JPH08147690A - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法

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JPH08147690A
JPH08147690A JP28695094A JP28695094A JPH08147690A JP H08147690 A JPH08147690 A JP H08147690A JP 28695094 A JP28695094 A JP 28695094A JP 28695094 A JP28695094 A JP 28695094A JP H08147690 A JPH08147690 A JP H08147690A
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lubricant
recording medium
layer
magnetic recording
phase polymerization
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JP28695094A
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English (en)
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Atsushi Suzuki
敦 鈴木
Yoshiyuki Nahata
嘉之 名畑
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高密度記録に対応する為、低浮上量を容易に
する表面粗さが極めて小さなディスクであっても、耐久
性に優れ、かつ、環境安定性に優れた潤滑剤層を有する
磁気記録媒体を量産性良く、かつ、生産安定性良く、し
かも容易に製造できる磁気記録媒体の製造方法を提供す
ることにある。 【構成】 潤滑剤層が設けられた磁気記録媒体の製造方
法であって、塗布手段により磁気記録媒体の原体表面に
液状の潤滑剤を形成する第1工程と、第1工程の後、気
相重合による潤滑剤を前記原体表面に形成する第2工程
とを具備する磁気記録媒体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体の製造方
法に関する。
【0002】
【発明の背景】一般に、磁気ディスク等の磁気記録媒体
では、支持体(基板)の上に磁性層がスパッタ等により
形成され、その上にカーボンや金属酸化物などの保護層
が設けられ、更にパーフルオロポリエーテル系の液体潤
滑剤が塗布されている。磁気記録媒体の耐久性は、潤滑
剤層の組成、厚さ、あるいはその形成方法に大きく左右
される。現在までに、それらに関する多くの技術が提案
されている。例えば、特開昭60−101715号公報
のように無機シリコン化合物保護層上にアミノシアン化
合物を塗布、次いでカルボキシル基含有フッ素化カーボ
ン系潤滑剤を塗布し、酸塩基反応を利用して界面に化学
結合させた潤滑剤層を形成する方法、あるいは特開昭6
1−113126号公報、特開昭61−248218号
公報、特開平5−166173号公報のように極性基を
持つ潤滑剤と極性基を持たない潤滑剤とを表面に塗布
し、潤滑剤層の下層を極性基を持つ潤滑剤で強く表面に
固定し、長期間の耐久性を確保しようとする技術が有
る。又、その他にも、特開昭62−114122号公
報、特開平1−171101号公報、特開平2−735
14号公報、特開平3−25720号公報、特開平3−
207020号公報、特開平4−102224号公報、
特開平4−286720号公報、特開平4−31181
2号公報、特開平6−20262号公報などの技術も有
る。
【0003】しかし、上記の潤滑剤層はディップコート
法やスピンコート法によって塗布される為、潤滑剤の濃
度変動や保護層の表面状態などが潤滑剤付着量に微妙に
影響し、その厚さの制御、引いては潤滑特性の安定化が
困難であった。更には、潤滑性能が経時的に劣化する問
題もあった。一方、パーフルオロポリエーテル系の潤滑
