JPH0827401A - しみ・あく止め用水性塗料組成物 - Google Patents

しみ・あく止め用水性塗料組成物

Info

Publication number
JPH0827401A
JPH0827401A JP16688694A JP16688694A JPH0827401A JP H0827401 A JPH0827401 A JP H0827401A JP 16688694 A JP16688694 A JP 16688694A JP 16688694 A JP16688694 A JP 16688694A JP H0827401 A JPH0827401 A JP H0827401A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
anionic
functional group
examples
paint
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP16688694A
Other languages
English (en)
Inventor
Mikio Yoshikawa
幹男 吉川
Hisatsuru Hamada
弥鶴 浜田
Fumito Mitani
文人 三谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Suzuka Fine Co Ltd
Original Assignee
Suzuka Fine Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Suzuka Fine Co Ltd filed Critical Suzuka Fine Co Ltd
Priority to JP16688694A priority Critical patent/JPH0827401A/ja
Publication of JPH0827401A publication Critical patent/JPH0827401A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】水性エマルション塗料であって、十分なしみ・
あく止め効果を発揮でき、しかも塗料としての使用性の
良好な塗料組成物を提供する。 【構成】両イオン性の水性エマルションを用いることを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、被塗装面上の油煙、
手垢、煙草のやに等の汚染物が塗膜形成時に塗膜表面に
移行すること(以下、単にブリードともいう。)を防止
することができるしみ・あく止め用水性塗料組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】通常、室内の壁面や天井等は、作業時の
塗料の取扱い、作業環境の観点、臭気等の点から、水性
のアニオン性エマルションをバインダーとして用いる水
性塗料で塗装されることが多く、これらの壁面等の塗り
替え時にも、同様の理由からアニオン性の水性エマルシ
ョン塗料が利用されることが多い。
【0003】一方、塗り替えしようとする壁面等は、油
煙、手垢、煙草のやに等による汚染物が付着しているこ
とが多い。また、学校などにおいては、水性マーキング
ペン、油性マーキングペンなどの汚れが付着している場
合もある。
【0004】しかし、これらの汚染物質は、水溶性また
は水分散性のものがほとんどであるため、水性エマルシ
ョン塗料を塗布すると、汚染物質が塗膜表面に移行する
いわゆるブリードが生じ、良好な塗り替え面を得るのが
困難であった。そこで、このブリードを防止するため
に、以下の方法が提案されている。
【0005】前記汚染物質は水溶性又は水分散性のも
のがほとんどであるため、溶剤系塗料を塗装すれば、ブ
リードを防止することができる。しかし、溶剤系塗料を
使用するためには、有機溶剤による危険性や臭気等によ
る作業環境の悪化が問題となる。
【0006】カチオン性水性エマルションをバインダ
ーとする塗料を用いる方法 前記汚染物質は、通常アニオン性に帯電しているため、
カチオン性エマルションをバインダーとすることで、汚
染物質をイオン吸着により捕捉して、塗膜表面への移行
を妨げることができる。したがって、汚染物質のブリー
ド止めには優れた効果がある(特公昭63−35184
号公報参照)。しかし、カチオン性であるため、通常用
いられるアニオン性のカラーペーストを混合できず、事
実上着色が困難となる。また、汎用的に使用されている
アニオン性水性塗料との混合もできない等、使用上の制
限が多くなる。さらに、塗料製造時において、アニオン
性の分散剤、増粘剤、体質顔料などが使用できず、製造
設備もアニオン性水性塗料と区別する必要がある。一
方、建物内部の塗り替えに際しては、特に、カチオン性
エマルションを用いた水性塗料では、一般にアミン臭な
