JP2008190009A - 硫酸酸洗性の良好なフェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法 - Google Patents

硫酸酸洗性の良好なフェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法 Download PDF

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雅光 槌永
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Abstract

【課題】 硫酸酸洗性の良好なフェライト系ステンレス熱延鋼帯を製造する。
【解決手段】 C:0.001〜0.03%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.05%〜1.00%、P:0.040%以下、S:0.030%以下、Cr:10〜20%を含有し、必要に応じてAl:0.001〜0.30%、またはTi:0.05〜0.75%及びN:0.01%以下、或いはNi:0.05〜0.75%、Cu:0.005〜0.20%の内の1種または2種以上を選択成分として含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、P:0.025%超の場合はSi:0.35%以下、P:0.025%以下の場合はSi:1.0%以下からなるフェライト系ステンレス鋼を熱間圧延し、熱間圧延後の巻き取り温度を700〜880℃とし、メカニカルデスケーリングした後に100〜400g/Lの硫酸溶液中に60〜170秒浸漬酸洗して製造する。
【選択図】図1

Description

本発明は、フェライト系ステンレス鋼の冷延鋼帯製造における伸び特性を向上させるために、熱間圧延後に高温巻き取りを行なう熱延鋼帯やボックス焼鈍を施す鋼帯について、硫酸酸洗性の良好な熱延鋼帯を製造し、短時間で酸洗を行うフェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法に関する技術である。
一般に、フェライト系ステンレス鋼の冷延鋼帯の製造は、熱間圧延後の熱延鋼帯や熱間圧延後に熱処理を施した熱延鋼帯の表面に生成した酸化スケールを硫酸酸洗によりデスケールした後に、この熱延鋼帯を冷間圧延し、焼鈍し、酸洗したのちに製品とする。
このように製造される中で製品の伸びを向上させる方法として、熱間圧延鋼帯に700℃以上の高温巻き取りを実施することや、熱延後に700〜880℃でボックス焼鈍して製造する方法がある。この熱履歴を持つ熱延鋼帯では粒界に燐が偏析して、硫酸酸洗する場合に、硫酸溶液中では高濃度の燐部が低濃度の燐部に比べ大きく溶解する性質により燐濃度の高い粒界がより腐食され、粒界腐食を生じる問題があった。このような熱履歴の熱延鋼帯を硫酸酸洗する場合に、粒界腐食を生じることなく、平滑な酸洗化が望まれ、これまで種々の提案がなされている。
すなわち、熱間圧延後あるいは熱間圧延−焼鈍後の冷却を830℃から400℃まで30分以内で行なう方法(例えば、特許文献1参照)が示されている。また、鋼中で燐と相互作用の強いZr、Ti、Nb、Mo、Y、La、Ce等の元素少量を添加する方法(例えば、特許文献2参照)、鋼中のCu、Mnの含有量を規制する方法(例えば、特許文献3参照)や、鋼中にCa、Mgを少量添加すること(例えば、特許文献4参照)が示されている。さらに、冷却速度の早い熱処理をさらに付加する方法(例えば、特許文献5参照)が提案されている。
しかし、これらの特許文献に基づき製造しても、700℃未満で巻き取りしたり、熱延鋼帯をボックス焼鈍で焼鈍することを省略した場合に比べて、デスケールし難く、酸洗時間が著しく長時間化する問題があった。
特開昭61−199036号公報 特開昭62−174349号広報 特開平01−165745号広報 特開平02−190450号広報 特開2000−282149号公報
本発明は、上記問題を解決し、従来技術では達成できなかった高温巻き取りした熱延鋼帯や熱延後にボックス焼鈍した熱延鋼帯について、硫酸酸洗性を良好にすることでデスケール工程の高速通板を可能にして生産性を向上させてフェライト系ステンレス熱延鋼帯を製造する方法を提供することを課題とするものである。
