JP2813972B2 - 摺動面構成体およびその形成方法 - Google Patents

摺動面構成体およびその形成方法

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JP2813972B2 JP7338111A JP33811195A JP2813972B2 JP 2813972 B2 JP2813972 B2 JP 2813972B2 JP 7338111 A JP7338111 A JP 7338111A JP 33811195 A JP33811195 A JP 33811195A JP 2813972 B2 JP2813972 B2 JP 2813972B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は摺動面構成体および
その形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車用ドライブシャフトのポー
トジョイントにおいて、スライダとスパイダとの微小摺
動時に発生する振動の遮断性向上を図るべく、スライダ
の摺動面にメッキ皮膜である摺動面構成体を設ける、と
いった手段が採用されている。
【0003】本発明者等は、先に、この種摺動面構成体
として、その摺動面に多数の六角錐状金属結晶が存在す
るものを開発した(例えば、特開平6−316785号
公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は前記摺動
面構成体について種々検討を加えた結果、その摺動面構
成体においては六角錐状金属結晶の配列が不規則である
ため、オイル等の液体潤滑剤およびエア、窒素ガス、ア
ルゴンガス等の気体潤滑剤といったように粘性の低い潤
滑剤を用いた場合と、MoS2 、カーボン等の固体潤滑
剤およびグリースといったように粘性の高い潤滑剤を用
いた場合とでは、その摺動特性が異なる、ということを
究明した。
【0005】この問題を解決するためには、六角錐状金
属結晶が、摺動方向および潤滑剤の粘性に対して最適な
規則的配列をなすことが必要である。
【0006】
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、六角錐状金属
結晶の規則的配列を実現させた前記摺動面構成体および
その形成方法を提供することを目的とする。
【0008】前記目的を達成するため本発明によれば、
メッキ処理により形成された金属結晶の集合体よりなる
摺動面構成体であって、摺動面に多数の六角錐状金属結
晶が存在し、それら六角錐状金属結晶の前記摺動面にお
ける面積率AがA≧60%であり、前記摺動面を、それ
と直交する方向から見て前記六角錐状金属結晶の頂点両
側の2本の稜線を1本の基準直線と見做したとき、前記
摺動面に存する前記六角錐状金属結晶は、前記基準直線
が互に平行関係にある複数の第1規則性結晶と、前記基
準直線が互に平行関係にあり、且つその基準直線が前記
第1規則性結晶の前記基準直線とは交差関係にある複数
の第2規則性結晶とよりなり、前記第1規則性結晶の前
記基準直線は摺動方向と交差関係にあり、また前記摺動
面における前記第1規則性結晶の面積率をA 1 とし、一
方、前記第2規則性結晶の面積率をA 2 としたとき、両
面積率A 1 ,A 2 の比A 1 /A 2 がA 1 /A 2 ≧2であ
る摺動面構成体が提供される。
【0009】前記のように構成すると、多数の六角錐状
金属結晶先端部側の優先的摩耗により摺動面構成体の初
期なじみ性を良好にすることができる。またそれら六角
錐状金属結晶間に形成される微細で、且つ複雑な溝によ
り潤滑剤保持効果を得ることができる。
【0010】この場合、粘性の低い潤滑剤用いられる
、摺動面構成体、その第1規則性結晶の基準直線が
摺動方向と交差するように配置されているので、潤滑剤
動抵抗が増大して前記潤滑剤保持効果が増進され、
これにより固体接触を回避して良好な摺動特性を得るこ
とができる。
【0011】
【0012】ただし、六角錐状金属結晶の面積率AがA
<60%では、摺動面構成体の初期なじみ性および潤滑
剤保持効果が減退する。また前記両面積率A 1 ,A 2
比A 1 /A 2 がA 1 /A 2 <2である場合には、基準直
線が摺動方向と平行関係にある第2規則性結晶の存在量
が増加するため摺動特性が悪化する。
【0013】また本発明によれば、メッキ処理により形
成された金属結晶の集合体よりなる摺動面構成体であっ
て、摺動面に多数の六角錐状金属結晶が存在し、それら
六角錐状金属結晶の前記摺動面における面積率AがA≧
60%であり、前記摺動面を、それと直交する方向から
見て前記六角錐状金属結晶の頂点両側の2本の稜線を1
本の基準直線と見做したとき、前記摺動面に存する前記
六角錐状金属結晶は、前記基準直線が互に平行関係にあ
る複数の第1規則性結晶と、前記基準直線が互に平行関
係にあり、且つその基準直線が前記第1規則性結晶の前
