JPH08269754A - フェライト系ステンレス冷延鋼帯の製造方法 - Google Patents

フェライト系ステンレス冷延鋼帯の製造方法

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JPH08269754A
JPH08269754A JP7072102A JP7210295A JPH08269754A JP H08269754 A JPH08269754 A JP H08269754A JP 7072102 A JP7072102 A JP 7072102A JP 7210295 A JP7210295 A JP 7210295A JP H08269754 A JPH08269754 A JP H08269754A
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JP
Japan
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less
dew point
nitric acid
steel strip
annealing
Prior art date
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Application number
JP7072102A
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English (en)
Inventor
Kunio Fukuda
國夫 福田
Yoshikazu Kawabata
良和 河端
Takumi Ugi
工 宇城
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
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  • Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)
  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 高い生産性と安定した脱スケール能力を有
し、しかも優れた耐食性を備えたステンレス冷延鋼帯の
製造方法を提供する。 【構成】 C、Si、Mn、P、S、Cr、N、O、A
lを含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼
組成の冷延鋼帯を、ガス組成がH2 :20 vol%以下、
残部:不活性ガスからなり、露点が−10℃以下である
還元性雰囲気中で焼鈍し、次いで露点に応じて下記式: A>−40℃のとき、 3.0×10-3×A+ 1.3×10-1≦B
≦10 A≦−40℃のとき、 0.01 ≦B≦10 ただし、A:焼鈍雰囲気の露点(℃) B:研削厚み(μm) を満足する厚みの表面層を機械的に研削し、その後液組
成が硝酸濃度:10〜300(g/l) 、塩酸濃度:1〜30(g/l)
、液温が35〜65℃の硝塩酸溶液中において電流密度が
1〜30(A/dm2) の条件で電解処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ステンレス冷延鋼帯
(鋼板も含む)の製造方法に係り、とくに安定した脱ス
ケールを可能にするとともに、脱スケール後の耐食性に
優れた特性を有するフェライト系ステンレス冷延鋼帯の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、冷間圧延後のステンレス鋼に
は、加工性および耐食性を確保するために焼鈍が施され
る。フェライト系ステンレス鋼の主な焼鈍方法には、強
還元性雰囲気で処理する方法と燃焼雰囲気で処理する方
法とがある。前者の方法は、光輝焼鈍(BA)処理とよ
