JPH08273256A - テープローディング機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】この発明は、広範囲なガイドレール軌跡の設計
自由度を実現し、さらに、テープへのダメージを防止で
き、構成全体の小型化を図り得るテープローディング機
構を提供することを目的としている。 【構成】メインベースにテープカセットの引き出し部か
ら磁気テープに対する回転ヘッドドラムへの所定の巻き
付け完了位置まで延在するように形成されたガイドレー
ルに、磁気テープを回転ヘッドドラムへの所定の巻き付
け完了位置まで搬送するガイドスライダを、１本のスラ
イダピンで摺動自在に支持し、このガイドスライダにア
ームの一端を回転方向の自由度を拘束して取り付け、複
数のアームを連接したリンク機構によって、ガイドスラ
イダをガイドレールに沿って駆動させるように構成され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明はテープ等の記録媒体に
対しヘッドを介して信号の記録再生を行なう記録再生装
置に係り、特にそのテープを回転ヘッドドラムに巻装す
るテープローディング機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】周知のように、例えばＶＴＲ（Video Ta
pe Recorder ）やＤＡＴ（Digital Audio Tape Recorde
r ）等のように、テープを記録媒体として信号の記録や
再生を行なう記録再生システムにあっては、回転ヘッド
ドラムに対してテープを巻装状態にするテープローディ
ング機構が備えられている。

【０００３】図１０は、このようなテープを回転ヘッド
ドラムに対して案内し、巻装状態とする従来のテープロ
ーディング機構を示している。すなわち、図中符号１１
は、メインベースで、供給リール１２、回転ヘッドドラ
ム１３及び巻き取りリール１４等が設置されている。こ
のうち、供給リール１２には、磁気テープ１５が巻回さ
れている。

【０００４】この供給リール１２から引き出された磁気
テープ１５は、テンションガイドポスト１６，回転ガイ
ド１７及びヘリカルガイドポスト１８等によって順次案
内された後、詳細は後述する回転ヘッドドラム１３の周
側面に所定の開角の範囲で巻装される。そして、この回
転ヘッドドラム１３を経由した磁気テープ１５は、ヘリ
カルガイドポスト１９，回転ガイド２０，ピンチローラ
２１及びガイドポスト２２等によって順次案内された
後、巻き取りリール１４に巻き取られる。

【０００５】ここで、図示しないテープカセットが所定
の位置に装填されると、テープローディングが開始され
る。図１１，図１２は、その様子を示す。まず、メイン
ベース１１には、長孔状のガイドレール１１ａ，１１ｂ
が形成されている。ガイドレール１１ａ，１１ｂは、そ
れぞれの一端がカセット配置位置におけるテープ引き出
し部にあり、他端が回転ヘッドドラム１３側の図中左と
右側にそれぞれ延在している。次に、ガイドレール１１
ａ，１１ｂには、それぞれガイドスライダ２３，２５が
取り付けられている。ガイドスライダ２３，２５は、ほ
ぼ対称であるため、一方のガイドスライダ２３側を説明
する。

【０００６】ガイドスライダ２３の下側には、２本のス
ライダピン２３ａ，２３ａが設けられ、これがガイドレ
ール１１ａに摺動自在に係合している。ガイドスライダ
２３の上側には、上記回転ガイド１７とヘリカルガイド
ポスト１８とが設けられている。他方のガイドスライダ
２５の上側にも、回転ガイド２０とヘリカルガイドポス
ト１９とが設けられており、その下側には２本のスライ
ダピン２５ａ，２５ａが設けられている。

【０００７】上記の構成により、磁気テープ１５のロー
ディング時には、ガイドスライダ２３，２５は、図１０
の状態から磁気テープ１５を引き出しながら、図１１の
状態を経由して、図１２の状態へ移動し、また、磁気テ
ープ１５のアンローディング時には、図１２の状態から
図１１の状態を経由して、図１０の状態へ移動する。ま
た、テープのアンローディング時には、供給リール１２
がリールモータにより回転され、磁気テープ１５を巻き
取るように制御される。

