JPH06248490A - 摺動部材 - Google Patents

摺動部材

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JPH06248490A
JPH06248490A JP5063224A JP6322493A JPH06248490A JP H06248490 A JPH06248490 A JP H06248490A JP 5063224 A JP5063224 A JP 5063224A JP 6322493 A JP6322493 A JP 6322493A JP H06248490 A JPH06248490 A JP H06248490A
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crystal
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Takahiro Gunji
貴浩 郡司
Yoshikazu Fujisawa
義和 藤澤
Katsumune Tabata
勝宗 田畑
Kenji Dousaka
健児 堂坂
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Honda Motor Co Ltd
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
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    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

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  • Sliding-Contact Bearings (AREA)
  • Shafts, Cranks, Connecting Bars, And Related Bearings (AREA)
  • Electroplating Methods And Accessories (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高強度な下層を持つ表面層を備えたカムシャ
フトを提供する。 【構成】 カムシャフト1は鋳鉄製母材と、母材のジャ
ーナル部3外周面に形成されて軸受部材5との摺動面4
aを有する表面層4とを備えている。表面層4は電気F
eメッキ処理により形成され、ジャーナル部3に密着す
る下層41 と下層41 に密着する上層42 とよりなる。
下層41 は体心立方構造を持つFe結晶の集合体より構
成される。その集合体は、ミラー指数で{211}面を
摺動面側4a側に向けた{211}配向性Fe結晶を含
む。その{211}配向性Fe結晶の存在率SはS≧3
0%である。{211}面は2次すべり面であるから、
{211}配向性Fe結晶は高い硬さを有し、その存在
率Sを前記のように設定すると、下層41 が高強度化と
なるので、表面層4の母材近傍域におけるクラックの発
生を回避することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、摺動部材、特に、金属
製母材と、その母材表面に対するメッキ処理により形成
されて相手部材との摺動面を有する表面層とを備えた摺
動部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種摺動部材としては、例えば
鋳鉄製母材のジャーナル部外周面に、耐焼付き性および
耐摩耗性の向上を狙ってFeメッキ層、Niメッキ層と
いった表面層を設けた内燃機関用カムシャフトが知られ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】内燃機関が高速、且つ
高出力化の傾向にある現在の状況下では、Feメッキ層
等は極めて過酷な摺動環境下におかれている。しかしな
がら従来のFeメッキ層等は比較的低硬度であって十分
な強度を持たないので、前記摺動環境下では、Feメッ
キ層等における最大負荷応力発生域である母材表面近傍
域にクラックが発生し易く、その上、オイル保持性、つ
まり保油性が十分でなく、また初期なじみ性も悪いため
耐焼付き性が乏しいという問題がある。特に、Niメッ
キ層の場合、母材表面に対して前記摺動環境に耐え得る
ような密着応力を持たないので、母材表面から剥離し易
い、といった問題を有する。
【0004】本発明は前記に鑑み、表面層を上、下二層
構成にすると共に、特に下層の結晶構造を特定すること
によって、その下層の高強度化を達成し、また母材に対
する密着応力を向上させることができるようにした前記
摺動部材を提供することを目的とする。
【0005】さらに、上層の結晶構造を特定することに
よって、その上層に十分な保油性と良好な初期なじみ性
を持たせ、これにより耐焼付き性を向上させることがで
きるようにした前記摺動部材を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1発明は、金属製母材
