JPH08269556A - 鉄損の低い鏡面方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
鉄損の低い鏡面方向性電磁鋼板の製造方法Info
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- JPH08269556A JPH08269556A JP7072720A JP7272095A JPH08269556A JP H08269556 A JPH08269556 A JP H08269556A JP 7072720 A JP7072720 A JP 7072720A JP 7272095 A JP7272095 A JP 7272095A JP H08269556 A JPH08269556 A JP H08269556A
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Abstract
方法を開示する。 【構成】 重量比で、Si:0.8〜4.8 %、Al:0.012〜
0.05%、N:0.01 %以下、及び残部がFe及び不可避的
不純物からなるスラブを熱間圧延・1回もしくは中間焼
鈍を挟む、2回以上の冷間圧延・脱炭焼鈍・仕上げ焼鈍
を施す方向性電磁鋼板の製造方法において、脱炭焼鈍を
Fe系酸化物の生じない酸化度の雰囲気ガス中で行った
後、焼鈍分離剤としてアルミナを塗布して仕上げ焼鈍を
行い、該鋼板に線状又は点状にメッキ処理を施し、次い
で張力被膜を形成して方向性電磁鋼板の活動磁壁数を増
加させることにより、低鉄損化を達成する。
Description
の電気機器等の鉄心として利用される方向性電磁鋼板の
製造方法に関するものである。特に、その表面の鏡面化
手段及び磁区細分化手段を効果的に導入することによ
り、鉄損特性の向上を低コストで達成する製造方法を開
示するものである。
の電気機器に用いられている。方向性電磁鋼板は、Si
を0.8〜4.8%含有し製品の結晶粒の方位を{11
0}<001>方位に高度に集積させた鋼板である。そ
の磁気特性として磁束密度が高く(B8値で代表され
る)、鉄損が低い(W17/50値で代表される)こと
が要求される。特に、最近では省エネルギーの見地から
電力損失の低減に対する要求が高まっている。
を低減させる手段として、磁区を細分化する技術が開発
された。仕上げ焼鈍後の鋼板にレーザービームを照射す
ることにより磁区を細分化して鉄損を低減させる方法
が、例えば特開昭58−26405号公報に開示されて
いる。しかしながら、該方法による鉄損の低減はレーザ
ー照射によって導入された歪に起因するので、トランス
に成形したのちに歪取り焼鈍を必要とする巻鉄心トラン
ス用としては使用することができない。
139680号公報において、仕上焼鈍後に方向性電磁
鋼板の表面のグラス層を除去し、間隔をおいて部分的に
メッキ処理を施し鋼成分と異なる侵入帯を形成すること
により、磁区細分化する方法が開示されている。しかし
ながら該方法においては、鋼板の表面に存在するグラス
被膜を酸洗等により除去する必要があるため製造コスト
が高くなり、且つ表面が荒れてしまう。。
施した鋼板の磁区の動きを詳細に観察すると、静的には
細分化した磁区の中には動かない磁区も存在しているこ
とが分かった。方向性電磁鋼板の鉄損値を更に低減させ
るためには、上記方法による磁区細分化技術と合わせて
磁区の動きを阻害する要因を排除する技術(磁区の活性
化技術)を導入する必要がある。
な要因である鋼板表面のグラス被膜等を除去し表面を鏡
面化する方法が有効である。その手段として、仕上げ焼
鈍後にグラス被膜を酸洗等により除去した後に、化学研
磨或いは電解研磨を行い表面を鏡面化させる方法が、例
えば特開昭64−83620号公報に開示されている。
法は、研究室レベルでの少試料の材料を加工することは
可能であるが、工業的規模で行うには薬液の濃度管理、
温度管理、公害防止設備の付与等の点で大きな問題があ
り、更にこのような工程を付加することにより製造コス
トが高くなってしまうために、未だ実用化されるに至っ
ていない。
の鋼板の表面グラス被膜を除去し、部分的にメッキ処理
することにより鋼板成分と異なる侵入帯を形成する方法
は、ある程度の低鉄損値は得られるが、コストが高くな
ってしまうという問題点、更に、この磁区細分化処理の