本発明者は、フェライト系ステンレス鋼製品の伸び確保のため、冷延鋼帯の原材料である熱延鋼帯に高温巻き取りや焼鈍を実施した熱履歴を持つフェライト系ステンレス熱延鋼帯を硫酸溶液中に浸漬酸洗する際に、平滑な表面の鋼帯を短時間で得ることが出来るフェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法について鋭意研究を行った。その結果、フェライト系ステンレス鋼中に含有される成分であるSiとPの含有量を関係付けて制御することにより、熱延鋼帯の硫酸溶液中での酸洗性が著しく向上することを知見した。
本発明は、上記知見に基づいて完成したもので、その発明の要旨は次のとおりである。
(1) 質量%で、
Si:0.05〜1.0%、
P:0.040%以下
を含有し、
P:0.025%超の場合はSi:0.35%以下、
P:0.025%以下の場合はSi:1.0%以下
の関係を満たすように制御して製造したフェライト系ステンレス鋼を熱間圧延し、熱間圧延後の巻き取り温度を700〜880℃として熱延鋼帯に巻き取り、該熱延鋼帯の表面に形成されたスケールに機械的加工処理により割れ目を入れた後に、100〜400g/Lの硫酸溶液中で浸漬酸洗時間を60sec以上170sec以下で浸漬酸洗することを特徴とするフェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法。
(2) 前記フェライト系ステンレス鋼が、質量%で、
C:0.001〜0.03%、
Si:0.05〜1.0%、
Mn:0.05%〜1.00%、
P:0.040%以下、
S:0.030%以下、
Cr:10〜20%、
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物で、P:0.025%超の場合はSi:0.35%以下、P:0.025%以下の場合はSi:1.0%以下の関係を満たすことを特徴とする上記(1)記載のフェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法。
(3) 前記フェライト系ステンレス鋼が、質量%で、さらに、
Al:0.001〜0.30%
を含有することを特徴とする上記(1)または(2)記載のフェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法。
(4) 前記フェライト系ステンレス鋼が、質量%で、さらに、
Ti:0.05〜0.75%、
N:0.01%以下
を含有し、Ti/(C+N):2〜20を満足することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のフェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法。
(5) 前記フェライト系ステンレス鋼が、質量%で、さらに、
Ni:0.05〜0.75%、Cu:0.005〜0.20%の1種または2種を含有することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のフェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法。
(6) 上記(1)〜(5)のいずれかに記載のフェライト系ステンレス熱延鋼帯の熱間圧延後の巻き取り温度が700℃未満の場合、熱延鋼帯を700〜880℃でボックス焼鈍することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のフェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法。
本発明によれば、高温巻き取りした熱延鋼帯や熱延後にボックス焼鈍した鋼帯について、硫酸酸洗性の良好なフェライト系ステンレス熱延鋼帯を製造することが出来る。
本発明者らは、高温巻き取りした熱延鋼帯や熱延後にボックス焼鈍した鋼帯について硫酸酸洗性を良好にするという課題解決のため、フェライト系ステンレス鋼成分を特定範囲に制御して製造することが最も有効であることを見出した。以下、実験結果に従い説明する。
