JP2704848B2 - 摺動部材 - Google Patents
摺動部材Info
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- JP2704848B2 JP2704848B2 JP29382794A JP29382794A JP2704848B2 JP 2704848 B2 JP2704848 B2 JP 2704848B2 JP 29382794 A JP29382794 A JP 29382794A JP 29382794 A JP29382794 A JP 29382794A JP 2704848 B2 JP2704848 B2 JP 2704848B2
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- JP
- Japan
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- sliding surface
- sliding
- crystal
- inclination angle
- crystals
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- Sliding-Contact Bearings (AREA)
- Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
- Electroplating Methods And Accessories (AREA)
- Physical Vapour Deposition (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、摺動部材、例えば、す
べり軸受、内燃機関用ピストン等の摺動部材に関する。
べり軸受、内燃機関用ピストン等の摺動部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種摺動部材として基体表面
に、各種メッキ層よりなる摺動面構成体を設けたものが
公知である。この場合、メッキ層表面である摺動面は平
滑に形成される。
に、各種メッキ層よりなる摺動面構成体を設けたものが
公知である。この場合、メッキ層表面である摺動面は平
滑に形成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】潤滑剤には固体潤滑
剤、液体潤滑剤および気体潤滑剤がある。摺動面には、
それに適用された潤滑剤を保持する機能と、その潤滑剤
を摺動面上を流動させてその面全体に均一に行渡らせる
機能とを具備することが要求される。その要求を満たす
ためには、摺動面の形態を、適用された潤滑剤に適合す
るように構成しなければならないが、従来のように摺動
面を単に平滑面にしたのでは前記要求に到底応ずること
はできず、したがって高度な摺動特性を期待し得ない。
剤、液体潤滑剤および気体潤滑剤がある。摺動面には、
それに適用された潤滑剤を保持する機能と、その潤滑剤
を摺動面上を流動させてその面全体に均一に行渡らせる
機能とを具備することが要求される。その要求を満たす
ためには、摺動面の形態を、適用された潤滑剤に適合す
るように構成しなければならないが、従来のように摺動
面を単に平滑面にしたのでは前記要求に到底応ずること
はできず、したがって高度な摺動特性を期待し得ない。
【0004】本発明は前記に鑑み、摺動面の形態を、適
用された潤滑剤に適合し得るように構成し、これにより
高度な摺動特性を得ることのできる前記摺動部材を提供
することを目的とする。
用された潤滑剤に適合し得るように構成し、これにより
高度な摺動特性を得ることのできる前記摺動部材を提供
することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る摺動部材は
固体潤滑剤を適用されるもので、基体と、その基体表面
に在って金属結晶の集合物である摺動面構成体とを備
え、前記摺動面構成体は、角錐状または角錐台状をな
し、且つ摺動面における面積率AがA≧40%である複
数の多面体形金属結晶を有し、前記多面体形金属結晶に
存する各斜面の仮想延長面が前記基体表面に斜交すると
きの傾斜角をθとしたとき、平均傾斜角θmをθm≦5
0°に設定することを特徴とする。
固体潤滑剤を適用されるもので、基体と、その基体表面
に在って金属結晶の集合物である摺動面構成体とを備
え、前記摺動面構成体は、角錐状または角錐台状をな
し、且つ摺動面における面積率AがA≧40%である複
数の多面体形金属結晶を有し、前記多面体形金属結晶に
存する各斜面の仮想延長面が前記基体表面に斜交すると
きの傾斜角をθとしたとき、平均傾斜角θmをθm≦5
0°に設定することを特徴とする。
【0006】また本発明に係る摺動部材は液体潤滑剤を
適用されるもので、基体と、その基体表面に在って金属
結晶の集合物である摺動面構成体とを備え、前記摺動面
構成体は、角錐状または角錐台状をなし、且つ摺動面に
おける面積率AがA≧40%である複数の多面体形金属
結晶を有し、前記多面体形金属結晶に存する各斜面の仮
想延長面が前記基体表面に斜交するときの傾斜角をθと
したとき、平均傾斜角θmをθm≧50°に設定するこ
とを特徴とする。
適用されるもので、基体と、その基体表面に在って金属
結晶の集合物である摺動面構成体とを備え、前記摺動面
構成体は、角錐状または角錐台状をなし、且つ摺動面に
おける面積率AがA≧40%である複数の多面体形金属
結晶を有し、前記多面体形金属結晶に存する各斜面の仮
想延長面が前記基体表面に斜交するときの傾斜角をθと
したとき、平均傾斜角θmをθm≧50°に設定するこ
とを特徴とする。
【0007】さらに本発明に係る摺動部材は気体潤滑剤
を適用されるもので、基体と、その基体表面に在って金
属結晶の集合物である摺動面構成体とを備え、前記摺動
面構成体は、角錐状または角錐台状をなし、且つ摺動面
における面積率AがA≧90%である複数の多面体形金
属結晶を有し、前記多面体形金属結晶に存する各斜面の
仮想延長面が前記基体表面に斜交するときの傾斜角をθ
としたとき、平均傾斜角θmをθm≧50°に設定する
ことを特徴とする。
を適用されるもので、基体と、その基体表面に在って金
属結晶の集合物である摺動面構成体とを備え、前記摺動
面構成体は、角錐状または角錐台状をなし、且つ摺動面
における面積率AがA≧90%である複数の多面体形金
属結晶を有し、前記多面体形金属結晶に存する各斜面の
仮想延長面が前記基体表面に斜交するときの傾斜角をθ
としたとき、平均傾斜角θmをθm≧50°に設定する
ことを特徴とする。
【0008】
【作用】固体潤滑剤を適用される摺動部材において、摺
動面における多面体形金属結晶の面積率AをA≧40%
に設定すると、多数の多面体形金属結晶により摺動面全
体に亘ってアトランダムに延びる多数の谷部が形成され
るので、それら谷部に固体潤滑剤が保持される。
動面における多面体形金属結晶の面積率AをA≧40%
に設定すると、多数の多面体形金属結晶により摺動面全
体に亘ってアトランダムに延びる多数の谷部が形成され
るので、それら谷部に固体潤滑剤が保持される。
【0009】また多面体形金属結晶の斜面に関する平均
傾斜角θmをθm≦50°に設定すると、その平均傾斜
角θmが比較的小さく、したがって各斜面の勾配が比較
的緩やかとなるので、粘性の高い固体潤滑剤の流動抵抗
が低減され、これにより固体潤滑剤が摺動面の各谷部内
を流動してその面全体に均一に行渡る。
傾斜角θmをθm≦50°に設定すると、その平均傾斜
角θmが比較的小さく、したがって各斜面の勾配が比較
的緩やかとなるので、粘性の高い固体潤滑剤の流動抵抗
が低減され、これにより固体潤滑剤が摺動面の各谷部内
を流動してその面全体に均一に行渡る。
【0010】ただし、面積率AがA<40%では摺動面
の固体潤滑剤保持機能が減退する。また平均傾斜角θm
がθm>50°では固体潤滑剤の流動抵抗が高くなるた
