JP2001229524A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2001229524A
JP2001229524A JP2000037096A JP2000037096A JP2001229524A JP 2001229524 A JP2001229524 A JP 2001229524A JP 2000037096 A JP2000037096 A JP 2000037096A JP 2000037096 A JP2000037096 A JP 2000037096A JP 2001229524 A JP2001229524 A JP 2001229524A
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JP2000037096A
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Yoshihito Osawa
芳仁 大澤
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速回転化に伴うスピンマイグレーション現
象および高温環境による減量を起こさず、かつ良好な潤
滑特性を有する潤滑層を含む磁気記録媒体の提供。 【解決手段】 非磁性基体上に少なくとも非磁性下地
層、磁性層、カーボン保護層、および潤滑層が順次積層
されてなる磁気記録媒体において、前記潤滑層は、数平
均分子量が5000から10000であり、かつMw/
Mnが1.10以下であるパーフルオロポリエーテルを
含むことを特徴とする磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記憶装置を必要と
する電化製品(コンピュータ等)の外部記憶装置として
用いられる固定磁気記録装置に搭載される磁気記録媒体
に関し、特にその表面に形成させる潤滑膜に関する。
【0002】
【従来の技術】固定磁気記録媒体装置は、コンピュータ
などの外部記憶装置として汎用的に利用されている。そ
のような固定磁気記録媒体装置は、磁気記録媒体駆動機
構、磁気ヘッド駆動機構、磁気ヘッド停止機構、および
データ転送制御機構とともに、複数の磁気記録媒体を組
み込んだ装置である。近年、固定磁気記録媒体装置にお
いては、高密度記録化、大容量化、およびデータ転送速
度高速化などの進歩が著しい。
【0003】一般的な磁気記録媒体の膜構成を表わす模
式的断面図を、図1に示す。ガラスまたはAl等の基板
1上に、Ni−PまたはAl等のようなメッキ層2が形
成された非磁性基体11の上に、非磁性下地層3、磁性
層4(例えばCoCrPtBまたはCoCrPtTa
等)および保護層5が形成されており、さらにその上
に、潤滑層6が形成されている。
【0004】従来型の固定磁気記録媒体装置は、CSS
(コンタクト・スタート・ストップ)方式が採用されて
いる。CSS方式とは、磁気記録媒体の回転時には磁気
ヘッドが浮上し、磁気記録媒体を回転させる回転駆動モ
ータが停止したときには、磁気ヘッドが磁気記録媒体表
面と接触する方式である。この方式の場合、磁気記録媒
体の回転開始および停止時に、ヘッドは磁気記録媒体表
面と摺動し、それらの間に摩擦が生じる。このような摩
擦等から磁性層4を保護するために、保護層5が積層さ
れており、さらに表面潤滑特性を改善する(すなわち摩
擦量の低減)のために潤滑層6が積層されている。
【0005】この磁気記録媒体の表面潤滑特性を改善す
る方法として用いられている潤滑層は、保護層表面に均
一な膜厚で安定に形成されていることが必要であり、保
護層との密着性・結合性が高いことが重要である。この
密着性を高めるために、ヒドロキシル基やピペロニル基
などの末端基を持ったパーフルオロポリエーテル系潤滑
剤が使用されている。これらの潤滑剤は、たとえば、ア
ウジモンド社から「fomblin Z DOL」ある
いは「AM2001」として市販されている。しかし、
現在使用されているパーフルオロポリエーテル潤滑剤の
多くは、分子量が低すぎると潤滑特性が悪化し、高すぎ
ると吸着傾向になるという問題点を有している。現在
は、数平均分子量(Mn)が1500〜5500である
