JPH08281121A - 光触媒担持無機繊維紙 - Google Patents

光触媒担持無機繊維紙

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JPH08281121A
JPH08281121A JP7108057A JP10805795A JPH08281121A JP H08281121 A JPH08281121 A JP H08281121A JP 7108057 A JP7108057 A JP 7108057A JP 10805795 A JP10805795 A JP 10805795A JP H08281121 A JPH08281121 A JP H08281121A
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gel
inorganic
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信夫 木村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】優れた光触媒活性と高い強度及び耐久性を持つ
光触媒担持無機繊維紙。 【構成】光触媒を担持した無機繊維紙において、無機繊
維同士の結合剤がアクリルシリコン樹脂もしくは変性シ
リコン樹脂であり、光触媒粉末は比表面積100m2
g以上を有する多孔性の金属酸化物ゲルもしくは金属水
酸化物ゲルの中に分散した状態で該無機繊維紙に担持さ
れている光触媒担持無機繊維紙。 【効果】500時間のサンシャインカーボンアークウェ
ザーメーターによる促進耐候性試験後の引張強度が試験
前の80%以上を保持している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、浄水、脱臭、殺菌、排
水処理、水分解、藻の成育抑制、及び各種化学反応等に
用いられる光触媒を担持した無機繊維紙に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】紫外線のエネルギーによって、水の分
解、脱臭、殺菌、水の浄化、排水処理等の各種の化学反
応を進行させる光触媒として、n型半導体の酸化チタン
が知られている。光触媒を粉末状もしくは溶液に懸濁さ
せた形で使用した方が一般的に触媒活性が高いと言われ
ているものの、実用的には触媒の分離回収の煩雑さやろ
過回収の困難さなどの理由により、何らかの基体上に担
持した形で使用せざるを得ない場合が多い。光である紫
外線のエネルギーを有効に利用するためには、基体の形
状は光の照射面積を広く取ることが可能な紙状やシート
状にする方が有利であり、しかも光触媒により化学反応
を起こさせたい反応物との接触面積を大きくするために
は、その表面が多孔質構造である方が好ましい。
【0003】光触媒粉末を担持する基体材質としては、
種々提案されており、(A)ニトロセルロース、ガラ
ス、ポリ塩化ビニル、プラスチック、ナイロン、メタク
リル樹脂、ポリプロピレン等光透過性物質(特開昭62
−66861)、(B)ポリプロピレン繊維、セラミッ
ク(特開平2−68190)、(C)ガラス、セラミッ
ク、ナイロン、アクリル、ポリエステル(特開平5−3
09267)等がある。しかし、これらの材質の中で、
ガラスやセラミック等の無機物以外の有機物を主体とす
るものは、光触媒粉末を担持するとその触媒作用により
有機物が分解されたり劣化したりすることが報告されて
おり、耐久性に問題がある(大谷文章、高分子加工42
巻、5号、P18(1993)、清野 学著、”酸化チ
タン”技報堂、P165)。
【0004】ガラスやセラミック等の無機物を多孔質構
造の紙もしくはシートにする方法としては織物化する方
法と不織布化する方法が挙げられる。織物(クロス)に
すれば無機質の素材のみで柔軟性や強度を保持した布状
のものが得られるものの、無機繊維による織物は製造の
困難さから非常に高価格であり、これを光触媒の担体に
