JP2000003512A - 磁気ディスク並びにそれらを備えた磁気ディスク装置 - Google Patents

磁気ディスク並びにそれらを備えた磁気ディスク装置

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JP2000003512A
JP2000003512A JP16659498A JP16659498A JP2000003512A JP 2000003512 A JP2000003512 A JP 2000003512A JP 16659498 A JP16659498 A JP 16659498A JP 16659498 A JP16659498 A JP 16659498A JP 2000003512 A JP2000003512 A JP 2000003512A
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film
lubricating
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Mina Ishida
美奈 石田
Takayuki Nakakawaji
孝行 中川路
Hiroshi Sasaki
佐々木  洋
Saburo Shoji
三良 庄司
Yutaka Ito
伊藤  豊
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】連続摺動耐久性と低粘着を両立させたディスク
を提供する。 【解決手段】二層以上の層を積層して形成された潤滑膜
において、潤滑剤が同一であり、最上層の潤滑層2は加
熱を施されるか或いは加熱を施されない層で、最下層の
潤滑層3が加熱或いは加熱後洗浄を施された潤滑層で構
成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体の耐
久性向上や電子機器の摺動部の潤滑膜、あるいは撥水
性,撥油性等の表面改質等に広く応用できる。
【0002】
【従来の技術】情報産業などで利用される薄膜型磁気記
録媒体は、通常非磁性基板の表面に磁性金属またはその
合金をめっき,蒸着やスパッタ法等により形成する。実
際の使用時においては磁気ヘッドと磁気記録媒体とが高
速回転で摺動するので、摩耗損傷を受けたり、磁気特性
の劣化を起こしたりする。このため、その表面の耐摩耗
性を向上させる目的で、その上に非晶質炭素等から成る
保護膜を形成し、更に接触摺動の際の静/動摩擦を極力
低減させ(耐摺動性),耐腐食性等の摺動信頼性を有す
るために潤滑膜が形成されている。保護膜としては炭素
質膜,酸化物膜,窒化物膜及びホウ化物膜等が利用され
る。
【0003】現在、市販されている潤滑膜には低表面エ
ネルギーで耐熱性,化学安定性,潤滑性に優れるパーフ
ロロポリエーテル系化合物を塗布することが一般に行わ
れている。この場合、磁気ヘッドとの摺動特性は、塗布
された潤滑剤の保護膜表面への付着状態,付着量等によ
って大きく変化する。また安定した潤滑特性を得るに
は、磁気記録媒体表面への潤滑剤の吸着力を高めること
が重要になっている。また、経時的にこれらの潤滑特性
を長く保つ必要がある。
【0004】このため、潤滑剤として市販の潤滑剤の末
端部分を保護膜と強く結合するような官能基にするなど
潤滑剤の分子構造を主体とする改良が行われてきた。例
えば特開平4−95217号公報,特開平3−222114 号公報,
特開昭64−9961号公報等に記載のフッ素系化合物はパー
フロロポリエーテル鎖の末端にディスク表面と吸着する
極性基を導入したものである。
【0005】またその他にもディスク表面との吸着力を
強化する方策として、例えばアルキルシランをポリマー
化する方法(特開平2−103721 号公報,特開平2−10372
2 号公報等)や、フッ素系化合物の官能基にディスク表
面と反応し固着するシランカップリング基を導入する方
法(特開昭63−225918号公報,特開昭64−56688 号公報
等)が提案されている。
【0006】しかしながら、近年の記録密度の増大など
に伴って、低浮上性を満足しつつ今まで以上の摺動信頼
