JPH08266287A - 酵母に凝集性を付与する遺伝子及びその遺伝子産物 - Google Patents
酵母に凝集性を付与する遺伝子及びその遺伝子産物Info
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Abstract
有する蛋白、蛋白をコードするDNA 、DNA を含むプラス
ミド、DNA を利用して、ビール酵母型凝集性を付与また
は強化された酵母を製造する方法およびビール酵母型凝
集性が欠失または減少した酵母を製造する方法、並び
に、DNA の発現を抑制することによって、酵母のビール
酵母型凝集性を欠失または減少させる方法。 【効果】 酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を
有するLg-Flo1 蛋白、ならび該蛋白をコードするLg-FLO
1 遺伝子DNA が提供される。即ち、このDNA を核外およ
び(または)核内遺伝子として酵母細胞内に導入するこ
とによって、酵母にビール酵母型凝集性を付与したり、
酵母のビール酵母型凝集性を強化することができる。
Description
その利用に関し、さらに詳細には、酵母にビール酵母型
凝集性を付与する活性を有する蛋白、前記蛋白をコード
するDNA 、前記DNA を含むプラスミド、前記DNA を利用
して、ビール酵母型凝集性を付与または強化された酵母
を製造する方法およびビール酵母型凝集性が欠失または
減少した酵母を製造する方法、並びに、前記DNA の発現
を抑制することによって、酵母のビール酵母型凝集性を
欠失または減少させる方法に関する。
型凝集性が付与または強化または欠失または減少した酵
母に関する。さらに、本発明は、前記の酵母を培養する
ことを含む醸造製品の製造法、ならびに当該製造法によ
り得られる醸造製品に関する。
醸造に供される酵母の凝集性はその製品の香味を左右す
るばかりでなく、醸造工程の作業上からも重要であるこ
とは周知の事実である。ドイツを中心に日本、その他の
各国で広く製造されているラガータイプのビールの製造
に使用される酵母は、発酵が終了に近づくと酵母が凝集
して発酵液の底に沈降する特性を持ち、特に下面酵母と
呼ばれている。ビール醸造では、発酵が終了して沈降し
た酵母を回収して、さらに次回の発酵に繰り返して使用
するという、他の醸造では見られない製造上の特徴があ
るために、下面酵母のこの発酵後期に沈降する性質は、
ビール醸造にとって特に大きな意味を持つ。
る大きな要因の一つであるため、優秀な酵母を育種する
ことはビール生産者の重要な課題となっている。その下
面酵母の育種において、適切な凝集性を持たせることは
重要な意味がある。なぜならば、凝集性が強すぎる酵母
は発酵途中に発酵液中で沈降してしまい、それ以降の発
酵が進まず、逆に、凝集性が無い酵母は発酵後期になっ
ても浮遊したままで、酵母をビールから取り除くために
遠心分離などの操作が必要になる。したがって、発酵の
初期には発酵液中に分散して、しかも発酵後期には凝集
性が強くなって良く沈降する酵母が現在の製造法には相
応しい酵母である。製造法が異なれば、それに適した凝
集性を持つ酵母が必要なのは言うまでもない。
集性に関する膨大な研究にもかかわらず、酵母凝集の機
構は未だ明らかにされておらず、酵母自体の改良による
凝集性の制御は成功しているとは言い難い。長年に渡る
酵母の遺伝子レベルの研究から、酵母の凝集性に関与す
る遺伝子として、FLO1、flo3、FLO5、FLO8、sfl1、fsu
1、fsu2、tup1、cyc8、cka2、FMC1などの遺伝子、およ
びミトコンドリアDNA 中のoli1、oxi2遺伝子の存在がこ
れまでに確認されてきた。これらの酵母の凝集性に関与
する遺伝子の分子レベルの研究としては、FLO1遺伝子の
単離とその解析がなされている[YEAST, 9, 423 (1993)
およびYEAST, 10, 211 (1994)]。また、FLO5遺伝子の単
離とその解析についても報告されており、そこでは、FL
O5遺伝子はこれまで報告されているFLO1遺伝子と酵母染
色体DNA 上で存在位置が異なるものの、制限地図および
DNA 塩基配列がほぼ同等であることが示されている[J.
Inst. Brew., 85, 95, (1979) およびCurr. Genet., 2
5, 196 (1994)] 。
ルでの解析は十分なものではなく、これらの遺伝子が酵
母の凝集にどのようなメカニズムで関与しているのかは
明らかにされていない。また、FLO1およびFLO5遺伝子以
外の酵母の凝集性に関与する遺伝子については、単離や
その構造解析すら行われておらず、これらの遺伝子がコ
ードしている蛋白についても全く報告されていない。
子を利用して、酵母の凝集性を改良する試みとしては、
サッカロマイセス・セレビシエの凝集遺伝子であるFLO1
遺伝子の導入によって、ビール酵母を含む各種非凝集性
酵母へ凝集性を付与するという報告がある [Agric. Bio
l. Chem., 55, 1547 (1991)]。しかしながら、このよう
にして取得された形質転換体であるビール酵母の凝集能
は発酵の初期から発現し、発酵が遅れ気味になることが
報告されている [醸造協会誌 88, 665 (1993)]。したが
って、このFLO1遺伝子による酵母への凝集性付与は好ま
しい様式で制御されているとは言い難く、実用化のため
には更なる改良が必要であった。さらに、FLO1遺伝子は
酵母に凝集性を付与することができることは知られてい
たが、その遺伝子産物の酵母凝集における役割は、解明
されていない。FLO1遺伝子のDNA塩基配列から推定され
るアミノ酸配列の解析より、FLO1遺伝子産物は酵母細胞
表層に局在すると推定されていた。このことは、凝集性
ビール酵母特異的に酵母細胞表層から取得される蛋白
(flocculin)のN末端の14残基のアミノ酸配列が、FLO1
遺伝子のDNA 塩基配列から推定されるアミノ酸配列と相
同性が有るという報告[Appl. Environ. Microbiol., 6
0, 2754 (1994)] からも支持されると考えられるが、こ
の蛋白の機能解明には至っていない。また、凝集性酵母
特異的な酵母細胞表層蛋白は他にも幾つか知られている
が、いずれもその役割は解明されていない。このため、
FLO1遺伝子を改変することによって、酵母凝集を制御す
るという試みは、行き詰まっていた。
しては、細胞融合法を用いたFLO5遺伝子による酵母への
遺伝形質の付与が試みられ、その遺伝形質付与の有用性
が示された [J. Inst. Brew., 98, 315 (1992)] 。しか
しながら、遺伝形質導入法が細胞融合法であるために、
目的とする形質をもつ酵母を取得するのが困難であるば
かりでなく、取得された酵母には目的とする凝集関連遺
伝子以外のDNA 配列も導入されてしまい、たとえば、多
くのサッカロマイセス・セレビシエのもつ、ビールにフ
ェノール臭を付加するPOF1遺伝子も同時に導入される
[Proc, Eur. Brew. Conv. 497 (1981)]という問題を生
じていた。すなわち、本方法による実用酵母の凝集性の
改良は、制御されているものとは言い難い。以上のよう
に、これまで試みられてきた酵母の凝集に関与する遺伝
子を用いる酵母の凝集能の改良は、実用に耐えうるもの
ではなかった。
は、以下の各事項: (1) 酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有す
る蛋白を提供すること; (2) 酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有す
る蛋白をコードする遺伝子DNA を提供すること;
ル酵母型凝集性が付与または強化された酵母、あるいは
ビール酵母型凝集性が欠失または減少した酵母の製造方
法、ならびに該方法によりビール酵母型凝集性が付与ま
たは強化または欠失または減少した酵母を提供するこ
と; (4) 上記の遺伝子DNA の発現を抑制することによっ
て、酵母のビール酵母型凝集性を欠失または減少させる
方法を提供すること、ならびに (5) 上記の酵母を培養することを含む醸造製品の製造
法ならびに該製造法により得られた醸造製品を提供する
ことも目的とする。
課題を解決すべく、下面ビール酵母の凝集性に関して鋭
意研究した結果、凝集性下面ビール酵母が特異的に持つ
FLO1相同遺伝子(以下、Lg-FLO1 遺伝子)の存在と、Lg
-FLO1 遺伝子と凝集性の関係を明かにし、次いで、この
Lg-FLO1 遺伝子を導入することによってLg-FLO1 遺伝子
産物をFLO1遺伝子が破壊されて非凝集性になっている酵
母内で生成せしめたところ、ビール酵母型の酵母凝集が
引き起こされることを見い出した。これは、ビール酵母
型凝集性の付与のみならず、実験酵母型凝集性を持つ酵
母のビール酵母型凝集性への転換も意味する。さらに、
当該遺伝子産物における下面ビール酵母型の酵母凝集を
決定している領域を決定した。また、本発明者らは、Lg
-FLO1 遺伝子を破壊したものを凝集性の下面ビール酵母
に導入することにより、その酵母を非凝集性に転換させ
ることに成功して、本発明を完成させるに至った。
列番号1に示したアミノ酸配列を有するLg-FLO1 遺伝子
産物、あるいは、実質的に配列表の配列番号1に示した
アミノ酸配列を有するペプチドを含み、酵母にビール酵
母型凝集性を付与する活性を有する蛋白、あるいは実質
的に配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列のうち、
25番目のアミノ酸残基から213 番目のアミノ酸残基を含
むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み、酵母にビ
