JP3179708B2 - 塗料組成物 - Google Patents

塗料組成物

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JP3179708B2 JP16526696A JP16526696A JP3179708B2 JP 3179708 B2 JP3179708 B2 JP 3179708B2 JP 16526696 A JP16526696 A JP 16526696A JP 16526696 A JP16526696 A JP 16526696A JP 3179708 B2 JP3179708 B2 JP 3179708B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は常温以下、特に低温ある
いは高湿度下において、速乾性,初期耐水性に優れ、高
光沢を有し、製造及び貯蔵安定性,塗装作業性に優れた
水系塗料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、速乾性水系塗料組成物は、その総
固形分を高め、界面活性剤,増粘剤等水溶性成分を極力
少なくする事及びメタノールのような低沸点アルコール
を多量に含有させ乾燥を速める方法が知られている。
又、特開平3−157463号に記載されているよう
な、乳化重合体,多官能性アミンおよび揮発性塩基を含
むものが知られていた。
【0003】しかし、前者の方法に於ては速乾性を十分
高める事が出来ず、塗装作業性,貯蔵安定性等の性能を
損ない易くなる。又、メタノール等低沸点アルコール類
を、その効果が発現するまでの量を添加した場合には、
消防法,労働安全衛生法に触れることになった。そして
後者の方法では、速乾性はあるものの光沢が不十分であ
り、より速乾性と優れた光沢を有する塗料組成物が望ま
れていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は光沢に優れ、
速乾性特に低温高湿下での乾燥性に優れた水系塗料組成
物を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明はアニオン性合成
樹脂エマルション、アミン官能基含有モノマーを少なく
とも20重量%含むモノマー混合物から形成された水溶
性または水分散性のポリマー、本質的に全ての多官能ア
ミンが非イオン性状態にある点まで組成物のPHを上昇
させるのに十分な量の揮発性塩基、揮発性塩基で中和さ
れたアニオン性顔料分散剤および顔料を含む塗料組成物
であって、PVCが30%以下であり、総固形分濃度が
40〜80重量%である塗料組成物に関する。
【0006】この明細書において「速乾性」とは、従来
の組成物と比較してより速やかに乾燥する性質をいう。
この明細書で用いられている「合成樹脂エマルション」
とは、例えば乳化重合のような常用の重合技術で製造す
ることができる水不溶性のポリマーを意味する。合成樹
脂エマルションは、塗布条件下でフィルムを形成する、
水不溶性のポリマーを生成させる任意のモノマー又はモ
ノマー混合物から重合される。
【0007】本発明の水性塗料組成物で使用される合成
樹脂エマルションは、アニオン性に安定化されているこ
とを必要とする。又、これらは例えば乳化重合のような
常用の重合技術で製造することができる水不溶性のポリ
マーを意味する。本発明はまたもっと複雑な形態、例え
ば芯−殻粒子のポリマーを用いても実施することができ
る。
【0008】合成樹脂エマルションのアニオン性は、幾
つかの方法により得られるが、最も一般的な方法は乳化
重合の際にアニオン性の界面活性剤を用する方法か、又
は重合後にそれら界面活性剤をエマルションに添加する
方法である。
【0009】非イオン性界面活性剤もこれらの陰イオン
的に安定化された合成樹脂エマルションの重合中又は重
合後に合成樹脂エマルションに存在していることができ
る。有用な界面活性剤としては:ナフテンスルホン酸と
低分子量のホルムアルデヒドとの縮合生成物、適正な親
水性−親油性バランスを持つカルボン酸ポリマー及び同
コポリマー,ラウリル硫酸ナトリウムのような高級アル
キルサルフェート,ドデシルベンゼンスルホネートのよ
うなアルキルアリールスルホネート,イソプロピルベン
ゼンスルホン酸又はイソプロピルナフタレンスルホン酸
のナトリウム塩又は同カリウム塩,ジオクチルスルホ琥
珀酸ナトリウムのようなスルホスクシネート,高級アル
キルスルホ琥珀酸アルカリ金属塩、例えばオクチルスル
ホ琥珀酸ナトリウム,ナトリウム N−メチル−N−パ
ムミトイルタウレート(palmitoyltaura
te),オレイルイセチオン酸ナトリウム,アルキルア