11質量%Crを含有するステンレス鋼について、700℃以上の高温巻き取りした熱間圧延後の熱延鋼帯を、メカニカルデスケーリングとして一定のショットブラストを行なった後に、一定条件の硫酸酸洗によってデスケ完了に必要な酸洗時間を調べた結果、コイル長さ方向ではミドル部、コイル巾方向ではコイルエッジから50mm以内のコイル中央部が酸洗律速であり、この律速部について、170sec以内で酸洗が完了するコイルと、170secを超え700sec程度までの長時間の酸洗が必要なコイルがあることが判った。この170secという酸洗時間は、低温巻き取り材の約3倍の酸洗時間であり、酸洗工程後の冷延工程や焼鈍・酸洗工程と能力をバランスさせ、生産性を阻害しない適切な酸洗時間である。
この酸洗時間が短くなる条件は、鋼成分と関係しており、170sec以内で酸洗が完了するコイルは、Si含有量0.35%以下あるいはP含有量0.025%以下の条件で得られることを確認した。
一方、熱延後の熱延鋼帯を、700〜880℃でボックス焼鈍した鋼帯では、コイル全長、全巾でデスケの完了する時間はほぼ同じであり、デスケ完了に必要な酸洗時間とSi含有量、P含有量の関係は、700℃以上の高温巻き取りした熱間圧延後の熱延鋼帯と同じ結果となり、170sec以内で酸洗が完了するコイルと、170secを超え700sec程度までの長時間の酸洗が必要なコイルに分かれ、170sec以内で酸洗が完了するコイルは、Si含有量0.35%以下あるいはP含有量0.025%以下の条件であることを確認した。
以下に700℃以上の高温巻き取りした熱間圧延後の熱延鋼帯についての実験結果を示す。
質量%で、C:0.0050%、Mn:0.32%、S:0.002%、Cr:10.80%、をベースにSi含有量、P含有量を変化させ、残部がFeおよび不可避的不純物であるフェライト系ステンレス鋼を、4.0mm厚に熱延し、740℃で巻き取った熱延鋼帯を、平均粒径400μm、投射密度30Kg/m、投射速度20m/secのショットブラストでメカニカルデスケーリング処理を行なった後に、硫酸酸洗条件として、300g/L硫酸、80℃で酸洗して、酸洗が完了する時間を評価した結果を図1に示す。 酸洗の完了時間は、20倍のルーペで黒色の酸化スケールが全くなくなる酸洗時間とした。図1中の白丸印に示すように、P含有量が0.025%超の場合はSi含有量を0.35%以下、あるいはP含有量が0.025%以下の場合はSi含有量を1.0%以下とすることで酸洗の完了時間を170sec以内に短時間化することができた。なお、図1中の黒丸印は、酸洗の完了時間が170secを超えた場合を示している。
P、Si以外の成分、C、Mn、S、Cr、Ni、Cu、Ti、Al、Nの含有量については酸洗の完了時間への影響は認められなかった。
このように、Si含有量を低濃度化し、酸洗の完了時間が短時間化できる機構は、Si含有量の低減によって熱延後の高温巻き取り後や熱延後のボックス焼鈍中に生じる2次酸化スケール(熱延後の酸化スケールとメタル界面に生成する酸化スケール)が、緻密な形態から酸洗し易いものに変化しているものと推定される。
また、P含有量を低濃度化して、酸洗時間が短時間化できる機構は、熱延後の高温巻き取り後や熱延後のボックス焼鈍中に生じる2次酸化スケールにPを含有することで低融点酸化物化し、緻密な形態化するのを防ぐことができることによるものと推定している。
ステンレス鋼の酸化スケールを酸洗によって除去する機構については、酸化スケール自体が酸液に溶解しないため、メカニカルデスケーリングを行なうことによって酸化スケールに割れ目を入れ、酸洗溶液を割れ目に浸透させ、割れ目先端の素地を溶解することにより酸化スケールを除去する。このため、メカニカルデスケーリングで多くの割れ目を入れることで酸化スケールを除去し、割れ目先端の素地を最小限の溶解で行なうことが理想であるが、酸洗ライン内に設置されたメカニカルデスケーリング装置では数μm程度の素地溶解を必要とする。この素地溶解量は、素地溶解深さとして、メカニカルデスケーリング材の質量と酸洗後の質量の差を比重、表面積で割ることで算出できる。
SiやP含有量が高い場合には、酸化スケールとメタル界面に生成する2次酸化スケールに密着性の大きい物が生成することによって、メカニカルデスケーリングでの割れ目の程度や酸化スケールの除去程度が減少するため、デスケールに必要な溶解量が増加するものと考えられる。
次に成分元素の限定理由について説明する。