め、その固体潤滑剤が流動しにくくなる。
の固体潤滑剤保持機能が減退する。また平均傾斜角θm
がθm>50°では固体潤滑剤の流動抵抗が高くなるた
め、その固体潤滑剤が流動しにくくなる。
【0011】液体潤滑剤を適用される摺動部材におい
て、摺動面における多面体形金属結晶の面積率AをA≧
40%に設定すると、多数の多面体形金属結晶により摺
動面全体に亘ってアトランダムに延びる多数の谷部が形
成されるので、それら谷部に液体潤滑剤が保持される。
て、摺動面における多面体形金属結晶の面積率AをA≧
40%に設定すると、多数の多面体形金属結晶により摺
動面全体に亘ってアトランダムに延びる多数の谷部が形
成されるので、それら谷部に液体潤滑剤が保持される。
【0012】また多面体形金属結晶の斜面に関する平均
傾斜角θmをθm≧50°に設定すると、その平均傾斜
角θmが比較的大きく、したがって各斜面の勾配が比較
的急になるので粘性の低い液体潤滑剤の流動抵抗が高め
られ、これにより液体潤滑剤が摺動面から流出すること
なく各谷部内を流動してその面全体に均一に行渡る。
傾斜角θmをθm≧50°に設定すると、その平均傾斜
角θmが比較的大きく、したがって各斜面の勾配が比較
的急になるので粘性の低い液体潤滑剤の流動抵抗が高め
られ、これにより液体潤滑剤が摺動面から流出すること
なく各谷部内を流動してその面全体に均一に行渡る。
【0013】ただし、面積率AがA<40%では摺動面
の液体潤滑剤保持機能が減退する。また平均傾斜角θm
がθm<50°では液体潤滑剤の流動抵抗が低くなるた
め、その液体潤滑剤が摺動面から流出し易くなる。
の液体潤滑剤保持機能が減退する。また平均傾斜角θm
がθm<50°では液体潤滑剤の流動抵抗が低くなるた
め、その液体潤滑剤が摺動面から流出し易くなる。
【0014】気体潤滑剤を適用される摺動部材におい
て、摺動面における多面体形金属結晶の面積率AをA≧
90%に設定すると、無数の多面体形金属結晶により摺
動面全体に亘ってアトランダムに延びる無数の谷部が形
成されるので、それら谷部に気体潤滑剤が保持される。
て、摺動面における多面体形金属結晶の面積率AをA≧
90%に設定すると、無数の多面体形金属結晶により摺
動面全体に亘ってアトランダムに延びる無数の谷部が形
成されるので、それら谷部に気体潤滑剤が保持される。
【0015】また多面体形金属結晶の斜面に関する平均
傾斜角θmをθm≧50%に設定すると、その平均傾斜
角θmが比較的大きく、したがって各斜面の勾配が比較
的急になるので、前記面積率Aで規定された無数の多面
体形金属結晶の存在と相俟って極めて粘性の低い気体潤
滑剤の流動抵抗が高められ、これにより気体潤滑剤が摺
動面から流出することなく各谷部内を流動してその面全
体に均一に行渡る。
傾斜角θmをθm≧50%に設定すると、その平均傾斜
角θmが比較的大きく、したがって各斜面の勾配が比較
的急になるので、前記面積率Aで規定された無数の多面
体形金属結晶の存在と相俟って極めて粘性の低い気体潤
滑剤の流動抵抗が高められ、これにより気体潤滑剤が摺
動面から流出することなく各谷部内を流動してその面全
体に均一に行渡る。
【0016】ただし、面積率AがA<90%では摺動面
の気体潤滑剤保持機能が減退する。また平均傾斜角θm
がθm<50°では気体潤滑剤の流動抵抗が低くなるた
め、その気体潤滑剤が摺動面から流出し易くなる。
の気体潤滑剤保持機能が減退する。また平均傾斜角θm
がθm<50°では気体潤滑剤の流動抵抗が低くなるた
め、その気体潤滑剤が摺動面から流出し易くなる。
【0017】
[I] 固体潤滑剤を適用される摺動部材 図1は軸受装置1を示し、その装置1はボール軸受2
と、そのボール軸受2に回転自在に、且つ軸線方向に往
復動自在に支持された摺動部材としての軸部材3とより
なる。各ボール4は高炭素クロム軸受鋼(JIS SU
J2、調質処理)より構成され、それらボール4と軸部
材3との間に固体潤滑剤、例えばMoS2が介在する。
と、そのボール軸受2に回転自在に、且つ軸線方向に往
復動自在に支持された摺動部材としての軸部材3とより
なる。各ボール4は高炭素クロム軸受鋼(JIS SU
J2、調質処理)より構成され、それらボール4と軸部
材3との間に固体潤滑剤、例えばMoS2が介在する。
【0018】軸部材3は基体としての鋼製軸本体5と、
その軸本体5表面に在って金属結晶の集合物である摺動
面構成体6とを備える。
その軸本体5表面に在って金属結晶の集合物である摺動
面構成体6とを備える。
【0019】図2に示すように、摺動面構成体6は、角
錐状または角錐台状、図示例では三角錐状または六角錐
状をなし、且つ摺動面7における面積率AがA≧40%
である複数の多面体形金属結晶、図示例では三角錐状金
属結晶8および六角錐状金属結晶9を有する。多面体形
金属結晶は三角錐状金属結晶8のみである場合もある。
錐状または角錐台状、図示例では三角錐状または六角錐
状をなし、且つ摺動面7における面積率AがA≧40%
である複数の多面体形金属結晶、図示例では三角錐状金
属結晶8および六角錐状金属結晶9を有する。多面体形
金属結晶は三角錐状金属結晶8のみである場合もある。
【0020】図3に示すように、三角錐状および六角錐
状金属結晶8,9に存する各斜面aの仮想延長面bが軸
本体5表面に斜交するときの傾斜角をθとしたとき、平
均傾斜角θmはθm≦50°に設定される。
状金属結晶8,9に存する各斜面aの仮想延長面bが軸
本体5表面に斜交するときの傾斜角をθとしたとき、平
均傾斜角θmはθm≦50°に設定される。
【0021】摺動面7における三角錐状および六角錐状
金属結晶8,9、または三角錐状金属結晶8のみの面積
率AをA≧40%に設定すると、多数の三角錐状および
六角錐状金属結晶8,9、または三角錐状金属結晶8の
みにより摺動面7全体に亘ってアトランダムに延びる多
数の谷部10が形成されるので、それら谷部10に固体
潤滑剤が保持される。
金属結晶8,9、または三角錐状金属結晶8のみの面積
率AをA≧40%に設定すると、多数の三角錐状および
六角錐状金属結晶8,9、または三角錐状金属結晶8の
みにより摺動面7全体に亘ってアトランダムに延びる多
数の谷部10が形成されるので、それら谷部10に固体
潤滑剤が保持される。
【0022】また三角錐状および六角錐状金属結晶8,
9の斜面aに関する平均傾斜角θmをθm≦50°に設
定すると、その平均傾斜角θmが比較的小さく、したが
って各斜面aの勾配が比較的緩やかとなるので粘性の高
い固体潤滑剤の流動抵抗が低減され、これにより固体潤
滑剤が摺動面7の各谷部10内を流動してその面7全体
に均一に行渡る。
9の斜面aに関する平均傾斜角θmをθm≦50°に設
定すると、その平均傾斜角θmが比較的小さく、したが
って各斜面aの勾配が比較的緩やかとなるので粘性の高
い固体潤滑剤の流動抵抗が低減され、これにより固体潤
滑剤が摺動面7の各谷部10内を流動してその面7全体
に均一に行渡る。
【0023】これらにより、摺動面構成体6は高度な摺
動特性を発揮する。
動特性を発揮する。
【0024】図4に示すように、三角錐状および六角錐
状金属結晶8,9は体心立方構造(bcc構造)を持
ち、且つミラー指数で(hhh)面を、摺動面7側に向
けた(hhh)配向性金属結晶である。摺動面構成体6
における(hhh)配向性金属結晶の存在率SはS≧4
0%に設定される。(hhh)配向性金属結晶は軸本体
5より柱状に成長し、したがって三角錐状および六角錐
状金属結晶8,9は柱状晶の先端部を構成する。
状金属結晶8,9は体心立方構造(bcc構造)を持
ち、且つミラー指数で(hhh)面を、摺動面7側に向
けた(hhh)配向性金属結晶である。摺動面構成体6
における(hhh)配向性金属結晶の存在率SはS≧4
0%に設定される。(hhh)配向性金属結晶は軸本体
5より柱状に成長し、したがって三角錐状および六角錐
状金属結晶8,9は柱状晶の先端部を構成する。
【0025】図5に示すように、摺動面7に沿う仮想面