ール酵母型凝集性を付与する活性を有する蛋白、あるい
は実質的に配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列の
うち、少なくとも25番目のアミノ酸残基から97番目のア
ミノ酸残基を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを
含み、酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有す
る蛋白、さらには、酵母にビール酵母型凝集性を付与す
る活性を有し、実質的に配列表の配列番号2に示したア
ミノ酸配列を有するポリペプチドを提供する。尚、「実
質的に」とは、酵母にビール酵母型凝集性を付与する活
性を有する限りアミノ酸配列の一部にアミノ酸の幾つか
について欠失、置換、付加、重合などを許容することを
意味するものである。
号1に示したアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む
遺伝子DNA 、あるいは実質的に配列表の配列番号1に示
したアミノ酸配列のうち、25番目のアミノ酸残基から21
3 番目のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列を有するポリ
ペプチドをコードする塩基配列を含むDNA 、あるいは実
質的に配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列のう
ち、少なくとも25番目のアミノ酸残基から97番目のアミ
ノ酸残基を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドをコ
ードする塩基配列を含むDNA を提供する。尚、「実質的
に」とは、酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を
有する限りアミノ酸配列の一部にアミノ酸の幾つかにつ
いて欠失、置換、付加、重合などを許容することを意味
するものである。
集性を付与する活性を有するアミノ酸配列をコードする
塩基配列を含み、配列表の配列番号3に示した塩基配列
のうち59番目の塩基から697 番目の塩基までの配列を含
むDNA またはその相補鎖であるDNA 、あるいは酵母にビ
ール酵母型凝集性を付与する活性を有する蛋白をコード
する塩基配列を含み、配列表の配列番号3に示した塩基
配列のうち、131 番目の塩基から697 番目の塩基を含む
DNA またはその相補鎖、あるいは配列表の配列番号3に
示した塩基配列のうち、131 番目の塩基から349 番目の
塩基を含むDNAまたはその相補鎖、さらには、配列表の
配列番号4に示した塩基配列を含み、酵母にビール酵母
型凝集性を付与する活性を有するポリペプチドをコード
するDNAまたはその相補鎖を提供する。
2、KNWtC3またはKNYES に組み込まれ、酵母にビール酵
母型凝集性を付与する活性を有する蛋白をコードする塩
基配列を含むDNA 、ならびに前記のDNA を含むプラスミ
ドを提供する。本発明はまた、前記のDNA を導入するこ
とを特徴とする、ビール酵母型凝集性が付与または強化
された酵母の製造方法、ならびに前記のDNA を破壊する
ことによって、ビール酵母型凝集性を付与する活性を持
つ蛋白を発現させる能力を欠失または減少させたDNA を
導入することを特徴とする、ビール酵母型凝集性が欠失
または減少した酵母の製造方法を提供する。
より製造されたビール酵母型凝集性が付与または強化ま
たは欠失または減少した酵母を提供する。本発明はま
た、前記のDNA の発現を抑制することによって、酵母の
ビール酵母型凝集性を欠失または減少させる方法も提供
する。さらに、本発明は、前記の酵母を培養することを
含む醸造製品の製造法、およびその醸造製品を提供す
る。
明細書では、「DNA」、「塩基配列」、「遺伝子」およ
び「遺伝子DNA」という用語を実質的に同義のものとし
て用いることとする。また、本明細書では、「アミノ酸
配列」、「ペプチド」、および「蛋白」という用語を実
質的に同義のものとして用いることとする。
a型細胞とα型細胞間の性的凝集、出芽娘細胞の母細胞
からの未分離、非性的凝集などに起因することが知られ
ているが、本発明は、これらのうちの非性的凝集の制御
を目的とする。非性的凝集の機構を説明するモデルとし
ては、凝集性酵母の細胞表層にあるレクチン様蛋白と糖
鎖の結合で隣り合う酵母が結合しているとするレクチン
仮説 [J. Bacteriol., 150, 878 (1982)] が有力である
が、レクチン様蛋白の同定は成されていない。このこと
が、酵母凝集の制御が未だ困難である要因でもある。非
性的凝集は、それを阻害する糖の種類によって、マンノ
ース特異的なFlo1タイプと、マンノースの他にマルトー
スやグルコース等によっても阻害されるNewFloタイプ
の、大きく2つに分類できることが報告されている[YEA
ST, 7, 559 (1991)]。本発明者らは、一般的な下面ビー
ル酵母の凝集性はNewFloタイプに属することを発見し
た。本明細書では、理解を容易にするため、これらのタ
イプの凝集性を以下のような用語で示す。
である、共存するマンノースにより阻害されるが、マル
トース、グルコースなどでは阻害されない凝集性を、本
明細書では「実験酵母型凝集性」という用語で示す。ま
た、一般的な下面ビール酵母に代表される酵母が示す凝
集性である、共存するマンノースの他にマルトース、グ
ルコース等によっても阻害される凝集性を、「ビール酵
母型凝集性」という用語で示す。両タイプの凝集性は共
にガラクトースでは、凝集が阻害されない。本発明者ら
は、下面ビール酵母が「ビール酵母型凝集性」という形
質を持つことは、以下の理由から、少なくともビール製
造において、非常に重要であると推察する。すなわち、
この「ビール酵母型凝集性」が、実験酵母の持つ凝集性
と大きく異なるのは、グルコース、マルトースなどでも
阻害されることである。ビールは、麦汁をビール酵母で
発酵して製造されるものであるが、この麦汁中には、約
6%のマルトースおよび約1%のグルコースが含まれて
いることから、これらの糖によって凝集阻害がかかると
いうことは、重要な意義を持つ。言い換えれば、この
「ビール酵母型凝集性」の性質のために、麦汁に添加さ
れたビール酵母は、麦汁中の糖類により凝集が阻害さ
れ、麦汁中に分散できるため、発酵が速やかに進行す
る、そして、発酵後期に発酵液中の糖濃度が低くなる
と、凝集阻害が弱くなって、酵母は凝集塊となり沈降す
るために、酵母回収が容易になると推察できる。
ビール酵母型凝集性を示す下面ビール酵母およびその減
数体に特徴的なFLO1相同遺伝子、すなわち、Lg-FLO1 遺
伝子がコードする蛋白である。本発明はLg-Flo1 蛋白お
よび誘導体を包含する。Lg-Flo1 蛋白は、酵母、特にサ
ッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisi
ae)から誘導されうるものであり、酵母にビール酵母型
凝集性を付与できる性質を有する。Lg-Flo1 蛋白は、実
質的に配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列をその
アミノ酸配列中に含む。「実質的に配列表の配列番号1
に示したアミノ酸配列」とは、「配列表の配列番号1に
示したアミノ酸配列」に加えて、酵母にビール酵母型凝
集性を付与する限りにおいて、配列表の配列番号1に示
したアミノ酸配列が改変されたアミノ酸配列、すなわち
配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列の一部にアミ
ノ酸が付加、挿入、欠失または置換されたアミノ酸配列
を含むものである。
ミノ酸配列」は、公知の実験酵母FLO1遺伝子の塩基配列
から推定されるアミノ酸配列と相同性が有る。しかしな
がら、両者の決定的な違いは、本発明の「配列表の配列
番号1に示したアミノ酸配列」を含むLg-Flo1 蛋白およ
びその誘導体は、前述したビール酵母にとって重要な性
質である「ビール酵母型凝集性」を酵母に付与できるこ
とである。本発明が完成して初めて、Lg-Flo1 蛋白およ
びその誘導体が、「ビール酵母型凝集性」を酵母に付与
できることが示された。
た蛋白であるflocculin はその生物学的機能については
解明されていないが、N末端の16残基のアミノ酸配列が
決定されている(*TQACLPVG*RKNGMN:* は同定出来なかっ
たアミノ酸残基 [Appl. Environ., Microbiol., 60, 27
54 (1994)]。本発明により、初めて機能が解明されたLg
-Flo1 蛋白は、この配列を含んでいる(配列表の配列番
号1の25番目から40番目) 。本発明のLg-Flo1 蛋白とfl
occulin が同一であるという証拠は現時点ではない。し
かしながら、本発明のLg-Flo1 蛋白でも、配列表の配列
番号1の1番目から24番目のアミノ酸配列の相当する領
域は、Lg-Flo1 蛋白が細胞表層に局在するために必要な
分泌シグナル配列である可能性は極めて高い。すなわ
ち、凝集性酵母の細胞表層に局在し、酵母に凝集性を付
与する活性をもつ蛋白は、配列表の配列番号1の25番目
以降のアミノ酸配列をもつ蛋白であると推察される。
子DNA を包含する。ここで、「Lg-FLO1 遺伝子DNA 」と
は、酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を持つLg
-Flo1 蛋白およびその誘導体をコードする塩基配列を含
