JPH08283934A - Itoスパッタリングターゲット及びその製造方法 - Google Patents
Itoスパッタリングターゲット及びその製造方法Info
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- JPH08283934A JPH08283934A JP7087009A JP8700995A JPH08283934A JP H08283934 A JPH08283934 A JP H08283934A JP 7087009 A JP7087009 A JP 7087009A JP 8700995 A JP8700995 A JP 8700995A JP H08283934 A JPH08283934 A JP H08283934A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 特殊カプセル使用HIP 法(特開平5-155651号
公報)での如き複雑な処理を要さずに比較的簡単に製造
し得、低級酸化物である黒色のIn2Oを含まず、且つ相対
密度が特殊カプセル使用HIP 法の場合(88、93、96%)
と同等もしくはそれ以上であるITOスパッタリングタ
ーゲット及びその製造方法を提供する。 【構成】 酸化インジウム粉末及び酸化錫粉末を含む混
合粉末を予備焼結(例えば大気又は酸化雰囲気下で1400
〜1600℃で焼結)した後、分圧20%以下の酸素を含む雰
囲気下、1200℃を超える温度で熱間等方圧処理をし、I
TOスパッタリングターゲットを製造する方法、及び、
酸化錫を3〜15wt%含む酸化インジウム基混合粉末を焼
結してなるITOスパッタリングターゲットであって、
相対密度が99%以上であることを特徴とするもの。
公報)での如き複雑な処理を要さずに比較的簡単に製造
し得、低級酸化物である黒色のIn2Oを含まず、且つ相対
密度が特殊カプセル使用HIP 法の場合(88、93、96%)
と同等もしくはそれ以上であるITOスパッタリングタ
ーゲット及びその製造方法を提供する。 【構成】 酸化インジウム粉末及び酸化錫粉末を含む混
合粉末を予備焼結(例えば大気又は酸化雰囲気下で1400
〜1600℃で焼結)した後、分圧20%以下の酸素を含む雰
囲気下、1200℃を超える温度で熱間等方圧処理をし、I
TOスパッタリングターゲットを製造する方法、及び、
酸化錫を3〜15wt%含む酸化インジウム基混合粉末を焼
結してなるITOスパッタリングターゲットであって、
相対密度が99%以上であることを特徴とするもの。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ITOスパッタリング
ターゲット及びその製造方法に関し、詳細には、ITO
(:Indium Tin Oxide )よりなる透明(透光性)の導電
膜(以降、ITO透明導電膜という)を、スパッタリン
グ法によって形成する際に用いられるITO透明導電膜
形成用スパッタリングターゲット及びその製造方法に関
する。尚、ITOとはIndium Tin Oxideのこと(略称)
であり、この物質は酸化インジウムと酸化錫を出発原料
にしてなり、酸化インジウムに酸化錫をドープさせたも
のであって、組織的(結晶構造的)には酸化インジウム
中に錫が固溶した状態のものである。
ターゲット及びその製造方法に関し、詳細には、ITO
(:Indium Tin Oxide )よりなる透明(透光性)の導電
膜(以降、ITO透明導電膜という)を、スパッタリン
グ法によって形成する際に用いられるITO透明導電膜
形成用スパッタリングターゲット及びその製造方法に関
する。尚、ITOとはIndium Tin Oxideのこと(略称)
であり、この物質は酸化インジウムと酸化錫を出発原料
にしてなり、酸化インジウムに酸化錫をドープさせたも
のであって、組織的(結晶構造的)には酸化インジウム
中に錫が固溶した状態のものである。
【0002】
【従来の技術】ITO透明導電膜は、LCD(液晶)やEL
(エレクトロルミネッセンス)等の薄型ディスプレー用
表示デバイス駆動電極、太陽電池の透明電極、更には窓
ガラスへの熱線遮蔽コーティング、高速交通機関のウイ
ンドシールドの防曇・防氷、各種機材の帯電防止処理、
静電遮蔽コーティング等に用いられる。
(エレクトロルミネッセンス)等の薄型ディスプレー用
表示デバイス駆動電極、太陽電池の透明電極、更には窓
ガラスへの熱線遮蔽コーティング、高速交通機関のウイ
ンドシールドの防曇・防氷、各種機材の帯電防止処理、
静電遮蔽コーティング等に用いられる。
【0003】かかるITO透明導電膜の製造方法には、
スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法、スプレー熱
分解法等があるが、特に良質なITO透明導電膜が要求
される分野ではスパッタリング法が採用されている。
スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法、スプレー熱
分解法等があるが、特に良質なITO透明導電膜が要求
される分野ではスパッタリング法が採用されている。
【0004】ITO透明導電膜の製造に際し、スパッタ
リング法が採用される場合、スパッタガスとしてはアル
ゴン−酸素混合ガスが用いられる。このとき、ガス中の
酸素濃度は、低抵抗であって且つ高透過率を有するIT
O透明導電膜が得られるような量に設定される。スパッ
タリングターゲットとしては、IT(:In-Sn合金)より
なるターゲット又はITOよりなるターゲット(ITO
ターゲット)が用いられるが、最近では酸化物焼結体よ
りなるITOターゲットが用いられる場合が多く、かか
るITOターゲットを用いる方法が主流となっている。
それは、かかるITOターゲットによる方が、膜性能及
び膜の均一性に優れたITO透明導電膜が得られ、しか
も成膜操作の簡便性に優れているからである。
リング法が採用される場合、スパッタガスとしてはアル
ゴン−酸素混合ガスが用いられる。このとき、ガス中の
酸素濃度は、低抵抗であって且つ高透過率を有するIT
O透明導電膜が得られるような量に設定される。スパッ
タリングターゲットとしては、IT(:In-Sn合金)より
なるターゲット又はITOよりなるターゲット(ITO
ターゲット)が用いられるが、最近では酸化物焼結体よ
りなるITOターゲットが用いられる場合が多く、かか
るITOターゲットを用いる方法が主流となっている。
それは、かかるITOターゲットによる方が、膜性能及
び膜の均一性に優れたITO透明導電膜が得られ、しか
も成膜操作の簡便性に優れているからである。
【0005】ITOターゲットとして特に特性向上が望
まれる重要な特性の一つとして高密度化がある。即ち、