Cは、耐孔食性や耐食性の点から低い方がよい。下限については、精錬限界から0.001%より低減することは難しい。また上限については、製造性を考慮して0.03%とし、0.001〜0.03%とした。
Siは、脱酸作用を持った有用な成分である。その効果は0.05%以上で有効に作用する。しかし、1.0%を超えて含有させると引張り強度が上昇してしまう問題がある。このため0.05〜1.0%とした。また、デスケール性に関してPとの相互作用があり、P:0.025%超の場合はSi:0.35%以下、P:0.025%以下の場合はSi:1.0%以下を含有させると高温巻き取りした熱延鋼帯や熱延後にボックス焼鈍した鋼帯について酸洗性が良好になる。
Mnは、脱酸および引張強度の維持に有効に寄与する。その効果は0.05%以上で得られる。一方、1.00%を超えると靭性劣化の不利を招き、熱間圧延での表面疵を多発するようになる。これらのことからMnは0.05〜1.00%とした。
Pは、熱間割れ性を高め、靭性を低下させるため低いほど望ましい。低減するには精錬のコストを増大させるので商用的には0.040%以下が望ましい。また、デスケール性に関してSiとの相互作用があり、P:0.025%超の場合はSi:0.35%以下、P:0.025%以下の場合はSi:1.0%以下を含有させると高温巻き取りした熱延鋼帯や熱延後にボックス焼鈍した鋼帯について酸洗性が良好になる。
Sは、赤熱脆性向上、熱間加工性向上、耐食性向上のためできるだけ低い方が望ましく0.030%以下とする。
Crは、耐食性および耐酸化性を向上させるステンレス鋼としての基本成分であるが、そのためには少なくとも10%が必要であり、一方、20%を超えると靭性の劣化を招くので10〜20%の範囲に限定した。
Niは、すぐれた耐食性、耐酸性を付与する作用があり、耐孔食性ならびに耐隙間腐食性を向上させる作用もあり、その効果は0.05%以上で有効に作用する。ただし、0.75%を超えて添加することは経済性を損なう。このため0.05〜0.75%とした。
Cuは、耐食性向上および引張強度向上のために有用な元素であるが、0.005%未満では所望の効果が得られず、一方、0.20%を超えると熱間加工性低下の点で好ましくないので、0.005〜0.20%の範囲に限定した。
Tiは、耐食性向上および引張強度向上のために有用な元素である。0.05%未満では所望の効果が得られず、一方、0.75%を超えると靭性低下の点で好ましくないので、0.05〜0.75%とした。
Alは、脱酸作用を持ち材質にも有用な成分であるが、0.001%未満では所望の効果が得られず、0.30%を超えて含有させると熱間加工性が劣化して、熱間圧延時の表面疵を多発するようになることから0.001〜0.30%とした。
Nは、耐食性向上および引張強度向上のために有用な元素であるが、0.01%を超えると熱間加工性低下の点で好ましくないので、0.01%以下の範囲に限定した。
Ti/(C+N)を2〜20に限定したのは固溶Cや固溶NをTiCやTiNとして析出させ冷延焼鈍後の伸びを増加させるためであり、2未満では所望の効果が得られず、20を超えると改善効果が小さくなるので2〜20の範囲に限定した。
以上の成分からなるフェライト系ステンレス鋼の熱延鋼帯を熱間圧延し、熱延後の巻き取り温度を700℃以上とする。巻き取り温度が700℃未満の場合には、熱延後の再結晶が生じない。このため、熱延鋼帯の酸化スケールをデスケールした後に冷間圧延し、焼鈍し、酸洗して、製品とした場合に充分な伸びが得られない。一方、熱延後の巻き取り温度を700℃以上とすると、熱延鋼帯に再結晶が生じ、冷間圧延し、焼鈍し、酸洗して製品とした場合に35%以上の安定した伸びが得られる。熱延後の巻き取り温度の上限は880℃であり、150〜300mm厚さのスラブを1150〜1250℃に加熱した後に1〜5mm厚さに熱延し、熱延の終了温度が850〜1030℃で熱延鋼帯を製造した場合の設備制約からの上限温度である。