11に対する(hhh)面の傾きは三角錐状および六角
錐状金属結晶8,9の傾きとなって現われるので、摺動
面構成体6の固体潤滑剤保持機能等に影響を与える。そ
こで、(hhh)面が仮想面11に対してなす傾き角α
は0°≦α≦15°に設定される。この場合、(hh
h)面の傾き方向については限定されない。傾き角αが
θ>15°になると、固体潤滑剤保持機能等が低下す
る。
11に対する(hhh)面の傾きは三角錐状および六角
錐状金属結晶8,9の傾きとなって現われるので、摺動
面構成体6の固体潤滑剤保持機能等に影響を与える。そ
こで、(hhh)面が仮想面11に対してなす傾き角α
は0°≦α≦15°に設定される。この場合、(hh
h)面の傾き方向については限定されない。傾き角αが
θ>15°になると、固体潤滑剤保持機能等が低下す
る。
【0026】bcc構造を持つ金属結晶としては、F
e、Cr、Mo、W、Ta、Zr、Nb、V等の単体ま
たは合金の結晶を挙げることができる。
e、Cr、Mo、W、Ta、Zr、Nb、V等の単体ま
たは合金の結晶を挙げることができる。
【0027】摺動面構成体6を形成するためのメッキ処
理において、電気Feメッキ処理を行う場合のメッキ浴
組成は、表1の通りであり、またメッキ浴の条件、処理
時間および摺動面構成体6の厚さは表2の通りである。
理において、電気Feメッキ処理を行う場合のメッキ浴
組成は、表1の通りであり、またメッキ浴の条件、処理
時間および摺動面構成体6の厚さは表2の通りである。
【0028】
【表1】 有機系添加剤としては、尿素、サッカリン等が用いられ
る。
る。
【0029】
【表2】 通電法としてはパルス電流法が適用され、そのパルス電
流法において、メッキ用電源の電流Iは、図6に示すよ
うにその電流Iが最小電流Imin から立上って最大電流
Imax に至り、次いで最小電流Imin へ下降するごと
く、時間Tの経過に伴いパルス波形を描くように制御さ
れる。
流法において、メッキ用電源の電流Iは、図6に示すよ
うにその電流Iが最小電流Imin から立上って最大電流
Imax に至り、次いで最小電流Imin へ下降するごと
く、時間Tの経過に伴いパルス波形を描くように制御さ
れる。
【0030】そして、電流Iの立上り開始時から下降開
始時までの通電時間をTONとし、また先の立上り開始時
から次の立上り開始時までを1サイクルとして、そのサ
イクル時間をTc としたとき、通電時間TONとサイクル
時間Tc との比、即ち、時間比TON/Tc はTON/Tc
≦0.45に設定される。最大陰極電流密度CDmaxは
CDmax ≧2A/dm2 に、また平均陰極電流密度CDm
はCDm≧1A/dm2にそれぞれ設定される。
始時までの通電時間をTONとし、また先の立上り開始時
から次の立上り開始時までを1サイクルとして、そのサ
イクル時間をTc としたとき、通電時間TONとサイクル
時間Tc との比、即ち、時間比TON/Tc はTON/Tc
≦0.45に設定される。最大陰極電流密度CDmaxは
CDmax ≧2A/dm2 に、また平均陰極電流密度CDm
はCDm≧1A/dm2にそれぞれ設定される。
【0031】メッキ処理としては、電気メッキ処理の外
に、例えば気相メッキ法であるPVD法、CVD法、ス
パッタ法、イオンプレーティング等を挙げることができ
る。スパッタ法によりW、Moメッキを行う場合の条件
は、例えばAr圧力 0.2〜1Pa、平均Ar加速電
力 直流1〜1.5kW、母材温度 150〜300℃
である。CVD法によりWメッキを行う場合の条件は、
例えば原材料 WF6、ガス流量 2〜15cc/min 、
チャンバ内圧力 50〜300Pa、母材温度400〜
600℃、ArFエキシマレーザの平均出力 5〜40
Wである。
に、例えば気相メッキ法であるPVD法、CVD法、ス
パッタ法、イオンプレーティング等を挙げることができ
る。スパッタ法によりW、Moメッキを行う場合の条件
は、例えばAr圧力 0.2〜1Pa、平均Ar加速電
力 直流1〜1.5kW、母材温度 150〜300℃
である。CVD法によりWメッキを行う場合の条件は、
例えば原材料 WF6、ガス流量 2〜15cc/min 、
チャンバ内圧力 50〜300Pa、母材温度400〜
600℃、ArFエキシマレーザの平均出力 5〜40
Wである。
【0032】以下、具体例について説明する。
【0033】複数の鋼板(JIS SS400)製チッ
プ(軸本体5の代替)の一面(面積1cm2 )に、電気F
eメッキ処理を施すことによりFe結晶の集合体より構
成された摺動面構成体を形成した。この場合、処理時間
は15分間に、また摺動面構成体の厚さは15μmにそ
れぞれ設定された。
プ(軸本体5の代替)の一面(面積1cm2 )に、電気F
eメッキ処理を施すことによりFe結晶の集合体より構
成された摺動面構成体を形成した。この場合、処理時間
は15分間に、また摺動面構成体の厚さは15μmにそ
れぞれ設定された。
【0034】摺動面構成体において、表3は例1〜13
に、また表4は例14〜22に関するメッキ浴組成をそ
れぞれ示す。
に、また表4は例14〜22に関するメッキ浴組成をそ
れぞれ示す。
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】 表5は例1〜22のメッキ浴の条件および通電条件をそ
れぞれ示す。
れぞれ示す。
【0037】
【表5】 表6は例1〜13に、また表7は例14〜22に関する
各配向性Fe結晶の存在率Sをそれぞれ示す。
各配向性Fe結晶の存在率Sをそれぞれ示す。
【0038】
【表6】
【0039】
【表7】 存在率Sは、例1〜22のX線回折図(X線照射方向は
摺動面に対して直角方向)に基づいて次のような方法で
求められたものである。図7は例1のX線回折図であ
り、各配向性Fe結晶の存在率Sは次式から求められ
た。なお、例えば{110}配向性Fe結晶とは、{1
10}面を摺動面側に向けた配向性Fe結晶を意味す
る。 {110}配向性Fe結晶:S110 ={(I110 /IA
110 )/T}×100、 {200}配向性Fe結晶:S200 ={(I200 /IA
200 )/T}×100、 {211}配向性Fe結晶:S211 ={(I211 /IA
211 )/T}×100、 {310}配向性Fe結晶:S310 ={(I310 /IA
310 )/T}×100、 {222}配向性Fe結晶:S222 ={(I222 /IA
222 )/T}×100 ここで、I110 、I200 、I211 、I310 、I222 は各
結晶面のX線反射強度の測定値(cps)であり、また
IA110 、IA200 、IA211 、IA310 、IA222 は
ASTMカードにおける各結晶面のX線反射強度比で、
IA110 =100、IA200 =20、IA211 =30、
IA310 =12、IA222 =6である。さらにTは、T
=(I110 /IA110 )+(I200 /IA200 )+(I
211 /IA211 )+(I310 /IA310 )+(I222 /
IA222 )である。
摺動面に対して直角方向)に基づいて次のような方法で
求められたものである。図7は例1のX線回折図であ
り、各配向性Fe結晶の存在率Sは次式から求められ
た。なお、例えば{110}配向性Fe結晶とは、{1
10}面を摺動面側に向けた配向性Fe結晶を意味す
る。 {110}配向性Fe結晶:S110 ={(I110 /IA
110 )/T}×100、 {200}配向性Fe結晶:S200 ={(I200 /IA
200 )/T}×100、 {211}配向性Fe結晶:S211 ={(I211 /IA
211 )/T}×100、 {310}配向性Fe結晶:S310 ={(I310 /IA
310 )/T}×100、 {222}配向性Fe結晶:S222 ={(I222 /IA
222 )/T}×100 ここで、I110 、I200 、I211 、I310 、I222 は各