と、その母材表面に対するメッキ処理により形成されて
相手部材との摺動面を有する表面層とを備えた摺動部材
において、前記表面層は前記母材に密着する下層および
その下層に密着する上層よりなり、前記下層は体心立方
構造を持つ金属結晶の集合体より構成され、その集合体
は、ミラー指数で(2hhh)面を摺動面側に向けた
(2hhh)配向性金属結晶を含み、その(2hhh)
配向性金属結晶の存在率SはS≧30%であることを特
徴とする。
【0007】第2発明は、前記上層が体心立方構造を持
つ金属結晶の集合体より構成され、その集合体は、ミラ
ー指数で(hhh)面を摺動面側に向けた(hhh)配
向性金属結晶を含み、その(hhh)配向性金属結晶の
存在率SはS≧40%であることを特徴とする。
【0008】第3発明は、金属製母材と、その母材表面
に対するメッキ処理により形成されて相手部材との摺動
面を有する表面層とを備えた摺動部材において、前記表
面層は前記母材に密着する下層およびその下層に密着す
る上層よりなり、前記下層は面心立方構造を持つ金属結
晶の集合体より構成され、その集合体は、ミラー指数で
(hhh)面を摺動面側に向けた(hhh)配向性金属
結晶を含み、その(hhh)配向性金属結晶の存在率S
はS≧40%であることを特徴とする。
【0009】第4発明は、前記上層が面心立方構造を持
つ金属結晶の集合体より構成され、その集合体は、ミラ
ー指数で(3hhh)面を摺動面側に向けた(3hh
h)配向性金属結晶を含み、その(3hhh)配向性金
属結晶の存在率SはS≧40%であることを特徴とす
る。
【0010】
【作用】第1発明の下層において、体心立方構造を持つ
金属結晶の(2hhh)面は2次すべり面であり、した
がって(2hhh)配向性金属結晶は高い硬さを有し、
高強度である。そこで、(2hhh)配向性金属結晶の
存在率Sを前記のように設定すると、下層の高強度化を
達成することができる。ただし、(2hhh)配向性金
属結晶の存在率SがS<30%では、その結晶の存在量
の減少に伴い下層の強度が低下する。
【0011】第2発明の上層において、体心立方構造を
持つ金属結晶の集合体中に、ミラー指数で(hhh)面
を摺動面側に向けた(hhh)配向性金属結晶が含まれ
ると、その結晶は、柱状に成長し、摺動面においては角
錐状または角錐台状をなす。そこで、(hhh)配向性
金属結晶の存在率Sを前記のように設定すると、相隣る
両(hhh)配向性金属結晶は相互に食込んだ状態を呈
し、これにより摺動面は、多数の山部と、それら山部の
間に形成された多数の谷部と、山部相互の食込みに因る
多数の沢部とからなる入組んだ様相を呈するので、上層
の保油性が良好となる。また(hhh)配向性金属結晶
における先端部側の優先的摩耗によって上層の初期なじ
み性も良好である。ただし、(hhh)配向性金属結晶
の存在率SがS<40%では、(hhh)配向性金属結
晶の減少に伴い摺動面の様相が単純化傾向となるので、
上層の保油性および初期なじみ性が低下する。
【0012】第3発明の下層において、面心立方構造を
持つ金属結晶の(hhh)面は結晶最密面であり、した
がって(hhh)配向性金属結晶は高い硬さを有し、高
強度である。そこで、(hhh)配向性金属結晶の存在
率Sを前記のように設定すると、下層の高強度化を達成
することができる。また結晶最密面、したがって最も原
子密度が高く密着応力の強い(hhh)面が母材表面と
接することになるので、母材に対する下層の密着応力を
向上させることができる。ただし、(hhh)配向性金
属結晶の存在率SがS<40%では、その結晶の存在量
の減少に伴い下層の強度および密着応力が低下する。
【0013】第4発明の上層において、面心立方構造を
持つ金属結晶の集合体中に、ミラー指数で(3hhh)
面を摺動面側に向けた(3hhh)配向性金属結晶が含
まれると、その結晶は、柱状に成長し、摺動面において
は角錐状または角錐台状をなす。そこで(3hhh)配
向性金属結晶の存在率Sを前記のように設定すると、前
記同様に摺動面が入組んだ様相を呈するので、上層の保
油性が良好となる。また前記同様に、(3hhh)配向
性金属結晶における先端部側の優先的摩耗によって上層
の初期なじみ性も良好である。ただし、(3hhh)配
向性金属結晶の存在率SがS<40%では、(3hh
h)配向性金属結晶の減少に伴い前記同様に摺動面の様
相が単純化傾向となるので、上層の保油性および初期な
じみ性が低下する。
【0014】なお、各発明において、下層の上に上層を
メッキ処理により形成するので、両層間の密着応力は極
めて高い。
【0015】
【実施例】図1,図2において、摺動部材としての内燃
機関用カムシャフト1は、鋳鉄製母材2と、その母材2
のジャーナル部3外周面に対するメッキ処理により形成
されて相手部材である軸受部材5との摺動面4aを有す
る表面層4とを備えている。表面層4は、母材2に密着
する下層41 およびその下層41 に密着する上層42
りなる。
【0016】下層41 および上層42 は、体心立方構造
