JPH08180384A - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JPH08180384A
JPH08180384A JP32884994A JP32884994A JPH08180384A JP H08180384 A JPH08180384 A JP H08180384A JP 32884994 A JP32884994 A JP 32884994A JP 32884994 A JP32884994 A JP 32884994A JP H08180384 A JPH08180384 A JP H08180384A
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partially fluorinated
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JP32884994A
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Hironobu Sato
博信 佐藤
Tsutomu Isobe
勤 磯部
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 グライドハイト特性を満足しつつ、表面の摩
擦係数が低く且つ耐久性に優れた磁気記録媒体及びその
製造方法の提供。 【構成】 支持体と、該支持体上に設けられた磁性層
と、該磁性層上に設けられた保護層と、該保護層上に設
けられた潤滑剤層とを具備し、上記保護層は、水素化炭
素材から成り、上記潤滑剤層は、気相重合により得られ
た重合体により形成されており、且つ上記保護層上に固
着された固定層と該固定層上に形成されたフリー層とか
らなることを特徴とする磁気記録媒体及びその製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、摩擦係数が低く、耐久
性に優れた磁気ディスク等の磁気記録媒体及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、磁気ディスク等の磁気記録媒体には、その耐久性を
向上させるために磁気記録層の上に保護層や潤滑剤層を
設けることが広く行われている。そして、近年の記録密
度の増大等に伴って、グライドハイト特性を満足しつ
つ、更に耐久性が向上された磁気記録媒体が要求されて
いる。
【0003】保護層に関しては、特開昭53−7601
3号公報や特公昭55−29500号公報において、磁
気記録層上にポリ珪酸やSiO2 のような酸化物の硬質
保護膜を塗布手段やスパッタリング等の薄膜形成手段で
設ける技術が提案されている。ポリ珪酸やSiO2 は硬
く摩耗に対して強いものの、脆いという欠点を有する。
従って、磁気ヘッドが磁気ディスクに接触することによ
る衝撃で、ポリ珪酸やSiO2 が欠けて、破砕した粒子
が磁気ディスクの表面に付着したり、磁気ヘッドが目詰
まりを起こしたりする場合がある。
【0004】そこで、上記欠点に対処する為、特開昭6
2−97123号公報においては、SiCから成る保護
膜を用いることが提案されている。しかしながら、磁気
記録媒体の高耐久化の要請や磁気ヘッドの高硬度化等に
伴い、SiCから成る保護膜を用いても、磁気記録媒体
の表面硬度及び潤滑性が不十分であることが次第に判明
してきた。
【0005】また、特開平6−25840号公報には、
スパッタリングを用いて、ガラス状炭素に由来するC元
素を主成分とする素材から成る保護層を形成することが
記載されている。しかしながら、該公報には、上記保護
層を特定の潤滑剤層と組み合わせて使用して、磁気記録
媒体のグライドハイト特性及び耐久性の双方を向上させ
ることについては記載されていない。
【0006】一方、潤滑剤層に関しては、レーザー光を
用いた表面重合法により、保護層上に直接フッ素系重合
体の層を形成して、保護層の表面に固着されてなる潤滑
剤層を形成する方法等が提案されている。しかし、上述
の方法では、潤滑剤層はその全てが保護層の表面に固着
されているため上記潤滑剤層と上記保護層との密着度は
向上するものの、未だ要求されている耐久性を満足する
ものではなかった。
【0007】一方、潤滑剤層を固定層とフリー層とから
成る2層構造として耐久性を向上させる方法も提案され
ている。この場合、フリー層の厚さを厚くすると、耐久
性は要求されているレベルにまで向上する。しかし、要
求されているレベルにまで耐久性が向上されるように上
記フリー層の厚さを厚くすると、磁気記録媒体の表面粗
さが小さいため、該潤滑剤層の摩擦係数が高くなり、磁
気ヘッドが磁気記録媒体に吸着する問題がある。
【0008】従って、本発明の目的は、グライドハイト
特性を満足しつつ、表面の摩擦係数が低く且つ耐久性に
優れた磁気記録媒体及びその製造方法を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解消するために鋭意検討した結果、特定の物質を用い
て形成された保護層と、特定の化合物を用いて形成され
且つ特定の構造を有する潤滑剤層との組み合せを具備し
て成る磁気記録媒体が上記目的を達成し得ることを知見
した。
【0010】本発明は、上記知見に基づいてなされたも
のであり、支持体と、該支持体上に設けられた磁性層
と、該磁性層上に設けられた保護層と、該保護層上に設
けられた潤滑剤層とを具備する磁気記録媒体において、
上記保護層は、水素化炭素材から成り、上記潤滑剤層
は、気相重合により得られた重合体により形成されてお
り、且つ上記保護層上に固着された固定層と該固定層上
に形成されたフリー層とからなることを特徴とする磁気
記録媒体提供することにより上記目的を達成したもので
ある。
【0011】また、本発明は、上記磁気記録媒体の好ま
しい製造方法として、H原子を有する化合物とArとを
含むガス雰囲気下でのフィジカルベーパーデポジション