結晶面のX線反射強度の測定値(cps)であり、また
IA110 、IA200 、IA211 、IA310 、IA222 は
ASTMカードにおける各結晶面のX線反射強度比で、
IA110 =100、IA200 =20、IA211 =30、
IA310 =12、IA222 =6である。さらにTは、T
=(I110 /IA110 )+(I200 /IA200 )+(I
211 /IA211 )+(I310 /IA310 )+(I222 /
IA222 )である。
【0040】図8は、例1における摺動面の結晶構造を
示す顕微鏡写真であり、図8において、多数の三角錐状
Fe結晶が観察される。この三角錐状Fe結晶は(hh
h)面、したがって{222}面を摺動面側に向けた
{222}配向性Fe結晶である。この場合、{22
2}配向性Fe結晶の存在率Sは、表6,図7に示すよ
うに、S=90.8%である。
示す顕微鏡写真であり、図8において、多数の三角錐状
Fe結晶が観察される。この三角錐状Fe結晶は(hh
h)面、したがって{222}面を摺動面側に向けた
{222}配向性Fe結晶である。この場合、{22
2}配向性Fe結晶の存在率Sは、表6,図7に示すよ
うに、S=90.8%である。
【0041】図9は例7のX線回折図である。図10
は、例7における摺動面の結晶構造を示す顕微鏡写真で
あり、図10において、多数の六角錐状Fe結晶が観察
される。この六角錐状Fe結晶は(hhh)面、したが
って{222}面を摺動面側に向けた{222}配向性
Fe結晶である。この場合、{222}配向性Fe結晶
の存在率Sは、表6,図9に示すように、S=98%で
ある。図8の三角錐状Fe結晶と比べると、六角錐状F
e結晶はその粒径が小さいことが判る。
は、例7における摺動面の結晶構造を示す顕微鏡写真で
あり、図10において、多数の六角錐状Fe結晶が観察
される。この六角錐状Fe結晶は(hhh)面、したが
って{222}面を摺動面側に向けた{222}配向性
Fe結晶である。この場合、{222}配向性Fe結晶
の存在率Sは、表6,図9に示すように、S=98%で
ある。図8の三角錐状Fe結晶と比べると、六角錐状F
e結晶はその粒径が小さいことが判る。
【0042】表8は例1〜13に、また表9は例14〜
22に関する摺動面における三,六角錐状Fe結晶の面
積率A、三,六角錐状Fe結晶それぞれの面積率A1 ,
A2、斜面に関する平均傾斜角θm、三,六角錐状Fe
結晶の粒径ならびに摺動面の硬さをそれぞれ示す。
22に関する摺動面における三,六角錐状Fe結晶の面
積率A、三,六角錐状Fe結晶それぞれの面積率A1 ,
A2、斜面に関する平均傾斜角θm、三,六角錐状Fe
結晶の粒径ならびに摺動面の硬さをそれぞれ示す。
【0043】
【表8】
【0044】
【表9】 三角錐状Fe結晶の面積率A1 は、摺動面の面積をB、
その摺動面において全部の三角錐状Fe結晶が占める面
積をC1 としたとき、A1 =(C1 /B)×100
(%)として求められた。六角錐状Fe結晶の面積率A
2 は全部の六角錐状Fe結晶が占める面積をC2 として
前記式を用いて求められた。三,六角錐状Fe結晶の面
積率Aは両面積率A1 ,A2 の和である。また三角錐状
Fe結晶の粒径は、各角部から頂点を通って各対向辺に
至る距離、即ち、三つの距離の平均値である。六角錐状
Fe結晶の粒径は、頂点を挟んで相対向する両角部間の
距離、即ち、三つの距離の平均値である。
その摺動面において全部の三角錐状Fe結晶が占める面
積をC1 としたとき、A1 =(C1 /B)×100
(%)として求められた。六角錐状Fe結晶の面積率A
2 は全部の六角錐状Fe結晶が占める面積をC2 として
前記式を用いて求められた。三,六角錐状Fe結晶の面
積率Aは両面積率A1 ,A2 の和である。また三角錐状
Fe結晶の粒径は、各角部から頂点を通って各対向辺に
至る距離、即ち、三つの距離の平均値である。六角錐状
Fe結晶の粒径は、頂点を挟んで相対向する両角部間の
距離、即ち、三つの距離の平均値である。
【0045】斜面に関する平均傾斜角θmは次のように
して求められたものである。
して求められたものである。
【0046】図11(a)は例1における縦断面の結晶
構造を示す顕微鏡写真であり、(b)は(a)の拡大写
図である。先ず、(b)に示すように、1個の三角錐状
または六角錐状Fe結晶における1つの斜面の仮想延長
面として、その斜面に沿う直線cをチップ12表面に斜
交させ、そのときの傾斜角θ1 を求める。次いで、アト
ランダムに前記同様の直線cを49本引いて、各直線c
の傾斜角θ2 〜θ50を求め、その後平均傾斜角θmを、
θm=(θ1 +θ2 …θ49+θ50)/50として求め
る。例1の場合、θm=38.5°であった。
構造を示す顕微鏡写真であり、(b)は(a)の拡大写
図である。先ず、(b)に示すように、1個の三角錐状
または六角錐状Fe結晶における1つの斜面の仮想延長
面として、その斜面に沿う直線cをチップ12表面に斜
交させ、そのときの傾斜角θ1 を求める。次いで、アト
ランダムに前記同様の直線cを49本引いて、各直線c
の傾斜角θ2 〜θ50を求め、その後平均傾斜角θmを、
θm=(θ1 +θ2 …θ49+θ50)/50として求め
る。例1の場合、θm=38.5°であった。
【0047】図12(a)は例7における縦断面の結晶
構造を示す顕微鏡写真であり、(b)は(a)の拡大写
図である。この(b)より、前記同様の方法で平均傾斜
角θmを求めたところ、θm=70°であった。
構造を示す顕微鏡写真であり、(b)は(a)の拡大写
図である。この(b)より、前記同様の方法で平均傾斜
角θmを求めたところ、θm=70°であった。
【0048】なお、平均傾斜角θmを求める場合、直線
cの本数は最低30本とする。
cの本数は最低30本とする。
【0049】次に、例1〜22を用い、前記軸受装置1
におけるボール4と軸部材3との摺動を想定して次のよ
うな摺動テストを行い、例1〜22の耐焼付き性を調べ
た。摺動テストにおいては、固体潤滑剤としてのMoS
2 を例1〜22の摺動面に厚さが約5μmとなるように
塗布し、次いでその塗布面を、周速2m/sec で回転す
る高炭素クロム軸受鋼(JIS SUJ2、調質処理、
ボール4に対応)製ディスクに摺擦させると共にチップ
に対する押圧荷重を段階的に増加させて焼付き発生荷重
を測定した。表10はテスト結果を示す。
におけるボール4と軸部材3との摺動を想定して次のよ
うな摺動テストを行い、例1〜22の耐焼付き性を調べ
た。摺動テストにおいては、固体潤滑剤としてのMoS
2 を例1〜22の摺動面に厚さが約5μmとなるように
塗布し、次いでその塗布面を、周速2m/sec で回転す
る高炭素クロム軸受鋼(JIS SUJ2、調質処理、
ボール4に対応)製ディスクに摺擦させると共にチップ
に対する押圧荷重を段階的に増加させて焼付き発生荷重
を測定した。表10はテスト結果を示す。
【0050】
【表10】 図13は、斜面に関する平均傾斜角θmと焼付き発生荷
重との関係を三,六角錐状Fe結晶の面積率A毎にグラ
フ化したもので、図中、点(1)〜(22)は例1〜2
2にそれぞれ対応する。表10、図13において、三,
六角錐状Fe結晶の面積率AがA≧40%であり、且つ
一定である場合に平均傾斜角θmをθm≦50°に設定
すると、例えばA=100%において例4と5とを比較
すると明らかなように耐焼付き性が飛躍的に向上する。
これはボール4との摺動に十分に対応し得るものであ
る。特に、例1,2,8,9のように三角錐状Fe結晶
の面積率A1 をA1 ≧80%に設定すると、焼付き発生
荷重を580N以上に高めることができる。 [II] 液体潤滑剤を適用される摺動部材 図14は、内燃機関13におけるシリンダブロック14
と、摺動部材としてのピストン15とを示す。シリンダ
ブロック14はAl合金製シリンダブロック本体16
と、そのシリンダブロック本体16に鋳ぐるまれた鋳鉄
