JP2009161389A - 酸化亜鉛系透明導電膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】低抵抗率で、かつ、抵抗率の膜厚依存性及び基板上での抵抗率分布が少ない酸化亜鉛を母材とする透明導電膜およびその製造用技術並びに薄膜製造用製造用酸化物焼結体を提供する。
【解決手段】例えば、アルミニウム添加酸化亜鉛(AZO)にスズを添加した透明導電膜で、アルミニウムの含有量をAl/(Zn+Al+Sn)の原子比で1%を超え8%未満、かつスズの含有量をSn/(Zn+Al+Sn)の原子比で0.1%を超え1%未満として作製したZnO系焼結体ターゲットもしくはペレットを用いるマグネトロンスパッタリング法により、低抵抗率で抵抗率の膜厚依存性及び基板上での抵抗率分布が改善されたZnO系透明導電膜を得ることができる。
【選択図】図1
【解決手段】例えば、アルミニウム添加酸化亜鉛(AZO)にスズを添加した透明導電膜で、アルミニウムの含有量をAl/(Zn+Al+Sn)の原子比で1%を超え8%未満、かつスズの含有量をSn/(Zn+Al+Sn)の原子比で0.1%を超え1%未満として作製したZnO系焼結体ターゲットもしくはペレットを用いるマグネトロンスパッタリング法により、低抵抗率で抵抗率の膜厚依存性及び基板上での抵抗率分布が改善されたZnO系透明導電膜を得ることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、フラットパネルディスプレイやタッチパネルなどに使用される透明導電膜及びその成膜に使用するマグネトロンスパッタリング用酸化物焼結体ターゲットに関する。
ITO(Indium Tin Oxide)薄膜は、低抵抗率で可視光に対して高い透過率を示すことから、液晶ディスプレイを中心としたフラットパネルディスプレイやタッチパネル、太陽電池などの透明電極として幅広く用いられている。しかし、近年、ITOの原材料であるインジウム価格の高騰、資源問題等による安定供給不安からインジウムを使用しない透明導電膜(ITO代替材料)への関心が高まっている。ITO代替材料としては、酸化亜鉛、酸化スズを母材とした材料が知られているが、特に、酸化亜鉛にアルミニウムを添加した膜(以下AZOと略記する)では、1.9×10−4ΩcmというITOに匹敵する値が報告されている(例えば非特許文献1参照)。
酸化亜鉛を母材とする膜の形成方法としては、高周波(rf)マグネトロンスパッタリング法、直流(dc)マグネトロンスパッタリング法、パルスレーザー蒸着法、真空アークプラズマ蒸着法、イオンプレーティング法などをあげることができる。上記、1.9×10− 4Ωcmという値は、rfマグネトロンスパッタリング法により得られている。しかし、フラットパネルディスプレイの製造工程では、大面積均一成膜および高速成膜が必要とされ、液晶ディスプレイ(LCD)を始め多くのフラットパネルディスプレイ用の透明電極製造にはdcマグネトロンスパッタリング法が採用されている。そのため既存の製造工程への対応を考えた場合には、このdcマグネトロンスパッタリング法で実用的特性を示す膜を形成する必要がある。
しかし、現状のLCD製造プロセスにおけるITO透明電極形成技術をZnO系に適用した場合、ZnO系透明導電膜が解決しなければならない以下のような技術的課題(問題点)が存在する。問題点(1):dcマグネトロンスパッタリング装置を用いて作製したZnO系透明導電膜では、膜厚が200nm程度より薄くなるに伴って、電気的特性が膜厚に大きく依存する(膜厚の減少に伴って抵抗率が大幅に増加する)。問題点(2):dcマグネトロンスパッタリング装置を用いてZnO系透明導電膜を作製すると基板上に生じる抵抗率分布(ターゲットのエロージョン領域に対向する基板上の位置で抵抗率が増加する)が膜厚が200nm程度より薄くなるに伴って増大する。換言すると、アクティブマトリックス型LCDに使用する透明電極の材料を全面的にITOからZnO系に置き換えるためには、上記の問題点(1)及び(2)を解決しなければならない。このような事情に鑑み、抵抗率特性の膜厚依存性を改善する新規な酸化亜鉛系透明導電膜、並びに成膜に使用する焼結体を提供することにより、膜厚が200nm未満のITO透明電極をZnO系透明電極に置き換えることを課題とする。