法(以下、「PVD」という)により水素化炭素材から
成る保護層を形成し、潤滑剤層の形成に際して、真空条
件下で気相重合を行い、フッ化炭素系化合物と酸素とを
重合させて潤滑剤層を形成する第1の重合工程と、水蒸
気を導入した後、真空条件下で気相重合を行い、フッ化
炭素系化合物と酸素とを重合させて潤滑剤層を形成する
第2の重合工程とを、順次行うことを特徴とする磁気記
録媒体の製造方法を提供するものである。
【0012】以下、本発明の磁気記録媒体について詳細
に説明する。本発明の磁気記録媒体は、支持体と、該支
持体上に設けられた磁性層と、該磁性層上に設けられた
保護層と、該保護層上に設けられた潤滑剤層とを具備す
る磁気記録媒体である。本発明の磁気記録媒体は、例え
ば、磁気ディスクとして特に有用である。
【0013】本発明において用いられる上記支持体は、
磁性支持体と非磁性支持体とのいずれをも用いることが
できるが、一般的には非磁性支持体が用いられる。上記
非磁性支持体としては、例えば、ガラス状カーボン等の
カーボン、強化ガラス、結晶化ガラス、アルミニウム及
びアルミニウム合金、チタン及びチタン合金、セラミッ
クス、樹脂、並びにこれらの複合材料から成る基板が用
いられる。これらの中でも、ガラス状カーボンから成る
基板は、耐熱性、軽量性等の点において特に優れたもの
であり、本発明において特に好ましく用いることができ
る。
【0014】上記支持体には、必要に応じて、各種のテ
クスチャ処理を施してもよい。かかるテクスチャ処理と
しては、例えば、研磨テープや研磨砥粒を用いての処
理、酸によるエッチング処理、熱酸化や陽極酸化処理、
シリケート化合物をスピンコートにより表面析出させる
処理、プラズマアッシングあるいは金属をスパッタリン
グして表面に凹凸を形成するスパッタテクスチャー等に
よる粗面化処理等を挙げることができる。
【0015】本発明において上記支持体上に設けられる
上記磁性層としては、例えば、PVDにより形成された
金属薄膜型の磁性層を挙げることができる。該金属薄膜
型の磁性層を形成する材料としては、例えばCoCr、
CoNi、CoCrX、CoNiX及びCoWX(ここ
で、Xは、Ta、Pt、Au、Ti、V、Cr、Ni、
W、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、L
i、Si、B、Ca、As、Y、Zr、Nb、Mo、R
u、Rh、Ag、Sb及びHf等からなる群より選ばれ
る1種又は2種以上の金属を示す)等で表されるCoを
主成分とするCo系の磁性合金等を好ましく挙げること
ができる。使用に際しては、これらを単独で又は2種以
上の混合物として用いることができる。上記磁性層の厚
さは20〜50nmであることが好ましいが、かかる範
囲には限定されない。
【0016】本発明において上記磁性層上に設けられる
上記保護層は、水素化炭素材から成る。水素化炭素材か
ら成る保護層を形成する方法に特に制限はないが、本発
明において、好ましくは、上記保護層は、H原子を有す
る化合物とArとを含むガス雰囲気下でのPVDにより
形成される。PVDとしては、例えば、スパッタリング
や蒸着などが挙げられるが、これらに限定されるもので
はない。
【0017】上記H原子を有する化合物としては、H2
並びに脂肪族及び芳香族炭化水素が好ましく用いられ
る。上記脂肪族炭化水素としては、飽和脂肪族炭化水素
及び不飽和脂肪族炭化水素の双方共に使用することがで
きる。これらの化合物は、単独で又は2種以上の混合物
として用いることができる。
【0018】上記飽和脂肪族炭化水素としては、メタ
ン、エタン及びプロパンのような低級飽和脂肪族炭化水
素を使用することが好ましい。
【0019】上記不飽和脂肪族炭化水素としては、エチ
レン及びプロピレン並びにアセチレンのような低級不飽
和脂肪族炭化水素を使用することが好ましい。
【0020】上記芳香族炭化水素としては、例えば、ト
ルエン、キシレンを用いることが好ましい。
【0021】PVDのターゲットとしては、炭素材を使
用する。該炭素材としては、黒鉛のような結晶性炭素材
を使用することもできるが、ガラス状の炭素材を使用す
ることが好ましい。ガラス状の炭素材を使用することに
より、水素化ガラス状炭素材から成る保護層を形成する
ことができる。また、上記炭素材が、Si、Ti、W、
Zr、Cr、Nb、Mo、Ta又はAl等の炭化物、窒
化物、ホウ化物若しくは酸化物又はBN若しくはB4
等のセラミックの粒子を含有することも好ましい。かか
る粒子の大きさは、2〜40nmであることが好まし
い。特に好ましいPVDのターゲットは、上記粒子を含
有するガラス状の炭素材である。
【0022】上記保護層は、上記H原子を有する化合物
とArとを含むガス雰囲気下で、上記炭素材をターゲッ
トとしたPVDによって形成される。本発明において
は、上記保護層は、水素化ガラス状炭素材から成ること
が、CSS耐久性の点から特に好ましい。なお、上記保
護層がガラス状であるか否かの同定は、例えば、ラマン
分光分析や電子エネルギー損失分光法により行うことが
できる。
【0023】上記保護層の水素化の程度には特に制限は
ないが、3〜12原子%であることが、CSS耐久性の
点から好ましい。
【0024】このようにして得られた上記保護層の厚さ
は、5〜25nmであることが好ましいが、かかる範囲
には限定されない。
【0025】本発明において上記保護層上に設けられる
上記潤滑剤層は、気相重合により得られた重合体により
形成されている。上記潤滑剤層の形成法に特に制限はな
いが、上記潤滑剤層はフッ化炭素系化合物と酸素との気
相重合により得られた重合体により形成されていること
が好ましい。
【0026】上記フッ化炭素系化合物としては、炭素−
炭素二重結合を有するものが好ましく、特に好ましく
は、下記一般式(I)〜(III) で表される化合物から成
る群から選択される。 CF2 =CFRf 1 ・・・・(I) (式中、Rf 1 は、フッ素原子、パーフルオロアルキル