パーフルオロポリエーテル潤滑剤が使用されている。
【0006】そこで、潤滑層に用いる潤滑剤を精選する
ことによリ、前記の問題を解消しようとする試みが種々
行われている。たとえば、保護層との結合性向上を目的
として、パーフルオロポリエーテル分子の末端に第3級
アミノ基を導入したことを特徴とする特開平11−13
1083号公報、および特開平11−172268号公
報に記載されるような潤滑剤も提案されている。
【0007】一方、磁気ヘッド停止機構にランプ・ロー
ド方式を採用する固定磁気記録媒体装置も現れて来てい
る。ランプ・ロード方式とは、磁気記録媒体の回転停止
時に、ヘッドを媒体外周部の外側に位置するランプに退
避させ、磁気記録媒体の回転起動時は、その回転が安定
した後に、ヘッドを磁気記録媒体上に導入する方式であ
る。この方式は、CSS方式と異なり、磁気記録媒体の
回転開始および回転停止時におけるヘッドと磁気記録媒
体との接触を排除できるという利点を有する。しかしな
がら、ランプ・ロード方式を用いる場合には、ロード時
の状態によっては磁気記録媒体と磁気ヘッドとが接触す
ることがあり、潤滑層が従来のCSS方式とは異なる潤
滑特性を有する必要性も生じはじめている。もしそのよ
うな接触が起きた場合、CSS方式に比較して衝撃が大
きいため、潤滑層の膜厚が局所的に減少することが予想
されており、それに対して潤滑層の補修能力(膜厚の減
少した部位への潤滑剤の拡散)が必要であると考えてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】さらに、主としてデー
タ転送速度向上のために、磁気記録媒体の回転速度を、
従来の7200rpm(毎分回転数)以下から、720
0〜15000rpmへと高速にすることが求められて
いる。そのような高速化を行う場合には、スピンマイグ
レーション現象が問題となってくる。スピンマイグレー
ション現象とは、回転時の遠心力により、磁気記録媒体
表面の潤滑剤が外周部へ移動すること、または磁気記録
媒体から脱離することである。このスピンマイグレーシ
ョン現象による媒体外周部潤滑層の膜厚増加は、ヘッド
の吸着障害を引き起こす原因となる。同時に、媒体内周
部潤滑層の膜厚減少は、潤滑層の表面潤滑特性を低下さ
せ、下にある保護層の損傷をもたらす可能性がある。
【0009】したがって、高速回転化による遠心力の増
大に対応して、保護層により強固に結合し、スピンマイ
グレーション現象を起こさない潤滑剤が求められてい
る。
【0010】磁気記録媒体の高速回転に伴う問題点とし
て、高速回転時に発生する熱によって潤滑剤が蒸発して
減量するという問題も顕在化しつつある。潤滑剤の蒸発
すなわち減量は、潤滑層の膜厚が減少することを意味
し、結果として保護層摩耗を発生しやすくする。保護層
摩耗が進行していくと、最悪の場合にはヘッドクラッシ
ュを引き起こすおそれがある。
【0011】潤滑層減量に関しては、高沸点の潤滑剤を
用いることが有効である。しかしながら、パーフルオロ
ポリエーテル潤滑剤の沸点を上昇させることは、分子量
の増大をもたらし、結果として潤滑特性に悪影響を与え
る可能性がある。すなわち、高沸点を有し、かつ潤滑特
性が良好な潤滑剤が求められている。
【0012】上述のように、磁気記録媒体の高速回転化
に際して、長期使用安定性(スピンマイグレーション現
象を起こさず、かつ高温環境下においても蒸発・減量し
ないこと)および潤滑特性に優れた潤滑層の必要性が、
より一層増大している。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気記録媒体
は、高温環境下での減量を防止するために高沸点かつ高
分子量の材料を潤滑層として用いる。また、材料の分子
量分布を狭くすることにより、高分子量による潤滑特性
に対する弊害を抑制している。
【0014】本発明の磁気記録媒体は、非磁性基体上に
少なくとも非磁性下地層、磁性層、カーボン保護層、お
よび潤滑層が順次積層されてなる磁気記録媒体におい
て、前記潤滑層は、数平均分子量が5000から100
00であり、かつ分子量分布を示す指数Mw/Mnが
1.10以下であるパーフルオロポリエーテルを含むこ
とを特徴とする。
【0015】また、前記潤滑層は、数平均分子量が50
