JP3283998B2 - 摺動面構成体 - Google Patents

摺動面構成体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は摺動面構成体、特に、摺
動面を形成する多数の角錐状金属結晶を備えた金属結晶
集合体よりなる摺動面構成体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種摺動面構成体としては、例
えば内燃機関用ピストンにおいて、Al合金製母材の外
周面に、耐摩耗性の向上を狙って設けられるFeメッキ
層が知られている。
【0003】しかしながら、内燃機関が高速、且つ高出
力化の傾向にある現在の状況下では、従来の摺動面構成
体はその摺動面が比較的平滑であることに起因してオイ
ル保持性、つまり保油性が十分でなく、耐焼付き性が乏
しいという問題があった。
【0004】そこで、本出願人は、先に、摺動面構成体
としてその摺動面に多数の角錐状金属結晶を有するもの
を開発した(例えば、特願平4−351333号明細書
および図面参照)。
【0005】このように構成すると、相隣る両角錐状金
属結晶は相互に食込んだ状態を呈し、したがって摺動面
にはオイル溜りとなる多数の微細な谷部が存在するの
で、摺動面構成体の保油性が良好となる。これにより摺
動面構成体の耐焼付き性の向上が図られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記摺動面
構成体について種々検討を加えたところ、より苛酷な摺
動環境においては、角錐状金属結晶の硬さが比較的低い
ため、摺動に際し、角錐状金属結晶の先端部側が塑性変
形して摺動面の谷部が変形、消失等すると共に前記先端
部側が引きちぎられたように摩耗して鋸刃状となり、そ
の結果、谷部による保油性が低下し、また摩擦係数が増
大するため摺動特性が大幅に低下する、ということが判
明した。
【0007】本発明は前記に鑑み、角錐状金属結晶の硬
さを向上させると共に摺動に際し、その角錐状金属結晶
の先端部側を、その高さ方向と交差する方向に剪断して
摩耗させることにより、谷部による保油性を確保し、ま
た面対面の摺動を現出させて摩擦係数を低減し、これに
より摺動特性を大いに向上させることができるようにし
た前記摺動面構成体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、摺動面を形成
する多数の角錐状金属結晶を備えた金属結晶集合体より
なる摺動面構成体において、前記摺動面における前記角
錐状金属結晶の面積率AがA≧40%であり、また前記
金属結晶集合体はH(水素)を含有し、そのH含有量は
H≧0.01重量%であって、そのHの少なくとも一部
は前記角錐状金属結晶内に存在することを特徴とする。
【0009】
【作用】角錐状金属結晶の面積率Aを前記のように設定
すると、相隣る両角錐状金属結晶は相互に食込んだ状態
を呈し、したがって摺動面は、オイル溜りとなる多数の
微細な谷部を有する。
【0010】また金属結晶集合体におけるH含有量を前
記のように設定すると、角錐状金属結晶の硬さを高める
と共にそのHの少なくとも一部を角錐状金属結晶内に存
在させることが可能である。
【0011】このような摺動面構成体においては、摺動
に際し、角錐状金属結晶の先端部側の塑性変形が回避さ
れると共にそのH含有に伴う脆性に起因して角錐状金属
結晶の先端部側は、その高さ方向と交差する方向に剪断
されて摩耗する。その結果、谷部による保油性が確保さ
れ、また面対面の摺動が現出するので摩擦係数が低減さ
れ、これにより摺動面構成体は優れた摺動特性を発揮す
る。
【0012】なお、角錐状金属結晶の面積率AがA<4
0%では谷部の存在量が減少するので望ましくない。一
方、H含有量がH<0.01重量%では角錐状金属結晶
の硬さ向上度合が低くなり、またその角錐状金属結晶内
のH存在量が減少するため前記剪断が行われなくなる。
一方、H含有量の上限値はH=0.1重量%であること
が望ましく、H>0.1重量%では、摺動面構成体の硬
さHmVがHmV≧900となるため、その摺動面構成
体が割れ易くなる。
【0013】
【実施例】図1において、内燃機関用ピストン1はAl
