回転軸の軸線方向へスライド可能にハウジングで軸受け部材を支持し、前記軸受け部材によりプーリを支持し、前記回転軸に予荷重を付与するための予荷重付与ばねを軸受け部材とハウジングとの間に介在し、前記環状の駆動力伝達体の外径を前記連結リングの最小の内径よりも大きくした。
【0008】
【作用】
請求項1及び請求項2に記載された発明では、圧縮機側の負荷トルクの変動は弾性ゴムの弾性変形作用によって緩和されてプーリ側へ伝達される。圧縮機側の負荷トルクが過負荷になると、弾性ゴムが破断し、プーリと駆動力伝達体との間の負荷伝達が遮断される。この負荷伝達遮断により外部駆動源側への過負荷伝達による悪影響が回避される。回転軸に駆動力伝達体を止着すると共に、駆動力伝達体とプーリとを弾性ゴムで弾性結合する構成は簡素である。
【0009】
また、環状の弾性ゴムの外周面又は一方の端面がプーリの内周面又は端面に結合され、環状の弾性ゴムの内周面又は他方の端面が駆動力伝達体の外周面又は端面に結合される。このような結合構成は簡素である。
【0010】
また、弾性ゴムが破断した場合にも、ハウジングから離間する方向へのプーリ及び軸受け部材の移動は駆動力伝達体とプーリとの干渉によって阻止され、軸受け部材がハウジングから脱落することはない。
請求項3に記載された発明では、圧縮機側の負荷トルクの変動は弾性ゴムの弾性変形作用によって緩和されてプーリ側へ伝達される。圧縮機側の負荷トルクが過負荷になると、弾性ゴムが破断し、プーリと駆動力伝達体との間の負荷伝達が遮断される。この負荷伝達遮断により外部駆動源側への過負荷伝達による悪影響が回避される。回転軸に駆動力伝達体を螺着すると共に、駆動力伝達体とプーリの内周面に螺合する連結リングとを弾性ゴムで弾性結合する構成は簡素である。また、弾性ゴムが破断した場合にも、ハウジングから離間する方向へのプーリ及び軸受け部材の移動は駆動力伝達体と連結リングとの干渉によって阻止され、軸受け部材がハウジングから脱落することはない。
【0011】
【実施例】
以下、本発明を具体化した第1実施例を図1〜図5に基づいて説明する。
図1に示すようにシリンダブロック1の前端にはフロントハウジング2が接合されており、シリンダブロック1の後端にはリヤハウジング3が接合されている。クランク室2−1を形成するフロントハウジング2とシリンダブロック1との間には回転軸4が回転可能に架設支持されている。回転軸4の前端はクランク室2−1から外部へ突出している。
【0012】
フロントハウジング2には支持筒2−2が一体形成されており、支持筒2−2にはアンギュラベアリング5が回転軸4の軸線方向へスライド可能に支持されている。アンギュラベアリング5の外輪にはプーリ6が止着されている。プーリ6は、アンギュラベアリング5の外輪に固着された連結基板6−1と、連結基板6−1に固着されたプーリ本体6−2とからなる。プーリ本体6−2はベルト7を介して外部駆動源である車両エンジン(図示略)に連結されている。
【0013】
アンギュラベアリング5はスラスト方向の荷重及びラジアル方向の荷重の両方を受け止める。アンギュラベアリング5の内輪とフロントハウジング2との間には皿ばね型の予荷重付与ばね11が介在されている。予荷重付与ばね11はアンギュラベアリング5を回転軸4のフロントハウジング2からの突出方向へ付勢する。
【0014】
クランク室2−1から外部へ突出する回転軸4の突出端部4−1には環状の駆動力伝達体8及びロックナット9が螺着されている。ロックナット9は駆動力伝達体8を突出端部4−1に締め付け固定するものである。図2に示すようにプーリ6は矢印α方向に回転する。駆動力伝達体8及びロックナット9の螺合方向は右ねじ方向である。
【0015】
図1及び図3に示すように駆動力伝達体8の外周面と連結基板6−1の内周面との間には環状の弾性ゴム10が介在されている。弾性ゴム10の内周面は駆動力伝達体8の外周面に接着材で結合されており、弾性ゴム10の外周面は連結基板6−1の内周面に接着材で結合されている。車両エンジンの回転はベルト7を介してプーリ6に伝えられ、プーリ6の回転は弾性ゴム10及び駆動力伝達体8を介して回転軸4に伝達される。又、予荷重付与ばね11のばね力は、アンギュラベアリング5、プーリ6、弾性ゴム10及び駆動力伝達体8を介して回転軸4に伝えられる。