剤を塗布後にプラズマ処理して潤滑剤を保護層表面に固
定する技術(特開平5−174354号公報)や、フッ
素系ガスを保護層表面上で表面重合させることによっ
て、潤滑剤分子端を保護層表面に固定する技術(特開平
3−104015号公報、特開平4−311812号公
報、特開平6−220185号公報)が有る。
【0004】これらの中、前者の技術には塗布方式の不
安定性が依然として残っている。これに対して、後者の
技術は、パーフルオロポリエーテルの商業的合成法の代
表である光酸化重合法を応用し、潤滑剤分子を保護層表
面に固定するものである。すなわち、ヘキサフルオロプ
ロペン等のフッ素系ガスと酸素とを導入し、かつ、ディ
スク表面に直接レーザ光を照射し、ディスク表面上のみ
で光酸化重合させたものである。ディスク表面上のみで
光酸化重合を進行させる為には、ディスクを−70〜−
30℃に冷却し、原料ガスを凝縮させる等の特別な操作
が必要である。又、重合が表面で起こる為に下記の問題
が有る。 (1) 保護層表面はミクロ的にはかなり不均一なの
で、表面エネルギの揺らぎ、微細突起・凹部の存在、化
学的活性部位の偏在等が原料ガス吸着・凝縮の揺らぎを
もたらし、重合反応がミクロ的に不均一に進行する。よ
って、ディスク全面にわたって均質・均一膜厚の潤滑剤
層の形成が難しく、安定した耐久性を発現できていな
い。 (2) 強力なレーザ光をディスク表面に照射する為、
照射部の磁性層や保護層の特性が変動や劣化の恐れがあ
る。 (3) 表面重合を行う為、又、レーザ光をディスク表
面に照射する為、枚葉処理となり、量産に適していな
い。 (4) 表面固定を促進する為、保護層表面の酸化、エ
ッチング、光・電磁波照射が必要で、工程が複雑にな
り、コスト高となる。 (5) ディスクを−30℃以下の極低温に冷却する必
要があり、反応効率を考慮すると、量産性やコストの点
で実用的でない。 (6) 多量のディスクを素早く冷却する為に、大がか
りな設備が必要である。 (7) 極低温から室温に短時間で戻すと、表面の微細
凹凸部に毛管凝縮現象で結露が生じるから、長時間かけ
て戻す必要があるので、生産効率が悪い。
【0005】加えて、高密度記録化に伴い、磁気ディス
ク回転の高速化や磁気ヘッドの浮上量の低下が図られて
おり、磁気ディスク表面に要求される耐磨耗性、耐久性
は年々高度なレベルが要求されている。
【0006】
【発明の開示】本発明は上記の点に鑑みてなされたもの
であり、本発明の目的は、高密度記録に対応する為、低
浮上量を容易にする表面粗さが極めて小さなディスクで
あっても、耐久性に優れ、かつ、環境安定性に優れた潤
滑剤層を有する磁気記録媒体を量産性良く、かつ、生産
安定性良く、しかも容易に製造できる磁気記録媒体の製
造方法を提供することにある。
【0007】尚、本明細書では、潤滑剤層の形成が完了
する以前のものを磁気記録媒体の原体と言い、以後、原
体と略称する。この本発明の目的は、潤滑剤層が設けら
れた磁気記録媒体の製造方法であって、塗布手段により
原体表面に液状の潤滑剤を形成する第1工程と、第1工
程の後、気相重合による潤滑剤を原体表面に形成する第
2工程とを具備することを特徴とする磁気記録媒体の製
造方法によって達成される。
【0008】特に、支持体の上に磁性層が、磁性層の上
に保護層が、保護層の上に潤滑剤層が設けられてなる磁
気記録媒体の製造方法であって、塗布手段により原体表
面に液状の潤滑剤を形成する第1工程と、第1工程の
後、気相重合による潤滑剤を原体表面に形成する第2工
程とを具備することを特徴とする磁気記録媒体の製造方
法によって達成される。
【0009】磁気記録媒体における潤滑剤層は厚すぎる
とスペーシングロスが大きくなり、逆に、薄すぎると潤
滑効果が乏しいことから、潤滑剤層の合計厚さは5〜1
00Åであることが好ましい。そして、塗布潤滑剤層の
厚さは2〜50Åが好ましい。塗布手段には浸漬引き上
げ法、スピンコート法、スプレー法などの公知あるいは
新規な方法があり、適宜な方法を用いることが出来る。
【0010】塗布手段により設けられる液状潤滑剤は、
F−(CF(CF3 )CF2 O)a−CF2 CF3 ,C
3 O−(CF2 CF2 O)b −(CF2 O)c −CF
