JPH08269768A - 摺動面構成体 - Google Patents

摺動面構成体

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JPH08269768A
JPH08269768A JP9975495A JP9975495A JPH08269768A JP H08269768 A JPH08269768 A JP H08269768A JP 9975495 A JP9975495 A JP 9975495A JP 9975495 A JP9975495 A JP 9975495A JP H08269768 A JPH08269768 A JP H08269768A
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hhh
sliding surface
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Kenji Dousaka
健児 堂坂
Yusuke Toyoda
裕介 豊田
Katsumune Tabata
勝宗 田畑
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 摺動条件を異にする2つの領域にそれぞれ優
れた摺動特性を発揮させることのできる摺動面構成体を
提供する。 【構成】 すべり軸受5の摺動面構成体9は金属結晶の
集合体より構成される。第1領域R1 の摺動条件は第2
領域R2 のそれよりも厳しい。第1領域R1 に、体心立
方構造を持ち、ミラー指数で(2hhh)面を摺動面側
に向けた(2hhh)配向性金属結晶13を存在させ、
その存在率S2hhhをS2hhh≧20%に設定する。この結
晶13は高い硬さを有し、また摺動面12において魚形
金属結晶15の形態をなすので、その集合により良好な
保油性を有する。第2領域R2 に、体心立方構造を持
ち、ミラー指数で(hhh)面を摺動面側に向けた(h
hh)配向性金属結晶14を存在させ、その存在率S
hhh をShhh ≧40%に設定する。この結晶14は摺動
面12において六角錐状金属結晶16の形態をなすの
で、その集合により良好な保油性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は摺動面構成体、特に、金
属結晶の集合体より構成される摺動面構成体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種摺動面構成体としては、例
えば内燃機関用すべり軸受において、圧延鋼板製裏金
の、回転軸と対向する内周面に、耐焼付き性の向上を狙
って設けられるPb合金メッキ層が知られている。
【0003】しかしながら、内燃機関が高速、且つ高出
力化の傾向にある現在の状況下では、従来の摺動面構成
体はその摺動面が比較的平滑であることに起因してオイ
ル保持性、つまり保油性が十分でなく、耐焼付き性が乏
しいという問題があった。
【0004】そこで、本出願人は先に、摺動面構成体と
してその摺動面に多数の角錐状金属結晶を有するものを
開発した(例えば、特開平6−174089号公報参
照)。
【0005】このように構成すると、相隣る両角錐状金
属結晶は相互に食込んだ状態を呈し、したがって摺動面
は、多数の微細な山部と、それら山部の間に形成された
多数の微細な谷部と、山部相互の食込みに因る多数の微
細な沢部とからなる入組んだ様相を呈するので、摺動面
構成体の保油性が良好となる。これにより摺動面構成体
の耐焼付き性の向上が図られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記摺動面
構成体はその摺動特性が全体に亘り略一定であることか
ら、より苛酷な摺動環境において、その摺動面構成体に
摺動条件を異にする2つの領域が現出した場合、一方の
領域が良好な摺動特性を発揮しても、他方の領域にはそ
れを望むことができない、といった事態が発生する。
【0007】本発明は前記に鑑み、摺動条件を異にする
2つの領域にそれぞれ優れた摺動特性を発揮させること
ができるようにした前記摺動面構成体を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属結晶の集
合体より構成される摺動面構成体において、摺動条件を
異にする第1および第2領域を有し、前記第1領域に
は、体心立方構造を持ち、且つミラー指数で(2hh
h)面を摺動面側に向けた(2hhh)配向性金属結晶