(JIS FC250)製スリーブ17とを有する。ス
リーブ17とピストン15との間に液体潤滑剤、例えば
オイルが供給される。
重との関係を三,六角錐状Fe結晶の面積率A毎にグラ
フ化したもので、図中、点(1)〜(22)は例1〜2
2にそれぞれ対応する。表10、図13において、三,
六角錐状Fe結晶の面積率AがA≧40%であり、且つ
一定である場合に平均傾斜角θmをθm≦50°に設定
すると、例えばA=100%において例4と5とを比較
すると明らかなように耐焼付き性が飛躍的に向上する。
これはボール4との摺動に十分に対応し得るものであ
る。特に、例1,2,8,9のように三角錐状Fe結晶
の面積率A1 をA1 ≧80%に設定すると、焼付き発生
荷重を580N以上に高めることができる。 [II] 液体潤滑剤を適用される摺動部材 図14は、内燃機関13におけるシリンダブロック14
と、摺動部材としてのピストン15とを示す。シリンダ
ブロック14はAl合金製シリンダブロック本体16
と、そのシリンダブロック本体16に鋳ぐるまれた鋳鉄
(JIS FC250)製スリーブ17とを有する。ス
リーブ17とピストン15との間に液体潤滑剤、例えば
オイルが供給される。
【0051】ピストン15は基体としてのピストン本体
18と、そのピストン本体18のランド部19およびス
カート部20表面に在って金属結晶の集合物である摺動
面構成体6とを備える。
18と、そのピストン本体18のランド部19およびス
カート部20表面に在って金属結晶の集合物である摺動
面構成体6とを備える。
【0052】図2に明示するように摺動面構成体6は、
角錐状または角錐台状、図示例では三角錐状または六角
錐状をなし、且つ摺動面7における面積率AがA≧40
%である複数の多面体形金属結晶、図示例では三角錐状
金属結晶8および六角錐状金属結晶9を有する。多面体
形金属結晶は六角錐状金属結晶9のみである場合もあ
る。
角錐状または角錐台状、図示例では三角錐状または六角
錐状をなし、且つ摺動面7における面積率AがA≧40
%である複数の多面体形金属結晶、図示例では三角錐状
金属結晶8および六角錐状金属結晶9を有する。多面体
形金属結晶は六角錐状金属結晶9のみである場合もあ
る。
【0053】図3に示すように、三角錐状および六角錐
状金属結晶8,9に存する各斜面aの仮想延長面bがピ
ストン本体18表面に斜交するときの傾斜角をθとした
とき、平均傾斜角θmはθm≧50°に設定される。
状金属結晶8,9に存する各斜面aの仮想延長面bがピ
ストン本体18表面に斜交するときの傾斜角をθとした
とき、平均傾斜角θmはθm≧50°に設定される。
【0054】摺動面7における三角錐状および六角錐状
金属結晶8,9、または六角錐状金属結晶9のみの面積
率AをA≧40%に設定すると、多数の三角錐状および
六角錐状金属結晶8,9、または六角錐状金属結晶9の
みにより摺動面7全体に亘ってアトランダムに延びる多
数の谷部10が形成されるので、それら谷部10に液体
潤滑剤が保持される。
金属結晶8,9、または六角錐状金属結晶9のみの面積
率AをA≧40%に設定すると、多数の三角錐状および
六角錐状金属結晶8,9、または六角錐状金属結晶9の
みにより摺動面7全体に亘ってアトランダムに延びる多
数の谷部10が形成されるので、それら谷部10に液体
潤滑剤が保持される。
【0055】また三角錐状および六角錐状金属結晶8,
9の斜面aに関する平均傾斜角θmをθm≧50°に設
定すると、その平均傾斜角θmが比較的大きく、したが
って各斜面aの勾配が比較的急になるので粘性の低い液
体潤滑剤の流動抵抗が高められ、これにより液体潤滑剤
が摺動面7から流出することなく各谷部10内を流動し
てその面7全体に均一に行渡る。
9の斜面aに関する平均傾斜角θmをθm≧50°に設
定すると、その平均傾斜角θmが比較的大きく、したが
って各斜面aの勾配が比較的急になるので粘性の低い液
体潤滑剤の流動抵抗が高められ、これにより液体潤滑剤
が摺動面7から流出することなく各谷部10内を流動し
てその面7全体に均一に行渡る。
【0056】これらにより、摺動面構成体6は高度な摺
動特性を発揮する。
動特性を発揮する。
【0057】図4に示すように、三角錐状および六角錐
状金属結晶8,9は、前記同様に体心立方構造(bcc
構造)を持ち、且つミラー指数で(hhh)面を、摺動
面7側に向けた(hhh)配向性金属結晶である。摺動
面構成体6における(hhh)配向性金属結晶の存在率
SはS≧40%に設定される。(hhh)配向性金属結
晶はピストン本体18より柱状に成長し、したがって三
角錐状および六角錐状金属結晶8,9は柱状晶の先端部
を構成する。
状金属結晶8,9は、前記同様に体心立方構造(bcc
構造)を持ち、且つミラー指数で(hhh)面を、摺動
面7側に向けた(hhh)配向性金属結晶である。摺動
面構成体6における(hhh)配向性金属結晶の存在率
SはS≧40%に設定される。(hhh)配向性金属結
晶はピストン本体18より柱状に成長し、したがって三
角錐状および六角錐状金属結晶8,9は柱状晶の先端部
を構成する。
【0058】図5に示すように、摺動面7に沿う仮想面
11に対する(hhh)面の傾きは三角錐状および六角
錐状金属結晶8,9の傾きとなって現われるので、摺動
面構成体6の液体潤滑剤保持機能等に影響を与える。そ
こで、(hhh)面が仮想面11に対してなす傾き角α
は0°≦α≦15°に設定される。この場合、(hh
h)面の傾き方向については限定されない。傾き角αが
θ>15°になると、液体潤滑剤保持機能等が低下す
る。
11に対する(hhh)面の傾きは三角錐状および六角
錐状金属結晶8,9の傾きとなって現われるので、摺動
面構成体6の液体潤滑剤保持機能等に影響を与える。そ
こで、(hhh)面が仮想面11に対してなす傾き角α
は0°≦α≦15°に設定される。この場合、(hh
h)面の傾き方向については限定されない。傾き角αが
θ>15°になると、液体潤滑剤保持機能等が低下す
る。
【0059】bcc構造を持つ金属結晶としては、前記
同様にFe、Cr、Mo、W、Ta、Zr、Nb、V等
の単体または合金の結晶を挙げることができる。
同様にFe、Cr、Mo、W、Ta、Zr、Nb、V等
の単体または合金の結晶を挙げることができる。
【0060】摺動面構成体6を形成するためのメッキ処
理において、電気Feメッキ処理を行う場合のメッキ浴
組成は前記表1の通りであり、またメッキ浴の条件、処
理時間および摺動面構成体6の厚さは前記表2の通りで
ある。有機系添加剤としては前記同様に尿素、サッカリ
ン等が用いられる。
理において、電気Feメッキ処理を行う場合のメッキ浴
組成は前記表1の通りであり、またメッキ浴の条件、処
理時間および摺動面構成体6の厚さは前記表2の通りで
ある。有機系添加剤としては前記同様に尿素、サッカリ
ン等が用いられる。
【0061】通電法としては、前記同様にパルス電流法
が適用され、そのパルス電流法において、メッキ用電源
の電流Iは、図6に示すように制御される。そして、時
間比TON/Tc はTON/Tc ≦0.45に、また最大陰
極電流密度CDmax はCDmax ≧2A/dm2 に、さらに
平均陰極電流密度CDmはCDm≧1A/dm2 にそれぞ
れ設定される。
が適用され、そのパルス電流法において、メッキ用電源
の電流Iは、図6に示すように制御される。そして、時
間比TON/Tc はTON/Tc ≦0.45に、また最大陰
極電流密度CDmax はCDmax ≧2A/dm2 に、さらに
平均陰極電流密度CDmはCDm≧1A/dm2 にそれぞ
れ設定される。
【0062】メッキ処理としては、電気メッキ処理の外
に、前記同様の気相メッキ法が適用される。
に、前記同様の気相メッキ法が適用される。
【0063】以下、具体例について説明する。
【0064】複数の鋼板(JIS SS400)製チッ
プ(ピストン本体18の代替)の一面(面積1cm2 )
に、電気Feメッキ処理を施すことによりFe結晶の集