むDNA をいうものとする。具体的には、本発明は、実質
的に配列表の配列番号1に示したアミノ酸配列を有する
蛋白をコードする塩基配列を含む遺伝子DNA を包含す
る。なお、ここでいう「アミノ酸配列を有する蛋白をコ
ードする塩基配列」とは、縮重関係にある全ての塩基配
列を意味している。
は、実施例1に記載した、ビール酵母型凝集性を示す下
面ビール酵母およびその減数体は、特徴的なFLO1相同遺
伝子を持っていることの発見であった。明細書中では、
この「ビール酵母型凝集性を示す下面ビール酵母および
その減数体に特徴的なFLO1相同遺伝子」を「Lg-FLO1遺
伝子」という用語で示している。しかしながら、この発
見だけでは、「Lg-FLO1 遺伝子」が「ビール酵母型凝集
性」を付与する活性を持つことには、全く繋がらない。
本発明完成には、更なる工夫が必要であった。また別の
見地からすると、本発明は、プラスミドKTYT2 に組み込
まれ、酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有す
る蛋白をコードする塩基配列を含むDNA も包含する。
以下、「Lg-FLO1 遺伝子DNA 」ということとする。本発
明のLg-FLO1 遺伝子DNA は、天然物由来のものでも、全
合成したものでも、あるいは天然物由来のものの一部を
利用して合成を行ったもの、すなわち半合成のものでも
よい。
を導入することにより、ビール酵母型凝集性が付与ある
いは強化された酵母を得ることができる。Lg-FLO1 遺伝
子DNA を導入する方法としては、遺伝子工学の分野にお
いて慣用されているものを用いればよく、それを慣用基
準 [ANALYTICAL BIOCHEMISTRY 163. 391 (1987)等] に
準じて実施すればよい。具体的には、所望のDNA をベク
ターに組み込んでこれを酵母に導入する方法、ベクター
に組み込まずに直接酵母に導入する方法などを挙げるこ
とができる。
酵母に導入する方法において、使用可能なベクターとし
ては、たとえば、YRp 系(酵母染色体のARS 配列を複製
起点とする酵母用マルチコピーベクター)、YEp 系(酵
母の2μm DNA の複製起点を持つ酵母用マルチコピーベ
クター)、YCp 系(酵母染色体のARS 配列を複製起点と
して持ち、かつ酵母染色体のセントロメアのDNA 配列を
持つ酵母用シングルコピーベクター)、YIp 系(酵母の
複製起点を持たない酵母染色体組み込み用ベクター)
等、知られているもの全てのものを用いることができ
る。これらのベクターは文献に記載されており [医学出
版センター刊、「酵母のニューバイオテクノロジー」、
p.284]、容易に作製することができる。
導入する手法の代表的なものとしては、薬剤耐性遺伝子
等のマーカー遺伝子を持つプラスミドと導入するDNA 配
列とで同時に酵母を形質転換する共形質転換法をあげる
ことができる(特公平5-60918 号公報)。上記のような
方法において、導入した遺伝子DNA を酵母中で発現させ
るために、あるいは発現を増加もしくは減少させるため
には、転写および翻訳を制御するユニットであるプロモ
ーターを本発明DNA 鎖の5’−上流域に、ターミネータ
ーを3’−下流域にそれぞれ組み込めば良い。このプロ
モーターおよびターミネーターとしては、Lg-FLO1 遺伝
子それ自身に由来するものの他、アルコールデヒドロゲ
ナーゼ遺伝子 [J. Biol. Chem., 257, 3018 (1982)] 、
ホスホグリセレートキナーゼ遺伝子 [Nucleic Acids Re
s., 10, 7791 (1982)]、グリセロールアルデヒド−3−
燐酸デヒドロゲナーゼ遺伝子 [J. Biol. Chem., 254, 9
839 (1979)]等既に知られている遺伝子由来のもの、も
しくは、人工的にそれを改良したものの使用が可能であ
る。より具体的には、ADH (別名ADC )、GAPDH (別名
GPD)、PHO 、GAL 、PGK 、ENO 、TRP 、HIP 等のプロモ
ーターやターミネーターを使用することができる。
とにより、本発明DNA 鎖の遺伝子を酵母中で制御して発
現させることも可能である。例えば、ガラクトキナーゼ
遺伝子のプロモーターを使用すれば、培地の糖源をたと
えばグルコースからガラクトースに変えることにより発
現を増加させることができる。また、本発明のLg-FLO1
遺伝子DNA を破壊することによって、Lg-Flo1 蛋白を発
現させる能力を欠失または減少させたDNA を導入するこ
とにより、凝集性が欠失または減少した酵母を得ること
ができる。Lg-FLO1 遺伝子DNA の破壊は、Lg-FLO1 遺伝
子のLg-Flo1 蛋白発現に関与する領域、たとえば、プロ
モーター領域やコード領域の内部へ単一あるいは複数の
塩基を付加あるいは欠失させたり、これらの領域全体を
欠失させることにより行うことができる。このようにし
てLg-FLO1 遺伝子を破壊することによって、Lg-Flo1 蛋
白を発現させる能力を欠失または減少させたDNA は、上
記したDNA 導入法と同じ手法で酵母に導入することがで
きる。その導入によって、ホスト酵母の染色体DNA 中の
Lg-FLO1 遺伝子と導入したDNA との間で相同組換えが起
こり、ホスト酵母のLg-FLO1 遺伝子が分断されてLg-Flo
1 蛋白を発現する能力が欠失または減少し、その結果、
ホスト酵母の凝集性が欠失または減少すると考えられ
る。
わちホスト酵母、は分類学上、酵母の範疇に入りうる任
意のものでありうるが、本発明の目的からすれば、サッ
カロマイセス・セレビシエに属する酒類製造用酵母、具
体的にはビール酵母、ワイン酵母等、あるいは、アルコ
ール製造に用いられる酵母等が好ましい。本発明は、上
記のLg-FLO1 遺伝子DNA の発現を抑制することによっ
て、酵母の凝集性を欠失または減少させる方法をも包含
する。このような方法の例としては、Lg-FLO1 遺伝子DN
A を破壊することによって、Lg-Flo1 蛋白を発現させる
能力を欠失または減少させたDNA を導入する方法、アン
チセンスRNA法等を挙げることができる。
な、上記のLg-FLO1 遺伝子DNA を実験酵母型のFLO1遺伝
子などと入れ替えることによる、実験酵母型凝集性をビ
ール酵母型凝集性に転換する方法をも包含する。また、
この逆の転換も本発明により提供されたLg-FLO1 遺伝子
DNA により可能である。本発明の酵母を培養することを
含む醸造製品は、ビール、清酒、焼酎、ワイン、ウイス
キー、ブランデーを含むアルコール飲料、また醤油、味
噌、みりんなどの調味料、さらには、燃料用アルコール
などを包含する。本発明における醸造製品の製造法とし
ては、前記醸造製品に係わる醸造過程を包含する。
集性を付与する活性を有するLg-Flo1蛋白、ならび該蛋
白をコードするLg-FLO1 遺伝子DNA が提供される。本発
明のDNA を外来遺伝子として遺伝子工学的手法によって
酵母に導入すること、即ち、このDNA を核外および(ま
たは)核内遺伝子として酵母細胞内に導入することによ
って、酵母にビール酵母型凝集性を付与したり、酵母の
ビール酵母型凝集性を強化することができる。また逆
に、このDNA を破壊したものを酵母細胞内に導入した
り、このDNA の発現を抑制することにより、凝集性の酵
母を非凝集性に転換したり、凝集性を減少させることが
できる。
同遺伝子のクローニング (1)ビール酵母の凝集性に関与する遺伝子の探索 ビール酵母の凝集性に関与する遺伝子を探索する目的
で、以下の実験を実施した。凝集性ビール酵母、KI084
株から、Stewartの方法 [J.Inst.Brew., 93, 216-219,
(1987)]によって胞子を形成させ、染色体数の減少した
株(以降、このような株を減数体と呼ぶ)を作成した。
得られた減数体の内、6株に関して、表1に記載した培
地を用いて20℃で静置条件下で48時間培養した。培養後
の細胞は遠心にて集菌し、0.1M EDTAで2回洗浄後、滅菌
水で2回洗浄し、滅菌水に再懸濁した。この細胞の凝集
性判定を以下の方法によって行なった。すなわち、最終
OD600=2.0となるように、凝集測定用緩衝液(50mM 酢酸
ナトリウム、0.1% 塩化カルシウム、pH4.6)に懸濁し、
室温で30分間置いた後、20秒間激しく攪拌し、さらに5
分間静置した後、目視によって凝集、非凝集の別を判定
した。この結果、供試した6株の減数体は、2株の非凝
集性株と4株の凝集性株に分類された。
ン解析およびノザン解析を行なった。全DNAの抽出は、Y
PD培地 [2% バクトペプトン(ディフコ社)、1% 酵母抽
出物(ディフコ社)、2% グルコース] で30℃で振とう
培養し、静止期に達した細胞から、Herefordらの方法
[Cell, 18, 1261-1271, (1979)]によって実施した。抽
出されたDNAは2μg相当をHindIII(ベーリンガー社)で
消化し、1%アガロースゲルを用いて電気泳動後、ナイロ
ンフィルターHybond N+(アマシャム社)に、そのプロ
トコールに従ってブロッティングを行ない、その後のサ
ザン解析に供試した。また、全RNAの抽出は、これらの
株に関し、表1に記載の培地を用いて48時間、20℃で静
置培養を行なった細胞から、VilleneveとMeyerの方法
[Cell, 48,25-37 (1987)] によって実施した。得られた
RNAの10μgを、16μlのグリオキサール・DMSO溶液 [1M
グリオキサール、50% DMSO、10mM りん酸ナトリウム緩
衝液(pH7.0)] 中で、1時間、50℃の処理によってグリ
オキサール化を行なった後、2μlのアプライ用緩衝液
[50% (w/v) グリセロール、10mM りん酸緩衝液(pH7.