【０００８】さらに、テープローディング機構について
説明する。磁気テープ１５は、図１２に示すように、ガ
イドスライダ２３がガイドレール１１ａの先端に達する
につれて、回転ガイド１７及びヘリカルガイドポスト１
８に巻装された状態で、回転ヘッドドラム１３に深く巻
装される。このとき、磁気テープ１５をヘリカルガイド
ポスト１９及び回転ガイド２０に巻装させた状態で、ガ
イドスライダ２５は、ガイドレール１１ｂの先端に達し
ている。この状態において、回転ヘッドドラム１３は、
その周側面に配置されている図示しない磁気ヘッドによ
り、巻装された磁気テープ１５をヘリカルスキャンし
て、信号の記録や再生を行なう。

【０００９】また、ガイドスライダ２３がガイドレール
１１ａの先端に達するとともに、テンションガイドポス
ト１６は、ガイドポスト２４の近傍に達し、磁気テープ
１５に当接してテープテンションを制御する。なお、テ
ンションガイドポスト１６は、図示しない連結部によっ
てガイドスライダ２３の移動に関連している。

【００１０】また、同時に、磁気テープ１５は、キャプ
スタン２６とピンチローラ２１との間に挟まれる。この
とき、磁気テープ１５は、ガイドポスト２７に当接され
ることになる。このキャプスタン２６は、磁気テープ１
５に対する記録再生時に、磁気テープ１５が供給リール
１２から巻き取りリール１４に走行される際、磁気テー
プ１５の走行速度が一定となるように駆動するもので、
図示しないキャプスタンモータによって定速回転され
る。なお、ピンチローラ２１及びガイドポスト２２は、
図示しない連結部によって、ガイドスライダ２５の移動
に関連している。

【００１１】ところで、上記のような構成となされた従
来のテープローディング機構では、ガイドスライダ２３
にスライドピン２３ａが２本植設されており、２本とも
ガイドレール１１ａに摺動自在に係合しているため、ガ
イドスライダ２３は、ガイドレール１１ａの両側端に沿
う姿勢を維持した状態で、ローディングを進行させるこ
とになる。

【００１２】このため、ガイドスライダ２３の姿勢は、
ガイドレール１１ａの形状に依存し、設計自由度がなく
なる。その結果、磁気テープ１５は、テープ引き出し部
で、ヘリカルガイドポスト１８に直接当接することにな
り、このため、回転ヘッドドラム１３への巻装位置まで
ねじられながら搬送されることになり、テープダメージ
を起こすことになる。また、ガイドスライダ２３のロー
ディング進行途中の経過位置において、磁気テープ１５
は、ヘリカルガイドポスト１８への巻き付け角が過大も
しくは過小となって大きくねじられ、さらに、回転ガイ
ド１７のフランジ部に過大な力で磁気テープ１５が押し
当てられることにより、テープダメージを起こすという
問題が生じている。

【００１３】つまり、ガイドスライダ２３が、ガイドレ
ール１１ａを移動する途中で、特に、図１１で示すよう
な移動位置近傍では、ヘリカルガイドポスト１８が先行
して磁気テープ１５を運搬するような姿勢になってしま
い、磁気テープ１５がねじられる。よって、磁気テープ
１５の延びや変形が生じることがある。

【００１４】また、ガイドスライダ２３は、解析等によ
り磁気テープ１５に負担をかけにくい姿勢をとるローデ
ィング軌跡が求められたとしても、設計に反映させるこ
とが困難である。このため、ガイドレール１１ａを長く
形成するなどの方法がとられている。しかしながら、小
型化されたローディング機構を実現することが困難にな
るという不都合が生じている。

【００１５】

【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
テープローディング機構では、ガイドスライダの２本の
スライダピンがガイドレールの両側端に沿う姿勢を維持
した状態のままローディングを進行させるため、磁気テ
ープのヘリカルガイドポストへの巻き付け角が過大もし
くは過小となり、さらに、回転ガイドのフランジ部に磁
気テープが過大な力で押し当てられるため、テープダメ
ージを起こすという問題を有している。また、磁気テー
プに対して負担のかけにくいガイドスライダの姿勢をガ
イドレールの軌跡を長めに設計して調整するようにして
いるため、小型化を図ることが困難になるという不都合
を有している。

【００１６】この発明の目的は、広範囲なガイドレール
軌跡の設計自由度を実現し、さらに、テープへのダメー
ジを防止でき、構成全体の小型化を図り得るテープロー
ディング機構を提供することにある。

