JPH08279135A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH08279135A
JPH08279135A JP7917595A JP7917595A JPH08279135A JP H08279135 A JPH08279135 A JP H08279135A JP 7917595 A JP7917595 A JP 7917595A JP 7917595 A JP7917595 A JP 7917595A JP H08279135 A JPH08279135 A JP H08279135A
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JP
Japan
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lubricant
layer
recording medium
magnetic recording
magnetic
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Application number
JP7917595A
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English (en)
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Masashi Otani
昌司 大谷
Yuzo Yamamoto
裕三 山本
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高密度記録に対応する為、低浮上量を容易に
する表面粗さが極めて小さなディスクであっても、耐久
性に優れ、かつ、環境安定性に優れた磁気記録媒体を提
供することにある。 【構成】 支持体と、磁性層と、潤滑剤層とを少なくと
も有する磁気記録媒体であって、前記潤滑剤層は気相反
応で形成されたものであり、前記支持体は、その表面
が、下記の式で表されるスキューネスRskの最大値及
び最小値が−1〜4の範囲内にあり、かつ、その平均値
が0〜3の範囲内にある磁気記録媒体。 【数1】 (Yiは中心線から山頂または谷底までの距離(山頂側
が+の値、谷底側が−の値)、Rqは自乗平均平方根粗
さ、nはYiのデータ数)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に金属薄膜型の磁気
記録媒体に関する。
【0002】
【発明の背景】一般に、磁気ディスク等の磁気記録媒体
では、支持体(基板)の上に磁性層がスパッタ等により
形成され、その上にカーボンや金属酸化物などの保護層
を設け、更にパーフルオロポリエーテル系の液体潤滑剤
が塗布されている。磁気記録媒体の耐久性は、潤滑剤層
の組成、厚さ、あるいは潤滑剤層の製法等に大きく左右
される。現在までに、それらに関する多くの技術が提案
されている。例えば、特開昭60−101715号公報
のように無機シリコン化合物保護層上にアミノシアン化
合物を塗布、次いでカルボキシル基含有フッ素化カーボ
ン系潤滑剤を塗布し、酸塩基反応を利用して界面に化学
結合させた潤滑剤層を形成する方法、あるいは特開昭6
1−113126号公報、特開昭61−248218号
公報、特開平5−166173号公報のように極性基を
持つ潤滑剤と極性基を持たない潤滑剤とを表面に塗布
し、潤滑剤層の下層を極性基を持つ潤滑剤で強く表面に
固定し、長期間の耐久性を確保しようとする技術が有
る。又、その他にも、特開昭62−114122号公
報、特開平1−171101号公報、特開平2−735
14号公報、特開平3−25720号公報、特開平3−
207020号公報、特開平4−102224号公報、
特開平4−286720号公報、特開平4−31181
2号公報、特開平6−20262号公報などの技術も有
る。
【0003】しかし、上記の潤滑剤層はディップコート
法やスピンコート法によって塗布される為、潤滑剤の濃
度変動や保護層の表面状態などが潤滑剤付着量に微妙に
影響し、その厚さの制御、引いては潤滑特性の安定化が
困難であった。更には、潤滑性能が経時的に劣化する問
題もあった。一方、パーフルオロポリエーテル系の潤滑
剤を塗布後にプラズマ処理して潤滑剤を保護層表面に固
定する技術(特開平5−174354号公報)や、フッ
素系ガスを保護層表面上で表面重合させることによっ
て、潤滑剤分子端を保護層表面に固定する技術(特開平
3−104015号公報、特開平4−311812号公
報、特開平6−220185号公報)が有る。前者の技
術には塗布方式の不安定性が依然として残っている。こ
れに対して、後者の技術は、パーフルオロポリエーテル
の商業的合成法の代表である光酸化重合法を応用し、潤
滑剤分子を保護層表面に固定したものである。すなわ
ち、ヘキサフルオロプロペン等のフッ素系ガスと酸素と
を導入し、かつ、ディスク表面に直接レーザ光を照射
し、ディスク表面上のみで光酸化重合(表面重合)させ
たものである。この表面重合を進行させる為には、ディ
スクを−70〜−30℃に冷却し、原料ガスを凝縮させ
る等の特別な操作が必要である。又、重合が表面で起こ
る為に下記の問題が有る。 (1) 保護層表面はミクロ的にはかなり不均一なの
で、表面エネルギの揺らぎ、微細突起・凹部の存在、化
学的活性部位の偏在等が原料ガス吸着・凝縮の揺らぎを
もたらし、重合反応がミクロ的に不均一に進行する。よ