基、パーフルオロアルケニル基、部分フッ素化アルキル
基、部分フッ素化アルケニル基、パーフルオロアリール
基又は部分フッ素化アリール基を示す) CF2 =C(Rf 2)(Rf 3)・・・・(II) (式中、Rf 2 及びRf 3 は、同一の又は異なる水素原
子、フッ素原子、パーフルオロアルキル基、パーフルオ
ロアルケニル基、部分フッ素化アルキル基、部分フッ素
化アルケニル基、パーフルオロアリール基又は部分フッ
素化アリール基を示す) CF2 =CFO(Rf 4)・・・・(III) (式中、Rf 4 は、フッ素原子、パーフルオロアルキル
基、パーフルオロアルケニル基、部分フッ素化アルキル
基、部分フッ素化アルケニル基、パーフルオロアリール
基、部分フッ素化アリール基又はパーフルオロアルコキ
シアルキル基を示す)
【0027】上記フッ化炭素系化合物は、それぞれ単独
で用いてもよく又は2種以上を混合して用いてもよい。
2種以上用いる場合には、上記一般式(I)〜(III) の
何れか一つの範疇から2種以上を選択して用いてもよく
又は上記一般式(I)〜(III) のうちの少なくとも2つ
の範疇からそれぞれ1種以上を選択して用いてもよい。
【0028】上記一般式(I)において、好ましいパー
フルオロアルキル基としては、パーフルオロメチル基
(CF3 −)、パーフルオロヘプチル基(C5 11−)
及びパーフルオロヘキシル基(C6 13−)が挙げら
れ;好ましいパーフルオロアルケニル基としては、パー
フルオロエチニル基(CF2 =CF−)が挙げられ;好
ましい部分フッ素化アルキル基としては、1H−パーフ
ルオロブチル基(C4 8H−)が挙げられ;好ましい
部分フッ素化アルケニル基としては、−CF2 −CF=
CH2 が挙げられ;好ましいパーフルオロアリール基と
しては、パーフルオロベンジル基(−CF2 −C6 5)
が挙げられ;そして、好ましい部分フッ素化アリール基
としては、−CFH−C6 5 及び−CF2 −C6 5
が挙げられる。
【0029】従って、一般式(I)で表される化合物の
うち、好ましいものとしては、テトラフルオロエチレン
(CF2 =CF2)、ヘキサフルオロプロペン(CF2
CFCF3)、パーフルオロヘプテン−1(CF2 =CF
5 11)、6H−パーフルオロヘキセン−1(CF2
=CFC4 8 H)、パーフルオロオクテン−1(CF
2 =CFC6 13)、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジ
エン(CF2 =CFCF=CF2)、3−(ペンタフルオ
ロフェニル)ペンタフルオロプロペン−1(CF2 =C
FCF2 6 5)、CF2 =CFCHF−C6 5 、C
2 =CFCF 2 −C6 5 、CF2 =CFCF2 CF
=CH2 等が挙げられる。
【0030】上記一般式(II)において、好ましいパー
フルオロアルキル基としては、上記一般式(I)におけ
るものの他にCF3 CF2 −が挙げられ;好ましいパー
フルオロアルケニル基としては、上記一般式(I)にお
けるものの他に−CF2 −CF=CF2 が挙げられ;好
ましい部分フッ化アルキル基としては−CF2 H及び−
CF2 CF2 Hが挙げられ;好ましい部分フッ化アルケ
ニル基としては、上記一般式(I)におけるものの他に
−CF=CH2 が挙げられ;そして、好ましいパーフル
オロアリール基及び部分フッ素化アリール基としては、
上記一般式(I)におけるものと同様のものが挙げられ
る。
【0031】従って、一般式(II)で表される化合物の
うち、好ましいものとしては、CF 2 =C(CF3)2
CF2 =CH2 、CF2 =CHF、CF2 =CHC
3 、CF2 =CHCF2 CF3 、CF2 =CHCF=
CF2 、CF2 =CHCF2 CF=CF2 、CF2 =C
HCF2 H、CF2 =CHCF2 CF2 H、CF2 =C
HCF2 CF=CH2 、CF2 =CHCF=CH2 、C
2 =CHCFH−C6 5 、CF2 =CHCF2 −C
6 5 等が挙げられる。
【0032】上記一般式(III)において、好ましいパー
フルオロアルキル基及びパーフルオロアルケニル基とし
ては、上記一般式(II)におけるものと同様のものが挙
げられ;好ましい部分フッ素化アルキル基としては、−
CF2 H、−CF2 CF2 H及び−C4 8 Hが挙げら
れ;好ましい部分フッ素化アルケニル基、パーフルオロ
アリール基及び部分フッ素化アリール基としては、上記
一般式(II)におけるものと同様のものが挙げられ;そ
して、好ましいパーフルオロアルコキシアルキル基とし
ては、−CF2 CF(CF3)OC3 7 が挙げられる。
【0033】従って、一般式(III)で表される化合物の
うち、好ましいものとしては、CF 2 =CFOCF3
CF2 =CFOC5 11、CF2 =CFOC6 13、C
2=CFOCF2 CF3 、CF2 =CFOCF=CF
2 、CF2 =CFOCF2 CF=CF2 、CF2 =C4
8 H、CF2 =CFOCF2 H、CF2 =CFOCF
2 CF2 H、CF2 =CFOCF2 −CF=CH2 、C
2 =CFOCF=CH2 、CF2 =CFOCF2 −C
6 5 、CF2 =CFOCFH−C6 5 、CF2 =C
FOCF2 −C6 5 、CF2 =CFOCF2 CF(C
3)OC3 7等が挙げられる。
【0034】また、上記フッ化炭素系化合物と酸素との
使用割合は、上記フッ化炭素系化合物/酸素(モル比)
が、好ましくは1/0.5〜1/100であり、更に好
ましくは1/1〜1/10であり、最も好ましくは1/
2〜1/8である。上記使用割合が1/100より低い
と、後述する気相重合におけるレーザー光等の吸収効率
が低下して重合が十分に進行せず、上記使用割合が1/
0.5より高いと、重合体中のエーテル結合量が低下し
て得られる潤滑剤層の耐久特性が低下するので、上記範
囲内とするのが好ましい。
【0035】上記フッ化炭素系化合物と酸素との気相重