記基準直線とは交差関係にある複数の第2規則性結晶と
よりなり、前記第2規則性結晶の前記基準直線は摺動方
向と平行関係にあり、また前記摺動面における前記第1
規則性結晶の面積率をA 1 とし、一方、前記第2規則性
結晶の面積率をA 2 としたとき、両面積率A 1 ,A 2
比A 2 /A 1 がA 2 /A 1 ≧2である摺動面構成体が提
供される。 前記のように構成すると、多数の六角錐状金
属結晶先端部側の優先的摩耗により摺動面構成体の初期
なじみ性を良好にすることができる。またそれら六角錐
状金属結晶間に形成される微細で、且つ複雑な溝により
潤滑剤保持効果を得ることができる。 この場合、粘性の
高い潤滑剤が用いられるが、摺動面構成体は、その第2
規則性結晶の基準直線が摺動方向と平行するように配置
されているので、潤滑剤の流動抵抗が減少して、その流
れが円滑に行われると共に前記潤滑剤保持効果が得ら
れ、これにより固体接触を回避して良好な摺動特性を得
ることができる。 ただし、六角錐状金属結晶の面積率A
がA<60%では、摺動面構成体の初期なじみ性および
潤滑剤保持効果が減退する。また前記両面積率A 1 ,A
2 の比A 2 /A 1 がA 2 /A 1 <2である場合には、基
準直線が摺動方向と交差関係にある第1規則性結晶の存
在量が増加するため摺動特性が悪化する。
【0014】さらに本発明によれば、基体上にメッキ処
理を施して、摺動面に多数の六角錐状金属結晶が存在す
摺動面構成体を形成するに当り、前記基体として、そ
の被メッキ面に、同一方向に延びる多数の帯状結晶が存
在するものを用いる摺動面構成体の形成方法が提供され
る。
【0015】前記六角錐状金属結晶は、基体の被メッキ
面より成長した柱状晶の先端部を構成する。その成長に
際し、被メッキ面に前記のような帯状結晶が存在する
と、柱状晶は、その六角錐状金属結晶の前記基準直線が
帯状結晶の長手方向に沿うように成長し易くなる。これ
により六角錐状金属結晶には、前記のような第1,第2
規則性結晶が含まれる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1において、内燃機関用シリン
ダブロック1の軸受孔2にブシュ3を介してバランサシ
ャフト4のジャーナル5が支持されている。この場合、
ブシュ3はAl合金(JIS AC8B)より構成さ
れ、またバランサシャフト4は炭素鋼(JIS S45
C)より構成される。
【0017】図2に示すように、バランサシャフト(基
体)4におけるジャーナル5の外周面(被メッキ面)6
に、Al合金製ブシュ3の耐摩耗性向上を狙って、メッ
キ皮膜である摺動面構成体71 が形成される。摺動面構
成体71 は金属結晶としてのFe結晶の集合体よりな
る。図3にも示すように、摺動面8に多数の六角錐状F
e結晶9が存在し、それら六角錐状Fe結晶9はジャー
ナル5の外周面6から成長した多数の柱状晶10の先端
部を構成する。それら六角錐状Fe結晶9の摺動面8に
おける面積率AはA≧60%に設定される。この面積率
Aの測定は走査電子顕微鏡を用いて行われ、この面積率
測定法は以下同じである。
【0018】また摺動面8を、それと直交する方向から
見て六角錐状Fe結晶9の頂点11両側の2本の稜線1
1 ,122 を1本の基準直線13と見做したとき、六
角錐状Fe結晶9には、基準直線13が互に平行関係
(略平行関係を含む。以下同じ)にある二群の規則性結
晶が含まれている。
【0019】一群は、基準直線13が互に平行関係にあ
る複数の第1規則性結晶141 であり、二群は基準直線
13が互に平行関係にあり、且つその基準直線13が第
1規則性結晶141 の前記基準直線13とは交差関係
(略交差関係を含む。以下同じ)にある複数の第2規則
性結晶142 である。
【0020】摺動面構成体71 の摺動面8には液体潤滑
剤であるオイルが供給される。これに伴い、第1規則性
結晶141 の基準直線13は摺動方向Dと交差関係(略
交差関係を含む)にあり、また摺動面8における第1規
則性結晶141 の面積率をA1 とし、一方、第2規則性
結晶142 の面積率をA2 としたとき、両面積率A1
2 の比A1 /A2 はA1 /A2 ≧2に設定される。
【0021】このような摺動面構成体71 においては、
多数の六角錐状Fe結晶9先端部側の優先的摩耗により
初期なじみ性が良好となる。またそれら六角錐状Fe結
晶9間に形成される微細で、且つ複雑な溝15によりオ
イル保持効果を得ることができる。
【0022】オイルは粘性の低い潤滑剤であるが、摺動
面構成体71 は、その第1規則性結晶141 の基準直線
13が摺動方向Dと交差するように配置されているの
で、オイルの流動抵抗が増大して前記オイル保持効果が
増進され、これにより固体接触を回避して良好な摺動特
性を得ることができる。
【0023】以上述べた作用効果は、気体潤滑剤を用い
た場合にも得られる。
【0024】
【0025】第1規則性結晶141 における基準直線1
3が摺動方向Dに対してなす許容傾き角αはα≧±75