【００１７】

【課題を解決するための手段】この発明に係るテープロ
ーディング機構は、メインベース上に設置された一対の
リール間を走行する磁気テープと、メインベース上に突
出しており、磁気テープを巻装させることにより磁気テ
ープに対して情報の記録再生を行なう回転ヘッドドラム
と、磁気テープの引き出し位置から磁気テープに対する
回転ヘッドドラムへの所定の巻き付け完了位置まで、メ
インベースに設けられたガイドレールと、ガイドレール
と１本のスライダピンとにより摺動自在に支持されたガ
イドスライダと、ガイドスライダの上面に設けられて、
磁気テープに当接し、ガイドスライダが引き出し位置か
ら磁気テープに対する回転ヘッドドラムへの所定の巻き
付け完了位置まで移動するに伴って、磁気テープを回転
ヘッドドラムに巻装させる回転ガイド及びヘリカルガイ
ドポストと、アームの一端がガイドスライダに回転方向
の自由度を拘束して取り付けられており、ガイドスライ
ダをガイドレールに沿って駆動させる複数のアームを連
接したリンク機構とを備えるようにしたものである。

【００１８】

【作用】上記のような構成によれば、ガイドスライダが
１本のスライダピンでガイドレールに摺動自在に支持さ
れ、アッパーアームがガイドスライダに回転自由度を拘
束して取り付けられているため、磁気テープにねじれを
与えることが少なくローディングを行なうことができ
る。また、広範囲なガイドレール軌跡の設計自由度を実
現できるため、小型なガイドレール軌跡を可能にし、さ
らに、テープへのダメージを防止できる。

【００１９】

【実施例】以下、この発明の一実施例について図面を参
照して詳細に説明する。図１において、図１０〜図１２
と同一部分には同一符号を付して説明する。図１０〜図
１２の従来の機構と異なる部分は、従来の一対のスライ
ダピン２３ａ，２３ａを、１本のスライダピン２３ａに
した点である。

【００２０】図１において、磁気テープ１５は、メイン
ベース１１上に設置された供給リール１２と巻き取りリ
ール１４との間を走行し、メインベース１１上に突出さ
れた回転ヘッドドラム１３に巻装されることにより、こ
の磁気テープ１５に対する情報の記録再生が行なわれる
ことになる。そして、磁気テープ１５の引き出し位置か
ら磁気テープ１５に対する回転ヘッドドラム１３への所
定の巻き付け完了位置まで、メインベース１１上にガイ
ドレール１１ａ及び１１ｂが形成されている。このう
ち、ガイドレール１１ａには、ガイドスライダ２３が１
本のスライダピン２３ａにより摺動自在に支持されてい
る。そして、ガイドスライダ２３の上面に設けられた回
転ガイド１７及びヘリカルガイドポスト１８が磁気テー
プ１５に当接し、ガイドスライダ２３が引き出し位置か
ら磁気テープ１５に対する回転ヘッドドラム１３への所
定の巻き付け完了位置まで移動するに伴って、磁気テー
プ１５を回転ヘッドドラム１３に巻装させている。ま
た、このガイドスライダ２３には、詳細は後述するアー
ムの一端がスライダピン２３ａまたはガイドスライダ２
３の一部に回転方向の自由度を拘束して取り付けられて
おり、ガイドスライダ２３をガイドレール１１ａに沿っ
て駆動させる複数のアームを連接したリンク機構が設け
られている。

【００２１】このガイドスライダ２３は、カセット配置
位置におけるテープ引き出し部で、まず、磁気テープ１
５を回転ガイド１７に当接させている。また、ガイドス
ライダ２３は、図２に示すように、１本のスライダピン
２３ａでガイドレール１１ａに摺動自在に支持されてい
ることにより、ローディングが進行するにつれて、徐々
に図中反時計方向に回動する。そして、ガイドスライダ
２３は、図３に示すように、ガイドレール１１ａの先端
に達した時点で、回転ガイド１７とヘリカルガイドポス
ト１８とを、図中矢印Ｘ１−Ｘ２で示す方向に略平行と
なるように回動される。なお、図中矢印Ｙ１−Ｙ２で示
す方向は、図中矢印Ｘ１−Ｘ２で示す方向と直角を示す
方向である。

【００２２】すなわち、上記ガイドスライダ２３は、磁
気テープ１５のヘリカルガイドポスト１８への巻き付け
を徐々に増加させながら、ガイドレール１１ａに沿って
移動することになる。このため、磁気テープ１５が強く
ねじられたり、また、磁気テープ１５が、回転ガイド１
７のフランジ部に過大な力で押し付けられることがな
く、磁気テープ１５のダメージを防止でき、さらに、磁
気テープ１５の脱落等による事故を防止できる。