合により得られた重合体は、主として−(CF2 O)−
の構造単位を有する重合体であり、その分子量は、好ま
しくは1500〜30000である。
【0036】上記重合体の構造は必ずしも明確ではない
が、例えば、下記構造式で示される重合体等が推定され
る。 X-(CF2 O) l -(CF2 CF2 CF2 O) m -(CF(
CF3)CFO) n X' 〔ここで、l、m及びnは、正の整数を示し(但し、
l》m、l》n)、X及びX’は、同一の又は異なるア
ルコール、エーテル結合、エステル結合又はウレタン結
合等を含む末端部を示す。〕 上記重合体における上記−(CF2 O)−の構造単位の
含有率は、全構造単位中70%以上であることが好まし
く、例えば、上記構造式で表される重合体においては
〔l/(l+m+n)〕×100が70%以上であるこ
とが好ましい。
【0037】また、上記潤滑剤層は、上記保護層に固着
された固定層と該固定層上に形成されたフリー層とから
なる。ここで、上記固定層とは、上記保護層に化学的又
は物理的に強固に固着されている層を意味し、例えば商
品名「フロン113」等のフッ素系溶媒を用いて洗浄し
ても洗い流されない層のことをいう。一方、上記フリー
層とは、上記フッ素系溶媒を用いて洗浄した場合に洗い
流されてしまう層のことをいう。
【0038】上記固定層の厚さ(重さ)と上記フリー層
の厚さ(重さ)との比は、フリー層の厚さ(重さ)/固
定層の厚さ(重さ)が好ましくは1/10〜10/1、
更に好ましくは2/5〜5/1である。
【0039】上記固定層の厚さは、5〜30Åであるこ
とが好ましい。厚さが5Å未満であると、上記潤滑剤層
の耐摩耗性が不十分で耐久性が低下し、厚さ30Åを超
えると、上記固定層の構造が乱れて上記潤滑剤層の耐摩
耗性が低下するので上記範囲内とすることが好ましい。
【0040】上記フリー層の厚さは、2〜80Åである
ことが好ましい。厚さが2Å未満であると、上記潤滑剤
層の耐久性が不十分で、厚さが80Åを超えると、上記
潤滑剤層の摩擦係数が増大するので上記範囲内とするこ
とが好ましい。
【0041】このように、本発明の磁気記録媒体におい
ては、上記フリー層の厚さを従来のフリー層の厚さ(8
〜20Å)よりも厚くしても、磁気記録媒体表面の摩擦
係数が高くならない(吸着しにくい)ものであるため、
本発明の磁気記録媒体における上記フリー層の厚さは、
従来の磁気記録媒体におけるフリー層の厚さよりも厚く
することができる。
【0042】上記固定層及び上記フリー層からなる上記
潤滑剤層の厚さは、好ましくは2〜200Å、より好ま
しくは10〜100Å、更に好ましくは20〜80Å、
最も好ましくは20〜50Åである。上記厚さが100
Åを超えるとスペーシングロスが大きくなり、上記厚さ
が10Å未満であると潤滑効果が乏しくなるので、上記
範囲内であることが好ましい。
【0043】また、本発明の磁気記録媒体には、上記支
持体と上記磁性層との間に下地層を形成してもよい。上
記下地層は、Cr、Ti、Al又はこれらの合金等を用
い、スパッタ等のPVDにより設けることができる。上
記下地層の厚さは、10〜100nmとすることが好ま
しい。
【0044】次に、本発明の磁気記録媒体の好ましい製
造方法について説明する。本発明の磁気記録媒体の好ま
しい製造方法は、上記H原子を有する化合物とArとを
含むガス雰囲気下でのPVDにより上記水素化炭素材か
ら成る上記保護層を形成し、上記潤滑剤層の形成に際し
て、真空条件下で気相重合を行い、上記フッ化炭素系化
合物と酸素とを重合させて上記潤滑剤層を形成する第1
の重合工程と、水蒸気を導入した後、真空条件下で気相
重合を行い、上記フッ化炭素系化合物と酸素とを重合さ
せて上記潤滑剤層を形成する第2の重合工程とを、順次
行うことにより実施することができる。
【0045】まず、上記保護層の形成について説明す
る。上述の通り、上記保護層は、上記H原子を有する化
合物とArとを含むガス雰囲気下でのPVDにより形成
される。上記H原子を有する化合物として好ましく使用
できるものは上述の通りである。PVDにおける上記H
原子を有する化合物とArとの混合比に特に制限はない
が、好ましくは50/50〜1/99(v/v)であ
り、特に好ましくは20/80〜5/95(v/v)で
ある。
【0046】PVDを行う際のチャンバー内における上
記H原子を有する化合物の分圧は、好ましくは0.06
〜2mTorrであり、特に好ましくは0.1〜0.5
mTorrである。また、Arの分圧は、好ましくは2
〜14mTorrであり、特に好ましくは2〜10mT
orrである。更に、上記H原子を有する化合物とAr
との全圧は、好ましくは2〜15mTorrであり、特
に好ましくは2〜10mTorrである。
【0047】上記PVDとしては例えばスパッタリング
や蒸着を用いることができる。本発明においてはスパッ
タリングを用いることが好ましい。スパッタリングは、
従来公知の技術を用いることができる。このような方法
を用いて、上記H原子を有する化合物及びArを所定の
混合比で混合し、所定の圧力でチャンバー内に導入し
て、上記ターゲットを用いてPVDを行う。PVDを行
う際には、チャンバー内に設置された上記支持体を加熱
しておくことが好ましく、例えば、上記支持体を25〜
300℃程度に維持しておくことが望ましい。このよう
にして、所望の厚さの保護層が形成されるまでPVDを
行う。
【0048】次に、上記潤滑剤層の形成について説明す
る。上記潤滑剤層の形成に際しては、真空条件下で気相
重合を行い、上記フッ化炭素系化合物と酸素とを重合さ
せて上記潤滑剤層を形成する第1の重合工程と、水蒸気
を導入した後、真空条件下で気相重合を行い、上記フッ
化炭素系化合物と酸素とを重合させて上記潤滑剤層を形
成する第2の重合工程とを順次行う。
【0049】ここで、上記第1の重合工程は、主として
上記固定層を形成する工程であり、上記第2の重合工程
は、主として上記フリー層を形成する工程である。即