°に設定される。傾き角αがα<±75°ではオイル等
の流動抵抗が小となり、α=±60°で最小となる。
【0026】摺動面構成体71 の形成に当っては、その
摺動面8に多数の六角錐状Fe結晶9が存在するような
条件で、ジャーナル5の被メッキ面である外周面6にメ
ッキ処理を施す。
【0027】この場合、バランサシャフト4は押出し加
工および鍛造加工を経て製造された塑性加工部材であっ
て、そのジャーナル5の外周面6には、押出し加工に起
因して図4に示すように母線方向E、したがって摺動方
向Dと交差する方向に延びる多数の帯状結晶16が存在
する。
【0028】前記のように六角錐状Fe結晶9は、ジャ
ーナル5の外周面6より成長した柱状晶10の先端部を
構成する。その成長に際し、外周面6に前記のような帯
状結晶16が存在すると、柱状晶10は、その六角錐状
Fe結晶9の前記基準直線13が帯状結晶16の長手方
向Fに沿うように成長し易くなる。これにより六角錐状
Fe結晶9において一群の第1規則性結晶141 を含ま
せることができる。
【0029】第1,第2規則性結晶141 ,142 の両
面積率A1 ,A2 の比A1 /A2 ≧2の関係を成立させ
るためには、帯状結晶16において、その長手方向Fの
最大長さをaとし、また長手方向Fと交差する方向の最
大長さをbとしたとき、両最大長さa,bの比a/bが
a/b≧1.5であることが望ましい。
【0030】また帯状結晶16のオーステナイト結晶粒
度(JIS G 0551)における粒度番号は5以上
であることが望ましい。粒度番号5未満では、帯状結晶
16が柱状晶10に比べて大きくなりすぎるため、その
六角錐状Fe結晶9の方向制御が困難となる。粒度番号
の上限値は、好ましくは12(平均粒子径5.5μm)
である。
【0031】帯状結晶16の比a/bは、バランサシャ
フト素材に対する塑性加工率、したがって押出し加工で
は押出し比、圧延加工では圧下率、鍛造加工では鍛造比
等により制御され、また帯状結晶16の大きさはバラン
サシャフト4に対する熱処理温度および/または熱処理
時間によって制御される。
【0032】例えば、バランサシャフト素材の粒度番号
10において、比a/b=1.5で、且つ粒度番号9の
帯状結晶16を得るためには、押出し比を30に設定
し、熱処理温度を850〜950℃に、また熱処理時間
を30〜120分間にそれぞれ設定する。
【0033】図5において、自動車用ポートジョイント
17のスパイダ18にドライブシャフト19がスプライ
ンを介して連結され、またケーシング20と一体にドリ
ブンシャフト21が設けられる。スパイダ18の各軸部
22に筒状スライダ23が所定のクリアランスをもって
嵌合され、そのスライダ23の外周面にニードルベアリ
ング24を介してローラ25が装着される。この場合、
スパイダ18はクロムモリブデン鋼(JIS SCM4
20、浸炭処理)より構成され、またスライダ23は炭
素鋼(JIS S45C)より構成されている。
【0034】図6に示すように、スライダ(基体)23
の内周面(被メッキ面)26にメッキ皮膜である摺動面
構成体72 が形成される。摺動面構成体72 はFe結晶
の集合体よりなる。図7にも示すように、摺動面8には
多数の六角錐状Fe結晶9が存在し、それら六角錐状F
e結晶9はスライダ23の内周面26から成長した多数
の柱状晶10の先端部を構成する。それら六角錐状Fe
結晶9の摺動面8における面積率AはA≧60%に設定
される。
【0035】また摺動面8を、それと直交する方向から
見て六角錐状Fe結晶9の頂点11両側の2本の稜線1
1 ,122 を1本の基準直線13と見做したとき、六
角錐状Fe結晶9には、基準直線13が互に平行関係に
る二群の規則性結晶が含まれている。
【0036】一群は、基準直線13が互に平行関係にあ
る複数の第1規則性結晶141 であり、二群は基準直線
13が互に平行関係にあり、且つその基準直線13が第
1規則性結晶141 の前記基準直線13とは交差関係に
ある複数の第2規則性結晶142 である。
【0037】摺動面構成体72 の摺動面8には固体潤滑
剤であるMoS2 が塗布される。これに伴い、第2規則
性結晶142 の基準直線13は摺動方向Dと平行関係
(略平行関係を含む)にあり、また摺動面8における第
1規則性結晶141 の面積率をA1 とし、一方、第2規
則性結晶142 の面積率をA2 としたとき、両面積率A
1 ,A2 の比A2 /A1 はA2 /A1 ≧2に設定され
る。
【0038】このような摺動面構成体72 においては、
多数の六角錐状Fe結晶9先端部側の優先的摩耗により
初期なじみ性が良好となる。またそれら六角錐状Fe結
晶9間に形成される微細で、且つ複雑な溝15によりM
oS2 保持効果を得ることができる。
【0039】MoS2 は粘性の高い潤滑剤であるが、摺
動面構成体72 は、その第2規則性結晶142 の基準直
線13が摺動方向Dと平行するように配置されているの