(bcc構造)を持つ金属結晶の集合体、または面心立
方構造を持つ金属結晶の集合体より構成される。
【0017】〔A〕bcc構造を持つ金属結晶の集合体
より構成される表面層について 下層41 を構成するbcc構造を持つ金属結晶の集合体
において、その集合体は、図3に示すようにミラー指数
で(2hhh)面を摺動面4a側に向けた(2hhh)
配向性金属結晶を含み、その(2hhh)配向性金属結
晶の存在率SはS≧30%に設定されている。
【0018】下層41 において、bcc構造を持つ金属
結晶の(2hhh)面は2次すべり面であり、したがっ
て(2hhh)配向性金属結晶は高い硬さを有し、高強
度である。そこで、(2hhh)配向性金属結晶の存在
率Sを前記のように設定すると、下層41 の高強度化を
達成することができる。
【0019】上層42 を構成するbcc構造を持つ金属
結晶の集合体において、その集合体は、図3に示すよう
にミラー指数で(hhh)面を摺動面4a側に向けた
(hhh)配向性金属結晶を含み、その(hhh)配向
性金属結晶の存在率SはS≧40%に設定されている。
【0020】図4、図5に示すように、(hhh)配向
性金属結晶6は下層41 より柱状に成長し、摺動面4a
においては、角錐状または角錐台状、図示例では三角錐
状をなす。そこで、(hhh)配向性金属結晶6の存在
率Sを前記のように設定すると、相隣る両(hhh)配
向性金属結晶6は相互に食込んだ状態を呈し、これによ
り摺動面4aは、多数の山部7と、それら山部7間の谷
部8と、山部7相互の食込みによる多数の沢部9とから
なる入組んだ様相を呈するので、上層42 の保油性が良
好となる。また三角錐状(hhh)配向性金属結晶6の
先端部が優先的に摩耗するので、上層42 の初期なじみ
性も良好となる。
【0021】図6に示すように、摺動面4aに沿う仮想
面10に対する(hhh)面の傾きは三角錐の傾きとな
って現われるので、上層42 の保油性および初期なじみ
性に影響を与える。そこで、(hhh)面が仮想面10
に対してなす傾き角θは0°≦θ≦15°に設定され
る。傾き角θがθ>15°になると、上層42 の保油性
および初期なじみ性が低下する。
【0022】bcc構造を持つ金属結晶としては、F
e、Cr、Mo、W、Ta、Zr、Nb、V等の単体ま
たは合金の結晶を挙げることができる。
【0023】下層41 および上層42 を形成するための
メッキ処理において、電気Feメッキ処理を行う場合の
基本的メッキ浴組成は、表1の通りである。
【0024】
【表1】 有機系添加剤としては、尿素、サッカリン等が用いられ
る。
【0025】表2は下層41 の、また表3は上層42
基本的処理条件をそれぞれ示す。
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】 前記条件下で行われる電気Feメッキ処理において、陰
極電流密度、メッキ浴pH、有機系添加剤の配合量等に
よって、(2hhh)配向性Fe結晶および(hhh)
配向性Fe結晶の析出およびその存在量を制御する。
【0028】〔B〕fcc構造を持つ金属結晶の集合体
より構成される表面層について 下層41 を構成するfcc構造を持つ金属結晶の集合体
において、その集合体は、図7に示すようにミラー指数
で(hhh)面を摺動面4a側に向けた(hhh)配向
性金属結晶を含み、その(hhh)配向性金属結晶の存
在率SはS≧40%に設定されている。
【0029】下層41 において、fcc構造を持つ金属
結晶の(hhh)面は結晶最密面であり、したがって
(hhh)配向性金属結晶は高い硬さを有し、高強度で
ある。そこで、(hhh)配向性金属結晶の存在率Sを
前記のように設定すると、下層41 の高強度化を達成す
ることができる。また結晶最密面、したがって最も原子
密度が高く密着応力の強い(hhh)面が母材2表面に
接することになるので、母材2に対する下層41 の密着
応力を向上させることができる。
【0030】上層42 を構成するfcc構造を持つ金属
結晶の集合体において、その集合体は、図7に示すよう
にミラー指数で(3hhh)面を摺動面4a側に向けた
(3hhh)配向性金属結晶を含み、その(3hhh)
配向性金属結晶の存在率SはS≧40%に設定されてい
る。
【0031】図8に示すように、(3hhh)配向性金
属結晶6は下層41 より柱状に成長し、摺動面4aにお
いては、角錐状または角錐台状、図示例では四角錐状を
なす。そこで、(3hhh)配向性金属結晶6の存在率
Sを前記のように設定すると、相隣る両(3hhh)配
向性金属結晶6は相互に食込んだ状態を呈し、これによ
り摺動面4aは、多数の山部7と、それら山部7間の谷
部8と、山部7相互の食込みによる多数の沢部9とから
なる入組んだ様相を呈するので、上層42 の保油性が良
好となる。また四角錐状(3hhh)配向性金属結晶6
の先端部が優先的に摩耗するので、上層42 の初期なじ
み性も良好となる。
【0032】図9に示すように、摺動面4aに沿う仮想
面10に対する(3hhh)面の傾きは四角錐の傾きと
なって現われるので、上層42 の保油性および初期なじ