【0016】
連結基板6−1の内周面には脱落防止用フランジ6−3が形成されている。脱落防止用フランジ6−3の内径はプーリ6の最小径である。駆動力伝達体8の外径は脱落防止用フランジ6−3の内径よりも大きくしてある。
【0017】
回転軸4には回転支持体14が止着されている。回転軸4には斜板15が回転軸4の軸線方向へスライド可能かつ傾動可能に支持されている。図4に示すように斜板15は回転支持体14上の支持アーム14−1と一対のガイドピン16,17との連係により回転軸4の軸線方向へ傾動可能かつ回転軸4と一体的に回転可能である。斜板15の傾動は、支持アーム14−1とガイドピン16,17とのスライドガイド関係、回転軸4のスライド支持作用により案内される。
【0018】
回転軸4の後端部は深溝玉軸受け部材18及び遮断体19を介してシリンダブロック1内の収容孔20の内周面で支持される。リヤハウジング3の中心部には吸入通路21が形成されている。吸入通路21は収容孔20に連通しており、収容孔20側の吸入通路21の開口の周囲には位置決め面22が形成されている。遮断体19の先端は位置決め面22に当接可能である。遮断体19の先端が位置決め面22に当接することにより遮断体19が斜板15から離間する方向への移動を規制されると共に、吸入通路21と収容孔20との連通が遮断される。
【0019】
斜板傾角の減少により斜板15が遮断体19側へ移動するに伴い、斜板15が伝達筒23に当接し、伝達筒23及び深溝玉軸受け部材18を位置決め面22側へ押す。深溝玉軸受け部材18は回転軸4のラジアル方向のみならずスラスト方向の荷重も受け止める。そのため、遮断体19は吸入通路開放ばね24のばね力に抗して位置決め面22側へ付勢され、遮断体19の先端が位置決め面22に当接する。
【0020】
斜板15の最小傾角は0°よりも僅かに大きい。この最小傾角状態は遮断体19が吸入通路21と収容孔20との連通を遮断する閉位置に配置されたときにもたらされる。斜板15の最大傾角は回転支持体14の傾角規制突部14−2と斜板15との当接によって規制される。
【0021】
斜板15の回転運動はシュー25を介してシリンダボア1−1内の片頭ピストン26の前後往復運動に変換される。
図1及び図5に示すようにリヤハウジング3内には吸入室3−1及び吐出室3−2が区画形成されている。吸入室3−1内の冷媒ガスは片頭ピストン26の復動動作により吸入ポート28から吸入弁29を押し退けてシリンダボア1−1内へ流入する。シリンダボア1−1内へ流入した冷媒ガスは片頭ピストン26の往動動作により吐出ポート30から吐出弁31を押し退けて吐出室3−2へ吐出される。
【0022】
回転支持体14とフロントハウジング2との間にはスラストベアリング27が介在されている。シリンダボア1−1からの圧縮反力は、片頭ピストン26、シュー25、斜板15、ガイドピン16,17、回転支持体14及びスラストベアリング27を介してフロントハウジング2で受け止められる。
【0023】
吸入室3−1は通口32を介して収容孔20に連通している。遮断体19が前記閉位置に配置されると、通口32は吸入通路21から遮断される。
回転軸4内には通路33が形成されている。通路33はクランク室2−1と遮断体19の筒内とを連通している。遮断体19の先端には放圧通口19−1が貫設されている。放圧通口19−1は収容孔20と遮断体19の筒内とを連通する。
【0024】
クランク室2−1と吐出室3−2とは圧力供給通路34で接続されている。圧力供給通路34上には電磁開閉弁35が介在されている。電磁開閉弁35のソレノイド35−1の励磁により弁体35−2が弁孔35−3を閉鎖する。ソレノイド35−1が消磁すれば弁体35−2が弁孔35−3を開放する。
【0025】