って、ディスク全面にわたって均質・均一膜厚の潤滑剤
層の形成が難しく、安定した耐久性を発現できていな
い。 (2) 強力なレーザ光をディスク表面に照射する為、
照射部の磁性層や保護層の特性が変動や劣化の恐れがあ
る。 (3) 表面重合を行う為、又、レーザ光をディスク表
面に照射する為、枚葉処理となり、量産に適していな
い。 (4) 表面固定を促進する為、保護層表面の酸化、エ
ッチング、光・電磁波照射が必要で、工程が複雑にな
り、コスト高となる。 (5) ディスクを−30℃以下の極低温に冷却する必
要があり、反応効率を考慮すると、量産性やコストの点
で実用的でない。 (6) 多量のディスクを素早く冷却する為に、大がか
りな設備が必要である。 (7) 極低温から室温に短時間で戻すと、表面の微細
凹凸部に毛管凝縮現象で結露が生じるから、長時間かけ
て戻す必要があるので、生産効率が悪い。
【0004】加えて、高密度記録化に伴い、磁気ディス
ク回転の高速化や磁気ヘッドの浮上量の低下が図られて
おり、磁気ディスク表面に要求される耐磨耗性、耐久性
は年々高度なレベルが要求されている。又、磁気ヘッド
の浮上量、耐磨耗性や耐久性は磁気ディスクの表面特性
に大きく左右される。この為、表面に微細な凹凸を形成
する為のテクスチャ処理が支持体に施される。特に、記
録密度の向上に伴い、磁気ヘッドの低浮上量化や耐久性
の向上が大きな課題となっている今日では、このテクス
チャ処理技術に益々高度なレベルが要求されている。
尚、低浮上量化実現の為、基板の表面粗さを小さくする
ことが提案されているが、この場合、耐久性、特に静摩
擦係数(μs)に改善の余地が有った。
【0005】このように、耐久性などの特性に支持体の
表面特性と潤滑剤とが密接に関与している。
【0006】
【発明の開示】本発明は上記の点に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、高密度記録に対応する為、低浮上
量を容易にする表面粗さが極めて小さなディスクであっ
ても、耐久性に優れ、かつ、環境安定性に優れた磁気記
録媒体を提供することにある。本発明者は、この目的達
成の為、鋭意研究を行った処、基板に特定の表面粗さを
持つようテクスチャ処理を行い、その後磁性層及び必要
に応じて保護層を設け、更に気相反応で潤滑層を形成し
た磁気記録媒体が低浮上量で、かつ、耐久性に優れたこ
とを見出した。
【0007】この本発明の目的は、支持体と、磁性層
と、潤滑剤層とを少なくとも有する磁気記録媒体であっ
て、前記潤滑剤層は気相反応で形成されたものであり、
前記支持体は、その表面が、下記の式〔数3〕で表され
るスキューネスRskの最大値及び最小値が−1〜4の
範囲内にあり、かつ、その平均値が0〜3の範囲内にあ
ることを特徴とする磁気記録媒体によって達成される。
【0008】又、支持体と、磁性層と、潤滑剤層とを少
なくとも有する磁気記録媒体であって、前記潤滑剤層は
気相反応で形成されたものであり、前記支持体は、その
表面のRa(Raは中心線平均粗さ)が1〜100Å、
Rp/Ra(Rpは中心線高さ)が1〜15の範囲内に
あることを特徴とする磁気記録媒体によって達成され
る。
【0009】又、支持体と、磁性層と、潤滑剤層とを少
なくとも有する磁気記録媒体であって、前記潤滑剤層は
気相反応で形成されたものであり、前記支持体は、その
表面が、下記の式〔数3〕で表されるスキューネスRs
kの最大値及び最小値が−1〜4の範囲内にあり、か
つ、その平均値が0〜3の範囲内にあり、更に表面のR
a(Raは中心線平均粗さ)が1〜100Å、Rp/R
a(Rpは中心線高さ)が1〜15の範囲内にあること
を特徴とする磁気記録媒体によって達成される。
【0010】
【数3】
【0011】(Yiは中心線から山頂または谷底までの
距離(山頂側が+の値、谷底側が−の値)、Rqは自乗
平均平方根粗さ、nはYiのデータ数) 尚、本発明の気相反応で形成される潤滑剤は、例えばプ
ラズマ重合で形成される潤滑剤、CVDを用いた表面重
合で形成される潤滑剤、CVDを用いた気相重合で形成
される潤滑剤などが挙げられる。中でも好ましい潤滑剤
は気相重合で形成されたものである。例えば、潤滑剤分
子が当該媒体の最表面に固定された固定潤滑剤分子と潤
滑剤分子が当該媒体の最表面には固定されていないフリ
ー潤滑剤分子との混成でなり、この混成潤滑剤層が気相
重合で形成されたものが好ましい。特に、潤滑剤層の厚
さは2〜200Åが好ましい。又、混成潤滑剤層おける
フリー潤滑剤分子/固定潤滑剤分子が重量比で1/10
〜10/1(より好ましくは、2/5〜5/1)の割合
のものが好ましい。
【0012】本発明の磁気記録媒体は、上記表面特性の
支持体の上に磁性層が設けられた磁気記録媒体の原体を
CVD装置に装着し、気相反応(特に、気相重合)を行
わせて表面に潤滑剤層を設けることで得られる。特に、
上記表面特性の支持体上に磁性層が、磁性層の上に保護
層が設けられた磁気記録媒体の原体をCVD装置に装着
し、フッ化炭素系の重合性化合物と酸素との混合ガスに
紫外レーザを照射する気相重合法(特に、気相重合に際
して前記紫外レーザを前記保護層に直接には照射しない
気相重合法)により潤滑剤を表面に付けることで得られ
る。
【0013】すなわち、本発明では、気相重合によって
潤滑剤を合成し、これを垂直方向に立てた、あるいは水
平方向に寝かせた磁気記録媒体の表面に析出することに
よって潤滑剤層が形成される。つまり、気相で重合した
フッ素系化合物(潤滑剤組成物)は拡散により表面に到