を存在させると共にその存在率S2hhhを20%≦S2hhh
≦100%に設定し、また前記第2領域には、体心立方
構造を持ち、且つミラー指数で(hhh)面を摺動面側
に向けた(hhh)配向性金属結晶を存在させると共に
その存在率S hhh を40%≦Shhh ≦100%に設定す
ることを特徴とする。
【0009】
【作用】第1領域において、(2hhh)配向性金属結
晶は柱状に成長し、その先端部は、摺動面において鰯の
ような魚形金属結晶となる。また(2hhh)配向性金
属結晶の存在率S2hhhを前記のように設定すると、摺動
面は、そこに多数の魚形金属結晶が存在することから非
常に入組んだ様相を呈し、したがって良好な保油性を有
する。その上、(2hhh)配向性金属結晶の(2hh
h)面は2次すべり面であることから、その結晶は高い
硬さを有し、強度も高い。
【0010】このような第1領域は優れた耐焼付き性と
耐摩耗性を要求される、摺動条件の厳しい部位に最適で
ある。
【0011】なお、前記存在率S2hhhがS2hhh<20%
では前記作用効果を得ることができない。
【0012】一方、第2領域において、(hhh)配向
性金属結晶は柱状に成長し、その先端部は、摺動面にお
いて六角錐状または三角錐状金属結晶となる。また(h
hh)配向性金属結晶の存在率Shhh を前記のように設
定すると、摺動面は、そこに多数の六角錐状および/ま
たは三角錐状金属結晶が存在することから非常に入組ん
だ様相を呈し、したがって良好な保油性を有する。ただ
し、(hhh)配向性金属結晶は(2hhh)配向性金
属結晶に比べて硬さは低い。
【0013】このような第2領域は、耐焼付き性を優先
的に要求される、第1領域よりも摺動条件を緩和された
部位に最適である。
【0014】なお、前記存在率Shhh がShhh <40%
では前記作用効果を得ることができない。
【0015】
【実施例】図1において、内燃機関用コンロッド1の大
端孔2とクランクシャフト3のクランクピン4との間に
すべり軸受5が配設される。すべり軸受5は一対の半環
状体6よりなり、それら半環状体6は同一構造を有す
る。
【0016】図2に示すように、各半環状体6の裏金7
において、クランクピン4に対向する内周面8に層状摺
動面構成体9がメッキ処理により形成される。
【0017】図3は半環状体6を展開したものである。
摺動面構成体9は、クランクピン軸線方向aの両端部全
長に亘ってそれぞれ幅の狭い帯状をなす第1領域R1
有し、また両第1領域R1 間には幅の広い帯状をなす第
2領域R2 を有する。両第1領域R1 はクランクピン4
の振れに起因して第2領域R2 よりも厳しい摺動条件下
に置かれる。図2,3において、半環状体6の中央部に
油孔10が形成され、その油孔10の摺動面構成体9側
には面取り11が施されている。
【0018】図3,4に明示するように、摺動面構成体
9は金属結晶の集合体より構成される。第1領域R1
は、図5に示すように体心立方構造(bcc構造)を持
ち、且つミラー指数で(2hhh)面を摺動面12側に
向けた(2hhh)配向性金属結晶13が存在し、その
存在率S2hhhは20%≦S2hhh≦100%に設定され
る。存在率S2hhhの下限値は、好ましくはS2hhh=25
%である。
【0019】第2領域R2 には、図5に示すようにbc
c構造を持ち、且つミラー指数で(hhh)面を摺動面
12側に向けた(hhh)配向性金属結晶14が存在
し、その存在率Shhh は40%≦Shhh ≦100%に設
定される。
【0020】第1領域R1 において、(2hhh)配向
性金属結晶13は裏金7の内周面8から柱状に成長し、
その先端部は、摺動面12において鰯のような魚形金属
結晶15となる。また(2hhh)配向性金属結晶13
の存在率S2hhhを前記のように設定すると、摺動面12
は、そこに多数の魚形金属結晶15が存在することから
非常に入組んだ様相を呈し、したがって良好な保油性を
有する。その上、(2hhh)配向性金属結晶13の
(2hhh)面は2次すべり面であることから、その結
晶13は高い硬さを有し、強度も高い。
【0021】このような第1領域R1 は優れた耐焼付き
性と耐摩耗性を有するので、摺動条件が厳しくてもそれ
に十分に耐えることができる。
【0022】一方、第2領域R2 において、(hhh)
配向性金属結晶14は裏金7の内周面8から柱状に成長
し、その先端部は、摺動面12において六角錐状金属結
晶16、または図6に明示するように三角錐状金属結晶
17となる。また(hhh)配向性金属結晶14の存在