低密度なターゲットをスパッタリングに使用した場合、
放電電圧が上昇し、ターゲットの表面温度も上昇してく
る。そのため、ターゲット表面が還元されて低級酸化物
(酸素の結合比率の低い酸化物)となり、それにより黒
色化やノジュールの発生が起こってターゲットの使用効
率が低下したり、又、形成されるITO透明導電膜の抵
抗が高く、透過率が低くなり、膜特性が悪くなる。従っ
て、これらを防止することが望まれ、そのためにITO
ターゲットの高密度化が望まれており、現在では、相対
密度85%以上、更には相対密度90%以上の高密度ITO
ターゲットが望まれている。
まれる重要な特性の一つとして高密度化がある。即ち、
低密度なターゲットをスパッタリングに使用した場合、
放電電圧が上昇し、ターゲットの表面温度も上昇してく
る。そのため、ターゲット表面が還元されて低級酸化物
(酸素の結合比率の低い酸化物)となり、それにより黒
色化やノジュールの発生が起こってターゲットの使用効
率が低下したり、又、形成されるITO透明導電膜の抵
抗が高く、透過率が低くなり、膜特性が悪くなる。従っ
て、これらを防止することが望まれ、そのためにITO
ターゲットの高密度化が望まれており、現在では、相対
密度85%以上、更には相対密度90%以上の高密度ITO
ターゲットが望まれている。
【0006】かかる高密度ITOターゲットの製造方法
としてはホットプレス法や熱間等方圧処理法(熱間等方
圧加熱処理法)がある。この中、ホットプレス法は、成
形体を高圧不活性ガス下で焼結をする方法であり、相対
密度90%以上という高密度なITO焼結体(ターゲッ
ト)を得ることが可能であるものの、還元された低級酸
化物を含むものしか得られない。一方、熱間等方圧処理
法は、焼結体(予備焼結体)を高圧不活性雰囲気下で熱
間等方圧処理するため、本法においても還元された低級
酸化物を含むものしか得られない。これは、ITOを構
成しているIn2O3が非常に還元され易く、上記不活性ガ
ス下や不活性雰囲気下においては低級酸化物であるIn2O
(黒色)に還元されるためである。
としてはホットプレス法や熱間等方圧処理法(熱間等方
圧加熱処理法)がある。この中、ホットプレス法は、成
形体を高圧不活性ガス下で焼結をする方法であり、相対
密度90%以上という高密度なITO焼結体(ターゲッ
ト)を得ることが可能であるものの、還元された低級酸
化物を含むものしか得られない。一方、熱間等方圧処理
法は、焼結体(予備焼結体)を高圧不活性雰囲気下で熱
間等方圧処理するため、本法においても還元された低級
酸化物を含むものしか得られない。これは、ITOを構
成しているIn2O3が非常に還元され易く、上記不活性ガ
ス下や不活性雰囲気下においては低級酸化物であるIn2O
(黒色)に還元されるためである。
【0007】このような低級酸化物であるIn2O(黒色)
を含む高密度ITOターゲットは黒色を呈しており、そ
のため、かかるターゲットをスパッタリングに使用する
と、形成されるITO透明導電膜の抵抗が高く、透過率
が低くなり、高透過率・低抵抗なITO透明導電膜を得
ることが難しいという問題点がある。尚、この対策とし
て、スパッタリングに際し、スパッタガスとして酸素濃
度の高いアルゴン−酸素混合ガスを用い、それによりI
TOターゲット自体の酸素量を補う方法があるが、本法
においては負に帯電した多量の酸素イオンが陽極にある
基板をスパッタしてしまうため、ダメージを受けたIT
O透明導電膜ができてしまうという欠点がある。
を含む高密度ITOターゲットは黒色を呈しており、そ
のため、かかるターゲットをスパッタリングに使用する
と、形成されるITO透明導電膜の抵抗が高く、透過率
が低くなり、高透過率・低抵抗なITO透明導電膜を得
ることが難しいという問題点がある。尚、この対策とし
て、スパッタリングに際し、スパッタガスとして酸素濃
度の高いアルゴン−酸素混合ガスを用い、それによりI
TOターゲット自体の酸素量を補う方法があるが、本法
においては負に帯電した多量の酸素イオンが陽極にある
基板をスパッタしてしまうため、ダメージを受けたIT
O透明導電膜ができてしまうという欠点がある。
【0008】かかる問題点の解決をはかるべく検討され
たものとして、特開平5-155651号公報に記載された高密
度ITOターゲット(酸化物焼結体)の製造方法があ
る。本法は、酸化物となったときにITOよりも高い酸
素解離圧を示す金属等で内面を覆ったカプセルにITO
予備焼結体を封入し、熱間等方圧処理をする方法(以
降、特殊カプセル使用HIP 法という)であり、熱間等方
圧処理時のITO(In2O3)の還元を抑え、且つ高密度な
ITOターゲット(焼結体)を得ようとするものであ
る。このITOターゲットの密度については、実施例に
よれば相対密度88%、93%、96%であったと記載されて
いる。しかしながら、本法(特殊カプセル使用HIP 法)
は、上記の如く高い酸素解離圧を示す金属等で内面を覆
ったカプセルを使用して熱間等方圧処理をするという複
雑な処理、手段を必要とする点において難点がある。
たものとして、特開平5-155651号公報に記載された高密
度ITOターゲット(酸化物焼結体)の製造方法があ
る。本法は、酸化物となったときにITOよりも高い酸
素解離圧を示す金属等で内面を覆ったカプセルにITO
予備焼結体を封入し、熱間等方圧処理をする方法(以
降、特殊カプセル使用HIP 法という)であり、熱間等方
圧処理時のITO(In2O3)の還元を抑え、且つ高密度な
ITOターゲット(焼結体)を得ようとするものであ
る。このITOターゲットの密度については、実施例に
よれば相対密度88%、93%、96%であったと記載されて
いる。しかしながら、本法(特殊カプセル使用HIP 法)
は、上記の如く高い酸素解離圧を示す金属等で内面を覆
ったカプセルを使用して熱間等方圧処理をするという複
雑な処理、手段を必要とする点において難点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこの様な事情
に着目してなされたものであって、その目的は従来のも
のがもつ以上のような問題点を解消し、前記特殊カプセ
ル使用HIP 法での如き複雑な処理、手段を要することな
く比較的簡単に製造し得、低級酸化物である黒色のIn2O
を含まず、且つ前記特殊カプセル使用HIP 法と同等もし
くはそれ以上の高密度を有するITOスパッタリングタ
ーゲット及びその製造方法を提供しようとするものであ
る。
に着目してなされたものであって、その目的は従来のも
のがもつ以上のような問題点を解消し、前記特殊カプセ
ル使用HIP 法での如き複雑な処理、手段を要することな
く比較的簡単に製造し得、低級酸化物である黒色のIn2O
を含まず、且つ前記特殊カプセル使用HIP 法と同等もし
くはそれ以上の高密度を有するITOスパッタリングタ
