JP2001052327A - 磁気記録媒体及び磁気記録装置 - Google Patents

磁気記録媒体及び磁気記録装置

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JP2001052327A
JP2001052327A JP22021299A JP22021299A JP2001052327A JP 2001052327 A JP2001052327 A JP 2001052327A JP 22021299 A JP22021299 A JP 22021299A JP 22021299 A JP22021299 A JP 22021299A JP 2001052327 A JP2001052327 A JP 2001052327A
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Japan
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magnetic recording
layer
recording medium
molecular weight
perfluoropolyether
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JP22021299A
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English (en)
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Yasuyuki Shigematsu
保行 重松
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温高湿下の長期間高速回転でも潤滑剤の飛
散の問題がなく、従って、その後長期間放置してもステ
ィクションが生じることのない磁気記録媒体と、この磁
気記録媒体を用いた磁気記録装置を提供する。 【解決手段】 非磁性基板上に記録層、保護層及び潤滑
層をこの順に設けてなる磁気記録媒体。潤滑層は一般式
(I)で示され、数平均分子量が5000を越え100
00以下であるパーフルオロポリエーテルと一般式(I
I)で示され、数平均分子量が500から10000で
あるパーフルオロポリエーテルとを含む。このディスク
と、ディスクを回転稼働させるための回転手段と、情報
記録/再生のためのヘッドとを有し、情報記録/再生時
のディスクの回転数が10000rpm以上である磁気
記録装置。 【化5】 【化6】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長期安定性、耐久
性、耐ヘッド吸着性に優れた潤滑層を有する磁気記録媒
体と、この磁気記録媒体を用いた磁気記録装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】情報産業等で利用される高記録密度磁気
記録媒体の代表的な例であるディスク状磁気記録媒体
(以下、単に「ディスク」と称す場合がある。)は通
常、磁気記録層としての磁性金属又はその合金層をめっ
き、蒸着又はスパッタリング等によって非磁性基板上に
成膜することにより製造される。現在、一般に使用され
ている磁気記録媒体は、ドライブ停止時には情報記録/
再生ヘッド(以下、単に「ヘッド」と称す場合があ
る。)がディスクに接触し、駆動時にはヘッドがディス
ク上を浮上して情報の記録/再生を行なうコンタクト・
スタート・ストップ(CSS)方式が用いられている。
この方式においては、実際の使用時においてヘッドとデ
ィスクとが高速で接触摺動するので、ディスクが摩耗損
傷を受けたり、磁気特性の劣化を起こすという問題があ
る。
【0003】このような欠点を解決する方法として、デ
ィスクの磁性層上に保護層や、更に保護層上に潤滑層を
設けることによって接触摺動の際の静/動摩擦を極力低
減させ、耐摩耗性(CSS特性)を向上させることが行
われている。この場合、潤滑層としては、一般的には、
液体潤滑剤であるパーフルオロポリエーテル系化合物が
用いられ、通常、これをディスク表面に塗布することに
より潤滑層が形成されている。このパーフルオロポリエ
ーテル系化合物としては、例えば(A−O−A’−O)
x−(A,A’はCF2又はC24)骨格(アウジモント
社製)、デムナム系潤滑剤:−(CF2CF2CF2O)p
−骨格(ダイキン工業社製)、あるいはクライトックス
系潤滑剤:−(CF2CF(CF3)O)q−骨格(デュ
ポン社製)等を主骨格とし、末端に−OH等を有するも
のが用いられている(ここで、式中のx,p,qは1以