0)、0.4% (w/v) ブロムフェニルブルー] および1μlの
1mg/ml 臭化エチジウム溶液を加え、10mM りん酸ナトリ
ウム緩衝液(pH7.0)、1% アガロースを含むゲル中で電
気泳動を行なった。電気泳動中は、ペリスタポンプを用
いて、電気泳動層中の緩衝液を常に循環させ、pHの勾配
が生ずることを防いだ。ブロムフェニルブルーがゲルの
長さの70% 程度まで達したときに電気泳動を中止し、紫
外線トランスイルミネーターを用いて臭化エチジウムで
染色されたゲル中のRNAを観察し、リボゾーマルRNAを指
標にRNAが分解されていないことを確認した。その後
に、ゲル中のRNAを、その添付されたプロトコールに従
って、ナイロンフィルターGenescreen-Plus(デュポン
社)にブロッティングし、RNAがブロッティングされた
フィルターに対し、80℃、2時間の処理を行なった。こ
のフィルターは、Genescreen-Plusに添付されたプロト
コールに従ってノザン解析に供試した。
して用いたFLO1遺伝子の部分長のDNA断片は、以下のよ
うに調製した。Teunissen ら [Yeast, 9, 423-427, (19
93)]の報告したFLO1遺伝子の塩基配列をもとに、5'GATG
AAACTGTCATTGTTGTCAAA3'と5'TCGTTTCAGCAGCTAAAGTAT3'
の2種のプライマーを合成した。これらのプライマーを
用い、凝集性ABXL-1D株(a, FLO1, Yeast Genetic St
ock Center)の全DNAを鋳型としてPCRを行ない、全PCR
産物を1%アガロースゲル中で電気泳動し、増幅された10
45bpのDNA断片(以降、FLO1部分長断片と呼ぶ)をゲル
から切り出し、Prep-A-Gene(バイオラッド社)を用い
て回収したDNA断片を得た。この断片は、[α-32P]dCT
P(アマシャム社)で標識し、プローブとして用いた。
放射能の検出は、X線フィルムを用いて行なった。
株KI084には、約9.5kb、5.4kb、4.8kb、3.7kbの4本のFL
O1遺伝子と相同性のあるHindIII断片が検出された。KI0
84株に由来する減数体株では、約4.8kbと3.7kbの2本の
断片に関しては供試した全ての株に見られた。また、凝
集性判定試験で凝集性と判定された4株の減数体につい
てのみ、共通なバンドに加えて約9.5kbの断片が検出さ
れた。また、ノザン解析の結果から、親株および凝集性
判定試験で凝集性と判定された4株の減数体についての
み、FLO1遺伝子の転写産物が観察された。これらの結果
から、KI084に由来する減数体では、FLO1遺伝子と相同
な3本のHindIII断片の内、約9.5kbのHindIII断片に一部
もしくは全長が含まれるFLO1相同遺伝子のみが転写さ
れ、この相同遺伝子を持つ株のみが凝集性となることが
示唆された。以降、このKI084株の約9.5kbのHindIII断
片に一部もしくは全長が含まれるFLO1相同遺伝子を、Lg
-FLO1(Lager Type-FLO1)と呼ぶ。
成 KI084株に由来する減数体の内、凝集性のKMS004株およ
び、非凝集性のKMS001株の各1株ずつを選び、前述の方
法でDNAを調製し、数種類の制限酵素(ベーリンガー
社)を単独で、もしくは2種の酵素を組み合わせて用
い、前述のFLO1部分長断片をプローブとしたサザン解析
を実施した。その結果、凝集性のKMS004株には常に、非
凝集性の減数体と共通な2本のバンドの他に、非凝集性
の減数体には観察されない1本のバンドが検出された。
この凝集性減数体に特異的なバンドにLg-FLO1遺伝子の
一部、もしくは全長が含まれると考えられ、この断片の
長さを測定し、図2に示すような制限酵素地図を作成し
た。
断片のクローニング 図2に示した制限酵素地図をもとに、約5.6kbのKpnI断
片のクローニングを試みた。KI084株に由来する凝集性
の減数体KMS004株のDNAをKpnI(ベーリンガー社)で完
全消化後、0.8%アガロース電気泳動法により分画し、約
5.6kbに相当するDNA断片ミックスをゲルより切り出し、
透析チューブ中で電気溶出することにより精製した。前
述のFLO1遺伝子の部分長をプローブとしたサザン解析に
より、精製したDNA断片ミックス中に、目的のDNA断片が
含まれているのを確認した後に、KpnIで完全消化したプ
ラスミドpUC18(宝酒造)と精製DNA断片ミックスをDNA
ライゲーションキット(宝酒造)を用いて連結し、大腸
菌DH5α(BRL社)を形質転換した。得られた形質転換体
のうち、5000株について、ナイロンフィルターHybondN+
(アマシャム社)に添付プロトコールに従ってブロッテ
ィングし、前述のFLO1部分長断片をプローブとしたコロ
ニーハイブリダイゼーションを実施し、10株の陽性株を
取得した。これらの陽性株からアルカリ法によってプラ
スミドを調製し、制限酵素解析を行なった結果、これら
の株がもつプラスミドは同一の挿入断片を持っているこ
とが確認できた。その中の1株のプラスミド、pKF-Kpn11
の挿入断片について、凝集性減数体KMS004株と非凝集性
減数体KMS001株のDNAをコントロールとするサザン解析
をした結果、挿入断片は目的のLg-FLO1遺伝子の一部で
あることが確認できた。
断片の一部の塩基配列決定 pKF-Kpn11の挿入断片の塩基配列を決定するために、キ
ロシーケンス用 デレーションキット(宝酒造)を用
い、添付プロトコールに従ってpKF-Kpn11の挿入断片の
デレーションシリーズを作成した。塩基配列の決定は、
PCR/Sequencing キット(パーキン・エルマー社)を用
い、DNAシーケンサ(パーキン・エルマー社)によって
行なった。塩基配列の解析は、DNASIS(日立ソフトウェ
アエンジニアリング社)によって行なった。既知のFLO1
遺伝子のコード領域の塩基配列と相同なコード領域が見
出されたKpnI部位からHindIII部位までの2.9kbの塩基配
列を両方向から決定した。決定された塩基配列中には、
Lg-FLO1遺伝子のコード領域の途中から、終止コドンに
至る2.6kbのORFが存在していた。
全長の取得 inverse-PCRによるLg-FLO1遺伝子の全長の取得を模式的
に図3に示す。先に決定したLg-FLO1遺伝子の部分長
[図3 (1)] の塩基配列より、primer5 [5'AATACACAACAT
GGTGTCCT3'、図3 (2)] および primer8 [5'ACCAGAGGT
GGAACTACTGG3' 、図3 (3)] を合成した。凝集性減数体
KMS004株のDNA 60μg を300ユニットのHindIII(ベーリ
ンガー社)で消化し、エタノール沈殿で回収後、30μl
のTE緩衝液に溶解し、300μlのスケールでDNAライゲー
ションキット(宝酒造)を用いてDNA断片の自己閉環化
を行なった。その結果反応物中に、図3中の(4)および
(5)に示されたHindIII部位が連結した環状分子が存在し
ていることが期待される。この反応生成物をエタノール
沈殿で回収し、その4μg相当を鋳型として、上記のprim
er5 [図3 (2)] およびprimer8 [図3 (3)] をプライマ
ーとして、LA-PCRキット(宝酒造)を用い、inverse-PC
R反応を行なった。反応液の組成は添付プロトコールに
従い、反応はDNAサーマルサイクラー480(パーキン・エ
ルマー社)を用いて、94℃1分を1サイクル後、98℃20
秒、68℃10分のサイクルを30サイクル繰り返すことによ
って行なった。その反応生成物を0.8%アガロースを用い
て電気泳動した結果、約8.2kb、約3.6kb、約3.0kbのDNA
断片が増幅されているのが観察された。
ゲルから切り出し、Prep-A-Gene(バイオラッド社)を
用いて添付プロトコールに従ってDNA断片を精製した。
この断片は図2に示された制限酵素地図中のBamHI部
位、EcoRI部位、XbaI部位を有していたので、この断片
中にLg-FLO1遺伝子の未取得の部分が含まれていると判
断した。このDNA断片を、AluI(ベーリンガー社)で消
化し、pUC118(宝酒造)のHincII部位に連結し、大腸菌
DH5株(東洋紡)に導入した。出現した形質転換体の
内、30株のプラスミドを調製し、挿入断片の大きさを調
べたところ、24種類に分類できたため、これらのプラス
ミドに関して前述の方法で挿入断片の塩基配列を決定し
た。その結果、既知のFLO1遺伝子のアミノ基末端付近と
相同性の高い断片467bpの挿入断片を持つ1クローンを
得、そのプラスミドをKF1と命名した。KF1の挿入断片の
染色体中の位置を図3中(7)に示す。
始部位と思われる配列は、含まれていなかった。KF1の
塩基配列をもとに、primerKN-2 [5'TTGTATCGGAGTATTTAT
A3'、図3 (8)] を合成した。次いで上記のinverse-PCR
反応に用いた鋳型を用い、上述のprimer5 [図3 (2)]
およびprimerKN-2 [図3 (8)] をプライマーとして、ジ
ーンアンプPCRリージェントキット(宝酒造)によってi
nverse-PCRを行なった。反応液の組成は添付プロトコー
ルに従い、反応はDNAサーマルサイクラー480を用いて、
94℃1分、55℃2分、72℃2分のサイクルを30サイクル繰
り返した後、72℃10分の反応を1サイクル行なった。そ
の反応生成物を0.8%アガロースを用いて電気泳動した結
果、約4.4kb、約1.1kb、約0.6kbのDNA断片が増幅されて
いるのが観察された。この内、約4.4kbのDNA断片 [図3
(9)] をゲルから切り出し、上述の方法で精製し、クレ
ノウフラグメント(宝酒造)を用いて平滑末端化し、pU
C118のHincII部位に連結し、大腸菌DH5株に導入した。
得られた形質転換体のプラスミド、KF14は、図2に示さ
れた制限酵素地図中のBamHI部位、EcoRI部位、XbaI部位
を有していたので、この断片中にLg-FLO1遺伝子の翻訳
開始部位およびその5'上流部分が含まれているものと判
断された。
I部位から3'方向の塩基配列を部分的に決定する目的
で、KF14をEcoRIで消化後、自己閉環化したプラスミ
ド、KF14ΔEcを構築した。このプラスミドは図3中、(1
0)のEcoRI部位から(8)のprimerKN-2のアニール部位まで
の間の断片を持つ。KF14ΔEcの挿入断片の塩基配列をEc
oRI部位から部分的に決定した。その塩基配列をもと
に、primerKT5'Ec [5'AGCGGTCGACCTAATAAAGGAAAAGGGGAA
3'、図3 (11)]を合成した。また、すでに決定したpKF-
Kpn11の挿入断片の部分的な塩基配列をもとに、primerK
T3'Hd [5'GGAAGCTTTTTTGTAAAACAGATTTTTTGCCCCGCTT3'、
図3 (12)]の合成を行なった。これら2種のプライマー
を用いて、凝集性減数体KMS004株のDNAの2μgを鋳型と
して、LA-PCRキットを用いてPCRを行なった。反応は、9
4℃1分を1サイクル後、98℃20秒、68℃10分のサイクル
を30サイクル繰り返すことによって行なった。その反応
生成物を0.8%アガロースを用いて電気泳動した結果、約
9kbの断片 [図3 (13)]が増幅されているのが観察され
た。この断片には、図2に示された制限酵素地図中のBa
mHI部位およびXbaI部位が含まれていたので、この断片
中にLg-FLO1遺伝子の全長が含まれているものと判断さ
れた。以降、このPCRによる断片をLg-FLO1遺伝子全長断
片と呼ぶ。Lg-FLO1遺伝子全長断片を、数種の制限酵素
で消化し、0.8%アガロースゲルを用いて電気泳動を行な
い、制限酵素断片長を測定し、制限酵素地図を作成し
た。図4にLg-FLO1遺伝子全長断片の制限酵素地図を示
す。
導入と凝集性の性格付け Lg-FLO1遺伝子の導入による表現型の変化を調べる酵母
宿主としては、以下のようにして作成したFLO1遺伝子破
壊株、KY644株を用いた。FLO1部分長断片を、pRS405
(ストラタジーン社)のBamHI〜HindIII部位に連結し
た。このプラスミドを、挿入断片中にのみ一ケ所存在す
るBstEII部位を切断後、凝集性酵母KY642株(a、ura3、
leu2、FLO8)にリチウム法にて導入し、FLO1遺伝子座の
相同組換えによって非凝集性となった株を得た。この株
のFLO1遺伝子がpRS405の挿入によって破壊されているこ
とを、サザン解析によって確認し、KY644株と命名し
た。 Lg-FLO1遺伝子全長断片は、5'末端にSalI部位、
3'末端にHindIII部位を持つようにデザインされたプラ
イマーによってPCR増幅されている。この断片を、SalI
およびHindIIIで消化した。クローニングのベクターと
しては、YIp5のEcoRI(ベーリンガー社)部位に、遺伝
子配列のデータバンクであるアントレー(ナショナルセ
ンター フォー バイオテクノロジーインフォメーショ
ン社)から得たCEN3の塩基配列および酵母第3染色体の
全塩基配列をもとにPCRにて取得した1.2kbのCEN3を含む
断片と、YRP7由来のEcoRI-HindIII断片として取得したA
RS配列を含む断片を導入した、pYT37を用いた。pYT37の
SalI〜HindIII部位にLg-FLO1遺伝子全長断片を連結し、
リチウム法によって直接、KY644株に導入した。
実施し、1株に関してLg-FLO1遺伝子全長断片が導入され
ていることを確認した。この株(KY650と命名)の持つ
プラスミドをKTYT2と命名した。KY650株および、ベクタ
ーであるpYT37のみがKY644株に導入されている株(KY65
2株と命名)に関して、表1に記載した培地で20℃、振
とう条件下で静止期に達するまで培養後、前述の方法で
凝集性の性格付けを行なった。糖による凝集性の阻害を
調べるためには、最終濃度1Mの糖を凝集測定用緩衝液に
加えた。その結果を表2に示す。
示さなかったのに対し、Lg-FLO1遺伝子全長断片を含むK
Y650株では、糖を加えない場合に凝集測定用緩衝液中で
凝集性を示した。この凝集性は、マンノース、グルコー
ス、マルトースによって阻害され、フラクトースによっ
てもある程度阻害されたが、ガラクトースによっては阻
害を受けなかった。これらのことから、Lg-FLO1遺伝子
全長断片を導入することによって、実験酵母にビール酵
母型凝集性を付与することができると結論された。
域のPCRによる取得と実験酵母への導入および評価 KF14の挿入断片のベクターに連結された部分の近傍に関
し、上記の方法で塩基配列の決定を行なった。その結
果、KF1の挿入断片の5'上流49bpの部分にLg-FLO1遺伝子
の翻訳開始部位と思われる部位が存在していた。この開
始コドンの5'上流58bpの位置から3'方向へのPCR用プラ
イマー、primerKTF7 [5'CCCCAAGCTTGCTCTGCAGTAAATTCCG
CA3'、図3 (14)]を合成した。また、先に決定したpKF-
Kpn11の挿入断片の塩基配列をもとに、Lg-FLO1遺伝子の
コード領域の終始コドンの3'下流53bpの位置から5'方向
へのPCR用プライマー、primerKTORFA [5'CGGAATTCTAAAC
ACTATAAGCGTGATGATAG3'、図3 (15)])を、合成した。
これら2種のプライマーを用い、凝集性減数体KMS004株
のDNAの2μgを鋳型として、LA-PCRキットを用いてPCRを
行なった。反応は、94℃30秒、60℃1分、72℃3分30秒の
サイクルを30サイクル繰り返すことによって行なった。
その反応生成物を0.8%アガロースを用いて電気泳動した
結果、約5.8kbの断片 [図3 (16)]が増幅されているの
が観察された。以降、この断片をLg-FLO1ORF断片と呼
ぶ。Lg-FLO1ORF断片は5'末端にHindIII部位、3'末端にE
coRI部位が存在するようにデザインされたプライマーに
よってPCR増幅されている。この断片を、HindIIIおよび
EcoRIで消化し、酵母発現用ベクターpYES2(インビトロ
ジェン社)のGAL1遺伝子のプロモーターの下流に正方向