ーゲット及びその製造方法を提供しようとするものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係るITOスパッタリングターゲット及
びその製造方法は、次のような構成としている。即ち、
請求項1記載のITOスパッタリングターゲットは、酸
化錫を3〜15wt%含む酸化インジウム基混合粉末を焼結
してなるITO焼結体よりなるITOスパッタリングタ
ーゲットであって、前記ITO焼結体の相対密度が99%
以上であることを特徴とするITOスパッタリングター
ゲットである。
めに、本発明に係るITOスパッタリングターゲット及
びその製造方法は、次のような構成としている。即ち、
請求項1記載のITOスパッタリングターゲットは、酸
化錫を3〜15wt%含む酸化インジウム基混合粉末を焼結
してなるITO焼結体よりなるITOスパッタリングタ
ーゲットであって、前記ITO焼結体の相対密度が99%
以上であることを特徴とするITOスパッタリングター
ゲットである。
【0011】請求項2記載のITOスパッタリングター
ゲットの製造方法は、酸化インジウム粉末及び酸化錫粉
末を含む混合粉末を予備焼結した後、分圧20%以下の酸
素を含む雰囲気下、1200℃を超える温度で熱間等方圧加
熱処理をし、ITOよりなるスパッタリングターゲット
を製造することを特徴とするITOスパッタリングター
ゲットの製造方法である。
ゲットの製造方法は、酸化インジウム粉末及び酸化錫粉
末を含む混合粉末を予備焼結した後、分圧20%以下の酸
素を含む雰囲気下、1200℃を超える温度で熱間等方圧加
熱処理をし、ITOよりなるスパッタリングターゲット
を製造することを特徴とするITOスパッタリングター
ゲットの製造方法である。
【0012】請求項3記載のITOスパッタリングター
ゲットの製造方法は、前記予備焼結を予備焼結温度:14
00〜1600℃にして行う請求項2記載のITOスパッタリ
ングターゲットの製造方法である。請求項4記載のIT
Oスパッタリングターゲットの製造方法は、前記予備焼
結の雰囲気を大気又は酸化雰囲気にする請求項2又は3
記載のITOスパッタリングターゲットの製造方法であ
る。
ゲットの製造方法は、前記予備焼結を予備焼結温度:14
00〜1600℃にして行う請求項2記載のITOスパッタリ
ングターゲットの製造方法である。請求項4記載のIT
Oスパッタリングターゲットの製造方法は、前記予備焼
結の雰囲気を大気又は酸化雰囲気にする請求項2又は3
記載のITOスパッタリングターゲットの製造方法であ
る。
【0013】
【作用】本発明に係るITOスパッタリングターゲット
の製造方法は、前記の如く、酸化インジウム粉末及び酸
化錫粉末を含む混合粉末を予備焼結した後、分圧20%以
下の酸素を含む雰囲気下、1200℃を超える温度で熱間等
方圧加熱処理をし、ITOよりなるスパッタリングター
ゲットを製造するようにしている(請求項2記載の製造
方法)。
の製造方法は、前記の如く、酸化インジウム粉末及び酸
化錫粉末を含む混合粉末を予備焼結した後、分圧20%以
下の酸素を含む雰囲気下、1200℃を超える温度で熱間等
方圧加熱処理をし、ITOよりなるスパッタリングター
ゲットを製造するようにしている(請求項2記載の製造
方法)。
【0014】このように、本発明に係るITOスパッタ
リングターゲットの製造方法は、予備焼結後に熱間等方
圧加熱処理をするという方法であり、該熱間等方圧加熱
処理に際して前記特殊カプセル使用HIP 法での如き特別
なカプセルを必要としないので、前記特殊カプセル使用
HIP 法での如き複雑な処理、手段を要することなく比較
的簡単にITOスパッタリングターゲットを製造し得
る。
リングターゲットの製造方法は、予備焼結後に熱間等方
圧加熱処理をするという方法であり、該熱間等方圧加熱
処理に際して前記特殊カプセル使用HIP 法での如き特別
なカプセルを必要としないので、前記特殊カプセル使用
HIP 法での如き複雑な処理、手段を要することなく比較
的簡単にITOスパッタリングターゲットを製造し得
る。
【0015】又、熱間等方圧加熱処理に際し、その雰囲
気を分圧20%以下の酸素を含む雰囲気としているので、
ITOの主成分であるIn2O3 の還元が起こらず(もしく
は極めて起こり難く)、そのため低級酸化物である黒色
のIn2Oを含まないITOスパッタリングターゲットが得
られる。
気を分圧20%以下の酸素を含む雰囲気としているので、
ITOの主成分であるIn2O3 の還元が起こらず(もしく
は極めて起こり難く)、そのため低級酸化物である黒色
のIn2Oを含まないITOスパッタリングターゲットが得
られる。
【0016】更に、前記雰囲気に起因してSnO2の還元も
起こらず、かかるIn2O3 及びSnO2の還元が起こらないこ
とにより、得られるITOスパッタリングターゲットは
緻密であって密度の高いものとなる。又、1200℃を超え
る温度で熱間等方圧加熱処理をしているので、予備焼結
後のもの(予備焼結体)に残留しているポアを熱間等方
圧加熱処理時に潰すことができ、そのため密度が高めら
れる。そして、これらの密度の向上効果により、相対密
度が90%以上のもの、例えば後述の実施例に示される如
く相対密度93%、95%、96%、97%、98%、99%、99.8
%のものが得られる。
起こらず、かかるIn2O3 及びSnO2の還元が起こらないこ
とにより、得られるITOスパッタリングターゲットは
緻密であって密度の高いものとなる。又、1200℃を超え
る温度で熱間等方圧加熱処理をしているので、予備焼結
後のもの(予備焼結体)に残留しているポアを熱間等方
圧加熱処理時に潰すことができ、そのため密度が高めら
れる。そして、これらの密度の向上効果により、相対密
度が90%以上のもの、例えば後述の実施例に示される如
く相対密度93%、95%、96%、97%、98%、99%、99.8
%のものが得られる。
【0017】従って、本発明に係るITOスパッタリン
グターゲットの製造方法によれば、前記特殊カプセル使
用HIP 法での如き複雑な処理、手段を要することなく比
較的簡単に製造し得、低級酸化物である黒色のIn2Oを含
まず、且つ前記特殊カプセル使用HIP 法の場合(相対密
度88%、93%、96%)と同等もしくはそれ以上の高密度
を有するITOスパッタリングターゲットが得られるよ
うになる。
グターゲットの製造方法によれば、前記特殊カプセル使
用HIP 法での如き複雑な処理、手段を要することなく比
較的簡単に製造し得、低級酸化物である黒色のIn2Oを含
まず、且つ前記特殊カプセル使用HIP 法の場合(相対密
度88%、93%、96%)と同等もしくはそれ以上の高密度
を有するITOスパッタリングターゲットが得られるよ
うになる。