で、MoS2 の流動抵抗が減少し、そのMoS2 の流れ
が円滑に行われると共に前記MoS2 保持効果が得ら
れ、これにより固体接触を回避して良好な摺動特性を得
ることができる。
【0040】
【0041】第2規則性結晶142 における基準直線1
3が摺動方向Dに対してなす許容傾きβはβ≦±15°
に設定される。傾き角βがβ>±15°ではMoS2
流動抵抗が増大し、β=±30°で最大となる。
【0042】摺動面構成体72 の形成に当っては、その
摺動面8に多数の六角錐状Fe結晶9が存在するような
条件で、スライダ23の被メッキ面である内周面26に
メッキ処理を施す。
【0043】この場合、スライダ23は押出し加工を経
て製造された塑性加工部材であって、その内周面26に
は、図8に示すように母線方向E、したがって摺動方向
Dと平行する方向に延びる多数の帯状結晶16が存在す
る。
【0044】前記のように六角錐状Fe結晶9は、スラ
イダ23の内周面26より成長した柱状晶10の先端部
を構成する。その成長に際し、内周面26に前記のよう
な帯状結晶16が存在すると、柱状晶10は、その六角
錐状Fe結晶9の前記基準直線13が帯状結晶16の長
手方向Fに沿うように成長し易くなる。これにより六角
錐状Fe結晶9において一群の第2規則性結晶142
含ませることができる。
【0045】前記のように第1,第2規則性結晶1
1 ,142 の両面積率A1 ,A2 の比A2 /A1 ≧2
を成立させるために、帯状結晶16の両最大長さa,b
の比a/bがa/b≧1.5であることが望ましく、ま
た帯状結晶16のオーステナイト結晶粒度(JIS G
0551)における粒度番号は5以上であることが望
ましい、という点については前記と同じである。さらに
帯状結晶16の大きさ制御も前記と同様の方法で行われ
る。
【0046】Fe結晶は、図9に示すように体心立方構
造(bcc構造)を持つ。摺動面構成体71 ,72 を構
成する金属結晶としては、Fe結晶およびその合金の結
晶の外に、Cr、Mo、W、Ta、Zr、Nb、V等の
単体または合金の結晶を挙げることができる。
【0047】この場合、六角錐状金属結晶はミラー指数
で(hhh)面を摺動面8側に向けた(hhh)配向性
金属結晶である。図3に示すように、第1規則性結晶1
1は基準直線13と交差する<hh0>軸を有し、一
方、図7に示すように、第2規則性結晶142 は基準直
線13と平行な<2hhh>軸を有する。
【0048】<hh0>軸の同定に当っては、図3にお
いて、第1規則性結晶141 の基準直線13の両端に存
する両角部27および基準直線13の2等分位置である
頂点11を含む切断面をフオーカスイオンビーム(FI
B)を用いて作製し、その切断面の結晶面を、透過電子
顕微鏡による電子線回折により特定する、という方法を
採用した。その結果、前記結晶面は(hh0)面である
ことが判明した。
【0049】<2hhh>軸の同定に当っては、図7に
おいて、第2規則性結晶142 の基準直線13を挟む対
向二底辺27の2等分位置cおよび頂点11を含む切断
面をフオーカスイオンビーム(FIB)を用いて作製
し、その切断面の結晶面を前記同様に透過電子顕微鏡に
よる電子線回折により特定する、という方法を採用し
た。その結果、前記結晶面は(2hhh)面であること
が判明した。
【0050】図10に示すように、摺動面8に沿う仮想
面29に対する(hhh)面の傾きは六角錐状金属結晶
9の傾きとなって現われるので、摺動面構成体71 ,7
2 の摺動特性に影響を与える。そこで、(hhh)面が
仮想面29に対してなす傾き角θは0°≦θ≦15°に
設定される。この場合、(hhh)面の傾き方向につい
ては限定されない。傾き角θがθ>15°になると、摺
動面構成体71 ,72の摺動特性が低下する。
【0051】摺動面構成体71 ,72 を形成するための
メッキ処理において、電気Feメッキ処理を行う場合の
メッキ浴条件は、表1の通りである。
【0052】
【表1】
【0053】通電法としては、主としてパルス電流法が
適用される。パルス電流法においては、図11に示すよ
うに、メッキ用電源の電流Iは、その電流Iが最小電流
Imin から立上って最大電流Imax に至り、次いで最小
電流Imin へ下降するごとく、時間Tの経過に伴いパル
ス波形を描くように制御される。
【0054】電流Iの立上り開始時から下降開始時まで
の通電時間TONは0.1msec≦TON≦6msecに設定され
る。また先の立上り開始時から次の立上り開始時までを
1サイクルとして、そのサイクル時間をTcとした時、
通電時間TONとサイクル時間Tcとの比、即ち、時間比
ON/Tcは0.04≦TON/Tc≦0.5に設定され
る。最大陰極電流密度CDmax は1A/dm2 ≦CDmax
≦200A/dm2 に、また平均陰極電流密度CDmは
0.1A/dm2 ≦CDm≦10A/dm2 にそれぞれ設定
される。
【0055】このようなパルス電流法を適用すると、メ
ッキ浴内において、電流が流れたり、流れなかったりす