本発明者らは、上記問題を解決するため、低抵抗率を示すことでよく知られるアルミニウム添加酸化亜鉛(以下AZOと記載)、ガリウム添加酸化亜鉛(以下GZOと記載)及び珪素添加酸化亜鉛(以下SiZOと記載)に共添加する添加剤について鋭意検討を行った。
その結果、ZnOにアルミニウム、ガリウムもしくは珪素等の公知のドナー不純物(例えば非特許文献1、2、3及び4参照)を添加し、さらに、ドナー不純物としては作用しないことが知られているスズ(例えば非特許文献4参照)を共添加することによって、特に膜厚約200nm未満の極めて薄い膜において抵抗率の増加を大幅に低減し、その結果、抵抗率の膜厚依存性を安定で大幅に抑制できることを発見した。加えて、スズを共添加することによってマグネトロンスパッタリング法で作製した場合の膜の基板上での抵抗率分布の膜厚依存性を安定で大幅に改善できることを発見した。また、ドナー不純物及びスズの添加量にはそれぞれ最適添加量が存在し、例えば、アルミニウムの場合はAl/(Zn+Al+Sn)の原子比で1%を超え8%未満かつスズがSn/(Zn+Al+Sn)の原子比で0.1%を超え1%未満とすることで、抵抗率の膜厚依存性並びに基板上での抵抗率分布を安定で大幅に抑制した酸化亜鉛系透明導電膜を実現できることを見いだした。
T.Minami、H.Nanto and S.Takata、Jpn J.Appl.Phys.、23,280−282(1984). T.Minami、H.Sato、H.Nanto and S.Takata、Jpn J.Appl.Phys.、24,L781−L784(1985). T.Minami、H.Sato、H.Nanto and S.Takata、Jpn J.Appl.Phys.、25,L776−L779(1986). H.Sato、T.Minami and S.Takata、J.Vac.Sci.Technol.,A11,2975−2979(1993).すなわち本発明は、例えば、膜厚200nm未満のITO透明導電膜が使用されているLCDやタッチパネル用ITO透明電極の代替として、ZnO系透明導電膜を実用化することを目的として、実質的に亜鉛、アルミニウム、スズおよび酸素からなり、アルミニウムがAl/(Zn+Al+Sn)の原子比で1%を超え8%未満の割合で含有され、かつスズがSn/(Zn+Al+Sn)の原子比で0.1%を超え1%未満の割合で含有されていることを特徴とするZnO系透明導電膜およびその製造に用いるマグネトロンスパッタリング成膜用ZnO系焼結体ターゲットを提供するものである。
アルミニウムの含有量は、上記の原子比で1%を超え8%未満である。これは、この範囲外では、薄膜の抵抗率が高くなるためである。
スズの添加量は、0.1%を超え1%未満である。0.1%以下の場合は、本発明による抵抗率の膜厚依存性を抑制する効果が得難く、1%以上では、得られる薄膜の抵抗率が高くなるためである。
次にスズの共添加効果について説明する。ZnO系透明導電膜において、Al、Ga及びSiは極めて良好なドナー不純物となるが、Snはドナーとしては作用しないことが知られている。これまでに、発明者らは、ZnOとSnO2を組み合わせたZnO−SnO2多元系透明導電膜においては、膜中のSn含有量の増加に伴って、酸・アルカリ溶液に対する膜の化学的安定性が向上することを見出した(例えば、非特許文献5参照)。これは、Snの添加によってZnOの化学的特性が大きく変化することを示唆している。そこで、Snに注目してよく知られているAl、GaもしくはSiドナー不純物の添加効果を活かしながら、抵抗率の膜厚依存性を抑制する共添加剤としての有効性について鋭意検討を行った。その結果、ドナー不純物としては作用しないことが知られているSnを共添加することによって、200nm未満の極めて薄い膜におけるキャリア密度及びホール移動度の低下が抑制され、抵抗率の増大が抑制された。結果として、抵抗率の増加や安定性の膜厚依存性の大幅な改善を実現した。
T.Minami,S.Takata,H.Sato and H.Sonohara,J.Vac.Sci.Technol.,A13,1095(J1995).
T.Minami,S.Takata,H.Sato and H.Sonohara,J.Vac.Sci.Technol.,A13,1095(J1995).
