JPH1150202A - 耐銹性に優れたフェライト系ステンレス鋼光輝焼鈍材およびその製造方法 - Google Patents

耐銹性に優れたフェライト系ステンレス鋼光輝焼鈍材およびその製造方法

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JPH1150202A
JPH1150202A JP20276797A JP20276797A JPH1150202A JP H1150202 A JPH1150202 A JP H1150202A JP 20276797 A JP20276797 A JP 20276797A JP 20276797 A JP20276797 A JP 20276797A JP H1150202 A JPH1150202 A JP H1150202A
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stainless steel
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ferritic stainless
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Shigeru Kitani
滋 木谷
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐銹性に優れたフェライト系ステンレス鋼光
輝焼鈍材を提供すること、および焼鈍後の脱スケールに
中性塩電解法を使用してコストを低減できる製造方法を
提供すること。 【解決手段】 不純物のC、N、P、Sおよび酸素を所
定値以下とした高純度フェライト系ステンレス鋼の組成
を重量%で、Si:0.10〜1.00%、Mn:0.60〜2.00%、C
r:16.00 〜30.00 %、Nb:0.20〜1.00%、残部Feと
し、Nb%≧8 ×(C%+N%)、MnとSiの%比(Mn/S
i)を2.0 〜10.0とする。さらにCu:0.30〜1.00%、N
i:0.20〜2.00%、およびMo:0.10〜4.00%の内の1種
以上を添加してもよい。本発明のステンレス鋼の中間冷
延材を焼鈍した後の脱スケールには中性塩電解法および
硝酸電解法を用いるのがコスト上好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はとくにステンレス鋼
板としての耐銹性に優れたフェライト系ステンレス鋼光
輝焼鈍材およびその安価な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光輝焼鈍(Bright Annealing、以下、B
Aと略記する)したステンレス鋼板は表面光沢が優れる
ため、装飾的用途に用いられることが多く、特にフェラ
イト系ステンレス鋼板のBA材は自動車用モールなどの
外装部品として多用されている。このような装飾的用途
の場合には屋外で使用されることによって生じがちな軽
度の「しみ状」の発銹であっても外観を損なうものとし
て問題となる。
【0003】ステンレス鋼BA材のしみ状発銹は多くの
場合、海から飛来した海塩の粒子などの塩化物が付着す
ることによって発生するものと考えられる。すなわち、
海塩の粒子が付着して吸湿し、濃厚な塩化物水溶液が生
成した状態が長く続くと孔食が発生する。そして、孔食
から流れ出した腐食生成物(Feの水酸化物等)が孔食の
周囲に薄膜状に付着したものがしみ状発銹であると考え
られる。
【0004】従って、しみ状発銹を防ぐには濃厚な塩化
物水溶液が付着した状態が長く続かないように時々水洗
することや、孔食が発生しないような耐銹性に優れたス
テンレス鋼を用いることが有効である。後者の材料面か
らの対策としては、母材の組成やBA条件を適切に選ぶ
ことによって、鋼板表面に耐銹性に優れた酸化皮膜を生
成させる方法が研究されている。
【0005】例えば、特開昭58−61220号公報に
はNbを添加し、C、N、P、Sなどの不純物を低くした
フェライト系ステンレス鋼を適正範囲の露点で管理され
た雰囲気ガス中で光輝焼鈍する技術が開示されている。
このBA処理によって、酸化皮膜を適正な厚さにして着
色を防止しつつ、耐銹性改善ができるとしている。
【0006】特開昭58−197282号公報にはSiを
0.3 重量%以上含むステンレス鋼材を低露点の水素や水
素と他の不活性ガスの混合ガス雰囲気中でBA処理し、
表面に非晶質シリカを30原子%以上含む皮膜を生成させ
ることによって、耐銹性のある表面皮膜を形成する技術
が開示されている。