達して付着し、固定される。これによって潤滑剤層が形
成される。そして、この重合反応は気相中で進行するの
で、ディスク表面の不均一性に左右されず、又、表面凝
縮を促進させる為にディスクを冷却する必要がなく、生
産性にも優れている。
【0014】尚、この磁気記録媒体の製造方法におい
て、第1の気相重合工程で潤滑剤層を形成した後、その
上に第2の気相重合工程で潤滑剤層を形成する方法、す
なわち第1の気相重合工程で潤滑剤層を形成した後、一
度、チャンバ内に100Torr程度にまで大気を導入
し(あるいは、大気雰囲気に戻し)、その後第2の気相
重合工程で潤滑剤層を形成し、固定潤滑剤分子とフリー
潤滑剤分子との混成からなる混成潤滑剤層を形成するこ
とが好ましい。すなわち、このような複数ステップの気
相重合工程を経ることにより、固定(特に、化学結合に
よって潤滑剤分子が保護層表面に固定)潤滑剤分子とフ
リー潤滑剤分子との混成からなる混成潤滑剤層を効果的
に形成できる。気相重合に際しては、潤滑剤形成要素と
してフッ化炭素系の化合物、特にフッ化炭素系の重合性
化合物と酸素とが用いられる。重合性化合物と酸素との
割合(モル比)は1/0.5〜1/100が好ましい。
気相重合にはCVD(特に、光CVD)の技術が用いら
れる。このCVDに際して、温度は10〜90℃が好ま
しい。尚、第1の気相重合工程で潤滑剤層を形成した後
の気体(例えば、大気)を導入する工程において、導入
する気体の湿度は30〜90%のものであることが好ま
しい。
【0015】尚、潤滑剤層の厚さ、特にフリー潤滑剤分
子からなる潤滑剤層の厚さは、気相重合工程の条件(原
料ガス圧、光照射条件や時間)や気相重合工程の繰り返
し回数によって制御できる。以下、本発明について更に
説明する。本発明のように潤滑剤層を気相反応、特に気
相重合で形成した磁気ディスクは、極性基を持つ潤滑剤
と極性基を持たない潤滑剤とからなる混成潤滑剤層を塗
布により設けた従来の磁気ディスクに比べて、CSSテ
ストが高いレベルで安定したものであり、格段に優れた
特性を示すことが判明した。本発明による潤滑剤層の分
子構造については完全には判っていない。又、従来の潤
滑剤層との構造差も現時点では解明していないが、潤滑
剤層を気相反応、特に気相重合で形成することが耐久性
の向上には重要であることが判った。
【0016】本発明のポイントの一つは、気相重合で潤
滑剤層を形成し、保護層に固定されていないフリーな潤
滑剤分子が存在している点にある。例えば、フリーな潤
滑剤分子が存在しなかった場合には、ファインな表面粗
度を与えるテクスチャ表面を持つものでは、CSSテス
トにおいて摩擦係数が大きくなり、昨今のニーズを満た
さない。すなわち、末端が保護層に固定された固定潤滑
剤分子のみで潤滑剤層を形成した場合には、CSSテス
トに極めて優秀な成績は得られなかった。実験を繰り返
した結果、フリー潤滑剤分子層を気相重合で形成させる
ことが好ましく、この割合(フリー潤滑剤分子/固定潤
滑剤分子)は重量比で1/10〜10/1、望ましくは
2/5〜5/1であった。
【0017】潤滑剤層は厚すぎるとスペーシングロスが
大きくなり、逆に、薄すぎると潤滑効果が乏しいことか
ら、潤滑剤層の厚さは2〜200Åが好ましい。潤滑剤
層の厚さの上限値のより好ましい値は100Å、もっと
好ましい値は約80Å、更に好ましい値は約50Åであ
る。潤滑剤層の厚さの下限値のより好ましい値は10
Å、もっと好ましい値は約20Åである。
【0018】潤滑剤層は気相重合で形成される。本発明
において、気相重合とは、反応物質が気相に保たれてい
て、重合反応(特に、高分子量化)が気相のみで起こる
反応を意味する。例えば、プラズマ重合やCVD(特
に、光CVD)によって行われる。光CVDで行う場
合、レーザ光を被析出物体表面には直接照射せず、原料
ガス中にのみ照射して行う。
【0019】光CVDを行う場合、光源には、例えば紫
外線か赤外線が用いられる。これらは、各々の持ってい
る光子エネルギが異なることから、次の相違点がある。
先ず、引き起こされる化学反応が異なる。例えば、炭酸
ガス等の赤外レーザを用いる場合、反応は振動励起で起
きる。この場合、光励起エネルギは炭酸ガスレーザ(波
長10.6μm)で約3kcal/molであり、化学
結合(炭素−炭素の一重結合、二重結合や三重結合、炭
素−酸素結合)を切るには不充分である。又、基本的に
振動励起による反応であるから、本質的に熱反応と同じ
であり、サイドリアクションが起きる。この為、目的外
のものが出来る恐れが有る。一方、紫外レーザを用いた
場合、電子励起により反応が起きるから、化学結合を一
光子の吸収で切ることが出来、光化学反応が容易に起き
る。かつ、熱反応の関与は極めて低く、サイドリアクシ
ョンの恐れが低い。この為、潤滑剤を得るのに、フッ素
化合物を光分解し、重合させるには、紫外レーザを用い
ることが好ましい。
【0020】気相重合にはフッ化炭素系の化合物を用い
る。フッ化炭素系化合物としては、C=C(C−C二重
結合)を有するものが好ましい。特に、下記一般式
(I),(II),(III)で表される化合物群の中
から選択されるものが好ましい。 CF2 =CFRf 1 (I) 〔式(I)中、Rf 1 はフッ素原子、パーフルオロアル
キル基、パーフルオロアルケニル基、部分フッ素化アル
キル基、部分フッ素化アルケニル基、パーフルオロアリ
ール基、又は部分フッ素化アリール基を表す。〕 CF2 =C(Rf 2 )(Rf 3 ) (II) 〔式(II)中、Rf 2 ,Rf 3 は水素原子、フッ素原