一方熱延後の巻き取り温度を制約しない場合には、熱延鋼帯を700〜880℃の温度でボックス焼鈍を行なう。ボックス焼鈍は例えば1m巾10tonの直径1mのコイル状に巻き取った熱延鋼帯のコイル軸を上下方向に向けて3ヶほど重ね、耐火物を内張りした容器の中で加熱し、NH分解ガスやArガスを用いて酸化スケールの生成をできるだけ生じさせないように焼鈍を行なうものであり、箱焼鈍とも呼ばれる。この焼鈍温度が700℃未満の場合には、熱延鋼帯の再結晶が生じない。この場合も、熱延焼鈍鋼帯の酸化スケールをデスケールした後に冷間圧延し、焼鈍し、酸洗して、製品とした場合に充分な伸びが得られない。焼鈍温度を700 ℃ 以上とすると、熱延焼鈍鋼帯に再結晶が生じ、冷間圧延し、焼鈍し、酸洗して製品とした場合に35%以上の安定した伸びが得られる。一方、880℃を超えると酸化スケールがデスケールに必要な素地溶解量の多いタイプに変わり、加熱温度を上げることによる経済性も損なうので熱処理温度を700〜880℃に限定した。この熱処理温度に保定する時間は、0.3時間から2時間である。
熱延鋼帯の表面に形成されたスケールに機械的加工処理により割れ目を入れるには、メカニカルデスケーリングが適している。メカニカルデスケーリングについては、公知技術であるショットブラストやベンデイングを行なう。ショットブラストは、平均粒径100〜600μm、投射密度10〜50Kg/m、投射速度10〜40m/secの条件で行ない、0.5〜2%の歪を付与する。ベンデイングについては、板厚減が0.5〜2%の歪を加える。0.5〜2%の歪を付与することにより、酸化スケールに割れ目を入れ、酸洗時に酸洗溶液を割れ目に浸透させ、割れ目先端の素地を溶解しやすくする。
酸洗溶液は100〜400g/Lの硫酸水溶液を用いる。100g/L未満では酸洗能力が極端に小さくなり、400g/Lを超えると不動態化しやすくなり酸洗能力を制御することが困難となる。この液組成においては、液温を上昇させるほど素地溶解速度はおおきくなる。60℃未満では溶解速度が小さく、また95℃を超えた温度では液温の制御が難しくなるため、酸洗溶液の温度を60〜95℃とした。
表1−1〜表1−5に示す成分を含有し残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼を溶製、鋳造し、2.5〜5.0mmの熱延鋼板を製造した。一部の熱延後の鋼板にはボックス焼鈍を施した。その後、メカニカルデスケーリングとして、ショットブラストあるいはベンデイング処理を付与して硫酸酸洗した。その後に、0.5mm厚まで冷間圧延し、更に850〜1000℃で連続焼鈍し、調質圧延して製品板とした。
この時の表1−1の成分は、質量%で、C:0.022%、Mn:0.55%、S:0.012%、Cr:17.30%、をベースにSi含有量、P含有量を変化させ、残部がFeおよび不可避的不純物であるフェライト系ステンレス鋼である。表1−2〜表1−5の成分は、残部がFeおよび不可避的不純物であるフェライト系ステンレス鋼である。また、熱延巻き取り温度、ボックス焼鈍条件、メカニカルデスケーリング条件、硫酸酸洗条件、デスケールが完了する酸洗時間および製品板の伸び結果を表2に示す。
ここでのショットブラスト条件は、平均粒径400μm、投射密度30Kg/m、投射速度20m/secとした。ベンディング条件は、1%の板厚減の歪を加えた。硫酸温度は80℃とした。
表2から明らかなように、本発明法で製造したNo.1〜25の鋼は、700〜880℃の高温巻き取りした熱延鋼帯や、熱延後に700〜880℃でボックス焼鈍した製品板の伸びを向上させた鋼帯において、Si含有量を0.35%以下あるいはP含有量を0.025%以下とすることで、デスケールに必要な素地溶解深さを小さくでき、比較鋼に比べて酸洗時間を60〜170secに短時間化することが可能になった。
比較例No.26〜43の熱延巻き取り温度あるいはボックス焼鈍温度が製品板の伸びを向上させる条件では、デスケールが完了する酸洗時間が170secを超えた酸洗時間になる。
この内、比較例No.26〜29ではSiとPの含有量が適正範囲から外れており、
比較例No.30〜33ではSiとPの含有量とともにC、Mn、S、Crの含有量のいずれかが適正範囲から外れており、
比較例No.34、35ではSiとPの含有量とともにC、Mn、S、Cr、Alの含有量のいずれかが適正範囲から外れており、
比較例No.36〜39ではSiとPの含有量とともにC、Mn、S、Cr、Al、Ti、N、の含有量ならびにTi/(C+N)のいずれかが適正範囲から外れており、
比較例No.40〜43ではSiとPの含有量とともにC、Mn、S、Cr、Al、Ti、N、Ni、Cuの含有量ならびにTi/(C+N)のいずれかが適正範囲から外れており、熱延巻き取りやボックス焼鈍の高温保持によって酸化スケールのデスケールに必要な素地溶解量が増えるタイプ化して、デスケールが完了する酸洗時間が170secを超えて長時間化する。
比較例No.44〜48では成分範囲は適正範囲にあるが、ボックス焼鈍温度や硫酸濃度が適正範囲以上にあり、デスケールが完了する酸洗時間が長時間化する。
比較例No.49、50では成分範囲は適正範囲にあるが、熱延巻き取り温度が適正範囲より低く硫酸濃度も適正範囲より低いためデスケールが完了する酸洗時間が170secを超えて長時間化し製品板の伸びも低くなる。
比較例No.51〜54ではでは巻き取り温度やボックス焼鈍が適正範囲より低く、酸洗時間は60〜170secに短時間化できるが製品板の伸びが低くなる問題がある。
比較例No.55、56は、メカニカルデスケーリングが実施されていないため、デスケールが完了する酸洗時間が170secを超えて長時間化する。
Figure 2008190009
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熱間圧延した後の巻き取り温度が740℃の鋼帯に、ショットブラストし、300g/L硫酸溶液、80℃中で酸洗した場合に、170sec以内で酸洗することが可能(白丸印)なSi含有量とP含有量との関係を示す図である。

Claims (6)

  1. 質量%で、
    Si:0.05〜1.0%、
    P:0.040%以下
    を含有し、
    P:0.025%超の場合はSi:0.35%以下、
    P:0.025%以下の場合はSi:1.0%以下
    の関係を満たすように制御して製造したフェライト系ステンレス鋼を熱間圧延し、熱間圧延後の巻き取り温度を700〜880℃として熱延鋼帯に巻き取り、該熱延鋼帯の表面に形成されたスケールに機械的加工処理により割れ目を入れた後に、100〜400g/Lの硫酸溶液中で浸漬酸洗時間を60sec以上170sec以下で浸漬酸洗することを特徴とするフェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法。
  2. 前記フェライト系ステンレス鋼が、質量%で、
    C:0.001〜0.03%、
    Si:0.05〜1.0%、
    Mn:0.05%〜1.00%、
    P:0.040%以下、
    S:0.030%以下、
    Cr:10〜20%、
    を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物で、P:0.025%超の場合はSi:0.35%以下、P:0.025%以下の場合はSi:1.0%以下の関係を満たすことを特徴とする請求項1記載のフェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法。
  3. 前記フェライト系ステンレス鋼が、質量%で、さらに、
    Al:0.001〜0.30%
    を含有することを特徴とする請求項1または2記載のフェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法。
  4. 前記フェライト系ステンレス鋼が、質量%で、さらに、
    Ti:0.05〜0.75%、
    N:0.01%以下
    を含有し、
    Ti/(C+N):2〜20を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法。
  5. 前記フェライト系ステンレス鋼が、質量%で、さらに、
    Ni:0.05〜0.75%、
    Cu:0.005〜0.20%
    の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のフェライト系ステンレス熱延鋼帯の熱間圧延後の巻き取り温度が700℃未満の場合、熱延鋼帯を700〜880℃でボックス焼鈍することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法。
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