00から7000であり、かつ分子量分布を示す指数M
w/Mnが1.06以下であるパーフルオロポリエーテ
ルを含んでもよい。
【0016】本発明の固定磁気記録媒体装置の1つの実
施形態は、磁気ヘッド停止機構にランプ・ロード方式を
用いること、および数平均分子量が5000から100
00であり、かつ分子量分布を示す指数Mw/Mnが
1.10以下であるパーフルオロポリエーテルを含む潤
滑層を用いた前述の磁気記録媒体を搭載したことを特徴
とする固定磁気記録媒体装置である。
【0017】本発明の固定磁気記録媒体装置の別の実施
形態は、磁気ヘッド停止機構にコンタクト・スタート・
ストップ方式を用いること、および数平均分子量が50
00から7000であり、かつ分子量分布を示す指数M
w/Mnが1.06以下であるパーフルオロポリエーテ
ルを含む潤滑層を用いた前述の磁気記録媒体を搭載した
ことを特徴とする固定磁気記録媒体装置である。
【0018】
【発明の実施の形態】磁気記録媒体に高温環境下での蒸
発を防ぐため沸点の高い高分子量の潤滑剤を用いること
である。また、その潤滑剤の分子量分布を狭くすること
で、潤滑剤の高分子量に伴う弊害(たとえば、静止摩擦
力の増大等)を極力抑制することが可能である。ただ
し、固定磁気記録媒体の磁気ヘッド停止機構の種類によ
って、潤滑剤の数平均分子量と分子量分布の最適値を選
択して、より良好な特性を有する潤滑層を得ることがで
きる。
【0019】本発明の磁気記録媒体の潤滑層以外の層
は、当該技術において知られているいずれかの方法を用
いて形成することができる。すなわち、例えばガラス材
料またはAl合金からなる所要の平行度、平面度および
表面粗さに機械加工された非磁性の基板1の表面に無電
界メッキのような湿式成膜工程、または真空中における
スパッタ、蒸着等のようなドライ工程によりNi−Pま
たはAl膜からなるメッキ層2を形成して非磁性の基体
11とする。この後、機械加工、レーザ加工により、所
定の平面度および表面粗さに再度加工してもよい。その
後、洗浄等により、基体11の表面を清浄な状態とする
ことが好ましい。次に、Crからなる非磁性下地層3、
Coを主とするCoCrPtTa等のような磁性層4お
よびCを主成分とする保護層5を形成して、磁気記録媒
体半製品を得ることができる。なお、各層の膜厚は、具
体的用途に応じて適宜選択されるものである。
【0020】非磁性下地層3、磁性層4、および保護層
5の形成は、均一な組成および膜厚の層を形成すること
ができる任意の方法を用いることができる。その方法
は、たとえば、スパッタ法、真空蒸着法(抵抗加熱法、
電子ビーム法などを含む)、およびCVD法(プラズマ
CVD法、MOCVD法などを含む)を含む。好ましく
は、たとえば、真空中にて、50〜300℃に加熱し、
基体11に直流バイアス電圧を約−200V印加しなが
ら行うDCスパッタ法を用いることが好ましい。また、
ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、または窒素添
加されたアモルファスカーボン(a−C:N)をCVD
法により成膜して、保護層5とすることもできる。
【0021】本発明の磁気記録媒体は、前記の磁気記録
媒体半製品上に、潤滑剤を塗布して潤滑層を形成するこ
とにより形成することができる。
【0022】本発明で用いることができる潤滑剤は、パ
ーフルオロポリエーテル化合物が好ましく、特に、分子
末端にヒドロキシル基、ピペロニル基または第3級アミ
ノ基を有するパーフルオロポリエーテル化合物が好まし
い。そのような潤滑剤の例は、たとえば、アウジモント
社製「Fomblin Z DOL」などを含むが、こ
れに限定されるものではない。
【0023】本発明において用いる潤滑剤は、5000
〜10000の数平均分子量を有する。本発明の磁気記
録媒体がランプ・ロード方式の固定磁気記録媒体装置に
組み込まれる場合には、潤滑剤は、5000〜1000
0の数平均分子量を有する。本発明の磁気記録媒体がコ
ンタクト・スタート・ストップ方式の固定磁気記録媒体
装置に組み込まれる場合には、潤滑剤は、5000〜7
000の数平均分子量を有する。
【0024】また、本発明で用いる潤滑剤は、狭い分子