子、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルケニル
基、部分フッ素化アルキル基、部分フッ素化アルケニル
基、パーフルオロアリール基、又は部分フッ素化アリー
ル基を表す。
【0021】Rf 2 とRf 3 とは同一でも、異なってい
ても良い。〕 CF2 =CFO(Rf 4 ) (III) 〔式(III)中、Rf 4 はフッ素原子、パーフルオロ
アルキル基、パーフルオロアルケニル基、部分フッ素化
アルキル基、部分フッ素化アルケニル基、パーフルオロ
アリール基、部分フッ素化アリール基、又はパーフルオ
ロアルコキシアルキル基を表す。〕 上記フッ化炭素系化合物は、各々単独で用いても、二種
以上を混合して用いても良い。二種以上用いる場合に
は、上記一般式(I),(II),(III)のいずれ
か一つの範疇から二種以上を選択しても良く、又、二つ
の範疇から各々一種あるいは二種以上を選択しても良
い。
【0022】上記一般式(I)において、好ましいパー
フルオロアルキル基としては、パーフルオロメチル基
(−CF3 )、パーフルオロヘプチル基(−C
5 11)、パーフルオロヘキシル基(−C6 13)が挙
げられる。好ましいパーフルオロアルケニル基として
は、パーフルオロエチニル基(−CF=CF2 )が挙げ
られる。好ましい部分フッ素化アルキル基としては、1
H−パーフルオロブチル基(−C48 H)が挙げられ
る。好ましい部分フッ素化アルケニル基としては、−C
2−CF=CH2 が挙げられる。好ましいパーフルオ
ロアリール基としては、パーフルオロベンジル基(−C
2 −C6 5 )が挙げられる。好ましい部分フッ素化
アリール基としては、−CFH−C6 5 ,−CF2
6 5 が挙げられる。
【0023】従って、一般式(I)で表される化合物の
中の好ましいものとして、テトラフルオロエチレン(C
2 =CF2 )、ヘキサフルオロプロペン(CF2 =C
FCF3 )、パーフルオロヘプテン−1(CF2 =CF
5 11)、6H−パーフルオロヘキセン−1(CF2
=CFC4 5 H)、パーフルオロオクテン−1(CF
2 =CFC6 13)、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジ
エン(CF2 =CFCF=CF2 )、3−(ペンタフル
オロフェニル)ペンタフルオロプロペン−1(CF2
CFCF2 6 5 )、CF2 =CFCHF−C
6 5 ,CF2 =CFCF2 −C6 5 ,CF2 =CF
CF2 CF=CH2 等が挙げられる。
【0024】上記一般式(II)において、好ましいパ
ーフルオロアルキル基としては、上記一般式(I)にお
けるものの他に、−CF2 CF3 が挙げられる。好まし
いパーフルオロアルケニル基としては、上記一般式
(I)におけるものの他に、−CF2 CF=CF2 が挙
げられる。好ましい部分フッ素化アルキル基としては、
−CF2 H,−CF2 CF2 Hが挙げられる。好ましい
部分フッ素化アルケニル基としては、上記一般式(I)
におけるものの他に、−CF=CH2 が挙げられる。好
ましいパーフルオロアリール基、及び部分フッ素化アリ
ール基としては、上記一般式(I)におけるものと同じ
ものが挙げられる。
【0025】従って、一般式(II)で表される化合物
の中の好ましいものとして、CF2=C(CF3 2
CF2 =CH2 ,CF2 =CHF,CF2 =CHC
3 ,CF2 =CHCF2 CF3 ,CF2 =CHCF=
CF2 ,CF2 =CHCF2 CF=CF2 ,CF2 =C
HCF2 H,CF2 =CHCF2 CF2 H,CF2 =C
HCF2 CF=CH2 ,CF2 =CHCF=CH2 ,C
2 =CHCFH−C6 5 ,CF2 =CHCF2 −C
6 5 等が挙げられる。
【0026】上記一般式(III)において、好ましい
パーフルオロアルキル基及びパーフルオロアルケニル基
としては、上記一般式(II)におけるものと同じもの
が挙げられる。好ましい部分フッ素化アルキル基として
は、−CF2 H,−CF2 CF2 H,−C4 9 Hが挙
げられる。好ましい部分フッ素化アルケニル基、パーフ
ルオロアリール基、及び部分フッ素化アリール基として
は、上記一般式(II)におけるものと同じものが挙げ
られる。好ましいパーフルオロアルコキシアルキル基と
しては、−CF2 CF(CF3 )OC3 7 が挙げられ
る。
【0027】従って、一般式(III)で表される化合
物の中の好ましいものとして、CF 2 =CFOCF3
CF2 =CFOC5 11,CF2 =CFOC6 13,C
2=CFOCF2 CF3 ,CF2 =CFOCF=CF
2 ,CF2 =CFOCF2 CF=CF2 ,CF2 =C4
8 H,CF2 =CFOCF2 H,CF2 =CFOCF
2 CF2 H,CF2 =CFOCF2 −CF=CH2 ,C
2 =CFOCF=CH2 ,CF2 =CFOCF2 −C
6 5 ,CF2 =CFOCFH−C6 5 ,CF2 =C
FOCF2 −C6 5 ,CF2 =CFOCF2 CF(C
3 )OC3 7 等が挙げられる。
【0028】又、フッ化炭素系の化合物のみでなく、酸
素を併用することが好ましい。例えば、モル比(フッ化
炭素/酸素)で1/0.5〜1/100(より好ましく
は1/1〜1/10、更に好ましくは1/2〜1/5)
の割合にした重合性化合物と酸素とを用いることが出来
る。これにより、効率良く潤滑剤成分(パーフルオロポ