【００２３】図４は、上記ガイドスライダ２３とその駆
動機構を支持するアーム部材の具体的構成を示してい
る。ここでは、アーム部材の構成を明確に示すために、
詳細は後述する板金１１ｃ及びガイドレール１１ａを点
線で示している。すなわち、上記ガイドスライダ２３に
は、アッパーアーム２８の一端部がスライダピン２３ａ
に固定もしくは回動自由度を拘束して取り付けられてい
る。このアッパーアーム２８は、その他端部がロワアー
ム２９の一端部に係合ピン３０を介して回動自在に支持
されている。このロワアーム２９は、その他端部がメイ
ンベース１１上に植設されたピボット３１に回動自在に
支持されている。

【００２４】また、ロワアーム２９の他端部には、その
周側端に略円弧状のギヤ部２９ａが形成されており、こ
のギヤ部２９ａが図示しない駆動機構に係合している。
そして、アッパーアーム２８及びロワアーム２９は、磁
気テープ１５を回転ヘッドドラム１３の周側面に対して
巻装または離脱させる際、駆動機構の駆動力によって、
図中時計方向または反時計方向で示す方向に選択的に回
動される。このため、ガイドスライダ２３は、そのスラ
イダピン２３ａがガイドレール１１ａの両側端に沿って
移動し、磁気テープ１５を回転ヘッドドラム１３に巻装
する位置まで誘導されるようになる。

【００２５】ここで、ガイドスライダ２３とメインベー
ス１１との位置関係を明確に示す。すなわち、板金１１
ｃは、メインベース１１との間に所定の隙間を持つよう
に取着されている。この板金１１ｃは、メインベース１
１との隙間を形成するように、複数のネジ等を用いて、
メインベース１１上に固定されており、図中上面に長孔
状のガイドレール１１ａを形成している。また、この板
金１１ｃは、ガイドスライダ２３と、アッパーアーム２
８及びロワアーム２９を含むリンク機構との隙間に挟ま
れる形に位置している。

【００２６】ここで、上記実施例に対する設計方法につ
いて説明する。すなわち、ガイドスライダ２３のローデ
ィング中の姿勢の回動角度等は、図５に示すように、上
記アーム部材の寸法やピボット３１の配置位置を変更す
ることにより、ある程度自由に設定することができる。
つまり解析や実験等で磁気テープ１５に負担のかからな
いローディング軌跡を求めておき、その軌跡の３箇所で
アッパーアーム２８を位置決めし、このアッパーアーム
２８の移動に伴なうとともに３箇所に位置決めされた係
合ピン３０を通過する円の中心が、ピボット３１の中心
位置として決定される。

【００２７】ローディング時のガイドスライダ２３の姿
勢において、常に径大な回転ガイド１７が先行するよう
に設計される。また、実際の設計において、ガイドスラ
イダ２３の姿勢は、最大３箇所で任意に選択できるが、
設計の実現性がなくなる場合もあるので、ローディング
途中の２箇所を任意に選択するにとどめる方が容易であ
る。このとき、ガイドスライダ２３は、ローディング完
了時の姿勢は決まっているので、その他１箇所、例えば
ローディング途中のテープダメージの起きやすい位置等
における姿勢の最適化を図ることができる。そして、ガ
イドスライダ２３が、ガイドレール１１ａに沿って、徐
々に図中反時計方向に回動して、回転ガイド１７とヘリ
カルガイドポスト１８とに当接された磁気テープ１５が
回転ヘッドドラム１３と略直角をなすような最終的な姿
勢へと連続的に変化するため、テープダメージが発生し
にくい。

【００２８】なお、上記実施例とは逆に、解析の結果、
ローディングが進行するにつれてガイドスライダ２３が
徐々に図中時計方向に回動する方が、テープダメージを
与えにくいという結果が得られる走行系もあるが、その
場合も上記実施例と同様の設計方法で設計できることは
もちろんのことである。したがって、上記実施例によれ
ば、設計自由度、すなわち、ガイドスライダ２３の姿勢
制御の自由度は非常に大きく、様々な走行形態に柔軟に
好適し得る。また、アッパーアーム２８及びロワアーム
２９の寸法を調整することによって、リンク機構の小型
化を図ることができる。