上の整数を示す)。また、このようなパーフルオロポリ
エーテル系分子骨格に、更に末端基として、ヘテロ原子
を含むアルキル基、フッ素置換アルキル基、芳香族基が
結合したものが広く使用され、これらの末端基によっ
て、保護層表面との結合が強くなり、優れた耐久性を付
与するものとなる。
【0004】近年、高い記録密度を得るために、ヘッド
のディスク上の飛行高さはより低くなることが求められ
ており、起動中にディスクとヘッドの接触を避けるた
め、ディスク面を極力平滑にすることが求められてい
る。しかしながら、ディスク面を平滑にするとヘッドと
ディスクとの間に吸着現象(スティクション)が生じや
すいために、ヘッドがディスクに貼り付き、動作不能に
なる場合がある。特に、高湿下においてドライブを長期
間停止させた場合、このスティクションは加速される。
【0005】この現象を回避するために、潤滑剤として
数平均分子量が500〜5000のパーフルオロポリエ
ーテルを用いることが提案されている(特開平9−28
2642号公報、特開平10−143838号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、数平均分子量
範囲が500〜5000のパーフルオロポリエーテルよ
りなる潤滑剤で潤滑層を形成したディスクでは、高温多
湿下で長期間高速回転するような過酷な条件下では潤滑
剤が容易に飛散し、潤滑性が低下するために、スティク
ションが生じ易くなるという問題があった。
【0007】本発明は上記従来の問題点を解決し、高温
高湿下における長期間高速回転によっても潤滑剤の飛散
の問題がなく、従って、その後長期間放置してもスティ
クションが生じることのない磁気記録媒体と、この磁気
記録媒体を用いた磁気記録装置を提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気記録媒体
は、非磁性基板上に記録層、保護層及び潤滑層をこの順
に設けてなる磁気記録媒体において、該潤滑層が、下記
一般式(I)で示され、数平均分子量が5000を越え
10000以下であるパーフルオロポリエーテルと下記
一般式(II)で示され、数平均分子量が500から10
000であるパーフルオロポリエーテルとを含むことを
特徴とする。
【0009】
【化3】
【0010】
【化4】
【0011】即ち、本発明者らは、高温高湿下での潤滑
剤の飛散を防止すべく鋭意検討を重ねた結果、潤滑剤と
して特定の分子量を有し、かつ、特定の末端官能基を有
する2種類のパーフルオロポリエーテルを併用すること
により、高温高湿下におけるCSS後、長期放置した時
のスティクションを抑える効果が得られることを見出
し、本発明を完成させた。
【0012】本発明において、一般式(I)及び/又は
(II)のmは1又は2であることが好ましい。また、一
般式(I)で示されるパーフルオロポリエーテルと一般
式(II)で示されるパーフルオロポリエーテルとの混合
比率(I):(II)は重量比で1:30〜30:1であ
ることが好ましい。
【0013】本発明において、このような潤滑剤で形成
される潤滑層の膜厚は0.1〜10nmであることが好
ましい。また、保護層はアモルファスカーボンよりなる
ことが好ましい。
【0014】本発明の磁気記録装置は、ディスク状のこ
のような本発明の磁気記録媒体と、該磁気記録媒体を回
転稼働させるための回転手段と、情報記録/再生のため
のヘッドとを有し、情報記録/再生時の該磁気記録媒体
の回転数が10000rpm以上であることを特徴と
し、このような高速回転による情報の記録/再生を行っ
ても、磁気記録媒体の潤滑層が長期安定性、耐久性、耐
ヘッド吸着性に優れるため、良好な記録/再生を行え
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳
細に説明する。
【0016】本発明の磁気記録媒体では、潤滑層に、前
記一般式(I)で示され、数平均分子量が5000を越
え10000以下であるパーフルオロポリエーテル(以
下「PFPE(I)」と記す。)と前記一般式(II)で
示され、数平均分子量が500から10000であるパ
ーフルオロポリエーテル(以下「PFPE(II)」と記
す。)とを併用する。
【0017】PFPE(I)の数平均分子量は5000
を超えていれば良いが、好ましくは5300〜1000
0、特に5300〜8000が好ましい。PFPE
(I)の数平均分子量が5000以下であると、高速回
転下において顕著なフライスティクションが観察され
る。しかし、PFPE(I)として必要以上に高分子量
のものを用いると、潤滑剤が高粘度になり耐久性が悪化
する場合があるため、PFPE(I)の数平均分子量は