合金製母材2を有し、その母材2のランド部31 および
スカート部32 外周面に、メッキ処理により層状摺動面
構成体4が形成される。
【0014】図2に示すように、摺動面構成体4は、実
施例では体心立方構造(bcc構造)を持つ金属結晶集
合体より構成され、その金属結晶集合体は、図3に示す
ように、母材2より柱状に成長し、且つミラー指数で
(hhh)面を、摺動面4a側に向けた多数の(hh
h)配向性金属結晶5を有する。またその集合体は、母
材2より柱状に成長し、且つミラー指数で(2hhh)
面を摺動面4a側に向けた多数の(2hhh)配向性金
属結晶を有する場合もある。
【0015】前記のようにbcc構造を持つ金属結晶集
合体がミラー指数で(hhh)面を摺動面4a側に向け
た多数の(hhh)配向性金属結晶5を有する場合、そ
れら(hhh)配向性金属結晶5の先端部を、図4に示
すように摺動面4aにおいて六角錐状金属結晶6に、ま
たは図5に示すように三角錐状金属結晶7に形成するこ
とができる。六角錐状金属結晶6は、三角錐状金属結晶
7に比べて平均粒径が小さく、且つ粒径も略均一であ
る。(hhh)配向性金属結晶5において、粒径と高さ
との間には相関関係があり、したがって粒径が略均一で
ある、ということは高さも略等しいということである。
【0016】またbcc構造を持つ金属結晶の集合体が
ミラー指数で(2hhh)面を摺動面4a側に向けた多
数の(2hhh)配向性金属結晶を有する場合、それら
(2hhh)配向性金属結晶の先端部を小角錐状金属結
晶に形成することができる。
【0017】摺動面4aにおいて、六、三角錐状金属結
晶6,7および小角錐状金属結晶といった角錐状金属結
晶の面積率AはA≧40%に設定される。このように面
積率Aを設定すると、例えば、図4に示すように六角錐
状金属結晶6において、相隣るものは相互に食込んだ状
態を呈し、したがって摺動面4aは、オイル溜りとなる
多数の極微細な谷部8を有する。
【0018】一方、金属結晶集合体におけるH含有量は
H≧0.01重量%に設定される。このようにH含有量
を設定すると、六角錐状金属結晶6等の硬さを高めると
共にそのHの少なくとも一部を六角錐状金属結晶6等の
内部に存在させることが可能である。
【0019】このような摺動面構成体4においては、摺
動に際し、六角錐状金属結晶6等の先端部側の塑性変形
が回避されると共にそのH含有に伴う脆性に起因して六
角錐状金属結晶6等の先端部側は、その高さ方向と交差
する方向に剪断されて摩耗する。その結果、谷部8によ
る保油性が確保され、また面対面の摺動が現出するので
摩擦係数が低減され、これにより摺動面構成体4は優れ
た摺動特性を発揮する。
【0020】前記のような剪断が行なわれる理由の1つ
として、摺動テスト後における摺動面構成体縦断面の結
晶構造を示す顕微鏡写真から次のような現象を推測でき
る。例えば、六角錐状金属結晶6は、図6に示すように
多数の立方格子9を積重ねた構造を有し、その六角錐状
金属結晶6の内部における高さ方向aと交差関係、図示
例では直交関係にある結晶面、したがって(hhh)面
にHの少なくとも一部が存在し、摺動に際しては、六角
錐状金属結晶6の先端部側が、図7に示すように所定の
(hhh)面にて剪断される、と考えられる。この場
合、(hhh)面は表面エネルギが高い結晶面であるか
ら、剪断により生じた平滑面はオイルに対する濡れ性が
良好であり、したがって摩耗後の摺動面4aには直ちに
油膜が形成される。
【0021】図8に示すように、摺動面4aに沿う仮想
面10に対する(hhh)面の傾きは六、三角錐状金属
結晶6,7の傾きとなって現われるので、摺動面構成体
4の保油性および耐摩耗性に影響を与える。そこで、
(hhh)面が仮想面10に対してなす傾き角θは0°
≦θ≦15°に設定される。この場合、(hhh)面の
傾き方向については限定されない。傾き角θがθ>15
°になると、摺動面構成体4の保油性および耐摩耗性が
低下する。この傾き角θは(2hhh)面についても同
じである。
【0022】bcc構造を持つ金属結晶としては、F
e、Cr、Mo、W、Ta、Zr、Nb、V等の単体ま
たは合金の結晶を挙げることができる。