ばれ、酸化皮膜(スケール)は極めて薄く、ほとんど圧
延のままの光沢が得られる。一方、後者の方法では焼鈍
時に一定の厚さ以上のスケールが生じるため、このまま
では耐食性、成形・加工時のダイス寿命などに悪影響を
及ぼす。このため、燃焼雰囲気で焼鈍を行った場合に
は、焼鈍後、脱スケールのための酸洗処理が施される。
また、近年、普通鋼の連続焼鈍ライン(CAL)のよう
な還元性雰囲気中で、高速通板する焼鈍方法が試みられ
つつある。この場合に、フェライト系ステンレス鋼は酸
化されやすいCrを含むため、普通鋼では酸化されない
雰囲気であっても、表面にテンパーカラー状のスケール
が生成し、焼鈍後、脱スケール処理が必要であった。
【0003】ところで、焼鈍後に施される脱スケール処
理として、従来は一般に、溶融アルカリ塩に浸漬するソ
ルト処理もしくは中性塩溶液中における電解処理などの
工程の後に、硫酸、硝酸、硝弗酸等の酸溶液に浸漬する
か、電解処理する工程を組み合わせる方法が採用されて
いた。その具体的方法は、例えば、特公昭38-12162号公
報、特開昭59-59900号公報あるいはステンレス鋼便覧
(長谷川正義監修、日刊工業新聞社、1973、P.839 )等
に開示されている。この他に、工程をより単純化した方
法として、硝塩酸溶液中で電解する技術が特開平1-1471
00号公報、特開平4-66699 号公報等に開示されている。
これら方法が鋼種や焼鈍条件に起因するスケール除去の
難易度によって使い分けられているのが現状であった。
しかし、上記のような工程の脱スケール処理を施して
も、スケール層を除去するためには、長時間にわたる処
理が必要であるのみならず、スケール層を除去したあと
の耐食性が十分ではなく、不安定なものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、上記既知
技術はいずれも、脱スケール工程の生産性が低いことの
ほか、とくに脱スケール後の耐食性が不十分であるいう
問題を抱えていた。本発明の主たる目的は、ステンレス
冷延鋼帯を焼鈍、脱スケールする際の上記従来技術が抱
えている上述した問題点を惹起することのないステンレ
ス冷延鋼帯の製造方法を提供することにある。本発明の
他の目的は、高い生産性と安定した脱スケール能力を有
し、しかも優れた耐食性を備えたステンレス冷延鋼帯の
製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】さて、発明者らは、上掲
の目的の実現に向けて、まず、焼鈍後、従来の工程で酸
洗した鋼板の表面を観察するとともに、耐食性との関連
について詳細に調査した。その結果、酸洗後の鋼板表面
には目視では確認できない、微量のSi、Al、Ti、
Nb、Mo等の酸化物が地鉄との界面近傍に残存してお
り、これらの元素は鋼中に固溶状態で存在していると耐
食性を向上させるが、酸化物の状態で表面に残存する
と、そこが発錆起点となり、耐食性を劣化させることを
見いだした。また、これらの酸化物は、化学的な処理だ
けでは短時間では溶解除去できず、むしろ他の元素が選
択的に溶解するために表層部に濃化することが分かっ
た。そこで、この部分を機械的に研削して除去すること
により、耐食性の向上がはかられるとともに、安定、高
能率な脱スケールも可能になるという知見を得た。ま
た、耐食性を劣化させる上記Si、Al、Ti、Nb、
Mo等の酸化物は、焼鈍過程で地鉄との界面近傍に濃
化、形成したものであって、酸化物が存在表面から深さ
が焼鈍条件によって異なることをも知見した。
【0006】本発明は、上記の知見に基づいて完成され
たものであって、その要旨構成は次のとおりである。 (1) C:0.02wt%以下、 Si:0.3 〜3.0 wt%、M
n:1.0 wt%以下、 P:0.05wt%以下、S:0.02w
t%以下、 Cr:10〜25wt%、N:0.02wt%以下、