【0007】また、特公平2−9670号公報にはNbを
含有するフェライト系ステンレス鋼材をBA処理し、表
面皮膜中のNb/Siの比を0.1 〜0.3 に制御することによ
り耐銹性の高い表面皮膜を形成する技術が開示されてい
る。しかし、これらの技術には以下に述べるように、冷
間圧延後に行う焼鈍と脱スケール工程での処理コストの
問題を含んでいる。
【0008】自動車用モールなどの装飾部品は厳しい成
形加工が施される場合が多いので、加工によっていわゆ
るローピング模様が発生することがある。これを防止す
るために2回の冷間圧延を行うことが一般に行われてい
る。例えば、板厚4 mmの熱延ステンレス鋼帯を脱スケー
ル後、1 mm前後まで冷間圧延し(中間冷延)、焼鈍、酸
洗後再び冷間圧延して(仕上げ冷延)、板厚0.4 mm程度
の冷延鋼板を製造し、さらに最終のBA仕上げを行う製
造方法である。
【0009】中間冷延後の焼鈍は通常、炭化水素ガスを
燃料とした焼鈍炉で行われる。炉内では燃焼ガスが材料
に直接触れるため酸化スケールが生成する。このスケー
ルはソルトバス法または中性塩電解法で、その後さらに
硝酸電解法で除去(脱スケール)するのが一般的であ
る。
【0010】ソルトバス法(アルカリ溶融塩浸漬法とも
いう)とはNaOHおよびNaNO3 を主成分とする溶融塩浴中
に浸漬する方法であり、中性塩電解法はNa2SO4水溶液中
で電解する方法である。いずれの方法もCrを主成分とす
る酸化スケールを溶解する処理法であり、前者の方が脱
スケール能力が大きいが処理費が比較的高く、表面疵が
発生しやすいという欠点がある。一方、後者は脱スケー
ル能力はソルトバス法より劣るが、処理費が安く表面疵
も発生しにくい。
【0011】硝酸電解法は硝酸水溶液中で電解する方法
で、ソルトバス法や中性塩電解法で溶解しなかったFeや
Siを主成分とするスケールとスケール直下のCr欠乏層を
溶解するので、ステンレス鋼板特有の金属光沢を有する
表面となり、耐食性も向上する。従って通常は焼鈍後、
前段は中性塩電解法または硝酸電解法による脱スケール
を用い、後段に硝酸電解法を組み合わせて脱スケールす
るのが一般的である。
【0012】前記の特開昭58−197282号公報の
技術および特開昭58−197282号公報の技術はB
A後のSi酸化物の皮膜によって耐銹性を高めようとする
ものであるが、この材料は中間冷延後の焼鈍で高Siの酸
化スケールが生成する。とくにNbを含有するフェライト
系ステンレス鋼は焼鈍温度が高く、高Siの厚い酸化スケ
ールが生成するため、前段の脱スケールに中性塩電解法
を用いても完全に脱スケールするのが困難であり、通常
はソルトバス法が用いられる。
【0013】ソルトバス法は前記のようにコストアップ
等の問題があり、これを回避するため特開平8−333
622号公報には、鋼中Siの含有率を低くし、焼鈍時の
加熱条件を制御することにより、中性塩電解法でも容易
に脱スケールを可能にする技術が開示されている。しか
し、この特開平8−333622号公報には材料のSiお
よびCrの含有率と中間冷延後の焼鈍条件を規定している
が、その他の元素の含有率の条件については詳細が開示
されていない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は耐銹性
に優れた表面皮膜をもつフェライト系ステンレス鋼光輝
焼鈍材およびその安価な製造方法を提供することであ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者は耐銹性に優れ
た表面皮膜を形成させるためSiとNbを含有させることを
基本とし、さらに耐銹性を高める狙いと、中間冷延後の
焼鈍によって生成する酸化スケールの脱スケール性を改
善する狙いで、Mnの影響に着目した。
【0016】本発明者は鋼中のSi、MnおよびCr含有率と
BA処理後の耐銹性の関係を詳しく調べた結果、BA皮
膜中にある程度のMnを共存させることによって耐銹性が
著しく高まることを見いだした。
【0017】一方、焼鈍後の酸化スケール中のSiが高い
場合、特にNb含有材を高温で焼鈍するとき、中性塩電解
法での脱スケールはほとんど不可能であったが、本発明
者はスケール中にMnを含有させると、Mnは中性塩電解で
比較的容易に溶解するため、脱スケール性が向上するこ
とを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいたもの
で、その要旨は以下の(1) から(3) のとおりである。
【0018】(1) 重量%で、Si:0.10〜1.00%、Mn:0.