率Shhh を前記のように設定すると、摺動面12は、そ
こに多数の六角錐状および/または三角錐状金属結晶1
6,17が存在することから非常に入組んだ様相を呈
し、したがって良好な保油性を有する。ただし、(hh
h)配向性金属結晶14は(2hhh)配向性金属結晶
13に比べて硬さは低い。
【0023】このような第2領域R2 は優れた耐焼付き
性を有するので、その領域R2 が耐焼付き性を優先的に
要求されることから最適である。
【0024】図7に示すように、摺動面4aに沿う仮想
面18に対する(2hhh)面の傾きは魚形金属結晶1
5の傾きとなって現われるので、第1領域R1 の保油性
および耐摩耗性に影響を与える。そこで、(2hhh)
面が仮想面18に対してなす傾き角θは0°≦θ≦15
°に設定される。この場合、(2hhh)面の傾き方向
については限定されない。傾き角θがθ>15°になる
と、第1領域R1 の保油性および耐摩耗性が低下する。
この傾き角θは、図8に示すように(hhh)面につい
ても同じである。
【0025】bcc構造を持つ金属結晶としては、F
e、Cr、Mo、W、Ta、Zr、Nb、V等の単体ま
たは合金の結晶を挙げることができる。
【0026】摺動面構成体4の第1および第2領域
1 ,R2 を形成するためのメッキ処理において、電気
Feメッキ処理を行う場合のメッキ浴条件は、表1の通
りである。この場合、一方の領域を形成するときには、
他方の対応領域または他方の領域はマスキングされる。
【0027】
【表1】
【0028】pHの調節はアンモニア水を用いて行われ
る。
【0029】通電法としては、主としてパルス電流法が
適用される。パルス電流法においては、図9に示すよう
に、メッキ用電源の電流Iは、その電流Iが最小電流I
minから立上って最大電流Imax に至り、次いで最小電
流Imin へ下降するごとく、時間Tの経過に伴いパルス
波形を描くように制御される。図中、TONは電流Iの立
上り開始時から下降開始時までの通電時間、またTC
先の立上り開始時から次の立上り開始時までを1サイク
ルとしたとき、そのサイクル時間をそれぞれ示す。
【0030】表2はパルス電流法の実施条件を示し、表
中、CDmaxは最大陰極電流密度に、またCDmは平
均陰極電流密度に、さらにTON/TC は通電時間TON
サイクル時間TC との比、即ち、時間比にそれぞれ該当
する。
【0031】
【表2】
【0032】パルス電流法を適用すると、メッキ浴内に
おいて電流が流れたり、流れなかったりすることに起因
して陰極近傍のイオン濃度が均一化され、これにより第
1および第2領域R1 ,R2 の組成を安定化させること
ができる。
【0033】前記電気Feメッキ処理において、メッキ
浴条件および通電条件を変えることによって(2hh
h)配向性Fe結晶または(hhh)配向性Fe結晶の
析出、その存在量等を制御する。この制御は、パルス電
流法の適用下では容易であり、したがって摺動面12を
狙い通りの形態に形成し易くなる。
【0034】メッキ処理としては、電気メッキ処理の外
に、例えば気相メッキ法であるPVD法、CVD法、ス
パッタ法、イオンプレーティング等を挙げることができ
る。 〔実施例1〕 (a) 第1領域R1 の摺動特性について 鋼板(JIS SPCC)よりなり、外径51mm(自由
状態では52.3mm)、幅19.5mm、厚さ1.485
mm、油孔径3mmの裏金7を用意した。その裏金7の内周
面8における2つの第1領域R1 対応部に、電気Feメ
ッキ処理を施すことによりFe結晶の集合体より構成さ
れた幅2mm、厚さ15μmの第1領域R1 を形成した。
その際、裏金7の第2領域R2 対応部には、導電性治具
としての鋼板を用いてマスキングを施した。
【0035】次いで、両第1領域R1 を前記同様の方法
でマスキングし、裏金7の第2領域R2 対応部に電気F
eメッキ処理を施して厚さ15μmの第2領域R2 を形
成した。
【0036】表3は第1領域の例1a〜5aの、また表
4は第1領域の例6a〜9aおよび第2領域の例1bの
電気Feメッキ処理条件をそれぞれ示す。なお、メッキ
処理条件は、例1a〜9a、1bの厚さを前記のように
15μmに設定すべく、5〜60分間の範囲内で種々変
化させた。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】表5は例1a〜5a、表6は例6a〜9
a、1bに関する摺動面の結晶形態、各配向性Fe結晶
の存在率および例1a〜9a,1bの断面における硬さ