性を得るためには、更に優れた摺動特性が要求されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】近年、磁気ディスクの
小径化や面記録密度を高めるためにヘッドの低浮上量化
が求められており、近い将来極低浮上領域あるいは浮上
量がゼロのコンタクトレコーティングになることは必至
な状況にある。この様な領域では、必然的に摺動条件は
過酷になり、潤滑膜にはディスク起動中に発生する動摩
擦力や摩耗の低減(以後、連続摺動耐久性と略称)が強
く求められていると同時に、ディスクの表面を平滑化し
て低浮上時にも損傷を生じないような対応が次第になさ
れてきている。
【0008】現在のcontact start stop (CSS)方式
の磁気ディスク装置では、起動・停止時にヘッドとディ
スク間で直接接触状態にある。この際にディスクが平坦
すぎると、ヘッドとディスクとの間に潤滑剤の表面張力
によるマイクロメニスカスが形成されて強固に粘り付く
現象、即ち粘着が起こり大きな問題となる。このため低
粘着性が要求され、前述の連続摺動耐久性と併せて高性
能潤滑膜が要求される。
【0009】しかし、低粘着性と連続摺動耐久性は、潤
滑膜の構造や構成する材料の面で一般に相反する関係に
あり、従来の単一成分潤滑剤を単に塗布し構成された潤
滑膜ではこれらの特性の両立は困難である。例えば潤滑
膜厚を厚くしていくと、連続摺動に非常に有効であるが
粘着が起こりやすくなり、あまり厚膜化できない。この
粘着の原因は、保護膜に吸着していない又は吸着が不十
分な潤滑剤(以後、フリー層と略称)がディスクとヘッ
ドとを密着させることが一因である。
【0010】このフリー層の粘着の度合いは潤滑剤の種
類によって異なる傾向にある。従って、前記の単一成分
で構成される潤滑膜の発明(特開平4−95217号公報,特
開昭64−9961号公報等)では、今後の磁気ディスクの潤
滑信頼性の確保が困難である。また、それら要求特性に
加えて、転送速度を速めるためにディスク回転の高速化
が進められており、潤滑剤が飛散,揮散し膜厚が減少す
るスピンオフと呼ばれる現象が顕著となっていく。この
スピンオフを抑制するためには潤滑剤分子を基板と強固
に結合させる必要がある。ディスク表面との吸着力を強
化する方策としては、前記の単一成分で構成されるアル
キルシランをポリマー化する方法(特開平2−103721 号
公報,特開平2−103722 号公報等)が提案されている。
しかしながら、これらの方法による潤滑膜は、ポリマー
化されることにより分子の動きが抑制され、潤滑性が低
下する。
【0011】また、単一成分潤滑剤でも潤滑膜の塗布プ
ロセスを固定層とフリー層との2層に塗り分けることに
より潤滑膜の高性能化,多機能化する方法(特開平6−2
90455号公報等)が提案されている。しかし1層目
に高濃度の潤滑剤溶液を2層目に低濃度の潤滑剤溶液に
浸漬するだけの方法では2層目塗布時に1層目も溶解し
て低粘着化には困難に思われる。この他にも潤滑膜の高
性能化,多機能化する方法として、複数の潤滑剤を使用
した混合潤滑膜(特開平5−247483 号公報,特開平5−
230483号公報,特開平1−302529 号公報等)や複数の潤
滑剤を個々に積層した潤滑膜が提案されている。
【0012】しかし前者は溶剤に複数の潤滑剤を溶解さ
せるため化学安定性に問題があることや各潤滑剤が個別
の層を形成するのが難しいこと、後者は塗膜プロセスが
複雑であることや異種の潤滑剤を個々に積層するため各
潤滑溶液層を汚染し、常に安定して連続摺動特性と低粘
着性の両立した潤滑膜を作製するのは困難である。この
ように現在低粘着性と連続摺動耐久性の摺動特性並びに
スピンオフしない潤滑層を兼ね備えている高性能潤滑膜
とその形成方法がないのが現状である。
【0013】本発明の目的は、上記の問題を解決し、低
浮上量またはコンタクトレコーディングに対応した低粘
着性と連続摺動耐久性を有し、スピンオフしない潤滑層
を備えた高性能な潤滑膜を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに本発明は、下記一般式(化1),(化2)の極性基
【0015】
【化1】
【0016】
【化2】
【0017】(ここでR1,R2,R3 は、一価の残基、