【0018】ここで、熱間等方圧加熱処理に際し、その
雰囲気を分圧20%以下の酸素を含む雰囲気としているの
は、次の理由による。即ち、熱間等方圧加熱処理の雰囲
気に酸素が含まれていないと、ITOの主成分であるIn
2O3 及びSnO2の還元が起こり、そのため、得られるIT
Oスパッタリングターゲットは低級酸化物である黒色の
In2Oを含むものとなる他、ITOスパッタリングターゲ
ットの緻密化が阻害されて密度が低下して不充分とな
り、引いてはITOスパッタリングターゲットとしての
性能が低下し、高透過率・低抵抗なITO透明導電膜を
得ることが難しく、又、ターゲットの使用効率が低下す
るようになり、かかる点から酸素を含む雰囲気とする必
要がある。しかし、分圧20%超の酸素を含む雰囲気にす
ると、燃焼及び/又は爆発が生じる危険性があり、その
防止は熱間等方圧加熱処理装置において不可能であり、
従って、分圧20%以下の酸素を含む雰囲気とする必要が
あるからである。
雰囲気を分圧20%以下の酸素を含む雰囲気としているの
は、次の理由による。即ち、熱間等方圧加熱処理の雰囲
気に酸素が含まれていないと、ITOの主成分であるIn
2O3 及びSnO2の還元が起こり、そのため、得られるIT
Oスパッタリングターゲットは低級酸化物である黒色の
In2Oを含むものとなる他、ITOスパッタリングターゲ
ットの緻密化が阻害されて密度が低下して不充分とな
り、引いてはITOスパッタリングターゲットとしての
性能が低下し、高透過率・低抵抗なITO透明導電膜を
得ることが難しく、又、ターゲットの使用効率が低下す
るようになり、かかる点から酸素を含む雰囲気とする必
要がある。しかし、分圧20%超の酸素を含む雰囲気にす
ると、燃焼及び/又は爆発が生じる危険性があり、その
防止は熱間等方圧加熱処理装置において不可能であり、
従って、分圧20%以下の酸素を含む雰囲気とする必要が
あるからである。
【0019】熱間等方圧加熱処理温度を1200℃を超える
温度としているのは、1200℃以下とすると、予備焼結後
のもの(予備焼結体)に残留しているポアを熱間等方圧
加熱処理時に潰すことができず、密度が高められず、そ
のため、得られるITOスパッタリングターゲットは密
度が低くて不充分となるからである。
温度としているのは、1200℃以下とすると、予備焼結後
のもの(予備焼結体)に残留しているポアを熱間等方圧
加熱処理時に潰すことができず、密度が高められず、そ
のため、得られるITOスパッタリングターゲットは密
度が低くて不充分となるからである。
【0020】前記予備焼結に際し、予備焼結温度:1400
〜1600℃にすると、得られるITOスパッタリングター
ゲットの密度をより確実に高くできる。予備焼結温度:
1400℃未満にすると、予備焼結後のもの(予備焼結体)
に残留するポアが連続してオープンポア状態となり、引
いては熱間等方圧加熱処理時にポアが潰され難くなるた
めに密度が高められ難くなり、一方、予備焼結温度:16
00℃超にすると、予備焼結体に残留するポアのサイズが
大きくなり、引いては熱間等方圧加熱処理時にポアが潰
され難くなるために密度が高められ難くなるという傾向
にある。かかる点から、予備焼結温度は1400〜1600℃に
することが望ましい(請求項3記載の製造方法)。更に
は、1400〜1500℃にすることが望ましく、そうするとI
TOスパッタリングターゲットの密度をより高くでき、
相対密度が97%以上のもの、例えば後述の実施例に示さ
れる如く理論密度に近い相対密度99.8%のものを得るこ
とができる。
〜1600℃にすると、得られるITOスパッタリングター
ゲットの密度をより確実に高くできる。予備焼結温度:
1400℃未満にすると、予備焼結後のもの(予備焼結体)
に残留するポアが連続してオープンポア状態となり、引
いては熱間等方圧加熱処理時にポアが潰され難くなるた
めに密度が高められ難くなり、一方、予備焼結温度:16
00℃超にすると、予備焼結体に残留するポアのサイズが
大きくなり、引いては熱間等方圧加熱処理時にポアが潰
され難くなるために密度が高められ難くなるという傾向
にある。かかる点から、予備焼結温度は1400〜1600℃に
することが望ましい(請求項3記載の製造方法)。更に
は、1400〜1500℃にすることが望ましく、そうするとI
TOスパッタリングターゲットの密度をより高くでき、
相対密度が97%以上のもの、例えば後述の実施例に示さ
れる如く理論密度に近い相対密度99.8%のものを得るこ
とができる。
【0021】前記予備焼結の雰囲気は大気又は酸化雰囲
気にすることが望ましい(請求項4記載の製造方法)。
そうすると、予備焼結の際、ITOの分解及び還元を確
実に防止することができるからである。即ち、予備焼結
の雰囲気を還元雰囲気にすると、ITOの成分であるSn
O2がSnO2→ SnO(気体)+1/2 O2という反応により分解
(気化)してSnO2量が変化(減少)し、そのため、SnO2
量を制御し難くて所定量のSnを含むものが得られなくな
り、又、ITOの成分であるIn2O3 の還元が起こり、そ
のため、黒色のIn2Oを含むものとなり、更には、これら
SnO2の分解及びIn2O3 の還元により密度が低いITOス
パッタリングターゲットとなる傾向にある。これに対
し、予備焼結の雰囲気を大気又は酸化雰囲気にすると、
上記の如きSnO2の分解及びIn2O3 の還元を確実に防止し
得、それらによる不都合の発生を確実に回避できるよう
になるからである。
気にすることが望ましい(請求項4記載の製造方法)。
そうすると、予備焼結の際、ITOの分解及び還元を確
実に防止することができるからである。即ち、予備焼結
の雰囲気を還元雰囲気にすると、ITOの成分であるSn
O2がSnO2→ SnO(気体)+1/2 O2という反応により分解
(気化)してSnO2量が変化(減少)し、そのため、SnO2
量を制御し難くて所定量のSnを含むものが得られなくな
り、又、ITOの成分であるIn2O3 の還元が起こり、そ
のため、黒色のIn2Oを含むものとなり、更には、これら
SnO2の分解及びIn2O3 の還元により密度が低いITOス
パッタリングターゲットとなる傾向にある。これに対
し、予備焼結の雰囲気を大気又は酸化雰囲気にすると、
上記の如きSnO2の分解及びIn2O3 の還元を確実に防止し
得、それらによる不都合の発生を確実に回避できるよう
になるからである。
【0022】以上の如き製造方法によれば、前記特殊カ
プセル使用HIP 法の場合(相対密度88%、93%、96%)
よりも高い密度を有するITOスパッタリングターゲッ
トを得ることが可能である。かかる高密度を有するIT
Oスパッタリングターゲットは、高密度に起因して非常
に優れた特性(性能)を有しており、その密度が高いほ
どITOスパッタリングターゲットとしての性能が高く