リエーテル)を生成できる。例えば、上記割合が1/1
00より低いと、レーザー光の吸収効率が低下して好ま
しくない。
【0029】重合反応のスムーズな進行を考慮すると、
気相重合の雰囲気ガス圧は1〜1000Torr、より
好ましくは10〜200Torr、更に好ましくは50
〜150Torrである。上記原料ガスはAr,He,
2 ,H2 等のキャリアガスで搬送できる。このキャリ
アガスは原料ガスに対してモル比で等量〜数百倍量まで
変化させることが出来る。キャリアーガスの導入量は1
〜2000Torrで良い。
【0030】ディスク基板温度は10〜90℃に設定さ
れていることが好ましい。10℃未満、あるいは90℃
を越えた温度では本発明の潤滑剤層が得られ難い場合も
有る。より好ましい温度は約15〜50℃である。光酸
化による気相重合によって潤滑剤層を形成する方法は、
例えばレーザ透過窓をもったチャンバ内の下部に複数の
ディスク基板を一定間隔にセット(立設)する。そし
て、一度、チャンバ内を真空ポンプで排気し、この後パ
ーフルオロオレフィン等の重合性フッ化炭素と酸素とを
原料ガスとして導入する。次に、レーザ光、例えばエキ
シマレーザ光をディスク基板上部とチャンバ天井との間
の空間を透過する(ディスク基板には当たらない)よう
に照射する。尚、レーザ光とディスク基板との間の距離
は大きい方が好ましい。このようにして第1の気相重合
により潤滑剤層を形成する。この後、チャンバ内に大
気、特に雰囲気湿度が30〜90%、より好ましくは4
0〜90%の大気を導入(チャンバ内に、少なくとも1
00Torr程度以上に大気を導入)し、そして、再
度、チャンバ内を真空ポンプで排気し、次いでパーフル
オロオレフィン等の重合性フッ化炭素と酸素とを原料ガ
スとして導入し、例えばエキシマレーザ光を前記のよう
に照射する。これを必要に応じて繰り返して潤滑剤層を
形成する。尚、2度目のCVD工程と3度目のCVD工
程との間では、チャンバ内に湿度が30〜90%大気を
導入しても、しなくても良い。
【0031】上記フッ化炭素系化合物と酸素との気相重
合により得られた重合体は、主として−(CF2 O)−
の構造単位を有する重合体であり、その分子量は、好ま
しくは1500〜30000である。上記重合体の構造
は必ずしも明確でないが、下記構造式が推定される。 X-(CF2 O) l -(CF2 CF2 CF2 O) m -(CF
(CF3)CFO) n X’ 〔ここで、l,m,nは、l≫m,l≫nを満たす正の
整数。X,X’はアルコール、エーテル結合、エステル
結合、又はウレタン結合などを含む末端基であり、Xと
X’とは同じでも異なっていても良い。〕 上記重合体における−(CF2 O)−の構造単位の含有
率は、全構造単位中70%以上であることが好ましく、
上記構造式で表される重合体においては、〔l/(l+
m+n)〕×100が70以上であることが好ましい。
【0032】潤滑剤層は磁性層上に直接設けられても良
いが、保護層上に設けた方が好ましい。金属薄膜型の磁
性層を有する記録媒体では、磁性層を保護する観点から
保護層を設けることが一般的に行われている。この保護
層は、耐磨耗性の観点から硬度の高いものが選ばれる。
例えば、Al,Si,Ti,Cr,Zr,Nb,Mo,
Ta,W等の金属の酸化物、窒化物、炭化物、あるいは
カーボンやボロンナイトライド等が挙げられる。この他
にも、例えば特開平5−217154号公報、特開平5
−217156号公報、特開平5−225555号公
報、特開平5−225557号公報、特開平5−282
661号公報、特開平6−25840号公報、特願平4
−268952号明細書、特願平5−1720号明細
書、特願平5−217156号明細書、特願平5−40
142号明細書に開示されているものを用いることが出
来る。中でも好ましいものは炭素、炭化ケイ素、炭化ホ
ウ素、炭化タングステン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウ
ム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、あるいはこれらの材料の
複合されたものである。特に好ましいものはカーボン、
特にダイヤモンドライクカーボンである。この保護層
は、厚さが5〜25nmが好ましい。保護層は、スパッ
タ等のPVD手段により形成できる。
【0033】保護層の下には金属薄膜型の磁性層がスパ
ッタ等のPVD手段により20〜50nm厚さ設けられ
る。磁性層を形成する材料は、例えばCoCr,CoN
i,CoCrX,CoNiX,CoWX,CoCrPt
X,CoSm,CoSmX(Xとしては、Ta,Pt,
Au,Ti,V,Cr,Ni,W,La,Ce,Pr,
Nd,Pm,Sm,Eu,Li,Si,B,Ca,A
s,Y,Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,Ag,Sb,
Hf等から選ばれる一種あるいは二種以上)等で表され
るCoを主成分とするCo系の磁性合金が挙げられる。
【0034】尚、磁性層の下には、必要に応じてスパッ
タ等のPVD手段によりCr膜などの下地層5が設けら
れる。磁性層は支持体上に設けられる。支持体は、磁性
を有するものでも非磁性のものでも良いが、一般的には
非磁性のものが用いられる。例えば、カーボン、強化ガ
ラス、結晶化ガラス、アルミニウム及びアルミニウム合
金、チタン及びチタン合金、セラミックス、樹脂、ある
いは前記材料の複合材料が用いられる。中でも、カーボ