み性に影響を与える。そこで、(3hhh)面が仮想面
10に対してなす傾き角θは0°≦θ≦15°に設定さ
れる。傾き角θがθ>15°になると、上層42 の保油
性および初期なじみ性が低下する。
【0033】fcc構造を持つ金属結晶としては、P
b、Ni、Cu、Pt、Al、Ag、Au等の単体また
は合金の結晶を挙げることができる。
【0034】下層41 および上層42 を電気Niメッキ
処理により形成する場合の基本的メッキ浴組成は、表4
の通りである。
【0035】
【表4】 表5は下層41 の、また表6は上層42 の基本的処理条
件をそれぞれ示す。
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】 前記条件下で行われる電気Niメッキ処理において、陰
極電流密度、メッキ浴pH等によって(hhh)配向性
Ni結晶および(3hhh)配向性Ni結晶の析出およ
びその存在量を制御する。
【0038】メッキ処理としては、電気メッキ処理の外
に、例えば気相メッキ法であるPVD法、CVD法、ス
パッタ法、イオンプレーティング等を挙げることができ
る。スパッタ法によりW、Moメッキを行う場合の条件
は、例えばAr圧力 0.2〜1Pa、Ar加速電力
直流 0.5〜1.5kW、母材温度 80〜300℃
である。CVD法によりWメッキを行う場合の条件は、
例えば原材料 WF6、ガス流量 2〜15cc/min 、
チャンバ内圧力 50〜300Pa、母材温度300〜
600℃である。スパッタ法によりPt、Alメッキを
行う場合の条件は、例えばAr圧力 0.8〜1Pa、
Ar加速電力 直流 200〜1000W、母材温度
80〜300℃である。CVD法によりAlメッキを行
う場合の条件は、例えば原材料 Al(CH3 3 、ガ
ス流量 1〜10cc/min 、チャンバ内圧力 50〜3
00Pa、母材温度 300〜600℃である。
【0039】以下、具体例について説明する。
【0040】〔A〕Fe結晶の集合体より構成される表
面層について (1)先ず、下層41 の硬さについて説明する。複数の
鋳鉄(FC 25相当材)製母材のチル層表面に、電気
Feメッキ処理を施すことによりFe結晶の集合体より
なる各種メッキ層1a〜5a、1b〜5bを形成した。
これらメッキ層は二群に分けられる。一群1a〜5a
は、(2hhh)配向性Fe結晶の存在率Sを15%≦
S≦100%に制御されていて下層41 に相当し、した
がって一群1a〜5aを下層41 の例1a〜5aとす
る。また二群1b〜5bは、(hhh)配向性Fe結晶
の存在率Sを21%≦S≦70%に制御されていて上層
2 に相当し、したがって二群1b〜5bを上層42
例1b〜5bとする。
【0041】表7、表8は、下層41 の例1a〜5aに
おける電気Feメッキ処理条件を示し、また表9,表1
0は上層42 の例1b〜5bにおける電気Feメッキ処
理条件を示す。
【0042】
【表7】
【0043】
【表8】
【0044】
【表9】
【0045】
【表10】 表11は、下層41 の例1a〜5aにおける表面の結晶
形態、Fe結晶の粒径、各配向性Fe結晶の存在率Sお
よび硬さをそれぞれ示す。表12は、上層42の例1b
〜5bにおける摺動面4aの結晶形態、Fe結晶の粒
径、各配向性Fe結晶の存在率Sおよび硬さをそれぞれ
示す。
【0046】
【表11】
【0047】
【表12】 存在率Sは、下層41 の例1a〜5a、上層42 の例1
b〜5bのX線回折図(X線照射方向は表面または摺動
面4aに対して直角方向)に基づいて次のような方法で
求められたものである。一例として、下層41 の例2a
について説明すると、図10は例2aのX線回折図であ
り、各配向性Fe結晶の存在率Sは次式から求められ
た。なお、例えば{110}配向性Fe結晶とは、{1
10}面を摺動面4a側に向けた配向性Fe結晶を意味
する。 {110}配向性Fe結晶:S110 ={(I110 /IA
110 )/T}×100、 {200}配向性Fe結晶:S200 ={(I200 /IA
200 )/T}×100、 {211}配向性Fe結晶:S211 ={(I211 /IA
211 )/T}×100、 {310}配向性Fe結晶:S310 ={(I310 /IA
310 )/T}×100、 {222}配向性Fe結晶:S222 ={(I222 /IA
222 )/T}×100 ここで、I110 、I200 、I211 、I310 、I222 は各
結晶面のX線反射強度の測定値(cps)であり、また
IA110 、IA200 、IA211 、IA310 、IA222
ASTMカードにおける各結晶面のX線反射強度比で、
IA110 =100、IA200 =20、IA211 =30、
IA310 =12、IA222 =6である。さらにTは、T
=(I110 /IA110 )+(I200 /IA200 )+(I
211 /IA211 )+(I310 /IA310 )+(I222
IA222 )である。
【0048】図11は、下層41 の例2aにおける表面
の結晶構造を示す顕微鏡写真(5000倍)である。図