なる。特に、相対密度:99%以上という理論密度に近い
密度を有する超高密度のITOスパッタリングターゲッ
トであって、出発原料の混合粉末中での酸化錫量を3〜
15wt%としたものは、従来にみられない顕著に優れた性
能を有している。
プセル使用HIP 法の場合(相対密度88%、93%、96%)
よりも高い密度を有するITOスパッタリングターゲッ
トを得ることが可能である。かかる高密度を有するIT
Oスパッタリングターゲットは、高密度に起因して非常
に優れた特性(性能)を有しており、その密度が高いほ
どITOスパッタリングターゲットとしての性能が高く
なる。特に、相対密度:99%以上という理論密度に近い
密度を有する超高密度のITOスパッタリングターゲッ
トであって、出発原料の混合粉末中での酸化錫量を3〜
15wt%としたものは、従来にみられない顕著に優れた性
能を有している。
【0023】かかる点から、本発明に係るITOスパッ
タリングターゲット(請求項1記載のITOスパッタリ
ングターゲット)は、酸化錫を3〜15wt%含む酸化イン
ジウム基混合粉末を焼結してなるITO焼結体よりなる
ITOスパッタリングターゲットであって、前記ITO
焼結体の相対密度が99%以上であることを特徴とするも
のとしており、次の如き作用効果を奏し、顕著に優れた
性能を発揮することができる。
タリングターゲット(請求項1記載のITOスパッタリ
ングターゲット)は、酸化錫を3〜15wt%含む酸化イン
ジウム基混合粉末を焼結してなるITO焼結体よりなる
ITOスパッタリングターゲットであって、前記ITO
焼結体の相対密度が99%以上であることを特徴とするも
のとしており、次の如き作用効果を奏し、顕著に優れた
性能を発揮することができる。
【0024】ITO焼結体即ちITOスパッタリングタ
ーゲットの相対密度が99%以上であることにより、以下
3点の特性が向上する。 ITOスパッタリングターゲット自体の熱伝導率が
高くなる。そのため、スパッタリング時における冷却水
のターゲット冷却能力が高まり、ターゲットを温度上昇
による還元から防ぐことができる。よって、ITOスパ
ッタリングターゲットの黒色化(低級酸化物化)を抑え
ることができ、ターゲット寿命を伸ばすことができる。 ITOスパッタリングターゲット自体のバルク抵抗
も低下させることができるので、成膜時の放電電圧を下
げることができ、そのためスパッタガスによるITO透
明導電膜の損傷を抑えることができる。 ITOスパッタリングターゲット表面が滑らかにな
り、異常放電を防ぐことができる。即ち、ターゲット表
面の凹凸が大きい場合、ターゲットに電圧を印加した時
に凸部分に電界集中が起こり、アーク放電が起こり易く
なってアーキングの発生原因となる。これに対し、ター
ゲット自体の密度が高い場合、ミクロ的にもかなり表面
が滑らかになり、そのため電界集中を起こすような凸部
分がなくなり、従って、アーキングが発生し難く、安定
な成膜を行うことができる。
ーゲットの相対密度が99%以上であることにより、以下
3点の特性が向上する。 ITOスパッタリングターゲット自体の熱伝導率が
高くなる。そのため、スパッタリング時における冷却水
のターゲット冷却能力が高まり、ターゲットを温度上昇
による還元から防ぐことができる。よって、ITOスパ
ッタリングターゲットの黒色化(低級酸化物化)を抑え
ることができ、ターゲット寿命を伸ばすことができる。 ITOスパッタリングターゲット自体のバルク抵抗
も低下させることができるので、成膜時の放電電圧を下
げることができ、そのためスパッタガスによるITO透
明導電膜の損傷を抑えることができる。 ITOスパッタリングターゲット表面が滑らかにな
り、異常放電を防ぐことができる。即ち、ターゲット表
面の凹凸が大きい場合、ターゲットに電圧を印加した時
に凸部分に電界集中が起こり、アーク放電が起こり易く
なってアーキングの発生原因となる。これに対し、ター
ゲット自体の密度が高い場合、ミクロ的にもかなり表面
が滑らかになり、そのため電界集中を起こすような凸部
分がなくなり、従って、アーキングが発生し難く、安定
な成膜を行うことができる。
【0025】出発原料の酸化インジウム基混合粉末での
酸化錫量が3〜15wt%であるので、それを焼結してなる
ITO焼結体即ちITOスパッタリングターゲットはSn
量:3〜15wt%である。かかるITOスパッタリングタ
ーゲットによりスパッタリングを行うと、得られるIT
O透明導電膜はSnが3〜15wt%固溶したものとなり、そ
のため比抵抗が小さくて優れたITO透明導電膜が得ら
れる。ここで、上記酸化錫量が3wt%未満の場合、及
び、15wt%超の場合、ITO透明導電膜の比抵抗が高く
なって不充分となるので、酸化錫量:3〜15wt%として
いる。この酸化錫量について特に好ましい範囲は4〜10
wt%であり、そうすると比抵抗をより低くできる。
酸化錫量が3〜15wt%であるので、それを焼結してなる
ITO焼結体即ちITOスパッタリングターゲットはSn
量:3〜15wt%である。かかるITOスパッタリングタ
ーゲットによりスパッタリングを行うと、得られるIT
O透明導電膜はSnが3〜15wt%固溶したものとなり、そ
のため比抵抗が小さくて優れたITO透明導電膜が得ら
れる。ここで、上記酸化錫量が3wt%未満の場合、及
び、15wt%超の場合、ITO透明導電膜の比抵抗が高く
なって不充分となるので、酸化錫量:3〜15wt%として
いる。この酸化錫量について特に好ましい範囲は4〜10
wt%であり、そうすると比抵抗をより低くできる。
【0026】上記本発明に係るITOスパッタリングタ
ーゲットにおける酸化インジウム基混合粉末の焼結の方
法は、特には限定されず、ITO焼結体即ちITOスパ
ッタリングターゲットの相対密度を99%以上とし得る焼
結方法であればよく、かかる焼結方法としては、例えば
前記本発明に係るITOスパッタリングターゲットの製
造方法での如き予備焼結及び熱間等方圧加熱処理を経る
焼結方法がある。尚、この熱間等方圧加熱処理は、被処
理物をカプセルに封入した後、加熱して熱間状態とし、
その状態で静水圧等により等方加圧するという処理であ
り、これは焼結方法の一種であり、上記予備焼結に対し
ては本焼結にあたる。
ーゲットにおける酸化インジウム基混合粉末の焼結の方
法は、特には限定されず、ITO焼結体即ちITOスパ
ッタリングターゲットの相対密度を99%以上とし得る焼
結方法であればよく、かかる焼結方法としては、例えば
前記本発明に係るITOスパッタリングターゲットの製
造方法での如き予備焼結及び熱間等方圧加熱処理を経る
焼結方法がある。尚、この熱間等方圧加熱処理は、被処
理物をカプセルに封入した後、加熱して熱間状態とし、
その状態で静水圧等により等方加圧するという処理であ