O:0.008 wt%以下、Al:0.5 wt%以下を含有
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼組成の冷
延鋼帯を、ガス組成がH2 :20 vol%以下、残部:不
活性ガスからなり、露点が−10℃以下である還元性雰
囲気中で焼鈍し、次いで前記露点に応じて下記式: A>−40℃のとき、 3.0×10-3×A+ 1.3×10-1≦B
≦10 A≦−40℃のとき、 0.01 ≦B≦10 ただし、A:焼鈍雰囲気の露点(℃) B:研削厚み(μm) を満足する厚みの表面層を機械的に研削し、その後液組
成が硝酸濃度:10〜300(g/l) 、塩酸濃度:1〜30(g/l)
、液温が35〜65℃の硝塩酸溶液中において電流密度が
1〜30(A/dm2) の条件で電解処理を行うことを特徴とす
るフェライト系ステンレス冷延鋼帯の製造方法。
【0007】(2) 上記(1) に記載の鋼組成のものに、さ
らにTi:0.1 〜1.0 wt%、 Nb:0.1 〜2.0 wt%、M
o:0.3 〜5.0 wt%、 Cu:0.3 〜1.0 wt%、Ni:0.1
〜1.0 wt%、 W:0.1 〜1.0 wt%、Co:0.1 〜2.0
wt%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有さ
せてなる成分の冷延鋼帯を、ガス組成がH2 :20 vol
%以下、残部:不活性ガスからなり、露点が−10℃以
下である還元性雰囲気中で焼鈍し、次いで前記露点に応
じて下記式: A>−40℃のとき、 3.0×10-3×A+ 1.3×10-1≦B
≦10 A≦−40℃のとき、 0.01 ≦B≦10 ただし、A:焼鈍雰囲気の露点(℃) B:研削厚み(μm) を満足する厚みの表面層を機械的に研削し、その後液組
成が硝酸濃度:10〜300(g/l) 、塩酸濃度:1〜30(g/l)
、液温が35〜65℃の硝塩酸溶液中において電流密度が
1〜30(A/dm2) の条件で電解処理を行うことを特徴とす
るフェライト系ステンレス冷延鋼帯の製造方法。
【0008】(3) 上記(1) または(2) に記載の鋼組成の
ものに、さらにCa:0.003 〜0.02wt%、 B:0.0005〜
0.01wt%のいずれか1種または2種を含有させてなる成
分の冷延鋼帯を、ガス組成がH2:20 vol%以下、残
部:不活性ガスからなり、露点が−10℃以下である還
元性雰囲気中で焼鈍し、次いで前記露点に応じて下記
式: A>−40℃のとき、 3.0×10-3×A+ 1.3×10-1≦B
≦10 A≦−40℃のとき、 0.01 ≦B≦10 ただし、A:焼鈍雰囲気の露点(℃) B:研削厚み(μm) を満足する厚みの表面層を機械的に研削し、その後液組
成が硝酸濃度:10〜300(g/l) 、塩酸濃度:1〜30(g/l)
、液温が35〜65℃の硝塩酸溶液中において電流密度が
1〜30(A/dm2) の条件で電解処理を行うことを特徴とす
るフェライト系ステンレス冷延鋼帯の製造方法。
【0009】
【作用】まず、本発明にけるフェライト系ステンレス冷
延鋼帯の成分組成を限定した理由について説明する。 C:0.02wt%以下 Cは、Crと炭化物を生成し、これが粒界に析出し耐食
性を劣化させるので、なるべく低い方が望ましいが、製
造性の制約から、0.02wt%以下とする。
【0010】Si:0.3〜3.0wt% 脱酸剤として添加されるほか、0.3wt%以上添加する
と、耐食性を著しく向上させる元素である。しかし、多
量に添加すると加工性、溶接性、および焼鈍後の脱スケ
ール性を劣化させるので、Siは0.3〜3.0wt%、
好ましくは0.3〜1.5wt%とする。
【0011】Mn:1.0wt%以下 Mnは、鋼中で硫化物を生成し耐食性を劣化させるの
で、できるかぎり低い方が望ましいが、製造性の制約か
ら、1.0wt%以下、好ましくは0.5wt%以下とす