リールポリエトキシエタノール硫酸又は同スルホン酸の
アルカリ金属塩、例えば1〜5個のオキシエチレン単位
を有するt−オクチルフェノキシ−ポリエトキシエタノ
ール硫酸ナトリウムなどこの技術分野で周知の種々の陰
イオン界面活性剤がある。
【0010】アニオン性を有する合成樹脂エマルション
のもう1つのタイプは、ポリマーに少量の酸性基を含め
ることの結果として得られるものである。ここで、酸性
基は塩の形、例えばアルカリ金属塩又はアンモニウム塩
であることができる。このような酸性基の例は、組み込
まれた開始剤の断片,マレイン酸,ビニルスルホン酸,
クロトン酸,アクリル酸,メタクリル酸,イタコン酸等
に由来するものである。
【0011】アニオン性を有する合成樹脂エマルション
の第三の有用なタイプは、例えばアクリルアミド,メタ
クリルアミド等のような中和された塩基性モノマーを含
むラテックスポリマーである。合成樹脂エマルションの
アニオン性は、1つのタイプより多くてもよい。
【0012】アニオン性を有する合成樹脂エマルション
は、公知の方法で製造することができる。このような公
知の方法はワイレー社(Wiley)が1975年に刊
行した、D.C.ブラックレイ(D.C.Blackl
ey)著、「乳化重合:理論と実際(Emulsion
Polymerization:Theory an
d Practice)」及びインターサイエンス パ
ブリシャーズ社(Interscience Publ
ishers)が1965年に刊行したF.A.ボベー
(F.A.Bovey)等著、「乳化重合(Emuls
ion Polymerization)」等の、この
主題に関するテキストにおいて明らかにされている。
【0013】合成樹脂エマルションは、一般に、例えば
次のモノマー類から製造されたポリマー又はコポリマー
である:アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリ
ル酸ブチル,アクリル酸2−エチルヘキシル,アクリル
酸デシル,メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル,
メタクリル酸ブチル,スチレン,ブタジエン,エチレ
ン,酢酸ビニル,「バーサティック(Versati
c)」酸(鎖長C,C10及びC11の第三モノカル
ボン酸)のビニルエステル(このビニルエステルは「バ
ーサティック酸ビニル(vinyl versatat
e)」としても知られている),塩化ビニル,ビニルピ
リジン,塩化ビニリデン,アクリロニトリル,クロロプ
レン,アクリル酸,メタクリル酸,イタコン酸,マレイ
ン酸及びフマル酸,α、β−エチレン性不飽和モノマー
及びそれらのエステル、特にアクリル酸エステル及びメ
タクリル酸エステルのポリマー及びコポリマーが好まし
い。それらは、米国、ペンシルバニア州、フィラデルフ
ィアのローム アンド ハース社が1966年5月に刊
行した「アクリルモノマーの乳化重合(Emulsio
n Polymerization of Acryl
ic Monomers)」に示されるような公知の方
法で製造するのが好ましい。
【0014】アクリル酸エステル類として、アクリル酸
ブチル,メタクリル酸メチルおよびアクリル酸2−エチ
ルヘキシルを用い、アクリル酸類としては、アクリル酸
およびメタクリル酸を用い、さらにスチレンを用いたコ
ポリマーが好ましく使用される。合成樹脂エマルション
のTgは、好ましくは0℃〜70℃の範囲である。
【0015】本発明の塗料組成物は、アミン官能基含有
モノマーを少なくとも20重量%含むモノマー混合物か
ら形成された水溶性または水分散性のポリマーを含む。
【0016】アミン官能基を含有するモノマーとして
は、例えば以下のものがある。 1.アルキル基が直鎖型でも、或いは分枝鎖型でもよ
く、かつ2〜3個の炭素原子を有する、そして窒素原子
が第一窒素原子でも、第二窒素原子でも、或いは第三窒
素原子でもよいアミノアルキルビニルエーテルあるいは
同スルフィド(米国特許第2,879,178号明細
書)。
【0017】具体的な例として次のものがある:β−ア
ミノエチルビニルエーテル;β−アミノエチルビニルス
ルフィド;N−モノメチル−β−アミノエチルビニルエ
ーテル又は同スルフィド;N−モノエチル−β−アミノ
エチルビニルエーテル又は同スルフィド;N−モノブチ
ル−β−アミノエチルビニルエーテル又は同スルフィ
ド;及びN−モノメチル−3−アミノプロピルビニルエ
ーテル又は同スルフィド。
【0018】2.アクリルアミド又はアクリル酸エステ
ル、例えばジメチルアミノエチルアクリレート又は同メ
タクリレート;β−アミノエチルアクリレート又は同メ