り、これは焼結方法の一種であり、上記予備焼結に対し
ては本焼結にあたる。
【0027】尚、ITO焼結体の相対密度とは、出発原
料の混合粉末の密度に対するITO焼結体の密度の比率
(%)のことであり、(ITO焼結体の密度/出発原料
の混合粉末の密度)×100 =ITO焼結体の相対密度
(%)という式より求められる値である。ここで、混合
粉末の密度は、粉末自体の密度であり、各粉末の混合割
合により相違する。この混合粉末が酸化インジウム粉末
のみであることは、本発明においては有り得ないが、も
し混合粉末が酸化インジウム粉末のみであるとすれば、
酸化インジウム粉末自体の密度が混合粉末の密度とな
る。
料の混合粉末の密度に対するITO焼結体の密度の比率
(%)のことであり、(ITO焼結体の密度/出発原料
の混合粉末の密度)×100 =ITO焼結体の相対密度
(%)という式より求められる値である。ここで、混合
粉末の密度は、粉末自体の密度であり、各粉末の混合割
合により相違する。この混合粉末が酸化インジウム粉末
のみであることは、本発明においては有り得ないが、も
し混合粉末が酸化インジウム粉末のみであるとすれば、
酸化インジウム粉末自体の密度が混合粉末の密度とな
る。
【0028】
(実施例1)酸化錫粉末を10wt%含む酸化インジウム基
混合粉末(In2O3-10wt%SnO2)に対してバインダー:2
wt%を添加配合し、振動ミルで2時間混合し、得られた
スラリーを造粒した後、4トン/cm2 の圧力で冷間静水
圧成形した。このようにして得られた成形体について、
400 ℃で2時間加熱して脱脂処理した後、大気雰囲気中
で1400〜1600℃に5時間加熱して予備焼結した。しかる
後、この予備焼結体について、アルゴンと酸素との混合
ガス(酸素分圧20%)の雰囲気下で、温度:1000〜1400
℃、圧力:1トン/cm2 で1時間加熱加圧する熱間等方
圧加熱処理をして、ITO焼結体(即ちITOスパッタ
リングターゲット)を得た。これらITO焼結体はいづ
れも低級酸化物である黒色のIn2Oを含まないものである
ことが確認された。
混合粉末(In2O3-10wt%SnO2)に対してバインダー:2
wt%を添加配合し、振動ミルで2時間混合し、得られた
スラリーを造粒した後、4トン/cm2 の圧力で冷間静水
圧成形した。このようにして得られた成形体について、
400 ℃で2時間加熱して脱脂処理した後、大気雰囲気中
で1400〜1600℃に5時間加熱して予備焼結した。しかる
後、この予備焼結体について、アルゴンと酸素との混合
ガス(酸素分圧20%)の雰囲気下で、温度:1000〜1400
℃、圧力:1トン/cm2 で1時間加熱加圧する熱間等方
圧加熱処理をして、ITO焼結体(即ちITOスパッタ
リングターゲット)を得た。これらITO焼結体はいづ
れも低級酸化物である黒色のIn2Oを含まないものである
ことが確認された。
【0029】次に、上記ITO焼結体について相対密度
の測定を行った。即ち、ITO焼結体の密度をアルキメ
デス法により測定し、この密度の測定値:ρ1(g/cm2)
と、出発原料である上記混合粉末(In2O3-10wt%SnO2)
の密度:ρ0(7.155g/cm2) とから下記式を用いてITO
焼結体の相対密度を求めた。 (ρ1 /ρ0 )× 100=ITO焼結体の相対密度(%)
の測定を行った。即ち、ITO焼結体の密度をアルキメ
デス法により測定し、この密度の測定値:ρ1(g/cm2)
と、出発原料である上記混合粉末(In2O3-10wt%SnO2)
の密度:ρ0(7.155g/cm2) とから下記式を用いてITO
焼結体の相対密度を求めた。 (ρ1 /ρ0 )× 100=ITO焼結体の相対密度(%)
【0030】上記ITO焼結体の相対密度の測定結果を
図1に示す。図1からわかる如く、予備焼結温度:1450
℃、1500℃、1550℃のいづれの場合も、熱間等方圧加熱
処理の際の加熱温度(T1)が1000℃或いは1200℃のもの
では予備焼結体の密度と殆ど変わらなかったが、T1:14
00℃のものでは予備焼結体よりも密度が高く、熱間等方
圧加熱処理によって緻密化しており、それらITO焼結
体の相対密度は93%、98%、99.8%であり、前記特殊カ
プセル使用HIP 法の場合(相対密度88%、93%、96%)
と同等もしくはそれ以上の高密度を有している。
図1に示す。図1からわかる如く、予備焼結温度:1450
℃、1500℃、1550℃のいづれの場合も、熱間等方圧加熱
処理の際の加熱温度(T1)が1000℃或いは1200℃のもの
では予備焼結体の密度と殆ど変わらなかったが、T1:14
00℃のものでは予備焼結体よりも密度が高く、熱間等方
圧加熱処理によって緻密化しており、それらITO焼結
体の相対密度は93%、98%、99.8%であり、前記特殊カ
プセル使用HIP 法の場合(相対密度88%、93%、96%)
と同等もしくはそれ以上の高密度を有している。
【0031】これらT1:1400℃のものの中、予備焼結温
度:1450℃であつたものが特に相対密度が高くて99.8%
であり、理論密度に極めて近い水準にある。このことか
ら、大気雰囲気下において1450℃で予備焼結したもの
を、分圧20%の酸素を含む雰囲気下においてT1:1400℃
で熱間等方圧加熱処理をすれば、相対密度99.8%と殆ど
理論密度に等しいITO焼結体が得られることがわか
る。
度:1450℃であつたものが特に相対密度が高くて99.8%
であり、理論密度に極めて近い水準にある。このことか
ら、大気雰囲気下において1450℃で予備焼結したもの
を、分圧20%の酸素を含む雰囲気下においてT1:1400℃
で熱間等方圧加熱処理をすれば、相対密度99.8%と殆ど
理論密度に等しいITO焼結体が得られることがわか
る。
【0032】尚、前記T1:1400℃の熱間等方圧加熱処理
による緻密化の効果は、予備焼結温度の高い方が小さい
が、この原因はポアの大きさが影響したものと考えられ
る。
による緻密化の効果は、予備焼結温度の高い方が小さい
が、この原因はポアの大きさが影響したものと考えられ
る。
【0033】(実施例2)実施例1と同様の成形体(冷
間静水圧成形後のもの)について同様の脱脂処理をした
後、大気雰囲気中で1200〜1700℃に5時間加熱して予備
焼結したところ、1700℃では成形体が溶けてしまった。
そこで、それ以外のもの(1200〜1600℃で予備焼結した
もの)について、アルゴンと酸素との混合ガス(酸素分
圧20%)の雰囲気下で、温度:1400℃、圧力:2トン/
cm2 で1時間加熱加圧する熱間等方圧加熱処理をして、
ITO焼結体(即ちITOスパッタリングターゲット)
を得た。これらITO焼結体はいづれも低級酸化物であ
る黒色のIn2Oを含まないものであることが確認された。