る。
【0012】P:0.05wt%以下 Pは、熱間加工性を低下させるので、できるかぎり低い
方が望ましい元素であり、0.05wt%以下、好ましく
は0.03wt%以下とする。
【0013】S:0.02wt%以下 Sは、Mnと硫化物を生成し、耐食性を劣化させ、また
熱間加工性を劣化させるので、なるべく低い方が望まし
く、0.02wt%以下、好ましくは0.01wt%以下と
する。
【0014】Cr:10〜20wt%以下 Crは、ステンレス鋼の耐食性を確保するうえで必要な
基本元素である。強固な不動態皮膜を生成させるために
は10wt%以上の添加が必要であるが、添加量25wt%
を超えてもその効果が飽和し、製造性の制約もあるの
で、10〜25wt%の範囲とする。
【0015】N:0.02wt%以下 Nは、Crと反応し、窒化物として粒界に析出し、耐食
性を劣化させるのでなるべく低い方が望ましく、0.0
2wt%以下、好ましくは0.1wt%以下とする。
【0016】O:0.008wt%以下 Oは、凝固時に非金属介在物として鋼中に残留し、耐食
性を劣化させるので、なるべく低い方が望ましい。とく
に0.008wt%を超えるとその悪影響が顕著になるの
で、0.008wt%以下、好ましくは0.005wt%以
下とする。
【0017】Al:0.5wt%以下 Alは、脱酸材として添加されるが、多量に添加すると
加工性を劣化させるため、0.5wt%以下とする。
【0018】また、上記の各成分以外に、下記の成分を
必要に応じて添加することができる。 Ti:0.1〜1.0wt% Tiは、鋼中に残留したC、Nを固定し、粒界侵食を防
止するのに効果的な元素であり、その効果は0.1wt%
以上で現れる。しかし、多量にに添加すると熱間加工性
を劣化させるので、0.1〜1.0wt%とする。なお、
好ましくはC、N量の約8倍以上添加すると効果的であ
る。
【0019】Nb:0.1〜2.0wt% Nbは、Tiと同様に、鋼中に残留したC、Nを固定
し、粒界侵食を防止するのに効果的な元素であり、その
効果は0.1wt%以上で現れる。しかし、多量にに添加
すると熱間加工性を劣化させるので、0.1〜2.0wt
%とする。なお、好ましくはC、N量の約8倍以上添加
すると効果的である。
【0020】Mo:0.3〜5.0wt% Moは、ステンレス鋼の耐食性を向上させるのに有効な
成分であり、0.3wt%以上添加すると効果的である
が、多量に添加すると、加工性および溶接部の靱性を低
下させるので5.0wt%とする。なお、好ましい範囲は
0.5〜3.0wt%である。
【0021】Cu:0.3〜1.0wt% Cuは、耐孔食性を向上させる元素であるが、多量に添
加するとマルテンサイトが生じ、耐食性を劣化させるの
で、0.3〜1.0wt%の範囲で添加する。
【0022】Ni:0.1〜1.0wt% Niは、耐食性を向上させる元素であるが、多量に添加
するとマルテンサイトが生じ、耐食性を劣化させるの
で、0.1〜1.0wt%の範囲で添加する。
【0023】W:0.1〜1.0wt% Wは、耐食性を向上させる元素であるが、多量に添加す
るとかえって耐食性を劣化させるので、0.1〜1.0
wt%の範囲で添加する。
【0024】Co:0.1〜2.0wt% Coは、耐食性を向上させる元素であるが、多量に添加
するとマルテンサイトが生じ、耐食性を劣化させるの
で、0.1〜2.0wt%の範囲で添加する。
【0025】Ca:0.003〜0.02wt% Caは、熱間加工性を向上させる元素であるが、多量に
添加すると、逆に熱間加工性を劣化させるので、0.0
03〜0.02wt%、好ましくは0.005〜0.01
5wt%以下とする。
【0026】B:0.0005〜0.01wt% Bは、熱間加工性および強度を向上させる元素である
が、多量に添加すると、溶接性、熱間加工性を劣化させ
るので、0.0005〜0.01wt%、好ましくは0.