どの特有の不快臭が問題となる。
【0007】アニオン性常温架橋型エマルションをバ
インダーとする塗料を用いる方法 特開平5−43821号公報に報告されるように、水性
塗料のバインダーとしてアニオン性の常温架橋型エマル
ションを用いることで、緻密かつ剛直な塗膜を形成し汚
染物質のブリードを防ぐ方法が示されている。しかし、
この方法では、塗料に無機質充填材を添加したり、塗装
する下地の状態などにより十分に緻密な塗膜が得られな
い場合が多く、汚染物質のブリード止め効果は不十分で
あった。このように、これらのいずれの方法も、それぞ
れ不都合を有していた。
【0008】そこで、本発明は、作業環境の確保等の点
において優れる水性エマルションバインダーとして用い
る塗料(以下、単に「水性エマルション塗料」とい
う。)であって、十分なブリード止め効果を発揮でき、
しかも塗料としての使用性の良好な塗料組成物を提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために、本発明者らは、水性エマルション塗料のバイン
ダーとしてアニオン性とカチオン性の両方の性質を併せ
持つ両イオン性の水性エマルションを用いることによ
り、アニオンに帯電する汚染物質を捕捉し、一方では、
カラーペースト及びアニオン性の水性塗料との相容性を
確保できることを見いだし、本発明を完成した。すなわ
ち、請求項1の発明は、両イオン性の水性エマルション
を用いることを特徴とするしみ・あく止め用水性塗料組
成物を手段とする。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。前記両イ
オン性の水性エマルションとは、水を分散媒体とする乳
化重合によって得られる合成樹脂エマルションであっ
て、分散される樹脂及び/又は乳化剤が少なくともカチ
オン性及びアニオン性の官能基を有するものをいう。す
なわち、水に分散される樹脂がカチオン性及びアニオン
性の官能基を有する場合、樹脂と乳化剤の双方がいずれ
もカチオン性及びアニオン性の官能基を有する場合、樹
脂が一方の官能基を有し、乳化剤が他方の官能基を有す
る場合、乳化剤がカチオン性及びアニオン性の官能基を
有する場合があり、これらのいずれの場合でも、両イオ
ン性の水性エマルションとなる。
【0011】ここに、アニオン性官能基は、アニオン性
乳化剤、又は、乳化重合の際に、重合可能なアニオン性
モノマーを用いることにより導入できる。アニオン性乳
化剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸
塩、アルキルジスルホン酸エーテル等を例示できる。ま
た、重合可能なアニオン性モノマーとしては、スチレン
スルホン酸塩、ビニルスルホン酸塩、エチレン性不飽和
カルボン酸塩等を例示できる。乳化剤又は重合若しくは
共重合されて樹脂に付与されたアニオン性官能基は、水
性エマルションや塗料中において解離状態で存在され
る。したがって、カラーペースト及びアニオン性の水性
塗料との混合性が確保され、また、アニオン性塗料の製
造設備を使用できる。
【0012】カチオン性官能基は、カチオン性乳化剤、
又は、乳化重合の際に、重合可能なカチオン性モノマー
を用いることにより導入できる。カチオン性乳化剤とし
ては、アルキルアンモニウム塩等を例示できる。重合可
能なカチオン性モノマーとしては、ジメチルジアリルア
ンモニウム塩、ジエチルアミノエチルメタクリレート、
ジメチルアミノエチルメタクリレート等を例示できる。
乳化剤又は重合若しくは共重合されて樹脂に付与された
カチオン性官能基は、少なくとも塗膜においては解離状
態で存在され、アニオン性に帯電した汚染物質を捕捉す
る。なお、製造時及び塗装時の臭気低減の点から、上記
ジメチルジアリルアンモニウム塩等の第4級アンモニウ
ム塩を主体に用いることが好ましい。また、乳化剤とし
ては、両性界面活性剤の使用も可能であり、アルキルジ
メチルベタイン等を例示できる。
【0013】このように、本発明の塗料組成物は、アニ
オン性官能基とカチオン性官能基の解離により、アニオ
ンが塗料の使用性を確保し、カチオンが汚染物質を捕捉
するというそれぞれ異なる2つの作用を有するものであ
る。
【0014】したがって、重合樹脂に付与するカチオン
性官能基とアニオン性官能基、また、乳化剤により導入
するカチオン性官能基とアニオン性官能基を適宜組み合
わせることにより、カチオン性官能基とアニオン性官能
基とを有し、カチオン性官能基により塗膜中において汚
染物質を捕捉機能を有し、アニオン性官能基により塗料
製造設備の使用性とともにカラーペースト及び他のアニ
オン性水性塗料との混合使用性が確保された塗料を提供
することができる。
【0015】本発明においては、さらに、ノニオン性の
乳化剤やノニオン性の重合可能なモノマーを使用するこ
ともできる。さらに、ヒドロキシエチルセルロース、ポ