3 ,F−(CF2 CF2 CF2 O)d −CF2 CF
3 〔但し、a,b,c,dは1以上の整数。〕等が用い
られる。具体的には、Fomblin ZDOL、Fo
mblin ZDIAC、Fomblin AM200
1、Fomblin Z03、Fomblin Z15
(いずれもモンテカチーニ社製)、DemnumSA、
Demnum SH、Demnum SP、Demnu
m SY、Demnum S20、Demnum S6
5、Demnum S100(いずれもダイキン工業社
製)、Krytox(デュポン社製)等がある。その他
にも、米国特許第4268556号明細書、米国特許第
4267238号明細書、特公昭60−10368号公
報、特願平6−117994号明細書などに記載のもの
を用いることが出来る。
【0011】気相重合による潤滑剤は、予め液状潤滑剤
が塗布されていることから、保護層に固定されていない
フリータイプのものとなる。すなわち、本発明では、予
め塗布によって設けられた液状潤滑剤層の上に気相重合
によって合成した潤滑剤を表面に析出することによって
潤滑剤層を形成する。つまり、気相で重合したフッ素系
化合物(潤滑剤組成物)は拡散により液状潤滑剤層表面
に到達して付着する。これによって本発明になる潤滑剤
層が形成される。そして、上記の重合反応は気相中で進
行するので、ディスク表面の不均一性に左右されず、
又、表面凝縮を促進させる為にディスクを冷却する必要
がなく、生産性にも優れている。
【0012】尚、この磁気記録媒体の製造方法におい
て、第1の気相重合工程で潤滑剤層を形成した後、その
上に第2の気相重合工程で潤滑剤層を形成、すなわち第
1の気相重合工程で潤滑剤層を形成した後、一度、チャ
ンバ内に100Torr程度にまで大気を導入し(ある
いは、大気雰囲気に戻し)、その後第2の気相重合工程
で潤滑剤層を形成することが好ましい。
【0013】気相重合に際しては、潤滑剤形成要素とし
てフッ化炭素系の化合物、特にフッ化炭素系の重合性化
合物と酸素とが用いられる。重合性化合物と酸素との割
合(モル比)は1/0.5〜1/100が好ましい。気
相重合にはCVD(特に、光CVD)の技術が用いられ
る。このCVDに際して、温度は10〜90℃が好まし
い。尚、第1の気相重合工程で潤滑剤層を形成した後の
気体(例えば、大気)を導入する工程において、導入す
る気体の湿度は30〜90%のものであることが好まし
い。
【0014】以下、本発明について更に説明する。本発
明のように塗布によって設けられた液状潤滑剤と気相重
合で形成した潤滑剤との混成でなる混成潤滑剤層を有す
る磁気ディスクは、極性基を持つ潤滑剤と極性基を持た
ない潤滑剤とからなる混成潤滑剤層を塗布により設けた
従来の磁気ディスクに比べて、CSSテストが高いレベ
ルで安定したものであり、格段に優れた耐久性を示すこ
とが判明した。本発明による混成潤滑剤層、特に気相重
合で形成した潤滑剤の分子構造については完全には判っ
ていない。又、従来の潤滑剤層との構造差も現時点では
解明していないが、気相重合で形成した潤滑剤の存在が
耐久性の向上には重要であることが判った。例えば、気
相重合で形成した潤滑剤が表面に存在しなかった場合に
は、ファインな表面粗度を与えるテクスチャ表面を持つ
ものでは、CSSテストにおいて摩擦係数が大きくな
り、昨今のニーズを満たさない。すなわち、特開平6−
220185号公報などで提案されている末端が固定さ
れた固定潤滑剤分子のみで潤滑剤層を形成した場合に
は、CSSテストに優秀な成績が得られなかった。
【0015】本発明において、気相重合とは、反応物質
が気相に保たれていて、重合反応(特に、高分子量化)
が気相、特に気相のみで起こる反応を意味する。例え
ば、プラズマ重合やCVD(特に、光CVD)によって
行われる。光CVDで行う場合、レーザ光を被析出物体
表面には直接照射せず、原料ガス中にのみ照射して行
う。つまり、散乱光を除けば、光は被析出物表面に当た
らない。
【0016】光CVDを行う場合、光源には、例えば紫
外線か赤外線が用いられる。これらは、各々の持ってい
る光子エネルギが異なることから、次の相違点がある。
先ず、引き起こされる化学反応が異なる。例えば、炭酸