001〜0.005wt%以下とする。
【0027】次に、本発明において、焼鈍・脱スケール
条件を限定した理由について説明する。本発明の焼鈍雰
囲気は、還元性雰囲気とする必要がある。連続焼鈍ライ
ン(CAL)などで焼鈍したステンレス鋼帯の表面に生
成するスケールの厚みや、地鉄とスケールとの界面にお
ける各元素の濃化の度合は、焼鈍雰囲気の組成や露点に
より大きい影響を受ける。すなわち、還元性雰囲気の露
点が−10℃より高くなると、生成スケールが厚くな
り、また地鉄とスケールとの界面でのSi,Al,T
i,Nb,Moといった脱スケール性および酸洗後の耐
食性を劣化させる元素の濃化の度合が大きくなる。その
ため、スケールが厚くなり過ぎたり、地鉄にこれらの元
素の濃化度合が過大になると、後の工程でメカニカルな
研削を行っても、高速短時間で脱スケール処理すること
が困難となる。また、焼鈍雰囲気中のH2濃度が高けれ
ば、スケールおよび濃化層は薄くなるが、20 vol%付
近で飽和する。なお、過度にH2濃度が高くなると安全性
およびコストの点から不利となる。よって、焼鈍雰囲気
の条件は、H2:20 vol%以下、露点:−10℃以下、
好ましくはH2:2〜10 vol%、露点:−25〜−45
℃とする。
【0028】上記焼鈍に引き続き機械的な研削を行う。
本発明における機械的な研削とは、ブラシロール、研磨
粉、ショットブラストなどを用いる機械的な研削処理の
ことを意味する。発明者等は、前述したように、従来の
工程で酸洗後の鋼板表面を詳細に調査した結果、Si,
Al,Ti,Nb,Mo等の酸化物が表面に残存し、ま
た地鉄表層部にこれらの元素が濃化しており、これらが
脱スケール性および耐食性を劣化させていることをつき
とめた。そこで、鋼帯表面から所定の厚みだけ機械的に
研削除去することにより、焼鈍後の鋼帯の表面状態を一
定に維持することができ、脱スケールの安定と耐食性の
向上を図ることが可能となる。さらに、この機械的な研
削により、焼鈍時に濃化した地鉄界面のSi,Al,T
i,Nb,Mo等の、後工程の硝塩酸溶液中で難溶性
で、鋼板の耐食性を劣化させる部分を除去できる。これ
らの作用によって、従来に比べて高速短時間に脱スケー
ル処理をお行うことができ、酸洗後の鋼板の耐食性も向
上する。
【0029】本発明における機械的な研削量(厚み)は
次式で示される範囲で行えばよい。 A>−40℃のとき、 3.0×10-3×A+ 1.3×10-1≦B
≦10 A≦−40℃のとき、 0.01 ≦B≦10 ただし、A:焼鈍雰囲気の露点(℃) B:研削厚み(μm) 研削量を上式のように、焼鈍雰囲気の露点に依存して定
めたのは、次の理由による。すなわち、発明者等は、ス
ケール厚、地鉄のSi,Al,Ti,Nb,Mo等各元
素の濃化層に及ぼす焼鈍条件の影響を調査した結果、通
常の操業に適用される焼鈍温度1050℃以下では、スケー
ル厚みおよび濃化層厚みは焼鈍雰囲気の露点に大きく依
存しており、この濃化層の表面からの厚みは、還元性雰
囲気中では、露点−40℃以上の範囲では、ほぼ露点に比
例し、−40℃以下では露点に関係なく、ほぼ一定の厚み
になることを見いだした。この事実の基づき上記式の下
限を定めた。研削量がこの範囲より少なくなると、スケ
ールまたは上記各元素の濃化層が残り、脱スケール性が
劣化し、安定した脱スケールを行うことができなくな
り、酸洗後にもこれらの元素が残り、耐食性を劣化させ
る。一方、研削量が10μm を超えると、表面が荒れ、研
削時に火花発生等の問題も生じるので、研削量の上限は
10μm とする。
【0030】上記の機械的研削の後、硝塩酸溶液中で酸
洗を行う。発明者らは、研削後の処理液について、機
械的研削傷の除去性、表面の平滑性確保不動態化処
理の短時間処理、の観点から様々な溶液中で研削後の鋼
板を処理した結果、硝塩酸溶液中で処理する方法が適し
ていることを見い出した。そして、硝塩酸溶液中の処理
としては、硝酸10〜300(g/l)と塩酸1〜30(g/l)との混
合液中で、温度35℃〜65℃、電流密度1〜30(A/dm2) の
条件で電解処理を行うことが必要である。
【0031】硝酸濃度が10 g/lに満たないと、短時間に