タクリレート;N−β−アミノエチルアクリルアミド又
は同メタクリルアミド;N−(モノメチルアミノエチ
ル)−アクリルアミド又は同メタクリルアミドなどがあ
る。
【0019】3.N−アクリロキシアルキル−オキサゾ
リジン及びN−アクリロキシアルキルテトラヒドロ−
1,3−オキサジン、並びに「アルキル」結合がアルコ
キシアルキル及びポリ(アルコキシ−アルキル)で置換
されている、上記オキサゾリジン及びオキサジンに対応
する化合物。
【0020】この化合物の例に次のものがある:オキサ
ゾリジニルエチルメタクリレート;オキサゾリジニルエ
チルアクリレート;3−(γ−メタクリル−オキシプロ
ピル)−テトラヒドロ−1,3−オキサジン;3−(β
−メタアクリロキシエチル)−2,2−ペンタメチレン
−オキサゾリジン;3−β−メタアクリロキシエチル−
2−メチル−2−プロピルオキサゾリジン;N−2−
(2−アクリロキシエトキシ)エチル−オキサゾリジ
ン;N−2−(2−メタアクリロキシエトキシ)エチル
−オキサゾリジン;N−2−(2−メタアクリロキシエ
トキシ)エチル−5−メチル−オキサゾリジン;N−2
−(2−アクリロキシエトキシ)エチル−5−メチル−
オキサゾリジン;3−[2−(2−メタアクリロキシエ
トキシ)エチル]−2,2ペンタメチレン−オキサゾリ
ジン;3−[2−(2−メタアクリロキシエトキシ)エ
チル]−2,2−ジメチル−オキサゾリジン;及び3−
[2−(2−メタアクリロキシエトキシ)エチル]−2
−フェニル−オキサゾリジン。
【0021】4.加水分解でアミンを容易に生成させる
モノマーのポリマーは、アミン含有成分として、又はこ
のバインダー組成物のアミン含有成分のポリマーを生成
せさせるのに有用である。このようなモノマーの例はア
クリロキシ−ケチミン及び−アルジミンのようなもので
ある。
【0022】例示化合物は次の通りである:2−[4−
(2,6−ジメチルヘプチリデン)−アミノ]−エチル
メタクリレート;3−[2−(4−メチルペンチリジ
ン)−アミノ]−プロピルメタクリレート;β−(ベン
ジリデンアミノ−エチルメタクリレート;3−[2−
(4−メチルペンチリデン)−アミノ]−エチルメタク
リレート;2−[4−(2,6−ジメチルヘプチリデ
ン)−アミノ]−エチルアクリレート;12−(シクロ
ペンチリデン−アミノ)−ドデシルメタクリレート;N
−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−(2−メタク
リロキシエトキシ)−エチルアミン;N−(ベンジリデ
ン)−メタクリロキシエトキシエチルアミン;N−
(1,3−ジメチルブチリデン)−2−(2−アクリロ
キシエトキシ)−エチルアミン;及びN−(ベンジリデ
ン)−2−(2−アクリロキシエトキシ)エチルアミ
ン。
【0023】一般に、少なくとも20重量%の前記カテ
ゴリー1,2,3及び4のモノマーのアミン含有ポリマ
ーは、求められる特定のポリマーに依存して中性か、ア
ルカリ性か、又は酸性の水性媒体中での溶液重合により
得ることができる。一般的に言えば、この重合は少量の
有機又は無機の酸、例えば酢酸又は塩酸を含有する水性
媒体中で行われる。アミン含有ポリマーは最大で80重
量%の1種又は2種以上のモノマー、例えばアクリル酸
メチル,アクリルアミド,メタクリルアミド及びアミン
モノマー由来の4級アンモニウム塩、例えば2−メタク
リロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドとのコ
ポリマーを包含する。少量の比較的不溶性のコモノマー
も水溶性ポリマーを得るのに使用することができる。不
溶性ポリマーは、これらコモノマーをもっと大量に含有
していてもよい。このようなモノマーに、例えば(C
〜C18)アルコールとのアクリル酸エステル及び1〜
18個の炭素原子を有するアルコール、特に(C〜C
)アルカノールとのメタクリル酸エステル,スチレ
ン,ビニルトルエン,酢酸ビニル,塩化ビニル,塩化ビ
ニリデン,置換スチレン,ブタジエン,置換ブタジエ
ン,エチレン、並びにアクリル酸又はメタクリル酸のニ
トリル及びアミドがある。所定のアミン含有ポリマーを
製造する際に、使用される特定のモノマー又はモノマー
類はこのコポリマーを製造する際に、使用されるアミン
含有モノマーの割合に依存する。好ましくは、比較的高
い水中溶解度を有するコモノマーが、水溶性ポリマーを
製造するのに専ら使用される。これらのポリマーは、従
って陽イオン性の、及び所望によっては非イオン性のビ
ニルモノマーのポリマー又はコポリマーである。陽イオ
ン性モノマーの例は、アミン,イミン及び4級アンモニ
ウム塩である;記載された他のモノマーは非イオン性で