に挿入されるよう、HindIII〜EcoRI部位に連結し、リチ
ウム法によって直接上述のKY644株に導入した。得られ
た形質転換体のDNAのサザン解析を実施し、Lg-FLO1ORF
断片が導入されていることが確認された株の内の1株をK
Y646株と命名した。また、KY646株の持つプラスミドをY
ESKT2と命名した。KY646株と、ベクターであるpYES2の
みがKY644株に導入されている株(KY649株と命名)に関
して、表1に記載した培地で20℃、振とう条件下で静止
期に達するまで培養後、前述の方法で、凝集性の性格付
けを行なった。その結果を表3に示す。
示さなかったのに対し、Lg-FLO1ORF断片を含むKY646株
では、糖を加えない場合に凝集測定用緩衝液中で凝集性
を示した。この凝集性は、KY650株の凝集性と同様、ビ
ール酵母型凝集性であり、すなわち、マンノース、グル
コース、マルトースによって阻害され、フラクトースに
よってもある程度阻害されたが、ガラクトースによって
は阻害を受けなかった。これらのことから、GAL1遺伝子
のプロモーターの制御を受けたLg-FLO1ORF断片を導入す
ることによって、実験酵母にビール酵母型凝集性を付与
することができると結論された。すなわち、Lg-FLO1ORF
断片中に、Lg-FLO1遺伝子のコード領域が存在している
と結論された。
酵母型凝集を支配する領域の特定 Lg-FLO1遺伝子中のビール酵母型凝集を支配する領域を
特定するために、図5に示すような方法で、Lg-FLO1とS
c-FLO1[Watari ら(Yeast, 10, 211-225 (1994))の公
表した実験酵母型FLO1遺伝子] のキメラ遺伝子を作成
し、その凝集性を調査した。Lg-FLO1ORF断片をXhoIおよ
びKpnIで消化し、クレノウフラグメントをもちいて末端
を平滑化後、pUC118のHincII部位にクローニングした。
得られた形質転換体の内、約1kbの挿入断片を持つ1クロ
ーンを選び、挿入断片の塩基配列を決定した。その結果
をもとに、Lg-FLO1遺伝子の開始コドンより3'下流639bp
目から5'方向へのプライマー、primerKTF8(5'CGGGATCC
ATCTGGCAATACCACACTAACA3')を合成した。primerKTF7お
よびprimerKTF8を用い、凝集性減数体KMS004株のDNAの2
μgを鋳型として、LA-PCRキットを用いてPCRを行なっ
た。反応は、94℃30秒、60℃1分、72℃3分30秒のサイク
ルを30サイクル繰り返すことによって行なった。その反
応生成物を0.8%アガロースを用いて電気泳動した結果、
約0.7kbの断片が増幅されているのが観察された。以
降、この断片をLg-FLO1N末断片と呼ぶ。得られた断片
を、PCR産物クローニング用ベクターであるpT7Blue(ノ
ヴァジェン社)にクローニングし、4つの独立なクロー
ンについて、挿入断片の塩基配列を両方向から決定し
た。4つのクローンは全て同一の挿入断片を有してい
た。得られた塩基配列を配列表の配列番号3に示す。こ
の中の1クローンをKNTA1と命名した。Lg-FLO1N末断片は
5'末端にHindIII部位、3'末端にBamHI部位が存在するよ
うにデザインされたプライマーによってPCR増幅されて
いる。KNTA1をHindIIIおよびBamHIで消化し、ベクター
から分離された挿入断片を電気泳動後のゲルから切り出
し、上述の方法で精製し、pYES2のGAL1遺伝子のプロモ
ーターの下流に正方向に挿入されるよう、HindIII〜Bam
HI部位にクローニングし、得られたプラスミドをKNYES
と命名した。このプラスミドKNYES を含む大腸菌(Esche
richia coli) EKB707 は、平成7 年1 月27日付けで工業
技術院生命工学工業技術研究所に寄託され、寄託番号FE
RM BP-4983が付与されている。
公表した実験酵母型FLO1遺伝子(以降、Sc-FLO1遺伝子
と呼ぶ)の塩基配列をもとに、開始コドンから3'下流72
1bp目より、3'方向へのプライマー、primerWtF1N(5'CG
GGATCCACTGTAAGTGATGACTTCGAAG3')および、終始コドン
の3'下流58bp目より、5'方向へのプライマー、primerFL
ID4(5'CGGAATTCTCAGCGTATAATTAGCAAAGAA3')を合成
し、これら2種のプライマーを用い、ABXL-1D株のDNAの2
μgを鋳型として、LA-PCRキットを用いてPCRを行なっ
た。反応は、94℃30秒、60℃1分、72℃3分30秒のサイク
ルを30サイクル繰り返すことによって行なった。その反
応生成物を0.8%アガロースを用いて電気泳動した結果、
約3.9kbの断片が増幅されているのが観察された。以
降、この断片をSc-FLO1C末断片と呼ぶ。Sc-FLO1C末断片
は、5'末端にBamHI部位、3'末端にEcoRI部位が存在する
ようにデザインされたプライマーによってPCR増幅され
ている。この断片を、BamHIおよびEcoRIで消化し、先に
構築したKNYESのLg-FLO1N末断片の下流に正方向に挿入
されるよう、BamHI〜EcoRI部位に連結した。この結果、
Sc-FLO1遺伝子のコード領域のアミノ基末端から339アミ
ノ酸に相当する部分が、Lg-FLO1遺伝子のアミノ基末端
から312アミノ酸に相当する部分と置き変わった、キメ
ラFLO1タンパクをコードする遺伝子が構築されることが
期待される。連結反応生成物を、リチウム法によって直
接上述のKY644株に導入した。得られた形質転換体のDNA
のサザン解析を実施し、Lg-FLO1N末断片とSc-FLO1C末断
片のキメラ遺伝子が導入されていることが確認された株
の内の1株をKY648株と命名した。また、この株の持つプ
ラスミドをKNWtC3と命名した。
流-69bp目より、3'方向へのプライマー、primerFLID1
(5'CCCCAAGCTTTCGTTTGATGTAAGCTCTCT3')を合成した。
primerFLID1およびprimerFLID4をプライマーとして用
い、ABXL-1D株のDNAの2μgを鋳型として、LA-PCRキット
を用いてPCRを行なった。反応は、94℃30秒、60℃1分、
72℃3分30秒のサイクルを30サイクル繰り返すことによ
って行なった。その反応生成物を0.8%アガロースを用い
て電気泳動した結果、約4.8kbの断片が増幅されている
のが観察された。以降、この断片をSc-FLO1ORF断片と呼
ぶ。Sc-FLO1ORF断片は、5'末端にHindIII部位、3'末端
にEcoRI部位が存在するようにデザインされたプライマ
ーによってPCR増幅されている。この断片を、HindIIIお
よびEcoRIで消化し、pYES2のGAL1遺伝子のプロモーター
の下流に正方向に挿入されるよう、HindIII〜EcoRI部位
に連結し、リチウム法によって直接上述のKY644株に導
入した。得られた形質転換体のDNAのサザン解析を実施
し、Sc-FLO1ORF断片が導入されていることが確認された
株の内の1株をKY647株と命名し、凝集性の比較のために
用いた。また、この株の持つプラスミドをYESWt1と命名
した。
関し、表1に記載した培地で20℃、振とう条件下で静止
期に達するまで培養後、前述の方法で、凝集性の性格付
けを行なった。その結果を表4に示す。
示さなかったのに対し、Lg-FLO1N末断片とSc-FLO1C末断
片のキメラ遺伝子を含むKY648株および、Sc-FLO1ORF断
片を含むKY647株では、糖を加えない場合に凝集測定用
緩衝液中で凝集性を示した。KY648株の凝集性は、KY650
株と同様、マンノース、グルコース、マルトースによっ
て阻害され、フラクトースによってもある程度阻害され
たが、ガラクトースによっては阻害を受けなかった。こ
れに対し、KY647株の凝集性は、マンノースによっての
み阻害され、グルコース、マルトース、フラクトースお
よびガラクトースによっては阻害を受けなかった。すな
わち、Sc-FLO1ORF断片は実験酵母型凝集性を付与するの
に対し、その開始コドンから3'方向へ720bp目より5'上