使用する場合は適用範囲が限定されてしまう問題点があ
った。これに対して無機繊維を不織布化したものは、材
料の繊維を抄紙法等の方法でシート状に成形する方法で
ある。この場合、無機繊維の絡み合いだけでは強度が不
十分であるので、通常、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、
ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の有
機樹脂の結合剤が広く使用されている。
【0005】しかし、これらの結合剤を使用して不織布
化した無機繊維紙に光触媒粉末を担持すると、結合剤と
して使用した有機樹脂が光触媒により容易に分解するた
め、長期間の光照射によって大きく強度低下することが
予想される。実際、アクリル樹脂を結合剤として使用し
たガラス繊維紙に光触媒を担持してサンシャインカーボ
ンアークウェザーメーターによる促進耐候性試験を行う
と、非常に短時間で劣化し強度が大きく低下することは
比較例にも示したように明かである。
【0006】こうした有機樹脂を使用した無機繊維紙を
担体とする時の問題点を解決するため、光触媒粉末をガ
ラス繊維などの無機繊維上に担持する際の無機繊維の接
着剤として、多数の細孔を有する金属酸化物ゾル由来の
金属酸化物ゲルを用いる方法(特開平5−30926
7)が提案されている。しかし、この接着剤は結合力が
大きくないので、光触媒粉末を無機繊維紙に担持する目
的には使用できるものの、無機繊維自体の接着剤として
使用し無機繊維紙に強度を付与する結合剤として使用す
ることは不適当であった。また、これらの金属酸化物ゲ
ルは、全く可塑性を持たないために無機繊維紙の結合剤
として使用すると、柔軟性のない折り曲げ強度の弱いも
のとなってしまうなどの欠点があった。
【0007】光触媒粉末をシリカや粘土鉱物等の金属酸
化物ゲルに担持した例においては、担体の吸着剤として
の効果によりプロピオンアルデヒドガスの光触媒分解反
応が促進されるとした報告がある(シンポジウム“光触
媒反応の最近の展開”予稿集、1994、光機能材料研
究会、2−11、p.39)。しかしながら、こうした
金属酸化物ゲルの中に均一に分散させた光触媒を無機繊
維紙へ担持した時の触媒活性とりわけ担持された無機繊
維紙の耐久性について定量的に報告した例は皆無であっ
た。
【0008】
【発明が解決すべき課題】上述のように、光触媒粉末を
有機樹脂を結合剤として使用した無機繊維紙に担持する
場合に解決しなくてはならない課題として、担持した
光触媒粉末によって無機繊維の結合剤が劣化せず、長期
にわたって強度を維持し耐久性を保っていること、使
用する無機繊維の結合剤や無機繊維紙への担持物が高い
初期強度や柔軟性を可能にするものであること、光触
媒活性が無機繊維へ担持されることにより低下しないこ
と、光触媒が長期にわたって脱落せず良好に担持され
ていること、の4点が上げられる。本発明は、浄水、脱
臭、殺菌、排水処理、水分解、藻の成育抑制、及び各種
の化学反応に使用可能で、かつ上記の課題が解決可能な
光触媒を担持した無機繊維紙を提供することを目的とす
るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、無機繊維
をシート化するための結合剤としては、アクリルシリコ
ン樹脂もしくは変性シリコン樹脂が安価であり、かつ高
強度が得られ、柔軟性もあり、しかも光触媒粉末による
劣化に対して強いことを見い出した。しかし、これらの
樹脂のみでは、長期的な耐久性が不十分なので、光触媒
粉末を担持する材料と構造を研究し、多孔性の金属酸化
物ゲルもしくは金属水酸化物ゲルの中に光触媒粉末を分
散した状態で無機繊維紙に担持することにより、十分な
劣化防止をすることが可能となり、本発明を完成させる
に至った。
【0010】本発明は、 (構成1) 光触媒粉末を担持した無機繊維紙におい
て、無機繊維同士の結合剤がアクリルシリコン樹脂もし