をそれぞれ示す。
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】各配向性Fe結晶の存在率は、例1a〜9
a,1bのX線回折図に基づき下記の式を用いて求めら
れた。図10に示すように、X線回折は魚形金属結晶等
の傾きを考慮して、X線を摺動面12に直角に照射する
0°位置と、摺動面12を傾斜角αだけ傾けた位置につ
いて行われた。この場合、αは5°,10°,15°に
設定されたが、0°位置の測定結果と、5°,10°,
15°位置の測定結果とは略同一であったので存在率の
算出には0°位置のX線回折図を用いた。図11,12
はそれぞれ0°位置における例1a,4aのX線回折図
を示す。なお、下式において、例えば{110}配向性
Fe結晶とは、{110}面を摺動面側に向けた配向性
Fe結晶を意味する。 {110}配向性Fe結晶:S110 ={(I110 /IA110 )/T}×100、 {200}配向性Fe結晶:S200 ={(I200 /IA200 )/T}×100、 {211}配向性Fe結晶:S211 ={(I211 /IA211 )/T}×100、 {310}配向性Fe結晶:S310 ={(I310 /IA310 )/T}×100、 {222}配向性Fe結晶:S222 ={(I222 /IA222 )/T}×100 ここで、I110 、I200 、I211 、I310 、I222 は各
結晶面のX線反射強度の測定値(cps)であり、また
IA110 、IA200 、IA211 、IA310 、IA222
ASTMカードにおける各結晶面のX線反射強度比で、
IA110 =100、IA200 =20、IA211 =30、
IA310 =12、IA222 =6である。さらにTは、T
=(I110 /IA110 )+(I200 /IA200 )+(I
211 /IA211 )+(I310 /IA310 )+(I222
IA222 )である。
【0043】図13は例1aにおける摺動面の結晶構造
を示す顕微鏡写真であり、多数の魚形Fe結晶が観察さ
れる。魚形Fe結晶は(2hhh)面、したがって{2
11}面を摺動面側に向けた{211}配向性Fe結晶
であり、その{211}配向性Fe結晶の存在率S211
(S2hhh)は、表5、図11に示すように、S211 =9
1.3%である。
【0044】図14は例4aにおける摺動面の結晶構造
を示す顕微鏡写真であり、多数の魚形Fe結晶と六角錐
状Fe結晶が観察される。魚形Fe結晶は前記同様に
{211}配向性Fe結晶であり、その存在率S
211 は、表5、図12に示すようにS211 =47.9%
である。六角錐状Fe結晶は(hhh)面、したがって
{222}面を摺動面側に向けた{222}配向性Fe
結晶であり、その{222}配向性Fe結晶の存在率S
222 (Shhh )は、表5、図12に示すように、S222
=51.1%である。
【0045】図15は例8aにおける摺動面の結晶構造
を示す顕微鏡写真であり、多数の六角錐状Fe結晶と粒
状Fe結晶が観察される。六角錐状Fe結晶は前記同様
に{222}配向性Fe結晶であり、その存在率S222
は、表6に示すように、S222 =80.5%である。
【0046】表5,6において、例1a〜7aは例8
a,9a,1bに比べて硬さが高い。これは、{21
1}配向性Fe結晶の存在率S211 がS211 ≧20%で
あることに因る。この場合、S211 ≧25%において、
硬さの向上度合が顕著となる。
【0047】焼付きテストを行うべく、炭素鋼(JIS
S48C、軟窒化処理材)よりなる直径47.94m
m、長さ140mmの回転軸を、例1aおよび例1bを備
えた一対の半環状体よりなるすべり軸受により挟んで、
それらをメタルテスタのハウジング(クリアランス30
μm)に設置した。そして、回転軸の回転数:6000
rpm ;給油量:600ml/min ;すべり軸受に対する荷
重付与方式:最初に2000Nの荷重を付与して2分間
その状態に保持し、その後は荷重を2000N宛増加さ
せると共にその増加毎にその状態に2分間保持;の条件
で焼付きテストを行った。その際、すべり軸受の裏金外
周面における両第1領域対応部の温度を測定し、その温
度が180℃を超えたときの荷重を焼付き発生荷重とし
た。同様の焼付きテストを、例2a〜9aおよび例1b
を備えた各一対の半環状体よりなるすべり軸受を用いて
行った。
【0048】次に、例1a〜9aを有するチップを作製
し、それらについて、潤滑下でチップオンディスク方式