流の部分を、Lg-FLO1遺伝子の開始コドンから3'方向へ6
39bp目までと置き換えることによって、作られたキメラ
遺伝子が付与する凝集性はビール酵母型へと転換され
た。これらのことから、ビール酵母型凝集性の付与に深
く関与しているのは、Lg-FLO1ORF断片の中の、Lg-FLO1N
末断片、すなわち、配列表の配列番号3に示された配列
であると結論された。
酵母の評価 (1)Lg-FLO1遺伝子破壊用プラスミドの作製 Lg-FLO1遺伝子破壊用プラスミドは、図6、図7に示す
ように作製した。プラスミドpUC18をKpnIで消化後、ク
レノウフラグメントを用いて末端を平滑化したDNA断片
をセルフライゲーションし、プラスミドpUC18ΔKを作製
した。このプラスミドをHincIIで消化後、KpnIリンカー
(GGGTACCC)を挿入し、プラスミドpUC18±Kを作製し
た。このプラスミドのEcoRI〜BamHI部位間に、プラスミ
ドKF14から取得した0.9kbのEcoRI-BamHI断片(5'隣接領
域を含む)を挿入し、プラスミドpKF5B1を作製した。
incII-PvuII断片(3'隣接領域を含む)をプラスミドpUC
118のSmaI部位に挿入して得たプラスミドpKF3HPから、
1.7kb BamHI-KpnI断片を取得し、プラスミドpKF5B1のBa
mHI-KpnI部位間に挿入して、プラスミドpKF53-1を作製
した。酵母のGPD(グリセルアルデヒド−3−ホスフェ
ートデヒドロゲナーゼ)遺伝子のプロモーター領域(1.
0 kb)と酵母のPGK(ホスホグリセレートキナーゼ)遺
伝子のターミネーター領域(0.4kb)を有するプラスミ
ドpSY114P(特開平2-265488号公報)をSmaI消化後、Hin
dIIIリンカー(CAAGCTTG)を連結し、HindIII消化後セ
ルフライゲーションしてプラスミドpSY114Hを作製し
た。このプラスミドのHindIII部位に、ブラストサイジ
ンS耐性遺伝子を有するプラスミドpSV2bsr(フナコ
シ)の0.5kb HindIII断片を挿入し、プラスミドpGPDBSR
を作製した。このプラスミドをSalIで消化後、クレノウ
フラグメントで末端を平滑化し、1.9kbのDNA断片を取得
した。このDNA断片と、プラスミドpKF53-1をBamHI消化
後、クレノウフラグメントで末端を平滑化したDNA断片
を連結し、プラスミドpKF53BSR19を作製した。
lのYPD培地でOD600が約7になるまで培養した凝集性ビ
ール酵母を、無菌水で2回、1Mソルビトールで2回洗浄
後、1mlの1Mソルビトールに再懸濁した。このうちの50
μlの酵母懸濁液に、プラスミドpKF53BSRをEcoRIで消化
したDNA断片2.7μgと10μgのサケ精子DNA(シグマ)を
加え、5分放置後、ジーンパルサー(バイオラッド社)
の0.2cmセルを用いて、1.5KV、25μF、200Ωの電気パル
スをかけた。この懸濁液に、1mlの1mソルビトールと400
μlのYPDを加え、30℃で4時間振盪培養した後、50μg/m
lのブラストサイジンS(フナコシ)を含むYPD寒天培地
に塗布し、30℃で3日間培養した。出現した形質転換体
について、サザン解析を実施し、Lg-FLO1遺伝子が破壊
されていることを確認した。このようにして得られたLg
-FLO1遺伝子が破壊されたビール酵母の凝集性を評価し
たところ、非凝集性へと転換していた。
遺伝子のN末端領域の推測されるアミノ酸配列の比較 実施例3によって、Lg-FLO1 遺伝子のN末端領域213 ア
ミノ酸の配列によって、ビール酵母型凝集性は支配され
ていることが示された。そこで、Lg-FLO1 遺伝子とSc-F
LO1 遺伝子のこの部分の推測されるアミノ酸配列を比較
した。その結果、図8に示す通り、以下の特徴的な差異
が両者の間に観察された。1) Lg-FLO1遺伝子では、Sc-F
LO1 遺伝子の84番目のアミノ酸から110 番目のアミノ酸
に相当する27アミノ酸が欠失している。2) Sc-FLO1遺伝
子で数えて123 番目のアミノ酸までは、Sc-FLO1 遺伝子
とLg-FLO1 遺伝子の相同性は比較的低い。3) Sc-FLO1遺
伝子で数えて124 番目のアミノ酸以降は、Sc-FLO1 遺伝
子とLg-FLO1 遺伝子の相同性は高い。
LO1 のキメラ遺伝子及び、Sc-FLO1の84番目のアミノ酸
から110 番目のアミノ酸に相当する27アミノ酸の部分を
欠失させた遺伝子を作成した。これらの改変FLO1遺伝子
のN末端領域は、「PCR実験マニュアル」(M. A. Inn
isら編、斉藤 隆監訳、HBJ 出版、1991) のp.155 〜16
0 に記載された、リコンビナントPCR 法を用いて作成し
た。このようにして作成された改変FLO1遺伝子のN末端
領域の断片を、実施例3中のプラスミドKNWtC3のHindII
I 〜BamHI 部位(GAL1 のプロモーターとSc-FLO1 C末断
片の間) に正方向に連結し、酵母KY644 株に導入した。
得られた形質転換体の培養及び凝集性の評価は、実施例
3と同様の方法で行った。結果を図9に示す。Sc-FLO1
遺伝子で数えて46、68、83番目のアミノ酸に相当する部
分までがLg-FLO1 遺伝子由来で、それ以降がSc-FLO1 遺
伝子由来であるキメラFLO1遺伝子を持つ株(それぞれ、
KY707 、KY708 、KY709)は、Sc-FLO1 遺伝子を持つ株(K
Y706) と同様、強い実験酵母型凝集を示したのに対し、
Sc-FLO1 遺伝子で数えて124 番目のアミノ酸(Lg-FLO1遺
伝子で数えた場合は97番目のアミノ酸) に相当する部分
までがLg-FLO1 遺伝子由来で、それ以降がSc-FLO1 遺伝
子由来であるキメラFLO1遺伝子を持つ株は、実施例3に
示したKY648 株やKY646 株と同様の、弱いビール酵母型
凝集を示した。一方、Sc-FLO1 遺伝子の84番目のアミノ
酸から110 番目のアミノ酸に相当する27アミノ酸の部分
を欠失させた改変FLO1遺伝子を持つKY711 株は、弱い実
験酵母型凝集を示した。以上の結果から、Lg-FLO1 遺伝
子のビール酵母型凝集に関与する部分は、Lg-FLO1 遺伝
子で数えて84番目のアミノ酸から97番目のアミノ酸まで
の14アミノ酸に相当する部分、すなわち配列表の配列番
号2に示されたアミノ酸配列をコードする、配列番号4
に示された配列であることが示された。
s cerevisiae) 株名:KMS004 配列の特徴 特徴を表す記号:CDS 存在位置:59..697 特徴を決定した方法:E 配列 GCTCTGCAGT AAATTCCGCA AATGATTTTC TTTAAATTGA TTAGCACCAC TAAAAAAA 58 ATG ACA ATT GCA CAC CAC TGC ATA TTT TTG GTA ATC TTG GCC TTT CTG 106 Met Thr Ile Ala His His Cys Ile Phe Leu Val Ile Leu Ala Phe Leu 1 5 10 15 GAG CTA CTT AAC GTA GCA TCA GGA AGT ACA CAA GCA TGC CTG CCA GTG 154 Glu Leu Leu Asn Val Ala Ser Gly Ser Thr Gln Ala Cys Leu Pro Val 20 25 30 GGC TCG AGG AAA AAT GGG ATG AAT GTC AAC TTT TAT AAA TAC TCA TTA 202 Gly Ser Arg Lys Asn Gly Met Asn Val Asn Phe Tyr Lys Tyr Ser Leu 35 40 45 CAG GAT TCA ACA ACG TAT TCC GAC CCG CAA TAT ATG GCC TAT AAA TAC 250 Gln Asp Ser Thr Thr Tyr Ser Asp Pro Gln Tyr Met Ala Tyr Lys Tyr 50 55 60 TCC GAT ACA AAG AAG TTA GGT TCC GTT AGC GGA