ることに起因して陰極近傍のイオン濃度が均一化され、
これにより摺動面構成体71 ,72 の組成を安定化させ
ることができる。
【0056】前記電気Feメッキ処理において、メッキ
浴条件および通電条件を変えることによって(hhh)
配向性Fe結晶の析出、その存在量等を制御する。この
制御は、パルス電流法の適用下では容易であり、したが
って摺動面8を狙い通りの形態に形成し易くなる。
【0057】メッキ処理としては、電気メッキ処理の外
に、例えば気相メッキ法であるPVD法、CVD法、ス
パッタ法、イオンプレーティング等を挙げることができ
る。スパッタ法によりW、Moメッキを行う場合の条件
は、例えばAr圧力 0.2〜1Pa、平均Ar加速電
力 直流1〜1.5kW、母材温度 150〜300℃
である。CVD法によりWメッキを行う場合の条件は、
例えば原材料 WF6、ガス流量 2〜15cc/min 、
チャンバ内圧力 50〜300Pa、母材温度400〜
600℃、ArFエキシマレーザの平均出力 5〜40
Wである。 〔実施例1〕図1に示したバランサシャフト4のジャー
ナル5を想定して、炭素鋼(JISS45C)よりなる
複数のビレットに、押出し比を変えた押出し加工を施し
て各種押出し材を得た。次いで各押出し材より、ダイス
接触面を被メッキ面とする各種チップを作製した。各チ
ップの被メッキ面における面積は1cm2 である。その後
各チップに熱処理を施した。
【0058】表2は各チップの例1〜17に関する、各
種データ、つまりビレットのオーステナイト結晶粒度に
おける粒度番号、押出し比、チップに対する熱処理条
件、帯状結晶における両最大長さの比a/bおよび前記
粒度番号を示す。
【0059】
【表2】
【0060】図12は例1の、また図13は例4の被メ
ッキ面における金属組織をそれぞれ示す顕微鏡写真であ
る。帯状結晶において、図12では比a/bがa/b=
1.1であり、一方、図13では比a/bがa/b=
2.8である。したがって、図13の例4の方が図12
の例1よりも結晶の帯状化が進行している。
【0061】各チップの被メッキ面に、電気Feメッキ
処理を施すことによりFe結晶の集合体より構成された
厚さ15μmの摺動面構成体71 を形成した。
【0062】表3は摺動面構成体71 の例1〜17の電
気Feメッキ処理条件を示す。これらの例1〜17はチ
ップの例1〜17にそれぞれ対応する。メッキ処理時間
は、例1〜17の厚さを前記のように15μmに設定す
べく、5〜60分間の範囲内で種々変化させた。
【0063】
【表3】
【0064】表4は例1〜4、表5は例5〜8、表6は
例9〜12、表7は例13〜17に関する摺動面の結晶
形態、摺動面における六角錐状Fe結晶の面積率Aおよ
び粒径、各配向性Fe結晶の存在率Sならびに摺動面構
成体断面における硬さをそれぞれ示す。
【0065】
【表4】
【0066】
【表5】
【0067】
【表6】
【0068】
【表7】
【0069】六角錐状Fe結晶の面積率Aは、摺動面の
面積をB、その摺動面において全部の六角錐状Fe結晶
が占める面積をCとしたとき、A=(C/B)×100
(%)として求められた。また六角錐状Fe結晶の粒径
は、頂点を挟んで相対向する両角部間の距離、即ち、三
つの距離の平均値(これは以下同じ)である。
【0070】各配向性Fe結晶の存在率Sは、例1〜1
7のX線回折図(X線照射方向は摺動面に対して直角方
向)に基づいて次式から求められた(これは以下同
じ)。図14は例1の、また図15は例4のX線回折図
をそれぞれ示す。なお、例えば{110}配向性Fe結
晶とは、{110}面を摺動面側に向けた配向性Fe結
晶を意味する。 {110}配向性Fe結晶:S110 ={(I110 /IA
110 )/T}×100、 {200}配向性Fe結晶:S200 ={(I200 /IA
200 )/T}×100、 {211}配向性Fe結晶:S211 ={(I211 /IA
211 )/T}×100、 {310}配向性Fe結晶:S310 ={(I310 /IA
310 )/T}×100、 {222}配向性Fe結晶:S222 ={(I222 /IA
222 )/T}×100 ここで、I110 、I200 、I211 、I310 、I222 は各
結晶面のX線反射強度の測定値(cps)であり、また
IA110 、IA200 、IA211 、IA310 、IA222
ASTMカードにおける各結晶面のX線反射強度比で、
IA110 =100、IA200 =20、IA211 =30、
IA310 =12、IA222 =6である。さらにTは、T
=(I110 /IA110 )+(I200 /IA200 )+(I
211 /IA211 )+(I310 /IA310 )+(I222
IA222 )である。
【0071】表8は、例1〜17に関する第1,第2規
則性結晶141 ,142 の両面積率A1 ,A2 およびそ
れらの比A1 /A2 を示す。
【0072】
【表8】