【００２９】次に、図６は、この発明の第２の実施例を
示している。すなわち、上記アッパーアーム２８の一端
部に穿設された回動孔２８ａと、ガイドスライダ２３に
設けられたスライダピン２３ａとが、若干の回動余裕を
もって係合されている。この回動余裕は、回動孔２８ａ
に形成されているストッパ２８ｂとスライダピン２３ａ
に形成されている切欠き部２３ｂとの幾何学的公差によ
って適宜設定される。

【００３０】そして、ガイドスライダ２３には、図中矢
印Ａで示す方向側にキャッチャー部２３ｃ，２３ｃが形
成されている。すなわち、ガイドスライダ２３は、その
キャッチャー部２３ｃ，２３ｃが、ローディングが完了
した際、メインベース１１上に固定されたキャッチャー
ピン３２，３２に係合されることによって、正確な姿勢
に規制される。なお、キャッチャー部２３ｃ，２３ｃを
メインベース１１上に固定し、キャッチャーピン３２，
３２をガイドスライダ２３に設けるように構成しても、
同様の効果が得られることはもちろんのことである。ま
た、図中矢印Ｂで示す方向は、図中矢印Ａで示す方向と
逆方向を示し、図中矢印Ｃ−Ｄで示す方向は、図中矢印
Ａ−Ｂで示す方向と直角である方向を示している。

【００３１】したがって、この第２の実施例によれば、
アッパーアーム２８やガイドスライダ２３の取り付け精
度等に影響されることなく所定の正確なガイドスライダ
２３の姿勢でローディングを完了させることができる。
さらに、ガイドスライダ２３は、そのキャッチャー部２
３ｃ，２３ｃがキャッチャーピン３２，３２に係合する
ことによって、ローディング完了時に、アッパーアーム
２８及びロワアーム２９における姿勢に影響されること
なく確実に正確な姿勢で所定の位置に固定される。

【００３２】次に、図７は、この発明の第３の実施例を
各構成部品に分解した状態を示している。すなわち、ガ
イドスライダ２３の下面部には、スライダピン２３ａが
下側（図中では矢印Ｆ２で示す方向）に突出している。
このスライダピン２３ａは、その周側面の図中矢印Ｅ１
−Ｅ２で示す方向側に貫通孔２３ｄ，２３ｄを形成して
いる。なお、図中矢印Ｆ１で示す方向は、図中矢印Ｆ２
で示す方向と逆方向を示している。

【００３３】そして、スライダピン２３ａは、板金１１
ｃに形成されたガイドレール１１ａと、アッパーアーム
２８の一端部に形成された回動孔２８ａとを挿通して突
出し、その後に、貫通孔２３ｄ，２３ｄに与圧ばね３３
の一端が貫通して係止される。この与圧ばね３３は、細
線状の材料を折曲して弾性力を持たせるようにしたもの
である。また、この与圧ばね３３は、その他端がアッパ
ーアーム２８の長手方向途中に略コ字状の切り込みを入
れて下側へ折り曲げられたばねホルダ２８ｃ，２８ｃに
係止されることにより、スライダピン２３ａにガイドス
ライダ２３の回動余裕を固定する、つまりスライダピン
２３ａがアッパーアーム２８の回動孔２８ａに対してが
たつきを抑えるように補強する付勢力を与えている。こ
のため、回動余裕に起因するローディング中の不安定な
ガイドスライダ２３の姿勢を防止することができる。な
お、与圧ばね３３の代わりに、ねじりコイルばね等を用
いても同様の効果が得られることはもちろんのことであ
る。

【００３４】さらに、この第３の実施例では、先の実施
例と同様、ガイドスライダ２３がローディング完了位置
に達している状態で、ガイドスライダ２３のキャッチャ
ー部２３ｃ，２３ｃがメインベース１１上のキャッチャ
ーピン３２，３２に係合することにより、与圧ばね３３
の弾性力に抗してガイドスライダ２３が固定されてい
る。このため、ローディング完了位置におけるガイドス
ライダ２３の姿勢を、アッパーアーム２８等のアーム部
材のローディング完了位置における姿勢に影響されるこ
となく確実に所定の位置に固定することができる。