本発明の透明導電膜は、例えば、酸化亜鉛、酸化アルミニウムおよび酸化スズを含む焼結体ターゲットを用い、マグネトロンスパッタリング法により作製することができる。また、亜鉛、アルミニウム、スズを含む金属ターゲットを用い、酸素を含有する雰囲気中で反応性マグネトロンスパッタリング法によっても作製することが可能である。LCDやタッチパネルは膜厚200nm未満であるが、太陽電池用透明電極では厚くして使用すると抵抗率の低下と安定性を実現できる。
本発明の酸化亜鉛系スパッタリングターゲットは、例えば、酸化亜鉛粉末、酸化アルミニウム粉末及び酸化スズ粉末を目的とする組成となるように混合し、プレス等により成形した後、焼成することで焼結体を得、必要に応じて、整形・研磨して得られる。具体的には、ターゲット中のアルミニウムの含有量をAl/(Zn+Al+Sn)の原子百分率(以下原子%と略記する)で1%を超え8%未満とし、かつ、ターゲット中のスズの量をSn/(Zn+Al+Sn)の原子%で0.1%を超え1%未満とする。
スパッタリングガスとしては、不活性ガスの例えばArを使用する。必要に応じて、酸化性ガスや還元性ガスを導入しても良い。
本発明により、特にLCDに好適な、約200nm未満の極めて薄い領域において、低抵抗率で且つ膜厚依存性の少ない良好な酸化亜鉛を母材とする透明導電膜及びその製造用焼結体が提供可能となる。
以下に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
平均粒径が1μmの酸化亜鉛粉末と、平均粒径が0.2μmの酸化アルミニウム粉末と、平均粒径が0.5μmの酸化スズ粉末とを所定量ポットに入れ、乾式ボールミルにより48時間混合し、混合粉末を作製した。この混合粉末を金型に入れ、300kg/cm2の圧力でプレスを行い成形体とした。この成形体を3ton/cm2の圧力でCIPによる緻密化処理を行った。次に該成形体を以下の条件で焼結した。
(焼結条件)
焼結温度:1250℃
昇温速度:50℃/hr
保持時間:5時間
焼結雰囲気:Ar雰囲気中
得られた焼結体を6インチφ×5mmtに加工し、インジウム半田を用いて無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングした。
焼結温度:1250℃
昇温速度:50℃/hr
保持時間:5時間
焼結雰囲気:Ar雰囲気中
得られた焼結体を6インチφ×5mmtに加工し、インジウム半田を用いて無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングした。
このターゲットを用いて、dcマグネトロンスパッタリング法により以下に示す条件で、AlおよびSn含有量の異なる透明導電膜を作製した。
(スパッタリング成膜条件)
装置:dcマグネトロンスパッタ装置
磁界強度:1000Gauss(ターゲット直上、水平成分)
基板温度:200℃
到達真空度:5×10−5Pa
スパッタリングガス:Ar
スパッタリングガス圧:0.5Pa
DCパワー:300W
膜厚:100nm
使用基板:無アルカリガラス(日本電気ガラス製OA−10ガラス)
得られた薄膜の抵抗率をホール効果測定装置を用いて測定した。アルミニウムが1原子%を超え8原子%未満かつスズが(Sn/(Zn+Al+Sn))0.1原子%を超え1原子%未満の範囲で10−4Ωcm台の低抵抗率の膜を得ることができた。
装置:dcマグネトロンスパッタ装置
磁界強度:1000Gauss(ターゲット直上、水平成分)
基板温度:200℃
到達真空度:5×10−5Pa
スパッタリングガス:Ar
スパッタリングガス圧:0.5Pa
DCパワー:300W
膜厚:100nm
使用基板:無アルカリガラス(日本電気ガラス製OA−10ガラス)
得られた薄膜の抵抗率をホール効果測定装置を用いて測定した。アルミニウムが1原子%を超え8原子%未満かつスズが(Sn/(Zn+Al+Sn))0.1原子%を超え1原子%未満の範囲で10−4Ωcm台の低抵抗率の膜を得ることができた。