合体より構成された摺動面構成体を形成した。この場
合、処理時間は15分間に、また摺動面構成体の厚さは
15μmにそれぞれ設定された。
プ(ピストン本体18の代替)の一面(面積1cm2 )
に、電気Feメッキ処理を施すことによりFe結晶の集
合体より構成された摺動面構成体を形成した。この場
合、処理時間は15分間に、また摺動面構成体の厚さは
15μmにそれぞれ設定された。
【0065】摺動面構成体において、表11は例1〜1
5に、また表12は例16〜30に関するメッキ浴組成
をそれぞれ示す。
5に、また表12は例16〜30に関するメッキ浴組成
をそれぞれ示す。
【0066】
【表11】
【0067】
【表12】 表13は例1〜30のメッキ浴の条件および通電条件を
それぞれ示す。
それぞれ示す。
【0068】
【表13】 表14は例1〜15に、また表15は例16〜30に関
する各配向性Fe結晶の存在率Sをそれぞれ示す。
する各配向性Fe結晶の存在率Sをそれぞれ示す。
【0069】
【表14】
【0070】
【表15】 存在率Sは、例1〜30のX線回折図(X線照射方向は
摺動面に対して直角方向)に基づいて前記と同様の求め
られたものである。
摺動面に対して直角方向)に基づいて前記と同様の求め
られたものである。
【0071】表16は例1〜15に、また表17は例1
6〜30に関する摺動面における三,六角錐状Fe結晶
の面積率A、三,六角錐状Fe結晶それぞれの面積率A
1 ,A2 、斜面に関する平均傾斜角θm、三,六角錐状
Fe結晶の粒径ならびに摺動面の硬さをそれぞれ示す。
6〜30に関する摺動面における三,六角錐状Fe結晶
の面積率A、三,六角錐状Fe結晶それぞれの面積率A
1 ,A2 、斜面に関する平均傾斜角θm、三,六角錐状
Fe結晶の粒径ならびに摺動面の硬さをそれぞれ示す。
【0072】
【表16】
【0073】
【表17】 各面積率A,A1 ,A2 、平均傾斜角θmおよび粒径は
前記同様の方法で求められたものである。
前記同様の方法で求められたものである。
【0074】次に、例1〜30を用い、前記内燃機関1
3におけるスリーブ17とピストン15との摺動を想定
して次のような摺動テストを行い、例1〜30の耐焼付
き性を調べた。摺動テストにおいては、例1〜30の摺
動面を、周速15m/sec で回転する鋳鉄(JIS F
C250、スリーブ17に対応)製ディスクに摺擦さ
せ、またチップおよびディスク間にオイル(JIS 2
010)を供給量5ml/min にて供給し、そしてチップ
に対する押圧荷重を段階的に増加させて焼付き発生荷重
を測定した。表18はテスト結果を示す。
3におけるスリーブ17とピストン15との摺動を想定
して次のような摺動テストを行い、例1〜30の耐焼付
き性を調べた。摺動テストにおいては、例1〜30の摺
動面を、周速15m/sec で回転する鋳鉄(JIS F
C250、スリーブ17に対応)製ディスクに摺擦さ
せ、またチップおよびディスク間にオイル(JIS 2
010)を供給量5ml/min にて供給し、そしてチップ
に対する押圧荷重を段階的に増加させて焼付き発生荷重
を測定した。表18はテスト結果を示す。
【0075】
【表18】 図15は、斜面に関する平均傾斜角θmと焼付き発生荷
重との関係を、三,六角錐状Fe結晶の面積率A毎にグ
ラフ化したもので、図中、点(1)〜(30)は例1〜
30にそれぞれ対応する。表18、図15において、
三,六角錐状Fe結晶面積率AがA≧40%であり、且
つ一定である場合に平均傾斜角θmをθm≧50°に設
定すると、例えばA=100%において例6と7とを比
較すると明らかなように耐焼付き性が飛躍的に向上す
る。これはスリーブ17との摺動に十分に対応し得るも
のである。特に、例1〜4、9〜11,16のように六
角錐状Fe結晶の面積率A2 をA2 ≧70%に設定する
と、焼付き発生荷重を1200N以上に高めることがで
きる。 [III] 気体潤滑剤を適用される摺動部材 図16は、エアコンプレッサ21におけるAl合金(J
IS AC2B)製シリンダ22と、摺動部材としての
ピストン23とを示す。シリンダ22とピストン23と
の間に気体潤滑剤、例えば窒素ガスが供給される。
重との関係を、三,六角錐状Fe結晶の面積率A毎にグ
ラフ化したもので、図中、点(1)〜(30)は例1〜
30にそれぞれ対応する。表18、図15において、
三,六角錐状Fe結晶面積率AがA≧40%であり、且
つ一定である場合に平均傾斜角θmをθm≧50°に設
定すると、例えばA=100%において例6と7とを比
較すると明らかなように耐焼付き性が飛躍的に向上す
る。これはスリーブ17との摺動に十分に対応し得るも
のである。特に、例1〜4、9〜11,16のように六
角錐状Fe結晶の面積率A2 をA2 ≧70%に設定する
と、焼付き発生荷重を1200N以上に高めることがで
きる。 [III] 気体潤滑剤を適用される摺動部材 図16は、エアコンプレッサ21におけるAl合金(J
IS AC2B)製シリンダ22と、摺動部材としての
ピストン23とを示す。シリンダ22とピストン23と
の間に気体潤滑剤、例えば窒素ガスが供給される。
【0076】ピストン23は基体としてのAl合金製ピ
ストン本体24と、そのピストン本体24表面に在って
金属結晶の集合物である摺動面構成体6とを備える。
ストン本体24と、そのピストン本体24表面に在って
金属結晶の集合物である摺動面構成体6とを備える。
【0077】図2に明示するように、摺動面構成体6
は、角錐状または角錐台状、図示例では三角錐状または
六角錐状をなし、且つ摺動面7における面積率AがA≧
90%である複数の多面体形金属結晶、図示例では三角
錐状金属結晶8および六角錐状金属結晶9を有する。多
面体形金属結晶は六角錐状金属結晶9のみである場合も
ある。
は、角錐状または角錐台状、図示例では三角錐状または
六角錐状をなし、且つ摺動面7における面積率AがA≧
90%である複数の多面体形金属結晶、図示例では三角
錐状金属結晶8および六角錐状金属結晶9を有する。多
面体形金属結晶は六角錐状金属結晶9のみである場合も
ある。
【0078】図3に示すように、三角錐状および六角錐
状金属結晶8,9に存する各斜面aの仮想延長面bがピ
ストン本体24表面に斜交するときの傾斜角をθとした
とき、平均傾斜角θmはθm≧50°に設定される。
状金属結晶8,9に存する各斜面aの仮想延長面bがピ
ストン本体24表面に斜交するときの傾斜角をθとした
とき、平均傾斜角θmはθm≧50°に設定される。
【0079】摺動面7における三角錐状および六角錐状
金属結晶8,9、または六角錐状金属結晶9のみの面積
率AをA≧90%に設定すると、無数の三角錐状および
六角錐状金属結晶8,9、または六角錐状金属結晶9の
みにより摺動面7全体に亘ってアトランダムに延びる無
数の谷部10が形成されるので、それら谷部10に気体
潤滑剤が保持される。
金属結晶8,9、または六角錐状金属結晶9のみの面積
率AをA≧90%に設定すると、無数の三角錐状および
六角錐状金属結晶8,9、または六角錐状金属結晶9の
みにより摺動面7全体に亘ってアトランダムに延びる無
数の谷部10が形成されるので、それら谷部10に気体
潤滑剤が保持される。
【0080】また三角錐状および六角錐状金属結晶8,
9の斜面aに関する平均傾斜角θmをθm≧50°に設
定すると、その平均傾斜角θmが比較的大きく、したが
って各斜面aの勾配が比較的急になるので、前記面積率
Aで規定された無数の三角錐状および六角錐状金属結晶
8,9、または六角錐状金属結晶9のみの存在と相俟っ
て極めて粘性の低い気体潤滑剤の流動抵抗が高められ、
これにより気体潤滑剤が摺動面7から流出することなく
各谷部10内を流動してその面7全体に均一に行渡る。
9の斜面aに関する平均傾斜角θmをθm≧50°に設
定すると、その平均傾斜角θmが比較的大きく、したが
って各斜面aの勾配が比較的急になるので、前記面積率
Aで規定された無数の三角錐状および六角錐状金属結晶
