JP2000004867A - 麦芽アルコール飲料の製造方法及び製造工程管理方法 - Google Patents

麦芽アルコール飲料の製造方法及び製造工程管理方法

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JP2000004867A JP10173039A JP17303998A JP2000004867A JP 2000004867 A JP2000004867 A JP 2000004867A JP 10173039 A JP10173039 A JP 10173039A JP 17303998 A JP17303998 A JP 17303998A JP 2000004867 A JP2000004867 A JP 2000004867A
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  • Distillation Of Fermentation Liquor, Processing Of Alcohols, Vinegar And Beer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 香味耐久性に優れた麦芽アルコール飲料の製
造方法を提供する。 【解決手段】 5−HMF(5−ヒドロキシメチルフル
フラール)は、従来よりビール製品などの老化の指標物
質として利用されてきたが、本願ではこの5−HMFが
製造工程において老化、すなわち、香味耐久性の程度を
測定することができる物質であることを見出した。すな
わち、この5−HMFの含有量はビール等の抗酸化的な
製造により低減されたことから、この5−HMFは製造
工程における香味耐久性の指標となるとともに抗酸化的
な製造工程を実行するための指標物質としても機能す
る。従って、5−HMF量を指標として製造工程を監視
し、この物質の生成を抑制することにより抗酸化的な製
造の実行が図られ、結果として得られる製品は、香味耐
久性に優れたビールが製造されることになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、麦芽アルコール飲
料の製造方法に関し、香味耐久性指標物質の存在量をモ
ニターしながら麦芽アルコール飲料の製造を行う方法に
関する。また、本発明は、麦芽アルコール飲料の製造工
程における香味耐久性指標物質の存在量を基に製造工程
を管理する方法及びシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】麦芽アルコール飲料の製造方法は、一般
に麦芽を含む原料を選定し、選定した麦芽を粉砕した
後、仕込用水に投入後、仕込工程、発酵工程、貯酒工
程、ろ過・充填工程を経て製品を作り出す。こうした一
連の製造工程を経て製造された麦芽アルコール飲料にお
いて、一定の品質を維持するためには、各工程が適切に
進行しているかを確認し管理することが重要となる。こ
の製造工程の管理は、通常各工程液を分取して成分分析
等を行うことにより実行される。この成分分析は、例え
ば、仕込工程においてはエキス濃度、苦味成分、色度等
を、また、発酵工程後にはエキス濃度等を測定対象とし
て実施される。また、製品完成後においては、パネルな
どによる官能試験、すなわち、実際の製品を試飲し、そ
の際の喉ごし、味、香り、色等を基準に総合的に品質が
検査され、一定品質の麦芽アルコール飲料が市場に出荷
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の通り、麦芽アル
コール飲料製品は完成時の品質を一定に保持することも
重要であるが、完成後の味覚の維持、すなわち、鮮度を
維持すことも重要な要素となる。麦芽アルコール飲料
は、時間の経過、高温下での保存により老化して、麦芽
アルコール飲料本来の香味を損なうことがある。特に、
この老化が進行すると老化臭等の好ましくない味、臭い
等が加わることも知られている。
【0004】しかしながら、上述したエキス濃度、苦味
成分などを主な成分分析の対象とする従来の製造工程管
理方法では、こうした老化に対する耐久性を測定し管理
することは難しく、そのため、老化耐久性すなわち香味
耐久性に優れた品質という観点から麦芽アルコール飲料
の製造工程を管理することは行なうことができなかっ
た。
【0005】そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなさ
れたものであり、その目的は、香味耐久性に優れた麦芽
アルコール飲料の製造方法及びその製造工程管理方法を
提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願発明者らは、老化に対する耐久性、すなわち香
味耐久性の指標となる物質を探索し発見した。この香味
耐久性指標物質は、製品を保存し老化するに従って増加
する。また、パネルによる官能試験において老化に対す
る測定結果とも高い相関を示し、老化が進行しているも
のにおいてはその含有量が高く、また鮮度の高いものに
おいては含有量が低いという結果が得られた。また、こ
の香味耐久性指標物質は、製品化後の香味耐久性を測定
できるばかりでなく、製造工程における香味耐久性をも
測定できることが示された。すなわち、老化を抑制した
抗酸化的製造方法においてはこの香味耐久性指標物質は
含有量が低く、製造工程における老化の進行またはその
予測を行うことができることを見出した。
【0007】さらに、上記麦芽アルコール飲料の老化の
主原因は、麦芽アルコール飲料中の成分の酸化によるも
のであるが、この香味耐久性指標物質は抗酸化的な製造
によりその生成が抑制されることから、他の観点からは
本物質は酸化をモニタする指標物質としても利用するこ
とが可能である。
【0008】すなわち、本願発明は、上記発見に基くも
のであり、麦芽アルコール飲料の製造工程において、こ
の香味耐久性指標物質の含有量等を監視し、また、この
量に基いて該物質の生成を制御することを特徴とする。
【0009】上記発明によれば、一定の香味耐久性指標
物質に基き、製造工程又は製品の老化、主としては酸化
の程度をモニタし、この指標物質を抑制し得るように製
造することにより香味耐久性に優れた麦芽アルコール飲
料の製造が可能となる。本方法により製造された麦芽ア
ルコール飲料は、より長い期間に製品本来の香味を維持
することが可能となる。
【0010】上記において香味耐久性指標物質は、5−
ヒドロキシメチルフルフラール(以下、5−HMFとい