ある。従って、これらの水溶性コポリマーは、使用モノ
マー中の不純物に起因して、或いは合成,貯蔵又は使用
の際に起こる幾らかの加水分解に起因して、存在するだ
ろう痕跡量の酸基を除けば、それ以外の酸基は含有して
いない。
【0024】不溶性のアミン含有ポリマーの粘度平均分
子量は約5,000〜約100,000であり、そして
約15,000〜90,000の範囲が好ましい。水溶
性ポリマーの分子量は広い範囲に及ぶことができる。典
型的には、その粘度平均分子量は約5,000〜約30
0,000であり、そして約40,000〜約100,
000の範囲が好ましい。アミン含有ポリマーの量はア
ニオン性合成樹脂エマルション及びアミン含有ポリマー
の総重量の約0.1〜約20重量%の範囲である。
【0025】アミン含有ポリマーは、一般に、この技術
分野で一般的に知られている通り、例えば米国特許第
4,119,600号明細書に教示されているように、
求められる特定のポリマーに依存して中性か、アルカリ
性か、又は酸性の水性媒体中での溶液重合により得るこ
とができる。一般的に言えば、この重合は少量の有機又
は無機の酸、例えば酢酸又は塩酸を含有する水性媒体中
で行われる。アミン含有ポリマーは最大で80重量%の
1種又は2種以上のモノエチレン性不飽和モノマー、例
えばアクリル酸メチル,アクリルアミド及びメタクリル
アミドとのコポリマーを包含する。少量の比較的不溶性
のコモノマーも水溶性ポリマーを得るのに使用すること
ができる。不溶性ポリマーは、これらのコモノマーをも
っと大量に含有していてもよい。このようなモノマー
に、例として挙げると、(C〜C18)アルコールと
のアクリル酸エステル及び1〜18個の炭素原子を有す
るアルコール,特に(C〜C)アルカノールとのメ
タクリル酸エステル,スチレン,ビニルトルエン,酢酸
ビニル,塩化ビニル,塩化ビニリデン,置換スチレン,
ブタジエン,置換ブタジエン,エチレン、並びにアクリ
ル酸又はメタクリル酸のニトリル及びアミドがある。所
定のアミン含有ポリマーを製造する際に、使用される特
定のコモノマー又はコモノマー類は、このコポリマーを
製造する際に、使用されるアミン含有モノマーの割合に
依存する。これらのポリマーは、従って陽イオン性の、
及び所望によっては非イオン性のビニルモノマーのポリ
マー又はコポリマーである。陽イオン性モノマーの例
は、アミン及びイミンである;記載された他のモノマー
は非イオン性である。従って、これらの水溶性コポリマ
ーは使用モノマー中の不純物に起因して、或いは合成,
貯蔵又は使用の際に起こる幾らかの加水分解に起因して
存在するだろう痕跡量の酸基を除けばそれ以外の酸基は
含有しない。
【0026】アニオン性合成樹脂エマルション、アミン
官能基モノマーを少なくとも20重量%含むモノマー混
合物から形成された水溶性または水分散性のポリマー、
本質的に全ての多官能アミンが非イオン性状態にある点
まで組成物のPHを上昇させるのに十分な量の揮発性塩
基を含む組成物として、例えば商品名 E−2706
(ローム アンド ハース社製)を例示できる。
【0027】揮発性塩基 本発明の塗料組成物は揮発性塩基を必要とする。使用さ
れる揮発性塩基のタイプと量は、この組成物のPHをア
ミン含有ポリマーのアミン官能基が非イオン化(脱プロ
トン化)される点まで、典型的には少なくともPH5、
好ましくはPH7〜9まで上昇させて、この速乾性塗料
組成物中のアニオン的に安定化された合成樹脂エマルシ
ョン、その他のアニオン性成分との相互作用を避けるよ
うにするのに十分なものでなければならない。
【0028】塗布後に、揮発性塩基は蒸発し、組成物の
PHを下げる。組成物のPHがアミン官能基のプロトン
化が起こり始める点まで下がると、アミン官能基は陽イ
オン性となる。この速やかな乾燥は、陰イオン的に安定
化されたエマルションポリマーの存在下でのアミン官能
基の陽イオン状態へのこの転化によって開始されると考
えられるが、この速乾性を生む正確な機構は確立されて
おらず、従って本発明者はその速乾性を正確な機構の理
論で束縛するものではない。
【0029】適当な塩基には、限定する訳ではないが、
アンモニア,モルホリン,アルキルアミン,2−ジメチ
ルアミノエタノール,N−メチルモノホリン,エチレン
ジアミン及びそれらの混合物があり、好ましい塩基はア
ンモニアである。アミンと合成樹脂エマルション中の酸
との当量比は、好ましくはアミン/酸=0.5〜1.0
である。
【0030】本発明の塗料組成物には、揮発性塩基で中
和されたアニオン性界面活性剤を顔料分散剤として含有
する。この界面活性剤の添加量は、顔料を分散するに足
りる量であって、通常顔料に対し、その有効成分で0.