CAG ACC CAT CTC TCC 298 Ser Asp Thr Lys Lys Leu Gly Ser Val Ser Gly Gln Thr His Leu Ser 65 70 75 80 ATA TAC TAT GGC CCA AAT ACT GCC TTT TGG AAT ACT GCC TCT TGG AGT 346 Ile Tyr Tyr Gly Pro Asn Thr Ala Phe Trp Asn Thr Ala Ser Trp Ser 85 90 95 TCT GAT CTT TTT GGT TTC TAT ACT ACT CCA ACT AAT GTA ACT GTG GAA 394 Ser Asp Leu Phe Gly Phe Tyr Thr Thr Pro Thr Asn Val Thr Val Glu 100 105 110 ATG ACA GGG TAC TTT TTA CCA CCA CAG ACG GGT TCT TAC ACA TTC AAG 442 Met Thr Gly Tyr Phe Leu Pro Pro Gln Thr Gly Ser Tyr Thr Phe Lys 115 120 125 TTT GCT ACA GTT GAC GAC TCT GCA ATT TTA TCG GTT GGT GGT AGC ATT 490 Phe Ala Thr Val Asp Asp Ser Ala Ile Leu Ser Val Gly Gly Ser Ile 130 135 140 GCG TTC GAA TGT TGT GCA CAA GAA CAA CCT CCT ATC ACA TCA ACG GAT 538 Ala Phe Glu Cys Cys Ala Gln Glu Gln Pro Pro Ile Thr Ser Thr Asp 145 150 155 160 TTC ACT ATT AAC GGT ATT AAA CCA TGG GAC GCA GCT GCA CCT ACC GAC 586 Phe Thr Ile Asn Gly Ile Lys Pro Trp Asp Ala Ala Ala Pro Thr Asp 165 170 175 ATA AAG GGG TCA ACG TAC ATG TAC GCC GGT TAC TAT TAC CCG ATC AAA 634 Ile Lys Gly Ser Thr Tyr Met Tyr Ala Gly Tyr Tyr Tyr Pro Ile Lys 180 185 190 ATT GTT TAT TCA AAT GCT AAA GTC TTG GCT AGG CTT CCT GTT AGT GTG 682 Ile Val Tyr Ser Asn Ala Lys Val Leu Ala Arg Leu Pro Val Ser Val 195 200 205 GTA TTG CCA GAT GGA 697 Val Leu Pro Asp Gly 210
s cerevisiae) 株名:KMS004 配列の特徴 特徴を表す記号:CDS 存在位置: 1..42 特徴を決定した方法:E 配列 GGC CCA AAT ACT GCC TTT TGG AAT ACT GCC TCT TGG AGT TCT 42 Gly Pro Asn Thr Ala Phe Trp Asn Thr Ala Ser Trp Ser Ser 1 5 10
するサザンおよびノザン解析による電気泳動の結果(写
真)を示す。
ーニングの概念図を示す。
す。
す。
き)を示す。
推測されるアミノ酸配列の比較を示す。
表現型を示す。
Claims (21)
- 【請求項1】 実質的に配列表の配列番号1に示したア
ミノ酸配列を有するポリペプチドを含み、酵母にビール
酵母型凝集性を付与する活性を有する蛋白。 - 【請求項2】 実質的に配列表の配列番号1に示したア
ミノ酸配列のうち、25番目のアミノ酸残基から213 番目
のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列を有するポリペプチ
ドを含み、酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を
有する蛋白。 - 【請求項3】 実質的に配列表の配列番号1に示したア
ミノ酸配列のうち、少なくとも25番目のアミノ酸残基か
ら97番目のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列を有するポ
リペプチドを含み、酵母にビール酵母型凝集性を付与す
る活性を有する蛋白。 - 【請求項4】 酵母にビール酵母型凝集性を付与する活
性を有し、実質的に配列表の配列番号2に示したアミノ
酸配列を有するポリペプチド。 - 【請求項5】 実質的に配列表の配列番号1に示したア
ミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする塩基配列
を含むDNA 。 - 【請求項6】 実質的に配列表の配列番号1に示したア
ミノ酸配列のうち、25番目のアミノ酸残基から213 番目
のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列を有するポリペプチ
ドをコードする塩基配列を含むDNA 。 - 【請求項7】 実質的に配列表の配列番号1に示したア
ミノ酸配列のうち、少なくとも25番目のアミノ酸残基か
ら97番目のアミノ酸残基を含むアミノ酸配列を有するポ
リペプチドをコードする塩基配列を含むDNA 。 - 【請求項8】 酵母にビール酵母型凝集性を付与する活
性を有する蛋白をコードする塩基配列を含み、配列表の
配列番号3に示した塩基配列のうち、59番目の塩基から
697 番目の塩基を含むDNA またはその相補鎖。 - 【請求項9】 酵母にビール酵母型凝集性を付与する活
性を有する蛋白をコードする塩基配列を含み、配列表の
配列番号3に示した塩基配列のうち、131 番目の塩基か
ら697 番目の塩基を含むDNA またはその相補鎖。 - 【請求項10】 酵母にビール酵母型凝集性を付与する
活性を有する蛋白をコードする塩基配列を含み、配列表
の配列番号3に示した塩基配列のうち、131番目の塩基
から349 番目の塩基を含むDNA またはその相補鎖。 - 【請求項11】 配列表の配列番号4に示した塩基配列
を含み、酵母にビール酵母型凝集性を付与する活性を有
するポリペプチドをコードするDNA またはその相補鎖。 - 【請求項12】 プラスミドKTYT2 、YESKT2、またはKN
WtC3に組み込まれ、酵母にビール酵母型凝集性を付与す
る活性を有する蛋白をコードする塩基配列を含むDNA 。 - 【請求項13】 プラスミドKTYT2 に組み込まれ、以下
の制限地図を有する約9kbのDNA 断片である請求項12
記載のDNA 。 【化1】 - 【請求項14】 プラスミドKNYES に組み込まれ、酵母
にビール酵母型凝集性を付与する活性を有する蛋白をコ
ードする塩基配列を含むDNA 。 - 【請求項15】 請求項5ないし14のいずれかに記載の
DNA を含むプラスミド。 - 【請求項16】 請求項5ないし14のいずれかに記載の
DNA を導入することを特徴とする、ビール酵母型凝集性
が付与または強化された酵母の製造方法。 - 【請求項17】 請求項5ないし14のいずれかに記載の
DNA を破壊することによって、ビール酵母型凝集性を付
与する活性を持つ蛋白を発現させる能力を欠失または減
少させたDNA を導入することを特徴とする、ビール酵母
型凝集性が欠失または減少した酵母の製造方法。 - 【請求項18】 請求項5ないし14のいずれかに記載の
DNA の発現を抑制することによって、酵母のビール酵母
型凝集性を欠失または減少させる方法。 - 【請求項19】 請求項16ないし17のいずれかに記載の
方法で製造された酵母。 - 【請求項20】 請求項19に記載の酵母を培養すること
を含む醸造製品の製造法。 - 【請求項21】 請求項20に記載の方法で製造された醸
造製品。
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