【0023】摺動面構成体4を形成するためのメッキ処
理において、電気Feメッキ処理を行う場合のメッキ浴
条件は、表1の通りである。
【0024】
【表1】 通電法としては、主としてパルス電流法が適用される。
パルス電流法においては、図9に示すように、メッキ用
電源の電流Iは、その電流Iが最小電流Iminから立上
って最大電流Imax に至り、次いで最小電流Imin へ下
降するごとく、時間Tの経過に伴いパルス波形を描くよ
うに制御される。
【0025】そして、電流Iの立上り開始時から下降開
始時までの通電時間をTONとし、また先の立上り開始時
から次の立上り開始時までを1サイクルとして、そのサ
イクル時間をTC としたとき、通電時間TONとサイクル
時間TC との比、即ち、時間比TON/TC はTON/TC
≦0.45に設定される。また最大陰極電流密度CDm
axはCDmax≧6A/dm2 に、また平均陰極電流密
度CDmはCDm≧3A/dm2 にそれぞれ設定される。
【0026】このようなパルス電流法を適用すると、メ
ッキ浴内において電流が流れたり、流れなかったりする
ことに起因して陰極近傍のイオン濃度が均一化され、こ
れにより摺動面構成体4の組成を安定化させることがで
きる。
【0027】前記電気Feメッキ処理において、メッキ
浴条件および通電条件を変えることによって(hhh)
配向性Fe結晶または(2hhh)配向性Fe結晶の析
出、その存在量等を制御する。またH含有量は、主とし
てメッキ浴の温度を変えることによって制御される。こ
の場合摺動面構成体4におけるH含有量は極めて少ない
ので、その量を正確に制御するため、電気Feメッキ処
理中、メッキ浴と同一組成および同一温度に調整された
補充液を陽、陰極間に所定の供給量にて供給する。これ
を行わない場合には、陽、陰極間に存するメッキ浴が加
熱されてその温度にばらつきが生じるため、摺動面構成
体4におけるH含有量の制御が困難となる。
【0028】メッキ処理としては、電気メッキ処理の外
に、例えば気相メッキ法であるPVD法、CVD法、ス
パッタ法、イオンプレーティング等を挙げることができ
る。スパッタ法によりW、Moメッキを行う場合の条件
は、例えばAr圧力 0.2〜1Pa、平均Ar加速電
力 直流1〜1.5kW、母材温度 150〜300℃
である。CVD法によりWメッキを行う場合の条件は、
例えば原材料 WF6、ガス流量 2〜15cc/min 、
チャンバ内圧力 50〜300Pa、母材温度400〜
600℃、ArFエキシマレーザの平均出力 5〜40
Wである。この気相メッキ法において、チャンバ内にH
を流通させることにより、金属結晶集合体にHを含有さ
せることができる。
【0029】以下、具体例について説明する。
【0030】Al合金よりなる母材2のランド部31
よびスカート部32 外周面に、電気Feメッキ処理を施
すことによりFe結晶の集合体より構成された厚さ15
μmの摺動面構成体4を形成して複数の内燃機関用ピス
トン1を製造した。
【0031】摺動面構成体の各例において、表2は例1
〜8の、表3は例9〜15の電気Feメッキ処理条件を
それぞれ示す。なお、メッキ処理時間は、例1〜15に
おける厚さを前記のように15μmに設定すべく、10
〜60分間の範囲内で種々変化させた。また前記補充液
の供給量は0.5リットル/min に設定された。
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】 表4は例1〜8、表5は例9〜15に関する摺動面の結
晶形態、摺動面における三、六角錐状Fe結晶の面積率
Aおよび粒径、各配向性Fe結晶の存在率S、H含有量
ならびに摺動面構成体縦断面における硬さをそれぞれ示
す。
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】 三、六角錐状Fe結晶の面積率Aは、摺動面の面積を
a、その摺動面において全部の三、六角錐状Fe結晶が
占める面積をbとしたとき、A=(b/a)×100
(%)として求められた。また六角錐状Fe結晶の粒径
は、頂点を挟んで相対向する両角部間の距離、即ち、三
つの距離の平均値である。三角錐状Fe結晶の粒径は、