【0073】図16は例1における摺動面の結晶構造を
示す顕微鏡写真であり、多数の六角錐状Fe結晶が観察
される。この六角錐状Fe結晶は(hhh)面、したが
って{222}面を摺動面側に向けた{222}配向性
Fe結晶であり、その{222}配向性Fe結晶の存在
率Sは、表4に示すように、S=98%である。また第
1,第2規則性結晶141 ,142 の両面積率A1 ,A
2 の比A1 /A2 は表8に示すようにA1 /A2 =1で
ある。したがって、摺動面8において、基準直線13が
摺動方向Dと交差関係にある第1規則性結晶141 の量
と、基準直線13が摺動方向Dと平行関係にある第2規
則性結晶142 の量とが略同一であって、それらが混在
する。
【0074】図17は例4における摺動面の結晶構造を
示す顕微鏡写真であり、多数の六角錐状Fe結晶が観察
される。この六角錐状Fe結晶は前記同様に{222}
配向性Fe結晶であり、その{222}配向性Fe結晶
の存在率Sは、表4に示すように、S=98%である。
また第1,第2規則性結晶141 ,142 の両面積率A
1 ,A2 の比A1 /A2 は表8に示すようにA1 /A2
=4である。したがって、摺動面8において、基準直線
13が摺動方向Dと交差関係にある第1規則性結晶14
1 の量が、基準直線13が摺動方向Dと平行関係にある
第2規則性結晶142 の量の略4倍であって、それらが
混在する。
【0075】次に、例1〜17について、潤滑下でチッ
プオンディスク方式による焼付きテストを行って、焼付
き発生荷重を測定したところ、表9の結果を得た。テス
ト条件は次の通りである。ディスクの材質 Al合金
(JIS AC8B、ブシュ3を想定)、ディスクの周
速度 15m/sec 、オイル 10W−30、給油量
0.3ml/min 、摺動面構成体の摺動面の面積 1c
m2 、摺動面8を、第1規則性結晶141 の基準直線1
3がディスク回転方向と交差するように、ディスク表面
に押当てる。
【0076】
【表9】
【0077】図18は第1,第2規則性結晶141 ,1
2 の両面積率A1 ,A2 の比A1/A2 と焼付き発生
荷重との関係を示す。図中、点(1)〜(17)は例1
〜17にそれぞれ対応する。図18から明らかなよう
に、六角錐状Fe結晶の面積率AがA≧60%で、且つ
両面積率A1 ,A2 の比A1 /A2 がA1 /A2 ≧2で
ある例3,4,7,8,11,12は他の例1等に比べ
て優れた耐焼付き性を有する。これは、主として例3等
が優れたオイル保持効果を発揮することに起因する。
【0078】次に、例1〜4について、気体潤滑剤とし
て窒素ガスを用い、またその給気量を10リットル/mi
n に設定し、さらにチップに対する押圧荷重を100N
(一定)に設定した、ということ以外は前記焼付きテス
トと同一条件で摺動テストを行い、摩擦係数μを測定し
たところ、表10の結果を得た。
【0079】
【表10】
【0080】図19は第1,第2規則性結晶141 ,1
2 の両面積率A1 ,A2 の比A1/A2 と摩擦係数μ
との関係を示す。図中、(1)〜(4)は例1〜4にそ
れぞれ対応する。
【0081】図19から明らかなように、六角錐状Fe
結晶の面積率A=100%において、両面積率A1 ,A
2 の比A1 /A2 がA1 /A2 ≧2である例3,4は例
1,2に比べて摩擦係数μが低くなる。これは、主とし
て、例3等が優れた窒素ガス保持効果を発揮することに
起因する。
【0082】表11は各チップの例18〜26に関す
る、各種データ、つまりビレットのオーステナイト結晶
粒度における粒度番号、押出し比、チップに対する熱処
理条件、帯状結晶における両最大長さの比a/bおよび
前記粒度番号を示す。
【0083】
【表11】
【0084】各チップの被メッキ面に、電気Feメッキ
処理を施すことによりFe結晶の集合体より構成された
厚さ15μmの摺動面構成体71 を形成した。
【0085】表12は摺動面構成体71 の例18〜26
の電気Feメッキ処理条件を示す。これらの例18〜2
6はチップの例18〜26にそれぞれ対応する。メッキ
処理時間は例18〜26の厚さを前記のように15μm
に設定すべく、5〜60分間の範囲内で種々変化させ
た。
【0086】
【表12】
【0087】表13は例18〜21、表14は例22〜
26に関する摺動面の結晶形態、摺動面における六角錐
状Fe結晶の面積率Aおよび粒径、各配向性Fe結晶の
存在率Sならびに摺動面構成体断面における硬さをそれ
ぞれ示す。
【0088】
【表13】
【0089】
【表14】
【0090】表15は、例18〜26に関する第1,第
2規則性結晶141 ,142 の両面積率A1 ,A2 およ
びそれらの比A1 /A2 を示す。
【0091】
【表15】
【0092】図20は、例1〜4、18〜26に関する
帯状結晶16の両最大長さの比a/bと第1,第2規則
性結晶141 ,142 の両面積率A1 ,A2 の比A1
2との関係を示す。
【0093】図20から明らかなように、例3,4,2