ガス等の赤外レーザを用いる場合、反応は振動励起で起
きる。この場合、光励起エネルギは炭酸ガスレーザ(波
長10.6μm)で約3kcal/molであり、化学
結合(炭素−炭素の一重結合、二重結合や三重結合、炭
素−酸素結合)を切るには不充分である。又、基本的に
振動励起による反応であるから、本質的に熱反応と同じ
であり、サイドリアクションが起きる。この為、目的外
のものが出来る恐れが有る。一方、紫外レーザを用いた
場合、電子励起により反応が起きるから、化学結合を一
光子の吸収で切ることが出来、光化学反応が容易に起き
る。かつ、熱反応の関与は極めて低く、サイドリアクシ
ョンの恐れが低い。この為、潤滑剤を得るのに、フッ素
化合物を光分解し、重合させるには、紫外レーザを用い
ることが好ましい。
【0017】気相重合にはフッ化炭素系の化合物を用い
る。例えば、モノフルオロエチレン、ジフルオロエチレ
ン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、
モノフルオロプロペン、ジフルオロプロペン、トリフル
オロプロペン、テトラフルオロプロペン、ペンタフルオ
ロプロペン、ヘキサフルオロプロペン、モノフルオロブ
テン、ジフルオロブテン、トリフルオロブテン、テトラ
フルオロブテン、ペンタフルオロブテン、ヘキサフルオ
ロブテン、モノフルオロペンテン、ジフルオロペンテ
ン、トリフルオロペンテン、テトラフルオロペンテン、
ペンタフルオロペンテン、ヘキサフルオロペンテン、パ
ーフルオロ−1−ペンテン、モノフルオロブタジエン、
ジフルオロブタジエン、トリフルオロブタジエン、テト
ラフルオロブタジエン、ペンタフルオロブタジエン、ヘ
キサフルオロブタジエン等が用いられる。勿論、これ以
外の重合性フッ化炭素を用いることも出来る。又、一種
類のみでなく、二種類以上を併用できる。
【0018】又、フッ化炭素系の化合物のみでなく、酸
素を併用することが好ましい。例えば、モル比(フッ化
炭素/酸素)で1/0.5〜1/100(より好ましく
は1/1〜1/10、更に好ましくは1/2〜1/5)
の割合にした重合性化合物と酸素とを用いることが出来
る。これにより、効率良く潤滑剤成分(パーフルオロポ
リエーテル)を生成できる。例えば、上記割合が1/1
00より低いと、レーザー光の吸収効率が低下して好ま
しくない。
【0019】気相重合の雰囲気ガス圧は1〜1000T
orr、より好ましくは10〜200Torr、更に好
ましくは50〜150Torrである。上記原料ガスは
Ar,He,N2 ,H2 等のキャリアガスで搬送でき
る。このキャリアガスは原料ガスに対してモル比で等量
〜数百倍量まで変化させることが出来る。キャリアーガ
スの導入量は1〜2000Torrで良い。
【0020】ディスク基板温度は10〜90℃に設定さ
れていることが好ましい。より好ましい温度は約15〜
50℃である。光酸化による気相重合によって潤滑剤層
を形成する方法は、例えばレーザ透過窓をもったチャン
バ内の下部に複数の原体(但し、液体潤滑剤が表面に塗
布された状態のもの)を一定間隔に立設する。そして、
一度、チャンバ内を真空ポンプで排気し、この後パーフ
ルオロオレフィン等の重合性フッ化炭素と酸素とを原料
ガスとして導入する。次に、レーザ光、例えばエキシマ
レーザ光を前記原体の上部とチャンバ天井との間の空間
を透過する(原体には当たらない)ように照射する。
尚、レーザ光と原体との間は原体の半径ないしは直径程
度以上離しておくことが好ましい。このようにして第1
の気相重合により潤滑剤層を形成する。この後、チャン
バ内に大気、特に雰囲気湿度が30〜90%、より好ま
しくは40〜90%の大気を導入(チャンバ内に、少な
くとも100Torr程度以上に大気を導入)し、そし
て、再度、チャンバ内を真空ポンプで排気し、次いでパ
ーフルオロオレフィン等の重合性フッ化炭素と酸素とを
原料ガスとして導入し、例えばエキシマレーザ光を前記
のように照射する。これを必要に応じて繰り返して潤滑
剤層を形成する。尚、2度目のCVD工程と3度目のC
VD工程との間では、チャンバ内に湿度が40〜90%
大気を導入しても、しなくても良い。
【0021】尚、レーザ光照射時に原体を回転させるこ