量分布を有する。分子量の分布状態を示す指標として
は、一般的に重量平均分子量(Mw)と数平均分子量と
の比(Mw/Mn)を用いることができる。Mw/Mn
の好ましい範囲は、磁気記録媒体が組み込まれる固定磁
気記録媒体装置のヘッド停止機構の種類などの要件を考
慮して選択される。磁気記録媒体が、ランプ・ロード方
式の固定磁気記録媒体装置に組み込まれる場合には、M
w/Mnは、1.1以下であることが好ましい。磁気記
録媒体が、コンタクト・スタート・ストップ方式の固定
磁気記録媒体装置に組み込まれる場合には、Mw/Mn
は、1.06以下であることが好ましい。
【0025】狭い分子量分布を有する潤滑剤を得るため
には、超臨界流体による分子量分画、分子蒸留、または
分取GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いて、
市販の潤滑剤を精製することが便利である。特に、超臨
界流体を用いる分画が、得られる分画物の分子量分布が
狭いこと、および分子蒸留では困難な高分子量の分画が
できることの点で好ましい。
【0026】潤滑剤の塗布は、公知のディップコート
法、あるいはスピンコート法にて行うことができる。そ
の際の塗布液は、潤滑剤を市販のフッ素系溶媒に溶解さ
せた溶液を用いることが好ましいが、それに限定される
ものではない。フッ素系溶媒の例として、スリーエム社
製フロリナート(登録商標)類を挙げることができる。
従来の潤滑剤の塗布と同様に、塗布溶液の濃度、および
基板の引上げ速度(ディップコート法の場合)または回
転速度(スピンコート法の場合)等を任意に調整するこ
とにより、潤滑剤の膜厚を±0.05nmのレベルで制
御可能である。
【0027】本発明の潤滑層は、1〜3nmの厚さを有
する。CSS方式を採用する場合には、本発明の潤滑剤
層は1.5〜3.0nmの厚さを有することが好まし
く、ロード・アンロード方式を用いる場合には、本発明
の潤滑層は1.0〜2.0nmの厚さを有することが好
ましい。潤滑層の厚さが1nmよりも小さい場合には、
潤滑層は充分な潤滑作用を有することができず、保護層
の破綻等を招くおそれがある。逆に3nmよりも大きな
厚さは、磁気ヘッドが吸着しやすくなり、および結合比
率を大きくし難い点から好ましくない。
【0028】さらに、前述のように潤滑層を形成した後
に、加熱や紫外線照射を行うことにより、保護層と強固
に結合している結合性潤滑剤と弱く結合している移動性
潤滑剤との比率の調整を行ってもよい。本明細書におい
ては、「結合比率」という術語は、(結合性潤滑剤の膜
厚)/(潤滑層の全膜厚)を表わす。この結合比率は、
潤滑層の潤滑特性に大きく影響し、0.5〜0.95の
範囲内にあることが好ましい。結合比率が大きすぎる
と、ヘッドと潤滑層との間の動摩擦力が増大し、逆に結
合比率が小さすぎると、静止摩擦力が増大することによ
る磁気ヘッドの潤滑層に対する吸着現象および前述のス
ピンマイグレーション現象が起こりやすくなる。
【0029】[実施例] (磁気記録媒体の調製)市販のアルコール系末端基を有
するパーフルオロポリエーテル潤滑剤(アウジモンド社
製Fomblin Z dol)等を、超臨界二酸化炭
素液体を溶媒として用い、超臨界二酸化炭素の圧力およ
び温度を制御することにより別個の分子量を有する成分
の溶解度を変化させて、狭い分子量分布および高分子量
を有する潤滑剤を得ることができる。また、前述の方法
により分子量分画された潤滑剤が市販されており、たと
えばNovafluid社(アメリカ)製の潤滑剤等が
入手可能である。
【0030】表1に記載した種類の潤滑剤を用いた。な
お、本明細書中において、本発明の範囲内の潤滑剤およ
びそれを用いた磁気記録媒体を、符号「f」を付して示
す。
【0031】
【表1】
【0032】外周の直径95mm(半径47.5m
m)、内周の直径25mm(半径12.5mm)の円環
状のAl合金(Al−Mg合金)の非磁性基板を準備
し、これに無電解メッキによりNi−Pメッキを施して
メッキ層を形成し、その表面を研磨した。次いで、ダイ
ヤモンドスラリーを使用したテクスチェアー加工によ
り、ほぼ同心円状の溝を作製して、非磁性基体を得た。
その表面粗さ(中心線平均粗さ:Ra)を3nmとし