ン、更にガラス状カーボン、特に曲げ強度が24kgf
/mm2 以上、弾性率が2500kgf/mm2 以上、
密度が1.4〜1.8g/cm3 のガーラス状カーボン
が好ましい。
【0035】このような支持体、例えばカーボン製の支
持体の表面特性は上記の通りである。すなわち、上記の
式で表されるスキューネスRskの最大値及び最小値が
−1〜4の範囲内にあり、かつ、その平均値が0〜3の
範囲内にあるよう形成されている。尚、スキューネスR
skの最大値及び最小値は−0.5〜4の範囲内にあ
り、かつ、その平均値が0〜2の範囲内にあることが好
ましい。特に、スキューネスRskの最大値及び最小値
は0〜4の範囲内にあり、かつ、その平均値が0〜2の
範囲内にあることが好ましい。あるいは、表面のRaが
1〜100Å、Rp/Raが1〜15の範囲内にあるよ
う形成されている。尚、Raが40〜100Åである場
合には、Rp/Raが1〜6が好ましい。Raが10〜
40Åである場合には、Rp/Raが4〜15が好まし
い。例えば、Rskの最大値及び最小値が0〜4の範囲
内にあり、かつ、その平均値が0〜2の範囲内にあり、
更にはRaが約1〜100Å、Rp/Raが約1〜15
の表面特性のものを得ようとするには、テープ種日本ミ
クロコーティング社製の♯4000フラットタイプ、テ
ープ送り速度400mm/分、加工圧力2.2kg/c
2 、テープ揺動460往復/分、ローラゴム硬度60
度、ワーク回転数50rpm、加工時間10〜40秒、
ジョンソン社製JS602の3wt%研磨液と言った条
件下でカーボン製支持体にテクスチャ加工を施せば良
い。又、研磨テープの種類や遊離砥粒の種類、研磨時
間、研磨時の圧力などの条件を適宜変更することが可能
である。尚、テクスチャ加工により支持体表面を所望の
スキューネスRskにする工程の前に、支持体表面のR
aを1〜10Å(より好ましくは、1〜5Å)に鏡面加
工しておくことが好ましい。例えば、研磨クロスを貼り
付けた両面ラッピング装置により鏡面仕上げすることで
得られる。
【0036】更に、最大突起高さRpから50Åの深さ
で切った時の山の数PC50が30〜200本/mmであ
ることが好ましい。尚、PC50は30〜80本/mmが
好ましく、特に40〜70本/mmが一層好ましい。
又、本発明の磁気記録媒体におけるRpは50〜300
Åであることが好ましい。より好ましくは50〜100
Åである。又、径方向および周方向の凹凸が等方的であ
って、径方向と周方向の中心線平均粗さRa1 ,Ra2
の比(Ra1 /Ra2 )が0.8〜2.0であることが
好ましい。より好ましくは0.8〜1.4である。
【0037】このような条件を満たしたテクスチャ表面
に本発明の気相重合による潤滑層を形成すれば、その相
乗効果により特に優れたCSS特性が得られる。そし
て、上記のような表面特性の支持体上に磁性層が設けら
れ、その最表面に気相反応で形成された潤滑剤層が設け
られた磁気記録媒体は、再生エラーや消去エラーが少な
く、記録・再生特性が優れたものである。かつ、ヘッド
浮上量が低く、更にはCSS耐久性に優れた特長を奏す
る。
【0038】以下、実施例により本発明を更に具体的に
説明する。
【0039】
【実施例】
〔実施例1〜4〕密度1.5g/cm3 、曲げ強度2
9.8kg/mm2 、弾性率2500kgf/mm2
ガラス状カーボン製の基板(サイズ1.8インチ、厚さ
25ミル)1を表−1に示す条件で鏡面研磨し、中心線
平均粗さRaを1.0nmにした。
【0040】表−1 研磨装置;スピードファム製両面ラッピング装置DSL
−9B 研磨クロス;サーフィン018−3 加工圧;150g/cm2 加工時間;10分,30分 研磨剤;スノーテックスZL:水=1:9 pH2〜10 この後、表−2に示す条件でテクスチャ処理を施した。
【0041】表−2 テープ;日本ミクロコーティング社製♯3000〜♯8
000フラットタイプ テープ送り速度;100〜600mm/分 加工圧力;1〜4kg/cm2 テープ揺動;0〜500往復/分 ローラゴム硬度;60度 ワーク回転数;50〜数百rpm 加工時間;5〜60秒 研磨液;ジョンソン製のJS602 3wt%研磨液 このテクスチャ処理されたガラス状カーボン製の基板1
のRskを測定したので、その結果を表−3に示す。
又、Ra及びRpについても測定したので、これらの結
果も併せて表−3に示す。
【0042】 表−3 No テープ 加工 Rsk Ra(Å) Rp/Ra 時間 MAX.MIN.AVE. 1 ♯6000 5秒 3.170 0.774 1.714 24 8.8 2 ♯6000 10秒 1.813 0.112 0.988 27 7.1 3 ♯4000 5秒 1.537 1.395 1.487 22 7.1 4 ♯4000 10秒 1.627 -0.495 1.013 26 7.2 この後、DCマグネトロンスパッタによりArガス雰囲
気中で50nm厚さのCr下地層2を基板表面に設け、
次いで40nm厚さのCoCrTa系の磁性層3を設け
た。続いて、ガラス状カーボン製ターゲットを装着した
対向ターゲット型のスパッタ装置を用い、室内を排気
し、そして2mTorrのガス圧となるようArガスを
導入し、磁性層上に200Å厚のガラス状カーボンから
なる保護層4を設け、磁気ディスク原体Dを得た。
【0043】この磁気ディスク原体DをCVD装置のチ
ャンバ6内に所定の間隔を設けて図2に示すように立設
し、チャンバ6内を5×10-2Torrに排気した後、