う)又はその先駆物質であることを特徴とする。
【0011】麦芽アルコール飲料の製造工程において上
記香味耐久性指標物質の存在量を制御するために、カテ
キンなどのラジカルトラップ能をもつ活性酸素スカベン
ジャーの添加、製造工程液のpHの調節制御、発酵工程
に用いる酵母サイズの選択、製造工程液の溶存酸素の調
節のいずれか又はこれらを組合わせて実行することがで
きる。
【0012】本願発明の他の側面は、麦芽アルコール飲
料の製造工程を管理する方法であって、原料に基く香味
耐久性指標物質の量または製造工程中間試料中の香味耐
久性指標物質の量に基き麦芽アルコール飲料の製造工程
を管理することである。
【0013】このように香味耐久性指標物質に基いて製
造工程を管理することにより、従来の香味における一定
の品質の維持ととともに、この香味の耐久度における一
定の品質を維持することが可能となる。この結果、より
長期に香味が維持される麦芽アルコール飲料を提供する
ことが可能となる。
【0014】なお、ここで「香味耐久性指標物質の量」
とは、試料中の含有量、生成量、一定期間の増加量、蓄
積量が含まれ、また、生成速度(率)、増加速度(率)
等をも含む概念である。従って、これらの中で測定の容
易なパラメータを適宜選択して用いることができる。
【0015】本願発明のさらに他の側面は、麦芽アルコ
ール飲料の製造工程を管理するシステムであって、原料
に基く香味耐久性指標物質の量または製造工程中間試料
中の香味耐久性指標物質の量を測定する測定手段を備
え、前記測定手段において測定された測定値に基き麦芽
アルコール飲料の製造工程を管理、制御することを可能
にすることである。上記システムを麦芽アルコール飲料
の生産装置などに組み込むことにより、香味耐久性に関
して一定品質を保持した製品の製造を自動化することが
可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を説明する。
【0017】[第一の実施形態] 麦芽アルコール飲料
の製造方法 1、麦芽アルコール飲料 麦芽アルコール飲料の製造工程を図1に示す。ここで、
麦芽アルコール飲料は麦芽を原料として製造される全て
のアルコール飲料を意味し、その麦芽使用比率の多少は
問わない。従って、この麦芽アルコール飲料にはビール
や麦芽使用比率の低い発泡酒として分類されるものも含
まれる。
【0018】2、麦芽アルコール飲料の製造工程 図1に示す通り、先ず、仕込用水中に麦芽及び必要な場
合には副原料が投入され、一定の温度を加えて麦芽を糖
化させる(S1)。この糖化液はろ過後に麦汁が採取さ
れ(S2)、採取した麦汁を煮沸釜に導入し、そこにホ
ップを加えて煮沸を行う(S3)。煮沸後、沈殿物を分
取し、上清を冷却する(S4)。冷却された麦汁(冷麦
汁)には酵母が添加されて、発酵が行なわれる(S
5)。発酵が終了した発酵液は貯酒タンクに移され、一
定期間貯蔵される(S6)。貯酒液はろ過した後(S
7)、容器に詰められて麦芽アルコール飲料製品として
市場に出荷される(S8)。
【0019】3、香味耐久性指標物質 本実施形態では、上記製造工程において香味耐久性指標
物質の存在量を指標とすることにより香味耐久性に優れ
た麦芽アルコール飲料を製造する。この香味耐久性指標
物質は、図2に示す6炭糖に基くメイラード反応生成物
であり、この反応中間体、最終的な反応生成物でもよ
く、好ましくは、5−ヒドロキシメチルフルフラール、
又はその先駆体、例えばグルコースもしくはフルクトー
スなどとアミノ酸との反応物質であるアマドリ物質であ
る。このアマドリ物質には、グルコース−グリシン(Gl
c-Gly)、グルコース−アラニン(Glc-Ala)、グルコー
ス−バリン(Glc-Val)、グルコース−ロイシン(Glc-l
eu)、グルコース−イソロイシン(Glc-Ile)、フルク
トース−プロリン(Fru-Pro)、フルクトース−グルタ
ミン酸(Fru-Glu)、フルクトース−セリン(Fru-Se
r)、フルクトース−スレオニン(Fru-Thr)等が含まれ
る。
【0020】4、香味耐久性指標物質の測定 また、これら香味耐久性指標物質の存在量を測定する場
合には、これらの物質を直接又は測定し易い性状に化学
的に修飾した後、測定することができる。これら物質を
直接測定する装置又は方法は、特に限定はないが、例え
ばガスクロマトグラフィー(GC)、HPLCを利用す
ることができる。また、これ以外にも逆相系のカラムを
用いて、水−テトラヒドロフラン又は水−アセトニトリ
ルを移動相として280nmの紫外線で検出し測定するこ
ともできる。また、上記アマドリ物質を含む5−HMF
前駆体を測定する場合には、上記したガスクロマトグラ
フィー(GC)などにより直接測定することもできる
が、図3に示すようにフルクトサミン法によりアマドリ
物質からエンジオール、さらにグルコゾンを経由してリ
ダクトンとした後、測定することもできる。
【0021】5、製造工程における香味耐久性指標物質
の消長 製造工程における香味耐久性指標物質の消長パターンの
概要を図4に示す。香味耐久性指標物質は、原料を仕込
用水に投入した後のタンパク休止工程、糖化工程までは
増加が見られず、麦汁の煮沸とともにその量が急激に増
加し、煮沸後ワールプールで冷却させている間にさらに
若干増加する。ここで増加した香味耐久性指標物質は酵
母を添加し発酵工程を開始するとともにその量が急激に
低下し、発酵工程終了時には糖化工程における量まで消
失する。貯酒工程では、若干増加し、保存工程でその保
存環境に依存した割合で再び上昇する。
【0022】このパターンは、後に詳述するが、麦芽使
用比率により各工程における該香味耐久性指標物質の量
において高低はあるものの、煮沸工程及び保存工程で上
昇し、発酵工程で低下するという点では同様である。。
【0023】さらに、同一の原料を用いる場合でも抗酸
化的製造方法、例えば、溶存酸素を低減し老化を抑制し
た状態、で製造したときは、香味耐久性指標物質の生成
が抑制される。すなわち、この香味耐久性指標物質の生
成量は、製造工程における老化の状況又は将来の老化の
予測をモニターする役割を果たす。従って、この香味耐
久性指標物質を指標とし、この物質の生成量を抑制する
ことができるように製造工程を制御することは、抗酸化
的製造を実施することにつながる。その結果、本方法に
より、香味耐久性の優れた麦芽アルコール飲料の製造を
行うことが可能となる。
【0024】6、 香味耐久性指標物質の存在量の制御 上述した製造工程の制御により香味耐久性指標物質の生