11において多数の微細粒状をなす(2hhh)配向性
Fe結晶が観察される。この(2hhh)配向性Fe結
晶は(2hhh)面、したがって{211}面を摺動面
4a側に向けた{211}配向性Fe結晶であり、その
存在率Sは、表11,図10に示すようにS=75%で
ある。
【0049】図12は、上層42 の例3bのX線回折図
であり、図13は例3bにおける摺動面4aの結晶構造
を示す顕微鏡写真(5000倍)である。図13におい
て、多数の三角錐状をなす(hhh)配向性Fe結晶が
観察される。この(hhh)配向性Fe結晶は(hh
h)面、したがって{222}面を摺動面4a側に向け
た{222}配向性Fe結晶であり、その存在率Sは、
表12,図12に示すように、S=43%である。
【0050】図14は、表11,表12に示した下層4
1 の例1a〜5aおよび上層42 の例1b〜5bにおけ
る{211}配向性Fe結晶および{222}配向性F
e結晶の存在率Sと硬さHvとの関係をグラフ化したも
ので、図中、点1a〜5aは下層41 の例1a〜5a
に、点1b〜5bは上層42 の例1b〜5bにそれぞれ
対応する。
【0051】図14から明らかなように、下層41 にお
いては、例1a〜3aのように、{211}配向性Fe
結晶の存在率SをS≧30%に設定することによって、
その硬さを向上させて高強度化を達成することができ
る。一方、上層42 の例1b〜5bの場合、{211}
配向性Fe結晶の存在率SがS<30%であることか
ら、その硬さが低く、また{222}配向性Fe結晶の
存在率SをS≧30%に設定しても硬さは上昇しない。
【0052】(2)次に、下層41 の強度について説明
する。複数の鋳鉄(FC 25相当材)製母材2のチル
化されたジャーナル部3外周面に、先ず、電気Feメッ
キ処理を施すことにより前記例1a〜5aと同様の下層
1 を形成し、次いで下層41 の表面に電気Feメッキ
処理を施すことにより前記例3bと同様の上層42 を形
成して複数の内燃機関用カムシャフト1を製造した。各
下層41 の厚さは30μmに、また各上層42 の厚さは
5μmにそれぞれ設定された。
【0053】各表面層4について、ローラピッチングテ
ストを行って、下層41 における{211}配向性Fe
結晶の存在率Sとクラック発生応力との関係を調べたと
ころ、表13,図15の結果を得た。
【0054】ローラピッチングテストは次の方法で行わ
れた。即ち、ジャーナル部3における上層42 の摺動面
4aに、そのジャーナル部3の軸方向長さよりも短い軸
方向長さを持つ大径の鋼(SCM 420相当材)製押
圧ローラの浸炭処理済外周面を押圧し、ジャーナル部3
および押圧ローラを2000rpm で相互に逆方向に摺擦
回転させると共に押圧ローラによる押圧荷重を漸次増加
させ、またジャーナル部3および押圧ローラの摺擦域に
50℃のオイルを供給量100ml/min の条件で供給す
るもので、下層41 におけるクラックの有無は光学セン
サにより調べた。
【0055】
【表13】 図15は、表13をグラフ化したもので、図中、点1a
〜5aは下層41 の例1a〜5aにそれぞれ対応する。
表13,図15から明らかなように、下層41における
{211}配向性Fe結晶の存在率SをS≧30%に設
定すると、その高強度化を達成してクラック発生応力を
大幅に向上させることができる。
【0056】(3)次に、上層42 の耐焼付き性につい
て説明する。前記同様の複数の鋳鉄製母材2のチル化さ
れたジャーナル部3外周面に、先ず、電気Feメッキ処
理を施すことにより前記例2aと同様の下層41 を形成
し、次いで下層41 の表面に電気Feメッキ処理を施す
ことにより前記例1b〜5bと同様の上層42 を形成し
て複数の内燃機関用カムシャフト1を製造した。また比
較のため、下層41 の前記例2aと同様のメッキ層を上
層42 とするカムシャフトを製造した。
【0057】各表面層4について、チップオンディスク
方式による焼付きテストを行って、上層42 における
{222}配向性Fe結晶の存在率Sと焼付き発生荷重
との関係を求めたところ、表14、図16の結果を得
た。テスト条件は次の通りである。ディスクの材質 A
l−10重量%Si合金、ディスクの回転速度 15m
/sec 、給油量0.3ml/min 、カムシャフトより製作
されたチップの摺動面の面積 1cm2
【0058】
【表14】 図16は、表14をグラフ化したもので、図中、点1b
〜5b,2aは上層42 の例1b〜5b,2aにそれぞ
れ対応する。表14、図16から明らかなように、{2
22}配向性Fe結晶の存在率SがS≧40%である例
1b〜3bにおいては、摺動面4aの保油性および初期
なじみ性が良好になるので、焼付き発生荷重が例4b,
5b,2aに比べて大幅に向上するものである。
【0059】(4)次に、下層41 の例1a〜5aにお
ける析出速度と{211}配向性Fe結晶の存在率Sと
の関係、および上層42 の例1b〜5bにおける析出速
度と{222}配向性Fe結晶の存在率Sとの関係を調
べたところ、表15,図17の結果を得た。
【0060】