効果を最大限に発揮して大幅な低鉄損値を得るためには
更に化学研磨等の表面処理を施す必要があるためコスト
が高くなるという問題点を同時に解決するものである。
すなわち、歪取り焼鈍を施しても磁気特性が劣化せず、
しかも従来製品よりも鉄損特性の良好な方向性電磁鋼板
を低コストで製造する方法を開示するものである。
決するために、脱炭焼鈍をFe系酸化物の形成しない酸
化度の雰囲気ガス中で脱炭焼鈍し、焼鈍分離剤としてア
ルミナを塗布することにより、仕上げ焼鈍後の鋼板表面
を鏡面状態にし、該鋼板表面にAl,Sb,Cu,S
n,Zn,Ni,Crの1種または2種以上を、間隔を
おいて線状または点状にメッキして鋼成分と異なる侵入
帯を形成した後に張力被膜を形成して、活動磁壁数を増
加させることにより、歪取り焼鈍を施しても特性劣化す
ることがなく、且つ従来製品よりも低い鉄損の方向性電
磁鋼板を提供するものである。また、従来製造工程と比
較して付加工程がないので、製造コストも実質的に高く
ならない。
法としては、小松等による(Al,Si)Nを主インヒ
ビターとして用いる製造法(例えば特公昭62−452
85号公報)、又は田口・坂倉等によるAlNとMnS
を主インヒビターとして用いる製造法(例えば特公昭4
0−15644号公報)を適用すればよい。
重要な元素である。含有量が4.8%を超えると、冷間
圧延時に材料が割れ易くなり圧延不可能となる。一方、
Si量を下げると仕上げ焼鈍時にα→γ変態を生じ、結
晶の方向性が損なわれるので、仕上げ焼鈍において結晶
の方向性に影響を及ぼさない0.8%を下限とする。
(Al,Si)Nとしてインヒビターとして機能するた
めに必須の元素である。磁束密度が高くなる0.012
〜0.050%を限定範囲とする。Nは製鋼時に0.0
1%以上添加するとブリスターと呼ばれる鋼板中の空孔
を生じるので、0.01%を上限とする。
ビターとしての役割を果たす。Mnが0.02%より少
なく、またSが0.005%より少ないと所定量の有効
なMnSインヒビターが確保できない。また、Mnが
0.3%、Sが0.04%より多いとスラブ加熱時の溶
体化が不十分となり、二次再結晶が安定して行われなく
なる。故にMn:0.02〜0.3%、S:0.005
〜0.04%とする。他のインヒビター構成元素とし
て、B,Bi,Se,Pb,Sn,Ti等を添加するこ
ともできる。
板とされる。小松等による(Al,Si)Nを主インヒ
ビターとして用いる製造法(例えば特公昭62−452
85号公報)では、熱間圧延時の温度確保の観点から1
100℃以上、またAlNの完全溶体化しない1280
℃以下の温度で加熱を行った後に熱間圧延を行う。ま
た、田口・坂倉等によるAlNとMnSを主インヒビタ
ーとして用いる製造法(例えば特公昭40−15644
号公報)では、完全溶体化する1300℃以上の温度で
加熱した後に熱延を行えば良い。
を経て冷間圧延される。焼鈍は750〜1200℃の温
度域で30秒〜30分間行われ、この焼鈍は製品の磁気
特性を高めるために有効である。望む製品の特性レベル
とコストを勘案して採否を決めるとよい。
15644号公報に開示されているように、最終冷延圧
下率80%以上とすれば良い。冷間圧延後の材料は、鋼
中に含まれる炭素を除去するために湿水素雰囲気中で、
750〜900℃の温度域で脱炭焼鈍を行う。
(Fe2 SiO4 、FeO等)を形成させない酸化度で
焼鈍を行い、焼鈍分離剤としてアルミナを塗布すること
が本発明の一つのポイントである。例えば、通常脱炭焼
鈍が行われる800〜850℃の温度域においては、雰
囲気ガスの酸化度(P H2 O /P H2 )<0.15に調
整することにより、Fe系酸化物の生成を抑制すること
ができる。
が遅くなってしまい、工業的観点から好ましくない。こ
の両者を勘案すると、雰囲気ガスの酸化度(P H2 O /
P H2 ):0.01〜0.15の範囲で焼鈍することが
好ましい。
ンヒビターとして用いる製造法(例えば特公昭62−4
5285号公報)においては、窒化処理を施す。この窒
化処理の方法は特に限定するものではなく、アンモニア
等の窒化能のある雰囲気ガス中で行う方法等がある。量
的には0.005%以上、望ましくは全窒素量として鋼
中のAl当量以上窒化すれば良い。
分離剤としてアルミナを水スラリーもしくは静電塗布法