成量を抑制する操作としては次のようなものが挙げられ
る。すなわち、(1)pHの調節、(2)酵母のサイズ
の選別、(3)特定アミノ酸の添加、(4)雰囲気中の
酸素濃度の低減、(5)カテキンの添加もしくは(6)
その他の活性酸素スカベンジャーの添加等を単独で又は
組合わせることによる上記目的が達成できる。以下、各
操作について説明する。
【0025】(1)pHの調節 香味耐久性指標物質の存在量の制御はpHを調節するこ
とによって行うことができる。すなわち、仕込工程にお
いて仕込開始時のpHを低く維持することによりリポキ
シゲナーゼ活性を抑制すれば、香味耐久性指標物質の生
成を抑えることができる。また、後に詳述するが、仕込
後段以降の製造工程、とりわけ発酵以降の工程において
pHを麦芽アルコール飲料の香味等に影響を与えない範
囲で高く維持することで、香味耐久性指標物質の増加を
抑制することができる。よって、糖化工程終了時ないし
は煮沸開始時頃までにはpHの再調整を行う(pHを上
げる)ことが好ましい。
【0026】なお、麦芽アルコール飲料製品を用いた試
験ではpHを4.4から3.4へと下げると一定条件下
で5−HMFが約3倍増加した。従って、麦芽アルコー
ル飲料の種類等により異なるが、好ましくは製造工程中
のpHを4.0以上に維持することが香味耐久性指標物
質の抑制の観点からは好ましい。
【0027】(2)酵母のサイズの選抜 香味耐久性指標物質の存在量の制御は、発酵に用いる酵
母のサイズを選抜することによっても実行することがで
きる。発酵に用いられる酵母サイズは、添加時において
およそ160〜360μm3であるが、これら酵母サイ
ズと発酵後における工程液中の香味耐久性指標物質の生
成量とは負の相関関係を有する。すなわち、酵母サイズ
が大きくなるにしたがって、香味耐久性指標物質の生成
量が低くなる。よって、発酵工程において添加される酵
母サイズをより大きなもの、例えば、添加酵母のサイズ
として220μm3程度のものを選別して使用すること
が好ましい。
【0028】(3)特定アミノ酸の添加 香味耐久性指標物質の存在量の制御は、チオール基を有
するアミノ酸、例えば、システインの添加によって実施
することができる。システインは5−HMFを生成する
メイラード反応を抑制することが報告されている(J.Ag
ric.Food.Chem.(1993),41(9),1355-8)。後に詳述する
が、製造工程液、例えば冷麦汁にシステインを添加する
ことにより5−HMFの生成が有意に抑制された。製造
工程においてシステインを添加する場合には、例えば煮
沸終了後、冷麦汁、発酵開始前液等に50〜100pp
m程度添加することができる。
【0029】(4)雰囲気中の酸素濃度の低減 香味耐久性指標物質は酸素の存在により生成が促進され
る。従って、香味耐久性指標物質の存在量の制御は、製
造工程における雰囲気中の酸素濃度を調節することによ
って実施することができる。酸素濃度の調節は、例え
ば、仕込用水として脱気水を用いることや、仕込槽、仕
込釜等の製造装置に窒素ガス、二酸化炭素ガスなどの酸
素以外の気体を吹き込むこと等により実施することがで
きる。また、工程液中への空気の取込みを抑制するため
に、原料等を液面に接近させた位置から投入すること
や、糖化工程において原料を仕込用水に混合させる際の
攪拌速度を可能な限り抑えることが好ましい。さらに、
仕込工程の途中では各工程液を仕込釜、仕込槽、ろ過
槽、煮沸釜などの異なる装置に移動させる必要が生じる
が、この移動の際には、空気の巻き込みを抑制すること
が好ましい。例えば、仕込槽、仕込釜等の底部に注入口
を形成させ、底部から緩やかに工程液の注入を行うこと
等により達成することができる。
【0030】(5)カテキンの添加 香味耐久性指標物質の存在量の制御は、カテキンの添加
により実施することもできる。カテキンは抗酸化力を強
化することができる物質であり、このカテキンを添加し
た冷麦汁は、非添加の冷麦汁に比べ強制的な老化による
香味耐久性指標物質の生成は抑制された。工程液にカテ
キンを添加する場合には、仕込工程中もしくは発酵工程
開始時好ましくは糖化工程開始時に例えば、100pp
m〜500ppmの濃度で用いることができる。
【0031】(6)その他の活性酸素スカベンジャーの
添加 香味耐久性指標物質の存在量の制御は、カテキン以外の
活性酸素スカベンジャーの添加により実施することもで
きる。すなわち、この活性酸素スカベンジャーの添加に
より活性酸素等を低減させ、抗酸化的な製造を実行する
ことにより香味耐久性指標物質の生成量が抑制される。
ここで用いることができる活性酸素スカベンジャーとし
ては、食品に添加することが許可されているものであれ
ば特に限定はなく、例えば、D−マンニトール、トリプ
トファン、ヒスチジン等が挙げられる。各活性酸素スカ
ベンジャーを用いる場合には、PBN(N−tert−ブチ
ル−α−フェニルニトロン)として0.05〜0.1M
に相当する程度の量を製造工程の工程液に添加すること
により香味耐久性指標物質の生成量を抑制することが可
能となる。なお、PBN自体は食品添加物ではなく工程
液に添加することができないが、実際にはこのPBNと
同様の効果を有する食品添加物を用いることが好まし
い。
【0032】[第二の実施形態] 麦芽アルコール飲料
の製造工程管理方法 上述した通り、香味耐久性指標物質は抗酸化的製造を実
行する際の好適な指標物質として機能する。そのため、
製造工程を通して又は製造工程の一部において、この香
味耐久性指標物質の量を監視することにより、香味耐久
性に優れた麦芽アルコール飲料の製造工程を管理するこ
とができる。
【0033】製造工程における香味耐久性指標物質の消
長パターンは、麦芽使用比率、製造方法等によりそれぞ
れ異なる。具体的には、麦芽使用比率が高いものほど、
製造開始直後の糖化工程における香味耐久性指標物質の
生成量は高く、発酵工程では麦芽使用比率の高低に拘わ
りなく生成された香味耐久性指標物質は一旦消失する。
再び、容器充填後の保存中において、香味耐久性指標物
質は生成されるが、麦芽使用比率の低いものほど生成速
度が高い傾向にある。
【0034】また、この香味耐久性指標物質は、用いる
原料によりその生成量が変化することがある。例えば、
上述した通り発酵工程に用いる酵母はそのサイズによ
り、発酵工程後の香味耐久性指標物質の生成量に影響を
与え、ひいては製品の香味耐久性に影響を与える。具体
的には、サイズの大きな酵母を選択して使用することに