【００３５】次に、図８は、この発明の第４の実施例を
示している。すなわち、上記アッパーアーム２８は、そ
の略中央部に湾曲部２８ｄと透孔２８ｅとを形成してい
る。このうち、湾曲部２８ｄは、図９に示すように、下
側、つまり図中矢印Ｇ２で示す方向側に湾曲状に突出
し、アッパーアーム２８の曲げ剛性及びねじり剛性を減
少させ、アッパーアーム２８自体に弾性を持たせるよう
にしている。このため、ガイドスライダ２３は、そのス
ライダピン２３ａがガイドレール１１ａの先端、つまり
上記回転ヘッドドラム１３の周側面近傍に達した状態
で、そのキャッチャー部２３ｃ，２３ｃがメインベース
１１上に設けられたキャッチャーピン３２，３２に係合
することにより、アッパーアーム２８に形成された湾曲
部２８ｄの弾性力に抗して所定の正確な姿勢に規制され
る。なお、図中矢印Ｇ１で示す方向は、図中矢印Ｇ２で
示す方向と逆方向を示し、図中矢印Ｈ１−Ｈ２で示す方
向は、図中矢印Ｇ１−Ｇ２で示す方向と直角な方向を示
している。

【００３６】また、アッパーアーム２８自体が多少撓む
ように形成されているため、ローディング完了位置にお
いて、ガイドスライダ２３のキャッチャー部２３ｃ，２
３ｃをどの方向からでも、弾性力に抗してキャッチャー
ピン３２，３２に押し当てることもできる。なお、アッ
パーアーム２８またはロワアーム２９のいずれか一方
を、弾性部材で形成し、ローディング完了位置におい
て、アッパーアーム２８またはロワアーム２９の弾性力
に抗して、ガイドスライダ２３の不安定な姿勢の解消を
図るようにしても同様な結果が得られる。

【００３７】すなわち、この第４の実施例において、ガ
イドスライダ２３は、ローディング完了位置で、アッパ
ーアーム２８の湾曲部２８ｄが撓んで弾性力を発生する
ことにより、上記与圧ばね３３を用いることなく、簡易
な構成で所定の正確な姿勢に規制されることになる。ま
た、アッパーアーム２８またはロワアーム２９の寸法を
調整することによって、リンク機構の小型化を図れるこ
とももちろんのことである。

【００３８】

【発明の効果】以上詳述したようにこの発明によれば、
広範囲なガイドレール軌跡の設計自由度を実現し、さら
に、テープへのダメージを防止でき、構成全体の小型化
を図り得るテープローディング機構を提供することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係るテープローディング機構の一実
施例を示す図。