くは変性シリコン樹脂であり、光触媒粉末は比表面積1
00m2/g以上を有する多孔性の金属酸化物ゲルもし
くは金属水酸化物ゲルの中に分散した状態で該無機繊維
紙に担持されていることを特徴とする光触媒担持無機繊
維紙であり、構成1の態様として、 (構成2) 光触媒粉末の担持量が無機繊維紙の重量の
5〜50%であり、金属酸化物ゲルもしくは金属水酸化
物ゲルの重量が無機繊維紙重量の10%以上2倍以下で
ある光触媒担持無機繊維紙であり、構成1又は2の態様
として、 (構成3) 金属酸化物ゲルもしくは金属水酸化物ゲル
が、珪素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、
マグネシウム、ニオブ、タンタル、タングステンの中か
ら選ばれた1種もしくは2種以上の金属の酸化物もしく
は水酸化物のゲルからなる光触媒担持無機繊維紙であ
り、構成1ないし3の態様として、 (構成4) 金属酸化物ゲルもしくは金属水酸化物ゲル
の有機物含有量が1%以下である光触媒担持無機繊維紙
であり、構成1ないし4の態様として、 (構成5) 金属酸化物ゲルもしくは金属水酸化物ゲル
が、水性ゾルを180℃以下の温度で乾燥したゲルであ
る光触媒担持無機繊維紙であり、構成1ないし5の態様
として、 (構成6) 無機繊維同士の結合剤であるアクリルシリ
コン樹脂もしくは変性シリコン樹脂が、0.005wt
%以上10wt%以下の光安定化剤を含む光触媒担持無
機繊維紙であり、構成1ないし6の態様として、 (構成7) 無機繊維がガラス繊維であることを特徴と
する請求項1ないし6のいずれかに示す光触媒担持無機
繊維紙であり、構成1ないし7の態様として、 (構成8) 500時間のサンシャインカーボンアーク
ウェザーメーターによる促進耐候性試験後の引張強度が
試験前の80%以上を保持している光触媒担持無機繊維
紙である。
【0011】光触媒粉末を比表面積100m2/g以上
の多孔性の金属酸化物ゲルもしく金属水酸化物ゲルの中
に分散した状態で、アクリルシリコン樹脂もしくは変性
シリコン樹脂を結合剤として使用した無機繊維紙に担持
し、光触媒粉末の担持量として無機繊維紙の重量の5〜
50%とし、該金属酸化物ゲルもしくは金属水酸化物ゲ
ルの量として無機繊維紙重量の10%以上2倍量以下を
使用することにより、無機繊維の結合剤に使用した樹脂
の劣化が著しく抑制される。また、無機繊維の結合剤と
して使用するアクリルシリコン樹脂もしくは変性シリコ
ン樹脂の中に10wt%以下の紫外線安定化剤を添加す
ることにより更に耐久性を向上させることができる。
【0012】この光触媒を担持した無機繊維紙の光触媒
活性は、非常に良好で、光触媒粉末担持量が無機繊維紙
重量の30%以下でも同重量の光触媒粉末単独使用の時
よりも高い活性を示す。また、光触媒粉末の無機繊維紙
との接着性は、金属酸化物ゲルもしくは金属水酸化物ゲ
ルの比表面積が大きい程およびゲルの量が多い程良好で
ある。
【0013】以下、本発明による光触媒粉末を担持した
無機繊維紙の製造過程、構成およびその意義に付いて詳
述する。
【0014】本発明にかかる光触媒粉末を担持した無機
繊維紙を製造する過程には種々の方法がある。まず、基
体として用いる無機繊維は、光触媒作用で強度低下しな
い材質であれば、太さや長さ、組成や表面処理の有無に
関係なく使用できる。無機繊維を紙にする方法として
は、例えば、無機繊維を水中に分散し、紙すきの要領で
抄造する湿式法が一般的であるが、それ以外の方法によ
っても良い。
【0015】無機繊維紙に強度を付与するための結合剤
としては、アクリルシリコン樹脂もしくは変性シリコン
樹脂が価格や性能の点で最も適しており、水に分散した
エマルジョンのような状態でも、或いは有機溶剤に溶解
した状態でもどちらでも使用できる。
【0016】アクリルシリコン樹脂としては、シリコン
樹脂とアクリル樹脂を複合化しブロック共重合させた一
般的なものから特殊なポリメタクリレート樹脂とシリコ
ン樹脂を複合化させたもの等である。また、変性シリコ