【表15】 図17は表15をグラフ化したもので、図中、点1a〜
5aは下層41 の例1a〜5aに、点1b〜5bは上層
2 の例1b〜5bにそれぞれ対応する。図17,表1
5から明らかなように下層41 の形成に当り、例1a〜
3aのように{211}配向性Fe結晶の存在率SがS
≧30%となるように制御すると、下層41 の析出速度
を増すことができる。高面圧の摺動環境下では、下層4
1 と母材2との界面における負荷応力をできる限り小さ
くするため下層41 を厚く形成する必要があるが、前記
のように{211}配向性Fe結晶の存在率Sを制御す
ると、厚い下層41 を能率良く形成することが可能であ
り、これはカムシャフト1の生産性を向上させる上で極
めて有効である。
【0061】例えば、{222}配向性Fe結晶の存在
率Sを制御して下層41 を厚く形成すると、図17,表
15に示すように、その下層41 の析出速度が極めて遅
いため、カムシャフト1の生産性が低下する。
【0062】〔B〕Ni結晶の集合体より構成される表
面層について (1)先ず、下層41 の硬さについて説明する。複数の
鋳鉄(FC 25相当材)製母材のチル層表面に、電気
Niメッキ処理を施すことによりNi結晶の集合体より
なる各種メッキ層1a〜6a、1b〜3bを形成した。
これらメッキ層は二群に分けられる。一群1a〜6a
は、(hhh)配向性Ni結晶の存在率Sを17.3%
≦S≦75.3%に制御されていて下層41 に相当し、
したがって一群1a〜6aを下層41 の例1a〜6aと
する。また二群1b〜3bは、(3hhh)配向性Ni
結晶の存在率Sを40.4%≦S≦75%に制御されて
いて上層42 に相当し、したがって二群1b〜3bを上
層42 の例1b〜3bとする。なお、この場合の各例1
a〜6a、1b〜3bの析出速度は同一であって1μm
/min であった。
【0063】表16,表17は、下層41 の例1a〜6
aにおける電気Niメッキ処理条件を示し、また表1
8,表19は上層42 の例1b〜3bにおける電気Ni
メッキ処理条件を示す。
【0064】
【表16】
【0065】
【表17】
【0066】
【表18】
【0067】
【表19】 表20は、下層41 の例1a〜6aにおける表面の結晶
形態、Ni結晶の粒径、各配向性Ni結晶の存在率Sお
よび硬さをそれぞれ示す。表21は、上層42の例1b
〜3bにおける摺動面4aの結晶形態、Ni結晶の粒
径、各配向性Ni結晶の存在率Sおよび硬さをそれぞれ
示す。
【0068】
【表20】
【0069】
【表21】 存在率Sは、下層41 の例1a〜6a、上層42 の例1
b〜3bのX線回折図(X線照射方向は表面または摺動
面4aに対して直角方向)に基づいて次のような方法で
求められたものである。一例として、下層41 の例2a
について説明すると、図18は例2aのX線回折図であ
り、各配向性Ni結晶の存在率Sは次式から求められ
た。なお、例えば{111}配向性Ni結晶とは、{1
11}面を摺動面4a側に向けた配向性Ni結晶を意味
する。 {111}配向性Ni結晶:S111 ={(I111 /IA
111 )/T}×100、 {200}配向性Ni結晶:S200 ={(I200 /IA
200 )/T}×100、 {220}配向性Ni結晶:S220 ={(I220 /IA
220 )/T}×100、 {311}配向性Ni結晶:S311 ={(I311 /IA
311 )/T}×100 ここで、I111 、I200 、I220 、I311 は各結晶面の
X線反射強度の測定値(cps)であり、またI
111 、IA200 、IA220 、IA311 はASTMカー
ドにおける各結晶面のX線反射強度比で、IA111 =1
00、IA200 =42、IA220 =21、IA311 =2
0である。さらにTは、T=(I111 /IA111 )+
(I200 /IA200 )+(I220 /IA220 )+(I
311 /IA311 )である。
【0070】図19は、下層41 の例2aにおける表面
の結晶構造を示す顕微鏡写真(5000倍)である。図
19において多数の微細粒状(hhh)配向性Ni結晶
より形成された平滑面が観察される。この(hhh)配
向性Ni結晶は(hhh)面、したがって{111}面
を摺動面4a側に向けた{111}配向性Ni結晶であ
り、その存在率Sは、表20、図18に示すようにS=
58.1%である。
【0071】図20は、上層42 の例2bのX線回折図
であり、図21は例2bにおける摺動面4aの結晶構造
を示す顕微鏡写真(5000倍)である。図21におい
て、多数の四角錐状をなす(3hhh)配向性Ni結晶
が観察される。この(3hhh)配向性Ni結晶は(3
hhh)面、したがって{311}面を摺動面4a側に
向けた{311}配向性Ni結晶であり、その存在率S
は、表21,図20に示すように、S=64.8%であ
る。
【0072】図22は、表20,表21に示した下層4
1 の例1a〜6a、上層42 の1b〜3bにおける{1
11}配向性Ni結晶および{311}配向性Ni結晶
の存在率Sと硬さHvとの関係をグラフ化したもので、