m,nは、整数)を有するパーフロロポリエーテル系化
合物潤滑剤のいずれかを用い、潤滑剤塗布後加熱或いは
加熱後洗浄を施して、その後更に同じ潤滑剤を塗布する
ことによって同一潤滑剤で個別に層を形成し、保護膜表
面に強く吸着する層を増やすことと吸着力の弱いフリー
層を減らすことで、低粘着と連続摺動耐久性を両立した
高性能な潤滑膜を提供するものである。
【0018】前記潤滑膜の最下層は、加熱或いは加熱後
洗浄を施した層を、前記保護膜の最上層は加熱を施すか
或いは加熱を施さない層を配置することができる。加熱
温度は40℃〜150℃の範囲が望ましく、更には潤滑
膜の最下層は保護膜表面と強く吸着させる層を増やすた
めに80℃〜150℃で、最上層は保護膜もしくは潤滑
層との吸着力の弱いフリー層を減らすために40℃〜1
20℃が望ましいが、本発明はこれらに限定させるもの
ではない。
【0019】前記極性基を有するパーフロロポリエーテ
ル系化合物の具体的な構造例としては、
【0020】
【化3】
【0021】
【化4】
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】
【化9】
【0027】(ここでm,nは、整数)等があるが、本
発明はこれに限定されるものではない。また本発明に用
いる潤滑剤の分子量は好ましくは1500〜5000で
ある。潤滑剤の分子量が低分子量或いは高分子量すぎる
と、仮に潤滑膜の最下層を強固に形成しても連続摺動耐
久性又は低粘着の性能が低下するので、上記範囲内とな
るのが好ましい。
【0028】尚、本発明の製造方法に使用される溶剤と
しては、フッ素系溶剤が望ましい。例えばパーフロロヘ
キサンやウンデカフルオロモルホリンに代表される飽和
炭化フッ素化合物(例えば、住友スリーエム社製FC−
72,PF5020等),デカフロロペンタンに代表さ
れるハイドロフロロカーボン化合物(例えば、三井・デ
ュポンフロロケミカル社製バートレルXF等),ハイド
ロフルオロエーテル(例えば、住友スリーエム社製HF
E−7100等),パーフルオロエーテル(例えば、ア
ウジモント社製ZS70,アウジモント社製ガルデンS
V−80等)が挙げられる。
【0029】潤滑剤の洗浄は、ディスクを前記フッ素系
溶剤に所定の時間浸漬された状態で行う。この際ディス
クは静止又は揺動(上下動)させ、必要とあれば超音波
を用いた洗浄も構わない。
【0030】即ち、本発明の潤滑膜は、同一種類の潤滑
剤で構成され、個別に積層され二層以上の層を形成して
いる。この際少なくとも一層以上が加熱或いは加熱後洗
浄を施した潤滑層で、更に一層以上が加熱を施すか或い
は加熱を施さない層で形成されている。このように個別
に同一潤滑剤で積層することで保護膜表面に強く吸着す
る層を増やすこと吸着力の弱いフリー層を減らすことが
可能となり、潤滑膜のスピンオフを防ぐためではなく、
低粘着と連続摺動耐久性を両立でき、極低浮上あるいは
コンタントレコーディングにも対応した信頼性の高い磁
気ディスク並びに磁気ディスク装置を得ることが出来
る。
【0031】
【発明の実施の形態】(実施例1)表面を鏡面研摩した
3.5 インチのアルミ合金基板上にNiP下地膜10μ
m、Cr中間膜0.5μm 、Co−Cr−Pt60n
m、カーボン保護膜20nmを順に形成したスパッタ磁
気ディスクを準備した。なお、ディスク表面の面粗さは
中心線平均粗さでRa1.2nm である。次に下記構造
式に示すフッ素系潤滑剤(a)をフッ素系溶剤(住友3
M社製、PF5052)に0.1wt% の濃度で溶解さ
せた溶液(1)と溶剤PF5052に0.05wt% の
濃度で溶解させた溶液(2)を作製した。
【0032】
【化3】
【0033】(平均分子量4000) このフッ素系潤滑剤(a)は、極性の官能基を有するた
め、第1層並びに磁気ディスク表面に対しても吸着し易
い潤滑剤である。
【0034】上記スパッタ磁気ディスクに、まず溶液
(1)をディップ法により塗布した。次に前記塗布ディ
スクを150℃で2時間加熱処理した。その後、上記溶
剤のPF5052に一定時間浸漬した状態で超音波洗浄
をした後、低速で引き上げ、ディスク表面に吸着されて
いない或いは吸着力の弱いフリーなフッ素系潤滑剤