ン樹脂としては、アルキド変性、ウレタン変性、ポリエ
ステル変性、エポキシ変性したシリコン樹脂等があり、
得られる無機繊維紙に要求される物性に応じてそれらの
混合物を使用することが望ましい。
【0017】樹脂中のシリコン成分の含有量は、光触媒
による劣化に対し強固であれば良いが、シリコン含有量
としては5%から80%が好ましく、中でも10%から
60%が特に好ましい。アクリルシリコン樹脂もしくは
変性シリコン樹脂のシリコン含有量が5%以上のものは
耐久性も高く強度や可塑性もあるため無機繊維の結合剤
として優れている。シリコン含有量が80%を超える
と、Si原子と結合しているシラノール基、アルキル
基、アルコキシ基、フェニル基などの割合にもよるが、
硬度や可とう性が低下する。特に、シリコン含有量が1
0%から60%の範囲のものは耐久性、強度、可とう性
に非常に優れており、光触媒を担持する無機繊維の結合
剤として好ましい。
【0018】無機繊維紙の強度や柔軟性を高める目的
で、アクリルシリコン樹脂もしくは変性シリコン樹脂を
2種以上混合して使用したり、これら以外の物、例え
ば、フッ素樹脂やコロイダルシリカ溶液等を混合して使
用しても良い。使用方法としては、抄紙するために無機
繊維を分散した液に直接加えても、抄紙後に含浸や吹き
付けたりして加えても良い。使用する結合剤の量は、使
用する樹脂の種類や必要とする強度によって変化する
が、通常は無機繊維の5〜30重量%が適当である。
【0019】無機繊維の結合剤の光触媒による劣化を防
止する目的で、アクリルシリコン樹脂もしくは変性シリ
コン樹脂に光安定化剤を混合すると耐久性の向上に効果
がある。使用できる光安定化剤としては、ヒンダードア
ミン系が良いが、その他の物でも使用可能である。トリ
アゾール系などの紫外線吸収剤と混合して使用するとよ
り一層効果が高くなる場合がある。添加量は、樹脂に対
して0.005wt%以上10wt%以下が良く、好ま
しくは0.01wt%以上5wt%以下が良い。これ以
上の添加は、樹脂の機械的強度及び光触媒活性を低下さ
せる。
【0020】次に、光触媒粉末としては、TiO2、Z
nO、SrTiO3、CdS、GaP、InP、GaA
s、BaTiO3、K2NbO3、Fe23、Ta25
WO3、SnO2、Bi23、NiO、Cu2O、Si
C、SiO2、MoS2、InPb、RuO2、CeO2
などが使用できる。また、これらの光触媒粉末にPt、
Rh、RuO2、Nb、Cu、Sn、NiOなどの金属
及び金属酸化物を微量添加物として添加した従来公知の
ものが全て使用できる。光触媒粉末の無機繊維紙への担
持量は、多量なほど触媒活性が高くなるが、無機繊維紙
の機械的特性や光触媒の接着性が低下するため、5〜5
0重量%が良く、より好ましくは、10〜30重量%で
ある。
【0021】光触媒粉末を無機繊維紙に担持するための
金属酸化物ゲルもしくは金属水酸化物ゲルは、比表面積
が100m2/g以上あり多孔性のものであれば良い。
この比表面積以下のゲルを使用すると、光触媒粉末の接
着性が悪くなる上に、光触媒粉末による結合剤の有機樹
脂の劣化を防止することは困難である。材質としては、
ケイ素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、ニ
オブ、タンタル、タングステンの金属の酸化物ゲルもし
くは水酸化物ゲルが良い。また、これらを混合したゲル
でも、共沈法などの方法で作られる複合酸化物ゲルを使
用しても良い。光触媒粉末と混合するためには、ゲルと
なる前のゾルの状態で混合するか、もしくは、ゾルを調
製する前の原料の段階で混合するのが望ましい。ゲルを
調製する方法には、金属塩を加水分解する方法、中和分
解する方法、イオン交換する方法、金属アルコキシドを
加水分解する方法等があるが、ゲルの中に光触媒粉末が
分散された状態で得られるものであればいずれの方法も
使用可能であり、この時光触媒粉末は通常ゲルの中に均
一に分散された状態になっている。ゲル中に多量の不純