不動態化処理することが難しく、一方300g/lを超えると
NOX 発生量が増大するという弊害がおこる。また、塩
酸濃度が1g/lに満たないと高速に脱スケールすることが
難しく、30 g/lを超えると肌荒れが起こる。以上の理由
から、硝塩酸の処理液は、硝酸10〜300(g/l)と塩酸1〜
30(g/l) との混合液、好ましくは、硝酸50〜200(g/l)と
塩酸3 〜20(g/l) との混合液とする。
【0032】また硝塩酸溶液の温度については、温度が
35℃に満たないと、短時間に処理することが困難とな
り、65℃を超えるとNOX 発生量の増大や肌荒れ等の弊
害を生じる。以上の理由から、硝塩酸の処理液の温度は
35〜65℃、好ましくは40〜60℃がよい。
【0033】さらに、硝塩酸溶液中での電解電流密度
は、1A/dm2 に満たないと短時間で処理できず、一方30
A/dm2 を超えるとNOX 発生量が増大や肌荒れ等の弊害
を生ずる。以上の理由から、電流密度は1〜30(A/dm2)
、好ましくは5〜25 A/dm2とする。なお、以上の各条
件による脱スケール処理に必要な時間は3〜10sec の範
囲で行うのが好ましい。
【0034】
【実施例】実施例1 表1、表2に示す成分組成のステンレス鋼を溶製し、熱
間圧延、焼鈍、酸洗の後冷間圧延し、板厚1.0 mmの冷延
鋼帯を得た。この供試材を表2に示す各条件で、焼鈍、
研削および酸洗を行い、耐食性について調べた。ここ
で、焼鈍パターンは、約200 sec 秒で900 ℃まで昇温
し、900 ℃×60 sec保持の後空冷とした。研削は、ナイ
ロン製のブラシを用いる方法により行った。また、比較
のために、成分組成が本発明範囲をはずれた供試材も用
いた。耐食性の判定は、孔食電位(JIS G 0577)および
CASS試験(JIS D 0201)により評価した。その結果
を表3、表4に併せて示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】表2から、本発明の方法によれば、酸洗時
間が4秒以内という短時間に行え、酸洗後の耐食性が極
めて良好であることがわかった。これは、成分が適正範
囲にあることに加えて、濃化層の除去を含め、脱スケー
ルが安定して行われた結果である。これに対し、本発明
の範囲を外れた比較例では、酸洗後の耐食性が劣ってい
ることが示された。
【0040】実施例2 表5、表6に示す成分組成のステンレス鋼を溶製し、熱
間圧延、焼鈍、酸洗の後冷間圧延し、板厚1.0 mmの冷延
鋼帯を得た。この供試材を表2に示す各条件で、焼鈍、
研削および酸洗を行い、耐食性について調べた。ここ
で、焼鈍パターンは、約200 sec 秒で900 ℃まで昇温
し、900 ℃×60 sec保持の後空冷とした。研削は、ナイ
ロン製のブラシを用いる方法により行った。また、比較
のために、焼鈍・脱スケール条件が本発明範囲をはずれ
たものについても実験した。耐食性の判定は、孔食電位
(JIS G 0577)およびCASS試験(JIS D 0201)によ
り評価した。その結果を表7、表8に併せて示す。
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】
【表7】
【0044】
【表8】
【0045】表4から、本発明の方法によれば、酸洗時
間が5秒以内という短時間に行え、酸洗後の耐食性が極
めて良好であることがわかった。これは、濃化層の除去
を含め、脱スケールが安定して行われた結果である。こ
れに対し、本発明の範囲を外れた比較例では、酸洗後の
耐食性が劣っていることが明瞭に示された。以上の実験
から、フェライト系ステンレス冷延鋼帯の耐食性は、鋼
組成、焼鈍条件、機械的な切削条件および酸洗条件がす
べて本発明範囲を満たしたときに始めて優れた特性を示
すことが明らかである。
【0046】
【発明の効果】上述したように、本発明方法によれば、
高能率で安定した脱スケールが可能となり、脱スケール
後の耐食性を著しく改善することが可能となる。このた
め、本発明方法によれば、耐食性向上元素の添加量が従
来より節減できるとともに、優れた品質のフェライト系