また、アルミニウムが3.3原子%、かつスズが0.25原子%の焼結体ターゲットを用いて作製したスズ共添加AZO薄膜の抵抗率の膜厚依存性について検討した。図1に作製したスズ共添加AZO薄膜の抵抗率の膜厚依存性を示す。また、図2に比較のために、スズを含有しないAZO焼結体ペレットを用い同様の成膜条件下で作製したAZO薄膜の抵抗率の膜厚依存性を示す。図1及び2から明らかなように、AZO薄膜においては、膜厚約30nm極薄膜では膜の抵抗率が1.9×10−3Ωcmに上昇しているのに対して、スズを共添加したAZO薄膜においては、膜厚約30nm極薄膜においても、9.0×10−4Ωcmを実現しており、結果として抵抗率の膜厚依存性を大幅に改善できた。
平均粒径が1μmの酸化亜鉛粉末と、平均粒径が0.2μmの酸化ガリウム粉末と、平均粒径が0.5μmの酸化スズ粉末とを所定量ポットに入れ、乾式ボールミルにより48時間混合し、混合粉末を作製した。この混合粉末を金型に入れ、300kg/cm2の圧力でプレスを行い成形体とした。この成形体を3ton/cm2の圧力でCIPによる緻密化処理を行った。実施例1と同様の条件下で焼結して作製したターゲットを用いたdcマグネトロンスパッタリング法により実施例1と同様の成膜条件下で透明導電膜を作製した。
ガリウムが3.0原子%かつスズが(Sn/(Zn+Ga+Sn))0.25原子%で膜厚30nmに作製した極めて薄い酸化亜鉛系透明導電膜において9.1×10−4Ωcmの低抵抗率の膜を得ることができた。結果として抵抗率の膜厚依存性を大幅に改善できた。また、作製した膜の基板上での抵抗率分布は膜全体で±15%未満であり、抵抗率分布の少ない膜を実現できた。
平均粒径が1μmの酸化亜鉛粉末と、平均粒径が0.2μmの酸化珪素粉末と、平均粒径が0.5μmの酸化スズ粉末とを所定量ポットに入れ、乾式ボールミルにより48時間混合し、混合粉末を作製した。この混合粉末を金型に入れ、300kg/cm2の圧力でプレスを行い成形体とした。この成形体を3ton/cm2の圧力でCIPによる緻密化処理を行った。実施例1と同様の条件下で焼結して作製したターゲットを用いたdcマグネトロンスパッタリング法により実施例1と同様の成膜条件下で透明導電膜を作製した。
珪素が3.0原子%かつスズが(Sn/(Zn+Si+Sn))0.25原子%で膜厚30nmに作製した極めて薄い酸化亜鉛系透明導電膜において9.2×10−4Ωcmの低抵抗率の膜を得ることができた。結果として抵抗率の膜厚依存性を大幅に改善できた。また、作製した膜の基板上での抵抗率分布は膜全体で±15%未満であり、抵抗率分布の少ない膜を実現できた。
平均粒径が1μmの酸化亜鉛粉末と、平均粒径が0.2μmの酸化アルミニウム粉末及び酸化ガリウム粉末と、平均粒径が0.5μmの酸化スズ粉末とを所定量ポットに入れ、乾式ボールミルにより48時間混合し、混合粉末を作製した。この混合粉末を金型に入れ、300kg/cm2の圧力でプレスを行い成形体とした。この成形体を3ton/cm2の圧力でCIPによる緻密化処理を行った。実施例1と同様の条件下で焼結して作製したターゲットを用いたdcマグネトロンスパッタリング法により実施例1と同様の成膜条件下で透明導電膜を作製した。
アルミニウムが3.0原子%、ガリウムが0.3原子%かつスズがSn/(Zn+Al+Ga+Sn)の原子比で0.25%で膜厚30nmに作製した極めて薄い酸化亜鉛系透明導電膜において9.1×10−4Ωcmの低抵抗率の膜を得ることができた。結果として抵抗率の膜厚依存性を大幅に改善できた。また、作製した膜の基板上での抵抗率分布は膜全体で±15%未満であり、抵抗率分布の少ない膜を実現できた。
平均粒径が1μmの酸化亜鉛粉末と、平均粒径が0.2μmの酸化アルミニウム粉末及び酸化インジウム粉末と、平均粒径が0.5μmの酸化スズ粉末とを所定量ポットに入れ、乾式ボールミルにより48時間混合し、混合粉末を作製した。この混合粉末を金型に入れ、300kg/cm2の圧力でプレスを行い成形体とした。この成形体を3ton/cm2の圧力でCIPによる緻密化処理を行った。実施例1と同様の条件下で焼結して作製したターゲットを用いたdcマグネトロンスパッタリング法により実施例1と同様の成膜条件下で透明導電膜を作製した。