各角部から頂点を通って各対向辺に至る距離、即ち、三
つの距離の平均値である。H含有量の測定には、日本工
業規格に規定された熱伝導度法が採用された。各表にお
けるH含有量は金属結晶集合体、したがって摺動面構成
体全体における値である。
【0036】存在率Sは、例1〜15のX線回折図(X
線照射方向は摺動面に対して直角方向)に基づいて次の
ような方法で求められたものである。一例として、例5
について説明すると、図10は例5のX線回折図であ
り、各配向性Fe結晶の存在率Sは次式から求められ
た。なお、例えば{110}配向性Fe結晶とは、{1
10}面を摺動面4a側に向けた配向性Fe結晶を意味
する。 {110}配向性Fe結晶:S110 ={(I110 /IA
110 )/T}×100、 {200}配向性Fe結晶:S200 ={(I200 /IA
200 )/T}×100、 {211}配向性Fe結晶:S211 ={(I211 /IA
211 )/T}×100、 {310}配向性Fe結晶:S310 ={(I310 /IA
310 )/T}×100、 {222}配向性Fe結晶:S222 ={(I222 /IA
222 )/T}×100 ここで、I110 、I200 、I211 、I310 、I222 は各
結晶面のX線反射強度の測定値(cps)であり、また
IA110 、IA200 、IA211 、IA310 、IA222
ASTMカードにおける各結晶面のX線反射強度比で、
IA110 =100、IA200 =20、IA211 =30、
IA310 =12、IA222 =6である。さらにTは、T
=(I110 /IA110 )+(I200 /IA200 )+(I
211 /IA211 )+(I310 /IA310 )+(I222
IA222 )である。
【0037】図11は例5における摺動面の結晶構造を
示す顕微鏡写真であり、多数の六角錐状Fe結晶が観察
される。この場合、表4に示すように、六角錐状Fe結
晶の面積率AはA=90%である。この六角錐状Fe結
晶は(hhh)面、したがって{222}面を摺動面側
に向けた{222}配向性Fe結晶であり、その{22
2}配向性Fe結晶の存在率Sは、表4、図10に示す
ように、S=90.9%である。
【0038】図12は、例1〜15におけるH含有量と
硬さとの関係をグラフ化したものである。図中、点
(1)〜(15)は例1〜15にそれぞれ対応する。図
12より、H含有量をH≧0.01重量%に設定する
と、硬さが急激に上昇することが判る。
【0039】次に、例1〜15を有するディスクを作製
し、それらについて、潤滑下でチップオンディスク方式
による摺動テストを行って、各例の摩擦係数μを測定し
たところ、表6の結果を得た。テスト条件は次の通りで
ある。チップの材質 JISFC25、ディスクの材質
Al−10重量%Si合金、ディスクの回転速度15
m/sec 、給油量 40cc/min 、チップの摺動面の面
積 2cm2 、チップに対する圧力 10MPa。
【0040】
【表6】 図13は、例1〜15に関するH含有量および三、六角
錐状Fe結晶の面積率Aと、摩擦係数μとの関係を示
す。図中、点(1)〜(15)は例1〜15にそれぞれ
対応する。
【0041】図14は、例1の前記摺動テスト後におけ
る縦断面の結晶構造を示す顕微鏡写真であり、また図1
5は、例5の前記摺動テスト後における縦断面の結晶構
造を示す顕微鏡写真である。
【0042】図13から明らかなように、三、六角錐状
Fe結晶の面積率AをA≧40%に、またH含有量をH
≧0.01重量%にそれぞれ設定された例3〜5、7,
8,11,12は他の例に比べて摩擦係数μが低減して
いる。
【0043】これは、代表例である例5について図15
に示すように、六角錐状Fe結晶の先端部側の塑性変形
が回避され、またその先端部側が{222}面にて剪断
されて摩耗することにより台形状をなす、即ち面対面の
摺動が現出することに起因する。例1の場合、図14に
示すように、六角錐状Fe結晶の先端部側が塑性変形す
ると共にその先端部側が引きちぎられたように摩耗して
鋸刃状をなす。
【0044】摩擦係数μの低減効果は、同一面積率Aお
よび同一H含有量において、六角錐状Fe結晶を有する