た。この非磁性基体を洗浄後、スパッタ装置内で、非磁
性基体上に、層厚50nmのCrの非磁性金属下地属を
形成し、さらに層厚30nmのCoCrTaPtを含む
磁性層、層厚12nmの窒素添加されたアモルファスカ
ーボン(a−C:N)の保護層をこの順に形成した。こ
れに対してテープバニッシュを行い、磁気記録媒体半製
品を得た。この媒体を共通媒体として次のような液体潤
滑剤の塗布を行った。
【0033】比較のための潤滑剤として、分子蒸留法に
より分画された分子量分布の広い高分子量潤滑剤6d
と、一般に使用されている分子量3500の潤滑剤3d
と、低分子量潤滑剤2dとを用いた(表2参照)。な
お、本明細書中において、本発明の範囲外の潤滑剤およ
びそれを用いた磁気記録媒体を、符号「d」を付して示
す。
【0034】
【表2】
【0035】それぞれの潤滑剤をフッ素系溶媒(スリー
エム社フロリナート(登録商標)FC−77)に溶解し
て0.03質量%溶液とし、ディップコート法により磁
気記録媒体へ塗布を行い、膜厚約1.8nmの潤滑層を
形成した。
【0036】次に、潤滑層の結合比率を、加熱により約
0.6に調整して(すなわち、膜厚換算で結合性潤滑剤
と移動性潤滑剤の比率が6:4として)、磁気記録媒体
を得た。得られた磁気記録媒体のそれぞれに関して、試
験前の潤滑層の膜厚および結合比率を、表3に示す。
【0037】(磁気記録媒体の評価)前述のように調製
した磁気記録媒体に関して、以下の評価を行った。
【0038】1.潤滑剤減量 磁気記録媒体サンプルのそれぞれを、120℃、相対湿
度(RH)約40%の環境下で、1週間にわたって放置
したサンプルの潤滑層の膜厚変化を測定した。結果を表
3に示す。Mn≧6000のサンプルは、いずれも膜厚
変化が少ないのに対して、6000未満のMnを有する
サンプル2dおよび3dは、大きく膜厚が減少したこと
がわかる。この結果により、高分子量潤滑剤が高温環境
において減量が少なく、有利なことが実証された。
【0039】
【表3】
【0040】2.スピンマイグレーション耐久性 以下のように、スピンマイグレーション試験を行った。
磁気記録媒体のサンプルのそれぞれを、固定磁気記録媒
体装置に組み込み、60℃、80%RHの条件下で、6
70時間にわたって、7200rpmで回転させた。こ
の試験前後における潤滑層の面内膜厚を、半径20mm
の内周部と半径45mmの最外周部で測定した。結果を
表4に示す。5000以上のMnを有するサンプルにお
いては、内周部の膜厚減少が少ないが、5000未満の
Mnを有するサンプル2dおよび3dにおいては、内周
部の膜厚が大きく減少した。なお、外周部の膜厚増加に
関しては、若干少ないか、ほとんど差がない程度であ
る。この結果は、5000未満のMnを有する潤滑剤を
用いた場合に、スピンマイグレーション現象によって、
潤滑剤が潤滑層全面から脱離していることを示してい
る。
【0041】
【表4】
【0042】3.高温高湿環境耐性評価 磁気記録媒体サンプルのそれぞれを、85℃、80%R
Hの高温高湿環境下に96時間にわたって放置し、その
前後の結合比率の変化を測定した。結果を表5に示す。
【0043】低分子量の潤滑剤を用いたサンプルほど結
合比率の低下が著しく、高分子量のサンプルほど低下が
少ないことが理解できる。高温高湿環境に対して高分子
量の方が耐性が高いのは、粘性が高いほかに、この様な
結合比率が高い状態が比較的安定なためだと思われる。
【0044】
【表5】
【0045】4.CSS耐久性試験 磁気記録媒体サンプルのそれぞれを、固定磁気記録媒体
装置に組み込み、常温常湿(25℃,約60%RH)の
環境下で、以下のようなCSS試験を行った。CSS試
験機として、市販のCSSテスターを用い、40000
回のCSS動作を行った。1回のCSS動作とは、5秒
間かけて、磁気記録媒体の回転数を最高回転数(720
0rpm)まで上げ、最高回転数を1秒間保持し、5秒
間かけて回転を停止させ、そして静止状態で1秒間保持
する動作である。40000回のCSS動作を行った
後、クラッシュに至らなかったサンプルは、磁気ヘッド
の静止状態で24hr放置し、その時点の静止摩擦力を
測定した。結果を表6に示す。なお、CSS耐久性試験
前の静止摩擦力は、いずれのサンプルにおいても19.