(a)を洗浄した。溶液(1)のディップ塗布の条件は
以下の通りである。
【0035】溶液中での滞留時間:180s 溶液からの引き上げ速度:2.0mm/s 溶液(1)の塗布後のフッ素系溶剤による洗浄条件は以
下の通りである。
【0036】フッ素系溶剤中での滞留時間:600s フッ素系溶剤からの引き上げ速度:1.0mm/s ここまでの工程でスパッタ磁気ディスク表面にはディス
ク表面と強固に吸着したフッ素系潤滑剤(a)のみで構
成された潤滑膜(第1層)が形成されている。第1層の
膜厚は、約1.4nm である。
【0037】次に第1層を形成している上記ディスクに
溶液(2)をディップ塗布した。塗布条件は以下の通り
である。
【0038】溶液中での滞留時間:180s 溶液からの引き上げ速度:1.0mm/s 以上の工程によりスパッタ磁気ディスク表面にはフッ素
系潤滑剤(a)で構成された第1層の潤滑膜上に同フッ
素系潤滑剤(a)で構成された第2層が積層されてい
る。この第2層の膜厚は約0.8nm である。フッ素系
化合物(a)で第1層と第2層からなる全潤滑膜厚は行
2.2nm である。
【0039】前記の第1層,第2層を有する潤滑膜を形
成したスパッタ磁気ディスクの連続摺動耐久性と低粘着
効果並びに耐腐食性や耐回転飛散性を確認するため、下
記の実験条件で測定を行った。図2(a),(b)に連続
摺動耐久性並びに粘着の測定装置の概要を示す。
【0040】測定する磁気ディスク5は、装置下部のモ
ーターと直結のスピンドル8に取り付け、ディスク押さ
え9で固定している。ヘッド・スライダー6は、ディス
クの回転方向と順方向にレール面が接するインラインタ
イプ(Al23TiC製20T)のものであり、ロードセル
10に接続されているアーム7に固定されている。ロー
ドセル10を固定しているステージ11は、半径方向に
移動可能であり、各トラックでの評価が可能である。モ
ーターを回転させることによりヘッド・スライダー6と
磁気ディスク5間で発生する摩擦力をロードセルで測定
する。
【0041】連続摺動耐久性の評価実験は、ヘッド・ス
ライダーをディスクに接触した状態で200k回まで連
続的に摺動させ、その間の最大動摩擦係数とディスクが
クラッシュする周回数を測定した。ディスクのクラッシ
ュは、潤滑膜の下地であるカーボン保護膜が完全に摩耗
し、磁性膜が露出した状態であり、クラッシュが発生す
ると目視で確認できる摺動痕が発生するので、そこまで
の周回数を測定し実験を中止した。なお、200k回以
下でディスクがクラッシュした場合の最大動摩擦係数
は、ディスクがクラッシュした周回数までの最大動摩擦
係数を採用した。測定は、ヘッドの押しつけ荷重5g,
ディスク回転数150rpm で行った。
【0042】粘着の測定は、ヘッド・スライダーとディ
スクを接触させた状態でディスクを低速で回転させ、回
転直後に発生する最大静止摩擦係数を測定した。測定条
件は、ヘッドの押しつけ荷重5g,ディスク回転数1rp
m で行った。
【0043】磁気ディスクの腐食はディスク表面に吸着
する水により発生することから、ディスク表面を撥水性
にすることにより腐食を防止できる。従って、耐腐食性
は水の接触角を測定することにより判定した。測定は、
純水を使用し、滴下後30秒後に測定した。
【0044】耐回転飛散性の評価実験は、潤滑膜を形成
したディスクを用いて潤滑剤のスピンオフの試験を行っ
た。試験は、塗布直後の膜厚を100%としてディスク
を80℃の雰囲気で7日間,7200rpm の回転数で回
転させ続けた後に、FT−IRスペクトルにて−CF2
− の伸縮振動バンドの強度の変化から潤滑膜厚の残存
率を求めた。
【0045】
【表1】
【0046】本実施例と同じ潤滑剤で同じ膜厚になるよ
うにディップ塗布して作製した比較例1と比較すると、
連続摺動耐久性,粘着いずれの評価試験においても本実
施例の方が優れた結果が得られた。特に粘着に関して比
較例1では、非常に高い最大静止摩擦係数を示してお
り、フリー層が多い膜構造の方が強い粘着を引き起こし
やすいことが判る。また、水の接触角についても本実施
例の方が高い値となっており、耐腐食性効果の高いこと
が判る。スピンオフ試験についても本実施例の方が非常
に高いことから、耐回転飛散性の効果も確認できた。こ