8,9、または六角錐状金属結晶9のみの存在と相俟っ
て極めて粘性の低い気体潤滑剤の流動抵抗が高められ、
これにより気体潤滑剤が摺動面7から流出することなく
各谷部10内を流動してその面7全体に均一に行渡る。
【0081】これらにより、摺動面構成体6は高度な摺
動特性を発揮する。
動特性を発揮する。
【0082】図4に示すように、三角錐状および六角錐
状金属結晶8,9は、前記同様に体心立方構造(bcc
構造)を持ち、且つミラー指数で(hhh)面を、摺動
面7側に向けた(hhh)配向性金属結晶である。摺動
面構成体6における(hhh)配向性金属結晶の存在率
SはS≧90%に設定される。(hhh)配向性金属結
晶はピストン本体24より柱状に成長し、したがって三
角錐状および六角錐状金属結晶8,9は柱状晶の先端部
を構成する。
状金属結晶8,9は、前記同様に体心立方構造(bcc
構造)を持ち、且つミラー指数で(hhh)面を、摺動
面7側に向けた(hhh)配向性金属結晶である。摺動
面構成体6における(hhh)配向性金属結晶の存在率
SはS≧90%に設定される。(hhh)配向性金属結
晶はピストン本体24より柱状に成長し、したがって三
角錐状および六角錐状金属結晶8,9は柱状晶の先端部
を構成する。
【0083】図5に示すように、摺動面7に沿う仮想面
11に対する(hhh)面の傾きは三角錐状および六角
錐状金属結晶8,9の傾きとなって現われるので、摺動
面構成体6の気体潤滑剤保持機能等に影響を与える。そ
こで、(hhh)面が仮想面11に対してなす傾き角α
は0°≦α≦15°に設定される。この場合、(hh
h)面の傾き方向については限定されない。傾き角αが
θ>15°になると、気体潤滑剤保持機能等が低下す
る。
11に対する(hhh)面の傾きは三角錐状および六角
錐状金属結晶8,9の傾きとなって現われるので、摺動
面構成体6の気体潤滑剤保持機能等に影響を与える。そ
こで、(hhh)面が仮想面11に対してなす傾き角α
は0°≦α≦15°に設定される。この場合、(hh
h)面の傾き方向については限定されない。傾き角αが
θ>15°になると、気体潤滑剤保持機能等が低下す
る。
【0084】bcc構造を持つ金属結晶としては、前記
同様にFe、Cr、Mo、W、Ta、Zr、Nb、V等
の単体または合金の結晶を挙げることができる。
同様にFe、Cr、Mo、W、Ta、Zr、Nb、V等
の単体または合金の結晶を挙げることができる。
【0085】摺動面構成体6を形成するためのメッキ処
理において、電気Feメッキ処理を行う場合のメッキ浴
組成は前記表1の通りであり、またメッキ浴の条件、処
理時間および摺動面構成体6の厚さは前記表2の通りで
ある。有機系添加剤としては前記同様に尿素、サッカリ
ン等が用いられる。
理において、電気Feメッキ処理を行う場合のメッキ浴
組成は前記表1の通りであり、またメッキ浴の条件、処
理時間および摺動面構成体6の厚さは前記表2の通りで
ある。有機系添加剤としては前記同様に尿素、サッカリ
ン等が用いられる。
【0086】通電法としては、前記同様にパルス電流法
が適用され、そのパルス電流法において、メッキ用電源
の電流Iは、図6に示すように制御される。そして、時
間比TON/Tc はTON/Tc ≦0.45に、また最大陰
極電流密度CDmax はCDmax ≧2A/dm2 に、さらに
平均陰極電流密度CDmはCDm≧1A/dm2 にそれぞ
れ設定される。
が適用され、そのパルス電流法において、メッキ用電源
の電流Iは、図6に示すように制御される。そして、時
間比TON/Tc はTON/Tc ≦0.45に、また最大陰
極電流密度CDmax はCDmax ≧2A/dm2 に、さらに
平均陰極電流密度CDmはCDm≧1A/dm2 にそれぞ
れ設定される。
【0087】メッキ処理としては、電気メッキ処理の外
に、前記同様の気相メッキ法が適用される。
に、前記同様の気相メッキ法が適用される。
【0088】以下、具体例について説明する。
【0089】複数の鋼板(JIS SS400)製チッ
プ(ピストン本体24の代替)の一面(面積1cm2 )
に、電気Feメッキ処理を施すことによりFe結晶の集
合体より構成された摺動面構成体を形成した。この場
合、処理時間は15分間に、また摺動面構成体の厚さは
15μmにそれぞれ設定された。
プ(ピストン本体24の代替)の一面(面積1cm2 )
に、電気Feメッキ処理を施すことによりFe結晶の集
合体より構成された摺動面構成体を形成した。この場
合、処理時間は15分間に、また摺動面構成体の厚さは
15μmにそれぞれ設定された。
【0090】摺動面構成体において、表19は例1〜2
5に、また表20は例13〜22に関するメッキ浴組成
をそれぞれ示す。
5に、また表20は例13〜22に関するメッキ浴組成
をそれぞれ示す。
【0091】
【表19】
【0092】
【表20】 表21は例1〜22のメッキ浴の条件および通電条件を
それぞれ示す。
それぞれ示す。
【0093】
【表21】 表22は例1〜12に、また表23は例13〜22に関
する各配向性Fe結晶の存在率Sをそれぞれ示す。
する各配向性Fe結晶の存在率Sをそれぞれ示す。
【0094】
【表22】
【0095】
【表23】 存在率Sは、例1〜22のX線回折図(X線照射方向は
摺動面に対して直角方向)に基づいて前記と同様の求め
られたものである。
摺動面に対して直角方向)に基づいて前記と同様の求め
られたものである。
【0096】表24は例1〜12に、また表25は例1
3〜22に関する摺動面における三,六角錐状Fe結晶
の面積率A、三,六角錐状Fe結晶それぞれの面積率A
1 ,A2 、斜面に関する平均傾斜角θm、三,六角錐状
Fe結晶の粒径ならびに摺動面の硬さをそれぞれ示す。
3〜22に関する摺動面における三,六角錐状Fe結晶
の面積率A、三,六角錐状Fe結晶それぞれの面積率A
1 ,A2 、斜面に関する平均傾斜角θm、三,六角錐状
Fe結晶の粒径ならびに摺動面の硬さをそれぞれ示す。
【0097】
【表24】
【0098】
【表25】 各面積率A,A1 ,A2 、平均傾斜角θmおよび粒径は
前記同様の方法で求められたものである。
前記同様の方法で求められたものである。
【0099】次に、例1〜22を用い、前記エアコンプ
レッサ21におけるピストン23とシリンダ22との摺
動を想定して次のような摺動テストを行い、例1〜22
の摩擦係数μを測定した。摺動テストにおいては、例1
〜22の摺動面を周速5m/sec で回転するAl合金
(JIS AC2B、シリンダ22に対応)製ディスク
に摺擦させ、またチップおよびディスク間に窒素ガスを
供給量10リットル/min にて供給した。表26はテス
ト結果を示す。
レッサ21におけるピストン23とシリンダ22との摺
動を想定して次のような摺動テストを行い、例1〜22
の摩擦係数μを測定した。摺動テストにおいては、例1
〜22の摺動面を周速5m/sec で回転するAl合金
(JIS AC2B、シリンダ22に対応)製ディスク
に摺擦させ、またチップおよびディスク間に窒素ガスを
供給量10リットル/min にて供給した。表26はテス
ト結果を示す。
【0100】
【表26】 図17は、斜面に関する平均傾斜角θmと摩擦係数μと
の関係を三,六角錐状Fe結晶の面積率A毎にグラフ化
したもので、図中、点(1)〜(22)は例1〜22に
それぞれ対応する。表26、図17から明らかなよう
に、三,六角錐状Fe結晶の面積率AがA≧90%であ
り、且つ平均傾斜角θmがθm≧50°である例1〜
4、7〜10は他の例に比べて摩擦係数μが小さくなっ
ており、これはシリンダ22との摺動に十分に対応し得
るものである。特に、例1,2,7のように六角錐状F
e結晶の面積率A2 をA2 ≧90%に設定すると、摩擦
係数μを0.06以下に低くすることができる。
の関係を三,六角錐状Fe結晶の面積率A毎にグラフ化
したもので、図中、点(1)〜(22)は例1〜22に
それぞれ対応する。表26、図17から明らかなよう