による摩耗テストを行って摩耗量を測定した。テスト条
件は次の通りである。ディスクの材質:炭素鋼(JIS
S48C、軟窒化処理材);ディスクの周速度:1
2.5m/sec 、給油量:5ml/min ;チップの摺動面
の面積:1cm2 ;チップに対する押圧荷重:300N;
摺動時間:30分間;摩耗量:テスト前におけるチップ
の厚さとテスト後のチップの厚さとの差.表7は、例1
a〜9aに関する焼付きテストおよび摩耗テスト結果
を、{211}配向性Fe結晶と{222}配向性Fe
結晶の両存在率S211 ,S222 の比S211 /S222 と共
に示す。
【0049】
【表7】
【0050】図16は、例1a〜9aに関する{21
1}配向性Fe結晶の存在率S211 と焼付き発生荷重と
の関係を示す。図中、点(1a)〜(9a)は例1a〜
9aにそれぞれ対応し、この点と例の関係は後述する図
面において同じである。
【0051】図17は、例1a〜9aに関する{21
1}配向性Fe結晶の存在率S211 と摩耗量との関係を
示す。
【0052】図16,17において、例7aより耐焼付
き性および耐摩耗性の向上が明瞭となる。このことから
第1領域R1 においては、前記存在率S211 をS211
20%に設定すればよいことが判る。前記存在率S211
は、好ましくは、S211 ≧25%である。
【0053】また前記存在率S211 ≧25%において、
比S211 /S222 ≧1に設定すると、例1a〜3aの如
く、耐焼付き性および耐摩耗性の向上が顕著となる。例
4aの場合、前記存在率S211 は比較的高いが、比S
211 /S222 <1であることから、耐焼付き性は前記存
在率S211 が比較的低い例3aと同等となり、また耐摩
耗性は前記存在率S211 が比較的低い例5aと同等とな
る。 (b) 第2領域R2 の摺動特性について 鋼板(JIS SPCC)よりなり、外径51mm(自由
状態では52.3mm)、幅19.5mm、厚さ1.485
mm、油孔径3mmの裏金7を用意した。その裏金7の内周
面8における第2領域R2 対応部に、電気Feメッキ処
理を施すことによりFe結晶の集合体より構成された幅
15.5mm、厚さ15μmの第2領域R2 を形成した。
その際、裏金7の両第1領域R1 対応部には、導電性治
具としての鋼板を用いてマスキングを施した。
【0054】次いで、第2領域R2 を前記同様の方法で
マスキングし、裏金7の両第1領域R1 対応部に電気F
eメッキ処理を施して厚さ15μmの2つの第1領域R
1 を形成した。
【0055】表8は第2領域R2 の例1b〜5bおよび
第1領域R1 の例1aの電気Feメッキ処理条件をそれ
ぞれ示す。なお、メッキ処理時間は、例1b〜5b,1
aの厚さを前記のように15μmに設定すべく、5〜6
0分間の範囲内で種々変化させた。
【0056】
【表8】
【0057】表9は例1b〜5bおよび1aに関する摺
動面の結晶形態、各配向性Fe結晶の存在率および例1
b〜5bおよび1aの断面における硬さをそれぞれ示
す。
【0058】
【表9】
【0059】各配向性Fe結晶の存在率は、例1b〜5
b、例1aのX線回折図に基づいて前記と同様の方法で
求められた。図18は例1bの、図19は例5bの0°
位置におけるX線回折図である。
【0060】図20は例1bにおける摺動面の結晶構造
を示す顕微鏡写真であり、多数の六角錐状Fe結晶が観
察される。六角錐状Fe結晶は、前記同様に(hhh)
面、したがって{222}面を摺動面側に向けた{22
2}配向性Fe結晶であり、その{222}配向性Fe
結晶の存在率S222 (Shhh )は、表9、図18に示す
ように、S222 =98.1%である。
【0061】図21は例5bにおける摺動面の結晶構造
を示す顕微鏡写真であり、多数の粒状Fe結晶が観察さ
れる。この場合、表9、図19に示すように、各配向性
Fe結晶の存在率は略平均化されている。
【0062】次に、例1bおよび例1aを備えた一対の
半環状体よりなるすべり軸受を用い、また前記メタルテ
スタを用いて、前記と同一条件にて焼付きテストを行っ
た。ただし、焼付き発生荷重に対応する温度測定は、す
べり軸受の裏金外周面における第2領域対応部について
行った。同様の焼付きテストを、例2b〜5bおよび例
1aを備えた各一対の半環状体よりなるすべり軸受を用
いて行った。表10は焼付きテスト結果を示す。
【0063】
【表10】
【0064】図22は、例1b〜5bに関する{22
2}配向性Fe結晶の存在率S222 と焼付き発生荷重と
の関係を示す。