ち、上記第1の重合工程においても上記フリー層が形成
されることがあり、上記第2の重合工程においても上記
固定層が形成されることがある。
【0050】上記の第1及び第2の重合工程において行
われる上記気相重合について説明する。上記気相重合と
は、上記フッ化炭素系化合物と上記酸素とを気相にガス
状態で保持した系で重合を行い、重合反応を気相のみで
生ぜしめる重合方法を意味する。重合に際して採用する
ことができる手法としては、例えば、プラズマ重合や光
化学的気相成長法(以下、「CVD」という)等のCV
Dを採用することができるが、本発明においては、装置
・設備が簡単なもので済む点から光CVDが好ましく採
用される。
【0051】上記光CVDにより重合を行う場合には、
レーザ光を被析出物表面(即ち、上記保護層の表面)に
は直接照射せず、上記フッ化炭素系化合物と上記酸素と
の混合ガス中にのみ照射して行う。
【0052】上記光CVDの際に用いることができる光
源としては、例えば紫外線及び赤外線が挙げられる。こ
こで、赤外線を光源とする赤外レーザによる反応は、基
本的に振動励起による反応であるから、本質的に熱反応
と同じであり、サイドリアクションが生じて目的物以外
の生成物が生成し、形成する上記潤滑剤層の構造制御が
困難となる場合がある。これに対して、紫外線を光源と
する紫外レーザは、電子励起により重合反応を起こすも
のであり、反応の選択性が良く、更には、熱反応の関与
が極めて低いため、サイドリアクションの生じるおそれ
が低い。従って、上記光CVDの際に用いる光源として
は、紫外線を用いることが好ましく、具体的には、例え
ば193nmのエキシマレーザ光等を好ましく用いるこ
とができる。
【0053】また、上記気相重合を行う際における被析
出物(即ち保護層及び磁性層が設けられた磁気記録媒
体)の温度は10〜90℃に設定されていることが好ま
しく、更には15〜50℃であることが好ましい。上記
範囲外であると上記潤滑剤層が形成されない場合がある
ので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0054】次に、上記の第1及び第2の重合工程につ
いて、図1を参照して更に具体的に説明する。ここで図
1は、上記潤滑剤層を形成する際に用いることのできる
光反応用のチャンバーを示す模式図である。
【0055】図1に示す光反応用のチャンバー1は、そ
の上方の左右両側面に設けられたレーザ光を透過するレ
ーザ透過窓2と、下部に設けられた磁気記録媒体として
の磁気ディスク3(支持体上に上記磁性層及び上記保護
層が設けられたもの)を一定間隔をおいて立設させるこ
とができる媒体設置部材4と、上記チャンバー1の上部
に設けられたチャンバー内部の減圧及び大気解放を行う
ためのバルブ5とを有する。
【0056】そして、上記の第1の重合工程に際して
は、先ず、上記バルブ5を真空ポンプ(図示せず)に接
続して、一旦、チャンバー1内を減圧して真空(例え
ば、1×10- 5 〜1Torr)にした後、上記フッ化
炭素系化合物及び酸素を導入して後述する真空条件とす
る。次に、エキシマレーザ光等を磁気ディスク3上部と
チャンバー天井との間の中央を透過し且つ該磁気ディス
ク3には当たらないように、図1に示す矢印方向に照射
する。上記真空条件とは、真空状態のチャンバー1内に
上記フッ化炭素系化合物と酸素とを導入した状態を意味
し、この状態におけるチャンバー1内の圧力は、5〜2
00Torrとすることが好ましい。また、上記潤滑剤
層が、磁気ディスク3の全面にわたって均一に形成され
るようにするために、上記媒体設置部材4は、各磁気デ
ィスク3をその円周方向に向けて回転させることができ
るようになされている。
【0057】また、上記の第1の重合工程は、数回繰り
返されてもよい。
【0058】次いで、上記の第2の重合工程に際して
は、上記の第1の重合工程の終了後、上記バルブ5を大
気開放して、該第1の重合工程における上記真空条件を
大気圧条件に戻して、チャンバー1内に水蒸気を導入し
た後、上記の第1の重合工程と同様に、減圧して真空に
した後、上記フッ化炭素系化合物及び酸素を導入して上
記真空条件とし、エキシマレーザー光等を照射する。こ
こで、第2の重合工程における「真空条件」も、上記の
第1の重合工程における「真空条件」と同じである。
【0059】また、本発明において、上記の水蒸気の導
入は、上述の如く、上記チャンバー1を大気圧条件とす
ることにより大気を導入して行うことが好ましい。この
際導入される該大気の相対湿度は、30〜90%である
ことが好ましく、40〜80%であることが更に好まし
い。
【0060】また、上記の第2の重合工程も、数回繰り
返されてもよい。尚、上記の第2の重合工程の後に、再
度上記の第1の重合工程を行うこともできる。
【0061】なお、上記第1及び第2の重合工程におい
てチャンバー1内に導入される上記フッ化炭素系化合物
は、同一でもよく又は異なっていてもよい。特に、上記
第1の重合工程において使用される上記フッ化炭素系化
合物が上記一般式(I)で表される化合物である場合に
は、上記第2の重合工程において使用される上記フッ化
炭素系化合物も上記一般式(I)で表される化合物であ
ることが好ましい。同様に、上記第1の重合工程におい
て使用される上記フッ化炭素系化合物が上記一般式(I
I)又は(III)で表される化合物である場合には、上記
第2の重合工程において使用される上記フッ化炭素系化
合物もそれぞれ上記一般式(II)又は(III)で表される
化合物であることが好ましい。最も好ましくは、上記第
1及び第2の重合工程において使用される上記フッ化炭
素系化合物は同じものである。
【0062】尚、上記保護層及び上記潤滑剤層の形成以
外の工程に関しては、通常公知の磁気記録媒体の製造方
法と同様の方法を特に制限なく、採用することができ
る。
【0063】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0064】〔実施例1〕磁性層の作製 密度1.5g/cm3 のガラス状カーボン製のディスク