アルミニウムが3.0原子%、インジウムが0.3原子%かつスズがSn/(Zn+Al+In+Sn)の原子比で0.25%で膜厚30nmに作製した極めて薄い酸化亜鉛系透明導電膜において9.0×10−4Ωcmの低抵抗率の膜を得ることができた。結果として抵抗率の膜厚依存性を大幅に改善できた。また、作製した膜の基板上での抵抗率分布は膜全体で±15%未満であり、抵抗率分布の少ない膜を実現できた。
平均粒径が1μmの酸化亜鉛粉末と、平均粒径が0.2μmの酸化アルミニウム粉末及び酸化珪素粉末と、平均粒径が0.5μmの酸化スズ粉末とを所定量ポットに入れ、乾式ボールミルにより48時間混合し、混合粉末を作製した。この混合粉末を金型に入れ、300kg/cm2の圧力でプレスを行い成形体とした。この成形体を3ton/cm2の圧力でCIPによる緻密化処理を行った。実施例1と同様の条件下で焼結して作製したターゲットを用いたdcマグネトロンスパッタリング法により実施例1と同様の成膜条件下で透明導電膜を作製した。
アルミニウムが3.0原子%、珪素が0.3原子%かつスズがSn/(Zn+Al+Si+Sn)の原子比で0.25%で膜厚30nmに作製した極めて薄い酸化亜鉛系透明導電膜において9.0×10−4Ωcmの低抵抗率の膜を得ることができた。結果として抵抗率の膜厚依存性を大幅に改善できた。また、作製した膜の基板上での抵抗率分布は膜全体で±15%未満であり、抵抗率分布の少ない膜を実現できた。
平均粒径が1μmの酸化亜鉛粉末と、平均粒径が0.2μmの酸化ガリウム粉末及び酸化インジウム粉末と、平均粒径が0.5μmの酸化スズ粉末とを所定量ポットに入れ、乾式ボールミルにより48時間混合し、混合粉末を作製した。この混合粉末を金型に入れ、300kg/cm2の圧力でプレスを行い成形体とした。この成形体を3ton/cm2の圧力でCIPによる緻密化処理を行った。実施例1と同様の条件下で焼結して作製したターゲットを用いたdcマグネトロンスパッタリング法により実施例1と同様の成膜条件下で透明導電膜を作製した。
ガリウムが3.0原子%、インジウムが0.3原子%かつスズがSn/(Zn+Ga+In+Sn)の原子比で0.25%で膜厚30nmに作製した極めて薄い酸化亜鉛系透明導電膜において9.0×10−4Ωcmの低抵抗率の膜を得ることができた。結果として抵抗率の膜厚依存性を大幅に改善できた。また、作製した膜の基板上での抵抗率分布は膜全体で±15%未満であり、抵抗率分布の少ない膜を実現できた。
平均粒径が1μmの酸化亜鉛粉末と、平均粒径が0.2μmの酸化ガリウム粉末及び酸化珪素粉末と、平均粒径が0.5μmの酸化スズ粉末とを所定量ポットに入れ、乾式ボールミルにより48時間混合し、混合粉末を作製した。この混合粉末を金型に入れ、300kg/cm2の圧力でプレスを行い成形体とした。この成形体を3ton/cm2の圧力でCIPによる緻密化処理を行った。実施例1と同様の条件下で焼結して作製したターゲットを用いたdcマグネトロンスパッタリング法により実施例1と同様の成膜条件下で透明導電膜を作製した。
ガリウムが3.0原子%、珪素が0.3原子%かつスズがSn/(Zn+Ga+Si+Sn)の原子比で0.25%で膜厚30nmに作製した極めて薄い酸化亜鉛系透明導電膜において9.0×10−4Ωcmの低抵抗率の膜を得ることができた。結果として抵抗率の膜厚依存性を大幅に改善できた。また、作製した膜の基板上での抵抗率分布は膜全体で±15%未満であり、抵抗率分布の少ない膜を実現できた。
Claims (12)
- 実質的に亜鉛、アルミニウム、スズおよび酸素からなり、アルミニウムがAl/(Zn+Al+Sn)の原子比で1%を超え8%未満の割合で含有され、且つスズがSn/(Zn+Al+Sn)の原子比で0.1%を超え1%未満の割合で含有されることにより、アルミニウムがドナーとして作用し、スズが抵抗率特性の膜厚依存性の抑制に対して作用することを特徴とする酸化亜鉛系透明導電膜。