とが好ましい。これは、レーザ光照射時(フッ化炭素系
の重合性化合物と酸素とによる気相重合時)に回転させ
ると、重合によって形成される潤滑剤が原体表面により
均一に付着するからである。原体を立設させていても、
潤滑剤がより均一に付着する。ここで、磁気記録媒体原
体を立設させたのは、横に寝かせた状態に置いている
と、処理数がそれだけ少なく、効率が悪いからである。
【0022】潤滑剤層は磁性層上に直接設けられても良
いが、保護層上に設けた方が好ましい。金属薄膜型の磁
性層を有する記録媒体では、磁性層を保護するため保護
層が設けられる。この保護層は、耐磨耗性の観点から硬
度の高いものが選ばれ、例えばAl,Si,Ti,C
r,Zr,Nb,Mo,Ta,W等の金属の酸化物、窒
化物、炭化物、あるいはカーボンやボロンナイトライド
等が挙げられる。この他にも、例えば特開平5−217
154号公報、特開平5−217156号公報、特開平
5−225555号公報、特開平5−225557号公
報、特開平5−282661号公報、特開平6−258
40号公報、特願平4−268952号明細書、特願平
5−1720号明細書、特願平5−217156号明細
書、特願平5−40142号明細書に開示されているも
のを用いることが出来る。中でも好ましいものは炭素、
炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化タングステン、酸化ケイ
素、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ある
いはこれらの材料の複合されたものである。特に好まし
いものはカーボン、特にダイヤモンドライクカーボンで
ある。この保護層は、厚さが5〜25nmが好ましい。
保護層は、スパッタ等のPVD手段により形成できる。
【0023】この保護層形成後に潤滑剤層が設けられる
が、保護層形成後で潤滑剤層形成前に、表面の異常突起
を除去する為の研磨テープによる除去処理、溶剤や超純
水による洗浄(超音波洗浄、スクラブ洗浄)処理、UV
照射による表面洗浄や表面活性化処理が必要に応じて行
われる。保護層の下には金属薄膜型の磁性層がスパッタ
等のPVD手段により20〜50nm厚さ設けられる。
磁性層を構成する材料は、例えばCoCr,CoNi,
CoCrX,CoNiX,CoWX(Xとしては、T
a,Pt,Au,Ti,V,Cr,Ni,W,La,C
e,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Li,Si,B,
Ca,As,Y,Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,A
g,Sb,Hf等から選ばれる一種あるいは二種以上)
等で表されるCoを主成分とするCo系の磁性合金が挙
げられる。
【0024】磁性層は支持体上に設けられる。支持体
は、磁性を有するものでも非磁性のものでも良いが、一
般的には非磁性のものが用いられる。例えば、カーボ
ン、強化ガラス、結晶化ガラス、アルミニウム及びアル
ミニウム合金、チタン及びチタン合金、セラミックス、
樹脂、あるいは前記材料の複合材料が用いられる。中で
も、ガラス状カーボン製の基板は得られる混成潤滑剤層
の膜厚の均一性が良く、基板として好ましい。
【0025】
【実施例】
〔実施例1〕密度1.5g/cm3 のガラス状カーボン
製の基板(サイズ1.8インチ、厚さ25ミル)1を研
磨し、中心線平均粗さRaを1.0nmにした。この
後、テクスチャ処理(Al−Si合金をスパッタ)して
Raを15Åにした。
【0026】この後、DCマグネトロンスパッタにより
Arガス雰囲気中で50nm厚さのCr下地層2を基板
表面に設け、次いで40nm厚さのCoCrTa系の磁
性層3を設けた。続いて、ガラス状カーボン製ターゲッ
トを装着した対向ターゲット型のスパッタ装置を用い、
室内を排気し、そして2mTorrのガス圧となるよう
Arガスを導入し、磁性層上に200Å厚のガラス状カ
ーボンからなる保護層4を設け、原体Dを得た。
【0027】この原体Dをパーフルオロポリエーテル系
の液体潤滑剤(モンテカチーニ社のFomblin A
M2001)をフッ素系溶剤(3M社のPF5080)
に溶かした溶液中に浸漬し、表面に厚さ15Åの潤滑剤
層を設けた。この液体潤滑剤が表面に付けられた原体D
をCVD装置のチャンバ6内に所定の間隔を設けて図2
に示すように立設し、チャンバ6内を5×10-2Tor
rに排気した後、分圧が10Torrのヘキサフルオロ
プロペンと60Torrの酸素とを導入し、ArFエキ
シマレーザ(波長193nm)からのレーザ光(パワー
150mJ、繰り返し速度2Hz)を12分間かけて1
500パルス照射した。尚、この間、原体Dを回転させ
た。
【0028】この後、チャンバ6内に100Torrの
大気(湿度60%)を導入した。大気導入後、再び、チ
ャンバ6内を1×10-2Torrに排気した後、分圧が
10Torrのヘキサフルオロプロペンと60Torr
の酸素とを導入し、上記と同じレーザ光を12.5分間
かけて1500パルス照射した。尚、レーザ光は原体D
に直接照射されないよう、図2中、矢印方向に照射し
た。又、上記光CVD処理に際して、原体Dの温度は室
温(22℃)であった。
【0029】以上の工程により、原体Dの表面に、塗布
によって設けられた液状潤滑剤と気相重合で形成した潤
滑剤との混成でなる混成潤滑剤層5が形成された。尚、
気相重合で形成した潤滑剤についてのESCA分析によ
ればC1sについて294.8〜250eVにピークが認
められ、これは市販の潤滑剤の−(CF2O) n −(CF2CF2
O)m −の(CF2O)n ユニットのC1sスペクトルと一致し
たので、気相重合潤滑剤分子は−(CF2O)n −の構造単
位を有するものであると考えられる。但し、−CF2O−由
来と考えられるC1s,F1s,O1sのスペクトル強度比
は、C:F:O=1.0:5.21:2.86なので、
−(CF2O)n −の構造単位以外のものが存在する可能性
もある。
【0030】〔実施例2〕実施例1のFomblin
AM2001をFomblin Z−DOL(モンテカ
チーニ社製の極性基を有するパーフルオロポリエーテル
系液体潤滑剤)に代えた以外は実施例1に準じて、磁気
ディスクを得た。 〔実施例3〕実施例1のFomblin AM2001
をDemnum SP(ダイキン工業社製の極性基を有
するパーフルオロポリエーテル系液体潤滑剤)に代えた
以外は実施例1に準じて、磁気ディスクを得た。
【0031】〔実施例4〕実施例1のFomblin
AM2001をFomblin Z−03(モンテカチ
ーニ社製の極性基を持たないパーフルオロポリエーテル
系液体潤滑剤)に代えた以外は実施例1に準じて、磁気
ディスクを得た。 〔実施例5〕実施例1のFomblin AM2001
をFomblin Z−15(モンテカチーニ社製の極
性基を持たないパーフルオロポリエーテル系液体潤滑
剤)に代えた以外は実施例1に準じて、磁気ディスクを
得た。
【0032】〔実施例6〕実施例1のヘキサフルオロプ
ロペンを1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロペン
に代えた以外は実施例1に準じて、磁気ディスクを得
た。 〔実施例7〕実施例1のヘキサフルオロプロペンをテト
ラフルオロエチレンに代えた以外は実施例1に準じて、
磁気ディスクを得た。
【0033】〔実施例8〕実施例1のヘキサフルオロプ
ロペンをヘキサフルオロ−1,3−ブタジエンに代えた
以外は実施例1に準じて、磁気ディスクを得た。 〔比較例1〕Ni−PメッキしたAl基板に実施例1に
準じたテクスチャ処理、下地層、磁性層および保護層の
成膜を行い、原体を得た。この原体をチャンバ内に配置
し、真空排気した後、ヘキサフルオロプロペンと酸素と
の混合ガス(1:1)を100Torr導入し、そして
原体表面にArFエキシマレーザ(波長193nm)か
らのレーザ光(パワー150mJ、繰り返し速度2H
z)を照射し、潤滑剤層を形成した。
【0034】〔比較例2〕Ni−PメッキしたAl基板
に実施例1に準じたテクスチャ処理、下地層、磁性層お
よび保護層の成膜を行い、原体を得た。この原体をチャ
ンバ内に配置し、−50℃に冷却すると共に真空排気
し、CF2CF=CF2 と酸素との混合ガス(3:1)を100
Torr導入し、又、1TorrのCF3OCF3 を導入し、