分圧が10Torrのヘキサフルオロプロペンと60T
orrの酸素とを導入し、ArFエキシマレーザ(波長
193nm)からのレーザ光(パワー150mJ、繰り
返し速度2Hz)を12分間かけて1500パルス照射
した。尚、この間、磁気ディスク原体Dを回転してい
た。
【0044】この後、チャンバ6内に100Torrの
大気(湿度60%)を導入した。大気導入後、再び、チ
ャンバ6内を1×10-2Torrに排気した後、分圧が
10Torrのヘキサフルオロプロペンと60Torr
の酸素とを導入し、上記と同じレーザ光を12分間かけ
て1500パルス照射した。尚、レーザ光は磁気ディス
ク原体Dに直接照射されないよう、図2中、矢印方向に
照射した。又、上記光CVD処理に際して、磁気ディス
ク原体Dの温度は室温(22℃)であった。
【0045】以上の工程により、磁気ディスク原体Dの
表面には、磁気ディスク原体Dの保護層表面に化学結合
により分子の一部が固定された固定潤滑剤分子と、潤滑
剤分子が表面には固定されていないフリー潤滑剤分子と
の混成からなる厚さ29Åの混成潤滑剤層5が形成され
た。尚、混成潤滑剤層5が固定潤滑剤分子とフリー潤滑
剤分子との混成からなることは、フッ素系溶剤で10分
間超音波洗浄することによる重量減少により確認され
た。かつ、潤滑剤分子が残存していることはESCA
(VGサイエンス社製のESCALAB 200C、A
lKα線使用)分析により確認された。フリー潤滑剤分
子/固定潤滑剤分子の割合は重量比で9/20であっ
た。又、混成潤滑剤層5についてのESCA分析によれ
ばC1sについて294.8〜250eVにピークが認め
られ、これは市販の潤滑剤の−(CF2O)n −(CF2CF2O)
m −の(CF2O)n ユニットのC1sスペクトルと一致した
ので、潤滑剤分子は−(CF2O)n −の構造単位を有する
ものであると考えられる。但し、−CF2O−由来と考えら
れるC1s,F1s,O1sのスペクトル強度比は、C:F:
O=1.0:5.21:2.86なので、−(CF2O)n
−の構造単位以外のものが存在する可能性もある。
【0046】〔実施例5〜8〕実施例1の光CVD処理
を表−4の条件に変更した以外は実施例1に準じて行
い、磁気ディスクを得た。尚、CVD工程の繰り返しの
度にチャンバ6内に100Torrの大気(湿度60
%)を導入し、そして排気し、反応ガスを導入した。
【0047】 表−4 原料ガス X/O2 ガス圧 温度 大気 CVD繰 レーザ光 モル比 Torr ℃ 湿度% 返回数 照射回数 実施例5 X2+O2 10/60 70 22 60 4 6000 実施例6 X3+O2 10/60 70 22 60 4 6000 実施例7 X4+O2 10/60 70 22 60 4 6000 実施例8 X5+O2 10/60 70 22 60 4 6000 X2;1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロペン X3;テトラフルオロエチレン X4;ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン X5;ヘキサフルオロプロピレン+テトラフルオロエチレン(1:1) 上記のようにして得られた潤滑剤層の厚さ及びフリー潤
滑剤分子/固定潤滑剤分子の割合は表−5に示す通りで
あった。
【0048】 表−5 潤滑剤層の厚さ フリー潤滑剤分子/固定潤滑剤分子 実施例5 58Å 38/20 実施例6 45Å 27/18 実施例7 48Å 29/19 実施例8 53Å 33/20 〔比較例1〜4〕実施例1〜4における潤滑剤層形成を
光CVD処理からパーフルオロポリエーテル系潤滑剤
(モンテカチーニ社製のFomblinAM2001)
溶液への浸漬処理に変更した以外は実施例1〜4に準じ
て行い、磁気ディスクを得た。
【0049】〔比較例5〜9〕実施例1におけるテクス
チャ処理条件を変更し、表−6の表面特性を有するガラ
ス状カーボン製の基板を得た。 表−6 No テープ 加工 Rsk Ra(Å) Rp/Ra 時間 MAX.MIN.AVE. 5 ♯6000 20秒 1.383 -1.446 -0.271 47 4.7 6 ♯6000 40秒 -1.104 -1.415 -1.257 88 2.7 7 ♯6000 60秒 -0.239 -0.863 -0.547 130 5.7 8 ♯4000 20秒 1.128 -2.675 -0.494 32 6.3 9 ♯4000 40秒 -1.239 -2.526 -1.830 80 2.6 この基板を用いて比較例1に準じて行い、磁気ディスク
を得た。
【0050】〔特性〕上記各例で得た磁気ディスクにつ
いて、エラー(ミッシングビット(UMS)、ロングミ
ッシングビット(LMS)、エキストラビット(E
X))を調べたので、その結果を表−7に示す。又、C
SSテスト及び1.5μ”グライドハイトテストGHT
についても調べたので、その結果も表−7に示す。
【0051】 表−7 エラー CSSテスト GHT UMS LMS EX 実施例1 5.1 0.1 2.6 5万回以上 A 実施例2 8.3 0.3 2.1 5万回以上 S 実施例3 5.8 0.8 3.3 5万回以上 S 実施例4 20.3 0.7 3.1 5万回以上 S 実施例5 5.2 0.1 2.5 5万回以上 S 実施例6 4.9 0.2 2.3 5万回以上 S 実施例7 4.8 0.1 2.1 5万回以上 S 実施例8 5.3 0.3 2.8 5万回以上 S 比較例1 5.2 0.1 2.7 〜3万回 S 比較例2 8.7 0.1 2.3 〜3万回 S 比較例3 5.7 0.5 2.7 〜3万回 S 比較例4 18.7 0.5 3.2 〜3万回 S 比較例5 124.5 3.0 10.5 〜3万回 B 比較例6 74.5 1.5 0.5 〜3万回 C 比較例7 234.0 4.5 23.0 NG C 比較例8 58.5 1.0 4.0 〜3万回 B 比較例9 179.3 1.5 18.0 〜3万回 C *CSSテスト;ヤマハ社製の薄膜ヘッドを用い、ヘッ