リビニルアルコール等の保護コロイドを適宜使用するこ
ともできる。
【0016】本発明における水性エマルションは、公知
の乳化重合法によって得られる。すなわち、スチレン、
メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、
アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエ
ステル等のエチレン性不飽和モノマーと、必要に応じて
ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン等の架橋剤と前
記乳化剤又は共重合可能な官能性モノマーとを、過硫酸
塩、過酸化物等の開始剤とともに、反応器に一括して仕
込んで又は滴下して得られる。
【0017】
【作用】請求項1の発明では、水性エマルション中のカ
チオン性官能基は、塗膜において解離状態で存在して、
アニオン性に帯電する汚染物質を捕捉し、汚染物質の塗
膜表面への移行を防止する。水性エマルションにおける
アニオン性官能基は、水性エマルションや塗料中で解離
状態で存在して、アニオン性を有する汎用の塗料材料や
アニオン性のカラーペースト等を添加した場合にこれら
のアニオン性材料との相容性を確保する。また、アニオ
ン性官能基を含むため、水性エマルションや塗料の製造
段階においてアニオン性塗料の製造設備が使用可能であ
る。
【0018】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、両イオ
ン性の水性エマルションを用いるため、塗膜における汚
染物質の捕捉と同時に、良好な使用性を確保して、汚染
物質のブリードのない外観の良好な塗装面を得ることが
できる。また、水性であるため、塗装時の作業環境を損
なわずに建物内部の塗り替えが可能である。
【0019】
【実施例】以下に、本発明を具体化した実施例について
説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定される
ものではない。 〔実施例1ないし4〕表1に示す組成の水性エマルショ
ンa〜dに後述する顔料ペーストを混合して実施例1〜
4の塗料を調製した。以下に実施例1〜4の塗料の製造
方法について説明する。
【0020】水性エマルションの組成及び調製方法 水性エマルションは、表1に示す組成により、公知の乳
化重合法によって調製した。すなわち、温浴中に設置さ
れ、撹拌翼、温度計及び寒流冷却器を内部に備えた三つ
口フラスコ製反応器(容量:2リットル)中に、表1の
各組成のモノマー及び乳化剤をこれらの純分の合計が5
0重量%となる量の純水とともに加える。この反応液の
温度が70℃に達した時に過硫酸カリウムを0.6部加
えて、さらに80℃まで加熱した後、約5時間反応液の
温度を80℃に保った後、冷却した。その後、アニモニ
アを用いてpH7.5〜8.0に調整し、濃度が49.
2〜49.6重量%の水性エマルションa〜dを得た。
【0021】さらに、比較対照するために、表1に示す
組成以外は、実施例1〜4と同様に製造して比較例1及
び2のエマルションe及びfを得た。
【0022】
【表1】 1)商品名 エマールO(花王製(株)) 2)商品名 コータミン24P(花王製(株)) 3)商品名 エマルゲン950 (花王製(株))
【0023】水性塗料の調製 次に、で調製した水性エマルションa〜fを用いて実
施例1〜4及び比較例1並びに2の水性塗料を調製し
た。まず、水性エマルションa〜fをビヒクルとして配
合する顔料ペーストを、表2の組成に基づいて配合し、
撹拌機にて撹拌して調製した。
【0024】
【表2】 1)商品名 チタンR930 石原産業(株)製 2)商品名 NS100 日東粉化工業(株)製 3)商品名 アデカコールW287 旭電化(株)製 4)商品名 エマルゲン910 花王(株)製 5)商品名 フジケミHEC AG15F フジケミカル(株)製 6)商品名 SNデフォーマー371 サンノプコ(株)製
【0025】得られた顔料ペースト500重量部に対し
て、で調製した水性エマルションa〜fを340重量
部を加えて混合し、約1000rpmで5〜10分間撹
拌した後、造膜助剤としてキョーワノールM(共和発酵
(株)製)10重量部を徐々に加えて、さらに10〜2
0分間撹拌して実施例1〜4及び比較例1並びに2の水
性塗料を得た。なお、実施例1〜4及び比較例1及び2
の水性塗料における顔料容積濃度(乾燥した膜の容積に
占める顔料の割合:pigment volume c
oncentration、以下単にPVCという。)
は、いずれも45体積%であった。
【0026】ここに、一般市販品との比較のため、水性
塗料であるアニオン性合成樹脂エマルション塗料(商品
名AEP6000 スズカファイン(株)製 JIS
K5663 1種適合品)及びカチオン性下塗り材(商
品名シミノン、スズカファイン(株)製)を比較例3及