10000以下とする。
【0018】また、PFPE(II)の数平均分子量が1
0000を超えると、粘度が非常に高くなり、長期間ド
ライブを起動せずに放置した場合、非常に高いスティク
ションを起こすことがある。この数平均分子量が500
未満のものを用いると、高温の高速回転下では潤滑剤が
飛散し、著しく膜厚が減少することがあるため、PFP
E(II)の数平均分子量は500〜10000、好まし
くは1000〜6000、より好ましくは3000〜4
500とする。
【0019】なお、前記一般式(I),(II)におい
て、mは1〜4の整数であるが、特に1又は2であるこ
とによって、分子全体の剛直性が低下し、優れた潤滑性
を示すので好ましい。
【0020】本発明は、このように2種類の潤滑剤を混
合使用することによって、特異的に高温高湿下における
CSS後の長期放置時のスティクションを抑える効果を
得るものであるが、PFPE(I)の混合比率が多いと
耐久性が悪化する場合があり、逆にPFPE(II)の混
合比率が多いと高温高速回転下で膜厚の減少が著しいこ
とから、PFPE(I)とPFPE(II)の混合比率は
重量比でPFPE(I):PFPE(II)=1:30〜
30:1、特に1:10〜10:1であることが好まし
く、更には1:10〜7:3であることが好ましい。
【0021】なお、PFPE(I)の特定範囲の数平均
分子量は、化学合成による方法や、多段の溶媒抽出、蒸
留等で得ることができるが、例えば文献("Tailoring p
erformance properties of perfluoropolyethers via s
upercritical fluid fractionation", H. Schonemann,
P. Gallagher-Wetmore, V. Krukonis, Proc. 3rd. Inte
rnat. Symp. Supercrit. Fluids, 3 (1994) 375-380)
で示されているように、二酸化炭素による超臨界流体抽
出を行うことによって、より厳密に分画することができ
る。
【0022】このようなPFPE(I)及びPFPE
(II)で形成される潤滑層の膜厚は特に限定されない
が、一般的には0.1〜10nm、好ましくは0.1〜
5nm、より好ましくは0.5〜3nmである。
【0023】潤滑層は、通常、基板上に磁性層を形成
し、この上に保護層を設けた後に、潤滑剤を溶解した溶
液に該基板を浸漬する方法、基板表面に該溶液を染み込
ませたテープ等に荷重をかけて接触させて被膜を形成す
る方法、基板上でパッドを回転させながら添着させる方
法、或いはスプレー法などにより形成される。
【0024】この場合、潤滑剤塗布液の濃度は、潤滑剤
の化合物や溶媒の種類により異なるが、通常、溶液中濃
度として0.1〜5g/lである。溶媒としては潤滑剤
が溶解するものであれば良く、特に限定されるものでは
ないが、一般的にフッ素系溶媒が用いられ、例えばPF
5060、PF5080、HFE−7100、HFE−
7200(3M社製)、Vertrel−XF(Dup
on社製)、AK225(旭硝子社製)、ZEOROR
A(日本ゼオン社製)等が挙げられる。
【0025】また、潤滑層と保護層との親和力を高める
ため、潤滑剤塗布後に40〜200℃程度の熱処理等を
施すことが好ましい。熱処理は輻射熱を利用したり、熱
風を利用して行う。この場合、発熱源には、赤外線ラン
プ、ハロゲンランプを用いたランプヒーター、ニクロム
線、白金線、タングステン線を用いた抵抗加熱器や、電
気コンロ、パイプヒーター等の円赤外線や近赤外線を発
生、輻射する熱輻射体が使用できる。
【0026】次に、本発明の磁気記録媒体の潤滑層以外
の構成について説明する。
【0027】本発明の磁気記録媒体における非磁性基板
としては、Alを主成分とした基板、例えばAl−Mg
合金等のAl合金基板や、通常のソーダガラス、アルミ
ノシリケート系ガラス、非結晶ガラス類、シリコン、チ
タン、セラミックス、各種樹脂からなる基板など、非磁
性基板であれば任意のものを用いることができる。中で
もAl合金基板や結晶化ガラス等のガラス製基板を用い
ることが好ましい。磁気ディスクの製造工程において
は、まず基板の洗浄・乾燥が行われるのが通常であり、
本発明においても各層の密着性を確保する見地からもそ
の形成前に洗浄、乾燥を行うことが望ましい。
【0028】本発明の磁気記録媒体の製造に際しては、
非磁性基板表面にNiP等の非磁性金属被覆層を形成す
ることが好ましい。非磁性金属被覆層を形成する手法と
しては、無電解めっき法、スパッタリング法、真空蒸着
法、CVD(化学的成膜)法などの各種の薄膜形成に用
いられる方法を利用することができる。導電性材料から