吸入室3−1へ冷媒ガスを導入する吸入通路21と、吐出室3−2から冷媒ガスを排出する排出口1−2とは外部冷媒回路36で接続されている。外部冷媒回路36上には凝縮器37、膨張弁38及び蒸発器39が介在されている。膨張弁38は蒸発器39の出口側のガス圧の変動に応じて冷媒流量を制御する。蒸発器39の近傍には温度センサ40が設置されている。制御コンピュータCは温度センサ40から得られる検出温度情報に基づいてソレノイド35−1を励消磁制御する。制御コンピュータCは空調装置作動スイッチ41のON状態のもとに検出温度が設定温度以下になるとソレノイド35−1の消磁を指令する。この設定温度以下の温度は蒸発器39においてフロストが発生しそうな状況を反映する。又、制御コンピュータCは空調装置作動スイッチ41のON状態のもとに車両エンジンの回転数検出器42からの特定の回転数変動検出情報によってソレノイド35−1を消磁する。さらに制御コンピュータCは空調装置作動スイッチ41のOFFによってソレノイド35−1を消磁する。ソレノイド35−1が消磁されると圧力供給通路34が開き、吐出室3−2とクランク室2−1とが連通する。従って、吐出室3−2の冷媒ガスがクランク室2−1へ流入し、クランク室2−1内の圧力が高くなる。クランク室2−1内の圧力上昇により斜板15の傾角が最小傾角側へ移行する。遮断体19の先端が位置決め面22に当接すると、斜板傾角は最小となり、外部冷媒回路36から吸入室3−1への冷媒ガス流入が阻止される。
【0026】
斜板最小傾角は0°ではないため、斜板傾角が最小の状態においてもシリンダボア1−1から吐出室3−2への吐出は行われている。吸入室3−1内の冷媒ガスはシリンダボア1−1内へ吸入されて吐出室3−2へ吐出される。即ち、斜板傾角が最小状態では、吐出室3−2、圧力供給通路34、クランク室2−1、通路33、放圧通口19−1、吸入室3−2、シリンダボア1−1を経由する循環通路が圧縮機内にできている。冷媒ガスと共に流動する潤滑油は前記循環通路を経由して圧縮機内を潤滑する。吐出室3−2、クランク室2−1及び吸入室3−1の間では圧力差が生じている。この圧力差及び放圧通口19−1における通過断面積が斜板15を最小傾角に安定的に保持する。
【0027】
ソレノイド35−1が励磁すると圧力供給通路34が閉じる。クランク室2−1内と吸入室3−1内との間では圧力差があるため、クランク室2−1の圧力が通路33及び放圧通口19−1を介した放圧に基づいて減圧してゆく。この減圧により斜板15の傾角が最小傾角から最大傾角へ移行する。
【0028】
このような動作を行なうクラッチレス圧縮機では、圧縮機側の負荷トルクの変動が回転軸4から駆動力伝達体8及び弾性ゴム10を介してプーリ6に伝達される。環状の弾性ゴム10は圧縮機側の負荷トルクによって周方向へ弾性変形する。従って、弾性ゴム10は負荷トルクの変動を緩和してプーリ6に伝達する。このような緩衝効果をもたらす弾性ゴム10は連結基板6−1と駆動力伝達体8とを弾性結合しており、この連結構成は簡素である。
【0029】
圧縮機側の負荷トルクが過大になった場合、この過大な負荷トルクが車両エンジン側に波及すれば車両エンジンがエンジンストールやベルト7が破断するおそれがある。本実施例では過大な負荷トルクが生じた場合には、弾性ゴム10が破断する。即ち、圧縮機側の負荷トルクが所定値以上になった場合に破断するように弾性ゴム10の幅、内径、外径、ゴム種類が選択されている。従って、過大な負荷トルクが車両エンジン側に波及することはなく、エンジンストールは起きない。弾性ゴム10のゴム種類としては例えばブチルゴムが好適である。
【0030】
回転軸4は軸線方向へ変位してがたつく可能性があるため、回転軸4に対して軸線方向への予荷重を付与してがたつきを防止する必要がある。本実施例の圧縮機では回転軸4をフロントハウジング2から突出させる方向へ予荷重を付与すれば、この予荷重が軸線ベアリング27を介してフロントハウジング2によって受け止められる。予荷重付与ばね11はアンギュラベアリング5、プーリ6、弾性ゴム10及び駆動力伝達体8を介して回転軸4に予荷重を付与している。即ち、弾性ゴム10は負荷トルク変動の緩和のみならず予荷重伝達機能も兼ねている。予荷重付与ばね11の予荷重の大きさはロックナット9の螺合位置によって調整される。ロックナット9がフロントハウジング2側に近づくほど予荷重が大きくなる。即ち、予荷重の調整が容易である。