び4として選択した。
【0027】水性塗料の特性試験 上記した実施例1〜4及び比較例1〜4について、以下
の各項目につき、試験を行った。以下に試験項目及び試
験方法並びに評価基準について説明する。
【0028】1.ブリード止め効果 i)試験方法 (a)試験板 4×300×150mmのフレキシブル板(JIS A
5403適合品)にAEP6000白(比較例3の水性
塗料)を刷毛で2回塗布し、十分乾燥させて試験板Aと
するとともに、同一のフレキシブル板でAEP6000
白未塗装のものを試験板Bとした。
【0029】(b)汚染物質 汚染物質として、ニコチン抽出液、水性マーキングペン
黒(JIS S6037適合品)、油性マーキングペン
黒(JIS S6037適合品)、コーヒー抽出液、ソ
ースを選択した。なお、ニコチン抽出液は、乾燥したた
ばこの葉50gにメタノール500ccを加え、一昼夜
室温に放置して得た。
【0030】(c)汚染板の調製 前記試験板A及びBに上記汚染物質をそれぞれ塗布し、
室温で乾燥させた汚染板A及びBを調製した。
【0031】(d)汚染板の塗装試験 イ)重ね塗りした場合のブリード止め効果 汚染板A及びBに実施例1〜4及び比較例1〜3の水性
塗料を、以下の条件で塗り付け、目視にて汚染物質のブ
リード状態を判定した。なお、本試験による汚染板Aの
塗装状態の一例を図1に示す。塗装条件 塗り付け量 約150g/m2 ・1回 塗り回数 2回(刷毛) 乾燥 室温、24時間
【0032】ロ)下塗りとして使用した場合のブリード
止め効果 汚染板A及びBにそれぞれ25%希釈した実施例1〜
4、比較例1及び2の水性塗料と10%希釈した比較例
4の水性塗料を以下の条件で下塗りとして塗り付け、さ
らに、上塗りとしてAEP6000白(比較例3の水性
塗料)を塗り付け、目視にて汚染物質のブリード状態を
判定した。なお、本試験による汚染板Aの塗装状態の一
例を図2に示す。 塗装条件 下塗り 塗り付け量 約140g/m2 ・1回 塗り回数 1回(刷毛) 乾燥 室温、3時間 上塗り 塗り付け量 約150g/m ・1回 塗り回数 2回(刷毛) 乾燥 室温、24時間
【0033】 ii)評価基準 試験結果 判 定 ブリードをほとんど認めない ◎ 若干のブリードを認めるが実用上問題がない程度 ○ かなりのブリードが確認できる △ 全面にブリードが見られ塗装面の変色が著しい ×
【0034】2.臭気 i )試験方法 実施例1〜4及び比較例1〜3の水性塗料を被検者10
人により臭気判定の試験を実施した。 ii)評価基準 試験結果 判 定 0〜2人が異臭と感じる ○ 3〜6人が異臭と感じる △ 7人以上が異臭と感じる ×
【0035】3.貯蔵安定性 i)試験方法 実施例1〜4及び比較例1〜3の水性塗料を50℃で1
4日間加温し、加温前後の粘度を比較した。なお、粘度
計は、B型粘度計(形式B8H、株式会社東京計器製)
を用いた。 ii)評価基準 試験結果 判 定 粘度の上昇が10%未満 ○ 粘度の上昇が10以上40%未満 △ 粘度の上昇が40%以上 ×
【0036】4. カラーペースト添加安定性 i )試験方法 一般市販用アニオン性カラーペーストであるディスパー
スSDカラー(大日本インキ化学工業(株)製)、イン
ターナショナルカラー(インターナショナルペント
(株)製)、コベックエマルションカラー(吉野理化工
業(株)製)の3種類を下記の混合比で予め混合したも
のを、実施例1〜4及び比較例1〜3に3%添加してそ
れぞれカラーペースト添加塗料とし、20℃で24時間
放置し、加温前後の粘度を測定した。評価は、貯蔵安定
性の評価基準に準じて行った。
【0037】5.色分散性 i )試験方法 4.の試験で調製した実施例1〜4及び比較例1〜3の
カラーペースト添加塗料をガラス瓶にとり、ラボスター
ラで1500rpm で5分間撹拌した。撹拌前後のカラーペー
スト添加塗料をアート紙に125μmのアプリケータで
塗布し、24時間乾燥後、色差計で色差を測定した。 ii)評価基準 試験結果 判 定 ΔE が0.5 未満で目視でほとんど色差が認められない ○ ΔE が0.5 以上0.8 未満で目視で色差を確認できる △ ΔE が0.8 以上で目視で著しい色差が確認できる ×
【0038】6.カラーペースト添加後貯蔵安定性 i )試験方法 4.の試験で調製した実施例1〜4及び比較例1〜3の
カラーペースト添加塗料を50℃で14日間加温し、加
温前後の粘度を測定した。評価は、貯蔵安定性の評価基
準に準じて行った。
【0039】1.ブリード止め効果(イ)の試験結果を
表3に、ブリード止め効果(ロ)の試験結果を表4に示
し、2.臭気から6.カラーペースト添加後貯蔵安定性
の試験結果を表5に示す。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】以下、表3及び表5の結果について説明す
る。表3の結果から明らかなように、重ね塗りに用いた