【図２】同実施例におけるローディング動作の途中の過
程を説明するために示す図。

【図３】同実施例における磁気テープを回転ヘッドドラ
ムに巻装させた状態を説明するために示す図。

【図４】同実施例におけるガイドスライダとその駆動機
構の具体的構成を示す図。

【図５】同実施例におけるローディング軌跡の設計方法
を説明するために示す図。

【図６】この発明の第２の実施例を示す図。

【図７】この発明の第３の実施例を示す分解斜視図。

【図８】この発明の第４の実施例を示す図。

【図９】同第４の実施例におけるアッパーアームの湾曲
部の具体的構成を説明するために示す斜視図。

【図１０】従来のテープローディング機構を示す図。

【図１１】同従来機構におけるローディング動作の途中
の過程を説明するために示す図。

【図１２】同従来機構における磁気テープを回転ヘッド
ドラムに巻装させた状態を説明するために示す図。

【符号の説明】

１１…メインベース、１１ａ…ガイドレール、１１ｂ…
ガイドレール、１１ｃ…板金、１２…供給リール、１３
…回転ヘッドドラム、１４…巻き取りリール、１５…磁
気テープ、１６…テンションガイドポスト、１７…回転
ガイド、１８…ヘリカルガイドポスト、１９…ヘリカル
ガイドポスト、２０…回転ガイド、２１…ピンチロー
ラ、２２…ガイドポスト、２３…ガイドスライダ、２３
ａ…スライダピン、２３ｂ…切欠き部、２３ｃ…キャッ
チャー部、２３ｄ…貫通孔、２４…ガイドポスト、２５
…ガイドポスト、２５ａ…スライダピン、２６…キャプ
スタン、２７…ガイドポスト、２８…アッパーアーム、
２８ａ…回動孔、２８ｂ…ストッパー、２８ｃ…ばねホ
ルダ、２８ｄ…湾曲部、２８ｅ…透孔、２９…ロワアー
ム、２９ａ…ギヤ部、３０…係合ピン、３１…ピボッ
ト、３２…キャッチャーピン、３３…与圧ばね。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 メインベース上に設置された一対のリー
   ル間を走行する磁気テープと、 前記メインベース上に突出しており、前記磁気テープを
   巻装させることにより前記磁気テープに対して情報の記
   録再生を行なう回転ヘッドドラムと、 前記磁気テープの引き出し位置から前記磁気テープに対
   する前記回転ヘッドドラムへの所定の巻き付け完了位置
   まで、上記メインベースに設けられたガイドレールと、 前記ガイドレールと１本のスライダピンとにより摺動自
   在に支持されたガイドスライダと、 前記ガイドスライダの上面に設けられて、前記磁気テー
   プに当接し、前記ガイドスライダが前記引き出し位置か
   ら前記磁気テープに対する前記回転ヘッドドラムへの所
   定の巻き付け完了位置まで移動するに伴って、前記磁気
   テープを前記回転ヘッドドラムに巻装させる回転ガイド
   及びヘリカルガイドポストと、 アームの一端が前記ガイドスライダに回転方向の自由度
   を拘束して取り付けられており、前記ガイドスライダを
   前記ガイドレールに沿って駆動させる複数の前記アーム
   を連接したリンク機構とを具備してなることを特徴とす
   るテープローディング機構。
2. 【請求項２】 前記ガイドスライダは、前記引き出し位
   置で、前記回転ガイドに前記磁気テープを当接させ、前
   記ガイドレールに沿って徐々に前記ヘリカルガイドポス
   トが前記磁気テープに接触するように回動することを特
   徴とする請求項１記載のテープローディング機構。
3. 【請求項３】 前記リンク機構は、一端部が前記メイン
   ベースに回動自在に支持されているロワアームと、一端
   部が前記ガイドスライダに回転方向の自由度を拘束して
   支持され、他端部が前記ロワアームの他端部に回動自在
   に支持されているアッパーアームとを具備してなること
   を特徴とする請求項１記載のテープローディング機構。
4. 【請求項４】 前記アッパーアームの一端部には、回動
   孔が形成され、この回動孔に前記スライダピンが前記ガ
   イドスライダに回動余裕を持たせるように係止され、ま
   た、前記回動孔に形成されたストッパが、前記スライダ
   ピンに形成された切欠き部に接触することによって前記
   ガイドスライダの回動が抑制され、さらに、前記ガイド
   スライダが、前記磁気テープに対する前記回転ヘッドド
   ラムへの所定の巻き付け完了位置において、前記ガイド
   スライダ，前記メインベースのいずれか一方に取り付け
   られた複数のキャッチャー部に、前記メインベース，前
   記ガイドスライダのいずれか一方に取り付けられた複数
   のキャッチャーピンを係合させることにより前記ガイド
   スライダの回動余裕を固定することを特徴とする請求項
   １記載のテープローディング機構。
5. 【請求項５】 前記ガイドスライダは、前記アッパーア
   ームの一端部に回動余裕を持って支持され、その前記ス
   ライダピンと前記アッパーアームとの間に与圧ばねが介
   在し、前記ガイドスライダが前記磁気テープに対する前
   記回転ヘッドドラムへの所定の巻き付け完了位置で、前
   記キャッチャー部に、前記キャッチャーピンを係合させ
   ることにより、前記与圧ばねの弾性力に抗して前記ガイ
   ドスライダの回動余裕が固定されることを特徴とする請
   求項１または４記載のテープローディング機構。
6. 【請求項６】 前記ガイドスライダは、前記アッパーア
   ームの一端部に回動余裕を持って支持されるとともに、
   前記アッパーアームまたは前記ロワアームの少なくとも
   一方が弾性力を有する板体で形成され、前記ガイドスラ
   イダが前記磁気テープに対する前記回転ヘッドドラムへ
   の所定の巻き付け完了位置で、前記キャッチャー部に、
   前記キャッチャーピンを係合させることにより、前記ア
   ッパーアームまたはロワアームの少なくとも一方の弾性
   力に抗して前記ガイドスライダの回動余裕が固定される
   ことを特徴とする請求項１記載のテープローディング機
   構。