2〜1.0重量%である。揮発性塩基ではなく、ナトリ
ウム,カリウム等の金属塩で中和された界面活性剤が広
く知られているが、これらは塗装後の塗料組成物のPH
を速やかに低下させることを妨げ、アミン官能基のプロ
トン化の開始が遅れ、結果、乾燥性が損なわれるため好
ましくない。
【0031】揮発性塩基で中和されたアニオン性界面活
性剤として、商品名 オロタン901(ローム アンド
ハース社製),商品名 ポイズ532A(花王社製)
が例示できる。
【0032】好ましくは、本発明の塗料組成物は、高級
脂肪酸アミド縮合物系の非イオン性界面活性剤を塗料中
に0.5〜3.0重量%含有する。高級脂肪酸アミド縮
合物系非イオン界面活性剤は、湿潤剤として働き、塗料
の貯蔵安定性,製造安定性を向上させ、又、高光沢(6
0度鏡面光沢度で85以上,20度鏡面光沢度で60以
上)が得られ、かつ、速乾性を損なわない。添加量が
0.5重量%より少ないと貯蔵安定性に効果がなく、
3.0重量%より多いと塗膜の耐水性等の物性を悪くす
る。又、この分野で広く使用されている、高級アルコー
ル縮合物(ポリエチレンオキサイド・アルキルエーテ
ル),高級脂肪酸縮合物などのポリエチレンオキサイド
縮合型の非イオン性界面活性剤を使用した場合は、速乾
性が悪くなる。
【0033】本発明の塗料組成物は、さらに顔料を含有
する。顔料としては次のようなものがある。白色顔料と
して二酸化チタン,炭酸カルシウム,クレーがあり、着
色顔料として酸化鉄及び公知の有機系顔料も使用でき
る。又、二酸化チタン単独でも他の無機又は有機系顔料
との併用も何ら問題ない。
【0034】本発明の塗料組成物は、顔料体積濃度(P
VC)が30%以下であり、総固形分濃度が40〜80
重量%であることを要する。好ましくはPVCは、10
〜25%、最も好ましくは15〜22%であり、総固形
分濃度は、好ましくは50〜65重量%、最も好ましく
は55〜60重量%である。PVCが高すぎると光沢が
損なわれ、低すぎると隠ぺい力が低下する。また総固形
分濃度が高すぎると、作業性が悪くなり塗料の製造及び
塗布が困難となり、低すぎると速乾性及び光沢が得られ
なくなる。二酸化チタン単独よりも炭酸カルシウムとの
併用の方が速乾性の点で好ましい。この時の二酸化チタ
ンと炭酸カルシウムの混合割合は、重量割合において9
5:5〜70:30の中から選択するのが好ましい。
【0035】本発明の効果は、上記の要件の全てが満足
されたときに達成される。ただし、高級脂肪酸アミド縮
合物型の非イオン性界面活性剤を含ませること、あるい
は顔料として二酸化チタンおよび炭酸カルシウムを併用
することは、更なる効果を得る為の手段であり、絶対的
な必要条件ではない。本発明の塗料組成物は、上記以外
に低沸点アルコール類,増粘剤,粘性調整剤,消泡剤,
防腐剤,溶剤等のような常用の塗料成分も使用する事が
できる。
【0036】塗料化処方を表1に示す。
【表1】 比較例1 揮発性塩基以外で中和されたアニオン性界面
活性剤で塗料化した例。 比較例2 多官能性アミンを含有しないポリマーで塗料
化した例。 比較例3 高級脂肪酸アミド縮合物型ではない非イオン
界面活性剤を使用して塗料化した例。
【0037】表1中、オロタン901は、ロームアンド
ハース社の揮発性塩基で中和されたアニオン性界面活性
剤である。ノプコサントRFAは、サンノプコ社の揮発
性塩基で中和されたアニオン性界面活性剤である。ポイ
ズ532Aは、花王社の揮発性塩基で中和されたアニオ
ン性界面活性剤である。ノプコサント44Cは、サンノ
プコ社のナトリウム塩タイプのアニオン性界面活性剤で
ある。デヒドラン1620は、ヘンケル社の消泡剤であ
る。JR−600Aは、テイカ社の二酸化チタンであ
る。ルミナスは、丸尾カルシウム社の微粒炭酸カルシウ