支持体(サイズ1.8インチ、厚さ25ミル)を研磨
し、中心線平均粗さRaを1.0nmにした。次いで、
Arガス圧2mTorr、上記ディスク支持体の温度2
60℃の条件で、DCマグネトロンスパッタリングによ
り、厚さ20nmのAl−10wt%Si合金層を設け、
Raが1.8nmのテクスチャー層を得た。次いで、A
l−Si合金のテクスチャー層上にArガス圧2mTo
rr、ディスク支持体温度250℃の条件で、DCマグ
ネトロンスパッタリングにより5nm厚さのアモルファ
スカーボンからなる第1の下地層を設けた。さらにDC
マグネトロンスパッタリングによりArガス雰囲気中で
厚さ100nmのTiからなる第2の下地層と厚さ50
nmのCrからなる第3の下地層を設け、その上に、厚
さ40nmのCoCrPt系の磁性層を設けた。なお、
上記Ra(中心線平均粗さ)は、触針式粗さ計(TENCOR
P2)により、下記の条件で測定した。 ・触針径:0.6μm(針曲率半径) ・触針押し付け圧力:7mg ・測定長:250μm×8ヶ所 ・トレース速度:2.5μm/秒 ・カットオフ:1.25μm(ローパスフィルタ)
【0065】保護層の作製 上記ディスク支持体をインライン型スパッタ装置のチャ
ンバー内に配置し、該チャンバー内を真空にした後に、
Ar(分圧1.9mTorr)及びメタン(分圧0.1
mTorr)を導入し、黒鉛をターゲットとしてスパッ
タリングを行い、上記磁性層上に厚さ15nmの水素化
炭素材から成る保護層を設けた。この保護層における水
素化の程度は7原子%のHを含有した膜であった。な
お、スパッタリングの間、上記ディスク支持体を180
℃に維持した。
【0066】潤滑剤層の作製 上記保護層が形成されたディスク支持体を、CVD装置
である図1に示す光反応用のチャンバー1内に所定の間
隔を設けて図1に示すように並列配置し、チャンバー1
内を5×10-2Torrに排気した後、分圧が10To
rrのヘキサフルオロプロペン(CF3 CF=CF2)と
分圧が60Torrの酸素とを導入し、ArFエキシマ
レーザ(波長193nm)からのレーザ光(パワー15
0mJ、繰り返し速度2Hz)を12.5分間かけて1
500パルス照射し、第1の重合工程を1度行った。
【0067】次いで、チャンバー1をリークして湿度6
0%の大気を導入し、大気圧条件にした。この後、再
び、チャンバー1内を5×10-2Torrに排気した
後、分圧が10Torrのヘキサフルオロプロペンと分
圧が60Torrの酸素とを導入し、上記レーザを1
2.5分間かけて1500パルス照射し、第2の重合工
程を1度行った。その結果、上記保護層上に厚さ2nm
の潤滑剤層を設けた。尚、上記レーザはディスク支持体
に直接照射されないよう、図1に示す矢印方向に向けて
照射した。また、上記光CVDに際して、ディスク支持
体の温度は室温(22℃)とした。
【0068】このようにして、図2に示す磁気記録媒体
10としての磁気ディスク、即ち、支持体11と、該支
持体11上に設けられたテクスチャー層16と、該テク
スチャー層16に設けられた下地層12a〜cと、該下
地層12a〜c上に設けられた磁性層13と、該磁性層
13上に設けられた保護層14と、該保護層14上に設
けられた潤滑剤層15とを具備し、該潤滑剤層15が、
該保護層14の表面に化学結合により重合体分子が固着
されてなる固定層15aと、該固定層15a上に形成さ
れたフリー層15bとからなる磁気ディスクを得た。
【0069】尚、上記潤滑剤層15が固定層15aとフ
リー層15bとからなることは、下記及びにより確
認した。 上記磁気ディスクをフロン113で10分間超音波洗
浄して、重量変化の有無を確認したところ、重量減少が
認められたこと。 上記の洗浄の後にESCA(VGサイエンス社製のE
SCALAB200C、AlKα線使用)分析して、磁
気ディスクの表面における上記重合体の分子の残存の有
無を確認したところ、残存が認められたこと。 その結果、上記固定層15aの厚さは1.5nmであ
り、上記フリー層の厚さは0.5nmであった。
【0070】また、上記潤滑剤層15についてのESC
A分析によればClsについて294.7eV付近にピ
ークが認められ、これは市販のパープルオロポリエーテ
ル潤滑剤を用いて作成したデータベースにおける(CF
2 O)n ユニットのClsスペクトルと一致したので、
潤滑剤分子は主として−(CF2 O)n −の構造単位を
有するものであることが判った。尚、292及び289
eV付近にも小さなピークが観測されることから−(C
2 O)n −の構造単位以外の構造単位も少量共存する
と考えられる。
【0071】〔実施例2〕実施例1の保護層の作製にお
いて、分圧1.9mTorrのAr及び分圧0.1mT
orrのメタンに代えて、分圧1.6mTorrのAr
及び分圧0.4mTorrのメタンを導入する以外は、
実施例1と同様の操作を行い磁気ディスクを作製した。
【0072】〔実施例3〕実施例1の保護層の作製にお
いて、黒鉛ターゲットに代えて、以下に述べるガラス状
の炭素材のターゲットを用いてガラス状水素化炭素材の
保護層を作製した以外は、実施例1と同様の操作を行い
磁気ディスクを作製した。
【0073】ガラス状の炭素材の作製 フルフリルアルコール(花王クエーカー(株)製)10
00重量部に0.011NのHCl水溶液を5重量部添
加し、96℃で6時間反応させた後、一次粒子の平均粒
径が約20nmのB4 C粒子を加え、ボールミルで分散
混合した。得られたフルフリルアルコール初期縮合物樹
脂100重量部に対して70重量%のp−トルエンスル
ホン酸水溶液1.5重量部を添加し、充分に撹拌した。
これを厚さ4mmの板状の型に注入して減圧脱泡した。次
に、50〜60℃で3時間、更に90℃で5時間加熱
し、板状の複合硬化樹脂を得た。この複合硬化樹脂を焼
成炉に入れ、窒素気流中にて10℃/hrの昇温速度で