【0065】図22において、例3bより耐焼付き性の
向上が明瞭となる。このことから第2領域R2 において
は、前記存在率S222 をS222 ≧40%に設定すればよ
いことが判る。 〔実施例2〕図23に示す内燃機関用ピストン19はA
l合金(JIS AC8A、T7処理材)より構成さ
れ、そのランド部20の全外周面およびスカート部21
の一部外周面に層状摺動面構成体9が電気Feメッキ処
理により形成される。
【0066】この場合、摺動面構成体9の第1領域R1
には、ランド部20の全外周面に存する部分と、スカー
ト部21の一部に存する部分が含まれる。スカート部2
1の一部とは、スカート部21から、両ピストンピン孔
22回りの両凹部23を除くと共に両凹部23間におい
て一点鎖線で囲まれる両中央部分24を除いた部分が該
当する。摺動面構成体9の第2領域R2 にはスカート部
21の前記両中央部分24に存するものが該当する。
【0067】具体例として、ピストン19の第2領域R
2 対応部、したがって両中央部分24と、両凹部23を
前記同様の手段でマスキングし、第1領域R1 対応部
に、実施例1(a)で述べた第1領域R1 の例1a〜9
aを前記と同一条件で電気Feメッキ処理により形成し
た。次いで、第1領域R1 を前記同様の手段でマスキン
グし、両中央部分24および両凹部23に実施例1
(a)で述べた第2領域R2の例1bを前記と同一条件
で電気Feメッキ処理により形成した。この場合、両凹
部23に形成されて表面に六角錐状Fe結晶を有する皮
膜はオイル溜め機能を有する。
【0068】次に、例1a〜9aを有するチップを作製
し、それらについて、潤滑下でチップオンディスク方式
による焼付きテストを行って、焼付き発生荷重を測定し
たところ、表11の結果を得た。テスト条件は次の通り
である。ディスクの材質:鋳鉄(JIS FC25
0);ディスクの周速度:12.5m/sec ;給油量:
40ml/min ;チップの摺動面の面積:1cm2 ;チップ
に対する荷重付与方式:最初に20Nの荷重を付与して
2分間その状態に保持し、その後は荷重を20N宛増加
させると共にその増加毎にその状態に2分間保持.
【0069】
【表11】
【0070】図24は、例1a〜9aに関する{21
1}配向性Fe結晶の存在率S211 と焼付き発生荷重と
の関係を示す。
【0071】図24において、例7aより耐焼付き性の
向上が明瞭となる。このことからも第1領域R1 におい
ては、前記存在率S211 をS211 ≧20%に設定すれば
よいことが判る。前記存在率S211 は、好ましくは、S
211 ≧25%である。
【0072】また前記存在率S211 ≧25%において、
比S211 /S222 ≧1に設定すると、例1a〜3aの如
く、耐焼付き性の向上が顕著となる。例4aの場合、前
記存在率S211 は比較的高いが、比S211 /S222 <1
であることから、耐焼付き性は前記存在率S211 が比較
的低い例3a,5aと同等となる。
【0073】なお、本発明はすべり軸受およびピストン
に限らず、摺動条件を異にする2つの領域を持つ、バラ
ンサシャフト、カムシャフト、ピストンピン等の各種摺
動部材に適用される。
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、前記のように特定され
た構造を具備することによって、摺動条件を異にする2
つの領域にそれぞれ優れた摺動特性を発揮させることが
可能な摺動面構成体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】すべり軸受を備えたコンロッドの正面図であ
る。
【図2】図1の2矢示部の拡大図である。
【図3】すべり軸受用半環状体の展開図である。
【図4】図3の4−4線拡大断面図である。
【図5】体心立方構造およびその(hhh)面、(2h
hh)面を示す斜視図である。
【図6】三角錐状金属結晶の平面図である。
【図7】体心立方構造における(2hhh)面の傾きを
示す説明図である。
【図8】体心立方構造における(hhh)面の傾きを示
す説明図である。
【図9】電気メッキ用電源の出力波形図である。
【図10】摺動面に対するX線照射方法を示す説明図で
ある。
【図11】第1領域の例1aのX線回折図である。
【図12】第1領域の例4aのX線回折図である。
【図13】例1aの摺動面の結晶構造を示す顕微鏡写真
である。
【図14】例4aの摺動面の結晶構造を示す顕微鏡写真
である。
【図15】例8aの摺動面の結晶構造を示す顕微鏡写真