0,21のごとく、オーステナイト結晶粒度の粒度番号
5以上において、前記比a/bをa/b≧1.5に設定
すると、両面積率A1 ,A2 の比A1 /A2 をA1 /A
2 ≧2にすることができる。ただし、この関係は六角錐
状Fe結晶の粒径が50μm以下において成立する。 〔実施例2〕図5に示したポートジョイント17のスラ
イダ23を想定して、炭素鋼(JIS S45C)より
なる複数のビレットに、押出し比を変えた押出し加工を
施して各種押出し材を得た。次いで各押出し材より、ダ
イス接触面を被メッキ面とする各種チップを作製した。
各チップの被メッキ面における面積は1cm2 である。そ
の後各チップに熱処理を施した。
【0094】表16は各チップの例27〜43に関す
る、各種データ、つまりビレットのオーステナイト結晶
粒度における粒度番号、押出し比、チップに対する熱処
理条件、帯状結晶における両最大長さの比a/bおよび
前記粒度番号を示す。
【0095】
【表16】
【0096】各チップの被メッキ面に、電気Feメッキ
処理を施すことによりFe結晶の集合体より構成された
厚さ15μmの摺動面構成体72 を形成した。
【0097】表17は摺動面構成体72 の例27〜43
の電気Feメッキ処理条件を示す。これらの例27〜4
3はチップの例27〜43にそれぞれ対応する。メッキ
処理時間は、例27〜43の厚さを前記のように15μ
mに設定すべく、5〜60分間の範囲内で種々変化させ
た。
【0098】
【表17】
【0099】表18は例27〜30、表19は例31〜
34、表20は例35〜38、表21は例39〜43に
関する摺動面の結晶形態、摺動面における六角錐状Fe
結晶の面積率Aおよび粒径、各配向性Fe結晶の存在率
Sならびに摺動面構成体断面における硬さをそれぞれ示
す。
【0100】
【表18】
【0101】
【表19】
【0102】
【表20】
【0103】
【表21】
【0104】表22は、例27〜43に関する第1,第
2規則性結晶141 ,142 の両面積率A1 ,A2 およ
びそれらの比A2 /A1 を示す。
【0105】
【表22】
【0106】次に、例27〜43について、潤滑下でチ
ップオンディスク方式による焼付きテストを行って、焼
付き発生荷重を測定したところ、表23の結果を得た。
テスト条件は次の通りである。ディスクの材質 クロム
モリブデン鋼(JIS SCM420、浸炭処理、スパ
イダ18を想定)、ディスクの周速度 15m/sec、
潤滑剤 MoS2 、MoS2 を摺動面に厚さ約5mmに塗
布、摺動面構成体の摺動面の面積 1cm2 、摺動面8を
第2規則性結晶142 の基準直線13がディスク回転方
向と平行するように、ディスク表面に押当てる。
【0107】
【表23】
【0108】図21は第1,第2規則性結晶141 ,1
2 の両面積率A1 ,A2 の比A2/A1 と焼付き発生
荷重との関係を示す。図中、点(27)〜(43)は例
27〜43にそれぞれ対応する。
【0109】図21から明らかなように、六角錐状Fe
結晶の面積率AがA≧60%で、且つ両面積率A1 ,A
2 の比A2 /A1 がA2 /A1 ≧2である例29,3
0,33,34,37,38は他の例27等に比べて優
れた耐焼付き性を有する。これは、主として例29等に
おいてMoS2 の流動抵抗が低く、またそれら等が優れ
たMoS2 保持効果を発揮することに起因する。
【0110】
【発明の効果】本発明によれば、前記のように構成する
ことにより、六角錐状金属結晶を、摺動方向および潤滑
剤の粘性に対して最適に規則的配列させた摺動面構成
提供することができる。
【0111】また本発明によれば、前記摺動面構成体
容易に量産することが可能な形成方法を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】バランサシャフトの要部およびその支持構造を
示す斜視図である。
【図2】摺動面構成体の一例の断面図である。
【図3】摺動面構成体における摺動面の一例の説明図で
ある。
【図4】摺動方向、帯状結晶および六角錐状Fe結晶の
関係の一例を示す説明図である。
【図5】ポートジョイントの要部断面図である。
【図6】摺動面構成体の他例の断面図である。
【図7】摺動面構成体における摺動面の他例の説明図で
ある。
【図8】摺動方向、帯状結晶および六角錐状Fe結晶の
関係の他例を示す説明図である。
【図9】体心立方構造およびその(hhh)面を示す斜
視図である。
【図10】体心立方構造における(hhh)面の傾きを
示す説明図である。
【図11】電気メッキ用電源の出力波形図である。
【図12】被メッキ面の一例の結晶構造を示す顕微鏡写
真である。
【図13】被メッキ面の他例の結晶構造を示す顕微鏡写
真である。
【図14】摺動面構成体の一例のX線回折図である。
【図15】摺動面構成体の他例のX線回折図である。
【図16】摺動面の一例の結晶構造を示す顕微鏡写真で
ある。
【図17】摺動面の他例の結晶構造を示す顕微鏡写真で