- 実質的に亜鉛、ガリウム、スズおよび酸素からなり、ガリウムがGa/(Zn+Ga+Sn)の原子比で1%を超え8%未満の割合で含有され、且つスズがSn/(Zn+Ga+Sn)の原子比で0.1%を超え1%未満の割合で含有されることにより、ガリウムがドナーとして作用し、スズが抵抗率特性の膜厚依存性の抑制に対して作用することを特徴とする酸化亜鉛系透明導電膜。
- 実質的に亜鉛、珪素、スズおよび酸素からなり、珪素がSi/(Zn+Si+Sn)の原子比で1%を超え8%未満の割合で含有され、且つスズがSn/(Zn+Si+Sn)の原子比で0.1%を超え1%未満の割合で含有されることにより、珪素がドナーとして作用し、スズが抵抗率特性の膜厚依存性の抑制に対して作用することを特徴とする酸化亜鉛系透明導電膜。
- 実質的に亜鉛、アルミニウム、ガリウム、スズおよび酸素からなり、アルミニウムがAl/(Zn+Al+Ga+Sn)の原子比で1%を超え8%未満の割合で含有され、ガリウムがGa/(Zn+Al+Ga+Sn)の原子比で0.1%を超え1%未満の割合で含有され、且つスズがSn/(Zn+Al+Ga+Sn)の原子比で0.1%を超え1%未満の割合で含有されることにより、アルミニウム及びガリウムがドナーとして作用し、スズが抵抗率特性の膜厚依存性の抑制に対して作用することを特徴とする酸化亜鉛系透明導電膜。
- 実質的に亜鉛、アルミニウム、インジウム、スズおよび酸素からなり、アルミニウムがAl/(Zn+Al+In+Sn)の原子比で1%を超え8%未満の割合で含有され、インジウムがIn/(Zn+Al+In+Sn)の原子比で0.1%を超え1%未満の割合で含有され、且つスズがSn/(Zn+Al+In+Sn)の原子比で0.1%を超え1%未満の割合で含有されていることにより、アルミニウム及びインジウムがドナーとして作用し、スズが抵抗率特性の膜厚依存性の抑制に対して作用することを特徴とする酸化亜鉛系透明導電膜。
- 実質的に亜鉛、アルミニウム、珪素、スズおよび酸素からなり、アルミニウムがAl/(Zn+Al+Si+Sn)の原子比で1%を超え8%未満の割合で含有され、珪素がSi/(Zn+Al+Si+Sn)の原子比で0.1%を超え1%未満の割合で含有され、且つスズがSn/(Zn+Al+Si+Sn)の原子比で0.1%を超え1%未満の割合で含有されていることにより、アルミニウム及び珪素がドナーとして作用し、スズが抵抗率特性の膜厚依存性の抑制に対して作用することを特徴とする酸化亜鉛系透明導電膜。
- 実質的に亜鉛、ガリウム、インジウム、スズおよび酸素からなり、ガリウムがGa/(Zn+Ga+In+Sn)の原子比で1%を超え8%未満の割合で含有され、インジウムがIn/(Zn+Ga+In+Sn)の原子比で0.1%を超え1%未満の割合で含有され、且つスズがSn/(Zn+Ga+In+Sn)の原子比で0.1%を超え1%未満の割合で含有されることにより、ガリウム及びインジウムがドナーとして作用し、スズが抵抗率特性の膜厚依存性の抑制に対して作用することを特徴とする酸化亜鉛系透明導電膜。
- 実質的に亜鉛、ガリウム、珪素、スズおよび酸素からなり、ガリウムがGa/(Zn+Ga+Si+Sn)の原子比で1%を超え8%未満の割合で含有され、珪素がSi/(Zn+Ga+Si+Sn)の原子比で0.1%を超え1%未満の割合で含有され、且つスズがSn/(Zn+Ga+Si+Sn)の原子比で0.1%を超え1%未満の割合で含有されることにより、ガリウム及び珪素がドナーとして作用し、スズが抵抗率特性の膜厚依存性の抑制に対して作用することを特徴とする酸化亜鉛系透明導電膜。
- 透明導電膜の厚さが200nm未満であることを特徴とする請求項1から8に記載の酸化亜鉛系透明導電膜。
- 請求項1から8記載の化学的組成からなるマグネトロンスパッタリング用焼結体ターゲット
- 請求項10記載の焼結体ターゲットを用いるマグネトロンスパッタリング法により作製した請求項1から9記載の酸化亜鉛系透明導電膜を含んでなる液晶ディスプレイ及びタッチパネル。
- 請求項10記載の焼結体ターゲットを用いるマグネトロンスパッタリング法により作製した請求項1から8記載の酸化亜鉛系透明導電膜を含んでなる機器。
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