である。
【図16】{211}配向性Fe結晶の存在率S211
焼付き発生荷重の関係を示すグラフである。
【図17】{211}配向性Fe結晶の存在率S211
摩耗量との関係を示すグラフである。
【図18】第2領域の例1bのX線回折図である。
【図19】第2領域の例5bのX線回折図である。
【図20】例1bの摺動面の結晶構造を示す顕微鏡写真
である。
【図21】例5bの摺動面の結晶構造を示す顕微鏡写真
である。
【図22】{222}配向性Fe結晶の存在率S222
焼付き発生荷重の関係を示すグラフである。
【図23】(a)はピストンの正面図、(b)は(a)
の(b)矢視図である。
【図24】{211}配向性Fe結晶の存在率S211
焼付き発生荷重の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
9 摺動面構成体 13 (2hhh)配向性金属結晶 14 (hhh)配向性金属結晶 R1 ,R2 第1,第2領域
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年5月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】図3は半環状体6を展開したものである。
摺動面構成体9は、クランクピン軸線方向aの両端部全
長に亘って延びる一対の幅狭の状第1領域R 1 と、両
第1領域R1 間に存する幅広の状第2領域R 2 を有
する。両第1領域R1 はクランクピン4の振れに起因し
て第2領域R2 よりも厳しい摺動条件下に置かれる。図
2,3において、半環状体6の中央部に油孔10が形成
され、その油孔10の摺動面構成体9側には面取り11
が施されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】図7に示すように、摺動面12に沿う仮想
面18に対する(2hhh)面の傾きは魚形金属結晶1
5の傾きとなって現われるので、第1領域R1 の保油性
および耐摩耗性に影響を与える。そこで、(2hhh)
面が仮想面18に対してなす傾き角θは0°≦θ≦15
°に設定される。この場合、(2hhh)面の傾き方向
については限定されない。傾き角θがθ>15°になる
と、第1領域R1 の保油性および耐摩耗性が低下する。
この傾き角θは、図8に示すように(hhh)面につい
ても同じである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】摺動面構成体の第1および第2領域
1 ,R2 を形成するためのメッキ処理において、電気
Feメッキ処理を行う場合のメッキ浴条件は、表1の通
りである。この場合、一方の領域を形成するときには、
他方の領域対応部または他方の領域はマスキングされ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属結晶の集合体より構成される摺動面
    構成体において、摺動条件を異にする第1および第2領
    域を有し、前記第1領域には、体心立方構造を持ち、且
    つミラー指数で(2hhh)面を摺動面側に向けた(2
    hhh)配向性金属結晶を存在させると共にその存在率
    2hhhを20%≦S2hhh≦100%に設定し、また前記
    第2領域には、体心立方構造を持ち、且つミラー指数で
    (hhh)面を摺動面側に向けた(hhh)配向性金属
    結晶を存在させると共にその存在率Shhh を40%≦S
    hhh ≦100%に設定することを特徴とする摺動面構成
    体。
  2. 【請求項2】 前記第1領域における(2hhh)配向
    性金属結晶の存在率S2hhhの下限値がS2hhh=25%で
    ある、請求項1記載の摺動面構成体。
  3. 【請求項3】 前記第1領域には、前記(hhh)配向
    性金属結晶も存在し、その(hhh)配向性金属結晶と
    (2hhh)配向性金属結晶の両存在率Shhh 、S2hhh
    の比S2hhh/Shhh がS2hhh/Shhh >1である、請求
    項1または2記載の摺動面構成体。
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JPH06323110A (ja) * 1993-05-11 1994-11-22 Honda Motor Co Ltd 摺動面構成体

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