より生成量を抑えることができる。よって、酵母等の原
料の選択の際に、その原料を用いて試験的に製造を行
い、その際の香味耐久性指標物質の生成量から好ましい
原料を選択することもできる。
【0035】以上の通り、香味耐久性に関し一定品質の
麦芽アルコール飲料を製造するためには、予め原料に基
く香味耐久性指標物質の生成量を測定し、また選定した
原料を用いた際の製造工程における香味耐久性指標物質
の量を記録する。この記録を参照しながら製造毎の該物
質の量を比較し、記録値と製造時の測定値とが実質的に
一致しているか否かを判定し、一致しているものを製品
とする。仮に、製造途中において参照値と測定値との差
分が大きい場合には、適宜の処置を施す、もしくは当該
ロットの製造を中止すること等により確実に香味耐久性
における品質の保持を図ることができる。なお、この製
造管理に当たっては、作業者が各製造工程における工程
液を手作業で採取して香味耐久性指標物質を測定しても
よく、また、生産ラインに香味耐久性試料物質を測定す
るための測定装置等を設置して自動で測定することもで
きる。
【0036】また、この製造工程の管理方法は、新たな
麦芽アルコール飲料の製造方法を開発するために利用す
ることもできる。すなわち、この製造方法の開発にあた
って、香味耐久性指標物質の生成量を測定項目とし、こ
の生成量を比較して、該物質の生成をより抑制すること
ができる方法を採用することにより香味耐久性に優れた
麦芽アルコール飲料の製造方法を開発することもでき
る。
【0037】[第三の実施形態] 麦芽アルコール飲料
の製造工程管理システム 上述した製造工程管理方法をシステム化することもでき
る。この場合、麦芽アルコール飲料は仕込、発酵、貯酒
などの工程を経て製造されるが、これら製造工程に使用
される装置に、原料に基く香味耐久性指標物質の存在量
または製造工程中の香味耐久性指標物質の存在量を測定
する測定手段を備えることができる。
【0038】仕込工程では仕込槽、仕込釜、ロイター、
煮沸釜、麦汁冷却器等、発酵工程では発酵タンク等、貯
酒工程では貯酒タンク等、またろ過・充填工程ではろ過
機、ろ過溜タンク等の装置が用いられるが、これら装置
に個別の上記測定手段を設置することもでき、またこれ
ら装置を単一の測定手段に接続させてもよい。なお、試
料を採取する採取口は上記各種の製造装置において、特
別に設けても、通常の注ぎ口から試料を採取するように
構成してもいすれでもよい。
【0039】各製造装置から採取した試料の香味耐久性
指標物質を測定する測定手段は、上述した通りHPL
C、逆相カラム、吸光度計等を用いることができる。ま
た、この測定手段には、測定結果を処理するための処理
手段を接続することもできる。この処理手段には、原料
の割合、および工程各バッチ毎の香味耐久性指標物質の
生成量もしくは1バッチの製造工程全体を通した当該指
標物質の生成量等が記録された記録部と、この記録部に
記録されている記録値と測定手段により測定された測定
値とを比較する演算部などを備えることができる。
【0040】このように製造工程における香味耐久性指
標物質を測定する測定手段を設置することにより、香味
耐久性指標物質を指標とした製造工程管理および制御を
簡便にすることができる。
【0041】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を説明する。な
お、この実施例においては、香味耐久性指標物質とし
て、5−HMFを用いて説明する。
【0042】[実施例1]抗酸化的製造方法における5
−HMFの挙動 5−HMFは従来より麦芽アルコール飲料を長期に保存
した場合に麦芽アルコール飲料中に検出されることが知
られており、このことから5−HMFは製品の老化を判
定するために用いられている。本実施例では、麦芽アル
コール飲料の保存期間中の5−HMF濃度の変化を調べ
た。なお、5−HMF濃度はC18逆相カラムを用い、
酢酸−メタノールバッファにより溶出させた際の溶出2
0分前後のピークの面積、または高さから算出した。
【0043】図5には、麦芽使用比率75%の麦芽アル
コール飲料を20℃又は30℃の温度下で6ヶ月間保存
した場合の5−HMFの濃度の変化を示す。図5に示す
通り、20℃よりも高温の30℃で保存した場合のほう
が5−HMFの生成速度が2倍程度速いことが示され
た。この5−HMFの生成は麦芽アルコール飲料の含有
成分の酸化によることが次の抗酸化的製造方法から示さ
れた。
【0044】図6及び図7には、仕込工程(糖化から冷
麦汁生成まで)における試料の攪拌速度を変化させ酸素
の取り込み率を変化させた場合の5−HMFの含有量の
変化を示す。この実験は、仕込槽内部に設置された攪拌
機の攪拌速度を0、72、154、600rpmと変化さ
せて仕込工程を行い冷麦汁を製造した。この攪拌速度を
低くすることは試料中への酸素の取り込み率を低減させ
ることになる。従って、本実施例では、試料が混合され
る最低限の速度72rpmが最も酸素の取り込み率の低い
条件と言える。また、比較のために、300rpmの速度
で攪拌したサンプルでは、上記仕込槽の空寸部に窒素ガ
スを吹き込むことにより強制的に抗酸化的な環境を作っ
た。5−HMFの蓄積量はHPLCにおける5−HMF
由来のピーク面積から求めた。
【0045】図6に示す通り、0〜154rpmの範囲で
は5−HMFの蓄積量の変化に大きな違いはなく5−H
MFの生成が抑制された。また、これらの攪拌速度の範
囲では窒素ガスを吹き込みながら攪拌速度300rpmと
した抗酸化的な製造方法と5−HMFの含有量はほぼ同
等の値であった。一方、600rpmで攪拌を行った場合
には、特に製造工程の初期から5−HMFが多く生成さ
れ、製造工程に通して5−HMF量は高いまま推移し
た。
【0046】図7には冷麦汁中に含まれる5−HMFの
蓄積量を示す。72rpm、154rpm、600rpmと攪拌
速度を上昇させるに従って、冷麦汁中の5−HMF含有
量が高くなることが示されている。逆に72rpmの攪拌
速度では、抗酸化的な条件(300rpmで攪拌するとと
もに窒素ガスの吹込みを行った)よりも若干低いことも
示された。
【0047】以上の結果より、この5−HMF含有量
は、製品の老化の指標となるばかりでなく、製造工程に
おいては抗酸化的な製造方法が実行されているか否かの
指標となることが示された。
【0048】[実施例2]製造工程中の5−HMFの挙
動 次に、この5−HMFを用いて製造工程における抗酸化
的な製造をモニタするために、麦芽使用比率の相違によ