炭酸ガスレーザ(1.06μ帯、971.9cm-1)か
らのレーザ光(パワー300mJ、繰り返し速度0.7
Hz)を12.5分間原体表面に照射し、潤滑剤層を形
成した。
【0035】〔比較例3〕Ni−PメッキしたAl基板
に実施例1に準じたテクスチャ処理、下地層、磁性層お
よび保護層の成膜を行い、原体を得た。この原体をパー
フルオロポリエーテル系潤滑剤(モンテカチーニ社製の
FomblinAM2001)溶液に浸漬した。この
後、取り出し、低圧水銀灯(150W)を設けた箱型チ
ャンバ内に寝かせてセットし、真空排気した後、10T
orrのヘキサフルオロエタン及び10Torrのフッ
素を導入し、更に3Torrのペルフルオロプロペンを
導入し、ArFエキシマレーザ(波長193nm)から
のレーザ光(パワー150mJ、繰り返し速度2Hz)
を石英レンズを介して集光・照射し、誘電破壊を5分間
行い、ラジカル処理を行った。尚、この間、低圧水銀灯
を点灯し、原体表面に直接照射した。
【0036】〔比較例4〕実施例1の原体に活性基を持
つパーフルオロポリエーテル系潤滑剤(ダイキン工業社
製のDemnumSP)溶液をディップコート法により
塗布し、この後150℃で30分間熱処理を行った。冷
却後、フッ素系溶剤で10分間超音波洗浄した。この
後、化学的に不活性なパーフルオロポリエーテル系潤滑
剤(ダイキン工業社製のDemnumS−100)溶液
をディップコート法により塗布した。
【0037】〔比較例5〕Ni−PメッキしたAl基板
に実施例1に準じたテクスチャ処理、下地層、磁性層お
よび保護層の成膜を行い、原体を得た。これをチャンバ
内にセットし、真空排気した後、5Torrのテトラフ
ルオロメタンを導入し、炭酸ガス赤外レーザ光をレンズ
で集光し、原体表面に照射し、潤滑剤層を形成した。
【0038】〔特性〕上記各例で得た磁気ディスクにつ
いて、潤滑剤層の厚さ(塗布潤滑剤の厚さ、気相重合し
た後の潤滑剤の合計厚さ)を調べたので、その結果を表
−1,2に示す。又、得られた磁気ディスクのCSSテ
スト及びグライドハイトテストGHTについても、その
結果を表−1,2に示す。
【0039】 表−1 塗布潤滑剤厚 潤滑剤合計厚 CSSテスト GHT 実施例1 15Å 33Å 0.3 S 実施例2 16Å 36Å 0.4 S 実施例3 15Å 37Å 0.5 S 実施例4 15Å 37Å 0.5 S 実施例5 15Å 38Å 0.6 S 実施例6 15Å 36Å 0.5 S 実施例7 15Å 35Å 0.5 S 実施例8 15Å 37Å 0.6 S 表−2 潤滑剤厚 CSSテスト GHT 比較例1 35Å 1.7 C 比較例2 40Å 1.5 C 比較例3 18Å 2.7 − 比較例4 36Å 2.1 − 比較例5 30Å 3.1 − *CSSテスト;ヤマハ社製の薄膜ヘッド(Al2 3
・TiC製スライダ)を用い、ヘッド荷重3.5g、ヘ
ッド浮上量2.8μインチ、4500rpmで5秒間稼
働、5秒間停止のサイクルを2万回繰り返して行い、そ
の際の静摩擦係数の増加を調べた。
【0040】*GHT ;PROQUIP社製MG
150Tを用い、50%スライダヘッドを用いて行っ
た。1.2μインチの浮上高さの通過率が90%以上の
ものをS、通過率が50〜90%のものをA、通過率が
30〜50%のものをB、通過率が30%以下のものを
Cで表示した。尚、比較例3,4,5については、CS
Sテストの結果が悪かったので、GHTを行わなかっ
た。これらの表から、本発明になるものは、1.2μイ
ンチの極めて厳しいGHT特性を満たし、かつ、CSS
テストに優れた結果を示していることが判る。すなわ
ち、ヘッドと磁性層との間のスペーシングロスを少なく
出来、電磁変換特性に優れたのみならず、耐久性にも優
れたものである。
【0041】これに対して、光を原体表面に照射し、表
面重合により潤滑剤層を形成した比較例1のものは、潤
滑層にムラがあり、GHT特性が悪い。又、原体を冷却
し、光CVDにより潤滑剤層を形成した比較例2のもの
では、潤滑層にムラがあり、GHT特性が悪い。又、潤
滑剤を塗布し、次いでプラズマ処理、紫外線照射により
潤滑剤層を形成した比較例3のものは、本発明で目的と