なる基板の場合であれば電解めっきを使用することが可
能である。非磁性金属被覆層の膜厚は50nm以上あれ
ば良い。ただし、磁気記録媒体の生産性などを考慮する
と50〜500nm、特に50〜300nmであること
が好ましい。この非磁性金属被覆層を成膜する領域は基
板表面全域が望ましいが、一部だけ、例えばテキスチャ
リングを施す領域のみでも良い。
【0029】また、本発明の磁気記録媒体にあっては、
ディスク状基板表面又は非磁性金属被覆層が形成された
基板表面に同心状テキスチャリングを施すのが好まし
い。同心状テキスチャリングとは、例えば遊離砥粒とテ
キスチャーテープを使用した機械式テキスチャリングや
レーザー光線などを利用したテキスチャリング加工、又
はこれらを併用することによって、円周方向に研磨する
ことによって基板円周方向に微小溝を多数形成した状態
を指称する。
【0030】機械的テキスチャリングを施すための遊離
砥粒の種類としてはダイアモンド砥粒、中でも表面がグ
ラファイト化処理されているものが最も好ましい。機械
的テキスチャリングに用いられる砥粒としては他にアル
ミナ砥粒が広く用いられているが、特にテキスチャリン
グ溝に沿って磁化容易軸を配向させるという観点から考
えるとダイアモンド砥粒が極めて良い性能を発揮する。
【0031】なお、基板の表面粗さ(Ra)について
は、ヘッド浮上量ができるだけ小さいことが高密度磁気
記録の実現には有効であることから、基板表面のRaは
2nm以下、特に1nm以下であることが好ましく、と
りわけ0.5nm以下であることが好ましい。ただし、
ここでRaの決定は、触針式表面粗さ計を用いて測定し
た場合を想定している。このとき測定用の針の先端は半
径0.2μm程度の大きさのものが使用される。
【0032】非磁性金属被覆層の形成及び同心状テキス
チャリングを施した非磁性基板上には、必要に応じてC
rを主成分とする種子層とNiAl等のB2結晶構造を
有する下地層を順次形成した後、Co合金磁性層を形成
する。更には、この下地層と磁性層との間にCrを主成
分とする第2の下地層を形成しても良い。その目的は、
この種子層の上に形成するB2結晶構造を有する下地
層、Crを主成分とする第2の下地層、ひいてはCo合
金磁性層の結晶面の配向を制御することにある。
【0033】Crを主成分とする種子層の材料として
は、純Crの他、Co層との結晶マッチングなどの目的
でCrにV、Ti、Mo、Zr、Hf、Ta、W、G
e、Nb、Si、Cu、Bなどの第二、第三元素を添加
したものや、酸化Crなどが含まれる。中でも純Crや
CrとTi、Mo、W、V、Ta、Si、Nb、Zr及
びHfを有するものが好ましい。これら第二、第三元素
の含有量はそれぞれの元素によって最適な量が異なる
が、一般には1〜50原子%、好ましくは5〜30原子
%、更に好ましくは5〜20原子%の範囲である。
【0034】Crを主成分とする種子層やNiAl等の
B2結晶構造を有する下地層の膜厚はこの異方性を発現
させ得るに十分なものであれば良く、通常は0.1〜5
0nmであり、好ましくは0.3〜30nm、更に好ま
しくは0.5〜10nmである。Crを主成分とする種
子層の成膜時は基板加熱を行っても行わなくても良い。
【0035】Co合金磁性層としては、通常、純Coや
CoNi、CoSm、CoCrTa、CoNiCr、C
oCrPtなどの磁性材料として一般に用いられるCo
合金磁性材料が用いられる。これらのCo合金に更にN
i、Cr、Pt、Ta、W、Bなどの元素やSiO2
の化合物を加えたものでも良い。例えばCoCrPtT
a、CoCrPtB、CoNiPt、CoNiCrPt
B等が挙げられる。Co合金磁性層の膜厚は任意である
が、通常5〜50nm、好ましくは10〜30nmであ
る。
【0036】B2結晶構造を有する下地層とCo合金磁
性層との間に、更にCrを主成分とする第二の下地層を
設ける際には、この第二の下地層には、Crを主成分と
する種子層と同様の材料を用いることができ、両者の元
素組成は同一であっても異っていても良い。第二の下地
層の膜厚は目的とする磁気記録媒体の諸特性に合わせて
任意に設定できるが、通常1〜100nm、好ましくは
5〜50nmである。
【0037】更に、磁性層を2種以上の積層構造とした
ものでも良く、Crを主成分とする第2の下地層と磁性
層との間に非磁性CoCr等の中間層を設けても良い。
【0038】磁気記録媒体の各層を形成する成膜方法と
しては任意であるが、例えば直流(マグネトロン)スパ
ッタリング法、高周波(マグネトロン)スパッタリング
法、ECRスパッタリング法、真空蒸着法などの物理的
蒸着法が挙げられる。
【0039】また、成膜時の条件としても特に制限はな