のように同じ潤滑剤を使用し同じ膜厚で比較すると本実
施例が優れていることが判る。
【0047】(実施例2)実施例1と同じスパッタ磁気
ディスクを準備した。次に下記構造式に示すフッ素系潤
滑剤(b)をフッ素系溶剤(三井・デュポンフロロケミ
カル社製バートレルXF)に0.08wt% で溶解させ
た溶液を作製し、実施例1と同条件でディップ塗布を行
い、110℃で2時間熱処理した後、第1層を形成し
た。第1層の膜厚は1.8nm である。
【0048】
【化4】
【0049】(平均分子量2000) 次に第1層を形成しているディスクに上記フッ素系溶剤
(バートレルXF)に0.05wt% で溶液させた溶液
を作製し実施例1と同条件でディップ塗布した。第2層
の膜厚は約0.4nm である。フッ素系化合物(b)で
第1層と第2層からなる全潤滑膜厚は約2.2nmであ
る。
【0050】本実施例で作製した潤滑膜の連続摺動耐久
性と粘着特性を実施例1と同様の手法で測定した。表1
に結果を示す。
【0051】本実施例と同じ潤滑剤で同じ膜厚になるよ
うにディップ塗布して作製した比較例2と比較すると、
連続摺動耐久性,粘着いずれの評価試験においても本実
施例の方が優れた結果が得られている。また、水の接触
角や耐腐食性効果も本実施例の方が優れている。
【0052】(実施例3)実施例1と同じスパッタ磁気
ディスクを準備した。次に下記構造式に示すフッ素系潤
滑剤(c)をフッ素系溶剤(住友スリーエム社製HFE
−7100)に0.2wt% の濃度で溶解させた溶液
(3)を作製した。
【0053】
【化5】
【0054】(平均分子量2000) さらに上記潤滑剤(c)を上記溶剤HFE−7100に
0.1wt% の濃度で溶解させた溶液(4)を作製し
た。
【0055】上記スパッタ磁気ディスクに、まず溶液
(3)をディップ法により塗布した。溶液(3)のディ
ップ塗布の条件は以下の通りである。
【0056】溶液中での滞留時間:180s 溶液からの引き上げ速度:2.5mm/s 次に前記塗布ディスクを110℃で2時間加熱処理し
た。その後、上記溶剤のHFE−7100に5分間浸漬
させた状態で静かに揺動(上下)をさせた後、低速で引
き上げ、ディスク表面に吸着されていない或いは吸着力
の弱いフリーなフッ素系潤滑剤(a)を洗浄した。
【0057】ここまでの工程でスパッタ磁気ディスク表
面にはディスク表面と強固に吸着したフッ素系潤滑剤
(c)のみで構成された潤滑膜(第1層)が形成されて
いる。第1層の膜厚は、約1.4nmである。
【0058】次に第1層を形成している上記ディスクに
溶液(4)をディップ塗布し、その後80℃で2時間加
熱処理を行った。塗布条件は以下の通りである。
【0059】溶液中での滞留時間:180s 溶液からの引き上げ速度:1.0mm/s この第2層の膜厚は約0.75nm である。フッ素系化
合物(c)で第1層と第2層からなる全潤滑膜厚は約
2.2nm である。
【0060】本実施例で作製した潤滑膜の連続摺動耐久
性と粘着特性を実施例1と同様の手法で測定した。表1
に結果を示す。
【0061】比較例3と比べて、本実施例の結果は、粘
着特性並びに連続摺動耐久性において優れており、耐腐
食性や耐回転飛散性も優れている。
【0062】(実施例4)実施例1と同じスパッタ磁気
ディスクを準備した。次に下記構造式に示すフッ素系潤
滑剤(d)を実施例3と同じフッ素系溶剤に同濃度で溶
解させた溶液を作製し、実施例3と同条件でディップ塗
布後、150℃で2時間加熱処理を行い第1層を形成し
た。第1層の膜厚は1.1nmである。
【0063】
【化7】
【0064】(平均分子量4000) 次にフッ素系潤滑剤(d)を実施例3の(4)溶液と同
じフッ素系溶剤に同濃度で溶解させた溶液を作製し、第
2層を形成した。第2層の膜厚は1.1nm である。フ
ッ素系化合物(c)で第1層と第2層からなる全潤滑膜
厚は約2.2nmである。
【0065】本実施例で作製した潤滑膜の連続摺動耐久
性と粘着特性を実施例1と同様の手法で測定した。表1
に結果を示す。比較例4と比較すると、連続摺動耐久
性,粘着特性,耐腐食性,耐熱飛散性とも本実施例の方
が優れている。
【0066】(実施例5)実施例1と同じスパッタ磁気