図中、点1a〜6aは下層41 の例1a〜6aに、点1
b〜3bは上層42 の例1b〜3bにそれぞれ対応す
る。図22から明らかなように、下層41 においては、
例1a〜3aのように、{111}配向性Ni結晶の存
在率SをS≧40%に設定することによって、その硬さ
を向上させて高強度化を達成することができる。一方、
上層42 の例1b〜3bの場合、{111}配向性Ni
結晶の存在率SがS<40%であることから、その硬さ
が低く、また{311}配向性Ni結晶の存在率SをS
≧40%に設定しても硬さは上昇しない。
【0073】(2)次に、下層41 の強度について説明
する。複数の鋳鉄(FC 25相当材)製母材2のチル
化されたジャーナル部3外周面に、先ず、電気Niメッ
キ処理を施すことにより前記例1a〜6aと同様の下層
1 を形成し、次いで下層41 の表面に電気Niメッキ
処理を施すことにより前記例2bと同様の上層42 を形
成して複数の内燃機関用カムシャフト1を製造した。各
下層41 の厚さは30μmに、また上層42 の厚さは5
μmにそれぞれ設定された。
【0074】各表面層4について、前記と同一条件下で
ローラピッチングテストを行って、下層41 における
{111}配向性Ni結晶の存在率Sとクラック発生応
力との関係を調べたところ、表22,図23の結果を得
た。
【0075】
【表22】 図23は、表22をグラフ化したもので、図中、点1a
〜6aは下層41 の例1a〜6aにそれぞれ対応する。
表22,図23から明らかなように、下層41における
{111}配向性Ni結晶の存在率SをS≧40%に設
定すると、その高強度化を達成してクラック発生応力を
大幅に向上させることができる。
【0076】(3)次に、上層42 の耐焼付き性につい
て説明する。前記同様の複数の鋳鉄製母材2のチル化さ
れたジャーナル部3外周面に、先ず、電気Niメッキ処
理を施すことにより前記例2aと同様の下層41 を形成
し、次いで下層41 の表面に電気Niメッキ処理を施す
ことにより前記例1b〜3bと同様の上層42 を形成し
て複数の内燃機関用カムシャフト1を製造した。また比
較のため、下層41 の前記例1a,3aと同様のメッキ
層を上層42 とする二種のカムシャフト1を製造した。
【0077】各表面層4について、前記と同一条件下で
チップオンディスク方式による焼付きテストを行って、
上層42 における{311}配向性Ni結晶の存在率S
と焼付き発生荷重との関係を求めたところ、表23、図
24の結果を得た。
【0078】
【表23】 図24は、表23をグラフ化したもので、図中、点1b
〜3b,1a,3aは上層42 の例1b〜3b,1a,
3aにそれぞれ対応する。表23,図24から明らかな
ように、{311}配向性Ni結晶の存在率SがS≧4
0%である例1b〜3bにおいては、摺動面4aの保油
性および初期なじみ性が良好になるので、焼付き発生荷
重が例1a,3aに比べて大幅に向上するものである。
【0079】(4)次に、下層41 の例1a〜6aと上
層42 の例2bとよりなる6種の表面層4について密着
性能テストを行い、下層41 における{111}配向性
Ni結晶の存在率Sと密着応力との関係を求めたとこ
ろ、表24,図25の結果を得た。密着性能テストは、
各カムシャフト1より直径12mmのテストピースを切出
し、次いで各テストピースの上層42 にロッドをエポキ
シ系接着剤を用いて接着し、その後テストピースおよび
ロッドを引張って、下層41 が母材2から剥離したとき
の応力を求める、といった方法で行われた。表24,図
25にはその時の応力を密着応力として表わしてある。
【0080】
【表24】 図25は、表24をグラフ化したもので、図中、点1a
〜6aは下層41 の例1a〜6aにそれぞれ対応する。
表24,図25から明らかなように、{111}配向性
Ni結晶の存在率SがS≧40%である例1a〜3aは
例4a〜6aに比べて密着応力が大幅に向上する。な
お、上,下層42 ,41 間は、それらが同一材質である
ことから極めて密着性が良い。
【0081】前記表面層は、次のような内燃機関用摺動
部材等の摺動部にも適用される。ピストン(スカート
部、ランド部、リング溝、ピン孔)、ピストンリング、
ピストンピン、コンロッド、クランクシャフト、軸受メ
タル、オイルポンプロータ、オイルポンプロータハウジ
ング、カムシャフト(カム面)、スプリング(端面)、
スプリングシート、スプリングリテーナ、コッタ、ロッ
カアーム、ローラベアリングアウタケース、ローラベア
リングインナケース、バルブステム、バルブフェイス、
油圧タペット、ウオータポンプロータシャフト、プー
リ、ギア、トランスミッションシャフト部、クラッチプ
レート、ワッシャ、ボルト(座面、ねじ部)、シリン
ダ、カムシャフトの軸受、チエン、金属ベルト、ディフ
ァレンシャルピニオンシャフト。
【0082】
【発明の効果】第1,第3発明によれば、表面層の下層
における結晶構造を前記のように特定することによっ
て、その下層の高強度化を達成し、これにより表面層の
母材表面近傍域におけるクラックの発生を回避し得る摺