等によりドライ・コートする。水スラリーで塗布する場
合には、例えば特願平5−211602号明細書で開示
する方法を採用することが好ましい。
結晶と窒化物の純化を行う。二次再結晶を特開平2−2
58929号公報で開示されるように、一定の温度で保
持する等の手段により所定の温度で行うことは、磁束密
度を上げるうえで有効である。二次再結晶完了後、窒化
物等の不純物の純化と表面の平滑化を行うために、10
0%水素で1100℃以上の温度で焼鈍する。
Cu,Sn,Zn,Ni,Crの1種または2種以上
を、間隔をおいて線状または点状にメッキして鋼成分と
異なる侵入帯を形成した後に張力被膜を形成することに
より、活動磁壁数を増加させることが、本発明の重要な
ポイントである。
法、及び(B)従来法により製造した仕上焼鈍後の鋼板
に、圧延方向と直角方向に線状に5mm間隔でAlをメッ
キした後、コロイド状シリカとリン酸塩を主成分とする
コーティング液を塗布して、850℃で焼き付け張力被
膜を形成した。その後、800℃で4時間の歪取り焼鈍
を行った。表1に、従来製品、及び本発明法で製造した
製品の鉄損特性を示す。
して約20%もの差が生じることが分かる。このような
効果は、Alのメッキだけでなく、Sb,Cu,Sn,
Zn,Ni,Cr等の元素の1種または2種以上を、間
隔をおいて線状または点状にメッキした場合にも認めら
れる。
いずれの方法でも良い。また、メッキの方向は圧延方向
に直角もしくは直角から45度の範囲内で、その間隔は
2〜10mmが鉄損低下の観点から好ましい。部分メッキ
の形状は連続的、不連続的な線状又は点状のいずれでも
良い。
としては、例えば特開昭48−39338号公報による
コロイド状シリカとリン酸アルミニウムを主体とするコ
ーティング液、特開昭50−79442号公報によるコ
ロイド状シリカとリン酸マグネシウムを主体とするコー
ティング液、又は特開平6−65754号公報によるア
ルミナ・ゾルとホウ酸を主成分とするコーティング液を
焼き付ける方法等を採用すればよい。
C:0.05%、S: 0.007%、酸可溶性Al:0.03%、
N: 0.008%、Sn:0.05%、残部実質的にFe及び不
可避的不純物からなる珪素鋼スラブを1150℃で加熱した
後、熱間圧延し板厚 2.3mmとした。この熱延板を 1.8mm
に冷延し、1100℃で2分間焼鈍した後、最終板厚0.23mm
に冷延した。
合ガス中において 830℃の温度で 100秒焼鈍し一次再結
晶させた。次いでアンモニア雰囲気中で焼鈍することに
より、窒素量を 0.025%に増加して、インヒビターの強
化を行った。この鋼板をアルミナ(Al2 O3 )を水ス
ラリーで塗布した後、仕上げ焼鈍を施した。
Ni,Cr,Sb+Snを、5mmの間隔をおいて圧延方
向と直角方向にメッキした。その後、コロイド状シリカ
とリン酸塩を主成分とするコーティング液を塗布して 8
50℃で2分間焼き付けた。これらの試料の磁気特性を測
定した後、更に 800℃で4時間の歪取り焼鈍を行った。
得られた製品の磁気特性を表2に示す。
n:0.07%、C:0.07%、S: 0.025%、酸可溶性A
l: 0.026%、N: 0.008%、Sn: 0.1%、残部実質
的にFe及び不可避的不純物からなる珪素鋼スラブを13
50℃で加熱した後、熱間圧延し板厚 2.3mmとした。この
熱延板を酸洗後 1.8mmに冷延し、1100℃で2分間焼鈍し
た後、最終板厚0.23mmに冷延した。
いて酸化度(A:本発明法) 0.1、及び(B:従来法)
0.44で 850℃の温度で 100秒焼鈍し一次再結晶させた。
これらの鋼板をその後、(A:本発明法)アルミナ(A
l2 O3 )、及び(B:従来法)マグネシア(MgO)
を水スラリーで塗布した後、仕上げ焼鈍を施した。
に4mm間隔でメッキした。その後、コロイド状シリカと
リン酸塩を主成分とするコーティング液を塗布して 850
℃で2分間焼き付けた。これらの試料の磁気特性を測定
した後、更に 800℃で4時間の歪取り焼鈍を行った。得
られた製品の磁気特性を表3に示す。
特性が劣化せず、且つ従来よりも格段に鉄損特性の良好
な方向性電磁鋼板をコストアップすることなく製造する
ことができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量比で、 Si:0.8〜4.8%、 酸可溶性Al:0.012〜0.05%、 N ≦0.01%、残部実質的にFe及び不可避的不純