ムである。E−2706は、前述にある合成樹脂エマル
ションである。モビニールM75は、ヘキスト合成社の
多官能性アミンを含有しない合成樹脂エマルションであ
る。モディコールNは、サンノプコ社の高級脂肪酸アミ
ド縮合物型非イオン界面活性剤である。エマルゲンL4
0Sは、花王社の非イオン性界面活性剤である。テキサ
ノールは、イーストマンコダック社の造膜助剤である。
RM2020は、ロームアンドハース社の粘性調整剤で
ある。
【0038】測定結果を表2に示す。
【表2】
【0039】経時増粘の評価方法:調整した塗料を50
℃の恒温槽に1週間放置し、粘度変化を確認した。評価
欄における◎印は、異常増粘がなく、調整粘度(25p
s〜45ps)に対して10%未満の変化であり、○印
は、調整粘度に対して10〜20%の増粘がみられ、△
印は調整粘度に対して20%を越える増粘があった。 光沢の測定方法:調整した塗料を6ミルのアプリケータ
を用いて、ガラス板上に塗布し、室温にて1週間乾燥さ
せ、光沢計により入反射角が60度と20度における反
射率を測定した。 乾燥性の評価:調整した塗料を5℃,85%RHの恒温
・恒湿槽に24時間以上静置した後、6ミルのアプリケ
ータを用いて、これも予め同条件にあったガラス板上に
塗布し、以下の基準により評価した。指触・半硬化・硬
化乾燥はJIS K5400の評価方法に準じた。耐水
乾燥は塗膜を30分間水中浸漬し、塗膜の流失が全くな
くなる状態とした。
【0040】
【発明の効果】この出願の請求項1の発明の塗料組成物
では、高光沢(60度鏡面光沢度で76以上,20度鏡
面光沢度で44以上)が得られ、常温(20℃)以下、
特に低温(5℃まで)あるいは高湿度(85%RHま
で)条件下での速乾性に優れ、製造安定性に問題なく、
塗装作業性が良好である。同様に請求項2の発明の塗料
組成物では、更に高光沢(60度鏡面光沢度で85以
上,20度鏡面光沢度で50以上)が得られ、貯蔵安定
性にも優れた組成物となる。また、請求項3の発明の塗
料組成物では、請求項1の組成物よりもより速乾性に優
れた組成物となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−145330(JP,A) 特開 平6−145590(JP,A) 特開 平9−279083(JP,A) 特開 昭61−106674(JP,A) 特公 昭53−1778(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 7/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アニオン性合成樹脂エマルション、アミ
    ン官能基含有モノマーを少なくとも20重量%含むモノ
    マー混合物から形成されたポリマー、本質的に全ての多
    官能性アミンが非イオン性状態にある点まで組成物のp
    Hを上昇させるに十分な量の揮発性塩基、揮発性塩基で
    中和されたアニオン性顔料分散剤および顔料を含む塗料
    組成物であって、PVCが30%以下であり、総固形分
    濃度が40〜80重量%であり、更に高級脂肪酸アミド
    縮合型の非イオン性界面活性剤を含むことを特徴とする
    塗料組成物。
  2. 【請求項2】 前記アニオン性顔料分散剤の添加量が
    0.2〜0.5重量部であることを特徴とする請求項1
    に記載の塗料組成物。
  3. 【請求項3】 前記顔料が二酸化チタンおよび炭酸カル
    シウムであることを特徴とする請求項1又は請求項2に
    記載の塗料組成物。
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