る5−HMFの生成量、蓄積量の変化を測定した。麦芽
使用比率を25%、75%および100%と変化させ
て、同一の条件で麦芽アルコール飲料製造を行った。こ
の場合も5−HMFの蓄積量は各工程液をHPLCを用
いて5−HMFのピーク面積を測定することにより行っ
た。
【0049】図8に示すように、麦芽使用比率に応じて
仕込工程における5−HMFの生成量に違いが生じるこ
とが示された。仕込工程では、いずれの麦芽使用比率に
おいても5−HMFの生成が高まり、煮沸後のワールプ
ール内滞留中(冷却工程進行途中の熱麦汁状態でワール
プール中に保持される間)にこの値がピークに達した。
ここで蓄積された5−HMFはいずれの条件でも発酵工
程において消失した。ここで一旦消失した5−HMFは
貯酒工程において再び生成されるが、この生成率は麦芽
使用比率の低いものが最も高かった。麦芽使用比率の低
いものは、麦芽由来の還元物質の量が低いことから、酸
化すなわち老化を抑制する能力が小さいことが原因とな
ると考えられる。
【0050】上記5−HMF含有量の変化は、同一の原
料、同一の製造方法で製造する限り再現性のある値が得
られている。また、いずれの麦芽使用比率の場合でも煮
沸後冷麦汁中の5−HMFの蓄積量がピークに達する
が、同一種類の麦芽アルコール飲料であれば、このピー
クが高いほど貯酒工程から保存期間にかけての5−HM
Fの生成量が高くなる傾向にあった。また、製造工程に
おいて、例えば煮沸工程の時間が通常よりも延長される
などの老化を進行させるような異常が生じた場合には、
この5−HMFの含有量が上昇することも観察された。
従って、この5−HMF量を指標とし製造を管理するこ
とにより、抗酸化的な製造を確実に行うことができるこ
とが示唆された。
【0051】そこで次に、香味耐久性により優れたビー
ル等を製造するために、この5−HMFの生成の要因の
探索と5−HMFの生成を抑制するための手段を検討し
た。
【0052】[実施例3] 発酵工程後の5−HMFの
生成反応 上述した通り、5−HMFは発酵工程前と発酵工程後の
2つの期間で増加することが観察されている。ここでは
発酵工程後の5−HMFの生成の要因を探索した。特
に、冷麦汁において蓄積されている5−HMFが酵母に
より消化されるが、この酵母による消化が一時的に5−
HMFを先駆体などに変化させ、時間の経過とともに再
び先駆体から5−HMFが再生されるのか、又は新たに
5−HMFが生成されるのかを調べた。
【0053】上記点を検討するために、5種類の試験液
を準備した。この準備した試験液は、対照とする無添加
の水、フルフラール(50ppm又は100ppm)を添加し
た水、5−HMF(50ppm又は100ppm)を添加した
水である。これらに酵母を添加して、含有される5−H
MF又はフルフラールを消化させた後、試験液を100
℃で9時間に加熱し、この加熱時間における5−HMF
又はフルフラールの生成量を測定した。
【0054】図9に示す通り、酵母により一旦消化され
た5−HMF又はフルフラールは加熱しても生成されな
いことが示された。すなわち、発酵工程後の貯酒工程、
製品の保存期間における5−HMFの増加は、発酵工程
前の5−HMFが再生されるのではなく、発酵工程後に
新規に生成されるものであることが示された。
【0055】図10には、冷麦汁と発酵液との5−HM
Fの生成能力を比較した結果を示す。同一の製造工程に
おいて生成された冷麦汁と発酵終了後の発酵液とをそれ
ぞれ採取し、これらを100℃、3時間加熱した後の5
−HMFの含有量をHPLCにより測定した。5−HM
Fの含有量はHPLCのピーク高として表した。
【0056】図10に示されているように、5−HMF
の含有量は冷麦汁では100℃、3時間の加熱により含
有量は2倍足らずにしか増加しないのに対し、発酵液で
は同様の加熱により17倍増加した。すなわち、発酵液
は、冷麦汁に比べて5−HMFの生成能力が高いことが
示された。
【0057】従って、香味耐久性に富んだビール等を製
造するためには、5−HMFが増加する2つの期間、具
体的には発酵工程前及び発酵工程後における5−HMF
の生成を抑制する必要があり、このうち特に、発酵工程
後の5−HMFの増加を抑制することが重要になること
が示された。
【0058】[実施例4] 発酵液への有機酸添加の影
響 6炭糖から5−HMFが生成される反応では、酸触媒が
反応を促進させることが知られている。また、発酵液に
は原料(主として麦芽)由来の有機酸もしくは酵母の代
謝産物としての有機酸が含有されており、発酵工程の後
にその量は増大する。そこで、この有機酸が酸触媒とし
て働き、発酵液における5−HMFの生成を促進してい
るかを調べた。ここでは、冷麦汁に、通常の発酵液に含
まれる有機酸を添加した試料を調製し、有機酸を添加し
ない試料との5−HMFの生成量の差を比較した。な
お、ここで添加した有機酸は、コハク酸(30ppm)、
リンゴ酸(30ppm)、クエン酸(30ppm)、ピルビン
酸(30ppm)、乳酸(2ppm)、酢酸(50ppm)であ
る。
【0059】比較結果を図11に示す。図11に示す通
り、上記有機酸を添加した冷麦汁では5−HMFの生成
速度が約2倍に上昇し、有機酸の添加により5−HMF
の生成が促進されることが示された。
【0060】[実施例5] 発酵液中のpHの影響 上記有機酸の添加の影響が有機酸が直接作用したもので
あるか又は有機酸の添加によるpHの低下によるものか
を調べるために製品に種々の酸性物質を添加してpHを
調節し、5−HMFの生成量を比較した。具体的には、
酸性物質としては、塩酸、各種有機酸、システイン、Na
HSO3、NaOHを用いた。これら酸性物質をそれぞれ添加し
た冷麦汁を37℃で2週間保存後、5−HMFの含有量
をHPLCにより測定した。ここで測定された5−HM
Fの含有量とpHとの関係を図12に示した。
【0061】図12に示す通り、pHと5−HMFの生
成量との関係は負の相関関係を有することが示された。
すなわち、5−HMFは特異的な酸性物質により生成が
促進されるのではなく、液のpHに大きく影響され、p
Hの低下によりその5−HMFの生成速度は促進され、
逆にpHを高くすることにより5−HMFの生成速度を
遅延させることができることが示された。従って、冷麦
汁のpHを高く維持することは製造工程及び製品の老化
を抑制し、長期に香味の安定した、香味耐久性の高い製
品を製造できることが示唆された。但し、システインに
ついては、図12のグラフから外れていることから、単
にpHの上昇により5−HMFの生成を抑制するもので
はなく、他のメカニズムにより5−HMF量が低減され
ることが示された。
【0062】また、このpHと5−HMFの生成量との
関係は、発酵液を用いた場合も同様であった。発酵工程
後の発酵液pHを3.85〜4.1に調製し、この調製
液を37℃で2週間保存し、その際の5−HMFの生成
量を測定した。
【0063】図13に示す通り、発酵液においても冷麦
汁と同様にpHと5−HMF生成量とは負の相関関係が
あった。このことから冷麦汁、発酵液においてもpHが
5−HMFの生成の制御に大きな影響を与えることが明
らかになった。
【0064】[実施例6] 酵母サイズと5−HMFの
生成との関係 発酵後の5−HMFの増加が、発酵液中に含まれる有機
酸などのpHの低下以外に他の原因が有るかを調べた。
具体的には、同一の冷麦汁を分注し、これらにそれぞれ
異なるロット(30タイプ)の酵母を添加して、発酵を
行った。発酵終了後酵母を除去した発酵液を37℃、2
週間保存後、HPLCにより5−HMFの含有量を測定
した。なお、この試験は3回繰り返して行った。これら
3回の測定値を表1に示し、また、この測定値をプロッ
トしたグラフを図14に示す。
【0065】
【表1】 図14に示す通り、例えばNo.27、28、30のよ
うに5−HMF生成量が高い値を示すものについては、
3回の測定間で若干に測定値に高低はみられるが、3回
の測定を通して他のロットに比べて高い傾向にあること
が示された。すなわち、ロット間の値を比較する限り酵
母のロットと5−HMFの生成量との関係は再現性があ
った。
【0066】これら酵母の性質を分析した。表2には、
冷麦汁に添加時の酵母のサイズ、発酵工程後の回収酵母
のサイズ及び発酵液中の5−HMF量を示した。また、
この酵母サイズと5−HMF量との関係を図15及び図
16に示す。
【0067】
【表2】 図15及び図16に示す通り、添加酵母の大きさと5−
HMF量と間、回収酵母の大きさと5−HMF量との間
には、いずれも負の相関関係があった。すなわち酵母の
サイズが大きいほど5−HMFの生成が抑制され、酵母
サイズが小さいものほど5−HMFの生成が促進される
ことが示された。この結果より、5−HMFの生成を抑
制するためには、酵母のサイズをより大きなもの、例え
ば、本実施例使用系統株の場合には、添加酵母として細
胞体積220μm3程度又はそれ以上のものを選択する
ことがよいことが示された。
【0068】[実施例7] アミノ酸の添加による5−
HMFの生成への影響 アミノ酸は、酵母の生育に必要となる窒素源となるが、
このアミノ酸を冷麦汁に添加した場合、発酵工程後の発
酵液中の5−HMFの含有量に影響を与えるかを調べ
た。冷麦汁に添加したアミノ酸を表3に示す。
【0069】
【表3】 表3において、対照はアミノ酸を添加しない冷麦汁その
ものを意味し、「X1」は基となる麦芽使用比率75%
の冷麦汁に含まれるアミノ酸群をさらに等量添加したこ
とを、また「X2」は2倍量添加したことを意味する。
さらに、「グループA」、「グループB」、「グループ
C」は酵母における取込み速度の違いにより分類し、各
グループに含まれるアミノ酸を2倍量添加した。さら
に、システインは単独で2倍量添加した。これらアミノ
酸を添加した各冷麦汁を用いて発酵を行った後、発酵液
を37℃で3週間保存した。この保存の際の5−HMF
量の増加を図17に示す。
【0070】図17に示す通り、グループA及びBのア
ミノ酸の添加では、対照の冷麦汁のみの場合に比べて5
−HMFの生成量を上昇させたが、総アミノ酸を等量添
加したもの(X1)、2倍量添加したもの(X2)、ま
たグループCでは対照における5−HMFの生成量とほ
ぼ同様であった。一方、システインの単独添加では、若
干対照よりも5HMFの増加が緩やかであり、特に、保
存3週間目では対照に比べて有意に5HMFの増加が抑
制された。
【0071】[実施例8] 低溶存酸素(DO)仕込に
よる5−HMF生成の抑制 以上の通り、高pH、システインの添加、サイズの大き
な酵母の選択により5−HMFの生成を抑制できること
が明らかになった。次に抗酸化的な製造という観点から
検討を行った。すなわち、既に実施例1に示した通り、
仕込槽等の製造装置においてマイシェ(原料と仕込用水
との混合物であるもろみ)を攪拌する攪拌速度を緩やか
にすることより5−HMF生成が抑制されたことが示さ
れたが、5−HMFの生成を抑制する他の抗酸化的な手
段を検討した。本実施例では400Lスケールの製造設
備を用い、仕込釜、仕込槽、ロイター、煮沸釜、ワール
プールなどの製造装置の空寸部に二酸化炭素を200m
l/分の速度で吹き込み、各装置内の上部空間部分(ヘ
ッドスペース)の空気を二酸化炭素で置換し、酸素濃度
1%以下になるようにした状態での5−HMFの生成量
を測定した。
【0072】図18に示す通り、タンパク休止工程、第
一及び第二糖化工程及び麦汁ろ過工程段階までは抗酸化
的な製造方法及び通常の製造方法において5−HMF量
に変化は観られなかった。しかし、煮沸工程開始後は、
煮沸により5−HMFが増加し始めるが、抗酸化的な製
造方法では通常の製造方法よりも5−HMFの増加が緩
やかであった。この抗酸化的な製造方法では、冷麦汁の
段階において通常の方法よりも5−HMFの含有量は7
0%程度に抑制された。なお、図19には、同様の試験
を3回繰り返した際の冷麦汁中の5−HMF量を示す
が、二酸化炭素の吹き込みによる5−HMFの抑制効果
は再現性があることが示された。
【0073】また、図20には、上記冷麦汁を発酵、貯
酒し、ろ過した後、容器詰めした麦芽アルコール飲料を
用いて保存試験を行った際の5−HMFの経時的な変化
を示した。ここでは上記ヘッドスペースの二酸化炭素置
換あり、なしの二つの方法により製造された麦芽アルコ
ール飲料を用い、これらを20℃又は30℃で1〜3か
月間保存した際の5−HMFの蓄積量を示す。双方の製
造方法に起因して、保存開始時(0月目)において、5
−HMFの含有量に差があるが、それ以上にこれら5−
HMFの増加のカーブに顕著な差があり、通常の製造方
法では抗酸化的な製造方法に比べて増加率が高いことが
示された。換言すれば、抗酸化的な製造方法は、保存期
間における5−HMFの増加を抑制することができた。
従って、製造工程における5−HMFを増加させること
は、その後の保存期間における5−HMFの増加を促進
させる傾向にあることが示された。
【0074】[実施例9] 仕込釜の改良による抗酸化
的な製造 他の抗酸化的な製造方法として、仕込装置の改良を試み
た。仕込釜、仕込槽、ロイター、煮沸釜などは仕込工程
に用いられる装置であるが、仕込工程中に製造されるマ
イシェ(もろみ)や麦汁の一部もしくは全部は、工程の
進行に伴い温度制御や移し替えなどを目的として各装置
間を繰り返し移送される。この移送に用いられる配管の
導入部は通常の場合、各装置の上部に設けられるため、
マイシェや麦汁は移送の度毎に空気の巻き込みによる酸
化を受けていた。そこで、本実施例ではこうした工程液
の空気の巻き込みを防止する目的でマイシェ導入口を仕
込釜および仕込槽の底部に設けた装置を作成した。
【0075】この導入口を設けることにより仕込釜、仕
込槽の工程液を外部の空気に極力接触させることなく移
し替え、また、工程液を緩やかに送り込むことにより仕
込釜、仕込槽内での空気の取込みを抑制することとし
た。
【0076】この改良装置と通常の装置とを用いて麦芽
アルコール飲料を製造し、ここで製造された製品の保存
期間中の5−HMFの経時的な変化を測定した(図2
1)。測定期間は3月間とし、保存温度を20℃、30
℃、37℃とした。なお、37℃の保存条件については
保存開始後7日目の一点のみ測定した。
【0077】図21に示す通り、改良装置は、上述した
実施例8の二酸化炭素の吹込みによる場合よりも効果は
高くはないが、通常の装置を用いた場合よりも5−HM
Fの生成が抑制された。また、この結果より、発酵工程
前の仕込工程において抗酸化的に製造を行うことにより
保存期間における5−HMFの増加が抑制されることが
示された。すなわち、仕込工程における5−HMFの生
成を抑制することは、製品保存期間の5−HMF生成の
抑制につながることが示された。
【0078】[実施例10]カテキン添加による5−H
MF生成に与える効果 本実施例ではカテキンを添加して麦汁の抗酸化力を高め
た場合に、5−HMF増加を抑制することができるかを
調べた。麦芽使用比率75%の冷麦汁にカテキンを10
0、200、500ppmとなるようにそれぞれ添加し、
100℃で0〜6時間加熱を行った。図22には、この
加熱時間の経過に伴なう5−HMFの増加を示す。な
お、対照としてカテキン無添加の冷麦汁を用いた。
【0079】図22に示す通り、カテキン濃度を10
0、200、500ppmと上昇させるに従って、増加度
を示す直線の傾きは緩やかになり、カテキンの添加によ
り5−HMFの増加が抑制された。
【0080】次に、麦芽使用量の異なる麦芽アルコール
飲料をカテキンを添加した条件で製造し、その際の各製
造工程液における5−HMFを測定した。ここでは比較
する試料を可能な限り同一の環境下で調製することとし
た。具体的には、仕込釜で100℃、20分加熱した後
の液化物と、仕込槽のタンパク休止後のマイシェを5段
階の比率で混合した。これら段階的に混合した試料を糖
化(65℃で1時間、さらに75℃で1.5時間保
温)、煮沸100℃後、冷却、発酵、発酵液保存を行っ
た。これら試料中の麦芽使用率は、18、42、58、
75、100%に相当する。
【0081】先ず、図23には、これら試料における煮
沸90分後の各工程液の5−HMF量をカテキン添加試
料と、カテキン非添加試料とを比較測定した結果を示
す。5−HMFは主として麦芽由来の糖から生成される
ため、麦芽使用率の増加に伴ない5−HMF量は高くな
った。カテキンの添加試料群においてもこの傾向は変わ
らないがカテキン添加により、いずれの試料においても
5−HMF量は抑えられた。
【0082】一方、図24には、糖化開始時点から煮沸
90分経過後までの間の上記各試料中の5−HMFの変
化度(増加率)を示す。5−HMF含有量としては麦芽
使用率が高くなるに従って高くなるが、変化度において
は、麦芽に由来する還元力の低さから麦芽使用率が低い
ものほど高くなる傾向が示された。また、カテキンの添
加によりいずれの麦芽使用率においても5−HMFの増
加が抑制された。
【0083】次に、発酵終了後の発酵液を対象とした場
合の結果を図25、26に示す。図25には、各発酵液
を37℃、1週間保存後の5−HMF量を示し、図26
には、保存期間中における5−HMFの変化度を示す。
【0084】この場合もカテキンの添加によりいずれの
試料でも5−HMFの増加は抑制された。また、5−H
MFの増加率については、カテキン非添加の試料におい
て麦芽使用率の低い18%、42%において増加率が高
い傾向がみられ、このうち42%のものについては、カ
テキンの添加により顕著に抑制された。
【0085】[実施例11]活性酸素スカベンジャーの
添加による5−HMF生成への効果 上記実施例10で活性酸素トラップ能を有する物質であ
るカテキンの5−HMFの増加抑制が確認されたことに
鑑み、カテキンに代えて一般的な活性酸素スカベンジャ
ーであるPBN(N−tert−butyl−α−phenylnitro
n)を用いてその効果の確認を行った。すなわち、この
PBNを0.05M、0.10M濃度となるように麦芽アルコ
ール飲料に添加して、60℃で0〜5時間加熱して強制
的に老化させた。なお、対照としてPBN非添加のビー
ルも同様に加熱を行った。図27には各ビール中の5−
HMFの経時的変化を示す。
【0086】図27に示す通り、PBNの添加によりビ
ール中の5−HMFの生成は抑制された。また、PBN
の濃度を高めることにより、その抑制の効果は向上され
ている。このことから5−HMFの生成は製造工程中に
存在する活性酸素により促進され、この活性酸素を除去
することにより5−HMFの生成を抑制することが可能
となることが示された。即ち、麦芽アルコール飲料の製
造においては、D−マンニトール、トリプトファン、ヒ
スチジン他の活性酸素除去能力を有する物質の添加によ
り5−HMF生成を抑制することができる。
【0087】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、5−HM
Fの生成をモニタすることにより製造工程及び製品の老
化を監視することができ、また、製造工程における5−
HMFの生成を抑制することにより、老化に対する耐久
性の高い、すなわち、長期に香味の安定した麦芽アルコ
ール飲料の製造が可能となる。
【0088】また、この5−HMF生成を抑制するとい
う視点から麦芽アルコール飲料の製造工程を管理するこ
とにより、香味耐久性に富んだ麦芽アルコール飲料の製
造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 麦芽アルコール飲料の製造工程の概略図であ