1200℃まで昇温し、この温度で2時間保持した後に
冷却してガラス状の炭素材を得た。このガラス状の炭素
材を所定の形状に加工し、ターゲットとした。
【0074】〔実施例4〕実施例3の保護層の作製にお
いて、分圧1.9mTorrのAr及び分圧0.1mT
orrのメタンに代えて、分圧1.6mTorrのAr
及び分圧0.4mTorrのメタンを導入する以外は、
実施例3と同様の操作を行い磁気ディスクを作製した。
【0075】〔比較例1〕実施例1の保護層の作製にお
いて、分圧1.9mTorrのAr及び分圧0.1mT
orrのメタンに代えて、2mTorrのArのみを導
入する以外は、実施例1と同様の操作を行い磁気ディス
クを作製した。
【0076】〔比較例2〕実施例1の保護層の作製にお
いて、分圧1.9mTorrのAr及び分圧0.1mT
orrのメタンに代えて、2mTorrのArのみを導
入し、潤滑剤層の作製において、光CVD気相重合に代
えて、以下に述べる浸漬法/プラズマ処理法を用いた以
外は、実施例1と同様の操作を行い磁気ディスクを作製
した。
【0077】浸漬法/プラズマ処理法による潤滑剤層の
作製 保護層が形成されたディスク支持体を、パーフルオロポ
リエーテル系潤滑剤(モンテカチーニ社製の「Fomb
lin AM200l」、商品名)溶液に浸漬した。上
記溶液から取り出した後、低圧水銀灯(150W)を配
設した箱型チャンバ内に上記ディスク支持体を寝かせて
セットし、上記チャンバー内を真空排気した後、10T
orrのヘキサフルオロエタン及び10Torrのフッ
素を導入し、更に3Torrのパーフルオロプロペンを
導入した。引き続きArFエキシマレーザ(波長193
nm)からのレーザ光(パワー150mJ、繰り返し速
度2Hz)を石英レンズを介して集光してディスク支持
体の面に照射し、誘導破壊を5分間行い、ラジカル処理
を行って潤滑剤層を得た。得られた潤滑剤層の厚さは4
0Åで、固定層は39Å、フリー層は1Åであった。
【0078】〔比較例3〕実施例1の潤滑剤層の作製に
おいて、光CVD気相重合に代えて、比較例2における
浸漬法/プラズマ処理法を用いた以外は、実施例1と同
様の操作を行い磁気ディスクを作製した。
【0079】〔比較例4〕実施例2の潤滑剤層の作製に
おいて、光CVD気相重合に代えて、比較例2における
浸漬法/プラズマ処理法を用いた以外は、実施例2と同
様の操作を行い磁気ディスクを作製した。
【0080】〔比較例5〕実施例3の潤滑剤層の作製に
おいて、光CVD気相重合に代えて、比較例2における
浸漬法/プラズマ処理法を用いた以外は、実施例3と同
様の操作を行い磁気ディスクを作製した。
【0081】〔比較例6〕実施例4の潤滑剤層の作製に
おいて、光CVD気相重合に代えて、比較例2における
浸漬法/プラズマ処理法を用いた以外は、実施例4と同
様の操作を行い磁気ディスクを作製した。
【0082】〔比較例7〕実施例4の潤滑剤層の作製に
おいて、光CVD気相重合に代えて、以下に述べるCV
D表面重合を用いた以外は、実施例4と同様の操作を行
い磁気ディスクを作製した。本比較例における潤滑剤層
の厚さは37Åであり、固定層は37Å、フリー層は0
Åであった。
【0083】CVD表面重合による潤滑剤層の作製 特開平4−186524号公報に記載の実施例1に準じ
て潤滑剤層を作製した。即ち、上記磁性層及び上記保護
層が作製されたディスク支持体をチャンバ内に配置し、
真空排気した後、ヘキサフルオロプロペンと酸素との混
合ガス(1:1)を100Torr導入し、上記ディス
ク支持体を−20℃に冷却してから、上記ディスク支持
体に向けてArFエキシマレーザ(波長193nm)か
らのレーザ光(パワー150mJ、繰り返し速度2H
z)1500パルスを照射し、その後、チャンバを真空
に引きながら、上記ディスク支持体を室温にもどし、副
生成物である低分子量のフッ化炭素化合物を上記ディス
ク支持体から除去した。このようにして、上記保護層上
に潤滑剤層を作製した。
【0084】〔性能評価〕実施例1〜4及び比較例1〜
7で得られた磁気ディスクについて以下に述べる手順に
てCSS(コンタクト・スタート・ストップ)テスト及
びGHT(グライドハイト)特性の測定を行った。その
結果を表1に示す。
【0085】CSSテスト Al2 3 ・TiCスライダヘッド(重量3.5g)を
用い、浮上量2.8マイクロインチ、磁気ディスクの回
転数4500rpmで5秒間駆動、5秒間停止のサイク
ルを繰り返して行い、静摩擦係数が0.6を超えた回数
を計測した。
【0086】GHT特性 PROQUIP社製MG150Tを用い、50%スライ
ダヘッドを用いて行った。1.3マイクロインチの浮上
高さの通過率が90%以上のものをS、通過率が50〜
90%のものをA、通過率が30〜50%のものをB、
通過率が30%以下のものをCで表示した。
【0087】
【表1】
【0088】表1に示す結果から明らかなように、本発
明の磁気記録媒体は、1.3マイクロインチという極め
て厳しいグライドハイト条件下でもCSS特性に優れた
ものであることが判る。即ち、本発明の磁気記録媒体
は、磁気ヘッドと磁性層との間のスペーシングロスを少
なくすることができ、電磁変換特性に優れるものであ
り、更には、耐久性にも優れたものである。これに対し
て、保護層の形成をArのみの雰囲気下におけるPVD
で行った比較例1では、CSS特性が上記実施例よりも
劣っていることが判る。更に潤滑剤を塗布し、次いで、
プラズマ処理、紫外線照射により潤滑剤層を形成した比
較例2〜6の磁気ディスクやCVD表面重合により潤滑
剤層を形成した比較例7の磁気ディスクは、CSS特性
が上記実施例よりも極めて劣っていることが判る。
【0089】
【発明の効果】本発明の磁気記録媒体はグライドハイト
特性を満足しつつ、表面の摩擦係数が低く且つ耐久性に
優れたものである。また、本発明の磁気記録媒体の製造
方法によれば、本発明の磁気記録媒体を簡便に製造する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の製造方法に用いられる