場合、実施例1〜4についての汚染物質のブリード止め
効果は良好であった。また、表5から、臭気、貯蔵安定
性、カラーペースト添加安定性、色分散性、カラーペー
スト添加後貯蔵安定性のいずれにおいても良好な結果を
得ることができた。実施例1及び実施例4は、樹脂を構
成するモノマー及び乳化剤の双方においてカチオン性官
能基を有しており、多様な汚染物質に対して非常に良好
なブリード止め効果を発揮した。また、同様に、モノマ
ー及び乳化剤の双方にアニオン性の官能基を有するた
め、貯蔵安定性、カラーペースト添加安定性、色分散
性、カラーペースト添加安定性に優れていた。
【0044】特に、実施例1及び実施例4の水性塗料
は、実施例2〜3の塗料と比べてより良好なブリード止
め効果を発揮していた。これは、水性エマルションa及
びbにおける共重合樹脂、この重合樹脂に付与された官
能基及び乳化剤により導入された官能基の配合におい
て、カチオン基の全体量が多いことによる。
【0045】実施例2では、乳化剤においてカチオン性
官能基とアニオン性官能基の双方を水性エマルションに
導入したものである。乳化剤におけるカチオン性官能基
のみによって各種汚染物質に対して良好なブリード止め
効果を発揮するとともに、乳化剤中のアニオン性官能基
のみで貯蔵安定性、カラーペースト安定性、色分散性及
びカラーペースト添加後貯蔵安定性が確保されていた。
【0046】実施例3の水性塗料では、共重合樹脂にお
いてカチオン性官能基とアニオン性官能基の双方とを併
せ持つことにより、両イオン性の水性エマルションを形
成している。表3の結果より、共重合樹脂の構成成分た
るカチオン性官能基のみで、各種汚染物質に対する良好
なブリード止め効果を発揮していた。また、同様に共重
合樹脂中のアニオン性官能基によって各種安定性等が確
保されていた。すなわち、特に乳化剤でイオン性官能基
を導入しなくても、共重合樹脂に付与した官能基のみに
よってブリード止め効果と各種安定性等を発揮できる。
【0047】これに対し、比較例1においては、共重合
樹脂中と乳化樹脂中にアニオン性官能基を有するため、
貯蔵安定性等には優れるが、ブリード止め効果は不十分
であった。また、比較例2においては、共重合樹脂と乳
化剤中にカチオン性官能基を有するため、ブリード止め
効果はほぼ良好であったが、臭気、安定性等が不良であ
り、作業時の規制や、使用用途の制限が必要となる。さ
らに、従来からのアニオン性の水性塗料であり、試験板
の調製にも用いた比較例3においては、臭気や安定性等
には優れるが、ブリード止めには有効でなかった。
【0048】さらに、実施例1〜4において、試験板A
と試験板Bとの間では、ブリード止め効果の相違はほと
んどなかった。したがって、塗装された壁面にはもちろ
んのこと、非塗装壁面についても、実施例1〜4の水性
塗料は有効にブリード止め効果を発揮することが明らか
であった。また、塗装された壁面において、一部非塗装
部分があっても、確実にブリード止め効果を発揮でき
た。
【0049】次に、表5の結果から明らかであるよう
に、実施例1〜4では、共重合樹脂に付与するカチオン
性官能基は、第4級アンモニウム基であるジメチルジア
リルアンモニウム基であるため、ほとんど臭気はなく、
塗料製造時や、重ね塗り及び下塗りにおいて作業時の良
好な環境を確保でき、また塗膜からの臭気もないため、
塗膜乾燥後に不快臭がない。したがって、室内における
塗装作業に適するとともに、塗装後の建物内部の不快臭
もないため、塗装後の居住に差し障りなく、短期間での
作業が要求される室内の塗り替えに特に適する塗料とな
っている。
【0050】次に、表4の結果について説明する。表4
に示すように、実施例1〜4の水性塗料を下塗りとして
使用した場合のブリード止め効果は、いずれも良好であ
った。すなわち、実施例1の塗料にあっては、各種汚染
物質に対して、一回の下塗りの塗膜において、ブリード
止め効果を発揮し、上塗りであるAEP6000(比較
例3の水性塗料)の塗膜表面において、汚染物質の移行
が防止されていた。実施例2〜4においても同様に、下
塗り塗膜において、ブリード止め効果を発揮しており、
ブリード止め効果のないアニオン性の水性塗料であるA
EP6000を上塗りしても十分にブリード止め効果を
発揮できることが明らかとなった。
【0051】また、表4の結果から、実施例1〜4にお
いては、下塗りとして使用した場合、従来よりブリード
止め効果の明らかなカチオン性水性塗料の比較例2及び
4と同等以上のブリード止め効果を発揮しうることが明
らかとなった。すなわち、塗料の調製段階においてはア
ニオン性塗料として使用性を維持しつつ、塗膜形成時に
おいては、カチオン性官能基によるアニオン帯電性の汚
染物質捕捉効果を有する塗料となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】汚染板Aを水性塗料を重ね塗りした場合の塗装