例3〜5の方が三角錐状Fe結晶を有する例7,8に比
べて大きい。したがって摺動特性向上の観点からは、摺
動面を六角錐状Fe結晶によって形成する方が有利であ
る。例13〜15の場合、三角錐状Fe結晶の面積率A
がA<40重量%であって摺動抵抗が高いため、摩擦係
数μは他の例に比べて高く、またH含有量と無関係に略
一定である。前記のような摺動状況は無潤滑下において
も同様である。
【0045】図16に示すように、柱状(hhh)配向
性金属結晶5が、その(hhh)面が前記傾き角θを持
つように成長している場合には、その高さ方向aと筋交
いの関係にあり、且つ(hhh)面に対する傾き角がθ
である結晶面、即ち、(hh0)面または(2hhh)
面において前記剪断が発生すると推測される。
【0046】なお、前記摺動面構成体はピストンに限ら
ず、ピストンピン、ピストンリング等の各種摺動部材に
適用される。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、前記のように特定され
た構造を具備することによって、高面圧下等のより苛酷
な摺動環境下で用いられた場合にも、優れた摺動特性を
発揮する摺動面構成体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ピストンの要部破断正面図である。
【図2】体心立方構造およびその(hhh)面、(2h
hh)面を示す斜視図である。
【図3】摺動面構成体の要部拡大縦断面図である。
【図4】摺動面構成体の要部拡大平面図である。
【図5】三角錐状金属結晶の拡大平面図である。
【図6】角錐状金属結晶の模型図である。
【図7】角錐状金属結晶の摩耗を説明する模型図であ
る。
【図8】体心立方構造における(hhh)面の傾きを示
す説明図である。
【図9】電気メッキ用電源の出力波形図である。
【図10】摺動面構成体のX線回折図である。
【図11】摺動面の結晶構造を示す顕微鏡写真である。
【図12】H含有量と硬さの関係を示すグラフである。
【図13】H含有量と摩擦係数の関係を示すグラフであ
る。
【図14】摺動テスト後の摺動面構成体の一例における
縦断面の結晶構造を示す顕微鏡写真である。
【図15】摺動テスト後の摺動面構成体の他例における
縦断面の結晶構造を示す顕微鏡写真である。
【図16】傾きを持つ柱状(hhh)配向性金属結晶の
説明図である。
【符号の説明】
4 摺動面構成体 4a 摺動面 5 (hhh)配向性金属結晶 6 六角錐状金属結晶(角錐状金属結晶) 7 三角錐状金属結晶(角錐状金属結晶)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堂坂 健児 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (56)参考文献 特許2849995(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 7/00 C25D 7/10 F16C 33/12 F16J 1/01

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 摺動面(4a)を形成する多数の角錐状
    金属結晶(6,7)を備えた金属結晶集合体よりなる摺
    動面構成体において、前記摺動面(4a)における前記
    角錐状金属結晶(6,7)の面積率AがA≧40%であ
    り、また前記金属結晶集合体はHを含有し、そのH含有
    量はH≧0.01重量%であって、そのHの少なくとも
    一部は前記角錐状金属結晶(6,7)内に存在すること
    を特徴とする摺動面構成体。
  2. 【請求項2】 前記角錐状金属結晶(6,7)は体心立
    方構造を有し、且つミラー指数で(hhh)面を摺動面
    (4a)側に向けた(hhh)配向性金属結晶(5)で
    ある、請求項1記載の摺動面構成体。
  3. 【請求項3】 前記角錐状金属結晶は六角錐状金属結晶
    (6)である、請求項1または2記載の摺動面構成体。
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