に、三,六角錐状Fe結晶の面積率AがA≧90%であ
り、且つ平均傾斜角θmがθm≧50°である例1〜
4、7〜10は他の例に比べて摩擦係数μが小さくなっ
ており、これはシリンダ22との摺動に十分に対応し得
るものである。特に、例1,2,7のように六角錐状F
e結晶の面積率A2 をA2 ≧90%に設定すると、摩擦
係数μを0.06以下に低くすることができる。
【0101】気体潤滑剤を対象とする摺動部材として
は、前記エアコンプレッサ用ピストンの外に気体軸受を
挙げることができる。
は、前記エアコンプレッサ用ピストンの外に気体軸受を
挙げることができる。
【0102】
【発明の効果】本発明によれば、前記のように構成する
ことによって、固体潤滑剤、液体潤滑剤または気体潤滑
剤に適合して高度な摺動特性を発揮する摺動部材を提供
することができる。
ことによって、固体潤滑剤、液体潤滑剤または気体潤滑
剤に適合して高度な摺動特性を発揮する摺動部材を提供
することができる。
【図1】軸受装置の説明図である。
【図2】摺動面構成体の平面図である。
【図3】摺動面構成体の縦断面図である。
【図4】体心立方構造およびその(hhh)面を示す斜
視図である。
視図である。
【図5】体心立方構造における(hhh)面の傾きを示
す説明図である。
す説明図である。
【図6】メッキ用電源の出力波形図である。
【図7】摺動面構成体の一例におけるX線回折図であ
る。
る。
【図8】摺動面構成体の一例における摺動面の結晶構造
を示す顕微鏡写真である。
を示す顕微鏡写真である。
【図9】摺動面構成体の他例におけるX線回折図であ
る。
る。
【図10】摺動面構成体の他例における摺動面の結晶構
造を示す顕微鏡写真である。
造を示す顕微鏡写真である。
【図11】(a)は摺動面構成体の一例における縦断面
の結晶構造を示す顕微鏡写真、(b)は(a)の拡大写
図である。
の結晶構造を示す顕微鏡写真、(b)は(a)の拡大写
図である。
【図12】(a)は摺動面構成体の他例における縦断面
の結晶構造を示す顕微鏡写真、(b)は(a)の拡大写
図である。
の結晶構造を示す顕微鏡写真、(b)は(a)の拡大写
図である。
【図13】平均傾斜角θmと焼付き発生荷重との関係を
示すグラフである。
示すグラフである。
【図14】内燃機関の要部説明図である。
【図15】平均傾斜角θmと焼付き発生荷重との関係を
示すグラフである。
示すグラフである。
【図16】エアコンプレッサの説明図である。
【図17】平均傾斜角θmと摩擦係数μとの関係を示す
グラフである。
グラフである。
5 軸本体(基体) 6 摺動面構成体 7 摺動面 8 三角錐状金属結晶(多面体形金属結晶) 9 六角錐状金属結晶(多面体形金属結晶) 18 ピストン本体(基体) 24 ピストン本体(基体) a 斜面 b 仮想延長面
フロントページの続き (72)発明者 豊田 裕介 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (56)参考文献 特開 平6−174089(JP,A)
Claims (9)
- 【請求項1】 基体(5)と、その基体(5)表面に在
って金属結晶の集合物である摺動面構成体(6)とを備
え、前記摺動面構成体(6)は、角錐状または角錐台状
をなし、且つ摺動面(7)における面積率AがA≧40
%である複数の多面体形金属結晶(8,9)を有し、前
記多面体形金属結晶(8,9)に存する各斜面(a)の
仮想延長面(b)が前記基体(5)表面に斜交するとき
の傾斜角をθとしたとき、平均傾斜角θmをθm≦50
°に設定することを特徴とする摺動部材。 - 【請求項2】 前記摺動面(7)において、前記多面体
形金属結晶である三角錐状金属結晶(8)の面積率A1
がA1 ≧80%である、請求項1記載の摺動部材。 - 【請求項3】 前記金属結晶は体心立方構造を有し、前
記摺動面構成体(6)におけるミラー指数で(hhh)
面を摺動面側に向けた(hhh)配向性金属結晶の存在
率SがS≧40%である、請求項1または2記載の摺動
部材。 - 【請求項4】 基体(18)と、その基体(18)表面
に在って金属結晶の集合物である摺動面構成体(6)と
を備え、前記摺動面構成体(6)は、角錐状または角錐
台状をなし、且つ摺動面(7)における面積率AがA≧
40%である複数の多面体形金属結晶(8,9)を有
し、前記多面体形金属結晶(8,9)に存する各斜面
(a)の仮想延長面(b)が前記基体(18)表面に斜
交するときの傾斜角をθとしたとき、平均傾斜角θmを
θm≧50°に設定することを特徴とする摺動部材。 - 【請求項5】 前記摺動面(7)において、前記多面体
形金属結晶である六角錐状金属結晶(9)の面積率A2
がA2 ≧70%である、請求項4記載の摺動部材。 - 【請求項6】 前記金属結晶は体心立方構造を有し、前
記摺動面構成体におけるミラー指数で(hhh)面を摺
動面側に向けた(hhh)配向性金属結晶の存在率Sが
S≧40%である、請求項4または5記載の摺動部材。 - 【請求項7】 基体(24)と、その基体(24)表面
に在って金属結晶の集合物である摺動面構成体(6)と
を備え、前記摺動面構成体(6)は、角錐状または角錐
台状をなし、且つ摺動面(7)における面積率AがA≧
90%である複数の多面体形金属結晶(8,9)を有
し、前記多面体形金属結晶(8,9)に存する各斜面
(a)の仮想延長面(b)が前記基体(24)表面に斜
交するときの傾斜角をθとしたとき、平均傾斜角θmを
θm≧50°に設定することを特徴とする摺動部材。 - 【請求項8】 前記摺動面(7)において、前記多面体
形金属結晶である六角錐状金属結晶(9)の面積率A2
がA2 ≧90%である、請求項7記載の摺動部材。 - 【請求項9】 前記金属結晶は体心立方構造を有し、前
記摺動面構成体(6)におけるミラー指数で(hhh)
面を摺動面側に向けた(hhh)配向性金属結晶の存在
率SがS≧90%である、請求項7または8記載の摺動
部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29382794A JP2704848B2 (ja) | 1994-11-02 | 1994-11-02 | 摺動部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29382794A JP2704848B2 (ja) | 1994-11-02 | 1994-11-02 | 摺動部材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08128447A JPH08128447A (ja) | 1996-05-21 |
JP2704848B2 true JP2704848B2 (ja) | 1998-01-26 |
Family
ID=17799677
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29382794A Expired - Fee Related JP2704848B2 (ja) | 1994-11-02 | 1994-11-02 | 摺動部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2704848B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6006830B1 (ja) * | 2015-04-27 | 2016-10-12 | 大同メタル工業株式会社 | 摺動部材 |
-
1994
- 1994-11-02 JP JP29382794A patent/JP2704848B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08128447A (ja) | 1996-05-21 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |