JP2007284771A - 形状凍結性に優れるCr含有薄鋼板およびその製造方法 - Google Patents

形状凍結性に優れるCr含有薄鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 曲げ加工時等の形状凍結性に優れるCr含有薄鋼板およびその製造方法、自動車構造用部材を提供する。
【解決手段】 質量%で、C:0.005〜0.100%、Si:0.01〜2.00%、Mn:0.01〜2.00%、P:0.040%以下、S:0.03%以下、Cr:8.0〜15.0%、Al:0.0010〜0.2000%、N:0.005〜0.080%を含有し、残部が鉄および不可避的不純物よりなる鋼組成を有し、下記式により計算されるγp(%)が50〜105%を満足し、板面において圧延方向から0°、45°および90°の3方向に引張試験をした際の引張強度の異方性ΔTS((TS0+TS90−2×TS45)/2)が20MPa以上であり、r値の異方性Δr((r0+r90−2×r45)/2)が−0.20以下であり、主たる金属組織がフェライト相であることを特徴とする、形状凍結性に優れるCr含有薄鋼板。ただし、γp=420×〔C〕+470×〔N〕+23×〔Ni〕+12×〔Cu〕+7×〔Mn〕−11.5×(〔Cr〕+〔Si〕)−52×〔Al〕−49×〔Ti〕+189
【選択図】 図1

Description

本発明は、曲げ加工時等の形状凍結性に優れたCr含有薄鋼板およびその製造方法、自動車構造用部材に関するものである。
本発明によれば、自動車構造用部材に適した、曲げ加工時の形状凍結性に優れた薄鋼板を得ることができるため、スプリングバック発生時の形状矯正工程の負荷を軽減でき、材料歩留まりも高くすることができるため、地球環境保全に貢献しうるものと考えられる。
近年、自動車軽量化および衝撃吸収特性の向上を目的として、自動車構造部材に高強度鋼板(以下、単にハイテンとも言う。)が用いられている。ハイテンを用いることにより、板厚薄手化が可能になると言う利点があるが、一方、成形加工時のスプリングバックが大きくなると言う欠点もある。一方、Crを多量に含有した鋼は、その耐食性、耐熱性、表面美麗さなどを特徴として厨房、家電、自動車排気系等、幅広い分野に使用されている。しかし、自動車構造用部材への適用は図られてこなかった。しかし、前述のスプリングバックを低減することができれば、Cr含有薄鋼板を自動車構造材へ適用できる可能性がある。
これまでにCr含有薄鋼板で形状凍結性を改善してスプリングバックを低減する手法としては、特許文献1に記載の発明が知られている。同文献では、熱間圧延工程等の条件を規定して鋼板の集合組織を制御し、曲げ加工時の形状凍結性を向上させる手法が開示されている。
特開2001−32050号公報
しかし、特許文献1に記載の発明では、集合組織の集積度がそれほど大きくないため、自動車構造部材への加工をした際に求められる形状凍結性としては不十分である場合があった。
そこで、本発明は、L曲げ、ハット曲げ等の曲げ加工時等の形状凍結性に優れるCr含有薄鋼板およびその製造方法、自動車構造用部材を提供するものである。
本発明者は、上記の課題に対し、曲げ加工時の形状凍結性に及ぼす材料指標を明確にするために、さらにはその材料指標を得るための製造方法について詳細に調査した。その結果、曲げ加工時の形状凍結性を確保するためには、鋼板の引張強度の異方性とr値の異方性の両者を制御することが極めて重要であることが判明した。
本発明は上記知見に基づくものであって、その要旨は以下のとおりである。
(1) 質量%で、C:0.005〜0.100%、Si:0.01〜2.00%、Mn:0.01〜2.00%、P:0.040%以下、S:0.03%以下、Cr:8.0〜15.0%、Al:0.0010〜0.2000%、N:0.005〜0.080%を含有し、残部が鉄および不可避的不純物よりなる鋼組成を有し、下記(式1)により計算されるγp(%)が50〜105%を満足し、板面において圧延方向から0°、45°および90°の3方向に引張試験をした際の引張強度の異方性ΔTS((TS0+TS90−2×TS45)/2)が20MPa以上であり、r値の異方性Δr((r0+r90−2×r45)/2)が−0.20以下であり、主たる金属組織がフェライト相であることを特徴とする、形状凍結性に優れるCr含有薄鋼板。
γp=420×〔C〕+470×〔N〕+23×〔Ni〕+12×〔Cu〕+7×〔Mn〕−11.5×(〔Cr〕+〔Si〕)−52×〔Al〕−49×〔Ti〕+189 ・・・・・・(式1)
ここで、〔 〕は質量%を示す。
(2) 前記鋼が、さらに、質量%で、Ni:2.0%以下、Cu:1.0%以下のうちの1種または2種を含むことを特徴とする、上記(1)に記載の形状凍結性に優れるCr含有薄鋼板。
(3) 前記鋼が、さらに、質量%で、B:0.010%以下を含むことを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の形状凍結性に優れるCr含有薄鋼板。
(4) 前記鋼が、さらに、質量%で、Mg:0.010%以下を含むことを特徴とする、上記(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の形状凍結性に優れるCr含有薄鋼板。
(5) 前記鋼が、さらに、質量%で、Ti:0.40%以下、Nb:0.40%以下のうちの1種または2種を含むことを特徴とする、上記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の形状凍結性に優れるCr含有薄鋼板。
(6) 前記鋼が、さらに、質量%で、Mo:0.50%以下を含むことを特徴とする、上記(1)乃至(5)のいずれか1項に記載の形状凍結性に優れるCr含有薄鋼板。
(7) 上記(1)乃至(6)のいずれか1項に記載の鋼組成を有する鋼片を、常法により熱間圧延し、さらに、圧延率20%以上の冷間圧延を実施した後、冷延板の焼鈍を昇温時の500〜750℃の温度域における平均昇温速度を3.0℃/s以上で昇温した後、800〜1000℃の温度域で1〜120秒間保持し、その後の冷却過程において、750℃〜300℃の温度域における平均冷却速度を0.3℃/s以下の冷却速度で冷却する条件で行うことを特徴とする、形状凍結性に優れるCr含有薄鋼板の製造方法。
(8) 上記(1)乃至(6)のいずれか1項に記載の鋼組成を有する鋼片を、常法により熱間圧延し、さらに、圧延率20%以上の冷間圧延を実施した後、冷延板の焼鈍を昇温時の500〜750℃の温度域における平均昇温速度を3.0℃/s以上で昇温した後、800〜1000℃の温度域で1〜120秒間保持した後、300℃以下まで冷却し、引き続いて450〜750℃の温度域で180秒間以上保持する時効熱処理を行うことを特徴とする、形状凍結性に優れるCr含有薄鋼板の製造方法。
(9) 上記(1)乃至(6)のいずれか1項に記載のCr含有薄鋼板を用いることを特徴とする、自動車構造用部材。
引張強度の面内異方性については、これまで制御する手法が明らかとなっていなかった。r値の面内異方性については、これまでそれを低減するための手法は多く検討されてきたが、Δrをマイナス方向に大きくするための組織制御は行われていなかった。今回の知見は、引張強度とr値の両者の面内異方性がある条件を満足するときに優れた形状凍結性を得られることがはじめて明らかとなったものである。
引張強度の異方性が、上記特性に影響を及ぼす原因は明確ではないが、45°方向の引張強度が小さく、異方性が大きい場合には、曲げ加工時に内側と外側で発生する逆方向の歪を打ち消しあう可能性があると考えている。また、r値の異方性についても、形状凍結性に及ぼす原因は明らかではないが、Δrがマイナスに大きいほど曲げ加工時に歪が蓄積されにくいのではないかと考えている。
本発明によれば、Cr含有鋼の特長である耐食性、耐熱性、表面美麗さなどを特長を有するだけでなく、曲げ加工時の形状凍結性に優れた薄鋼板、自動車構造用部材を得ることができるため、成形品の歩留まりが向上し、スプリングバック発生による形状矯正や金型修正が少なくなるため、産業上の効果は極めて大きいと言える。
以下に本発明を詳細に説明する。
C:Cは、オーステナイト生成元素であり、γpを調整するのに有効な元素であるが、多量の添加は加工性を低下させたり、Cr系炭化物の析出による鋭敏化および靭性低下を招くことがあるため0.100%を上限とする。また、下限は精錬コストの著しい増加を招かないレベルである0.005%とした。製鋼工程における安定製造性を考慮したときに好ましい範囲は0.008〜0.030%である。
Si:Siは、脱酸元素として活用するが、多量の添加は加工性の劣化を招くため2.00%を上限とする。下限は精錬における負荷を考慮し、0.01%とした。
Mn:Mnは、Si同様に多量の添加は加工性を低下させ、また耐食性を低下させる場合があるため2.00%を上限とした。また、下限は精錬における負荷を考慮し、0.01%とした。
P:Pは、不純物であり、強度を増加させ、また酸洗時に粒界腐食を招く場合があるため、低い方が好ましく、0.040%以下とした。下限は特に規定する必要はないが、Pの低減には製鋼段階でコストが増加するため、0.005%とすることが好ましい。
S:Sは、不純物であり、熱間割れを招いたり、耐食性を低下させたりするため、低いほど好ましく、0.03%を上限とする。さらに、耐食性の点からは0.015質量%以下とすることが好ましい。
Cr:Crは、耐食性を確保するために必要な元素であり、下限を8.0%とした。多量の添加は原料コストの増加を招くばかりでなく、熱間圧延温度域においてフェライト相が生成しやすくなって圧延割れを生じやすくなるため、上限を15.0%とした。
Al:Alは、脱酸元素として用いられ、0.0010%未満では脱酸が十分に行われないため、0.0010%を下限とした。また、多量の添加は溶接性を低下させるため、上限を0.2000%とした。溶接性低下を防止し、安定して脱酸を行うために好ましい範囲は0.0030〜0.0800%である。
N:Nは、熱間圧延時にγ相を析出させるために必要な元素であるが、多量の添加は加工性を低下させることがあるため、0.080%を上限とする。また、下限は精錬コストの著しい増加を招かないレベルである0.005%とした。製鋼工程における安定製造性を考慮したときに好ましい範囲は0.010〜0.060%である。
Cu:Cuは、微量の添加により耐食性を向上させるため、選択的に添加しても良い。また(式1)で定義されるγpを調整するのに有効な元素である。ただし、多量の添加は加工性を劣化させるばかりか、耐食性をも逆に低下させる場合があるので、上限を1.0%とした。安定的に優れた耐食性を得るためには、0.001%以上の添加とすることが望ましい。
Ni:Niは、Cu同様に微量の添加により耐食性を向上させ、また靭性の向上効果も有するため、選択的に添加しても良い。また(式1)で定義されるγpを調整するのに有効な元素である。ただし、多量の添加は加工性を劣化させるため、上限を2.0%とした。耐食性および靭性の効果を得るためには、0.001%以上の添加とすることが好ましい。
B:Bは、二次加工性を向上させる元素であり、選択的に添加しても良い。ただし、多量の添加は熱間割れを招くため上限を0.010%とした。また、二次加工性の向上効果を得るためには、0.0001%以上の添加とすることが好ましい。
Mg:Mgは、溶融凝固時の組織を微細化させる効果を持つ元素であり、選択的に添加しても良い。特に、溶接部の微細化等に効果的である。ただし、Mgは歩留まりが極めて低い元素であり、多量の添加は製造性の点から困難であるため、上限を0.010%とした。また、上述の微細化効果を安定して発揮するためには0.0001%以上の添加とすることが望ましい。
Ti、Nb:Ti、Nbは、成形性を向上させる元素であり、両元素のうち1種または2種を添加できる。ただし、0.40%超では材料強度が上昇し、逆に成形性を劣化させる場合があるため、0.40%を上限とした。Ti、Nbともに0.01%未満では成形性向上効果が小さいため、成形性向上の観点からは0.01%以上を添加することが好ましい。
Mo:Moは、耐食性向上元素であり、選択的に添加できる。0.50%超の添加は、加工性の劣化を招くため、0.50%を上限とした。耐食性の向上効果が発揮されるには、0.01%以上の添加とすることが望ましい。
γp(%):γpは、下記(式1)で計算される値である。この値が50%未満であると熱間圧延時に割れが生じやすくなるため、50%を下限とした。また、105%超であると熱間加工性が低下し、熱間圧延工程において割れが生じやすくなる。また、製品の成形性が劣化するため、105%を上限とした。なお、、本パラメータは計算式であり、実際のγ相分率とは異なるため、計算上100%を超える場合が存在する。
γp=420×〔C〕+470×〔N〕+23×〔Ni〕+12×〔Cu〕+7×〔Mn〕−11.5×(〔Cr〕+〔Si〕)−52×〔Al〕−49×〔Ti〕+189 ・・・・・・(式1)
ここで、〔 〕は質量%を示す。
金属組織:金属組織は、主たる組織がフェライト相であることを特徴とする。オーステナイト相が残存すると材料が硬質化し、曲げ加工時の割れが生成しやすくなるためである。
引張強度の異方性:引張強度の異方性ΔTSは、本発明において明確となった指標である。引張試験は、鋼板より圧延方向から0°、45°および90°の3方向にJIS Z 2201に準拠したJIS13号B引張試験片を採取し、JIS Z 2241に準拠した引張試験を実施する。n数は3として平均値を用いる。引張強度異方性ΔTSは、
ΔTS=(TS0+TS90−2×TS45)/2)
で求める。ここで、TS0は0°方向の引張強度、TS45は45°方向の引張強度、TS90は90°方向の引張強度である。ΔTSを20MPa以上とすることが、曲げ加工時の形状凍結性を向上させるために必要である。
r値の異方性:r値の異方性Δrは、本発明において明確となった指標である。r値測定のための引張試験は、鋼板より圧延方向から0°、45°および90°の3方向にJIS Z 2201に準拠したJIS13号B引張試験片を採取し、JIS Z 2254に準拠した試験を実施する。n数は3として平均値を用いる。引張歪は10%とする。r値の異方性Δrは、
Δr=(r0+r90−2×r45)/2)
で求める。ここで、r0は0°方向のr値、r45は45°方向のr値、r90は90°方向のr値である。Δrを−0.20以下としたときに良好な曲げ加工時の形状凍結性が得られる。
製造条件については、次のように規定する。
冷間圧延:本発明は、冷延鋼板を対象としており、熱間圧延後に20%以上の圧延率とした冷間圧延を実施する。圧延率が20%未満であると、良好な形状凍結性が得られない。圧延率の上限は、圧延割れが生じず、圧延反力が増加しすぎないレベルである必要があるため、95%未満とするのが好ましい。製造安定性を考慮した場合、30〜85%とすることがさらに好ましい。冷間圧延機のロール径によってその効果は大きくは変わらないため、特に規定する必要はない。現存する冷延機のロール径(約50〜約800mm)でよい。また、圧延機はタンデム型の連続圧延機でも、ゼンジミアやクラスターのような可逆形の圧延機でも良い。なお、冷間圧延前に材料の軟質化を目的として熱処理を実施しても良い。
冷延板焼鈍:冷延板の焼鈍は、昇温時の500〜750℃の温度域における平均昇温速度を3.0℃/s以上で昇温する。本発明においてこの昇温速度を規定することが大きな特徴である。これより遅い昇温速度であると、良好な形状凍結性が得られない。平均昇温速度の上限は特には規定しないが、現有設備の限界を考慮すると50℃/sを上限とすることが望ましい。平均昇温速度は、昇温過程において500℃と750℃の両温度の差250℃を500℃から750℃に達するまでの時間で除して求める。昇温後には、800℃〜1000℃の温度で1〜120秒間保持する。保持温度は800℃未満であると良好な形状凍結性が得られない。1000℃超であると金属組織に粗大なマルテンサイト相が残存して曲げ加工時に割れが生成する場合がある。保持時間が1秒未満であると良好な形状凍結性が得られない場合や、曲げ加工性が劣化する場合がある。また120秒超であると良好な形状凍結性が得られない場合がある。本発明の特徴として冷延板焼鈍時の昇温速度を3.0℃/s以上として部分的にγ変態が生じる800〜1000℃に保持することにある。このことにより、良好な形状凍結性が得られる原因は明らかではないが、熱間圧延および冷間圧延によって形成された圧延集合組織を維持したままγ変態させることで、形状凍結性を向上させる集合組織が得られるためではないかと考えている。
上記の温度、時間で保持後には、以下の2つのいずれかの熱履歴をとる必要がある。
(a)冷却過程において、750℃〜300℃の温度域における平均冷却速度を0.3℃/s以下として冷却する。0.3℃/s超であると、フェライト相金属組織中に硬質な第2相が存在する場合があり、成形加工(曲げ加工等)時に割れが発生しやすくなる。
(b)一旦、冷却過程において300℃以下まで冷却する。このときの冷却速度は金属組織、曲げ加工性、形状凍結性にほとんど影響を及ぼさないため、特に規定する必要はない。冷却後、次に時効熱処理を実施する。時効熱処理は450〜750℃の温度域において180秒間以上の保持を行う。熱処理温度が450℃未満では、材料が硬化し、成形加工性(曲げ加工性等)で劣化する場合がある。また、750℃超であると曲げ加工性や形状凍結性が劣化する場合がある。保持時間は180秒間以上とする。180秒未満であると、形状凍結性が不十分となる。また、保持時間の上限は特に規定する必要はないが、生産性を考慮すると6時間以内とすることが好ましい。
最終の焼鈍後に形状矯正を目的としてスキンパス圧延を実施しても良い。そのときの伸び率は、材料が硬化して成形性を劣化させないレベルとして0.3〜3.0%が好ましい。
表1に示す成分の各鋼を溶製し、熱間圧延を実施した。得られた熱延板について表2に示すごとく数水準の条件によって冷間圧延、焼鈍を実施して、板厚1.0mmの鋼板を製造した。得られた鋼板を時効熱処理を施すことなく、上述の方法にしたがって引張強度異方性およびr値の異方性を調査した。また形状凍結性は、下記の方法により調査した。
鋼板より20mm幅×130mm長さ、130mm幅×20mm長さの鋼板を切り出して両面に防錆油を塗布し、角筒絞り試験が可能な試験機を用いて、1辺40mm、肩半径が5mmの角筒ポンチによってしわ押さえ力9.8kN(1ton)として30mm高さまで成形した。図1に示すような成形試験後のハット形状サンプルより、図中に示した縦壁部の壁そり量を3次元形状測定器により測定し、1/ρ(mm-1)×1000として表示した。ρは湾曲部に相当する曲率である。1/ρ×1000が2以下であれば、形状凍結性としては合格とした。曲げ加工性は鋼板を180°曲げした際に鋼板表面に割れが存在するか否かで判断した。
表2に製造条件および各種評価結果を示す。その結果、本発明法によれば、とハット曲げ加工後の形状凍結性が優れる鋼板を製造することができることが確認された。
表1に示す成分の各鋼を溶製し、熱間圧延を実施した。得られた熱延板について表3に示すごとく数水準の条件によって冷間圧延、焼鈍を実施して、板厚2.0mmの鋼板を製造した。得られた鋼板に種々の時効熱処理を施して、上述の方法にしたがって引張強度異方性およびr値の異方性を調査した。また形状凍結性は、下記の方法により調査した。鋼板より20mm幅×130mm長さ、130mm幅×20mm長さの鋼板を切り出して両面に防錆油を塗布し、角筒絞り試験が可能な試験機を用いて、1辺40mm、肩半径が5mmの角筒ポンチによってしわ押さえ力9.8kN(1ton)として30mm高さまで成形した。図1に示す成形試験後のハット形状サンプルより、図中に示した縦壁部の湾曲状態を3次元形状測定器により測定し、1/ρ(mm-1)として表示した。ρは湾曲部に相当する曲率である。1/ρ×1000が2以下であれば、形状凍結性としては合格とした。曲げ加工性は鋼板を180°曲げした際に鋼板表面に割れが存在するか否かで判断した。
表3に製造条件および各種評価結果を示す。その結果、本発明法によれば、ハット曲げ加工後の形状凍結性が優れる鋼板を製造することができることが確認された。
Figure 2007284771
Figure 2007284771
Figure 2007284771
ハット曲げ加工後の成形品の断面形状を模式的に示す図である。

Claims (9)

  1. 質量%で、
    C :0.005〜0.100%、
    Si:0.01〜2.00%、
    Mn:0.01〜2.00%、
    P :0.040%以下、
    S :0.03%以下、
    Cr:8.0〜15.0%、
    Al:0.0010〜0.2000%、
    N :0.005〜0.080%を含有し、残部が鉄および不可避的不純物よりなる鋼組成を有し、下記(式1)により計算されるγp(%)が50〜105%を満足し、板面において圧延方向から0°、45°および90°の3方向に引張試験をした際の引張強度の異方性ΔTS((TS0+TS90−2×TS45)/2)が20MPa以上であり、r値の異方性Δr((r0+r90−2×r45)/2)が−0.20以下であり、主たる金属組織がフェライト相であることを特徴とする、形状凍結性に優れるCr含有薄鋼板。
    γp=420×〔C〕+470×〔N〕+23×〔Ni〕+12×〔Cu〕+7×〔Mn〕−11.5×(〔Cr〕+〔Si〕)−52×〔Al〕−49×〔Ti〕+189 ・・・・・・(式1)
    ここで、〔 〕は質量%を示す。
  2. 前記鋼が、さらに、質量%で、
    Ni:2.0%以下、
    Cu:1.0%以下のうちの1種または2種を含むことを特徴とする、請求項1に記載の形状凍結性に優れるCr含有薄鋼板。
  3. 前記鋼が、さらに、質量%で、
    B:0.010%以下を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の形状凍結性に優れるCr含有薄鋼板。
  4. 前記鋼が、さらに、質量%で、
    Mg:0.010%以下を含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の形状凍結性に優れるCr含有薄鋼板。
  5. 前記鋼が、さらに、質量%で、
    Ti:0.40%以下、
    Nb:0.40%以下のうちの1種または2種を含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の形状凍結性に優れるCr含有薄鋼板。
  6. 前記鋼が、さらに、質量%で、
    Mo:0.50%以下を含むことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の形状凍結性に優れるCr含有薄鋼板。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の鋼組成を有する鋼片を、常法により熱間圧延し、さらに、圧延率20%以上の冷間圧延を実施した後、冷延板の焼鈍を昇温時の500〜750℃の温度域における平均昇温速度を3.0℃/s以上で昇温した後、800〜1000℃の温度域で1〜120秒間保持し、その後の冷却過程において、750℃〜300℃の温度域における平均冷却速度を0.3℃/s以下の冷却速度で冷却する条件で行うことを特徴とする、形状凍結性に優れるCr含有薄鋼板の製造方法。
  8. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の鋼組成を有する鋼片を、常法により熱間圧延し、さらに、圧延率20%以上の冷間圧延を実施した後、冷延板の焼鈍を昇温時の500〜750℃の温度域における平均昇温速度を3.0℃/s以上で昇温した後、800〜1000℃の温度域で1〜120秒間保持した後、300℃以下まで冷却し、引き続いて450〜750℃の温度域で180秒間以上保持する時効熱処理を行うことを特徴とする、形状凍結性に優れるCr含有薄鋼板の製造方法。
  9. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のCr含有薄鋼板を用いることを特徴とする、自動車構造用部材。
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