物が存在すると、光触媒の接着性や触媒活性に悪影響を
与えるので、不純物の少ないゲルの方が好ましい。特
に、ゲルの中に有機物が1%以上存在すると、光触媒活
性が低下する。
【0022】使用する金属酸化物ゲルもしくは金属水酸
化物ゲルの量は、光触媒粉末重量の1/2以上で無機繊
維紙重量の2倍量以下が適当である。これ以下である
と、光触媒粉末による結合剤樹脂の劣化が防ぎにくく、
光触媒粉末の接着性も弱くなる。また、無機繊維紙重量
の2倍量以上であると担持した金属酸化物ゲルもしくは
金属水酸化物ゲルが無機繊維紙から脱落したり剥離しや
すくなる。
【0023】これらのゲルの乾燥温度は、180℃以下
好ましくは150℃以下が良く、これ以上の温度になる
と結合剤のアクリルシリコン樹脂もしくは変性シリコン
樹脂が劣化したり熱分解し始める。
【0024】金属酸化物ゲルもしくは金属水酸化物ゲル
の中に分散した光触媒粉末を、無機繊維紙に担持する方
法としては、ゲル化する前のゾルの状態で光触媒粉末を
混合した懸濁液を、無機繊維紙に含浸させ、その後乾燥
させる方法が一般的であるが、スプレー吹き付け法、デ
ィップコーティング法、スピンコーティング法等の方法
も使用できる。また、金属塩水溶液や、金属アルコキシ
ド溶液中に光触媒粉末を分散した状態で、無機繊維紙に
担持した後、中和したり、加熱したり、加水分解したり
して、ゲル化しても良い。ゾルを使用する場合には、安
定化のために、酸やアルカリの解膠剤等が添加されてい
ても良い。また、ゾル懸濁液中に界面活性剤を添加した
りシランカップリング剤などで無機繊維を前処理する
と、無機繊維紙にゲルが均一に担持されるので好まし
い。
【0025】無機繊維紙に使用する無機繊維としては、
ガラス繊維、石英繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ
繊維、チタン酸カリウム繊維、炭化珪素繊維、その他の
セラミック繊維等、光触媒作用によって分解、腐食、劣
化などをもたらすことがない無機繊維であればいずれも
使用可能である。特にガラス繊維は繊維自体が透光性で
あるため、光が表面近傍だけではなく内部にまで導かれ
て極めて効率的に光が利用されるため高い触媒活性が得
られる利点がある。また、ガラス繊維紙は価格も極めて
安価である上に工業的にも容易に製造可能であるため光
触媒の担体としては最も好ましいものの一つであると言
える。
【0026】
【実施例】
<実施例1>繊維径13μm、長さ13mmのガラス繊
維(組成:Eガラス)を水中に分散し、これを抄造し
て、面積100cm2(10cm×10cm)、厚さ
0.03mmの結合剤の含まれていない0.25gのガ
ラス繊維紙を得た。これに、5wt%のアクリルシリコ
ンエマルジョン水溶液(アクリルシリコン樹脂のシリコ
ン含有量10%)を含浸し、120℃で乾燥することに
より結合剤を16.7wt%含んだ0.3gのガラス繊
維紙(I)を得た。粒径11nm(200℃で乾燥した
ときの比表面積180m2/g)のシリカゾル水溶液
(SiO2含有量20%)500gに、粒径30nm
(比表面積50m2/g)のアナターゼ型酸化チタン光
触媒粉末200gと水1800gを加えて分散させ、全
量を振動流動乾燥機に入れて水を1500g留去させて
濃縮した。次いで、再度シリカゾル水溶液(SiO2
有量20%)500gと水2500gを加えて分散させ
懸濁溶液4000g(シリカ含量5wt%,酸化チタン
含量5wt%)を調製した。この懸濁溶液にガラス繊維
紙(I)を含浸し、その後、120℃で3時間乾燥する
ことにより、酸化チタン担持量20wt%、シリカゲル
担持量20wt%の光触媒粉末を担持した0.5gのガ
ラス繊維紙(II)を得た。得られたガラス繊維紙(II)
の光触媒活性、接着性、劣化の評価を後述の方法により
行いその結果をまとめて表1に示した。
【0027】<試験方法> [光触媒活性評価]実施例及び比較例により得られた光
触媒粉末を担持したガラス繊維紙を5cm×5cmに切