6mN(2gf)以下であった。この試験では、12
f,6d、10fのサンプルで静止摩擦力が大きくなっ
ているのが確認された。分子量が大きいことで吸着傾向
になっていることがわかる。しかし、5fおよび6fと
6dとを比較すると、分子量分布の狭い潤滑剤を用いる
ことで、摩擦力が著しく減少することが解る。この結果
から、6000程度の数平均分子量を有する潤滑剤を用
いる潤滑層においても、潤滑剤の分子量分布が狭けれ
ば、潤滑層に対する磁気ヘッド吸着現象を引き起こすこ
とがなく、CSS耐久性に問題はないといえる。
【0046】5.ランプ・ロード耐久性試験 磁気記録媒体サンプルのそれぞれを、固定磁気記録媒体
装置に組み込み、常温常湿(25℃,約60%RH)の
環境下で、以下のようなランプ・ロード試験を行った。
ランプ・ロードテスターを用い、100000回のロー
ド・アンロード動作を行った。1回のロード・アンロー
ド動作とは、7200rpmで回転している磁気記録媒
体に対して、外周部外側にあるランプ部に停止している
磁気ヘッドを導入して半径18mmの内周部までシーク
した、引き続いて磁気ヘッドを外周部へとシークしてラ
ンプ部に避難させる動作のことをいう。100000回
の動作後に、磁気記録媒体の外周部(半径41〜45m
mの円周上)および磁気ヘッドにダメージがあるかどう
かを、光学式顕微鏡にて確認する。その結果を表6に示
す。この試験に関しては、CSS試験において静止摩擦
力の大きかった12f,6dのサンプルを含むすべての
サンプルに対して、ダメージは観察されなかった。
【0047】
【表6】
【0048】以上の試験結果から、より高い分子量の潤
滑剤からなる潤滑層を用いた場合に、耐高温特性および
スピンマイグレーション耐性が向上することが見いださ
れた。さらに、潤滑剤の分子量分布を狭くすることで、
CSS耐久性試験における磁気ヘッドの吸着現象の抑制
も可能であることが見いだされた。したがって、本発明
の磁気記録媒体は、固定磁気記録装置における磁気記録
媒体の高速回転化とそれに伴う高温環境下においても、
優れた潤滑特性および長期使用安定性を有するものであ
る。
【0049】
【発明の効果】より高分子量の潤滑剤を潤滑層中に用い
ることにより、本発明の磁気記録媒体は、1)固定磁気
記録装置における磁気記録媒体の高速回転化に起因する
スピンマイグレーション現象が発生せず、および2)前
記高速回転化に伴う高温環境下においても潤滑層の減量
が発生しない、優れた長期使用安定性を示す。また、よ
り施米分子量分布を有する潤滑剤を用いることにより、
本発明の磁気記録媒体は、3)良好な潤滑特性およびC
SS耐久性を示す。
【0050】さらに、前述の磁気記録媒体を固定磁気記
録媒体装置に組み込んだ場合にも、長期使用安定性に優
れた固定磁気記録媒体装置を与える。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な磁気記録媒体の層構成を示す斜視図で
ある
【符号の説明】
1 非磁性基板 2 メッキ層 3 非磁性下地層 4 磁性層 5 保護層 6 潤滑層 11 非磁性基体

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性基体上に少なくとも非磁性下地
    層、磁性層、カーボン保護層、および潤滑層が順次積層
    されてなる磁気記録媒体において、前記潤滑層は、数平
    均分子量が5000から10000であり、かつMw/
    Mnが1.10以下であるパーフルオロポリエーテルを
    含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記潤滑層は、数平均分子量が5000
    から7000であり、かつMw/Mnが1.06以下で
    あるパーフルオロポリエーテルを含むことを特徴とする
    請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 磁気ヘッド停止機構にランプ・ロード方
    式を用いた固定磁気記録媒体装置において、請求項1に
    記載の磁気記録媒体を搭載したことを特徴とする固定磁
    気記録媒体装置。
  4. 【請求項4】 磁気ヘッド停止機構にコンタクト・スタ
    ート・ストップ方式を用いた固定磁気記録媒体装置にお
    いて、請求項2に記載の磁気記録媒体を搭載したことを
    特徴とする固定磁気記録媒体装置。
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