ステンレス鋼帯を低コストで製造することが可能とな
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/52 C22C 38/52 38/60 38/60 C25F 1/06 C25F 1/06 B

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.02wt%以下、 Si:0.3 〜3.0
    wt%、 Mn:1.0 wt%以下、 P:0.05wt%以下、 S:0.02wt%以下、 Cr:10〜25wt%、 N:0.02wt%以下、 O:0.008 wt%以下、 Al:0.5 wt%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不
    純物からなる鋼組成の冷延鋼帯を、ガス組成がH2 :2
    0 vol%以下、残部:不活性ガスからなり、露点が−1
    0℃以下である還元性雰囲気中で焼鈍し、次いで前記露
    点に応じて下記式: A>−40℃のとき、 3.0×10-3×A+ 1.3×10-1≦B
    ≦10 A≦−40℃のとき、 0.01 ≦B≦10 ただし、A:焼鈍雰囲気の露点(℃) B:研削厚み(μm) を満足する厚みの表面層を機械的に研削し、その後液組
    成が硝酸濃度:10〜300(g/l) 、塩酸濃度:1〜30(g/l)
    、液温が35〜65℃の硝塩酸溶液中において電流密度が
    1〜30(A/dm2) の条件で電解処理を行うことを特徴とす
    るフェライト系ステンレス冷延鋼帯の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の鋼組成のものに、さらに
    Ti:0.1 〜1.0 wt%、 Nb:0.1 〜2.0 wt%、 Mo:0.3 〜5.0 wt%、 Cu:0.3 〜1.0 wt%、 Ni:0.1 〜1.0 wt%、 W:0.1 〜1.0 wt%、 Co:0.1 〜2.0 wt%のうちから選ばれる1種または2種
    以上を含有させてなる成分の冷延鋼帯を、ガス組成がH
    2 :20 vol%以下、残部:不活性ガスからなり、露点
    が−10℃以下である還元性雰囲気中で焼鈍し、次いで
    前記露点に応じて下記式: A>−40℃のとき、 3.0×10-3×A+ 1.3×10-1≦B
    ≦10 A≦−40℃のとき、 0.01 ≦B≦10 ただし、A:焼鈍雰囲気の露点(℃) B:研削厚み(μm) を満足する厚みの表面層を機械的に研削し、その後液組
    成が硝酸濃度:10〜300(g/l) 、塩酸濃度:1〜30(g/l)
    、液温が35〜65℃の硝塩酸溶液中において電流密度が
    1〜30(A/dm2) の条件で電解処理を行うことを特徴とす
    るフェライト系ステンレス冷延鋼帯の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2に記載の鋼組成の
    ものに、さらにCa:0.003 〜0.02wt%、 B:0.0005〜
    0.01wt%のいずれか1種または2種を含有させてなる成
    分の冷延鋼帯を、ガス組成がH2:20 vol%以下、残
    部:不活性ガスからなり、露点が−10℃以下である還
    元性雰囲気中で焼鈍し、次いで前記露点に応じて下記
    式: A>−40℃のとき、 3.0×10-3×A+ 1.3×10-1≦B
    ≦10 A≦−40℃のとき、 0.01 ≦B≦10 ただし、A:焼鈍雰囲気の露点(℃) B:研削厚み(μm) を満足する厚みの表面層を機械的に研削し、その後液組
    成が硝酸濃度:10〜300(g/l) 、塩酸濃度:1〜30(g/l)
    、液温が35〜65℃の硝塩酸溶液中において電流密度が
    1〜30(A/dm2) の条件で電解処理を行うことを特徴とす
    るフェライト系ステンレス冷延鋼帯の製造方法。
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