く、到達真空度、基板加熱の方式と基板温度、スパッタ
リングガス圧、バイアス電圧等は、成膜装置により適宜
決定すれば良い。例えば、スパッタリング成膜では、通
常の場合、到達真空度は1×10-6Torr以下、基板
温度は室温〜400℃、スパッタリングガス圧は1×1
-3〜20×10-3Torr、バイアス電圧は一般的に
は0〜−500Vである。成膜に当たっては、磁性層の
Crの偏析を促進するために、一般に非磁性基板を10
0〜350℃程度に加熱することが好ましい。基板加熱
は、下地層形成前に行っても良いし、熱吸収率が低い透
明な基板を使用する場合には、熱吸収率を高くするた
め、Crを主成分とする種子層又はB2結晶構造を有す
る下地層を形成してから基板を加熱し、しかる後にCo
合金磁性層やCrを主成分とする第2の下地層を形成し
ても良い。
【0040】このようにして形成された磁性層上には、
任意の保護層を形成する。保護層材料としては、C、水
素化C、窒素化C、アルモファスC、SiC等の炭素質
層やSiO2、Zr23、TiNなど、通常用いられる
保護層材料を用いることができる。保護層の主材料とし
ては炭素質が好ましく、この炭素質膜は通常スパッタリ
ング法、CVD法により形成される。
【0041】スパッタリング法の場合、炭素をターゲッ
トとし、スパッタリングガスとして通常のAr、He等
の希ガスに加えて、反応性ガスとしてH2、N2、O2
炭化水素、窒素含有炭化水素、フッ素含有炭化水素等を
導入しながら成膜する。電源は直流、交流、高周波、パ
ルス等、特に限定されないが、直流あるいは高周波電源
が好ましい。また、基板に直流又は高周波のバイアス電
圧を印加しながら成膜してもかまわない。
【0042】一方、CVD法では、メタン、エタン、プ
ロパン、エチレン、アセチレン、ベンゼン、トルエン等
の炭化水素、アルコール類、窒素含有炭化水素、フッ素
含有炭化水素等、炭素を含む化合物を原料ガスとして反
応室へ導入し、直流、交流、高周波などの電気的エネル
ギー、加熱フィラメントの熱エネルギー、加熱フィラメ
ントから放出される熱電子エネルギー、加速電子による
エネルギー等によって原料ガスを分解して成膜種を生成
させ、それを基板に導いて形成する。原料ガスは種類の
異なるモノマー同士を混合しても良く、Ar、He等の
不活性ガス、H2、N2、O2等の反応性ガスと混合して
使用しても良い。また、成膜時、基板にはバイアス電圧
を印加することも可能である。ガス圧、電源電圧、バイ
アス電圧、成膜時間等の条件はその装置の形状、大きさ
等によって変わるので特に限定することはできないが、
いずれも公知の条件で行うことができる。
【0043】保護層は2層以上の層から構成されていて
も良く、各層の成膜方法、条件は異なっていても良い。
保護層の厚さは通常150Å以下、好ましくは100Å
以下、更に好ましくは50Å以下であり、その下限は通
常5Åである。
【0044】本発明の磁気記録装置は、ディスク状の本
発明の磁気記録媒体と、これを記録方向に回転稼動させ
る回転手段と、情報の記録部と再生部からなる磁気ヘッ
ドと、磁気ヘッドをディスクに対して相対運動させる手
段と、磁気ヘッドへの信号入力と磁気ヘッドからの出力
信号再生を行うための記録再生信号処理手段を有し、デ
ィスクの潤滑層でこの磁気ヘッドとディスクとの間に生
じる吸着性が有効に抑制されることによって、高い信頼
性を発揮することができ、特にディスクの回転数を10
000rpm以上としたものにおいて、更には磁気ヘッ
ドを浮上量が0.01μm以上0.05μm未満と、従
来より低い高さで浮上させることで効果が顕著となり、
高信頼性と共に出力の向上で高い装置S/Nが得られ、
大容量の磁気記録装置を提供することができる。
【0045】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り以下の実施例によって限定されるものではない。
【0046】なお、以下の実施例及び比較例において
は、市販のフォンブリンZ−TETRAOL(アウジモ
ント社製)(前記一般式(I)において、mは1〜2の
整数、nは整数)と、市販のフォンブリンZ−DOL
(アウジモント社製)(前記一般式(II)において、m
は1〜2の整数、nは整数)を混合して用いた。フォン
ブリンZ−TETRAOLについては、文献に従って二
酸化炭素を用いた超臨界流体抽出により分画を行って数
平均分子量を調整した。この数平均分子量は19FNM
Rを測定することにより求めた。
【0047】実施例1〜5、比較例1〜4 表面の平均粗さが1nmの直径3.5インチのアルミニ
ウム合金製ディスク基板の両面上に、無電解めっき法に
より厚さ15μmのNiP層を形成し、次いでエネルギ