ディスクを準備した。次に実施例1の第1層と同じフッ
素系潤滑剤(a)の溶液を実施例1と同様、ディップ塗
布,加熱,洗浄し、第1層を形成した。第1層の膜厚は
1.4nmである。
【0067】次に第二層目はフッ素系潤滑剤(a)を用
い実施例3の(4)溶液と同濃度,同条件で塗布させ作
製し、その後110℃で2時間加熱処理を行って第2層
を形成した。第2層の膜厚は0.5nm である。更にフ
ッ素系潤滑剤(a)をフッ素系溶剤(PF5052)に
0.08wt% で溶解させた溶液を作製し、第2層まで
作製されたディスクをディップ塗布した。第3層の膜厚
は約0.5nm である。全膜厚は2.4nm である。
【0068】本実施例で作製した潤滑膜の連続摺動耐久
性と粘着特性を実施例1と同様の手法で測定した。表1
に結果を示す。
【0069】(比較例1)実施例1と同じフッ素系潤滑
剤(a)を実施例2と同じフッ素系溶剤(PF505
2)に0.1wt% の濃度で溶解させた溶液を作製し、
スパッタ磁気ディスクにディップ塗布し形成した。膜厚
は約2.2nm である。ディップ塗布の条件は以下の通
りである。
【0070】溶液中での滞留時間:180s 溶液からの引き上げ速度:1.0mm/s 実施例と同じ潤滑剤で作製した潤滑膜の連続摺動耐久性
と粘着特性,水の接触角を測定した。表1に結果を示
す。
【0071】(比較例2)実施例2と同じフッ素系潤滑
剤(b)をスパッタ磁気ディスクに、実施例2と同程度
の膜厚になるよう、ディップ塗布し形成した。膜厚は約
2.1nm である。ディップ塗布の条件は以下の通りで
ある。
【0072】溶液中での滞留時間:180s 溶液からの引き上げ速度:1.0mm/s 実施例と同じ潤滑剤で作製した潤滑膜の連続摺動耐久性
と粘着特性,水の接触角を測定した。表1に結果を示
す。
【0073】(比較例3)実施例3と同じフッ素系潤滑
剤(c)をスパッタ磁気ディスクに、実施例3と同じ溶
剤を用いて同程度の膜厚になるようにディップ塗布し
た。膜厚は約2.3nmである。ディップ塗布の条件は
以下の通りである。
【0074】溶液中での滞留時間:180s 溶液からの引き上げ速度:1.0mm/s 実施例と同じ潤滑剤で作製した潤滑膜の連続摺動耐久性
と粘着特性,水の接触角を測定した。表1に結果を示
す。
【0075】
【発明の効果】本発明により、磁気ディスク起動開始直
後に発生する最大静止摩擦力(粘着)と磁気ディスク起
動中に発生する動摩擦力,摩耗(連続摺動耐久性)の両
方を軽減でき、さらに耐腐食性効果が高く潤滑層のスピ
ンオフを防ぐことが可能な磁気ディスク並びに磁気ディ
スク装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による潤滑膜の断面模式図。
【図2】(a)及び(b)は潤滑膜の特性装置の概略断
面図及び平面図。
【符号の説明】
1…潤滑膜、2…第一層の潤滑層、3…第二層の潤滑
層、4…保護膜、5…磁気ディスク、6…ヘッド・スラ
イダー、7…アーム、8…スピンドル、9…ディスク押
さえ、10…ロードセル、11…ステージ、12…ジン
バル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 洋 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 庄司 三良 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 伊藤 豊 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 Fターム(参考) 4H104 BD06A CD04A LA03 PA16 QA15 5D006 AA01 AA06 DA03 FA00 FA02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性基板上に下地膜,磁性膜,保護膜,
    潤滑膜を順に形成してなる磁気ディスクにおいて、前記
    潤滑膜が下記一般式(化1),(化2)で表されるパーフ
    ロロポリエーテル系化合物の内の一種類から選択された
    潤滑剤で二層以上の潤滑層を個別に積層し、更に積層し