間静水圧成形後のもの)について同様の脱脂処理をした
後、大気雰囲気中で1200〜1700℃に5時間加熱して予備
焼結したところ、1700℃では成形体が溶けてしまった。
そこで、それ以外のもの(1200〜1600℃で予備焼結した
もの)について、アルゴンと酸素との混合ガス(酸素分
圧20%)の雰囲気下で、温度:1400℃、圧力:2トン/
cm2 で1時間加熱加圧する熱間等方圧加熱処理をして、
ITO焼結体(即ちITOスパッタリングターゲット)
を得た。これらITO焼結体はいづれも低級酸化物であ
る黒色のIn2Oを含まないものであることが確認された。
【0034】次に、上記ITO焼結体について相対密度
の測定を行った。その結果を図2に示す。図2からわか
る如く、予備焼結温度:1200℃、1300℃のものでは予備
焼結後の密度が低く、又、熱間等方圧加熱処理(T1:14
00℃)による緻密化の効果も小さかった。これに対し、
予備焼結温度:1400℃、1500℃、1600℃のものでは予備
焼結後の密度が比較的高く85%以上であり、又、熱間等
方圧加熱処理(T1:1400℃)による緻密化の効果も大き
く、相対密度:99%、97%、95%のITO焼結体が得ら
れた。これらは、前記特殊カプセル使用HIP 法よりも高
い水準にある。
の測定を行った。その結果を図2に示す。図2からわか
る如く、予備焼結温度:1200℃、1300℃のものでは予備
焼結後の密度が低く、又、熱間等方圧加熱処理(T1:14
00℃)による緻密化の効果も小さかった。これに対し、
予備焼結温度:1400℃、1500℃、1600℃のものでは予備
焼結後の密度が比較的高く85%以上であり、又、熱間等
方圧加熱処理(T1:1400℃)による緻密化の効果も大き
く、相対密度:99%、97%、95%のITO焼結体が得ら
れた。これらは、前記特殊カプセル使用HIP 法よりも高
い水準にある。
【0035】(実施例3)実施例1と同様の成形体(冷
間静水圧成形後のもの)について同様の脱脂処理をした
後、酸素雰囲気中で1200〜1700℃に5時間加熱して予備
焼結したところ、1700℃では成形体が溶けてしまった。
そこで、それ以外のもの(1200〜1600℃で予備焼結した
もの)について、アルゴンと酸素との混合ガス(酸素分
圧20%)の雰囲気下で、温度:1400℃、圧力:2トン/
cm2 で1時間加熱加圧する熱間等方圧加熱処理をして、
ITO焼結体を得た。これらITO焼結体はいづれも低
級酸化物である黒色のIn2Oを含まないものであることが
確認された。
間静水圧成形後のもの)について同様の脱脂処理をした
後、酸素雰囲気中で1200〜1700℃に5時間加熱して予備
焼結したところ、1700℃では成形体が溶けてしまった。
そこで、それ以外のもの(1200〜1600℃で予備焼結した
もの)について、アルゴンと酸素との混合ガス(酸素分
圧20%)の雰囲気下で、温度:1400℃、圧力:2トン/
cm2 で1時間加熱加圧する熱間等方圧加熱処理をして、
ITO焼結体を得た。これらITO焼結体はいづれも低
級酸化物である黒色のIn2Oを含まないものであることが
確認された。
【0036】次に、上記ITO焼結体について相対密度
の測定を行った。その結果を図3に示す。図3からわか
る如く、予備焼結温度:1200℃、1300℃のものでは予備
焼結後の密度が低く、又、熱間等方圧加熱処理(T1:14
00℃)による緻密化の効果も小さかった。これに対し、
予備焼結温度:1400℃、1500℃、1600℃のものでは予備
焼結後の密度が比較的高く90%以上であり、又、熱間等
方圧加熱処理(T1:1400℃)による緻密化の効果も大き
く、相対密度:99%、98%、96%のITO焼結体が得ら
れた。これらは、前記特殊カプセル使用HIP 法よりも高
い水準にある。
の測定を行った。その結果を図3に示す。図3からわか
る如く、予備焼結温度:1200℃、1300℃のものでは予備
焼結後の密度が低く、又、熱間等方圧加熱処理(T1:14
00℃)による緻密化の効果も小さかった。これに対し、
予備焼結温度:1400℃、1500℃、1600℃のものでは予備
焼結後の密度が比較的高く90%以上であり、又、熱間等
方圧加熱処理(T1:1400℃)による緻密化の効果も大き
く、相対密度:99%、98%、96%のITO焼結体が得ら
れた。これらは、前記特殊カプセル使用HIP 法よりも高
い水準にある。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、特殊カプセル使用HIP
法(特開平5-155651号公報に記載の方法)での如き複雑
な処理、手段を要することなく比較的簡単に製造し得、
低級酸化物である黒色のIn2Oを含まず、且つ前記特殊カ
プセル使用HIP 法の場合(相対密度88%、93%、96%)
と同等もしくはそれ以上の高密度を有するITOスパッ
タリングターゲットが得られるようになる。そして、か
かるITOスパッタリングターゲットによれば、その使
用初期の時点から高透過率・低抵抗なITO透明導電膜
を得ることができ、又、ターゲットの経時劣化である黒
色化やノジュールの発生が抑制され、そのため、ターゲ
ット使用効率の低下が生じず、又、高透過率・低抵抗な
ITO透明導電膜を安定して得ることができる。
法(特開平5-155651号公報に記載の方法)での如き複雑
な処理、手段を要することなく比較的簡単に製造し得、
低級酸化物である黒色のIn2Oを含まず、且つ前記特殊カ
プセル使用HIP 法の場合(相対密度88%、93%、96%)
と同等もしくはそれ以上の高密度を有するITOスパッ
タリングターゲットが得られるようになる。そして、か
かるITOスパッタリングターゲットによれば、その使
用初期の時点から高透過率・低抵抗なITO透明導電膜
を得ることができ、又、ターゲットの経時劣化である黒
色化やノジュールの発生が抑制され、そのため、ターゲ
ット使用効率の低下が生じず、又、高透過率・低抵抗な
ITO透明導電膜を安定して得ることができる。
【0038】特に、相対密度:99%以上の超高密度を有
するITOスパッタリングターゲットを得ることも可能
であり、かかる超高密度のITOスパッタリングターゲ
ットによれば、ターゲット自体の熱伝導率が高いことに
起因してターゲット寿命を大幅に向上でき、又、ターゲ
ット自体のバルク抵抗が低いことに起因してスパッタガ
スによるITO透明導電膜の損傷を抑えることができ、
更に、ターゲット表面が滑らかになることに起因して異
常放電を防ぐことができ、アーキングが発生し難く、安
定な成膜を行うことができるようになるという従来にみ
られない顕著に優れた性能を発揮することができる。
するITOスパッタリングターゲットを得ることも可能
であり、かかる超高密度のITOスパッタリングターゲ
ットによれば、ターゲット自体の熱伝導率が高いことに