ービームを半径17mmから19mm(CSSゾーン)
の領域に照射し、平均高さ19nmの突起を形成させ
た。その後、スパッタリング法によりクロム下地層(厚
さ20nm)、コバルト合金磁性層(厚さ20nm)を
形成し、次に保護層としてカーボン膜を13nmの厚さ
に形成した。このカーボン膜上に、表1に示す数平均分
子量と混合比である2種類のパーフルオロポリエーテル
をVertrel−XF(デュポン(株)製)溶液とし
て用い、浸漬法により成膜した後100℃で焼成処理を
行い、厚さ1.4nmの均一な潤滑層を形成した。
【0048】得られたディスクを用いて高温高湿の環境
下において下記の方法でCSS試験を行い、結果を表1
に示した。
【0049】<CSS試験>32℃、80%R.H.の
環境下において、磁気記録媒体のCSSゾーンにヘッド
を置いた後、回転速度を0rpm→7200rpm→0
rpmとする工程を11秒の周期で10000回繰り返
し行い、各回のディスクとヘッドとの間の摩擦力を測定
し摩擦係数の平均値を求めた。また、CSS終了後、停
止した状態で24時間放置し、放置後の摩擦力を測定し
摩擦係数を求めた。なお、ヘッドには、表面にCVD法
によりカーボンコートを施したものを、押し付け圧力
2.5gで用いた。
【0050】
【表1】
【0051】表1から明らかなように、実施例1〜5に
ついてはCSS時の平均摩擦係数と放置後の摩擦係数に
は大きな差がなく、高温高湿下において長期放置を行っ
てもスティクションは増大していないことがわかる。こ
れに対し、比較例1〜4では放置後の摩擦係数が1以上
とCSS時の平均より上回っており、放置することによ
りスティクションが増大していることがわかる。このよ
うな場合、より長期の放置を行うと、スティクションは
時間とともに増大し、より大きな吸着現象が起こり、動
作不良、更にはヘッド破壊に至ることもあり、実用上大
きな問題となる。
【0052】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、高
温高湿下における長期間高速回転によっても潤滑剤の飛
散の問題がなく、従って、表面平滑な磁気記録媒体を用
いても、その後長期間放置したときのスティクションを
起こすことのない磁気記録媒体が提供される。従って、
このような磁気記録媒体を用いた本発明の磁気記録装置
によれば、ヘッドをより低飛行させることにより、より
高密度の記録を行うことができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基板上に記録層、保護層及び潤滑
    層をこの順に設けてなる磁気記録媒体において、該潤滑
    層が、下記一般式(I)で示され、数平均分子量が50
    00を越え10000以下であるパーフルオロポリエー
    テルと下記一般式(II)で示され、数平均分子量が50
    0から10000であるパーフルオロポリエーテルとを
    含むことを特徴とする磁気記録媒体。 【化1】 【化2】
  2. 【請求項2】 一般式(I)及び/又は(II)におい
    て、mが1又は2であることを特徴とする請求項1に記
    載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 一般式(I)で示されるパーフルオロポ
    リエーテルと一般式(II)で示されるパーフルオロポリ
    エーテルとの混合比率(I):(II)が重量比で1:3
    0〜30:1であることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 潤滑層の膜厚が0.1〜10nmである
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記
    載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 保護層がアモルファスカーボンよりなる
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記
    載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし4のいずれか1項に記載
    の磁気記録媒体であって、ディスク状の磁気記録媒体
    と、該磁気記録媒体を回転稼働させるための回転手段
    と、情報記録/再生のためのヘッドとを有し、情報記録
    /再生時の該磁気記録媒体の回転数が10000rpm
    以上であることを特徴とする磁気記録装置。
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