る。
【図2】 5−HMFの生成反応を示す概略図である。
【図3】 アマドリ物質を測定するための前処理反応を
示す図である。
【図4】 製造工程における5−HMF量の変化を示す
グラフである。
【図5】 保存期間の5−HMF量の変化を示すグラフ
である。
【図6】 攪拌速度を変化させて抗酸化的な仕込を行っ
た場合の各製造工程における5−HMF量の変化を示す
グラフである。
【図7】 図6における冷麦汁の5−HMF量を示すグ
ラフである。
【図8】 麦芽使用比率の異なる麦芽アルコール飲料の
各製造工程における5−HMF量の変化を示すグラフで
ある。
【図9】 5−HMF添加水、フルフラール添加水を用
い酵母における5−HMF等の代謝が可逆的反応でない
ことを示すグラフである。
【図10】 冷麦汁、発酵液における100℃加熱に対
する老化感受性(5−HMF生成度合)を示すグラフで
ある。
【図11】 有機酸添加による5−HMF生成への影響
を示すグラフである。
【図12】 麦芽アルコール飲料pHが5−HMF生成
に与える影響を示すグラフである。
【図13】 発酵液pHが5−HMF生成に与える影響
を示すグラフである。
【図14】 酵母ロット間の5−HMF生成量の相違を
示すグラフである。
【図15】 添加酵母のサイズと5−HMF生成量との
関係を示すグラフである。
【図16】 回収酵母サイズと5−HMF生成量との関
係を示すグラフである。
【図17】 アミノ酸添加による5−HMF生成への影
響を示すグラフである。
【図18】 仕込装置ヘッドスペース中の酸素濃度の低
下による5−HMF生成の抑制効果を示すグラフであ
る。
【図19】 仕込装置ヘッドスペース中の酸素濃度の低
下による冷麦汁中の5−HMF生成の抑制効果を示すグ
ラフである。
【図20】 低酸素濃度下で製造された麦芽アルコール
飲料における保存期間中の5−HMFの増加抑制を示す
グラフである。
【図21】 改良仕込装置を用いた際の5−HMF生成
の抑制効果を示すグラフである。
【図22】 カテキンを添加した冷麦汁を加熱した際の
5−HMF量の経時的変化を示すグラフである。
【図23】 煮沸90分後の5−HMF量を麦芽使用率
の相違、カテキン添加の有無により比較したグラフであ
る。
【図24】 糖化工程から煮沸工程までの5−HMFの
変化度(増加率)を麦芽使用率の相違、カテキン添加の
有無により比較したグラフである。
【図25】 発酵液を37℃で1週間保存した際の5−
HMF量を麦芽使用率の相違、カテキン添加の有無によ
り比較したグラフである。
【図26】 図25の保存期間中の5−HMFの変化度
(増加率)を麦芽使用率の相違、カテキン添加の有無に
より比較したグラフである。
【図27】 活性酸素スカベンジャー(PBN)添加に
よる5−HMF生成の抑制効果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12C 9/00

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 麦芽を含む原料の選定、仕込、発酵、貯
    酒、ろ過・充填工程を含む麦芽アルコール飲料の製造方
    法において、 製造中間試料中の香味耐久性指標物質の生成を制御する
    ことを特徴とする麦芽アルコール飲料の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記香味耐久性指標物質が5−ヒドロキ
    シメチルフルフラール又はその先駆物質であることを特
    徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 活性酸素スカベンジャーを添加すること
    により香味耐久性指標物質の存在量を制御することを特
    徴とする請求項1または2に記載の麦芽アルコール飲料
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記活性酸素スカベンジャーがカテキン
    であることを特徴とする請求項3に記載の麦芽アルコー
    ル飲料の製造方法。
  5. 【請求項5】 製造工程液のpHを調節することにより
    香味耐久性指標物質の存在量を制御することを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載の麦芽アルコール飲料
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 発酵工程に用いる酵母サイズの選択によ
    り香味耐久性指標物質の生成を制御することを特徴とす
    る請求項1〜5のいずれかに記載の麦芽アルコール飲料
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 製造工程中の麦芽アルコール飲料の溶
    存酸素を調節することにより香味耐久性指標物質の生成
    を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに
    記載の麦芽アルコール飲料の製造方法。
  8. 【請求項8】 麦芽を含む原料の選定、仕込、発酵、
    貯酒、ろ過・充填を含む麦芽アルコール飲料の製造工程
    を管理・制御する方法であって、 原料に基く香味耐久性指標物質の量または製造工程中間
    試料中の香味耐久性指標物質の量に基き麦芽アルコール
    飲料の製造工程を管理・制御する方法。
  9. 【請求項9】 前記香味耐久性指標物質が5−ヒドロキ
    シメチルフルフラール又はその先駆物質であることを特
    徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 麦芽を含む原料の選定、仕込、発
    酵、貯酒、ろ過・充填を含む麦芽アルコール飲料の製造
    工程を管理するシステムであって、 原料に基く香味耐久性指標物質の量または製造工程中間
    試料中の香味耐久性指標物質の量を測定する測定手段を
    備え、 前記測定手段において測定された測定値に基き麦芽アル
    コール飲料の製造工程を管理又は制御するシステム。
  11. 【請求項11】 前記香味耐久性指標物質が5−ヒドロ
    キシメチルフルフラール又はその先駆物質であることを
    特徴とする請求項10に記載のシステム。
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