ある。
【図18】第1,第2規則性結晶の両面積率の比A1
2 と焼付き発生荷重との関係を示すグラフである。
【図19】第1,第2規則性結晶の両面積率の比A1
2 と摩擦係数μとの関係を示すグラフである。
【図20】帯状結晶の両最大長さの比a/bと第1,第
2規則性結晶の両面積率の比A1/A2 との関係を示す
グラフである。
【図21】第1,第2規則性結晶の両面積率の比A2
1 と焼付き発生荷重との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
4,23 バランサシャフト、スライダ(基体) 6,26 外、内周面(被メッキ面) 71 ,72 摺動面構成 8 摺動 9 六角錐状Fe結晶(六角錐状金属結晶) 11 頂点 121 ,122 稜線 13 基準直線 141 ,142 第1,第2規則性結晶 16 帯状結晶
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C25D 3/00 - 7/12

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メッキ処理により形成された金属結晶の
    集合体よりなる摺動面構成体(7 1 )であって、摺動面
    (8)に多数の六角錐状金属結晶(9)が存在し、それ
    ら六角錐状金属結晶(9)の前記摺動面(8)における
    面積率AがA≧60%であり、前記摺動面(8)を、そ
    れと直交する方向から見て前記六角錐状金属結晶(9)
    の頂点(11)両側の2本の稜線(12 1 ,12 2 )を
    1本の基準直線(13)と見做したとき、前記摺動面
    (8)に存する前記六角錐状金属結晶(9)は、前記基
    準直線(13)が互に平行関係にある複数の第1規則性
    結晶(141 )と、前記基準直線(13)が互に平行関
    係にあり、且つその基準直線(13)が前記第1規則性
    結晶(141 )の前記基準直線(13)とは交差関係に
    ある複数の第2規則性結晶(142 )とよりなり、前記
    第1規則性結晶(141 )の前記基準直線(13)は摺
    動方向(D)と交差関係にあり、また前記摺動面(8)
    における前記第1規則性結晶(141 )の面積率をA1
    とし、一方、前記第2規則性結晶(142 )の面積率を
    2 としたとき、両面積率A1 ,A2の比A1 /A2
    1 /A2 ≧2であることを特徴とする摺動面構成体
  2. 【請求項2】 メッキ処理により形成された金属結晶の
    集合体よりなる摺動面構成体(7 2 )であって、摺動面
    (8)に多数の六角錐状金属結晶(9)が存在し、それ
    ら六角錐状金属結晶(9)の前記摺動面(8)における
    面積率AがA≧60%であり、前記摺動面(8)を、そ
    れと直交する方向から見て前記六角錐状金属結晶(9)
    の頂点(11)両側の2本の稜線(12 1 ,12 2 )を
    1本の基準直線(13)と見做したとき、記摺動面
    (8)に存する前記六角錐状金属結晶(9)は、前記基
    準直線(13)が互に平行関係にある複数の第1規則性
    結晶(141 )と、前記基準直線(13)が互に平行関
    係にあり、且つその基準直線(13)が前記第1規則性
    結晶(141 )の前記基準直線(13)とは交差関係に
    ある複数の第2規則性結晶(142 )とよりなり、前記
    第2規則性結晶(142 )の前記基準直線(13)は摺
    動方向(D)と平行関係にあり、また前記摺動面(8)
    における前記第1規則性結晶(14)の面積率をA1
    し、一方、前記第2規則性結晶(142 )の面積率をA
    2 としたとき、両面積率A1 ,A2 の比A2 /A1 がA
    2 /A1 ≧2であることを特徴とする摺動面構成体
  3. 【請求項3】 基体(4,23)上にメッキ処理を施し
    て、摺動面(8)に多数の六角錐状金属結晶(9)が存
    在する摺動面構成体(71 ,72 )を形成するに当り、
    前記基体(4,23)として、その被メッキ面(6,2
    6)に、同一方向に延びる多数の帯状結晶(16)が存
    在するものを用いることを特徴とする摺動面構成体の
    成方法。
  4. 【請求項4】 前記帯状結晶(16)において、その長
    手方向の最大長さをaとし、また前記長手方向と交差す
    る方向の最大長さをbとしたとき、両最大長さa,bの
    比a/bがa/b≧1.5である、請求項記載の摺動
    面構成体の形成方法。
  5. 【請求項5】 前記帯状結晶(16)のオーステナイト
    結晶粒度における粒度番号は5以上である、請求項
    たは記載の摺動面構成体の形成方法。
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