り出し、光触媒活性評価用試料とした。4リットルのパ
イレックス製ガラス容器に試料を1枚入れ、500pp
mのアセトアルデヒドガス濃度になるようにした後、底
面よりブラックライトにより365nmを中心とする紫
外線強度2mW/cm2の光を照射し、照射時間に対す
るアセトアルデヒドガス濃度の経時変化を測定し、その
分解速度より光触媒活性を評価した。
【0028】[接着性評価]5cm角の試料を水中に浸
し、(株)シャープ製超音波洗浄機UT−51Nにより
超音波洗浄を行った。洗浄の終了は、試料より脱離して
くる酸化チタン粉末による溶液の白色の濁りがなくなる
までとした。試料を120℃で3時間乾燥後、重量を測
定し、洗浄前後での重量変化より接着性を評価した。
【0029】[劣化の評価]JIS−A1415(プラ
スチック建築材料の促進暴露試験方法)による劣化試験
によった。装置は、サンシャインカーボンアークウェザ
ーメーターを用い、試験時間は500時間とした。評価
は、JIS−K7127(プラスチックフィルム及びシ
ートの引張試験方法)にもとづく引張強度により行っ
た。
【0030】<実施例2、3>実施例1と同様な操作
で、比表面積が、140m2/g(実施例2)および3
00m2/g(実施例3)のシリカゾルを使用して、ガ
ラス繊維紙(II)を調製した。実施例1と同様に評価し
その結果を表1に示した。
【0031】<実施例4>実施例1で使用したアクリル
シリコンエマルジョン樹脂の代わりに、変性シリコンエ
マルジョン樹脂を使用して、ガラス繊維紙(II)を得
た。実施例1と同様に評価しその結果を表1に示した。
【0032】<実施例5〜9>実施例1と全く同じ材料
と操作で、光触媒粉末が分散されたシリカゾル水溶液の
中の光触媒粉末及びシリカゾルの濃度を変える事によ
り、酸化チタン担持量及びシリカゲル担持量を変えたガ
ラス繊維紙(II)を得た。実施例1と同様に評価しその
結果を表1に示した。
【0033】<実施例10>実施例1で使用したアクリ
ルシリコンエマルジョン樹脂水溶液にヒンダードアミン
系光安定化剤エマルジョンを樹脂に対して2wt%混合
し、実施例1と同様な操作で光安定化剤入りガラス繊維
紙(I)とし、その後同様に光触媒粉末を担持し、ガラ
ス繊維紙(II)を得た。実施例1と同様に評価しその結
果を表1に示した。
【0034】<実施例11>実施例1と同様な操作で、
シリカゾルの代わりに比表面積が110m2/gのアル
ミナゾルを使用して、ガラス繊維紙(II)を調製した。
実施例1と同様に評価しその結果を表1に示した。
【0035】以上の実施例では担持した光触媒の接着性
が良好で超音波洗浄による脱離も5%以下である上に、
触媒活性も全て3ppm/min以上と高く、劣化試験におい
ても初期強度からの低下が20%以下と良好であった。
【0036】<実施例12、13>実施例1と全く同じ
材料と操作で、光触媒粉末が分散されたシリカゾル水溶
液の中の光触媒粉末及びシリカゾルの濃度を変えること
により、酸化チタン担持量及びシリカゲル担持量を変え
たガラス繊維紙(II)を得た。実施例1と同様に評価し
その結果を表1に示した。
【0037】<比較例1>実施例1と同様な操作で、比
表面積が50m2/gのシリカゾルを使用して、ガラス
繊維紙(II)を調製した。実施例1と同様に評価しその
結果を表2に示した。
【0038】<比較例2>実施例1で使用したアクリル
シリコンエマルジョン樹脂の代わりに、アクリルエマル
ジョン樹脂を使用して、ガラス繊維紙(II)を得た。実
施例1と同様に評価しその結果を表2に示した。
【0039】<比較例3>実施例1で使用したアクリル
シリコンエマルジョン樹脂の代わりに、エポキシ樹脂を
使用して、ガラス繊維紙(II)を得た。実施例1と同様
に評価しその結果を表2に示した。
【0040】<比較例4>実施例1で使用したアクリル
シリコンエマルジョン樹脂の代わりに、シリカゾルを使
用して、ガラス繊維紙(II)を得た。実施例1と同様に
評価しその結果を表2に示した。この比較例では劣化試