動部材を提供することができる。
【0083】第2,第4発明によれば、表面層の上層に
おける結晶構造を前記のように特定することによって、
前記効果に加え、上層の保油性および初期なじみ性を良
好にし、これにより耐焼付き性の優秀な表面層を備えた
摺動部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カムシャフトの要部斜視図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】体心立方構造およびその(2hhh)面、(h
hh)面を示す斜視図である。
【図4】表面層の一例を示す要部斜視図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】体心立方構造における(hhh)面の傾きを示
す説明図である。
【図7】面心立方構造およびその(3hhh)面,(h
hh)面を示す斜視図である。
【図8】表面層の他例を示す要部平面図である。
【図9】面心立方構造における(3hhh)面の傾きを
示す説明図である。
【図10】下層の一例におけるX線回折図である。
【図11】下層の一例における表面の結晶構造を示す顕
微鏡写真である。
【図12】上層の一例におけるX線回折図である。
【図13】上層の一例における摺動面の結晶構造を示す
顕微鏡写真である。
【図14】{211}配向性Fe結晶または{222}
配向性Fe結晶の存在率と硬さとの関係を示すグラフで
ある。
【図15】{211}配向性Fe結晶の存在率Sとクラ
ック発生応力との関係を示すグラフである。
【図16】{222}配向性Fe結晶の存在率と焼付き
発生荷重との関係を示すグラフである。
【図17】{211}配向性Fe結晶または{222}
配向性Fe結晶の存在率と析出速度との関係を示すグラ
フである。
【図18】下層の他例におけるX線回折図である。
【図19】下層の他例における表面の結晶構造を示す顕
微鏡写真である。
【図20】上層の他例におけるX線回折図である。
【図21】上層の他例における摺動面の結晶構造を示す
顕微鏡写真である。
【図22】{111}配向性Ni結晶または{311}
配向性Ni結晶の存在率と硬さとの関係を示すグラフで
ある。
【図23】{111}配向性Ni結晶の存在率とクラッ
ク発生応力との関係を示すグラフである。
【図24】{311}配向性Ni結晶の存在率と焼付き
発生荷重との関係を示すグラフである。
【図25】{111}配向性Ni結晶の存在率と密着応
力との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 カムシャフト(摺動部材) 2 母材 4 表面層 41 下層 42 上層 4a 摺動面 5 軸受部材(相手部材) 6 (hhh)配向性金属結晶(bcc構造),
(3hhh)配向性金属結晶(fcc構造)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堂坂 健児 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属製母材と、その母材表面に対するメ
    ッキ処理により形成されて相手部材との摺動面を有する
    表面層とを備えた摺動部材において、前記表面層は前記
    母材に密着する下層およびその下層に密着する上層より
    なり、前記下層は体心立方構造を持つ金属結晶の集合体
    より構成され、その集合体は、ミラー指数で(2hh
    h)面を摺動面側に向けた(2hhh)配向性金属結晶
    を含み、その(2hhh)配向性金属結晶の存在率Sは
    S≧30%であることを特徴とする摺動部材。
  2. 【請求項2】 前記上層は体心立方構造を持つ金属結晶
    の集合体より構成され、その集合体は、ミラー指数で
    (hhh)面を摺動面側に向けた(hhh)配向性金属
    結晶を含み、その(hhh)配向性金属結晶の存在率S
    はS≧40%である、請求項1記載の摺動部材。
  3. 【請求項3】 金属製母材と、その母材表面に対するメ
    ッキ処理により形成されて相手部材との摺動面を有する
    表面層とを備えた摺動部材において、前記表面層は前記
    母材に密着する下層およびその下層に密着する上層より
    なり、前記下層は面心立方構造を持つ金属結晶の集合体
    より構成され、その集合体は、ミラー指数で(hhh)
    面を摺動面側に向けた(hhh)配向性金属結晶を含
    み、その(hhh)配向性金属結晶の存在率SはS≧4
    0%であることを特徴とする摺動部材。
  4. 【請求項4】 前記上層は面心立方構造を持つ金属結晶
    の集合体より構成され、その集合体は、ミラー指数で
    (3hhh)面を摺動面側に向けた(3hhh)配向性
    金属結晶を含み、その(3hhh)配向性金属結晶の存
    在率SはS≧40%である、請求項3記載の摺動部材。
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