状態を示す断面図である。
【図2】汚染板Aに水性塗料を下塗りとして用いた場合
の塗装状態を示す断面図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】両イオン性の水性エマルションを用いるこ
    とを特徴とするしみ・あく止め用水性塗料組成物。
JP16688694A 1994-07-19 1994-07-19 しみ・あく止め用水性塗料組成物 Pending JPH0827401A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16688694A JPH0827401A (ja) 1994-07-19 1994-07-19 しみ・あく止め用水性塗料組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16688694A JPH0827401A (ja) 1994-07-19 1994-07-19 しみ・あく止め用水性塗料組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0827401A true JPH0827401A (ja) 1996-01-30

Family

ID=15839448

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16688694A Pending JPH0827401A (ja) 1994-07-19 1994-07-19 しみ・あく止め用水性塗料組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0827401A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0974628A3 (en) * 1998-05-29 2001-08-22 SESTRIERE VERNICI S.r.l. Universal water-dispersible pigmented pastes, zero V.O.C.
KR100401114B1 (ko) * 1999-11-24 2003-10-10 엄정철 수성페인트조성물
JP2007246677A (ja) * 2006-03-15 2007-09-27 Dainippon Toryo Co Ltd 水性塗料用樹脂組成物

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0974628A3 (en) * 1998-05-29 2001-08-22 SESTRIERE VERNICI S.r.l. Universal water-dispersible pigmented pastes, zero V.O.C.
KR100401114B1 (ko) * 1999-11-24 2003-10-10 엄정철 수성페인트조성물
JP2007246677A (ja) * 2006-03-15 2007-09-27 Dainippon Toryo Co Ltd 水性塗料用樹脂組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA1261523A (en) Washout resistant coatings
JPH08218037A (ja) 水性塗料組成物
JP3108442B2 (ja) 水性常乾架橋型塗料用樹脂組成物
JPH0827401A (ja) しみ・あく止め用水性塗料組成物
JP4370760B2 (ja) 速乾型水性被覆剤
JPH04370161A (ja) 建築内外装用エマルジョン塗料
JP2950495B2 (ja) 水性塗料用二酸化チタン顔料、水性塗料用二酸化チタン顔料の製造方法および水性塗料組成物
JP6859884B2 (ja) 多彩塗料組成物
JPH06211631A (ja) 水系美爪料
JP5219110B2 (ja) 水性塗料組成物
JPH05320563A (ja) 塗料組成物
JP5019349B2 (ja) 水性塗料用樹脂組成物
JP4055916B2 (ja) 水系塗料組成物及び汚染低減剤
JP3087113B2 (ja) 常温硬化性水性エマルジョン塗料
CN102702949A (zh) 水性涂料组合物
JP2008274084A (ja) 樹脂水性分散体
JP3179708B2 (ja) 塗料組成物
JPH07102191A (ja) 水性顔料組成物
JP2005211856A (ja) 親水性機能を担持した構造体
EP0798350B1 (en) Paint composition
JP7212278B2 (ja) 塗装方法及び下塗り塗料
JPH05156177A (ja) 被覆剤組成物
JPS6153388B2 (ja)
JP2018080297A (ja) 水性塗料組成物
JPH05320565A (ja) 水性被覆組成物