験後の強度が弱く測定不能であった。
【0041】<比較例5>実施例1と同様な操作で、シ
リカゾル水溶液の代わりにシリコンテトラエトキシドの
エタノール溶液を濃塩酸で加水分解したエタノールを多
量に含むシリカゾル溶液を使用して、ガラス繊維紙(I
I)を調製した。実施例1と同様に評価しその結果を表
2に示した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】有機物を含有したシリカゾルを使用した比
較例5を除いて、これらの比較例では光触媒活性は6pp
m/minと高いものの、接着性が劣っていたり、劣化試験
による強度低下が大きいものであったりして、実用上必
須である光触媒活性、接着性、耐劣化性の3つが兼ね備
わっているものはなかった。有機物が含まれる比較例5
の場合は光触媒活性が極めて低いものであった。
【0045】
【発明の効果】以上の実施例及び比較例から明かなよう
に、本発明の光触媒担持無機繊維紙は、優れた光触媒活
性と高い強度及び耐久性を併せ持つ光触媒担持無機繊維
紙である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 23/30 B01J 23/30 M 35/06 35/06 K

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光触媒粉末を担持した無機繊維紙におい
    て、無機繊維同士の結合剤がアクリルシリコン樹脂もし
    くは変性シリコン樹脂であり、光触媒粉末は比表面積1
    00m2/g以上を有する多孔性の金属酸化物ゲルもし
    くは金属水酸化物ゲルの中に分散した状態で該無機繊維
    紙に担持されていることを特徴とする光触媒担持無機繊
    維紙。
  2. 【請求項2】光触媒粉末の担持量が無機繊維紙の重量の
    5〜50%であり、金属酸化物ゲルもしくは金属水酸化
    物ゲルの重量が無機繊維紙重量の10%以上2倍以下で
    あることを特徴とする請求項1に示す光触媒担持無機繊
    維紙。
  3. 【請求項3】金属酸化物ゲルもしくは金属水酸化物ゲル
    が、珪素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、
    マグネシウム、ニオブ、タンタル、タングステンの中か
    ら選ばれた1種もしくは2種以上の金属の酸化物もしく
    は水酸化物のゲルからなるものであることを特徴とする
    請求項1または2に示す光触媒担持無機繊維紙。
  4. 【請求項4】金属酸化物ゲルもしくは金属水酸化物ゲル
    の有機物含有量が1%以下であることを特徴とする請求
    項1ないし3のいずれかに示す光触媒担持無機繊維紙。
  5. 【請求項5】金属酸化物ゲルもしくは金属水酸化物ゲル
    が、水性ゾルを180℃以下の温度で乾燥したゲルであ
    ることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに示す
    光触媒担持無機繊維紙。
  6. 【請求項6】無機繊維同士の結合剤であるアクリルシリ
    コン樹脂もしくは変性シリコン樹脂が、0.005wt
    %以上10wt%以下の光安定化剤を含むことを特徴と
    する請求項1ないし5のいずれかに示す光触媒担持無機
    繊維紙。
  7. 【請求項7】無機繊維がガラス繊維であることを特徴と
    する請求項1ないし6のいずれかに示す光触媒担持無機
    繊維紙。
  8. 【請求項8】500時間のサンシャインカーボンアーク
    ウェザーメーターによる促進耐候性試験後の引張強度が
    試験前の80%以上を保持していることを特徴とする請
    求項1ないし7のいずれかに示す光触媒担持無機繊維
    紙。
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