した表面粗さの小さいテクスチャ表面では充分なCSS
特性を発現できない。
【0042】又、固定潤滑剤分子とフリー潤滑剤分子と
の混成で潤滑剤層が形成されていても、塗布方式のみが
用いられた比較例4のものでは、CSS特性が悪い。
又、保護層表面をフッ素ラジカルで処理した比較例5の
ものもCSS特性が悪い。
【0043】
【効果】本発明によれば、潤滑剤層が極めて安定した高
レベルのCSS耐久性を示し、又、超低グライドハイト
特性を達成できる。特に、表面粗さが小さいテクスチャ
を持つものでも、充分に満足できるCSS特性を示す。
又、上記の特長を持つ磁気記録媒体を量産性良く、か
つ、生産安定性良く、しかも容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる磁気記録媒体の概略図
【図2】本発明になる磁気記録媒体の製造の概略図
【符号の説明】
1 カーボン製基板 2 下地層 3 磁性層 4 保護層 5 混成潤滑剤層 D 原体 6 チャンバ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潤滑剤層が設けられた磁気記録媒体の製
    造方法であって、 塗布手段により磁気記録媒体の原体表面に液状の潤滑剤
    を形成する第1工程と、 第1工程の後、気相重合による潤滑剤を前記原体表面に
    形成する第2工程とを具備することを特徴とする磁気記
    録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 第2工程における気相重合に際してフッ
    化炭素系の化合物を用いることを特徴とする請求項1記
    載の磁気記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 第2工程における気相重合に際してフッ
    化炭素系の重合性化合物と酸素とを用い、重合性化合物
    と酸素との割合(モル比)が1/0.5〜1/100で
    あることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 気相重合は光照射によるものであり、こ
    の光は潤滑剤が形成される前記原体表面には直接照射せ
    ず、原料ガス中にのみ照射して行うことを特徴とする請
    求項1〜請求項3いずれかに記載の磁気記録媒体の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 気相重合がCVDによることを特徴とす
    る請求項1〜請求項4いずれかに記載の磁気記録媒体の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 気相重合が光CVDによることを特徴と
    する請求項1〜請求項5いずれかに記載の磁気記録媒体
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 気相重合に際して温度が10〜90℃の
    条件下で行われることを特徴とする請求項1〜請求項6
    いずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
  8. 【請求項8】 第1の気相重合工程で潤滑剤を形成した
    後、相対湿度30〜90%の気体を導入し、その後再び
    気相重合工程で潤滑剤を形成することを特徴とする請求
    項1〜請求項7いずれかに記載の磁気記録媒体の製造方
    法。
JP28695094A 1994-11-21 1994-11-21 磁気記録媒体の製造方法 Pending JPH08147690A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011528182A (ja) * 2008-07-15 2011-11-10 ゾルファイ フルーオル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング エッチされた物品の製造方法

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