起因してターゲット寿命を大幅に向上でき、又、ターゲ
ット自体のバルク抵抗が低いことに起因してスパッタガ
スによるITO透明導電膜の損傷を抑えることができ、
更に、ターゲット表面が滑らかになることに起因して異
常放電を防ぐことができ、アーキングが発生し難く、安
定な成膜を行うことができるようになるという従来にみ
られない顕著に優れた性能を発揮することができる。
【図1】 実施例1に係る予備焼結温度とITO焼結体
(予備焼結後、熱間等方圧加熱処理後)の相対密度との
関係を示す図である。
(予備焼結後、熱間等方圧加熱処理後)の相対密度との
関係を示す図である。
【図2】 実施例2に係る予備焼結温度とITO焼結体
(予備焼結後、熱間等方圧加熱処理後)の相対密度との
関係を示す図である。
(予備焼結後、熱間等方圧加熱処理後)の相対密度との
関係を示す図である。
【図3】 実施例3に係る予備焼結温度とITO焼結体
(予備焼結後、熱間等方圧加熱処理後)の相対密度との
関係を示す図である。
(予備焼結後、熱間等方圧加熱処理後)の相対密度との
関係を示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 酸化錫を3〜15wt%含む酸化インジウム
基混合粉末を焼結してなるITO焼結体よりなるITO
スパッタリングターゲットであって、前記ITO焼結体
の相対密度が99%以上であることを特徴とするITOス
パッタリングターゲット。 - 【請求項2】 酸化インジウム粉末及び酸化錫粉末を含
む混合粉末を予備焼結した後、分圧20%以下の酸素を含
む雰囲気下、1200℃を超える温度で熱間等方圧加熱処理
をし、ITOよりなるスパッタリングターゲットを製造
することを特徴とするITOスパッタリングターゲット
の製造方法。 - 【請求項3】 前記予備焼結を予備焼結温度:1400〜16
00℃にして行う請求項2記載のITOスパッタリングタ
ーゲットの製造方法。 - 【請求項4】 前記予備焼結の雰囲気を大気又は酸化雰
囲気にする請求項2又は3記載のITOスパッタリング
ターゲットの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7087009A JPH08283934A (ja) | 1995-04-12 | 1995-04-12 | Itoスパッタリングターゲット及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7087009A JPH08283934A (ja) | 1995-04-12 | 1995-04-12 | Itoスパッタリングターゲット及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08283934A true JPH08283934A (ja) | 1996-10-29 |
Family
ID=13902965
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7087009A Pending JPH08283934A (ja) | 1995-04-12 | 1995-04-12 | Itoスパッタリングターゲット及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08283934A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6669830B1 (en) | 1999-11-25 | 2003-12-30 | Idemitsu Kosan Co., Ltd. | Sputtering target, transparent conductive oxide, and process for producing the sputtering target |
EP1950177A1 (en) * | 2005-11-18 | 2008-07-30 | Idemitsu Kosan Co., Ltd. | Semiconductor thin film, method for producing same, and thin film transistor |
CN114853467A (zh) * | 2022-05-24 | 2022-08-05 | 先导薄膜材料(广东)有限公司 | 一种ito平面靶材及其制备方法 |
CN116496081A (zh) * | 2023-04-17 | 2023-07-28 | 湘潭大学 | 一种铟锡氧三元化合物靶材及其制备方法和应用 |
-
1995
- 1995-04-12 JP JP7087009A patent/JPH08283934A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6669830B1 (en) | 1999-11-25 | 2003-12-30 | Idemitsu Kosan Co., Ltd. | Sputtering target, transparent conductive oxide, and process for producing the sputtering target |
EP1752430A1 (en) | 1999-11-25 | 2007-02-14 | Idemitsu Kosan Co., Ltd. | Sputtering target, transparent conductive oxide, and process for producing the sputtering target |
EP1950177A1 (en) * | 2005-11-18 | 2008-07-30 | Idemitsu Kosan Co., Ltd. | Semiconductor thin film, method for producing same, and thin film transistor |
EP1950177A4 (en) * | 2005-11-18 | 2009-02-25 | Idemitsu Kosan Co | SEMICONDUCTOR THIN FILM, MANUFACTURING METHOD AND THIN FILM TRANSISTOR |
CN114853467A (zh) * | 2022-05-24 | 2022-08-05 | 先导薄膜材料(广东)有限公司 | 一种ito平面靶材及其制备方法 |
CN116496081A (zh) * | 2023-04-17 | 2023-07-28 | 湘潭大学 | 一种铟锡氧三元化合物靶材及其制备方法和应用 |
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