60〜2.00%、Cr:16.00 〜30.00 %、Nb:0.20〜1.00%
(ただし、Nb%≧8 ×(C%+N%))、残部Feおよび
不純物から成り、不純物としてのC、N、P、Sおよび
酸素がそれぞれ下記の範囲であり、MnとSiの%比(Mn/
Si)が2.0 〜10.0であることを特徴とする耐銹性に優れ
たフェライト系ステンレス鋼光輝焼鈍材。
【0019】C:0.05%以下、N:0.05%以下、P:0.
05%以下、S:0.01%以下、酸素:0.02%以下 (2) 重量%で、Si:0.10〜1.00%、Mn:0.60〜2.00%、
Cr:16.00 〜30.00 %、Nb:0.20〜1.00%(ただし、Nb
%≧8 ×(C%+N%))と、さらにCu:0.30〜1.00
%、Ni:0.20〜2.00%、およびMo:0.10〜4.00%の内の
1種以上と、残部Feおよび不純物から成り、不純物とし
てのC、N、P、Sおよび酸素がそれぞれ下記の範囲で
あり、MnとSiの%比(Mn/Si)が2.0 〜10.0であること
を特徴とする耐銹性に優れたフェライト系ステンレス鋼
光輝焼鈍材。
【0020】C:0.05%以下、N:0.05%以下、P:0.
05%以下、S:0.01%以下、酸素:0.02%以下 (3) 前記(1) 項または(2) 項に記載の組成のステンレス
鋼を焼鈍後、中性塩電解法および硝酸電解法を用いて脱
スケールした後、冷間圧延を行い、さらに光輝焼鈍する
ことを特徴とする耐銹性に優れたフェライト系ステンレ
ス鋼光輝焼鈍材の製造方法。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明のステンレス鋼は耐食性を
高めるため不純物を低減した高純度フェライト系ステン
レス鋼と呼ばれるものである。高Siを含有するBA皮膜
が耐銹性を高めることは特開昭58−197282号公
報などにも開示されているが、Mnの影響は明らかではな
かった。
【0022】本発明者はBA後の表面にSi、MnおよびCr
の複合酸化物の皮膜を形成させる試験を行った。材料と
してはSi、Nb含有の高純度フェライト系ステンレス鋼を
ベースにして、MnとSiの%比(Mn/Si)が2.0 〜10.0の
範囲になるように母材の化学組成を決め、試験材を作成
した。この試験材を、熱間圧延、酸洗、中間冷延、焼
鈍、ソルトバス法および硝酸電解法での脱スケールおよ
び仕上げ冷延の各工程を経た後、水素と窒素からなる無
酸化性ガス(露点−40℃以下)中で900 〜1050℃でBA
処理した。その結果、Si、MnおよびCrの複合酸化物から
成る耐銹性の優れる表面皮膜が得られた。
【0023】図1は本発明法によって製造したフェライ
ト系ステンレス鋼BA材の表面を二次イオン質量分析法
(SIMS)で調べた例のグラフである。同図よりわか
るように、表面付近のMnの含有率は最大約20原子%(以
下、at%と表記する)であり、従来の同種のSi、Nb含有
フェライト系ステンレス鋼BA材の2 〜6 at%程度に比
べてはるかに大きく、これが耐銹性向上に大きく寄与し
ているものと考えられる。
【0024】一方、中間冷延材を焼鈍した後の脱スケー
ル処理コストを低減するため、焼鈍後の前段の脱スケー
ルを、前記のソルトバス法のかわりに中性塩電解法を適
用できないかを検討した。
【0025】図2は前記材料の焼鈍後のスケール構造を
SIMSで調べた例のグラフである。同図に示すよう
に、外層のCrを主成分とするスケールの内側にSiとMnを
主成分とするスケールが存在し、SiとMnのピーク含有率
はほぼ同程度、ないしMnのほうが高いことが判明した。
従来のMn含有率の少ないSi、Nb含有フェライト系ステン
レス鋼においては、前記Mnのピーク含有率はSiピーク含
有率の5分の1程度であるのに比べて、本発明の場合、
Mnが著しく高い。Si酸化物のスケールは中性塩電解で全
く溶解しないが、Mn酸化物のスケールは中性塩電解で比
較的容易に溶解するため、本発明のフェライト系ステン
レス鋼の焼鈍後のスケールは中性塩電解法による脱スケ
ールが容易であることが推定できる。以上の予備検討の
もとに、各々の成分元素の含有範囲を検討した。その限
定理由は以下の通りである。
【0026】a)Si Siは製鋼段階での脱酸のために有用であり、BA後の表
面に酸化物として濃化することにより耐銹性を向上させ
る働きをする元素である。0.10%未満ではそれらの作用
が小さく、1.00%を超えると中性塩電解法による脱スケ
ールが困難になるので、含有率の範囲を0.10〜1.00%と
定めた。さらに、好ましくは0.20〜0.60%である。
【0027】b)Mn MnはSiと同様に脱酸に有用であり、BA後の表面に酸化
物として濃化することにより耐銹性を向上させる働きを
する元素である。0.60%未満ではBA後の耐銹性改善効
果が小さく、2.00%を超えるとむしろ耐銹性が劣化する
傾向を示すので、含有率の範囲を0.60〜2.00%と定め
た。さらに好ましくは0.70〜1.00%である。
【0028】また、MnとSiの%比(Mn/Si)はBA後の
耐銹性への影響が大きく、2.0 〜10.0の範囲で著しく耐
銹性が向上し、これより小さくても大きくても耐銹性は
劣るので、範囲を2.0 〜10.0とした。
【0029】c)Cr Crは耐銹性を高めるために重要な元素であり、16.00 %
未満では海洋性環境での耐銹性が十分に保証できない。
また、30.00 %を超えると成形加工性が劣化し、コスト
も高くなるので含有率の範囲を16.00 〜30.00 %と定め
た。さらに好ましくは18.00 〜30.00 %である。
【0030】d)Nb Nbは鋼中のCやNと反応して炭化物や窒化物を作り、Cr
の炭化物や窒化物の生成を防止する(安定化する)こと
により耐銹性を向上させる。また、BA後の表面皮膜中
に含有されて耐銹性を高める働きもする。Nb%が 8×
(C%+N%)未満ではCやNの安定化の働きが不十分
となる。また、Nbが0.20%未満ではBA後の耐銹性向上
が不十分である。しかし、1.00%を超えると金属間化合
物を作って成形加工性が劣化するので、含有率の範囲を
O.20〜1.00%とした。さらに好ましくは0.40〜0.80%で
ある。
【0031】e)Cu Cuは耐銹性を高める上で有用であり、成形加工性を改善
する働きもする。0.30%未満ではそれらの作用が小さ
く、1.00%を超えると熱間加工性や耐応力腐食割れ性が
劣化するので、含有率の範囲を0.30〜1.00%とした。さ
らに好ましくは0.50〜1.00%である。
【0032】f)Ni NiはCuと同様に耐銹性を高める作用があるが、0.20%未
満ではその作用が小さく、2.00%を超えると耐応力腐食
割れ性が劣化し、コストも高くなるので含有率の範囲を
0.20〜2.00%とした。さらに好ましくは0.30〜1.00%で
ある。
【0033】g)Mo Moは耐銹性を顕著に高める元素であるが、0.10%未満で
は効果が小さく、4.00%を超えると成形加工性が劣化し
コストも高くなるので、含有率の範囲を0.10〜4.00%と
した。さらに好ましくは0.60〜4.00%である。
【0034】h)CおよびN CおよびNは鋼中で炭化物や窒化物を作り、これらが孔
食の起点となって耐銹性を劣化させるので、含有率の範
囲を0.05%以下とした。ただし、CおよびNの含有率は
低いほど耐銹性は向上するので、さらに高い耐銹性レベ
ルが必要な場合には0.01%以下とすることが望ましい。
【0035】i)P Pは靭性を劣化させるので低い方が望ましく、含有率の
範囲を0.05%以下とした。
【0036】j)S Sは鋼中で硫化物を作り、これが孔食の起点となって耐
銹性が劣化するので、含有率の範囲を0.01%以下とし
た。ただし、Sの含有率は低いほど耐銹性は向上するの
で、さらに高い耐銹性レベルが必要な場合には、0.002
%以下とすることが望ましい。
【0037】k)酸素 酸素は鋼中で酸化物を作り、孔食の起点となって耐銹性
が劣化するので、含有率の範囲を0.02%以下とした。
【0038】本発明のフェライト系ステンレス鋼BA材
を製造するにはステンレス鋼板の製造工場で一般的に行
われている工程と同じ処理でよい。すなわち、電気炉を
用いた製鋼、精錬の後、連続鋳造でスラブを作り、加熱
後に熱間圧延して板厚3 〜4mmの鋼帯とする。連続焼鈍
酸洗(ホットAP)後に冷間圧延(中間冷延)し、さら
に連続焼鈍脱スケール(中間AP)した後、再度冷間圧
延(仕上げ冷延)し、次いでBA処理をして製品とす
る。これによって耐銹性に優れた光輝焼鈍材を得ること
ができる。
【0039】本発明のステンレス鋼は本発明の製造方法
を用いることが好ましい。すなわち、上記工程の内、中
間APの脱スケール処理として中性塩電解法および硝酸
電解法による脱スケール処理を採用する製造方法であ
る。これは従来法のソルトバス法および硝酸電解法によ
る脱スケール処理よりコスト的にも製品疵の抑制の面で
も有利になるからである。
【0040】BA処理は例えばアンモニア分解ガスや水
素75%+窒素25%の混合ガス中で焼鈍する方法でよく、
露点は−40℃以下とすることが望ましい。露点が高いと
テンパーカラーがついたり、耐銹性が劣化することがあ
るためである。このときの焼鈍温度にとくに制限はない
が一般的には900 〜1050℃とするのが望ましい。すなわ
ち、これより温度が低いと硬質で伸び性の少ない板とな
るばかりでなく、耐銹性が劣化するおそれがある。ま
た、1050℃以上での焼鈍においては鋼帯の強度が低下す
るために連続焼鈍炉内で破断の危険があり、また結晶粒
が粗大化して成形性に悪影響を及ぼす。
【0041】以上のように本発明によれば、Nb含有フェ
ライト系ステンレス鋼のMn含有率を従来より高め、Mnと
Siの%比(Mn/Si)を大きくすることにより、BA後の
耐銹性が向上すると同時に中間冷延材の焼鈍後の脱スケ
ールに中性塩電解法を適用でき、製造コストを削減する
ことができるのである。
【0042】
【実施例】表1に化学組成を示す17種類のフェライト系
ステンレス鋼を15kg真空溶解電気炉を用いて溶製した。
これらの鋼塊を熱間圧延して板厚4 mmの試片を作成し
た。
【0043】
【表1】
【0044】これらの試片を電気炉を用いて炭化水素ガ
ス燃焼雰囲気中で、温度980 ℃で12分間焼鈍し、ショッ
トブラスト処理を施した後、20%硫酸(80℃)および10
%硝酸+2 %ふっ化水素酸(50℃)を用いて酸洗し、完
全にスケールを除去した。
【0045】次いで、これらの試片を板厚1 mmまで冷間
圧延(中間冷延)し、脱脂後電気炉を用いて炭化水素ガ
ス燃焼雰囲気中で、温度980 ℃で3 分間焼鈍した。その
後、中性塩電解すなわち、20%Na2SO4(80℃)中で2 分
間交番電解(電流密度+80mA/cm2×電解時間2 sec およ
び同−160 mA/cm2×同1 sec の繰り返し)した後、硝酸
電解すなわち、15%HNO3(50℃)中で2 分間交番電解
(電流密度−60mA/cm2×電解時間1 sec および同+30mA
/cm2×同2 sec の繰り返し)し、脱スケールの程度を調
べた。
【0046】次に、これらの試片を板厚0.4 mmまで冷間
圧延(仕上げ冷延)し、BA処理すなわち、H275%+N2
25%、露点−48℃の雰囲気中で2 分間焼鈍した後、3カ
月間大気暴露試験して耐銹性を調べた。
【0047】表2に各試片の中間冷延材を焼鈍後、中性
塩電解および硝酸電解で脱スケールした時の脱スケール
程度と、仕上げ冷延後のBA処理を行った試片を大気暴
露試験したものの発銹程度を示す。
【0048】
【表2】
【0049】表2に示すように、中間冷延材の焼鈍後の
脱スケール程度については、試片No.3のみが脱スケール
不足になったが、これ以外はすべて脱スケールが完了し
た。
【0050】また、BA後の大気暴露試験による発銹程
度については、本発明鋼がいずれも発銹程度指数R.N.
(Rating Number :JIS Z-2371に規定された腐食欠陥の
標準図による判定値)が9 以上であるのに対して、比較
鋼はR.N.が4 〜7 であり、耐銹性が劣ることがわかる。
【0051】
【発明の効果】本発明により、従来品より耐銹性に優れ
たフェライト系ステンレス鋼光輝焼鈍材が提供できる。
かつ本発明の製造方法により焼鈍後の脱スケールには中
性塩電解法が使用できるのでソルトバス法による脱スケ
ールと比較して安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフェライト系ステンレス鋼のBA処理
後の表面皮膜を二次イオン質量分析法(SIMS)で調
べた例のグラフである。
【図2】本発明のフェライト系ステンレス鋼の中間冷延
材の焼鈍後のスケール構造をSIMSで調べた例のグラ
フである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C23G 1/24 C23G 1/24 C25F 1/06 C25F 1/06 B

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、Si:0.10〜1.00%、Mn:0.60
    〜2.00%、Cr:16.00 〜30.00 %、Nb:0.20〜1.00%
    (ただし、Nb%≧8 ×(C%+N%))、残部Feおよび
    不純物から成り、不純物としてのC、N、P、Sおよび
    酸素がそれぞれ下記の範囲であり、MnとSiの%比(Mn/
    Si)が2.0 〜10.0であることを特徴とする耐銹性に優れ
    たフェライト系ステンレス鋼光輝焼鈍材。 C:0.05%以下、N:0.05%以下、P:0.05%以下、
    S:0.01%以下、酸素:0.02%以下
  2. 【請求項2】 重量%で、Si:0.10〜1.00%、Mn:0.60
    〜2.00%、Cr:16.00 〜30.00 %、Nb:0.20〜1.00%
    (ただし、Nb%≧8 ×(C%+N%))と、さらにCu:
    0.30〜1.00%、Ni:0.20〜2.00%、およびMo:0.10〜4.
    00%の内の1種以上と、残部Feおよび不純物から成り、
    不純物としてのC、N、P、Sおよび酸素がそれぞれ下
    記の範囲であり、MnとSiの%比(Mn/Si)が2.0 〜10.0
    であることを特徴とする耐銹性に優れたフェライト系ス
    テンレス鋼光輝焼鈍材。 C:0.05%以下、N:0.05%以下、P:0.05%以下、
    S:0.01%以下、酸素:0.02%以下
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の組成の
    ステンレス鋼を焼鈍後、中性塩電解法および硝酸電解法
    を用いて脱スケールした後、冷間圧延を行い、さらに光
    輝焼鈍することを特徴とする耐銹性に優れたフェライト
    系ステンレス鋼光輝焼鈍材の製造方法。
JP20276797A 1997-07-29 1997-07-29 耐銹性に優れたフェライト系ステンレス鋼光輝焼鈍材およびその製造方法 Withdrawn JPH1150202A (ja)

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