反応容器の一例としての光反応用チャンバーを示す模式
図である。
【図2】本発明の磁気記録媒体の一例を示す概略断面図
である。
【符号の説明】
1 チャンバー 2 レーザー透過窓 3 磁気ディスク 4 媒体設置部材 5 バルブ 10 磁気記録媒体 11 支持体 12 下地層 12a 第1の下地層 12b 第2の下地層 12c 第3の下地層 13 磁性層 14 保護層 15 潤滑剤層 15a固定層 15bフリー層

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体と、該支持体上に設けられた磁性
    層と、該磁性層上に設けられた保護層と、該保護層上に
    設けられた潤滑剤層とを具備する磁気記録媒体におい
    て、 上記保護層は、水素化炭素材から成り、 上記潤滑剤層は、気相重合により得られた重合体により
    形成されており、且つ上記保護層上に固着された固定層
    と該固定層上に形成されたフリー層とからなることを特
    徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記潤滑剤層がフッ化炭素系化合物と酸
    素との気相重合により形成されることを特徴とする請求
    項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記フッ化炭素系化合物が、下記一般式
    (I)〜(III)で表される化合物から成る群から選択さ
    れることを特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体。 CF2 =CFRf 1 ・・・・(I) (式中、Rf 1 は、フッ素原子、パーフルオロアルキル
    基、パーフルオロアルケニル基、部分フッ素化アルキル
    基、部分フッ素化アルケニル基、パーフルオロアリール
    基又は部分フッ素化アリール基を示す) CF2 =C(Rf 2)(Rf 3)・・・・(II) (式中、Rf 2 及びRf 3 は、同一の又は異なる水素原
    子、フッ素原子、パーフルオロアルキル基、パーフルオ
    ロアルケニル基、部分フッ素化アルキル基、部分フッ素
    化アルケニル基、パーフルオロアリール基又は部分フッ
    素化アリール基を示す) CF2 =CFO(Rf 4)・・・・(III) (式中、Rf 4 は、フッ素原子、パーフルオロアルキル
    基、パーフルオロアルケニル基、部分フッ素化アルキル
    基、部分フッ素化アルケニル基、パーフルオロアリール
    基、部分フッ素化アリール基又はパーフルオロアルコキ
    シアルキル基を示す)
  4. 【請求項4】 上記重合体が、主として−(CF2 O)
    −の構造単位を有することを特徴とする請求項1記載の
    磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 上記水素化炭素材が水素化ガラス状炭素
    材であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒
    体。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の磁気記録媒体の製造方法
    であって、 H原子を有する化合物とArとを含むガス雰囲気下での
    フィジカルベーパーデポジション法により水素化炭素材
    から成る保護層を形成し、 潤滑剤層の形成に際して、真空条件下で気相重合を行
    い、フッ化炭素系化合物と酸素とを重合させて潤滑剤層
    を形成する第1の重合工程と、水蒸気を導入した後、真
    空条件下で気相重合を行い、フッ化炭素系化合物と酸素
    とを重合させて潤滑剤層を形成する第2の重合工程と
    を、順次行うことを特徴とする磁気記録媒体の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 上記の水蒸気の導入を、上記の第1の重
    合工程の終了後、該第1の重合工程における真空条件を
    大気圧条件下に戻すことにより行うことを特徴とする請
    求項6記載の磁気記録媒体の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記フッ化炭素系化合物が、下記一般式
    (I)〜(III)で表される化合物から成る群から選択さ
    れることを特徴とする請求項6記載の磁気記録媒体の製
    造方法。 CF2 =CFRf 1 ・・・・(I) (式中、Rf 1 は、フッ素原子、パーフルオロアルキル
    基、パーフルオロアルケニル基、部分フッ素化アルキル
    基、部分フッ素化アルケニル基、パーフルオロアリール
    基又は部分フッ素化アリール基を示す) CF2 =C(Rf 2)(Rf 3)・・・・(II) (式中、Rf 2 及びRf 3 は、同一の又は異なる水素原
    子、フッ素原子、パーフルオロアルキル基、パーフルオ
    ロアルケニル基、部分フッ素化アルキル基、部分フッ素
    化アルケニル基、パーフルオロアリール基又は部分フッ
    素化アリール基を示す) CF2 =CFO(Rf 4)・・・・(III) (式中、Rf 4 は、フッ素原子、パーフルオロアルキル
    基、パーフルオロアルケニル基、部分フッ素化アルキル
    基、部分フッ素化アルケニル基、パーフルオロアリール
    基、部分フッ素化アリール基又はパーフルオロアルコキ
    シアルキル基を示す)
  9. 【請求項9】 上記フィジカルベーパーデポジション法
    におけるターゲットがガラス状の炭素材であることを特
    徴とする請求項6記載の磁気記録媒体の製造方法。
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