ド荷重3.5g、ヘッド浮上量2.8μインチ、450
0rpmで5秒間稼働、5秒間停止のサイクルを2万回
繰り返して行い、その際の静摩擦係数の増加を調べた。
【0052】*GHT ;PROQUIP社製MG
150Tを用い、50%スライダヘッドを用いて行っ
た。1.5μインチの浮上高さの通過率が90%以上の
ものをS、通過率が50〜90%のものをA、通過率が
30〜50%のものをB、通過率が30%以下のものを
Cで表示した。この表−7から、本発明になるものは、
1.5μインチの極めて厳しいGHT特性を満たし、か
つ、CSSテストに優れた結果を示していることが判
る。すなわち、ヘッドと磁性層との間のスペーシングロ
スを少なく出来、電磁変換特性に優れたのみならず、耐
久性にも優れたものである。又、再生エラーや消去エラ
ーが少なく、記録・再生特性が優れたものである。
【0053】
【効果】特定の表面特性の支持体上に磁性層が設けら
れ、かつ、気相反応で形成された潤滑剤層が表面に設け
られた磁気記録媒体は、再生エラーや消去エラーが少な
く、記録・再生特性が優れたものである。かつ、ヘッド
浮上量が低く、更には極めて安定した高レベルのCSS
耐久性を示し、又、超低グライドハイト特性を達成でき
る。特に、表面粗さが小さいテクスチャを持つもので
も、充分に満足できるCSS特性を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる磁気記録媒体の概略図
【図2】本発明になる磁気記録媒体の製造の概略図
【符号の説明】
1 カーボン製基板 2 下地層 3 磁性層 4 保護層 5 潤滑剤層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体と、磁性層と、潤滑剤層とを少な
    くとも有する磁気記録媒体であって、 前記潤滑剤層は気相反応で形成されたものであり、 前記支持体は、その表面が、下記の式で表されるスキュ
    ーネスRskの最大値及び最小値が−1〜4の範囲内に
    あり、かつ、その平均値が0〜3の範囲内にあることを
    特徴とする磁気記録媒体。 【数1】 (Yiは中心線から山頂または谷底までの距離(山頂側
    が+の値、谷底側が−の値)、Rqは自乗平均平方根粗
    さ、nはYiのデータ数)
  2. 【請求項2】 支持体と、磁性層と、潤滑剤層とを少な
    くとも有する磁気記録媒体であって、 前記潤滑剤層は気相反応で形成されたものであり、 前記支持体は、その表面のRa(Raは中心線平均粗
    さ)が1〜100Å、Rp/Ra(Rpは中心線高さ)
    が1〜15の範囲内にあることを特徴とする磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 支持体と、磁性層と、潤滑剤層とを少な
    くとも有する磁気記録媒体であって、 前記潤滑剤層は気相反応で形成されたものであり、 前記支持体は、その表面が、下記の式で表されるスキュ
    ーネスRskの最大値及び最小値が−1〜4の範囲内に
    あり、かつ、その平均値が0〜3の範囲内にあり、更に
    表面のRa(Raは中心線平均粗さ)が1〜100Å、
    Rp/Ra(Rpは中心線高さ)が1〜15の範囲内に
    あることを特徴とする磁気記録媒体。 【数2】 (Yiは中心線から山頂または谷底までの距離(山頂側
    が+の値、谷底側が−の値)、Rqは自乗平均平方根粗
    さ、nはYiのデータ数)
  4. 【請求項4】 潤滑剤層は潤滑剤分子が当該媒体の最表
    面に固定された固定潤滑剤分子と潤滑剤分子が当該媒体
    の最表面には固定されていないフリー潤滑剤分子との混
    成でなり、気相重合で形成されたものであることを特徴
    とする請求項1〜請求項3いずれかに記載の磁気記録媒
    体。
  5. 【請求項5】 潤滑剤層の厚さが2〜200Åであり、
    この潤滑剤層おけるフリー潤滑剤分子/固定潤滑剤分子
    が重量比で1/10〜10/1の割合であることを特徴
    とする請求項1〜請求項4いずれかに記載の磁気記録媒
    体。
  6. 【請求項6】 支持体の上に磁性層が、磁性層の上に保
    護層が、保護層の上に潤滑剤層が設けられてなる磁気記
    録媒体であることを特徴とする請求項1〜請求項5いず
    れかに記載の磁気記録媒体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7014927B2 (en) 2002-12-27 2006-03-21 Fuji Photo Film Co., Ltd. Magnetic recording medium

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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