【0031】
弾性ゴム10が破断していない状態では、アンギュラベアリング5は支持筒2−2上に支持される。弾性ゴム10が破断した場合、プーリ6がフロントハウジング2から離間する方向へ移動できるようになる。しかし、脱落防止用フランジ6−3の内径が駆動力伝達体8の外径よりも小さくしてある。そのため、フロントハウジング2から離間する方向へのプーリ6の移動は脱落防止用フランジ6−3と駆動力伝達体8との干渉により規制され、プーリ6が支持筒2−2から脱落することはない。
【0032】
次に、図6の実施例を説明する。この実施例では突出端部4−1に螺着された円板形状の駆動力伝達体12と連結基板6−1の内周面に形成された連結フランジ6−4とが対向している。駆動力伝達体12と連結フランジ6−4との対向面間には環状の弾性ゴム13が介在されている。弾性ゴム13の一方の端面は駆動力伝達体12の端面に接着材で結合されており、弾性ゴム13の他方の端面は連結フランジ6−4の端面に接着材で結合されている。その他の構成は第1実施例と同じである。
【0033】
この実施例においても、弾性ゴム13は負荷トルク変動の緩和及び予荷重伝達機能の両方を兼ねる。予荷重付与ばね11の予荷重は弾性ゴム13をその厚み方向に圧縮する方向に伝達するため、弾性ゴム13に亀裂を生じるような方向へ予荷重が作用することはない。又、連結フランジ6−4の内径が駆動力伝達体12の外径よりも小さいため、弾性ゴム13が破断した場合にも、プーリ6が支持筒2−2から脱落することはない。駆動力伝達体12と連結フランジ6−4とを弾性ゴム13で弾性結合する構成は簡素である。
【0034】
次に、図7の実施例を説明する。この実施例では突出端部4−1に螺着された円板形状の駆動力伝達体12と連結リング43とが対向している。駆動力伝達体12と連結リング43との対向面間には環状の弾性ゴム13が介在されている。弾性ゴム13の一方の端面は駆動力伝達体12の端面に接着材で結合されており、弾性ゴム13の他方の端面は連結リング43の端面に接着材で結合されている。プーリ6の連結基板6−1の内周面には雌ねじ部が形成されており、連結リング43が雌ねじ部に螺合されている。その他の構成は第1実施例と同じである。
【0035】
この実施例においても、図6の実施例と同様の作用効果が得られる。しかも、弾性ゴム13が破断した場合には、駆動力伝達体12、弾性ゴム13及び連結リング43を交換することができる。
【0036】
次に、図8の実施例を説明する。この実施例では突出端部4−1に螺着された駆動力伝達体44のテーパ周面44−1と連結基板6−1の内周面のテーパ周面6 −5 との間に円錐筒形状の弾性ゴム45が介在されている。弾性ゴム45の内周面が駆動力伝達体44のテーパ周面44−1に接着材で結合されており、弾性ゴム45の外周面が連結基板6−1の内周面のテーパ周面6 −5 に接着材で結合されている。テーパ周面44−1の最大径はテーパ周面6 −5 の最小径よりも大きくしてある。その他の構成は第1実施例と同じである。
【0037】
この実施例においても、第1実施例と同様の作用効果が得られる。又、予荷重付与ばね11の予荷重は弾性ゴム45を専らその厚み方向に圧縮する方向に伝達するため、弾性ゴム45に亀裂を生じるような方向へ予荷重が作用することはない。又、連結基板6−1の最小内径が駆動力伝達体44の最大外径よりも小さいため、弾性ゴム45が破断した場合にも、プーリ6が支持筒2−2から脱落することはない。
【0041】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1の発明では、ハウジングから突出する回転軸の突出端部に駆動力伝達体を止着し、プーリと駆動力伝達体とを過負荷によって破断する弾性ゴムで弾性結合したので、簡素な弾性結合構成によって負荷トルクの変動の緩和及び過負荷伝達の悪影響回避を達成し得る。
【0042】
また、プーリの全周に結合されると共に、環状の駆動力伝達体の全周に結合される環状の形状に弾性ゴムを形成したので、簡素な弾性結合構成が得られる。
【0043】