物からなる珪素鋼スラブを1100℃以上1280℃以
下で加熱した後に熱間圧延し、一回もしくは中間焼鈍を
はさむ二回以上の冷間圧延により最終板厚とし、脱炭焼
鈍・窒化処理を行った後、仕上げ焼鈍を施す方向性電磁
鋼板の製造方法において、脱炭焼鈍をFe系酸化物の形
成しない酸化度の雰囲気ガス中で行った後、焼鈍分離剤
としてアルミナを塗布することにより、仕上げ焼鈍後の
鋼板表面を鏡面状態にし、該鋼板表面に間隔をおいて線
状または点状に部分メッキ処理を施し鋼成分と異なる侵
入帯を形成した後に張力被膜を形成することにより活動
磁壁数を増加させることを特徴とする鉄損の低い鏡面方
向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 重量比で、 Si:0.8〜4.8%、 酸可溶性Al:0.012〜0.05%、 N ≦0.01%、 Mn:0.02〜0.3%、 S :0.005〜0.040%、残部実質的にFe及
び不可避的不純物からなる珪素鋼スラブを1300℃以
上に加熱した後に熱間圧延し、一回もしくは中間焼鈍を
はさむ二回以上の冷間圧延により最終板厚とし、次いで
脱炭焼鈍・仕上げ焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造方法
において、脱炭焼鈍をFe系酸化物の形成しない酸化度
の雰囲気ガス中で脱炭焼鈍を行い、焼鈍分離剤としてア
ルミナを塗布することにより、仕上げ焼鈍後の鋼板表面
を鏡面状態にし、該鋼板表面に間隔をおいて線状または
点状に部分メッキ処理を施し鋼成分と異なる侵入帯を形
成した後に張力被膜を形成することにより活動磁壁数を
増加させることを特徴とする鉄損の低い鏡面方向性電磁
鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07272095A JP3148093B2 (ja) | 1995-03-30 | 1995-03-30 | 鉄損の低い鏡面方向性電磁鋼板の製造方法 |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH08269556A true JPH08269556A (ja) | 1996-10-15 |
JP3148093B2 JP3148093B2 (ja) | 2001-03-19 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP07272095A Expired - Lifetime JP3148093B2 (ja) | 1995-03-30 | 1995-03-30 | 鉄損の低い鏡面方向性電磁鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3148093B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006135061A (ja) * | 2004-11-05 | 2006-05-25 | Nippon Steel Corp | 板厚方向の比透磁率が小さい電磁鋼板 |
JP2020041192A (ja) * | 2018-09-11 | 2020-03-19 | 国立大学法人東北大学 | 磁歪合金の製造方法および磁歪合金 |
-
1995
- 1995-03-30 JP JP07272095A patent/JP3148093B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006135061A (ja) * | 2004-11-05 | 2006-05-25 | Nippon Steel Corp | 板厚方向の比透磁率が小さい電磁鋼板 |
JP2020041192A (ja) * | 2018-09-11 | 2020-03-19 | 国立大学法人東北大学 | 磁歪合金の製造方法および磁歪合金 |
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JP3148093B2 (ja) | 2001-03-19 |
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