    た各潤滑層のうち少なくとも一つ以上の層が加熱或いは
    加熱後洗浄を施された潤滑膜で構成されていることを特
    徴とする磁気ディスク並びにその磁気ディスクを備えた
    磁気ディスク装置。 【化1】 【化2】 (ここでR1,R2,R3 は、一価の磁基、m,nは、整
    数)
  2. 【請求項2】非磁性基板上に下地膜,磁性膜,保護膜,
    潤滑膜を順に形成してなる磁気ディスクにおいて、前潤
    滑膜が下記一般式(化1),(化2)で表されるパーフロ
    ロポリエーテル系化合物の内の一種類から選択された潤
    滑剤で二層以上の潤滑層を個別に積層し、前潤滑膜の最
    下層の潤滑層が加熱或いは加熱後洗浄を施された潤滑層
    で構成されていることを特徴とする磁気ディスク並びに
    その磁気ディスクを備えた磁気ディスク装置。 【化1】 【化2】 (ここでR1,R2,R3 は、一価の残基、m,nは、整
    数)
  3. 【請求項3】非磁性基板上に下地膜,磁性膜,保護膜,
    潤滑膜を順に形成してなる磁気ディスクにおいて、前潤
    滑膜が下記一般式(化1),(化2)で表されるパーフロ
    ロポリエーテル系化合物の内の一種類から選択された潤
    滑剤で二層以上の潤滑層を個別に積層し、前潤滑膜の最
    下層の潤滑層が加熱或いは加熱後洗浄を施された潤滑層
    で、さらに前潤滑膜の最上層が加熱を施された潤滑層で
    構成されており、磁気ディスク起動開始時に磁気ディス
    クとヘッドスライダー間で発生する最大静止摩擦係数が
    2.0 以下で、かつ磁気ディスク起動中に磁気ディスク
    とヘッドスライダー間で発生する動摩擦係数が1.0 以
    下で耐摩耗性の効果の高いことを特徴とする磁気ディス
    ク並びにその磁気ディスクを備えた磁気ディスク装置。 【化1】 【化2】 (ここでR1,R2,R3 は、一価の残基、m,nは、整
    数)
  4. 【請求項4】非磁性基板上に下地膜,磁性膜,保護膜,
    潤滑膜を順に形成してなる磁気ディスクにおいて、前潤
    滑膜が下記一般式(化3)〜(化6)で表されるパーフ
    ロロポリエーテル系化合物の内の一種類から 【化3】 【化4】 【化5】 【化6】 (ここでm,nは、整数) 選択された潤滑剤で二層以上の潤滑層を個別に積層し、
    前潤滑膜の最下層の潤滑層が加熱或いは加熱後洗浄を施
    された潤滑層で構成されており、磁気ディスク起動開始
    時に磁気ディスクとヘッドスライダー間で発生する最大
    静止摩擦係数が2.0 以下で、かつ磁気ディスク起動中
    に磁気ディスクとヘッドスライダー間で発生する動摩擦
    係数が1.0 以下で耐摩耗性の効果の高いことを特徴と
    する磁気ディスク並びにその磁気ディスクを備えた磁気
    ディスク装置。
  5. 【請求項5】非磁性基板上に下地膜,磁性膜,保護膜,
    潤滑膜を順に形成してなる磁気ディスクにおいて、前潤
    滑膜が下記一般式(化3)〜(化6)で表されるパーフ
    ロロポリエーテル系化合物の内の一種類から 【化3】 【化4】 【化5】 【化6】 (ここでm,nは、整数) 選択された潤滑剤で二層以上の潤滑層を個別に積層し、
    前潤滑膜の最下層の潤滑層が加熱或いは加熱後洗浄を施
    された潤滑層で、さらに前潤滑膜の最上層が加熱を施さ
    れた潤滑層で構成されており、磁気ディスク起動開始時
    に磁気ディスクとヘッドスライダー間で発生する最大静
    止摩擦係数が2.0 以下で、かつ磁気ディスク起動中に
    磁気ディスクとヘッドスライダー間で発生する動摩擦係
    数が1.0以下で耐摩耗性の効果の高いことを特徴とする
    磁気ディスク並びにその磁気ディスクを備えた磁気ディ
    スク装置。
  6. 【請求項6】請求項1から5のいずれか1項記載におい
    て、該磁気ディスクの直径が88.9mm以下の磁気ディスク
    であることを特徴とする磁気ディスク並びにその磁気デ
    ィスクを備えた磁気ディスク装置。
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