また、軸線方向へスライド可能にハウジングに取り付けられた軸受け部材によりプーリを支持し、予荷重付与ばねを軸受け部材とハウジングとの間に介在し、前記環状の駆動力伝達体の外径を前記プーリの最小の内径よりも大きくしたので、軸受け部材がハウジングから脱落することが防止される。
請求項2の発明では、弾性ゴムに亀裂を生じるような方向へ予荷重が作用することはない。
請求項3の発明では、ハウジングから突出する回転軸の突出端部に駆動力伝達体を螺着し、プーリの内周面に螺合する連結リングと駆動力伝達体とを過負荷によって破断する弾性ゴムで弾性結合したので、簡素な弾性結合構成によって負荷トルクの変動の緩和及び過負荷伝達の悪影響回避を達成し得る。また、軸線方向へスライド可能にハウジングに取り付けられた軸受け部材によりプーリを支持し、予荷重付与ばねを軸受け部材とハウジングとの間に介在し、前記環状の駆動力伝達体の外径を前記連結リングの最小の内径よりも大きくしたので、軸受け部材がハウジングから脱落することが防止される。また、弾性ゴムが破断した場合、駆動力伝達体、弾性ゴム及び連結リングを交換できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第1実施例の圧縮機全体の側断面図である。
【図2】図1のA−A線拡大断面図である。
【図3】要部拡大側断面図である。
【図4】図1のB−B線断面図である。
【図5】図1のC−C線断面図である。
【図6】別例を示す要部拡大側断面図である。
【図7】別例を示す要部拡大側断面図である。
【図8】別例を示す要部拡大側断面図である。
【符号の説明】
2…フロントハウジング、2−2…ハウジングの一部である支持筒、4…回転軸、4−1…突出端部、5…軸受け部材であるアンギュラベアリング、6…プーリ、8,12,44…駆動力伝達体、10,13,45…弾性ゴム。
Claims (3)
- 回転軸に止着された回転支持体に斜板を傾動可能に支持し、クランク室内の圧力と吸入圧との片頭ピストンを介した差に応じて斜板の傾角を制御し、吐出圧領域の圧力をクランク室に供給すると共に、クランク室の圧力を吸入圧領域に放出してクランク室内の調圧を行なう可変容量型圧縮機であって、外部駆動源の駆動力をプーリを介して前記回転軸に伝達するクラッチレス圧縮機において、
ハウジングから突出する回転軸の突出端部に駆動力伝達体を止着し、前記プーリと駆動力伝達体とを過負荷によって破断する弾性ゴムで弾性結合し、プーリの全周に結合されると共に、環状の駆動力伝達体の全周に結合される環状の形状に前記弾性ゴムを形成し、回転軸の軸線方向へスライド可能にハウジングで軸受け部材を支持し、前記軸受け部材によりプーリを支持し、前記回転軸に予荷重を付与するための予荷重付与ばねを軸受け部材とハウジングとの間に介在し、前記環状の駆動力伝達体の外径を前記プーリの最小の内径よりも大きくしたクラッチレス圧縮機における動力伝達構造。 - 弾性ゴムは、一方の端面を駆動力伝達体の端面に結合し、他方の端面をプーリの端面に結合した請求項1に記載のクラッチレス圧縮機における動力伝達構造。
- 回転軸に止着された回転支持体に斜板を傾動可能に支持し、クランク室内の圧力と吸入圧との片頭ピストンを介した差に応じて斜板の傾角を制御し、吐出圧領域の圧力をクランク室に供給すると共に、クランク室の圧力を吸入圧領域に放出してクランク室内の調圧を行なう可変容量型圧縮機であって、外部駆動源の駆動力をプーリを介して前記回転軸に伝達するクラッチレス圧縮機において、
ハウジングから突出する回転軸の突出端部に駆動力伝達体を螺着すると共に、ロックナットで締め付け固定し、連結リングと駆動力伝達体とを過負荷によって破断する弾性ゴムで弾性結合すると共に、連結リングをプーリの内周面に螺合し、回転軸の軸線方向へスライド可能にハウジングで軸受け部材を支持し、前記軸受け部材によりプーリを支持し、前記回転軸に予荷重を付与するための予荷重付与ばねを軸受け部材とハウジングとの間に介在し、前記環状の駆動力伝達体の外径を前記連結リングの最小の内径よりも大きくしたクラッチレス圧縮機における動力伝達構造。
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